AIの開発が盛んになってきていますが、こうなると業界自体が標準化されて、ルールが形成されていくのが、どこの業界でも常です。
いろんなプレーヤーが参加してきたときに、発注者、受注者ともにトラブルを回避して、win-winになるためには、過去の知見などをまとめたものが有効です。
どんなガイドラインを誰が出しているのか、調べてみました。
戦略系
経団連:AI活用戦略
経団連が発表している、AI 活用を戦略的に進めるためのガイドライン。現在のAIに対する理解促進から始まり、世界の中で日本企業がどのようにAIを用いた勝ち筋を作っていくかが書かれています。経営におけるAIの位置づけを理解するためには、良いのではないでしょうか。
個人的に良いと思うのは、「AI-Ready化ガイドライン」ですね。AI活用に関して、組織の成熟度のステップが定義されていて、自社がどういう位置にいるのかを考える指標になるんじゃないでしょうか。
所感としては、進んでいる企業はレベル2からレベル3へ移行しつつあるな、という印象です。
開発系
総務省:AI利活用ガイドライン
総務省|AIネットワーク社会推進会議 報告書2019(案)に関する意見募集
総務省のAIネットワーク社会推進会議で検討されている、AIの利活用原則10個をまとめたものです。利活用する上で、どういうリスクがあるのか、実装する上での役割分担などが書かれており、開発を具体的に進める前の全体整理で役立つでしょう。
QA4AI:AIプロダクト品質保証ガイドライン
AI プロダクト品質保証コンソーシアム(QA4AI)という団体が発表している、品質保証ガイドライン。QA4AIというのは、このような主旨で発足されたコンソーシアムです。
そこで我々は、AIプロダクトの品質保証に関する調査・体系化、適用支援・応用、研究開発を推進するとともに、AIプロダクトの品質に対する適切な理解を社会に啓発する活動を行うコンソーシアムを産学で設立することとする。
Concept – QA4AIから引用
これまでもシステム開発系のガイドラインは作成されてきましたが、AIは帰納的アプローチであったり、確率的ふるまいをするなど、従来のシステム開発と特性が異なる点が多々あります。それを踏まえて、どのように「AIの品質」を考えるかを整理したのがこのガイドラインです。
大きく5つのカテゴリーに分けて、AI の品質を評価する方法がまとめられています。
契約系
経済産業省:AI・データの利用に関する契約ガイドライン
「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」を策定しました (METI/経済産業省)
AIの場合、データの収集・利用・創出などが重要になってくるのですが、従来のシステム開発とは異なり、これらのデータの契約上の取り扱いや、データとプログラムの契約上の整理が必要になってきます。それをまとめたのがこのガイドラインです。全体編、データ編、AI編と分かれて構成されており、充実した内容になっています。契約を考える上では、これらの内容を読んでおくと良いんじゃないでしょうか。
ということで、新しい領域ではありますが、このようなガイドラインが各種登場してきているということは、みんな取り組みが進んでいるし、社会的なルールの整理が必要になってきているという証拠とも思えます。