10 Technology Tracks of Hello Tomorrow

今注目されている「ディープテック」とは何か

ディープテックという本が注目されているようだったので、読みました。

 

ディープテックとは何で、なぜ注目されているのかを知ることで、今後のビジネスにトレンドが少し理解できた気がします。

ディープテックとは何か

ディープテックという言葉は、Googleトレンドでみるとここ1年ぐらいで増加してきているのがわかります。

これまでだと、よくFinTech、EdTech、MedTechなど、様々な言葉が登場し、メジャーになっていきました。しかし、この「ディープテック」という言葉は、これらと概念が違います。本書で紹介されているディープテックの定義がこちらです。

これに対して本書では、ディープテックを以下のように定義づけたいと思っている。
1.社会的インパクトが大きい
2.ラボから市場に実装するまでに、根本的な研究開発を要する
3.上市までに時間を要し、相当の資本投入が必要
4.知財だけでなく、情熱、ストーリー性、知識の組み合わせ、チームといった観点から参入障壁が高いもの
5.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決のあり方を変えるもの

つまり、産業などを特定するのではなく、技術そのものの新規性・難易度・社会性に注目したものです。

代表的なディープテックの例として挙げられているのが、ユーグレナです。

株式会社ユーグレナ | 公式ホームページ

栄養素が豊富なミドリムシを大量培養することで、食糧や燃料に用いることに成功しています。栄養不足や燃料不足に対して、貢献する技術ですね。

このように、インターネットビジネスなどに代表されるような技術・サービスではなく、もっと社会課題に直結するような技術を指すようです。

ディープテックを推進するNPOであるHello Tomorrowによると、以下10領域でディープテックを追跡しています。

10 Technology Tracks of Hello Tomorrow

WHAT IS DEEP TECH – HELLO TOMORROW JAPAN

 

なぜディープテックが注目されるのか

有名なアクセラレータのYコンビネータをはじめ、VCなども投資領域をディープテックに広げてきています。

Corporations such as Google, Facebook, Amazon, IBM and Apple show increased interest towards deep tech applications in AI, virtual reality, drones, self-driving cars. Business accelerators also shift focus from narrow digital startups towards deep tech. In 2016 Y Combinator’s batch there were 32 deep tech startups including 9 in biotech, 4 in drones and 3 in advanced hardware.[8]
Deep tech – Wikipediaから引用

 

ディープテックが注目される理由として、短期的な成長・収益をベースにする近視眼的な起業やビジネス成長に対する反動、社会的な価値観の変化などが要因としてはありそうです。

アプリやウェブサービスなど、比較的資本がかからずアイデア勝負な、いわゆる「ライト」な領域は、ネタが枯渇してきたのかもしれません。

個人的に発見というか気づきを得たのは、ディープテックの動きというのは、以前からある「サスティナブルグロース」や「サーキュラーエコノミー」などの価値観ともつながってきていること。例えば、SaaSやMaaS、シェアリングエコノミーなどが普及してきていますが、これも買い替え需要という社会にとってはマイナスの作用も生むビジネスではないので、生産者やサービスプロバイダーは、モノを長持ちさせながらサービスを向上させるインセンティブが生まれるスキームになっています。

「本郷バレー」という言葉も生まれ、日本でも研究機関が持ってる技術にフォーカスされているようです。本書でも、日本は課題を多く抱える東南アジアに対して、地理的にも技術的にも貢献できる良いポジションにいる、と書かれています。

そういえば、最近の週刊ダイヤモンドの特集も、ディープテックと関連するものでした。

 

世界的なトレンドが生まれていて、日本でも様々な動きが出ているということが、理解できてきました。