2019年度J2チームデータを可視化して勝つための要因を探ってみた

FC岐阜がJ3に降格する危機が迫っています。

明治安田生命J2リーグ第40節のアルビレックス新潟対FC岐阜戦が9日に行われ、ホームの新潟が2-0で勝利を収めた。この結果、FC岐阜はJ3自動降格圏の21位以下が確定している。
FC岐阜、J2で21位以下が確定。J3上位の成績次第で来季降格へ | フットボールチャンネルから引用

 

ずっと降格圏内を毎年さまよいながら、なんとかJ2に生き残ってきましたが、ついに本当のピンチのようです。

FC岐阜の年度別成績一覧 – Wikiwand

で、改めてJ2のクラブの状況を可視化してみながら、FC岐阜についても理解を深めようと思います。

ちなみに内容は、こちらの記事をほとんど踏襲してデータの取得や分析をしています。丸パクリさせていただきました。すみません。感謝です。pythonで自分でやりたい方は、こちらのソースコードを確認ください。

Pythonを使って2019年度J1チームデータを可視化してみた|Hana|note

改めて、J2順位の確認です。

順位チーム勝点試合得点失点得失点差
1柏レイソル78402398693237
2横浜FC734021109634023
3大宮アルディージャ734020137603822
4モンテディオ山形6740191011553619
4水戸ホーリーホック674018139553619
6徳島ヴォルティス6740191011624418
7ヴァンフォーレ甲府6540181111593920
8京都サンガF.C.6540181111574314
9ファジアーノ岡山654018111149454
10アルビレックス新潟5840161014685018
11ツエーゲン金沢5740141511554510
12V・ファーレン長崎5640175185658-2
13東京ヴェルディ52401313145356-3
14レノファ山口FC4740138195264-12
15FC琉球46401210185577-22
16ジェフユナイテッド千葉43401013174662-16
17愛媛FC4240126224558-13
18アビスパ福岡4140118213759-22
19FC町田ゼルビア4040816163455-21
20鹿児島ユナイテッドFC3740107233971-32
21栃木SC3440616183153-22
22FC岐阜304079243170-39

現在最下位です。残念。なんでこうなったのでしょうか。

勝点との関係

Jリーグが公開しているデータから、勝ち点に関係ある要因を可視化したいと思います。それがこちら。小さくてわかりづらいですが、勝ち点と正の相関が高いのが「得点」、負の相関が高いのが「失点」です。まあ、言われてみれば当然なのですが。

そして、得点と正の相関が高いのが「シュート」です。さらにシュートと「CK」はちょっと正の相関が高めです。

逆に、失点の負の相関が高いのが「被シュート」です。これも言われてみれば当然ですよね。

 

得点と失点の関係

次に得点と失点の関係を見てみましょう。

右側ほど得点数が多く、上側ほど失点数が多いです。右下ほど得点が多く失点が少ない、左上ほど得点が少なく失点が多いということです。FC岐阜は左上・・・。

ちなみに、得点がやや多めで失点が多い、失点が少なめだけど得点も少ないなど、各チームによって傾向が違います。ただ、簡単にいえば「得失点差」が重要なので、得点が多くても失点がそれ以上に多ければ負ける可能性が高く、その逆も然りです。勝ち点と得失点差の相関関係も0.9あります。

 

得点とシュート数の関係

得点とシュート数に正の相関があると書きましたが、これもチームによって違いがあります。それを示したのが以下のグラフです。

得点数が多い順に並べましたが、シュート数は違っています。決定率が違うということですね。それを実際に計算したのがこちら。

この2つのグラフをみるとわかるのですが、FC岐阜はシュート数が下から3番目ですが、決定率が下から2番目です・・・。

 

失点と被シュート数の関係

失点と被シュートも相関関係が高いのですが、これもグラフ化しました。

FC岐阜は失点数がリーグで上から3番目です。こちらも決定率を見てみましょう。

こちらはリーグ5番目です。

 

以上、簡単にJ2の傾向を可視化してみました。FC岐阜の絶望的な感じが可視化されて、やりながらつらかったですが・・・。

他にもFootball LABにもデータがあるようなので、いろいろ分析できると面白いかなと思いました。

データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB[フットボールラボ]

「アナリシスアイ」を読んでサッカー戦術の読み解き方を知る

いつ頃からか、サッカーの戦術を分析する記事を読むのが楽しくなりました。

サッカー戦術分析との出会い

きっかけは、間違いなくこちらのブログですね。

pal-9999のサッカーレポート

当時の日本代表の試合が、どういう戦術で、一体何が起こっていたのかが詳しく解説されていて、とても新鮮でした。最近は更新されていないのが、個人的には寂しい限りです。

あと、ロシアワールドカップの前後については、この二冊が非常に楽しかったです。

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一冊目は、ハリルホジッチが当時どういう戦略を持っていたのか、世界のサッカートレンドや日本の立ち位置を含め、戦術面から紐解いたものでした。ハリルホジッチの人間性などはわかりませんが、戦術的にはメディアから知らない奥深いレベルの構築、実行があり、あのままロシアワールドカップを迎えていたらどうだっただろう、と思わせてくれるものでした。

二冊目は、実際に西野ジャパンで挑んだ結果をレビューしたものでした。各試合でそれぞれ何が起こっていたのかを解説してくれていました。

戦術はどう読み解くか

そして最近、サッカー戦術の読み解き方を詳述してくれるこちらの本を読みました。

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戦術を実際に分析するときに、どういう順番で、どのような観点で分析するのかを、サッカーブログを運営している著者が教えてくれるものです。

もともとはこちらのブログですね。

サッカーの面白い戦術分析を心がけます

 

サッカー放送だと最初にフォーメーションが紹介されたりしますが、それがどういう意味を持つのか、というのも読み解き方を教えてくれます。

フットボリスタという月刊誌も、戦術解説が多く、おすすめです。

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自分では見ていてわからないことを、ちゃんと分析して言語化できるのは、うらやましいなーといつも思います。

スポーツアナリティクスの進化

ここ最近、スポーツアナリティクスは進歩が大きく、いろんなスポーツで発展しています。

スポーツアナリストという役割も注目されています。

What’s Sports Analyst?|一般社団法人日本スポーツアナリスト協会(JSAA)

サッカーもグラウディオラが、これまでのサッカー理論をうまく言語化してことで急速に戦術が発展したとも言われており、データ化や言語化によって、アナリティクスは進化するということでしょう。

今後は、もっといろんなデータの収集や分析方法が生み出されていくことでしょう。ということで、これから様々なデータが取得されて分析が進むでしょうし、データだけでなく戦略やフレームも生み出され、言語化されることで、定性的な戦略も進化していくに違いありません。

サッカー戦術、楽しい。

ロシアW杯サッカー日本代表を戦略から読み解く「サムライブルーの勝利と敗北」

ロシアワールドカップで、日本代表はベスト16で終わりました。目標としていたベスト8には届きませんでしたが、W杯が始まる前の期待の低さを思うと、非常に楽しませてもらいました。言ってはなんですが、ベルギー戦の最後のカウンターは、とても悲劇的なドラマのようでした。

で、そんな熱狂したワールドカップだったわけですが、日本代表の各試合がどのような戦略の上で展開されていたのかを分析した「サムライブルーの勝利と敗北」を読みました。

ちなみに、W杯前に発売された「砕かれたハリルホジッチ・プラン」も読んでいたのですが、合わせて読むと、ハリルホジッチ解任からW杯本戦までの流れがよくわかります。

改めてハリルホジッチとは何だったのか、ワールドカップは終わりましたが、これからの日本代表はどのような課題があるのかは、この2冊を読んで理解が深まりました。

 

高度化するサッカー戦術と遅れる日本

サッカーの戦術は非常に高度化しており、日本サッカーは欧州に比べて遅れていると言われています。Jリーグが発足してアジアで日本のサッカーが躍進していき、海外で活躍する日本人も増えてきましたが、それでも相対的には逆に世界との差が広がっていると言う意見もあるくらいです。

サッカーの世界では、モウリーニョやグアルディオラのような名将が登場してから、戦略・戦術の複雑度が増しており、それらの戦略や戦術が言語化、体系化されています。

本書を読むと、日本サッカーはどのような点が世界のトレンドから遅れており、ハリルホジッチはどうそのギャップを埋めようとしていたのかがわかります。

ただ、ギャップの根幹が日本サッカーの思想的なところから始まっているという分析を読んで、結構根が深くて、簡単には変われないのかもな、と思いましたが。

 

サッカーもビジネスも戦略を知ると面白い

なんでこんなにサッカーの戦略が面白いのか、自分でもよくわからずしばらく考えていましたが、普段自分が考えてるようなビジネス戦略と結構共通するところが多いんですよね。

例えば、最近のサッカー理論では様々な考え方やアプローチが言語化されて発展しています。本書でもハーフスペースや5レーン理論など、テレビなどでは聞きなれないワードが登場します。

経営においても同じで、様々な複雑な事象ある捉え方によって体系的に整理した知識が、初めて人々によって共有化されます。共有化された知識は様々な人に広がり、どんな場面で実行されることで経営が高度化されていきます。

それぞれ一人一人が努力も重要ですが、環境や自分たちの戦力に合わせて戦略を構築し、相手に勝利するという点は同じ気がします。

 

僕はこれほど的確にサッカーを分析できる力を持っていませんが、こうやって丁寧に解説してくれると、サッカーの面白さが500倍になること間違いなしです。

できれば、この解説を動画でやって欲しいなー。

W杯開催中は、他にもたくさん解説記事を読みました。フットボリスタが面白かったですね。

失われたハリルホジッチ・プラン。 「エリア戦略」でみる隠れた一貫性 | footballista
なぜ日本は数的優位で苦しんだ?コロンビア戦の謎を林舞輝が解く | footballista
個で上回っていたセネガルの誤算。日本のビルドアップの高度な工夫 | footballista

2018年FIFAワールドカップ、日本対コロンビアのレビュー「大迫半端無いって」 – pal-9999のサッカーレポート
2018年FIFAワールドカップ、日本対セネガルのレビュー「完璧な選手なんていません」 – pal-9999のサッカーレポート
2018年FIFAワールドカップ、日本対ベルギーのレビュー「日本が史上最もベスト8に近づいた日」 – pal-9999のサッカーレポート

サンフレッチェ広島の新スタジアム建設問題が発生している理由を説明するよ

サンフレッチェ広島が新スタジアム建設の問題を抱えているって知っていましたか?僕は今日SNSから、この動画が流れてきて知りました。

広島のスタジアム問題に総統閣下がお怒りです。シェアはご自由に!

嶋田 益視さんの投稿 2016年4月4日

 

これまでちゃんと知らなかったのですが、結構複雑な状況になっているようですね。なんで総統閣下がお怒りなのか、僕の理解で整理してみます。

 

赤字を生み出す不便な今のスタジアム

まず、サンフレッチェ広島といえば、2012年・2013年の2連覇を達成し、2ステージ制になった2015年には2ステージ目を制し、最終的には年間優勝を飾っています。それぐらい競合チームです。

そして、現在サンフレッチェがメインにしているスタジアムが「エディオンスタジアム広島(広島広域公園陸上競技場)」です。それはこんな状況だそうです。

広島広域公園陸上競技場は1992年アジア大会のメインスタジアムとして建設された陸上競技場であり、ピッチとの間に8レーンの陸上トラックがあるため臨場感に乏しい。公共交通機関はアストラムラインというモノレールが通っているが、広島駅から最寄り駅はゆうに1時間はかかる。市内・県内・県外からのアクセスは貧弱で、大半の(約6割強)はマイカーを利用するが、専用駐車場は存在しない。
さらに周囲には住宅用地として開発された臨時駐車場が用意されるものの、用地は年々スタジアムから遠ざかり、近年では臨時駐車場とスタジアムを結ぶためのシャトルバスが必須。その経費は1試合数百万円かかり、クラブの経営を圧迫している。こうした状況で、損益分岐点とされる1万5000人の集客を毎試合達成するのは至難の業だ。

広島にサッカースタジアムが建設されないのは、なぜなのか? 苦闘の歴史を詳細に振り返る | サッカーキング

確かに、財務状況をみると、J1に上がって高い順位をとるようになってから売上が伸びて利益が出るようになっていますが、2010年以前は赤字かギリギリの黒字をさまよってるような感じでした。

で、2003年の市長選の実質的な公約になってから、盛り上がっては絞りんだりを繰り返しきたようです。そして、2012年にリーグ制覇したのを契機に署名運動が行われ、最終的に県・市・財界(商工会議所)で「広島サッカースタジアム検討協議会」が結成され、新スタジアム建設に向けた検討が始まりました。

 

建設候補地が2つに絞りこまれたが・・・・

検討協議会が建設候補地を2つに絞り込みました。それが「旧広島市民球場跡地」と「広島みなと公園(宇品)」です。

それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく整理してる記事がありました・

●球場跡地
<メリット>
1)市の中心部で交通インフラに優れている
2)大きな既存商業エリアに近接し相乗効果を得られる
3)原爆ドームの正面に立地し、スポーツを通じて平和をアピールするというコンセプトが明確に打ち出せる

<デメリット>
1)面積範囲が限られている上に法令的な高さ制限もあるため、収容人員に制限がでる
2)都市公園法の適用範囲となり、店舗の併設など用途の汎用性に制限がでる
3)市の中心部の為、他の用途での活用の希望もあり調整が必要。特に跡地委員会の答申を受けて市が出した「緑地広場+文化施設」との比較で採否が判断されることになる。

●宇品みなと公園
<メリット>
1)面積的な余裕があり、様々な用途との複合化、大型化のポテンシャルがある
2)「港湾地区の活性化」の起爆剤という理由がつけやすい
3)土地は県の持ち物であり、県と市の負担の分散が事業としてやりやすくなる

<デメリット>
1)公共交通機関や道路状況としてのインフラが弱く、試合時の混乱が予想される
2)近隣の港湾業者が交通渋滞リスクなどに対し強い誘致反対の意思を示しており、調整の難航が予想される
3)国の指定する防災公園として補助金を受けて防災施設を整備しているため、スタジアムを誘致するには防災施設の移転か補助金の返還等が必要

目を疑うほど、お粗末な会議体。広島にサッカースタジアムが建設されないのはなぜなのか?【後編】 #sanfrecce #jleague(2ページ目) – スポーツマーケティング・ナレッジ

そして、今年の3月末までに県・市・財界が結論を出す予定になっていました。

その過程で、県・市・財界は「広島みなと公園(宇品)」が優位と公式に表明していました。一方、サンフレッチェ広島は「旧広島市民球場跡地」を推薦しており、独自案を提案するとともに、「宇品にスタジアムが作られる場合は、サンフレッチェ広島は利用しない」とまで明言しました。これは、宇品に作った方が建設にお金がかかり、サンフレッチェに必要な負債が大きく、赤字経営が間違いないからということのようです。

この対立が今の問題になっています。

広島新スタ問題、県・市が見解を表明。クラブの方針に反論で対立関係が鮮明に | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

サンフレッチェ広島の提案は、動画で公開されています。この動画をみると、状況がよくわかります。

また、宇品にスタジアムが建設された場合の使用料の試算もサンフレッチェの公式サイトで公表されています。

サンフレNEWS | サンフレッチェ広島 | SANFRECCE HIROSHIMA

 

サッカースタジアムのトレンド

サッカーとして盛り上がっているのがブンデスリーガで、非常に経営上も優秀になっています。そのひとつの要因として挙げられたのが「スタジアムの整備」です。観客を多く収容できるようにして収入を上げる、設備を充実したり見やすいようにして満足度を上げる、移動に必要な公共交通機関を無料にしたり近いところに建設することで多くの人が来やすいようにするというのが、スタジアムのポイントです。

ファンを引き付けるフットボール以外の魅力…ブンデスリーガ熱狂の理由とは | サッカーキング

これがサッカースタジアムのトレンドであり、サンフレッチェもそれを念頭に「旧広島市民球場跡地」を望んでいるようです。こちらの方が収容人数は小さくなるようですが、それでも観客の満足度向上や稼働率の上昇を期待しているのだと思われます。

最近だと、ガンバのサッカー専用スタジアムが話題になりましたね。

 

最終的に今どうなっているのかというと、3/29に県・市・商工会議所が「建設候補地の決定延期」を発表し、一旦白紙扱いとなり、今後関係者で再度議論していくという流れのようです。

広島新スタ、建設地の選定を延期へ。自治体希望の候補地案は一時白紙に | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

 

こういう経緯を理解すると、冒頭の動画で総統閣下がお怒りな理由もわかってきましたね!

Jリーグは2ステージ制じゃなくてもいいけど、プレーオフが必要

Old School Football
photo credit: Oddgeir Hvidsten via photopin cc

Jリーグ2部制+プレーオフ導入を決定して、いろいろ議論を呼びました。少し前に、なぜ2ステージ制にするのか、という記事をこのブログでも書いています。

Jリーグはなぜ2ステージ制に移行するのか? | Synapse Diary

Jリーグでは、プレーオフ制度の欠陥が指摘されていましたが、いよいよ2部制+プレーオフの内容が固まってきたようです。

年間13位が優勝することも。これでいいのかJリーグの新ポストシーズン | フットボールチャンネル

「わかりづらい」「シンプルじゃない」「ヨーロッパなど主要リーグは1リーグ制」などいろいろ議論がありますが、プレーオフを導入するシンプルな理由として、「プレーオフは儲かる」という点があると思います。

 

ヨーロッパのチャンピオンズリーグはとても儲かる

ヨーロッパでは「チャンピオンズリーグ」という存在が大きいです。それは、この本を読んで強く思いました。

この本では、チャンピオンズリーグの発展の歴史が描かれているのですが、サッカー最高峰と言われる通り、有名クラブ・有名選手が一同に会して戦う場になっており、興行的にも出場するだけで非常に大きな収益を得られます。

Wikipediaによると、優勝クラブは賞金合計で3600万ユーロぐらいもらえるそうです。さらに、国の広告やテレビ放映権料の分配が加わります。

UEFAチャンピオンズリーグ – Wikipedia

各サッカークラブの収益金額をみてみると、一番稼いでいるレアル・マドリーで6.5億ドル。10位のリヴァプールで約3億ドルです。

スポーツチームの資産価値順リスト – Wikipedia

つまり、1位のレアル・マドリーですらCLで1位になれば年間収益の5%ぐらいを稼ぐことができるし、10位のリバプールになると10%以上です。それ以下のチームはいかほどクラブにお金をもたらすことができるんでしょう、ということです。

なので、ヨーロッパの主要リーグは事実上、自国で1リーグ制+チャンピオンズリーグによるプレーオフ、を行っているということです。

ちなみになんですが、今年の夏に本田圭佑の移籍話が出て見送りになりましたが、これにもCLの時期を控えていたからではないか、という話もあります。まあ、ここらへんは憶測の域を出ないわけですが。

CSKAモスクワが本田圭佑を移籍させないのも当然だと思えてしまうUEFAチャンピオンズリーグの賞金額事情 | サッカーコラム速報でろブロ

 

JリーグにおけるACLの位置づけ

ヨーロッパのチャンピオンズリーグと同じような位置にあるのが、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)です。アジア版ですね。いろいろ理由はあると言われていますが、ACLは儲からないし、過密日程で選手が疲弊する、というのでJリーグからみればメリットがほとんどない気がします。

今年出場するのはリーグ優勝したサンフレッチェ広島、2位ベガルタ仙台、3位浦和レッズ、そして天皇杯を制した柏レイソル。この4クラブに対し、JFAとJリーグはまず財政面でアウェー遠征の渡航費に対する支援を決定した。昨年までの財政支援(渡航費の全額負担)は準々決勝以降にとどまっていたが、今年はグループリーグ(以下GL)から決勝トーナメント1回戦までJリーグがその80%を負担することになった。準々決勝以降は50%となるが、それとは別枠でJFAが強化費として勝ち上がるたびにボーナスを支払うという。クラブ側にかかる財政面の負担を軽減することで、資金を別の部分に回せるようにしたのだ。さらに言えば、賞金を含めて勝てば獲得できる収益を増やすことでクラブのモチベーションを上げる狙いもあるようだ。

二宮寿朗「ACLを奪還せよ!」 | FOOTBALL STANDARD | 現代スポーツ | 現代ビジネス [講談社]

これを読む限り、資金面でメリットになりうるほど大きくはない。ACLの賞金に関するソースがこれぐらいしか見当たらなかったのですが、優勝賞金が1.2億円ぐらいのようです。

ACLの賞金が安すぎwww こりゃやる気も出ないわなwww – サカ豚ニュース

ちなみに、Jリーグは2012年でみると浦和レッズの営業収益が53億円ぐらいです。だいたいJ1常連チームは30~40億円ぐらい。1.2億円ぐらいだとすると、営業収益の3%ぐらいでしょうか。

ただ、Jリーグも手をこまねいているわけではなくて、遠征費用などを補助することで、結果的に賞金総額を上げてJリーグクラブのモチベーションを上げようとしているようです。

【ACL奪還へ!総額最大1,2億円ボーナス・でも気になる大気汚染(ACLグループマッチスケジュール詳細)】 | GO’S Heaven’s Doorsoccer | スポーツナビ+

 

というわけで、ACLがドル箱であれば良いのですが、欧州CLと同じとはいかないようです。そうなると、結局「自分たちで国内でプレーオフを作るしかないのでは?」というのが今日の結論です。

なので、2ステージ制が良いかと言われると確かに気持ち悪いのですが、野球もセ・パ分かれていてプレーオフをやっているので、同じフォーマットならどうか、とか、ひとまずプレーオフを国内で行う必要がある、ということですね。

今日はこのへんで。

アビスパ福岡の経営難から、Jリーグのチーム数を考える

少しタイムリーではなくなってしまいましたが、J2クラブのアビスパ福岡が債務超過という報道が流れました。

一部報道についてのお知らせ|アビスパ福岡 公式サイト
[scshot url=”http://www.avispa.co.jp/indexbox/info/info201310_04.html”]

内容としては、以下の通りです。

アビスパがJリーグ退会の危機に陥った。クラブ関係者によると、運営資金約5000万円が不足。資金調達のめどが立たず、12月にも社員や選手の給与の遅配が起きる恐れがある。  今季は営業収入約9億6000万円で予算を組んだが、9月末現在で約8億2000万円にとどまっているという。

アビスパ危機 経営難 資金5000万円不足 Jリーグ退会も – 西日本新聞

ということで、今日はアビスパの経営難と今後のJリーグについて、です。

アビスパ福岡のこれまでの収益状況

アビスパの過去の収入状況はこんな感じでした。

全体として右肩下がりになっています。2006年と2011年が上がっているのは、J1に昇格したからだと思います。J1になるとなぜ収入が増えるかといえば、対戦相手が変わることと、Jリーグからの協賛金が増えるからです。J1だと有名選手が来て来場者が増えたり、相手がアウェイでもサポーターが来てくれるからですね。

そして、収入の低下に伴ってコスト削減もしていましたが、それに追いつかず赤字になることも発生していました。観客動員数も、こんな感じで減少してきています。

というわけで、観客が減る、スポンサーからのお金が減る、コスト削減でも間に合わない、というスパイラルで、資金繰りに困ったという状況です。

ただ、今回の問題は一時的な資金繰りに困りそうで、給料などの支払いが遅れる、ということだと思われます。なので、経常的な債務超過や破綻、というわけではないので、Jリーグ自体も今は静観ということのようです。

クラブライセンス制度からアビスパ福岡経営危機を読み解く | 新:アビスパ福岡ファンブログ (非公式) #avispa

Jリーグのチーム数は妥当かどうか

今回のアビスパの件で考えてしまったのは、最近話題になっている2ステージ制と根は同じで、Jリーグそのものの関心が薄れ、スポーツ産業として流れるお金が少なくなっているということです。

九州でいえば、福岡・鳥栖・北九州・大分・熊本と、J1・J2合わせて5チームあります。これだけチーム数があると、サポーターもスポンサーも分散します。ホームタウンが近いほど親近感も増しますし、いろんな地域にあればそれだけファン層を掘り起こせる、という考え方もあると思いますが、一クラブあたりが小さくなってしまい、選手年俸への投入やスタジアムの整備など、クラブ運営や戦力増強に必要な資金が、ひとつひとつ小さくなって確保できなくなってしまうリスクもあるんじゃないでしょうか。

JリーグがJ3を創設してチーム数を増やすのが悪いとは思わないですが、市場から引き寄せられる金額のパイとの関係から、チーム数など「プロサッカー」というスポーツ産業の規模は決まってくると思うわけです。そうなると、数を増やし続けること、今のチーム数が本当に良いのだろうか、という疑問は感じます。

プレミアリーグやブンデスリーガなど、世界のトップリーグに比べると1/3程度です。しかしそれぞれの一部リーグのチーム数は、ブンデスリーガは18チーム、プレミアリーグは20チームで、Jリーグとほとんど変わりません。

各国サッカーリーグの売上高合計推移

なかなか愛着があるとチーム数を減らすことは難しくなりそうですが、既にJリーグでもJ1の上に新しいリーグを作る、というプレミアリーグ構想も議論には出ているそうなので、経営が困難なチームが続出すれば、2ステージ制+ポストシーズン以外にも、制度変更を導入する可能性が上がってくるんじゃないでしょうか。

Jリーグ改革の切り札、日本版プレミアリーグ構想とは?|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|集英社雑誌記事

 

チャンピオンズリーグは、いくつかのフォーマット変更を経て、今の盛り上がりを実現しています。お金やチーム数、対戦方式などを含め、リーグを盛り上げていくための制度設計は、非常に重要なポイントです。

サッカー日本代表が強くなるための条件

そろそろサッカー日本代表のヨーロッパ遠征が始まりますね。ブラジルワールドカップも1年切っていますし。

欧州遠征の日本代表メンバーが発表! | フットボールチャンネル

で、今日はサッカーの日本代表がどうやったらもっと強くなれるか、という話です。

日本のFIFAランキングは?

そもそもFIFAランキングは算出方法が決まっていて、試合の勝ち点、試合の重要度、対戦相手の強さなどに基づきポイントが算出される方式です。

FIFAランキング – Wikipedia

そして、日本の現在のFIFAランキングは42位で、AFC(アジアサッカー連盟)では1番です。アジアでは敵なし、というのはここでもわかります。

The FIFA/Coca-Cola World Ranking – Ranking Table – FIFA.com

ただ、世界でみれば上位が40チーム以上あるわけです。顔ぶれをみると、ほとんどヨーロッパと南米で占められています。それが、今の日本代表が置かれている現状です。

サッカー日本代表が強くなる要素

「ジャパンはなぜ負けるのか」という、サッカーを経済学の目線から紐解いた本の中で、代表チームが強くなる要因は3つで説明できると書かれています。それは「人口・所得・経験」です。

ひとつつけ加えると、私たちの予測は統計学的にみて非常に信頼できる。この3要素が重要だということにほとんど疑いはなく、3要素がもたらす効果にもほとんど疑いはない。この3要素があれば、ワールドカップのグループリーグの結果はたいてい予測がつく。

これを順番に見ていきましょう。

人口

人口が多ければ、有望な選手が見つかり、層が厚くなるということでしょう。

日本の人口は、世界でみれば10位です。好条件です。

国の人口順リスト – Wikipedia

そして、サッカーの競技人口は90万人ぐらいだそうです。

日本のサッカー人口(JFA登録数)はどのくらい?|お問い合わせ|日本サッカー協会

ただ、この競技人口の定義は結構微妙だったりするので、あくまで参考で。750万人というデータもあるようです。

スポーツの競技人口ってどんなのが多いの? | マイナビニュース

所得

所得についても、多いと設備投資などにお金をかけられるようになりますので、サッカーの振興に有利になります。

日本は、GDPでみれば世界第3位です。そして、一人あたりGDPでみると世界で13位になっています。こちらも好条件だといえるでしょう。

[世] 世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング

経験

結局、一番の問題はここです。Jリーグが創設されて20周年ですが、世界的にみればとても若いリーグです。スペインのリーガエスパニューラは、プロリーグの創設が1928年だから、85年ぐらいの歴史があります。

リーガ・エスパニョーラ – Wikipedia

これまでの国際マッチの数も少ないですし、強豪国とも戦いも、他の代表チームに比べれば経験値として低いわけです。ここが、日本代表が欠けているところでもあり、伸びしろとも言えます。

日本はサッカーの中心地から遠いのが不利

サッカーの中心地は、昔も今もヨーロッパです。ヨーロッパの中でも今はブンデスリーガが一番勢いがありそうですが、とにかくヨーロッパに人は集まり、情報も集まります。これは、都市に人・資本・情報が集積するのと同じです。

戦略クロニクル」を読むとわかりますが、サッカーの歴史はヨーロッパが中心で、そこに南米が加わる形で発展してきています。

そう考えると、日本は物理的に距離があるという点が不利になります。そういう意味では、たくさんの選手がヨーロッパに移籍するのは、代表サッカーへの還元という意味では非常に良いのです。ただ、それはこの間書いた通り、Jリーグにとっては選手流出で人気が低迷する、というジレンマなわけですが。

Jリーグはなぜ2ステージ制に移行するのか? | Synapse Diary

Jリーグの打開策としては、先進的なサッカー国から外国人を招聘して、経験や知識を吸収するとともに、著名で客を呼べる選手であれば観客も増える、という効果を狙うと良いと思うのですが、なにぶん収益が低迷しており、「卵が先か、鶏が先か」という状況になっているように思います。

まとめ

日本代表に不足しているのは、海外経験、競合チームとの対戦経験です。今回ヨーロッパ遠征などもそうですし、個人レベルでもヨーロッパで競合選手と混じってプレイすることで、日本代表のレベルは上昇していくのだと思います。

というわけで、個人的にはセレッソの柿谷がヨーロッパに移籍することを願っていたりします。

Jリーグはなぜ2ステージ制に移行するのか?

Jリーグが2ステージ制に移行することが発表されました。最初内容を見たときは、意味がわからないものだったのですが、いろいろ事情はあるようです。

 

収入の低下と、その背景にあるJリーグの関心低下

Jリーグ戦略会議の旗振り役である、中西大介競技・事業統括本部長のインタビューが要点がまとまっていてわかりやすいと思います。そこから引用すると、Jリーグが認識している問題点は3つあったと述べられています。

その前提として、戦略会議が認識している現状の問題点について、お話したいと思います。大きく3つありました。1つ目は、日本代表とJリーグのサイクルがアンバランスになり、パラドックス化しているということ。2つ目は、一般の人々の視線がなかなかJリーグに向かっていかないこと。3つ目は、未来への投資原資が枯渇しつつあるということ。

謎に包まれていた2ステージ制復活の意図|コラム|サッカー|スポーツナビ

これらの問題から、2ステージ制・ポストシーズンマッチという案が出てきた、ということです。

 

日本人選手のレベルアップと、リーグの空洞化

日本のJリーグは、立ち上がりは非常にうまかったと言えます。それは「サッカービジネスの基礎知識」を読むとよくわかります。

一方で、育成がうまく行きだすと、有望な海外リーグに移籍する人が増え、スター選手となる人がJリーグから出ていってしまいます。これが今のJリーグの矛盾を生み出しているのです。

この点に関しては、ゼロ円移籍などの問題も言われていますし、Jリーグそのものが成熟してきているので、誰もかれもが海外リーグを目指さなくてもいいじゃないか、という論点もあります。が、現状としては海外リーグで活躍する選手がみれる日本代表は人気があって、Jリーグは注目されない、というジレンマを抱えているのです。

最近、セレッソの柿谷が注目されていますが、それがJリーグに観客を呼び込む効果を与えていることからも、日本代表→人気上昇、というマーケティングルートは未だに顕在していることがわかります。

 

テレビ放映権の拡大によって、潜在ファンを掘り起こす

プロ野球もそうですが、テレビ放映の機会が減ってきているように思います。Jリーグでは、主にスカパーが放映権を獲得しているのですが、視聴者の減少に伴い放映権料が減少してきています。

以下は、Jリーグの収益状況から引っ張ってきた放映権料収入の推移です。確かに減少傾向にあります。これは、Jリーグ全体の半分弱を占めているので、ここが減ってくると結構大きく響いてくるわけです。

jleague-tv

ちなみに、この放映権料は、各クラブへの配当金にもなっていて、これが減ることになります。「Jリーグ・各クラブ放映権料収入は1試合当たりJ1約3.7%、J2約1.5%」という数字があります。

Jリーグ・各クラブ放映権料収入は1試合当たりJ1約3.7%、J2約1.5% – コンサBizラボ | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ

2ステージ制にする目的は、ポストシーズンにすることでテレビの露出機会を作り、放映権料を嵩上げする、という狙いがあります。また、Jリーグの観客数も確実に減少してきており、潜在顧客を増やすためにテレビの露出機会を増やし、Jリーグをもっと広く認知してもらおう、という狙いも含まれています。

 

まとめ

2ステージ制は、財政が弱くなってきたこと、その根底にあるJリーグ離れへの対策です。ポストシーズンの仕組みがわかりづらいな、とは思いますが、2ステージ制・ポストシーズンへ舵を切った理由はわかります。

プロ野球もクライマックスシリーズを導入したり、レスリングもルール改訂によって、スポーツそのものの魅力を向上させようと努力しています。Jリーグも同じように、新しく魅力あるスポーツになれるのかは、今後次第ということで。

長谷部誠がヴォルフスブルグからニュルンベルクへ移籍したけど

今日は自分のメモ程度です。すみません。

長谷部誠がヴォルフスブルグからニュルンベルクへ移籍しました。3年契約で、移籍金は250万ユーロ(約3億円)とのことです。

ニュルンベルクが長谷部獲得合意を発表 (GOAL) – Yahoo!ニュース

 

ヴォルフスブルグ的には成功なディールでは

長谷部は、元々浦和から移籍金ゼロで獲得しています。このサイトで、海外へ移籍した日本人選手の移籍金を確認することができます。

海外日本人選手の移籍金・年俸一覧 – 移籍金・年俸ランキング | サムライサッカーMAGAZINE.com – 海外で活躍する日本人選手情報満載!

それが今回は3億円の移籍金を獲得できたので、まさに安く買って高く売れたんだと思います。

「ジャパンはなぜ負けるのか」にも書いてありますが、こういう移籍市場の戦いというのは、チームの結果とお金の関係を読み解く上で非常に重要です。この本では、20代の初めで買い、30歳になる前に売れ、と書いてあります。それが最も選手の実力をチームに取り入れ、かつ衰えが他のチームからも目に見える前に高く売れるからです。

そういう観点でみると、長谷部は29歳。ヴォルフスブルグから見ると良いタイミングと見られても不思議ではありません。

 

ニュルンベルクは投資効果を出せるのか

長谷部が所属していたヴォルフスブルグとニュルンベルクでは、クラブの規模が結構違います。選手人件費のデータがありましたので、リンク貼っておきます。

清武がニュルンベルクに移籍した理由とは・・・?

また「ジャパンは負けるのか」の話になってしまいますが、選手人件費と勝ち点は非常に相関関係があると言われています。つまり、選手人件費が多いチームほど勝てるチームになる、ということです。そういう意味では、今回長谷部は出場機会を求めて、選手人件費があまり多くないチームに移籍した、というのは個人としては正解な気がします。

一方で、ニュルンベルクは清武に始まり日本人を積極的に引き入れていますが、どういう戦略で進もうとしてるんでしょうかね。今回の移籍金の金額を見ても、ニュルンベルクの規模からすると結構大きな取引だったんじゃないでしょうか。(とはいえ、相場観からするとちょっと値切ったかもしれません。)

まあ、今後長谷部が出場機会を増やし、チームが勝てるようになればクラブとしては良いんじゃないでしょうかね。あと、清武は早めに結果を残し、ニュルンベルクに移籍金というお土産を残すべきだと思います。

 

なんとなく今回の報道で、長谷部も選手としてはピークを過ぎたのかもしれないなーと改めて思ってしまいました。とはいえまだまだやれる年齢だと思いますので、ブンデスで頑張って欲しいものです。ブンデスリーガはプレミアリーグに次いで大きなリーグですし、観客動員数などリーグ全体で非常に勢いがあるところでもあります。そういうところで日本人選手が多く活躍する、というのは日本サッカーにとっても意味があると思いますし。

infographicで見る欧州トップリーグのマーケットバリュー

 

クラブライセンス制度が導入されたJリーグは、今後どう変わるか?

Jリーグではクラブライセンス制度が導入されています。3年間赤字が続くとJFLに降格になってしまいます。赤字クラブがいるのは今に始まったことではないですが、なんで今導入なんでしょうか。

ひとつ参考になる数字を出してみました。以下のグラフがそれです。これは、2005~2012年の8年間で、各クラブの営業利益(損失)を並べてみたものです。左が黒字で右にいくにつれて赤字になっていきます。

Jクラブの営業利益(損失)(2005-2012)
Jクラブの営業利益(損失)(2005-2012)

眺めてもらえばわかりますが、黒字に比べて赤字の方が絶対額も大きいですし、数も多いです。実際、サンプル数275のうち、黒字は145。赤字は130です。

また、黒字の総額は11,303百万円。赤字の総額は-20,810百万円。総額としては、-9,507百万円の負け越しになっています。

というわけで、Jリーグは全体として赤字です。

 

UEFAで始まっているファイナンシャル・フェアプレー

UEFAでもファイナンシャル・フェアプレーという、同様の財務規律を求める制度が開始されています。導入の目的は、この記事に書かれています。

ファイナンシャル・フェアプレーの主要目標は、クラブサッカーの財務に規律と合理性を植え付けること、俸給や移籍金にかかる上昇圧力を和らげてインフレ効果を制限すること、クラブに支出を収入の範囲内に抑えることを奨励すること、クラブが確実に債務を期日までに返済できるようにすること、そして欧州クラブサッカーの長期的持続性を守ることにある。

UEFAチャンピオンズリーグ – ニュース – UEFA.com

これまでは、テレビ放映権の高騰や、特定オーナーによってサッカークラブに資金が流れ込み、選手の年俸もインフレ傾向にありました。そうなると抑制がきかなくなるので、クラブの実力にも格差が生じて、リーグ全体がバランスを崩していくことになります。それを抑制するのが、ファイナンシャル・フェアプレーというわけです。

これを破ると、UEFAチャンピオンズリーグなどの出場できなくなるなど、それなりに大きな制裁が与えられます。

 

財政規律を高める影響

影響はいくつか考えられますが、この記事に列挙されていてわかりやすいです。

ファイナンシャル・フェアプレーを理解する4つのポイントと欧州サッカーの今後 – 22番の蹴球ファカルティ

「移籍マーケットの縮小」「オフの期間の海外遠征の増加」なんかは、まさにそうだと思います。マンUもアーセナルも日本に来ていましたね。

 

また育成の活性化です。最近では、セレッソ大阪で何人か芽が出てきており育成型クラブが注目されていますが、財政的な理由も存在します。

育成への投資は別会計であるので、バルセロナのように育成を通じた選手の確保や選手の売却資金は有効な手立てであり、さらにこの流れが加速していく。また、日本でもバルセロナやチェルシー、ミランなどが子供向けのサッカースクールを展開しているが、このような動きもコマーシャルとクラブのブランド強化のために広がっていくと予想される。

ファイナンシャル・フェアプレーを理解する4つのポイントと欧州サッカーの今後 – 22番の蹴球ファカルティ

 

必要なのはマーケティング能力

サッカービジネスの基礎知識」でも書いてありましたが、最終的にクラブの収益基盤を高めるのはマーケティング能力です。

浦和、鹿島、磐田など収支の黒字転換を果たしたクラブと、そうでないクラブの差を一言で言えば「継続したマーケティング実践能力」である。チーム戦力の実力と魅力がその上に乗って初めて「ブランド価値」が生まれ、クラブ法人は資産を持てる。

いかに目玉となる選手を育成したり、獲得するかという点も重要です。カズが未だに現役であることは素晴らしいですが、クラブとしては選手としての能力以外にも、経済効果も加味しているはずです。

カズの経済効果とは? サッカー選手・三浦知良のリアルな商品価値 | フットボールチャンネル

 

まとめ

  • 財務規律の強化は日本も欧州も同じ
  • 目的は、選手年俸のインフレ抑制を含めた、安定的な財務状況の確立
  • マーケティングを含めたクラブ経営能力が一層必要になる

という感じです。Jリーグは選手年俸が高騰しているという数字は見えませんが、赤字のままでは持続的に発展はできません。どうお金を稼いでいくか、という財務基盤が確立してこそ、選手年俸も健全に上昇できる、ということでしょう。

今日はこのへんで。