【書評】ニュータイプの時代

最近、いろいろ思っていた価値観のシフトが、見事に整理されていたり言語化されていて、「そうそう」という納得感が多過ぎる一冊でした。

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事業環境変化のスピードが速くなっていて、会社に居続けるのが難しくなっていたり、役割の変化が求められています。

これはライフシフトでも言われていることで、会社を変える、スキルセットを見直していくことが求められるようになっています。

2017年に向けて読む一冊:100年ライフを読んで人生プランを考えよう

そうなると、他にもいろんな社会構造や価値観が変わってきます。そのような、これからの時代に求められる人材の要素がわかるのが、この「ニュータイプの時代」です。

 

「問題の発見」と「意味付け」

やはり一番考えさせられたのは、この「問題の解消」よりも「問題の発見」にシフトしている、ということです。

ビジネスは基本的に「問題の発見」と「問題の解消」を組み合わせることによって富を生み出しています。過去の社会において「問題」がたくさんあったということは、ビジネスの規模を規定するボトルネックは「問題の解消」にあったということです。

 

しかしすでにメガトレンドの項目で説明した通り、このボトルネックの関係は、今日では逆転しつつあります。つまり「問題が希少」で「解決能力が過剰」になっているということです。

 

これを踏まえると、コンサルティング会社やSIerなどがやってきた「問題を解決する」というアプローチはどんどん社会的な価値が下がってきており、「そもそもどういう方向に向かうべきか」など、もっと大きなレベルでの問題発見や構想が求められるわけですね。

 

「問題の不足」という状況は、そもそも私たち自身が「世界はこうあるべきではないか」あるいは「人間はこうであるべきではないか」ということを考える構想力の衰えが招いている、ということなのです。

 

このような構想には、もっと哲学やリベラルアーツのような、理系に属する知識・ノウハウだけでは通じにくいものです。

 

意義が低下していくMBA

自分が学習し経験したから思うのですが、MBAの意味というのは社会的に低下している気がしていました。その傾向についても、本書で触れられています。やっぱりね、という印象でした。

 

たとえば2018年の 10 月、ウォール・ストリート・ジャーナルはアメリカにおけるMBAへの応募数が、4年連続で前年割れしていることを報じました。同紙によれば、ハーバードやスタンフォードなどのエリート校も含めて応募数は減少傾向にあり「Degree loses luster=学位としての輝きは失われた」というの です。

 

MBAが全く意味がないとは思いませんが、相対的には昔ほど価値を生み出しづらくなっているのは事実でしょう。ただ、それに代わる明確な学習フォーマットも、まだMBAほど確立されていないという状況な気がします。d.schoolなどが注目された時期もありましたし、このような取り組みは僕も良いと思いますが、学習フォーマットとして広げるのは難しいのでしょうね。

「デザイン思考」を発信するスタンフォード大学d.schoolを訪問してみた

 

これから求められるのは「意味をつけられるリーダー」

これからのリーダー像は、課題をみつけ、共感を呼ぶようなミッションを定められる人です。

 

ビジョンに求められる最も重要な要件、それは「共感できる」ということです。 目的とその理由を告げられて、自分もその営みに参加したい、自分の能力と時間を実現のために捧げたいと思うこと、つまりフォロワーシップがそこに生まれることで初めてそれと対になるかたちでリーダーシップが発現するのです。

 

今の学生と話すと、まさにビジョンとしての共感の重要度が増しているのを感じます。こういうものが見えづらくなると、早い段階で辞めてしまうようです。

 

昨今では「部下がだらしない、使えない」と嘆いている管理職がどこの組織でも見られますが、これは典型的なオールドタイプの思考モデルであり、本当に嘆くべきなのは「部下を動機付ける『意味』が与えられない」自分の不甲斐なさであるべきでしょう。

 

ITやAIの仕事をしていると、「何か良いネタはないか」という相談を受けることもしばしばありますが、そういう相談は応えるのが難しいのが正直なところです。そういう組織は、「本当の問題」をちゃんと定義できていないまま、「IT、AI、IoTなど最近トレンドの技術・サービスを活用すると、自社をもっとよくできるのではないか」という抽象的な感覚で行動してしまっているかもしれません。

 

ところが、現在の多くの組織では、そもそも「解答を出すべき問題=アジェンダ」が明確になっていないことが多い。解決したい課題が不明確な状態で「何か儲かりそうなアイデアはありませんか」とお見合いを繰り返している、というのが多くの企業におけるオープンイノベーションの実情になっています。

 

同じ業界・同じ会社にいると、価値観やスキルが固定化しやすくなってしまいますが、 世界はどんどん変わってきており、自分の領域はいつ陳腐化してしまうかわからない時代になったな、と実感します。

自分にとって、価値観を見つめ直し、新たな知識の幅を考える良い本でした。

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2019年に読んで印象に残った本

そろそろ年末ですね。毎年恒例で書いている、今年読んで印象に残った本を挙げていきます。まあ、備忘録みたいなものです。

今年はあまり本を読まなかった一年でした。改めて振り返ると、自分の印象に残っている本が限られているなって思いましたが、それでもいくつかあります。自信もっておすすめできるやつです。

ファクトフルネス

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ビルゲイツがリコメンドしていたこともあり、話題になっていましたね。事実をちゃんと押さえることはもちろんですが、本書の中心は「事実への向き合い方」です。切り取り方や整理の仕方によって、全く違った解釈になることもよく起こります。現代に問われるデータリテラシーを考える良い一冊だと思います。

「ファクトフルネス」を読んで、これからのデータ社会に必要な心構えを学ぶ

 

AI vs 教科書が読めない子どもたち

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今年はAIをよく勉強した一年でした。今年の最初のあたりで読んだ本書は、AIの特性や限界、「読解力」を中心にした人間ならではの能力や教育の可能性を知ることができました。AIに人間が勝てるのは読解力だと知ったあとで、読解力が落ちてきている、という事実を突きつけられるのは結構衝撃。

 

課題解決とサービス実装のためのAIプロジェクト実践読本

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AIを実際にプロジェクトとして進める場合に、知っておくべき知識を整理した本です。いろんなガイドラインも登場し、AIの普及が進みつつある現在ですが、こういうプロジェクトに関するノウハウが言語化・体系化されるのは良いことだと思います。

AI・人工知能・機械学習をビジネスで活用するために読む本まとめ

 

ディープテック

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今新たな動きとして、ディープテックというトレンドがあるのを知りました。本当の社会的な課題を解決を実現するための、技術開発やビジネス実装に取り組むもので、ビジネス化までに時間や費用の多くが必要なのが特徴です。

グローバルでの日本の地位が低下していく中で、日本が取り組むべきひとつのジャンルな気がしました。

今注目されている「ディープテック」とは何か

 

時間術大全

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スマホでの無駄な時間の浪費を減らして、生産性を上げるきっかけをくれた本でした。時々こういう生産性を高める本を読んで、その中でいくつか取り入れてみるのが好きです。

「時間術大全」を読んだら生産的で有意義な時間が増えた

 

ニュータイプの時代

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年末にかけて読んでましたが、面白くてついつい一気読みしました。外部環境の変化が激しい現在で、社会はどういう価値観が重要視され、スキルを身につけていくべきかを知る良い本だと思います。

 

ということで、今年はあまりブログを書かない一年になりましたが、ひとまずこれが一年最後の記事です。良いお年を。

今年買ってよかったもの(2019年版)

毎年、一年を振り返って買ってよかったものをまとめてます。2018年はこんな感じでした。

買ってよかったものリスト(2018年版)

今年はあまり、生活を変えてくれるものが少なかったかも。

Apple Watch 3

今年の初め頃に購入。これまで別のスマートウォッチを使っていたけれど、iPhoneとの親和性が高いだろうと期待して書いました。

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時計として使うのもそうなんですが、通知やヘルスケアが良いですね。電話やLINEは時々通知を見逃していたんですが、Apple Watchを着けてからは見逃さなくなりました。

Apple Watch 5の常時表示にも興味が出ていますが、Apple Watch 3でもそんなに困っていないので、これから買うなら格安で買える3をおすすめします。

iPad+Smart Keyboard

最新版の無印iPadは、3万円代で非常にお手頃になってます。そしてSmart Keyboardも使えるようになりました。

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複雑なことには向いてないですが、資料閲覧、ネットサーフィン、テキスト編集ぐらいであれば十分。大きさ、薄さでもノートパソコンを持つより手軽で、外出時にカバンにさっと入れて持ち出しやすいです。

外出先で隙間時間にさっくり作業することができるようになりました。軽くて便利。

Anker PowerWave 10 Dual Pad

無線での充電器。Qi対応機器が増えてきたので買いました。ケーブルレスというのは、地味に便利ですね。

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ドルチェグスト

コーヒーメーカーを買い換えて、ドルチェグストにしました。

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いろんな種類のドリンクが、手軽なカプセルで作れるのが良いですね。家でお手軽においしいコーヒーが飲めるので、QOLが上昇します。

All-in pasta

ご飯が面倒なときは完全食を使っていますが、日清から出たAll-in pastaを試しました。

All-in シリーズ|日清食品グループ オンラインストア

主観的ではありますが、それほど食べづらいこともありませんでした。compと比べると、温かいご飯の形で食べられるので、食べてる感じもあって良いです。特に冬は。

ヌードルも出たので試したいですね。

ミックスナッツ

健康的な間食として、ミックスナッツを食べるようになりました。きっかけは、こちらの本でした。

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ナッツ類は寿命を伸ばす根拠が示されています。

でいくつか試したのですが、個人的には成城石井のミックスナッツがおすすめです。

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品質が良く、カシューナッツも入っていて飽きにくいかなと。

アイリスオーヤマの布団クリーナー

布団の細かいホコリなどをとってくれるクリーナー。

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布団クリーナーをかけると、ゴミが見えるんですよね。これを見ちゃうと、定期的にかけなきゃなと思います。

 

ということでデジタル系は少なめ、健康に関するものが多かった印象ですね。

「説明可能なAI」の現状とこれから

こちらの記事を読んで、いろいろ思うところがあったので、書いておきます。

機械学習の説明可能性(解釈性)という迷宮 – 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

注目される説明可能なAI

説明可能AIはひとつの注目領域で、ガートナーのハイプサイクルでは「説明可能なAI」として、これから「過度な期待」のピーク期に位置付けられています。

ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表

AI、特にディープラーニングは、その判断根拠がブラックボックスになりやすく、何か問題が起こったときに、検証や改善が難しいという特徴があります。

例えば、自動運転などにおいても、事故が起こってもなぜ事故が起こるような判断をAIがしたのか、を検証できないわけです。

それを解消するため、AIの判断根拠を見える化しようというのが、説明可能なAIです。

説明可能なAIは本当に人間が理解できるのか

冒頭紹介した記事を読んでいただければわかるのですが、今まさにAIの判断プロセスを可視化するためのいくつかのアプローチが登場してきています。

機械学習の説明可能性(解釈性)という迷宮 – 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

この記事の最後のあたりを読むと、「なるほどな」という気持ちと同時に、少し寂しいというか虚しい気持ちも生まれてきます。

簡単にいえば、「説明可能AI」のアプローチは限界がある、ということです。

基本的には「ヒトが直感でも解釈できそうなところを一部取ってくる」もしくは「ヒトが直感でも解釈できそうな別のモデルに何とかして当てはめる」ということをしているに過ぎず、悪い言い方をすると「優れたブラックボックスのMLモデルに対して見かけだけは分かりやすい劣化コピーの代用品を持ってきているだけ」だからです。

 

「人間では認識しづらい複雑なパターンまで学習して予測する」のが機械学習なのに、それを「人間が説明可能にする」ということは、AIモデルを簡素化の方向へ進めることになるため、機械学習のメリットがないのでは、ということです。

一方で、可視化が全く意味がないかといえばそうではなく、決定木系などは可視化することで解釈がわかりやすくなりますし、

画像系であれば、AIが画像のどこを注目したのかを示すことができれば、あとから人間がAIの判断根拠を類推することもできそうです。

つまり、説明可能になるにはAIのアルゴリズムの特性によって変わったり、参考情報として示すにとどまる場合がある、というのが現状のようです。

 

ガートナーのハイプサイクルで紹介したように、技術的には注目領域ではあるのですが、「なんでも説明可能になる」というのは、「過剰な期待」なのではないでしょうか。

個人的には、全てをホワイトボックス化するのに固執するのではなく、リスクの明確化、業務全体でのリスクヘッジなども考えるのが現実解では、と思います。

 

今、これを読み始めました。AIが社会にどう浸透していくのか、各国の考え方などを踏まえながら書かれているのが面白いです。

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これまでと現在の政党支持率を調べてみた

気になったので、各政党の支持率の推移を調べてみました。

朝日新聞のデータだけなので、絶対値としては偏りがあるのかもしれませんが、20年以上前からデータがあり、これまでの政党支持率の変化がよくわかります。民主党への政権交代時は、だんだん自民党と民主党の支持率が拮抗し、交代に至ったことがわかります。

一方今は、自民党と他党の支持率に大きな乖離があり、交代の機運が得られていないように見えます。

次は政党支持率の傾向分析。どういうときに上昇・下降しているのかを見ながら、政党がどういう層に支持されているのかがわかります。

こちらも朝日新聞のデータ。今の内閣も長い期間の中で、支持層を変化させていったことがわかります。

今の内閣は若年層の支持が高く、女性よりは男性の方が支持が高いのが特徴。

そして常にウォッチしている永江先生の、政党支持率とスマホ普及率の関係に関する考察。

ちなみに、今のところ自民党総裁の任期が2021年9月末までですが、党則を変更して4選もありうるのでは、という観測も出ている状況です。

日経BP総研2030展望 ビジネスを変える100のブルーオーシャン

日々の作業に追われていると、時々立ち位置を見失ってしまうことがありますよね。

時々は、これからの将来の変化がどうなるのかを考えたくなるんですよね。そういうときは、こういう予測系の本を読みます。

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内容が薄いというレビューがAmazonにありましたが、たしかにひとつ一つのテーマに対するボリュームが少ないかもしれません。ただ、その分いろんな観点が書いてあるので、それをヒントにどう捉えるかは自分次第という面もあると思います。個人的にはとても参考になりました。

 

実際に、読みながら「たしかにこういうトレンドは今後あるかも」というものや、「全然知らない領域もあるんだな」という認識が結構生まれたんですよね。あるいは、ひとつひとつの事例などは知っていても、改めて「市場」として定義されると、認識も変わります。

例えば、線虫を使ったがん検査などを見かけたことがありましたが、

線虫がん検査に関する世界最先端の線虫行動解析技術 – HIROTSUバイオサイエンス

本書では、それを「ペインレス迅速診断」という名称で市場が示されています。こうやっていろんな事象が市場やひとつのトレンドとして捉えられると、見え方も変わってくるものです。

あとは、医療適性化コンシェルジュとかスマートビルディングというのが、考え方として新鮮でした。

 

年末年始でこういう予測系の話は出てくるかもしれませんが、結構ネタは幅広く取り上げられているので、ネタ探しという点では良いと思います。

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最近買った靴が合わず、痛かったのでインソールを買いました。薄くて安いですが、これを入れるだけですごい快適に履けるようになりました。

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「時短の科学」を読んで労働集約型の仕事でどう働き方改革を実現するか考える

最近めっきりブログを書くことをさぼってました。アウトプットがおろそかになってる気がしてましたが、少し前に読んだ本について久しぶりに書きます。

 

日本のホワイトカラーは生産性が低いと言われています。さらに最近では、人手不足が様々な場所で顕在化しており、生産性改善を必須です。

ただ、「生産性を上げろ」と言われてもどこから始めたら良いかわからなくないですか?

本書を読むと、そのヒントが書かれています。特にサービス産業の時短を実現する取組例やアイデアが、実際の事例とともに書かれているのが本書の特徴です。

残業を減らす=売上が減るという恐怖との闘い

残業を減らすと繁忙期に対応できないのではないか?売上が減ってしまうのではないか?というリスクがよく議論になります。

しかし、そうではなく、残業削減と売上向上の両方を実現することも可能なんですね。そのためには、業務の無駄を取り除きつつ、本質的にどういうサービスを提供すべきかという考えをはっきりさせることが重要です。

サービス業の原理原則を知る

サービス業は、在庫がなく、また現場では多様で複雑な判断・対応が求められます。それを踏まえて、「リアルタイム・サービス法」と名付けられたアプローチが提案されています。

このリアルタイム・サービス法は、現場業務の「場所」「時間」「情報」をできる限りお客に近づけるという考え方です。「場所」とは、各業務を行う場所をお客に近づけること。「時間」とは、各業務を行うタイミングをお客に近づけること。「情報」とは、お客が求めていることと、提供するサービスの内容のギャップを埋めていくことです。

 

言われてみると当たり前なんですが、この考え方はいろんな場面で適用できるんじゃないかなと思いました。

シフト調整という負担

本書の中で、シフトの話が出てきます。

シフトが「平日用」と「週末用」の二パターンしかない会社もありました。見込み客数を考慮することもなく、ただ単にカレンダーの曜日を見てシフトを組んでいるだけです。「平日は客数が少ないので、少ない人数で対応しています」と話していましたが、実際には平日でも客数が多い日もある。天候や周辺の祭事などの影響で、週末でも客数が少ない日もあるはず。実際のお客の動きを従業員のシフトに反映させていないのです。  適切な人員配置やシフトを心がければ、最低限必要なだけの従業員数を現場に投入できるので、総労働時間は減り、生産性は上がります。そして人手不足を解消して、顧客満足も同時に上げられるのです。

 

効率的なシフトを作るというのは、無駄なリソースを省き、繁忙期の回転率を向上させる、全体最適の観点が必要になります。本書の中では、特に「ひまなときのシフトに注目すべき」という話があります。

忙しくないときに従業員の手が空いている時間、つまり「手待ち時間」をどう減らすかが、生産性向上につながるのです。経営者がコントロールすべきなのは、忙しい時間帯ではなく、ひまな日や時間帯なのです。

 

一方で、このシフト作成という領域は、もちろん業種・業界によって様々だと思いますが、管理職の膨大な作業負担になっています。あるいは職人芸みたいになっていて、経験が豊富な人はすぐにシフトを組んだり調整することができるが、そこに至るまでにすごい年数を要したりしています。

ここを自動化・効率化できるソリューションが普及していけば、調整業務の負担を減らしつつ、全体最適の観点からシフトを作ることができるようになるんじゃないでしょうか。

 

働き方改革っていうのも、科学的に考えていけば良いアプローチを作れるかもと思えました。

 

ちなみに、今「トヨトミの野望」を読んでます。今更かもしれないけど、面白い。

2019年度J2チームデータを可視化して勝つための要因を探ってみた

FC岐阜がJ3に降格する危機が迫っています。

明治安田生命J2リーグ第40節のアルビレックス新潟対FC岐阜戦が9日に行われ、ホームの新潟が2-0で勝利を収めた。この結果、FC岐阜はJ3自動降格圏の21位以下が確定している。
FC岐阜、J2で21位以下が確定。J3上位の成績次第で来季降格へ | フットボールチャンネルから引用

 

ずっと降格圏内を毎年さまよいながら、なんとかJ2に生き残ってきましたが、ついに本当のピンチのようです。

FC岐阜の年度別成績一覧 – Wikiwand

で、改めてJ2のクラブの状況を可視化してみながら、FC岐阜についても理解を深めようと思います。

ちなみに内容は、こちらの記事をほとんど踏襲してデータの取得や分析をしています。丸パクリさせていただきました。すみません。感謝です。pythonで自分でやりたい方は、こちらのソースコードを確認ください。

Pythonを使って2019年度J1チームデータを可視化してみた|Hana|note

改めて、J2順位の確認です。

順位チーム勝点試合得点失点得失点差
1柏レイソル78402398693237
2横浜FC734021109634023
3大宮アルディージャ734020137603822
4モンテディオ山形6740191011553619
4水戸ホーリーホック674018139553619
6徳島ヴォルティス6740191011624418
7ヴァンフォーレ甲府6540181111593920
8京都サンガF.C.6540181111574314
9ファジアーノ岡山654018111149454
10アルビレックス新潟5840161014685018
11ツエーゲン金沢5740141511554510
12V・ファーレン長崎5640175185658-2
13東京ヴェルディ52401313145356-3
14レノファ山口FC4740138195264-12
15FC琉球46401210185577-22
16ジェフユナイテッド千葉43401013174662-16
17愛媛FC4240126224558-13
18アビスパ福岡4140118213759-22
19FC町田ゼルビア4040816163455-21
20鹿児島ユナイテッドFC3740107233971-32
21栃木SC3440616183153-22
22FC岐阜304079243170-39

現在最下位です。残念。なんでこうなったのでしょうか。

勝点との関係

Jリーグが公開しているデータから、勝ち点に関係ある要因を可視化したいと思います。それがこちら。小さくてわかりづらいですが、勝ち点と正の相関が高いのが「得点」、負の相関が高いのが「失点」です。まあ、言われてみれば当然なのですが。

そして、得点と正の相関が高いのが「シュート」です。さらにシュートと「CK」はちょっと正の相関が高めです。

逆に、失点の負の相関が高いのが「被シュート」です。これも言われてみれば当然ですよね。

 

得点と失点の関係

次に得点と失点の関係を見てみましょう。

右側ほど得点数が多く、上側ほど失点数が多いです。右下ほど得点が多く失点が少ない、左上ほど得点が少なく失点が多いということです。FC岐阜は左上・・・。

ちなみに、得点がやや多めで失点が多い、失点が少なめだけど得点も少ないなど、各チームによって傾向が違います。ただ、簡単にいえば「得失点差」が重要なので、得点が多くても失点がそれ以上に多ければ負ける可能性が高く、その逆も然りです。勝ち点と得失点差の相関関係も0.9あります。

 

得点とシュート数の関係

得点とシュート数に正の相関があると書きましたが、これもチームによって違いがあります。それを示したのが以下のグラフです。

得点数が多い順に並べましたが、シュート数は違っています。決定率が違うということですね。それを実際に計算したのがこちら。

この2つのグラフをみるとわかるのですが、FC岐阜はシュート数が下から3番目ですが、決定率が下から2番目です・・・。

 

失点と被シュート数の関係

失点と被シュートも相関関係が高いのですが、これもグラフ化しました。

FC岐阜は失点数がリーグで上から3番目です。こちらも決定率を見てみましょう。

こちらはリーグ5番目です。

 

以上、簡単にJ2の傾向を可視化してみました。FC岐阜の絶望的な感じが可視化されて、やりながらつらかったですが・・・。

他にもFootball LABにもデータがあるようなので、いろいろ分析できると面白いかなと思いました。

データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB[フットボールラボ]

デジタルトランスフォーメーションを推進するために理解すべきこと

最近DX推進室の設立などをよく聞く。デジタルトランスフォーメーションとは何で、どう推進すべきなのかを理解したくて、調査レポートや書籍をあたってみました。

なぜデジタルトランスフォーメーションに取り組む必要はあるのか?

デジタルトランスフォーメーションはなぜ様々な企業に求められているのでしょうか。それは、この本を読むとわかりやすく書いてあります。

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特にスピーディーにどう取り組むか、という問題意識は、本書の最初のあたりが非常に有益でした。

例えば、こういう記述です。

技術が生まれてから多くの人がそれを利用するまでの時間が急速に短くなっているということです。たとえば、新しい技術が生まれてから 50%以上の人々が使うようになるまでの年数では、自動車は 80 年以上かかりましたが、テレビは 30 年、インターネットは 20 年未満となり、携帯電話は 10 年ほどと言われています。アップルの初代iPhoneが日本で発売されたのは2008年春ですが、スマートフォンの世帯保有率が 50%になるまでには5年しかかかっていません。

 

つまり、デジタルというのはスピードを高めるため、事業の変化やディスラプターの脅威が急速に高まるリスクがある、ということです。そして、スピードを高めるということは、内製に限界があるため、他社との連携や買収など、外部にも目を向ける必要があるということにもつながります。

新しい領域に投資を増やせるか?

無料で充実した内容になっているのは、経産省のDXレポートです。

DXレポート 〜IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

DXの必要性や問題点などがきれいにまとめられています。50ページを超えるボリュームなので、まず手始めに読むなら、このレポートが良いのではないでしょうか。

特に前半で語られている「既存システムのレガシー化」の問題は、日本企業においては根強く、その運用コストに比重が多く割かれ、チャレンジングな戦略的投資の割合が少ないというのは、デジタルトランスフォームを進めづらい一因になっていると感じます。

つまり、デジタルトランスフォーメーションというのは、既存システムの改革も必要になってくるんですね。コストを下げ、柔軟性のあるシステム環境を作り、新しい領域に投資する必要があるからです。

面白かったのは、組織的な構造やカルチャーにも踏み込んで記載されているところでした。例えばユーザー企業(発注 側)の役割・責任やスタンスについて、アメリカとの対比でこう表現されています。

それに対して、我が国の CIO は有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥 りがちである。しかも、ユーザ企業側の選定責任は不明確で、ベンダー企業側の責任となり がちである。要求仕様や指示に抜け漏れや曖昧さがあっても、トラブルが起きると我が国で はベンダー企業の責任とされることが多い。開発を主導するのが CIO の責務であることか ら CIO 責任という考え方が定着している米国とは異なっている。

このあたりは、日本市場特有の、昔からある構造的な問題だと思います。

DXは結局、組織改革の問題

デジタルトランスフォーメーションの本をもう一冊読んだのですが、いずれもデジタルトランスフォーメーションを組織改革の問題ととらえ、その組織改革をどう実現するのか、という点が語られています。

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デジタルトランスフォーメーションは各業界や企業によって実施する内容は変わりますが、全般的に言えるのは、組織のマインドや仕組みを変えていく必要がある、ということです。しかも、大掛かりに。

一般的に言われる「業務改革」とデジタルトランスフォーメーションの違いについても本書では書かれており、大きく変えていくためには、その重要性や大変さを経営層が理解し、その環境を全社的に構築していく重要性が述べられています。

デジタルトランスフォーメーションというのは、組織改革なのです。

ちなみに、日本版解説でリクルートの事例が出てきていたのが印象的でした。リクルートのデジタルトランスフォーメーションが、どのように行われているのかは本書が参考になると思います。

リクルートの手法から学ぶ新規事業の作り方・育て方

 

「すべての企業はテクノロジー企業になる」という言葉もあります。テクノロジーの活用がいろんな企業で進みますように。

今日はこのへんで。

【書評】課題解決とサービス実装のためのAIプロジェクト実践読本

「AI開発がPoCから進まない」など言われることが多いですが、どうしてそうやって失敗してしまったり、実用化に至らないのでしょうか。

それには、AI開発特有の難しさがあるのですが、まだまだその知識や方法論が十分に確立されているわけではありません。しかし、それが体系的に整理されているのがこちらの本になります。

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AI開発のバイブルといって良いのでは

内容が超具体的。AI開発の難しさ、特有さが丁寧に書かれています。著者は株式会社オプティムでの実際のAI開発経験から書かれているので、説得力が違います。

また、企画検討から運用化、契約関係まで、検討しなければいけないこと、注意しなければいけないことが幅広く書かれているので、AI開発に関わる人はみんなバイブル的に読んだ方が良いです。

説明や注意点だけでなく、フレームワークや一覧表がちゃんと整理されているので、実務にもすぐに活用できる点もありがたいです。

AI業界はこれから成熟していく

AI自体はガートナーのハイプサイクル上は幻滅期に入っており、「何でもできる」「AIが今の業務や社会を大きく変える」といった漠然とした期待は失われつつあります。

一方でAIを使った新しいビジネスも着実に増えてきており、現実的に「どこにどうAIを使うか」を見極めることが重要になってきていると言えます。そういうときに、AIの特性やプロジェクトの進め方が本書のように整理されているのは、とても重要です。

今のAI業界は、一時のIT業界と似ていると個人的には思っていて、新しい技術が普及しようとしているときには、期待と幻滅が繰り返されたり、業界慣習や法整備、人材育成などが進みながら、業界が成熟していきます。

ITの場合も、システム開発の方法論が確立されたり、プロジェクトマネジメント手法が普及したり、IT技術者の分類・定義づけなどが業界全体で行われていきました。

AIも国や任意団体がガイドラインを整備したり、ディープラーニング検定が作られるなど、業界全体の成熟化が進んでいます。

AI系のガイドラインを調べてみた

ということで、よりリアリティを持って、AIは今後様々なビジネスに普及していくことでしょう。そのときに、こういうプロジェクト特性を知っておくことは、発注者・受注者ともに重要なことだと思います。

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