Uber Healthとは?医療分野におけるMaaS

ライドシェアサービスのUberが医療機関向けに特化したサービスを展開しています。

医療機関向け配車/配達サービス | ビジネス用 Uber


このサービスは2018年から開始しています。アメリカで。

Uber、医療機関と患者をつなぐ配車サービス「Uber Health」発表 – CNET Japan

Uberは”Uber Eats”など、様々な移動ニーズに応えようとしているわけですが、その医療版のようですね。どういうサービスなのか、調べてみました。

サービス対象者は医療機関になっている

Uberがサービスを提供するのは、医療機関であり、病院にかかりたい患者に直接提供するわけではありません。

医療機関が従来から行っていた、通院患者向けの送迎サービスを、Uberに置き換えるようなイメージを持てば良いですね。

車椅子患者も送迎できるようにしたり、センシティブな医療履歴に関する情報も安全に取り扱えるようにするなど、特化した対応を行っています。

https://j-seeds.jp/column/post-1227

病院のコスト削減、売上増加を実現

医療機関では、自前で送迎サービスを提供することは費用負担になるとともに、診察予約しても来ない患者もいる、ということが課題になっています。

アメリカでは予約しても来ないという問題が大きいらしく、日本とはニーズが違うかもしれません。

この課題を、Uber Healthを導入することで、効率的な送迎を実現(コスト削減)するとともに、予約→送迎をスムーズに行うことでドタキャンなどを防止する、患者のリテンション(売上増加)にもつながります。

Uberも、新しい収益を確立することができます。以下の記事でも簡単な収益シミュレーションが行われています。

患者向けライドシェアサービスはUberやLyftにとって新たな収入源になるか?新たなライドシェア x ヘルスケア分野|From the Alley|note

Uberアプリが前提になっているわけではない

Uber Healthのサービスは医療機関向けに提供されているので、患者は必ずしもUberアプリを使う必要はありません。

高齢者など、デジタルデバイドが生じやすい層が利用者だと思いますから、そこも配慮されているサービス設計になっています。

薬の配達も開始

最近だと、薬の配送も始めています。

Uber、米国で処方薬の配達サービスを開始–「Uber Health」「Uber Direct」を活用 – CNET Japan

それ以外にも、医療従事者の通勤支援や、食事の配達もサービス展開しているようです。

着実に移動の需要を捉えるとともに、広げているのがわかりますね。

ちなみに、Uber Healthのことは、「Beyond MaaS」という本でも紹介されています。
日本でも医療MaaSの実証が始まってきていますが、日本は日本での課題で、医療や介護領域のMaaSが広がるのかもしれません。

オムニチャネルより広い概念である「ニューリテール」を理解する

中国のリテールが進んでいるというのは、「アフターデジタル」を読んだときも感じましたが、日本でもいろいろ動きが出てきているようです。

トライアルのスマートレジカートに学ぶ、店舗が「客単価」を上げるためのヒント | Agenda note (アジェンダノート)

ヨーカ堂、AIが商品発注 9月から全店8000品目  :日本経済新聞

 

最近、この「新・小売革命」という本も読んだので、大きな動向としてリテールのDXというのがどういう流れなのか、自分の頭を整理したいと思います。

オンラインはオフラインを飲み込むのではなく「融合」する

以前、こちらの記事でも書きましたが、EC化率は全体で6.7%で、オフラインの割合はまだまだ圧倒的な状況です。ECが伸びてはいるのですが、多くがオンラインに置き換えられる、という考え方はほとんどなくなっていて、逆に実態店舗をアップデートすることで大きなビジネスチャンスになる、という考えが大きくなっているのではないでしょうか。

小売業のトレンドをEC化率などからみる

つまり、実態店舗に新しいテクノロジーを導入したり、オンラインと融合させることで、全体としての顧客体験を上げるということです。

 

ではどう融合していくのでしょうか。冒頭で紹介した「新・小売革命」では、そのエッセンスが整理されていてわかりやすかったです。

まず前提として、小売りという業態と、オンライン・オフラインの違いを整理してみます。

著書によると、小売りは以下で定義される。

小売りの本質とは、「人」と「物」を繋ぐ「場所」である。

そして、消費者はモノの背景にある「情報」も同時に受け取り、購買するかを判断しています。リアル店舗では、店舗内で商品に関する情報を受け取り、同時に購買していることになります。

しかし、オフラインではこの「情報」部分だけが切り離されることになりました。ショールーミングが生じたのも、購買に必要な情報として実物を見たい場合は、先に情報だけ店舗で受け取り、後から安いECで買うという行為がある種合理的になってしまったためです。

リアル店舗は物流・在庫を含め非常にコストがかかりますが、一方で買い物体験という意味では大きな優位性があり、未だに小売り市場の多くをリアル店舗が占めています。このように、それぞれ顧客・売り手にオンライン・オフラインでメリットが異なるのです。

それぞれの特性を踏まえながら、うまく融合させていこうという考えが「ニューリテール」です。

 

「ニューリテール」とは

ニューリテールというのは、中国のアリババで提唱された考え方です。

「ニューリテール」とは、2016年10月にアリババのジャック・マー会長が提唱した10年~20年先の未来に訪れるだろうリテールのコンセプト。簡単に言えば、テクノロジーとデータを駆使し、オフラインとオンラインが融合したリテールビジネスによって、より優れた顧客体験を届けること。同時に小売事業者のビジネス課題も解決する。

アリババが推進する「ニューリテール」時代の顧客体験とは? テクノロジー&データが牽引する小売の未来 | ネットショップ担当者フォーラムより引用

 

まさに先ほどいった、オフライン・オンラインそれぞれのメリットを踏まえて、テクノロジーでこれらを融合したり、デメリットを小さくさせたりしていく、ということです。

前述の「新・小売革命」では、このように表現されていました。

どのようにしたら小売りの効率が上げられるか

①「データエンパワーメント」により、情報流、金流、物流の組み合わせを最適化する。

②「売場効率革命」により、人流量、成約率、客単価、リピート率の効率を上げる。

③「短絡経済」により、D-M-S-B-b-Cの経路を短縮する。

 

①は、例えばオムニチャネルと言われている動きが該当します。Click&Collectで、ネットで注文して店舗で受け取るなど、顧客のニーズに合わせてサービスを提供するわけです。それ以外にも、金流という観点だとキャッシュレスやAmazon Goもありますし、冒頭紹介したトライアルのスマートレジカートもそうです。顧客の利便性を上げつつ、店舗の運営コストを下げることが念頭にあります。

②は、例えばウェブの考え方などがオフラインに入ってきており、例えばABEJAが提供するRetail AIだと、店舗前の人数や来店人数などを計測し、購買に至るまでの動きを解明する動きが出ています。売場でのデータを多く収集することで、これまで見えなかった顧客動向を把握し、商品開発や売場改善を向上させます。


ABEJA Insight for Retail | 株式会社ABEJA

③の「D-M-S-B-b-C」は本を読んでいただかないとわかりづらいですが、商品企画から顧客へモノが届くまでの流れです。これを短縮するというのは、冒頭でいうヨーカ堂の自動発注などもその一部として考えることができます。

 

世の中で出ている様々な取り組みは、このように小売りの旧来の課題と、オンラインでは解決しきれないが、そこで知見として得られたアプローチや新しいテクノロジーが導入されて、アップデートされている感じです。

オムニチャネルという言葉を聞くことは最近少なくなってきたなと思っていましたが、このようなニューリテールの考えはもっと幅広い概念で捉えられているなと思います。ちなみに、オムニチャネルという言葉をGoogleトレンドでみると、下火感もあります。

 

顧客体験を変える様々な取り組みが、これからも小売りに導入されていくのでしょう。

 

「ロジスティクス4.0」で物流業界の課題と未来を勉強する

物流業界の構造やトレンドを知りたくて、この本を読みました。

自分が不勉強だっただけなのですが、想像以上に変革が起こっており、とても勉強になりました。今の課題やロジスティクス4.0の内容を知るには良い一冊だと思います。

物流業界の課題

物流業界の課題はどういうものがあるでしょうか?本書を読めばわかるのですが、こちらの記事に簡潔にまとまっているので、拝借します。

・ドライバーの高齢化と労働環境
・物流業界各社の過剰サービス
・積載率減少による効率悪化

物流業界の現状と課題 – AIは物流を救えるか? | SmartDrive Magazine

 

ヤマトの値上げが行われたのも記憶に新しいところですが、このような問題を抱えている業界が、どのように進もうとしているのかを読み解くのが本書です。

 

装置産業化していく物流業界

課題解決のポイントは2つ示されています。

1つには、属人的なノウハウです。人の介在を必要とするプロセスが減少するということは、今までノウハウとされてきたことが形式知化し、機械やシステムに置き換わっていくことを意味します。

 

ICTやロボットなど、いろんな領域で機械化・効率化が進められてきていますが、それでもまだ人への依存が多く残されています。そこで生じてしまう属人的なノウハウを、どう形式知化し、現場への実装に落とし込んでいくかが重要なポイントです。

物流倉庫内の動線など作業効率を分析するAIソリューションも登場してきています。

ニューラルポケット、三菱地所グループ初となる、物流施設内での作業効率・動線のAI可視化ソリューションの提供を開始|ニューラルポケット株式会社のプレスリリース

勘と経験に依存していた部分を、定量化しながら改善していく流れが生まれています。

逆に、Amazonはロボットを活用して、ロボットが棚自体を移動させてくれるので、人は移動せずにピッキングだけするという方法を、数年前から導入しています。

アマゾンの物流倉庫、商品を運ぶロボットを国内初導入:日経クロストレンド

それ以外にも、いろいろと属人的な作業はあることでしょう。AIやロボットを組み合わせて活用することで、そのような属人的な領域はどんどん減っていくと本書では書いています。

 

もう1つは、属社的な仕組みです。物流がインフラ的機能になるということは、特定の企業・個人が占有するのではなく、広く共用される存在に変わることを意味します。「経済合理性を優先するなら、自社ならではの物流にこだわるよりも、他社も利用している仕組みに適合した方がよい」という領域が増えていくはずです。

 

物流業界は、サプライチェーン全体の最適化という方向性が生まれています。内閣府が進めるスマート物流でも、「物流・商流データプラットフォームの開発」が取り上げられているなど、個社ごとの努力というよりは、業界横断的な取り組みが加速しているのがわかります。

スマート物流を実現するための3つの視点 | IoT NEWS

 

SIPの研究計画によると、日用消費財、ドラッグストア・コンビニ、医薬品、地域物流などフォーカスを絞ったプラットフォームを構築する想定のようです。

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス 研究開発計画

 

それ以外にも、トランコムが荷主と運送業者をマッチングするプラットフォームを構築するなど、新しいマッチングプラットフォームができています。

輸送マッチング・配送サービス | トランコム株式会社

 

こうやってみると、どんどん設備投資の割合が今後も大きくなっていき、人が直接作業する領域は徐々に減っていくのでしょう。そのスピードがどうなるかは技術進化などにもよるかもしれませんが、競争優位性として人を効率的にマネージする部分が減り、新しい技術を効果的に取り入れていく点が優位を構築するのだな、と思いました。

デジタルトランスフォーメーションを推進するために理解すべきこと

最近DX推進室の設立などをよく聞く。デジタルトランスフォーメーションとは何で、どう推進すべきなのかを理解したくて、調査レポートや書籍をあたってみました。

なぜデジタルトランスフォーメーションに取り組む必要はあるのか?

デジタルトランスフォーメーションはなぜ様々な企業に求められているのでしょうか。それは、この本を読むとわかりやすく書いてあります。

 

特にスピーディーにどう取り組むか、という問題意識は、本書の最初のあたりが非常に有益でした。

例えば、こういう記述です。

技術が生まれてから多くの人がそれを利用するまでの時間が急速に短くなっているということです。たとえば、新しい技術が生まれてから 50%以上の人々が使うようになるまでの年数では、自動車は 80 年以上かかりましたが、テレビは 30 年、インターネットは 20 年未満となり、携帯電話は 10 年ほどと言われています。アップルの初代iPhoneが日本で発売されたのは2008年春ですが、スマートフォンの世帯保有率が 50%になるまでには5年しかかかっていません。

 

つまり、デジタルというのはスピードを高めるため、事業の変化やディスラプターの脅威が急速に高まるリスクがある、ということです。そして、スピードを高めるということは、内製に限界があるため、他社との連携や買収など、外部にも目を向ける必要があるということにもつながります。

新しい領域に投資を増やせるか?

無料で充実した内容になっているのは、経産省のDXレポートです。

DXレポート 〜IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

DXの必要性や問題点などがきれいにまとめられています。50ページを超えるボリュームなので、まず手始めに読むなら、このレポートが良いのではないでしょうか。

特に前半で語られている「既存システムのレガシー化」の問題は、日本企業においては根強く、その運用コストに比重が多く割かれ、チャレンジングな戦略的投資の割合が少ないというのは、デジタルトランスフォームを進めづらい一因になっていると感じます。

つまり、デジタルトランスフォーメーションというのは、既存システムの改革も必要になってくるんですね。コストを下げ、柔軟性のあるシステム環境を作り、新しい領域に投資する必要があるからです。

面白かったのは、組織的な構造やカルチャーにも踏み込んで記載されているところでした。例えばユーザー企業(発注 側)の役割・責任やスタンスについて、アメリカとの対比でこう表現されています。

それに対して、我が国の CIO は有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥 りがちである。しかも、ユーザ企業側の選定責任は不明確で、ベンダー企業側の責任となり がちである。要求仕様や指示に抜け漏れや曖昧さがあっても、トラブルが起きると我が国で はベンダー企業の責任とされることが多い。開発を主導するのが CIO の責務であることか ら CIO 責任という考え方が定着している米国とは異なっている。

このあたりは、日本市場特有の、昔からある構造的な問題だと思います。

DXは結局、組織改革の問題

デジタルトランスフォーメーションの本をもう一冊読んだのですが、いずれもデジタルトランスフォーメーションを組織改革の問題ととらえ、その組織改革をどう実現するのか、という点が語られています。

 

デジタルトランスフォーメーションは各業界や企業によって実施する内容は変わりますが、全般的に言えるのは、組織のマインドや仕組みを変えていく必要がある、ということです。しかも、大掛かりに。

一般的に言われる「業務改革」とデジタルトランスフォーメーションの違いについても本書では書かれており、大きく変えていくためには、その重要性や大変さを経営層が理解し、その環境を全社的に構築していく重要性が述べられています。

デジタルトランスフォーメーションというのは、組織改革なのです。

ちなみに、日本版解説でリクルートの事例が出てきていたのが印象的でした。リクルートのデジタルトランスフォーメーションが、どのように行われているのかは本書が参考になると思います。

リクルートの手法から学ぶ新規事業の作り方・育て方

 

「すべての企業はテクノロジー企業になる」という言葉もあります。テクノロジーの活用がいろんな企業で進みますように。

今日はこのへんで。

今注目されている「ディープテック」とは何か

ディープテックという本が注目されているようだったので、読みました。

 

ディープテックとは何で、なぜ注目されているのかを知ることで、今後のビジネスにトレンドが少し理解できた気がします。

ディープテックとは何か

ディープテックという言葉は、Googleトレンドでみるとここ1年ぐらいで増加してきているのがわかります。

これまでだと、よくFinTech、EdTech、MedTechなど、様々な言葉が登場し、メジャーになっていきました。しかし、この「ディープテック」という言葉は、これらと概念が違います。本書で紹介されているディープテックの定義がこちらです。

これに対して本書では、ディープテックを以下のように定義づけたいと思っている。
1.社会的インパクトが大きい
2.ラボから市場に実装するまでに、根本的な研究開発を要する
3.上市までに時間を要し、相当の資本投入が必要
4.知財だけでなく、情熱、ストーリー性、知識の組み合わせ、チームといった観点から参入障壁が高いもの
5.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決のあり方を変えるもの

つまり、産業などを特定するのではなく、技術そのものの新規性・難易度・社会性に注目したものです。

代表的なディープテックの例として挙げられているのが、ユーグレナです。

株式会社ユーグレナ | 公式ホームページ

栄養素が豊富なミドリムシを大量培養することで、食糧や燃料に用いることに成功しています。栄養不足や燃料不足に対して、貢献する技術ですね。

このように、インターネットビジネスなどに代表されるような技術・サービスではなく、もっと社会課題に直結するような技術を指すようです。

ディープテックを推進するNPOであるHello Tomorrowによると、以下10領域でディープテックを追跡しています。

10 Technology Tracks of Hello Tomorrow

WHAT IS DEEP TECH – HELLO TOMORROW JAPAN

 

なぜディープテックが注目されるのか

有名なアクセラレータのYコンビネータをはじめ、VCなども投資領域をディープテックに広げてきています。

Corporations such as Google, Facebook, Amazon, IBM and Apple show increased interest towards deep tech applications in AI, virtual reality, drones, self-driving cars. Business accelerators also shift focus from narrow digital startups towards deep tech. In 2016 Y Combinator’s batch there were 32 deep tech startups including 9 in biotech, 4 in drones and 3 in advanced hardware.[8]
Deep tech – Wikipediaから引用

 

ディープテックが注目される理由として、短期的な成長・収益をベースにする近視眼的な起業やビジネス成長に対する反動、社会的な価値観の変化などが要因としてはありそうです。

アプリやウェブサービスなど、比較的資本がかからずアイデア勝負な、いわゆる「ライト」な領域は、ネタが枯渇してきたのかもしれません。

個人的に発見というか気づきを得たのは、ディープテックの動きというのは、以前からある「サスティナブルグロース」や「サーキュラーエコノミー」などの価値観ともつながってきていること。例えば、SaaSやMaaS、シェアリングエコノミーなどが普及してきていますが、これも買い替え需要という社会にとってはマイナスの作用も生むビジネスではないので、生産者やサービスプロバイダーは、モノを長持ちさせながらサービスを向上させるインセンティブが生まれるスキームになっています。

「本郷バレー」という言葉も生まれ、日本でも研究機関が持ってる技術にフォーカスされているようです。本書でも、日本は課題を多く抱える東南アジアに対して、地理的にも技術的にも貢献できる良いポジションにいる、と書かれています。

そういえば、最近の週刊ダイヤモンドの特集も、ディープテックと関連するものでした。

 

世界的なトレンドが生まれていて、日本でも様々な動きが出ているということが、理解できてきました。

クラウドERPのトレンドと中小企業の向き合い方

ERPというのは、随分昔からあるシステムですが、対象はどちらかというと大企業向けでした。

企業の経営管理機能のほぼ全てをカバーし、リソースを最適化するためにはどうしても費用が高くなってしまうというのが根本的な原因です。

ただ、最近はクラウド化の波がERP市場にも訪れており、変化が生じています。

約一年前に調べたのですが、改めて状況をアップデートしていきたいとおもいます。

ERP市場の現状と今後の展開を調べてみた

ERP市場の全体トレンド

真っ先に見つかるERPの市場規模調査では、ITRが出している2018年の調査があります。

ITR Market View:ERP市場2018 | ITR

このデータから見えてくるのは、ERP市場全体の拡大と、クラウド比率の増加です。

もう少し細かくみると、オンプレミス型のERPが大きく減少していき、それに置き換わるようにIaaS型が増えていくと予想されています。これを見ると、

  • 大企業・中堅企業に導入されていたオンプレミス型のERPはIaaS型への置き換えが進む
  • 中小企業を対象にクラウド型のERPが新たに導入される

というシナリオが考えられます。

 

クラウド化と価格低下が導入ハードルを下げる

実際、調べてみるとクラウドERPというのは各社が提供し始めています。ボクシルで取り上げられていたのは、こちらのサービスです。

  • NetSuite
  • クラウドERP ZAC
  • SAP Business One
  • Oracle ERP Cloud
  • GLOVIA OM
  • Workday

ERPシェア・市場規模 | 世界調査と国内最新動向・注目クラウドサービスも紹介 – ERP(基幹システム) | ボクシルマガジン

それ以外にも、ALL-INというサービスもありました。こちらは金額も明瞭で、15人利用する場合であれば、ざっくり年間100万円程度です。年100万円で基幹系システムが導入できるというのは、すごい時代になってきた感があります。

料金プラン – ALL-IN(オールイン) | 中小企業・ベンチャー向けトータル経営システム

それ以外にも、オープンソースという選択肢も出てきています。昔からこの領域は存在していたようですが、最近ではOdooというOSSが勢いあるようです。

Open Source ERP and CRM | Odoo

こちらの会社様が、日本をはじめとするアジア圏での導入を積極的に展開されています。

オープンソースのクラウドERP Odooで業務改善 – コタエル/Quartile

これらを調べてみると、各社クラウド化に熱心になっており、特にALL-INのように中小企業向けを明確に示し、料金もわかりやすいサービスが登場してきていることからも、この領域は中小企業を中心に、これまでERPを使ってこなかった層を対象に市場を広げていくでしょう。

 

ということで、ざっくりとではありますが、ERP市場のトレンドを確認してみました。クラウド化の波が大きくやってきているので、中小企業も含めて幅広く浸透するのではないでしょうか。

参考:
ERPのトレンド:クラウドERPに移行するべきか?
6つのERPトレンド、AIやブロックチェーンなど(上) – 6つのERPトレンド、AIやブロックチェーンなど:CIO Magazine

経営管理・予実管理の最近のトレンドを整理してみた

企業経営やプロジェクト管理では、経営指標やKPIの予実管理をするわけですが、その作業に関するツール周りが最近どうなっているのかを整理してみました。

未だに存在感が強いエクセル

なんだかんだと言いながら、いまだにこの領域はエクセルが多いと思います。

こちらの記事は、経営管理の全体が書かれていて、非常に参考になります。

Wantedlyの経営管理のシステム&フローを図解してみた。 | Wantedly Blog

経費管理や会計管理など、様々なクラウドサービスが使われており、現代的だなーと感じています。一方で、管理会計の領域はエクセルになっているんですよね。

ここはなかなかハマるツールが見つかっておらず、広大なシートを毎月更新したり、関数もりもりのシートに日々フル稼働してもらったりしている状況です。
Wantedlyの経営管理のシステム&フローを図解してみた。 | Wantedly Blogから引用

企業ごとに管理する指標が違う、データ元も多様である、という点から、エクセルの自由度の高さには勝てないのが現状です。

ただ、最近はエクセル上でダッシュボード形式で管理するケースも増えているのではないでしょうか。

このようなスプレッドシートのテンプレートも公開されていました。

\無料公開/スタートアップ向け予算管理テンプレート|檜垣雄介 / NICOLY.incnote

あと、海外でもこのトレンドは同じのようで、udemyでこのようなトレーニングがあります。

Visually Effective Excel Dashboards | Udemy

エクセルも極めるとここまでできるんだなって驚きます。

クラウド系サービスの登場

ただ、このジャンルも最近は進んでる印象でして、例えばDiggleというサービスがあります。

DIGGLE | 予実管理に特化したクラウドサービス

まさに予実を管理するソリューションになっていて、ぜひ一度使ってみたいところです。経営管理としてハマれば、良い解決策になるんじゃないでしょうか。

また会計を中心にした分析であれば、Manageboardというサービスがあります。

Manageboard|会計で経営を分析・予測・共有する経営分析クラウド |

こちらは会計サービスと連携することで、それらの分析や予実管理ができるというものです。

このように、国産でも使いやすいサービスが登場してきているのが、今のトレンドです。

第三の選択肢としてのBIツール

エクセルなどのスプレッドシートの自由度と、クラウドサービスの手軽さの中間にあるのが、BIツールだと思います。

データ量が多くなるとエクセルでは扱いづらかったりしますし、BIツールは多様なデータ取り込み機能やダッシュボード機能があるからです。

手軽に使うなら、マイクロソフトのPowerBIとかでしょうか。デスクトップ版なら無料です。

無料でデータ分析するならMicrosoftのPower BI Desktopがおすすめ

実務だと、未だにエクセルが大活躍しています。ただ、やはりデータが大量にあるケースだとエクセルが重くなってしまって困るので、power queryなどの利用も少し混ぜてる感じですかね。

データを集める、分析して俯瞰するという行為は、経営判断に重要なのですが、経営者が必要なときに確認できる環境を作るためには、未だこういうゴリゴリした現場で回っている実態があります。

以上が自分で普段使ったり調べた内容ですが、うちはこうやってるよ!って方がいたら、ぜひ教えていただきたいです。

どんどんいろんなツールが登場して、便利になって欲しいと思います。

Evernoteはオワコン?MSのOneNoteが勢い増していた

Evernoteはノートアプリケーションとしてよく知られているものです。

すべてを記憶する。アイデアを整理する。スマートに働く。| Evernote

クラウドをベースにして、Windows、Macだけでなく、iOS、Androidからでも使うことができます。

登場してきた当初はとても斬新で、僕もよく使ってました。こちらは7年前に書いた記事です。

Evernoteって使うほど便利に感じて仕方ない

ただ、最近はすっかり利用頻度が落ちてきています。ノートが大量で重くなったりして、用途に合わせていろんなノートアプリを使い分けてる状態です。

 

Evernoteの勢いは落ちてきてる?

GoogleトレンドでEvernoteをMicrosoftのOneNoteと比較してみると、Evernoteの勢いが低下してきており、最近はOneNoteの方が迫ってきています。

Evernoteはテキストや画像などを自由に書き留めておけることと、複数のデバイスで同期して使えることがポイントだったわけですが、ほかのサービスでもクラウド時代で追いついてきており、あまり優位性がなくなってきたかもなと感じます。

逆にOneNoteはOffice365でクラウド対応になり、ビジネス系では使われるようになってる気がします。

 

Evernoteの戦略ミスとは?

同時期に展開されたDropboxと並び、有力なユニコーン企業と言われていましたが、途中から大きな問題に直面しました。これを読むとわかります。

Evernoteを苦しめる「5%問題」は本当に取り組むべきことを照らす道しるべになる – GIGAZINE

財務上は有料顧客の獲得が遅れたためです。フリーミアムではありましたが、なかなか有料ユーザーを増やすような料金プランなどを開発できずにいました。

しかし、もっと深刻なのは多機能すぎることでした。それが故に、製品のアピールポイントがわからなくなってしまったり、フォーカスすべきユーザーを見失ってしまったようです。

また手を広げ過ぎて、コストもかさんでいました。

その後、創業者が交代し、事業を整理しながら改革が進められています。

エバーノート、黒字化へ道筋 プロ経営者の大なた: 日本経済新聞

仕事ではOneNoteを使っているし、個人のちょっとしたメモはsimplenoteを使っていますが、たしかに用途が明確な方が使いやすいですね。

Evernoteは途中から、メモなのかスクラップなのか、自分の中でわからなくなっていました。けれど、今でもUIは使いやすいし、また利用頻度が増えるときが来るかもしれません。

ちなみに、Dropboxは現在上場準備中です。

Dropboxの上場予定価格は16-18ドル、時価総額100億ドルには届かず――別途Salesforce1億ドル出資 | TechCrunch Japan

【書評】アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

「データは第二の石油」であるといわれているほど、データの重要性が増しています。膨大に増えていくデータによって、新しいビジネスが登場したり、様々なことを知ることができるようになって、生活が豊かになっているように感じます。しかし、その反面プライバシーが簡単に侵されたり、ネットで炎上するなど、これまでと違った弊害も出てきています。

このようなデータ社会で、どのような仕組みが必要か、各個人にはどういう対策が求められるのか。それを考えてみたくて、この本を読みました。

 

過去にアマゾンのデータサイエンティストだった人が書いた本です。

アメリカで非常に評判になっている本だという事ですが、タイトルが分かりづらいように思います。ちなみに洋書のタイトルは「Data for the People」です。

これからのデータ社会によって、どのような要素が求められるのかを考えさせられる良い一冊でした。

 

増加するデータ

もう当たり前に広く認識されていますが、世の中はあらゆる場面で様々なデータが増えています。ただ、こう書かれている数字をみると、改めてすごいスピードでデータの生成量が増えているのがわかります。

受動的か積極的か、義務的か自発的か、正確かおおまかかといった違いはあるにせよ、こうしたものをすべてひっくるめたソーシャルデータの量は指数関数的に増加している。今日ソーシャルデータの量は、一八カ月ごとに倍増している。五年も経てばソーシャルデータの量は約一〇倍、つまりケタが変わっているだろう。そして一〇年後には、およそ一〇〇倍に増えているはずだ。言葉を変えれば、二〇〇〇年に丸一年かけて生みだされたのと同じ量のデータが、今ではたった一日で生み出されている。現在の増加率が続けば、二〇二〇年には同じ量が一時間以内に生みだされているだろう。

 

パソコンやインターネットが普及し、さらにスマートフォンやウェアラブルデバイス、IoTが発展してきており、様々な生活やビジネスなどあらゆる行動においてデータが発生するようになっています。

昔よりも簡単に知りたいことを調べることができますし、他人の行動を知ることもできますし、ビジネスで深い洞察を得ることもできますし、自分の健康データもわかるのです。データの増加と活用について、目覚ましい変化が起きています。

 

増大するデータから発生する価値観の変化

このように、膨大に増え続けているデータが社会生活に広く影響を与えてきており、その結果として、様々な社会規範やルールなども見直される必要が出てきています。わかりやすいのはプライバシーの問題でしょう。

大量のデータによって、個人の趣味・嗜好や行動などあらゆる状況が把握される可能性があり、それは政府や一部のデータ会社に偏在しています。

例えば、街中に監視カメラが設置され、犯罪捜査に活用されることも珍しくなりました。

このあたりの動画をみると、データを握られてしまうことが、個人の権利が不意に侵される可能性と、その恐ろしさが理解できるでしょう。

 

一方で、逆の観点も著者は提示しています。

過去一〇〇年にわたり、われわれはプライバシーを大切にしてきたが、そろそろそれが幻想にすぎないことを認めるべきだ。われわれは自らの関心、帰属意識、コミュニケーションを管理するためのツールを望んでいる。

プライバシー権というのが既に社会で確立されていると考えていて、それが大量のデータで脅かされる危機が高まっています。ただ、本書で書かれているのは、そもそもプライバシーという概念自体がそれほど古いものではなく、これほどのデータ社会を前提とした価値観ではないと説いているのです。

 

データリテラシーが必要

データ社会がここまで発展しているのは、データが増えることで多くの人が恩恵を受けている事実があります。

ソーシャルデータ革命とかかわりのない個人は一人もいない。そしてソーシャルデータから恩恵を享受したければ、自分に関する情報も共有しなければならない。これは断言できる。データを社会化することによるメリットは、たいてい意思決定能力の向上というかたちで表れる。何らかの交渉をするとき、製品やサービスを購入するとき、融資を受けるとき、仕事を探すとき、教育や医療を受けるとき、そしてコミュニティを良くするために、より良い判断ができるようになる。

ソーシャルデータの飛躍的増加によって、過去に例のない可能性が拓けるのは確実だ。どのような水準に達したら、個人的被害が大衆の利益の総和を上回ったと判断されるのか。ユーザーのプロフィールの編集履歴が偶然、あるいは悪意ある者の手によって友人や同僚にシェアされると社会的評価に傷がつくという理由で、婚活サイトでデート候補の編集履歴が閲覧できなくてもあなたはかまわないだろうか。

僕らは既に、こちらがデータを提供すれば便利なサービスを提供してもらえる体験を、たくさんしています。なので、いまさらその利便性を手放すとも考えられず、その利便性を実現しながら、個人の権利が侵されないようにコントロールする新しい社会の仕組みが求められているんだというのが、本書の主張です。

というわけで、データが大量に生成される社会では、新しい社会規範が必要になります。データを生み出すのは止められないし、データから生み出される画期的なサービスの利便性は享受したいし、データの集中管理によって不用意に権利が奪われるようなことはしたくないからです。

そこで求められるのは次の点だと著者は説きます。

今後ユーザーは、自らの投資に対してどれだけの価値を得られるかだけでなく、安全性リスクやプライバシーコストに対してどれだけの価値が得られるか、という包括的な視点でデータ会社を見られるようになるだろう。

プライバシーをはじめとする、自分の権利を確保しつつ、データを提供することによるメリットを享受する。そのバランスが求められており、「自分のデータを誰に提供することが、自分の利益を最大化できるのか」を見極める必要が出てきている、ということです。

 

他にもたくさんの具体的な示唆を提示しているのが本書の特徴です。どんどん強大になっていくデータ会社に対してどうガバナンスを高めていくか、など新しく求められる社会の仕組みを考える上で、良い本でした。

 

新しいiPhoneに買い換える?自分の生活を変えてくれる製品を選ぼう

iPhone8とXが発表されましたね。

iPhone Apple(日本)

Appleの新製品に関しては毎回多くの人が注目をしていますが、今回の発表で、スマートフォンも一つの時代が終わるのかな、と感じました。

 

スマートフォンが成熟してきている

スマートフォンはどうやら、成熟市場になってきているようです。実際にiPhoneは販売台数が2017年2月にピークを迎えた後、減少傾向になっています。一方で、単価は高価格化しており、全体としては売上増という状況です。

iPhone失速?「販売台数減少」はヤバいのか | スマホ・ガジェット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

iPhone販売台数、予想以上に減っていた | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

こちらの記事では、端末の買い替えサイクルが徐々に伸びてきており、スマートフォンの買い替え需要が減少しているのがうかがえます。

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つまりiPhone自体は売り上げが好調なわけですが、新機能の乏しさや買い替えサイクルの長期化によって販売台数が伸び悩んでおり、高付加価値化へのシフトを明確にしている状況です。

iPhoneをはじめとするスマートフォンについては、革新的な変化を起こし続ける時期は終わり、社会に必要ではあるものの、低価格化の流れが加速していくと同時に、別の付加価値が必要になっていくでしょう。

Appleに関しては、アプリや音楽、決済などの周辺サービスを含めた高付加価値化を目指しているのは明らかです。

 

自分の行動を変えてくれる製品やサービスを買おう

ということで、iPhoneが新しい機種を発表しまたが、正直あまり魅力を感じませんでした。別に買い換えてでも欲しいものではないな、と。

これまでiPhoneの発売は、ドキドキワクワクしたものでした。新しい機能や新しいデザインが発表のたびに投入され、自分の生活を変えてくれるような気がしたからです。そして実際に変えてくれました。

しかしもうスマートフォンでは大きな変化は望めないのでしょう。思えば、パソコンもあまり買い替えなくなりましたし、技術的やデザインに大きな変化が訪れなくなると、市場自体が成熟化していくのがビジネスの常です。

最近の購買行動の重要な基準のひとつとして、「自分の行動や生活を変えてくれるか?」というのがあります。

Kindleを最初に買ったとき、明らかに読書スタイルが変化したし、自分の生活が変わってしまいました。Kindleを買って以降、紙の本を購入する機会は激減しています。

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WithingsのSteel HRを買ったときも、運動に気をつけるようになりましたし、休日でも腕時計をするようになりました。

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物欲が減少している世の中なので、新しいものが出たから買う、所有欲を満たしてくれるから買う、ではなく、「これで自分はどう変わりそうか?」で選んでみてはどうでしょうか。

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次の変化する領域はウエアラブルデバイスかホームスピーカーですかね。こうやって生活を変えてくれる領域を探して、そこにお金を投じることが自分の生活を豊かにしてくれるんだと最近は信じています。

皆さんはいかがでしょうか。