総務省「アプリDE統計」とOECDのデータアプリを使ってみた

総務省が、オープンデータの取り組みの一環として、iPhoneで統計データを簡単に見れる「アプリDE統計」をリリースしていました。

アプリDe統計 1.0(無料)
カテゴリ: ライフスタイル
販売元: 総務省統計局 – Statistics Bureau,Ministry of Internal Affairs and Communications(サイズ: 12.9 MB)
全てのバージョンの評価: 無し(0件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応

総務省|「アプリDe統計」のiOS版の提供開始及びAPI機能のサービス拡充

アプリの機能は主に3つあって、以下のようになっています。

* City Stat → 地域の主要な統計情報をみる
* ポケット統計 → 主要な統計情報をみる
* とうけいどけい → クイズや自分用のグラフ作成

Toukei1

「City Stat」は、自分が住む場所や訪問した場所など、さっくり情報を知ることができるので、便利そうです。

Toukei2Toukei3

「ポケット統計」は、いろいろ統計情報が掲載されているのが良いのですが、横スクロールという非常に残念な感じでした。無いよりは良いと思いますけどね。

Toukei4Toukei5

あとは、人口や土地面積などのランキング機能があると良いな、と思いました。というか、誰かそういうアプリ作ってくれれば良いのですが。

 

また、参考のためにOECDがだしているiPhoneアプリも見てみました。

OECD data 1.0(無料)
カテゴリ: 辞書/辞典/その他
販売元: OECD – Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD)(サイズ: 4 MB)
全てのバージョンの評価: 無し(0件の評価)

英語ですが、データごとと国ごとにタブで分かれていて、それぞれで豊富にデータの内容を見ることができます。

OECD1

また、データからみると国ごとにランキングになっていて、グラフで表示されていることも○。スマートフォンという狭い画面でもうまく時系列推移などの情報を見せる工夫がされているな、と感じました。以下の画像はちょっとわかりづらいですが、右半分にある年代をスクロールで変えることができます。

OECD2 OECD3

全体として「統計DEアプリ」より操作性やデザインなどは良い気がします。ただ、なぜか僕のiPhone6だと、トップページの縦スクロールが機能していなくて、全てのデータや国をみることができませんでした。

 

オープンデータやオープンガバメントというのは、壮大なテーマであるものの、効果が見えづらいことからいまいち必然性に弱いところがあります。ただ、こうやって簡単に統計データを調べられると、統計を活用する場面が増えてくることが期待できるでしょう。ネットや普段の会話では、ファクトが曖昧なまま議論されることも多くあります。そういうときに、さくっと調べてファクトを確認できると、より建設的な議論が生まれるんじゃないでしょうかね。

総合スーパーの終わりと、ネットスーパーの始まり

イオンが業績悪化していることを、先日つぶやきました。

改めて、総合スーパーという業態がどうなっているのか書いておこうと思います。

「総合スーパー」という業態の衰退

イオンの業績悪化はGMS=総合スーパーが不振だったためと言われています。まず、マクロとして小売全体でみたときに、総合スーパーという業態に限界が出ているのがわかります。

retail

参考:
時系列データ|商業動態統計|経済産業省
販売統計|日本チェーンストア協会
日本百貨店協会 : 百貨店売上高

小売というのは業態の戦いでもあるので、消費者ニーズに合った新しい業態が登場すると、古い業態はシャアを奪われる運命にあります。総合スーパーも小さな商店から多様化する消費ニーズをワンストップで対応する、という時代背景からシェアを伸ばしてきたのです。そして、今度は総合スーパーが、コンビニやドラッグストア、専門店、インターネット通販などの新しい業態の隆盛によって、業態としては衰退期を迎えている状況です。

(参考:我が国流通業の現状と取組・課題について(PDF) )

イオンはそういう状況の中で、アジアへの進出や既存店の大規模改装などで業績回復を図ろうとしています。

ネットスーパーは強力な収益源になるか

今、ネットスーパーが少しずつ普及している状況です。試しにSimilarWebで、イオンのネットスーパーのアクセス数を調べてみたところ、月間30万アクセスとそれなりの数字がありました。

visits

インターネットでの買い物にいろんな人が抵抗がなくなり、品揃えの豊富さや家まで届けてくれる手軽さは、実用的なモノを買う点では、「わざわざ店まで買いにいかなくても」と思うだけの十分な理由になります。自分のことを思い返してみても、本や消耗品を中心に、どんどんネットで買う金額も回数も増えています。

また、Amazonは少し前からアメリカでは生鮮食品の販売を始めています。

知られざるAmazonの生鮮食料品配達サービス「AmazonFresh」とは? – GIGAZINE

これらを考えると、ネットスーパーという領域は今後も拡大していくでしょう。

ただ、ネットスーパーは収益化が難しい点が以前から挙げられています。商品の配送コストを吸収することができないのが問題点のようです。

実は儲からないネットスーパー。それでも各社が続ける理由とは? – NAVER まとめ
便利すぎるネットスーパー、でも実は儲かってないらしい | Lifeclip

一方で、生鮮食品を買うチャネルというのは非常に魅力的でもあります。日常の中で購買の頻度が高いからです。頻繁に買うチャネルとして選ばれることになれば、ついでにあれも買おう、これも買って配送してもらおうというようになるでしょう。そういう意味で、最初はコスト度外視でもチャネルを抑えてしまうという戦略は考えられます。

そのために、今後は購買のインターフェースも高度化していくでしょうし、物流も向上させていくんでしょう。まさに「オムニチャネル」としての対応が進みます。

いやーイチ消費者としてはネットスーパーがもっと普及して使いやすくなって、便利になれば楽しいな。今後が楽しみです。

雑誌読み放題サービス「dマガジン」に契約して、雑誌すごい読むようになった

以前、「今年買ってよかったもの(2014年版)」で、iPad Airで雑誌読むためにdマガジンに契約したことをちょっと書きました。

このdマガジンに契約してから、これまで時々本屋で立ち読みしたり、本当に興味があるものだけ買う程度でしたが、どっぷりいろんな雑誌を読むようになりました。久々に、自分の生活そのものを変えるサービスを導入したと思っています。

 

「dマガジン」をはじめとする「読み放題サービス」は十分実用レベル

dマガジンはドコモのコンテツサービスのひとつで、簡単にいえば電子媒体として雑誌の読み放題ができるというものです。

dマガジン | サービス・機能 | NTTドコモ

雑誌は100媒体以上あって、月額400円で読み放題です。東洋経済やプレジデント、クーリエ・ジャポンなどビジネス系雑誌はもちろんのこと、ファッション誌やカルチャー雑誌も結構豊富です。読み始めると、飽きずにいろんな雑誌を読んでしまう感じですね。

ソフトバンクの「ビューン」とか、auの「ブックパス」などいくつか同様のサービスはあるようですが、雑誌の読み放題としてはdマガジンの評判が良いようですね。僕も知人に教えてもらいました。ビューンは、dマガジンとラインナップや金額が近い感じしますね。ブックパスは本と雑誌がくっついていて、雑誌だけ欲しい僕としてはちょっと違いましたね。ちなみに、dマガジンはドコモユーザー以外でも登録可能です。少し前からドコモは戦略を転換させていて、ドコモユーザーに閉じる形じゃなくなっているので。

あと、ひとつ注意が必要なのは、読み放題サービスで提供されるコンテンツは必ずしも全ての記事が掲載されているわけではありません。それは各雑誌の戦略もあるのだと思うのですが、紙と比べると結構記事が抜けていたりします。紙のまま全てを電子化してサービスとして提供されているわけではない、ということです。

 

雑誌の価値を再認識できる「読み放題サービス」

dマガジンで改めて雑誌を読むようになると、雑誌はコンパクトで良質なコンテンツの集合体であることを再認識できます。テーマが明確で、文章もある程度洗練されていて読みやすい。画像やグラフなども工夫されていて、読み手を強く意識されているのがわかります。インターネットの玉石混交な世界に慣れると、雑誌が結構読みやすいコンパクトなコンテンツだなーと思うわけです。

以下にある通り、雑誌はある種カルチャーを表現したり形づくるものだったりします。

  必ずしも雑誌、という形である必要はないかもしれませんが、NewsPicksみたいに、プロが編集した優良コンテンツを有料で消費するというのはニーズがあるんだと思います。最近は、少しずつ昔の雑誌が復刻する流れもあるようですしね。

 

 

出版不況は新しい消費の形で進歩していくんだろうか

紙の出版はずっと落ち込んでいます。このサイトで示されている統計では、出版の販売金額がピークになったのは1996年で、2013年はそこから37%減少しています。

電子書籍の情報をまとめてみる

また、ここに分類別での出版数の推移がまとめられた記事があります。

出版物の分類別売上推移をグラフ化してみる(2014年)(最新) – ガベージニュース

これを読むと、雑誌や文芸、新書などは大きく落ち込み、コミックや文庫はまだ踏みとどまってる状況です。コミックは既に1/4が電子書籍になっており、電子書籍の普及によって全体の落ち込みを止めています。

さらに、最近は無料の漫画アプリが隆盛しており、手軽に楽しめるアプリを経由して、単行本の売上に結びつける形が生まれています。これなどは、スマートフォンを利用した新しいビジネスの形でしょう。

 

雑誌もコミックなどと全く同じとは思いませんが、やはり電子書籍は使い方によってはとても便利です。僕は電子書籍以外はあまり読まなくなりましたし、確実に本の購買金額は増えています。ユーザーニーズに合わせた消費の形を提供することが、市場を拡大させるひとつの方向性になると思います。

 

というわけで、dマガジンをはじめとする「雑誌の読み放題サービス」で、雑誌を再発見してみてください。

忙しいけど結果が出ないあなたにおくる「エッセンシャル思考」

○○思考という本はたくさんありますが、このエッセンシャル思考はどちらかというと自己啓発寄りです。

自己啓発の大著「7つの習慣」とかAppleの思考を述べた「Think Simple」に通じるものがあるかな、と思いました。

 

現在は選択肢多すぎる。本当に大事なものにエネルギーを注ぎ込もう。

一言で言ってしまえば、そういうことです。ただ、これを実現するのは意外に難しい。その難しさをどう乗り越えるかが、本書には書かれています。

 

自分にとって本当に重要なことが何なのかがわからない

例えば、ワークライフバランスという言葉があります。働き始めたとき、この言葉が正直ピンときませんでした。仕事を精一杯頑張って、必要であれば休日も働いて、早く一人前の社会人になろうと思っていた時期でした。

でも、その後結婚して家族ができたときに、「あれ?猛烈に働くのは良いけど、家族との時間がないのになんで結婚したんだっけ?」ってふと思ったんですよね。自分にとって仕事ももちろん大切だけど、家族との時間も大切じゃないか。そのバランスを取ること=ワークライフバランスなんだって気づいた瞬間があったんですよ。

これは家族の例ですが、自分にとって何を大事にするか、何を優先するかが明確であれば、判断に迷うことは少なくなります。それが意外とできてないことが、エッセンシャル思考を実践する難しさのひとつにあります。

管理職は、優先順位を明確にして、チームがどこにエネルギーを注ぎ込むのかを定めなければいけません。「これとこれが同時にきたら、こっちを優先する」って決めるのが管理職です。そのためには、「なぜこっちを優先するのか?」がちゃんと自分の中に定まっていないといけないのです。

 

全てはトレードオフの関係にある。何かを選べば何かを捨てなければならない。

だんだん仕事が増えていったり、家族ができたから、自分の時間に対してトレードオフを強く意識するようになりました。だって時間がないし。何かをやろうと思ったら、何かを諦めないといけない。というか、たくさん有りすぎるので、優先順位を決めてやらないと重要なものがいつまでたっても片付かない。

自分で全てコントロールできれば良いのですが、例えば自分以外の誰かと関わる用事になると、途端に難しくなります。断ろうにも日程を変更しようにも相手の都合があるし。そういうときは、ちゃんと事前に断るなど、期待値を下げておく必要があります。

いろんな経営者の本を読むと、飲み会には行かない、あるいは一次会で帰るって書いてる人が結構いました。勉強に集中したい時期は、付き合いの飲み会は一次会で帰っていました。人との関係も大事にしたいですが、二次会・三次会までいくと、勉強の時間を確保できなくなるので。そうやってどこかで折り合いを付けないといけないと思いますし、いろんなこともちゃんと自分で理由をつけてはっきり断っていくと、周りの人も別に何も言わないもんだな、と実感しました。

 

大切なことをもっと長期的に考えて、いろんな判断を研ぎすませたいな、と思った一冊でした。

Yahoo!カーナビを使ってみて、カーナビ機器の終わりをみた

少し前にYahooから新しいモバイルアプリとして、「Yahoo!カーナビ」が発表されていました。

Yahoo!カーナビ – 渋滞情報もデータ更新も無料のナビアプリ 1.5.1(無料)
カテゴリ: ナビゲーション, ライフスタイル
販売元: Yahoo Japan Corp. – Yahoo Japan Corporation(サイズ: 30.6 MB)
全てのバージョンの評価: (5,046件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応

で、今乗ってる車が年季たってて、カーナビに搭載されてる地図情報が古くなってきたのもあり、このアプリを使ってみました。

 

シンプルな道案内なら、この無料アプリでもう十分

使い勝手とか、GPSの精度とか、音声案内のタイミングとかどうなんだろう?と思っていましたが、全然使えました。目的地の設定も検索から簡単にできますし、GPSの精度も運転に支障がありませんでした。「あと300Mで右方向です」みたいな音声案内のタイミングも特に不満なかったですね。

複数経路からの選択、複数目的地の登録などは機能としてありませんが、シンプルに目的地へ向かうという点では十分なんじゃないかと思います。最近のスマホは大画面化してきてますし、運転中に見ても特に支障ないと思います。

本気で、次車買うときにはカーナビ搭載しないかもなーと思いました。

 

カーナビ市場は縮小の一途

カーナビって昔は10万とか20万とかするぐらい高いものでした。それが、どんどんコモディティ化して価格が下がっていきました。ダッシュボードに据え付けないモノやPNDという携帯できる端末など、車と切り離した形も登場し、1万円台でも買えるようになってきました。

地図データを販売するゼンリンも、カーナビの低価格化、スマホシフトは業績に影響が出ているようです。以下は2014年3月期の決算発表資料ですが、売上・利益の減少理由としてそのような内容が記載されています。

zenrin

2014年3月期 決算説明資料より抜粋)

 

カーナビの発展を見ると、まさに「イノベーションのジレンマ」で説明されていた過程をたどっている気がしますね。ある製品が登場し、改良が加えられ、様々な機能が追加されると、いずれ市場の期待値を超えます。つまり過剰スペックになるんですね。そういう状況にある製品は、全く別のアプローチから作られた廉価な製品に市場を奪われることになります。

カーナビは、オーディオを統合したり、カーナビ画面のUIを改良してきましたが、PNDやスマホなどの廉価版に対抗するだけの「必然性」は失われたのでしょう。

 

あらゆる情報端末を取り込んでいくスマホのインパクト

それにしても、スマホのインパクトはすごいと改めて思います。情報端末をどんどん取り込んで、その市場を奪っています。ゲーム機では、ライトユーザーの市場をスマホが奪ってしまい、市場規模では家庭用ゲーム機市場を逆転しています

ゲーム機対決最終章 スマホ台頭、主戦場クラウドに  :日本経済新聞

こういうのを使えば、家庭に複数あるリモコンも不要になるようです。

他にも、情報通信や情報処理を行うたくさんの端末を、今後も取り込んでいくことでしょう。スティーブ・ジョブズは、本当にインパクトが大きい製品を作ったと改めて思いますね。

 

情報のリアルタイム性が上がってる

もうひとつ、情報のリアルタイム性のニーズが高まっています。ちょっと前なら我慢されたことも、今ならどこでもスマホで調べてインターネットから最新の情報を探すことができます。カーナビも、生活に困るということはありませんが、新しい店が地図に出てない、古い道路情報のままになっているなど、「情報が古い」という問題をスマホで解決できるようになってます。

ゲーム機も最近はインターネットに接続するようになっていますが、ハードに依存してしまうと情報がどんどん劣化してしまい、常に最新情報を持つインターネットデバイスに勝てなくなります。情報のリアルタイム性は、今後一層重要になっていくでしょう。

 

そういえば少し話がそれますが、先日発表されたWindows10も、「Windows 10へアップグレードされたならば、デバイスのサポート寿命までそれをつねに最新でセキュアにし、機能を提供し続ける」ことが発表されました。これなんかも、情報のタイムラグが発生すると、セキュリティや利便性などの面で不都合が生じることへの対応だと思います。

Appleは、デバイスを含めてコントロールしていることで、iOSのバージョンアップが早く普及するだけでなく、古いバージョンと新しいバージョンが混在しない状況を創りだしています。WindowsやAndroidはハードをベンダーに委ねているので、どうしてもバージョンなどがばらついてしまうんですようね。今回のWindows 10でそこが発表されたのは、象徴的だなと思いました。

 

というわけで、シンプルなカーナビで十分な人は、もうスマホがあれば車に搭載する必要はないですよ。

ペイパル・マフィアが書いた起業本「ゼロ・トゥ・ワン」

 

日本は開業率が5%程度で、アメリカの10%と比べると低いと言われています。この開業率を高めて、日本も新しいビジネスを活発化させる必要がある、というのは以前から聞く話です。では起業し、成功させるには何が必要なんでしょう。

参考:日本の開業率を5%から10%に引き上げるために何をすべきなのか

 

シリコンバレーなどIT系の起業が盛んなアメリカでは、Paypalを創業したメンバーが次々と新しいサービスを誕生・成功させており、彼らは「ペイパル・マフィア」と呼ばれています。

「ペイパル・マフィア」が世界を変える!? « WIRED.jp

その「ペイパル・マフィア」の一人、ピーター・ティールが書いたのがこの「ゼロ・トゥ・ワン」です。

実際にスタンフォードで行っている講義の内容が書籍化されたそうで、大変面白かったです。日本版の序文は「[僕は君たちに武器を配りたい](僕は君たちに武器を配りたい)」の瀧本哲史さんで、序文を読むだけでもちょっとテンションが上がります。

 

起業を考える上で最も重要な質問

本書では、起業する上で最も重要な質問が述べられています。それは、次のような感じです。

採用面接でかならず訊く質問がある。「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」  ストレートな質問なので、ちょっと考えれば答えられそうだ。だけど実際には、なかなか難しい。学校では基本的に異論のない知識しか教わらないので、この質問は知的なハードルが高い。それに、その答えは明らかに常識外れなものになるので、心理的なハードルも高いからだ。明晰な思考のできる人は珍しいし、勇気のある人は天才よりもさらに珍しい。

この質問が重要視されるのは、起業において最も重要である「市場の独占」を実現するためです。反対する人が多いほど、成功したときのインパクトが大きく、独占しやすい。ピーター・ティールが述べているのはそこであり、その出発点にこの質問があるわけです。

資本主義と競争の関係を述べたのが、以下の下りです。

アメリカ人は競争を崇拝し、競争のおかげで社会主義国と違って自分たちは配給の列に並ばずにすむのだと思っている。でも実際には、資本主義と競争は対極にある。資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行なってはならない。

これは僕も正しいと思います。企業間の競争は、双方の品質向上・価格低下やイノベーションを誘発する働きもありますが、不毛な競争が企業を疲弊させ、市場全体も育たせない危険も孕んでいるものです。特に初期段階ではそうじゃないでしょうか。

 

リーンスタートアップとの対比について

本書はどうやら、「リーンスタートアップ」との対比で語られることが多いようです。例えば、こんな感じ。

「MVP」なんていうちっぽけな考えは捨てよう。一九七六年にアップルを創業して以来、ジョブズはフォーカス・グループの意見を聞かず、他人の成功を真似ることもなく、念入りな計画によって世界を本当に変えられることを証明した

MVPというのは、Minimum Viable Productの略で、必要最小限の機能だけ実装した製品のことを指します。製品を充実させることも重要ですが、それよりも主要な機能だけでリリースして改善していった方が良い、ということです。

読みながら、僕はリーンスタートアップと比較することに違和感を覚えましたけど。リーンの考え方はトヨタ生産方式をベースにしており、あくまで不確実性を生き抜くためのプロセスに関する考え方。本書は、リーンスタートアップの考え方が、企業のビジョンや大きな計画を持つことなく、なんでもとりあえずやってみようというような考え方になってることに対するアンチテーゼだろうと理解しました。

それ以外にも、人材採用やCEOの報酬、マーケティングについても、独自の観点で重要な考え方が述べられています。

起業家、投資家として実績ある「ペイパル・マフィア」の本であり、これまで流行ってきたリーンスタートアップに対してアンチテーゼを提起しているという点でも、一読の価値はあると思います。

 

これからはドローンの時代

いろいろ新年になって予測関係の記事が出ていますが、僕もひとつ予測というか近い将来で思うことをひとつ。個人的には今年はドローンが拡大していくんだと思っています。 一昨年は電子書籍、昨年はウェアラブルが個人的にブレイクした年でした。

 

ドローンとは?

succo / Pixabay

ドローンというのは、無人飛行機のことです。

無人航空機 – Wikiwand

昔から無人飛行機はありましたが、最近はITと結びついて、手軽に高度な操作を行うことができるのが特徴になっています。

ドローン技術の進展については、このあたりの動画を見るとわかると思います。すごい進んでます。

米アマゾンがほれ込んだ スイスのドローン魔術師  :日本経済新聞

 

たくさん新しい商品が登場している

個人向けでお手軽に買えるドローンが登場してきてます。

【買ってよかった】 一万円ぐらいで買えるドローン『ローリングスパイダー』が楽しい | IDEA*IDEA

 

僕としては、このZanoが欲しいですね。KickStarterで資金を募ったところ、大幅に超過するぐらい資金が集まったというシロモノです。

スマホでカメラを調整でき自動追従モード搭載で「自撮り」に最高の小型・軽量ドローン「ZANO」 – GIGAZINE

Zanoには、これだけ小さい機体ですが優れた自動制御機能がついているそうです。これぐらい高度な機能がついて、スマホから操作できる機械が、手が届く価格で売っているのですから、時代の進化に驚きます。

上空からの自己撮りができる超小型ドローンZanoには優れた自動制御機能あり – TechCrunch

 

個人利用だけじゃなくて商用にも、アマゾンが配送に使うという話もありますし、農業の肥料散布など、様々な領域でドローンは使われるだろうと予想されています。

無人航空機「ドローン」 流通革命にとどまらないその影響 データ収集が導く「新たなフロンティア」 WEDGE Infinity(ウェッジ)

溺れる人を救うためのドローンプロジェクトが始動へ – TechCrunch

センサーを積んだドローンが空から様々な情報を集めて、新しいデータ分析などに基づくサービスも生まれるでしょう。

 

さらに今後は、このあたりの法規制も進んでいきます。

「ドローン」航空法で規制 民間企業の利用急増、事故や軍事転用を懸念 (1/2) – ITmedia ニュース

 

これからはどういう社会になる?

今後、ドローンは市場拡大を続け、雇用も創出すると予想されています。

米国際無人機協会(Association for Unmanned Vehicle Systems International:AUVSI) が発表した「ECONOMIC REPORT」によると、ドローンの市場規模は2025 年までに米国内だけでも820億ドル(約9兆6000万円)に達し、10万以上の雇用を生み出すと予測している。

「空の産業革命」をけん引するドローンの可能性–用途拡大で求められる法整備 – ZDNet Japan

「機械との競争」のTEDスピーチでは、これまでの時代では、汎用的な技術が生み出されると、いろんな領域で活用されて生産性が大きく向上してきた、と説明されています。ドローンも汎用性が高く、いろんな領域で使われていくことになるでしょう。様々な分野で生産性が向上していき、競争優位性が変わっていきます。

 

また、上記スピーチでは、生産性が向上しても雇用が生まれてきていないと言われています。今後、技術がどう使われ、そして雇用が創出されていくかは、法制度なども関係していくかもしれません。また、関係する人たちは新しい価値を探る必要があるかもしれません。ゲームチェンジャーは遠くから急にやってくると言いますしね。

地方ローカルで生きる企業はどこを目指すべきなのか

地域経済について考えることが多くなっていますが、それに関する本として話題になっていたので、読んでみました。

いやー正直、久々にガツンときた一冊でした。簡単にいえば、グローバル経済圏とローカル経済圏というものを別で捉える必要があり、特に雇用の受け皿であるローカル経済圏にどのような改革が必要であるかを説いています。

MBAを学習し、中小企業診断士でもある自分としては、この違いを正確に捉えることは本当に必要だと痛感しました。MBAで学んだ経営理論は、どちらかというとグローバル経済圏を想定した内容になっていて、ローカル経済圏で生きる中小企業にはそのまま当てはまるわけではないのです。

 

ローカル経済圏で生計を立てている人たちはどれぐらいいるのか

ローカル経済圏で生計を立てている人たちはどれぐらいいるのでしょうか。もちろん、厳密に定義することは難しいのですが、割り出してみましょう。

中小企業白書によると、企業数でいえば99.7%が中小企業です。従業者数でみると、7割ぐらいが中小企業で働いています。

mid-small

(2014年中小企業白書のデータに基づき、作成)

 

そのうち、9割が「小規模事業者」に分類されます。さらにそのうち、ローカル経済を対象にしている企業は、8割ぐらいいます。

global-local

(2014年中小企業白書のデータに基づき、作成)

 

 

えー数字がならんでわかりづらくなっていますが、まとめると以下になります。

  • 労働者全体の7割が中小企業勤務
  • 中小企業の9割は小規模事業者
  • 小規模事業者の8割はローカル経済を対象にビジネスをしている

これを掛け合わせると、ざっくり労働者の半分ぐらいはローカル経済を対象にしたビジネスに従事していることになります。もちろんざっくりですし、ローカル/ローカルじゃないの区別は明確ではないのですが、結構な数がローカル経済に生きているということが感覚的にわかります。

 

ローカル経済はグローバル企業と何が違うのか

冒頭で述べた通り、グローバルと論理が違うのがローカル経済になります。どういう点が違うのかといえば、僕なりの理解でこの本を解釈すると、

  • 労働集約的な産業が中心(物理的な移転が難しい)
  • 労働集約的であるが故に、人材に求められる技能レベルが高くない
  • 人材の流動性が低い
  • 企業の競争性が不完全であり、生産性が低い企業の淘汰が起こりづらい

というところでしょうか。正直、難しい点が指摘されていますが、感覚的には合っていると感じています。やはり企業や人材の流動性を高めていく、生産性が高い企業が生き残っていく、という流れを作っていく必要があるのでしょう。

特に、地方は人口がこれから激減していきます。良い企業が生き残り、多くの人が(賃金も含めて)有意義に働ける地域を作るという点で、企業政策を考えていく必要があるんじゃないかと。

今年読んだおすすめのビジネス書10冊(2014年版)

今年もそろそろ終わりー。一年で読んだビジネス書の中で、特に良かったな、と思える本をピックアップしました。長い休みの期間は、普段の忙しさをちょっと忘れて、本当に大事なことを考える重要な時期です。思考を深めるための読書にどうぞ。

 

経営戦略全史

今年一年で考えると、これがベストバイでした。これまでも本やビジネススクールで様々な経営理論やフレームワークを学びましたが、この一冊でいろんな戦略がひとつの線でつながる、知的快感は見事なものです。

参考:経営戦略を学び直して、本当の意味で理解するための「経営戦略全史」

 

また、ビジネスモデル全史もおすすめです。

 

リーンスタートアップ

経営戦略全史を読んでから、この本を読みました。不確実性が高い今の時代に適合した経営理論として、理解しておく必要があります。特に、スタートアップや事業立ち上げには必須ですね。

参考:不確実性の高い現代で、リーンスタートアップをなぜ学ぶべきか

 

関連して、この本も良かったです。リーンスタートアップをベースにして、より具体的にスマホアプリのサービスなどをスピーディーに成長させる考え方が描かれてます。

 

知識創造企業

ナレッジマネジメントに関する少し古い名著なのですが、今年読了しました。ややタフな内容ではあるものの、情報化社会である今、必読だと思います。組織に効果的に情報を流すことで、各自が判断しやすくなり、新しいアイデアを誘発することにつながります。

参考:創造的なアイデアを生み出す組織をつくるためには

 

具体的な実践のポイントという点では、こちらの本を続けて読むことがおすすめです。

 

ヤバい予測学

個人的に、今年はデータアナリティクスを本格的に考えるようになった一年でした。ウェアラブルデバイス、IoT、ビッグデータなど様々なデータをビジネスに直結させることが、新しい付加価値を生み出せるんだと確信しています。この「ヤバい予測学」は、データ分析のモデルをどう作り上げていくかを実例を交えて丁寧に説明しており、データ分析に少し興味を持った人が読むには、最適だと思います。

参考:「ヤバい予測学」を読んで「R」を学んだら、データアナリティクスの可能性を肌で感じた

 

あと、日本企業におけるデータアナリティクスを知るのであれば、この本が良いんじゃないかと。

 

年収は「住むところ」で決まる

「地方消滅」「地方創生」など、地方に関するキーワードが飛び出しましたが、個人的にも地方社会が今後どう形成されているかの関心を深めた一年でした。

イノベーティブな企業が起こり、ハイクラスな人たちが集積することで、地域全体が豊かになることを示した本書は、企業の単位で捉えるのではなく、地域全体の経済構造で捉える重要性を教えてくれました。

参考:年収は「住むところ」で決まる

 

2100年、人口3分の1の日本

上記と関連して、地方ネタになります。出版されたのは少し古いのですが、人口歴史学の観点から、今後の日本がどうなっていくのかを示してくれます。いろいろショッキングな事実が多かったです。

東京一極集中が効率的だなーと思っていましたが、これを読んで少し考え方が変わりました。経済成長が鈍化し、新しい課題に答えられなくなった政治機構には、どこかで限界がやってくるのかもしれません。

参考:人口が減少していく日本の地方はどうなるのか

 

なぜローカル経済から日本は甦るのか

本書が発売されてから、いろいろ注目されている「GとL」ですが、これは目からウロコな事実が多く、刺激たっぷりです。正直、この記事を書いている段階では読み終えていないのですが、それでもおすすめできるほど刺激的な内容になっています。

これも、前述の二冊と同じく、地方経済への捉え方を新しくしてくれる一冊といえるでしょう。

 

ビットコイン あたらしいネットビジネスの教科書

Mt.GOXの倒産など、ビットコインが注目されましたが、これは本当画期的な仕組みだと思っています。決済ビジネスも盛り上がってきていますし、デジタル資産を保護しつつ、どうやって流通させていくかという点でも注目です。

また、政治機構がこれまで与えていた許可や認証の枠組みは、ビットコインなど「仕組み全体で保護する」ものと相対するものになります。統治機構の今後についても、考えさせてくれるでしょう。

参考:ビットコインなどの仮想通貨はなぜ普及しているのか

 

もう少し広い視点で、このあたりがどうなっていくのかを知りたければ、Google会長のエリック・シュミットが書いた「第五の権力」がおすすめです。

 

成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?

最近勢いある企業を知るということは、市場のニーズや経営環境を把握することができるものです。出店を急拡大させている成城石井の成り立ちから強み、なぜ今の市場環境に適合できているのかは本書を読むとわかります。

参考:成城石井はなぜローソンに買収されたのか

 

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? V字回復をもたらしたヒットの法則

これも成城石井と同じく、勢いがある企業として。USJの戦略もさることながら、著者のマーケティングに対する考え方、思考プロセスなどがとても有用で、刺激を受けた一冊でした。

参考:革新的なアイデアはどんな人でも思いつけるかもしれない。この本を読めば

 

まとめ

今年は、ビジネススクールを卒業してから改めて企業戦略やナレッジマネジメントを見つめなおすとともに、地域経済について多くを考えるきっかけをつくる本を多く読みました。

来年はドローンが来ると思ってます!

今年買ってよかったもの(2014年版)

今年買って、自分の生産性を上げてくれたもの、生活を豊かにしてくれたものを集めました。よろしければ、クリスマスの自分のご褒美にどうぞ。

 

iPad Air

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今年初めてタブレットを導入しました。

リビングにいるとき、ちょっとネットで調べる、電子書籍を読むなど、簡単なものはこれで済むようになりました。見やすいし、簡単な操作であればノートパソコンより使いやすいです。

参考:iPad Airを買ったら、新しい生活がやってきた

 

あと、合わせてドコモのdマガジンも導入しました。雑誌が月額400円で読み放題とか、便利すぎて仕方ない。プレジデントや東洋経済、日経ビジネスアソシエとか、読み放題ですよ。もちろん、それ以外の趣味系やファッション系の雑誌も読み放題です。これまで買ってまで読まなかった雑誌を、dマガジンですごい読むようになりました。

dマガジン | サービス・機能 | NTTドコモ

 

iPhone6

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スマホをiPhone5から買い替えました。

画面が大きいのは、なんだかんだで見やすいです。目への負担が減った感じ。あと、カメラも質が良くなりました。バッテリーもiPhone5に比べて長持ちです。

スマホは自分の生産性を上げてくれる一番身近なものなので、非常に重要です。今年一年では、電子書籍が日常で当たり前になり、スマホでよく読むようになりました。

 

Bluetoothイヤホン

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今年はIoTが普及し始め、Bluetoothの利用が自分的に本格化しました。Podcastを快適に聴きたくて買ったのがこのイヤホンです。

コードがなくなるのがこれほど快適なのか!と思うほど、便利に感じました。値段が高くないのも良いですし、片耳だけというのは、外の音を聞きながら作業できるので、誰かに話しかけられても気づくことができます。

 

Jawbone UP24

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今年は健康に目覚めた一年でもありました。ウェアラブルデバイスによって、自分の生活を見つめ直すことができました。いろいろ健康系のウェアラブルデバイスがありますが、選択したUP24は満足できる一品でした。

歩数や睡眠を簡単に計測できること、デザインが普段の生活に邪魔にならないこと、他のアプリと連携しやすいことが特徴です。

参考:ウェアラブルデバイス「Jawbone UP24」を買ったら生活が激変した

 

ビジネスシューズのインソール

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靴の中敷ですね。健康を考えたとき、あまり足に疲れが出ないようにしようと思いました。靴のインソールを導入したら、足を踏むたびに感触が柔らかくて、気持ち的に疲れにくくなりました。

参考:ビジネスシューズにインソールを足すと劇的に生活が快適になる!

 

ついでに、足指パットも買ってみました。あまり効果を感じてないのが正直なところですが、自分の歩数が足りないせいかもな、と思ってます。もう少し歩いて姿勢をよくしたいです。

 

靴磨きセット

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同じくビジネスシューズつながりで。ちゃんとビジネスシューズを磨いて、きれいな状態に保たないとな、と思いつつ、ちゃんと手入れができていませんでした。

でも、このセットを買ってからは億劫にならなくなりましたよ。ちゃんと磨くとピカピカになるし。

参考:もう一度学び直す。靴磨きセットを買って履き古した革靴をピカピカに

 

電気ケトル

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冬になって、温かい飲み物がおいしい季節になりました。電気ポットは持っていなくて、やかんでお湯を沸かしていたのですが、なんとなく面倒に感じてました。そこで電気ケトルを導入したら、手数が減ってお湯を入れるのが簡単になりました。ちょっと手間が減るだけで、こんなにストレスが減るだなんて!

買ったのはこちら。

デザインが馴染みやすくて、先端が細く、注ぎやすいのが特徴です。

 

まとめ

今年はあまり大型な買い物はありませんでした。価格的にはiPad、iPhoneが高かった感じですね。また、IoTやウェアラブルが本格的になった一年でした。Apple Watchも発表されましたしね。来年はもっといろんな製品が登場すると思います。

来年は、何を買って生活を豊かにできるか、今から考えてワクワクしますわー。


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