革新的なアイデアはどんな人でも思いつけるかもしれない。この本を読めば

少し前に「プロフェッショナルの流儀」に登場して話題になっていた、USJのマーケッターの本を読みました。偶然、プロフェッショナルの流儀も見ていたんで、とても興味がわきました。

 

USJが開園から一度経営危機を迎えたのは知っていましたが、最近V字回復したというのは知りませんでした。実際のV字回復の様子はこの記事などを見ればわかると思います。

東京ディズニーランド・シー & USJ の入場者数の推移をグラフ化&比較(1983年~) –

読み物としても面白いのですが、なんといっても興味がわいたのは「どうやって困難な状況を打開するアイデアを思いつくのか」という点でした。「プロフェッショナルの流儀」をみた率直な感想としては、「柔軟な発想を才能として持った人ではなく、左脳思考寄りの人だな」という印象でしたし、実際に本人もテレビや本書でそう書かれていました。

それでも結果は出ていますし、いろんなアイデアを思いつき、実行しています。つまりその人なりのノウハウがあるはずだ、と思い本書を読んだのです。

 

アイデアを思いつくのが苦手と思っている人こそ読むべき

アイデアを思いつくというのは、簡単ではありません。後で「なんだ、そんなことか」と思うようなことであっても、それは後で結果を見たからそう思うのであって、思いつくまでの過程はとても大変なものです。

本書では、そういう状況に置かれたときに、いかに効率的に成功率が高いアイデアを創出できるのか、という方法が「イノベーション・フレームワーク」として書かれています。詳細はぜひ本書を読んで欲しいと思いますが、何気なく自分が普段やっているアイデアの求め方なども、見直さないといけないなと思わされました。また、なんといってもアイデアを探求する姿勢というか強い思いには、心動かされるものがあります。

それ以外にも、USJのマーケター就任直後に定めた「3段ロケット」による経営向上のアプローチや、数字に基づくマーケティングの考え方など、随所に書かれているポイントが、仕事の考え方としてとても参考になりましたし、いくつか取り入れたいなと思いました。

 

中小企業が勝つには「アイデア」が必要になる

本書の最後のあたりに、「中小企業がビジネスで勝つには「アイデア」が必要」と言っている部分があり、とても感銘を受けました。中小企業は大企業と比べて資本が小さく、ポートフォリオを組むことがほとんどできません。何かが失敗してもこっちがあるから大丈夫、というようなビジネス戦略を取りづらいのです。なので、本業一本勝負をしなければいけないのですが、そこで差別化・付加価値を見出すためには、やはり「アイデア」が重要なエッセンスになるのです。

中小企業診断士を取得してから、社会における中小企業に重要さとともに、経営資源の少なさからくる制約の多さ、経営の困難さを実感するようになりましたが、「アイデア」によって少しでもそれを打開できるのではないか、と思えるフレーズでした。

とにかく、どこにいてもアイデアを発想し、それを実際に形にしていくことには、大きな困難が伴いますが、それでもその先には大きな喜びが待っているでしょう。この本を読むと、自分でももっと思いつけるんじゃないかと思えるから不思議です。

 

それ以外にも、USJのV字回復のストーリーとしても、エンターテイメント業界を知るという意味でも面白い一冊です。マーケッターの実情を描いた本ってあまり読んだことがなく、そういう点でも新鮮でした。新しいビジネスの発想を求めている人はどうぞ。