地域経済について考えることが多くなっていますが、それに関する本として話題になっていたので、読んでみました。
いやー正直、久々にガツンときた一冊でした。簡単にいえば、グローバル経済圏とローカル経済圏というものを別で捉える必要があり、特に雇用の受け皿であるローカル経済圏にどのような改革が必要であるかを説いています。
MBAを学習し、中小企業診断士でもある自分としては、この違いを正確に捉えることは本当に必要だと痛感しました。MBAで学んだ経営理論は、どちらかというとグローバル経済圏を想定した内容になっていて、ローカル経済圏で生きる中小企業にはそのまま当てはまるわけではないのです。
ローカル経済圏で生計を立てている人たちはどれぐらいいるのか
ローカル経済圏で生計を立てている人たちはどれぐらいいるのでしょうか。もちろん、厳密に定義することは難しいのですが、割り出してみましょう。
中小企業白書によると、企業数でいえば99.7%が中小企業です。従業者数でみると、7割ぐらいが中小企業で働いています。
(2014年中小企業白書のデータに基づき、作成)
そのうち、9割が「小規模事業者」に分類されます。さらにそのうち、ローカル経済を対象にしている企業は、8割ぐらいいます。
(2014年中小企業白書のデータに基づき、作成)
えー数字がならんでわかりづらくなっていますが、まとめると以下になります。
- 労働者全体の7割が中小企業勤務
- 中小企業の9割は小規模事業者
- 小規模事業者の8割はローカル経済を対象にビジネスをしている
これを掛け合わせると、ざっくり労働者の半分ぐらいはローカル経済を対象にしたビジネスに従事していることになります。もちろんざっくりですし、ローカル/ローカルじゃないの区別は明確ではないのですが、結構な数がローカル経済に生きているということが感覚的にわかります。
ローカル経済はグローバル企業と何が違うのか
冒頭で述べた通り、グローバルと論理が違うのがローカル経済になります。どういう点が違うのかといえば、僕なりの理解でこの本を解釈すると、
- 労働集約的な産業が中心(物理的な移転が難しい)
- 労働集約的であるが故に、人材に求められる技能レベルが高くない
- 人材の流動性が低い
- 企業の競争性が不完全であり、生産性が低い企業の淘汰が起こりづらい
というところでしょうか。正直、難しい点が指摘されていますが、感覚的には合っていると感じています。やはり企業や人材の流動性を高めていく、生産性が高い企業が生き残っていく、という流れを作っていく必要があるのでしょう。
特に、地方は人口がこれから激減していきます。良い企業が生き残り、多くの人が(賃金も含めて)有意義に働ける地域を作るという点で、企業政策を考えていく必要があるんじゃないかと。