経営を志す人なら読むべき。「ITビジネスの原理」

これは、経営に携わる人、志す人なら必ず読んだ方が良い。それぐらい良い本です。

ITビジネスというのは、非常に早いスピードで進化し、変化しているわけですが、ここまでシンプルに、原理として落とし込めている本というのは、なかなか存在しないと思います。非常にわかりやすい。

GoogleとFacebookの違いについて、

GoogleよりFacebookの換金化が比較的難しいのは、ユーザのインテンションが読み取りにくいことに起因しています。

という一言で表現してしまうあたり、ぐさっと刺さるものがあります。

インターネットの勃興からウェアラブルなどこれからの見通しまで、ひと通り整理されているので、ぜひいろんな人が読んだ方が良いんじゃないかと思っています。インターネットでどうやってお金が生まれているのか、というビジネス面から解説されていますので。Pintarestが注目されている理由、Twitterよりもトラフィックをもたらしている理由も、この本を読むとわかります。

PintarestはTwitterよりもトラフィックをもたらしている

昨日の任天堂ではないですが、外部環境がどんどん変わってきてしまって、戦略を柔軟に見直したり、先を読む力が経営には求められています。そのときに、原理を捉え、この先がどう向かうかを考える。そのきっかけをこの本は与えてくれるでしょう。

ウェアラブルの時代到来と、任天堂の今後の戦略

最近、iPhoneアプリで歩数計を導入しました。歩数をカウントするやつ。運動不足を自覚していて、何とかしないとなーと思っていたところで、ふと歩数をカウントしてみたら、やる気になるんだろうかと思い立って導入してみた。

導入したのは、Walkerというアプリです。

Walker – 歩数計 Lite 2.1.3(無料)
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, ライフスタイル
販売元: Studio Amuate – Naoya Araki(サイズ: 6.9 MB)
全てのバージョンの評価: (3,659件の評価)

多少の誤差はあると思いますが、感度はまずまずで、普通に使えます。

実は最初は、Movesというアプリを使ってみたんです。

Moves 2.0.3(¥300
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, ライフスタイル
販売元: ProtoGeo – ProtoGeo Oy(サイズ: 8 MB)
全てのバージョンの評価: (516件の評価)

機能としては全く問題ないのですが、アプリを使うためにはGPSロガーの機能を常にOnにする必要があり、バッテリーや通信の浪費が激しかったので、Walkerに切り替えました。Walkerも一応GSPロガーとしての機能もあるようですが、歩数カウントだけで使うことができたので。

GPSロガーと歩数と両方使いたい人は、Movesの方がおすすめです。

ウェアラブル時代が到来します

歩数計アプリを使ってみて、自分でも驚いたのですが、やはりデータが可視化されると、自分の意識に変化が芽生えることです。「え、こんな歩いてないの?」というのが事実として突きつけられると、「もう少し歩こう」という行動に変わりますし、実際に歩数が増加すると達成感も得られます。

今回自分が歩数計アプリを試してみて、自分の行動を可視化することで、新しいモチベーションを生み出すことができるんだな、ということを実感しました。

さて、いろんな人が「これからはウェアラブルがくる!」と言及されていますが、僕も間違いなく新しいジャンルを開拓していくんだと思います。詳しいところは、この本を読むと良いでしょう。ウェアラブルの現状や今後予想される展開について、丁寧に描かれています。

英語多読したい方に伝記「Who Wasシリーズ」がおすすめ

英語の多読で頑張っている方々へ。あるいは、これから始めようと思っている方へ。

英語の多読には伝記がおすすめ

英語の多読を続けていくためには、「英語を読んで理解できた」という感覚が非常に重要です。そのためには、伝記が最適だと思うのです。なぜなら、予め簡単に名前や人物像などは知っているけれど、細かいことは知らない、という状態であることが多く、読んでいてイメージしやすいからです。

これが小説の場合だと、最初の場面設定や人物設定など、物語の前提となるところから読みこなさなくてはいけません。まずは英語に慣れていく、という意味では無理して小説を読むよりは、伝記を読む方が楽しく読書ができるはずです。

 

Who Was…?シリーズが良いですよ

というわけで、伝記を読むなら、平易な英語で構成されていて、非常に読みやすい「Who Was…?」シリーズがおすすめです。例えば、スティーブ・ジョブズやアインシュタインなどがあります。

また、100ページ程度で読み終わるまでの量も絶妙で、少し多読に慣れてきた人にはちょうど良い長さです。ぜひお試しください。

ヘレンケラー

ウォルト・ディズニー

J.K.ローリング

他にもたくさんシリーズがあります。よろしければ、どうぞ。

 

さらに、洋書を読むなら、Kindleが便利です。電子書籍にすると、いつでもどこでも気軽に読めることができるようになるので、英語に触れる機会を増やすことができます。さらに辞書機能が付いているので、わからない単語は読みながらすぐ確認できます。

Kindleで読みましょう。

東京都知事選とGoogleトレンド

東京都知事選がいろいろニュースになっています。僕は選挙権があるわけではありませんが、どの候補者に関心が集まっているのか、Googleトレンドで探ってみました。

Google トレンド

Googleトレンドで、候補者5人の検索ボリュームを比較した結果が以下です。比較するワードは5つまでしか指定できなかったので、候補者が全員になっていないのはご勘弁ください。


ちょっとグラフではわかりづらいのですが、1月だけの検索ボリュームを相対的な数字で示したのが以下になります。(1/30に調べた時点の数字です。)

google_trend_1m

これだけでも十分面白いのですが、Googleトレンドは期間を指定して検索することもできます。 過去30日間でグラフを示すと、以下のようになります。

どの候補者が話題として盛り上がっているのかが、時系列でわかりますね。ちなみに、1/28時点の数字はこんな感じです。(1/30に調べた時点で、最新日が1/28でした。)

google_trend_0128

1ヶ月全体で見た数字と比べると、少し印象が変わりましたね。

最後に、過去7日間の推移を見てみます。

ここで注目するのは、平均ボリュームです。1ヶ月というスパンでみたときと、1週間のスパンでみたときに、相対的な順番が変化してきています。時間とともに、関心の対象が移っているといえるんじゃないでしょうか。

過去の選挙でも、検索ボリュームと得票率には相関関係があると分析されています。

ビッグデータは選挙結果を高い精度で予測できる | Synapse Diary

また新たに、ビッグデータによる選挙との関係性が分析した記事が、選挙後に登場するでしょう。そのとき、上記のような遷移が、実際の選挙にどう反映されるのか非常に興味深いところです。

「ビッグの終焉」を読んで、今後の大企業や個人に必要なことを考える

ITが登場して以来、いろいろ社会環境が変化しています。それは「あらゆる大きなもの」が崩壊してきている、ということです。

例えば、メディア・企業・政府。マスメディアは、個人ブログやSNSによる情報の伝播と勝負せざるを得なくなりました。大企業は、個人が行うネットショップの価格や独自性と勝負せざるを得なくなりました。政府も、SNSなどから寄せられる意見やムーブメントを無視することができなくなりました。

これらはすなわち、IT技術によって個人の力が増幅されているから起こっているのです。

というわけで、「ビッグの終焉」という本を読み終わりましたので、簡単に思ったことを書いておこうと思います。基本的には海外の事例がほとんどですが、日本でも同じことが起こっています。

大企業が負けてしまう理由

最近だと、ヤマダ電機がネットショップの勢いに押されて、苦戦しています。

ヤマダ電機が赤字転落!ヤマダ電機が苦境に陥った理由 – NAVER まとめ

ヤマダ電機が苦戦しているのはネットショップだけが原因ではないと思いますが、家電量販店に行く人は確実にネットで価格をチェックして交渉に臨みます。ネットショップが安いのは出店コストがないからなので、当然安くしないと買ってくれなくなります。

これもIT技術によってネットショップという業態が成立するようになったことが、そもそもの原因です。本書の中では、こう説明されています。

規模の競争優位は陳腐化している。最小効率規模はどんどん小さくなっている。

事業を始めるための初期投資や、店舗運営などのオペレーションコストが劇的に小さくなったことで、損益分岐点がとても低くなりました。これまでは、大企業などが資本を投入して基盤を作ることで、初めて事業が成立していたようなところ、あるいは大企業が「規模の経済」を働かせて、大きくなることで効率化され、低コストになるという部分がありました。しかし、損益分岐点が下がってしまったことで、規模の経済を追求しなくても事業を運営できるようになったというわけです。

 

それでも「大きなもの」が必要な理由

では、個人や小さな企業でも勝てるようになったなら、大きい企業などの存在は不要か、と言われるとそうでもありません。それは、大きなものが「社会の信用」を形成する上で大きな役割を果たしているからです。

大企業が販売しているものは、品質はそれなりに高いと感じますし、大手メディアの記事は個人ブログよりは高いという感覚があります。そういう「信用」が裏側には存在するのです。メディアや企業や政府が小さくなると、こういう信用を形成する力が弱くなるリスクはあります。

メディアの例だと、個人ブログも多くはマスメディアの記事を参照したり引用しており、マスメディアの存在がないと個人ブログも成立しないものの、結局マスメディアが弱ってきているという矛盾のような状態です。

 

これからの社会はどうなるのか

大きな存在と小さな存在のパワーバランスは、今後も変化していくでしょう。大きな存在と小さな存在は、それぞれどう生き残っていくんでしょうか。

本書の中では、「大きなものがソーシャルの力を取り込む」ことが、ひとつのアプローチとして提示されています。民衆の声を集め、分析し、企業の戦略や政府の政策に活用する。そういう折衷的なところが現時点での落とし所だと感じます。あとは、大企業が勝てるフィールドが変わっているので、ネットがあったとしても「規模の経済」が有効なところを探すか、というところですかね。クラウド事業者などはまさにそういう部分になっています。

個人や小さい企業は、大企業がこれまで獲得していたフィールドに攻め込んだり、新しい分野を切り開いています。今後は、いかに自らの信用を形成するかを考える必要があるでしょう。政府の管理や大企業の取り組みによって形成されていた信用は、一部なくなっていくかもしれません。一個人や一企業が、どうやって社会から信頼を得ていくのかは、常に考えなければいけなくなっていると思います。

 

ラジオやテレビが登場したときも、今と同じようにあらゆる社会的な仕組みが変化したんでしょうかね。そう考えると、そういうレベルで政治も、企業経営も、社会を構成するいろんなところが変わっていくんだと思います。一度大きな資本へ向かったエネルギーは、小さいものへ分散していくんでしょう。日本でも地方が再燃したり、小さな企業が盛り上がるといいなと思います。

楽天koboならWindowsやMacからも電子書籍が読めます

皆さん、電子書籍読んでますか。

電子書籍は、Kindleなどの専用リーダーと、iPhone、iPadなどからアプリを使って読むことができます。が、それに加えて楽天koboもKindleもデスクトップ版があるのをご存知でしたでしょうか。

ただ、楽天koboはライブラリの管理だけで本は読めずにいましたし、Kindle版はログインすらできない状態でした。しかし、koboは最近デスクトップ版アプリがアップデートされて、WindowsやMacで書籍を読むことができるようになりました。

楽天のkoboデスクトップアプリアップデート!ついにMac/PCで本が読めるようになりました! – 一円を笑うものは二円も笑う

実際に、公式サイトからダウンロードしてみましたが、問題なく楽天koboで購入した電子書籍を読むことができました。

電子ブック楽天Kobo:楽天Koboアプリ

 

なぜか日本では禁止されていたデスクトップ版

楽天koboもKindleも海外から始まったサービスで、日本に登場してた時点でデスクトップ版が開発されていました。そして、海外では普通に電子書籍が読めたのに、意図的に日本ではWindowsやMacなどのデスクトップでは電子書籍が読めないような対応が行われていたのです。実際、Kindle for macは、日本でKindleサービスが開始される前から日本語化されていたようです。

「Kindle for Mac」が日本語をサポートも…

ただ、どこにでも強者がいるもので、楽天koboもKindleも、電子書籍を読めるようにする裏技を発見していました。

Koboで買った本をパソコンで読む | クポーン – 電子ブック楽天koboの定点観測
MacでKindleの本が読めるようになった!(Androidのエミュレータを使って) – SKKTM Lab Blog

で、日本はなぜ禁止しているのかと推測するのですが、技術的な問題ではなく恐らく契約で縛られているか何かでしょう。DRM解除して、コンテンツが自由になることを恐れているのかもしれません。

 

電子書籍市場を支配するKindle、追いかける楽天kobo

最近の調査レポートによると、今の日本の電子書籍市場では、Kindleが圧倒的な王者になっています。

電子書籍、Kindleストア利用者が半数超 日本業者の対抗策はネットで酷評 (1/2) : J-CASTニュース

僕がたびたびおすすめしている楽天koboは利用者数の順位では4位です。挑戦者の立場ですね。

お買い得だから、KindleじゃなくてKoboで電子書籍を買おう | Synapse Diary

楽天koboは、たくさんクーポンを配ったりすることで、何とか追い上げようとしているわけですが、王者の奪還にはまだ距離がありそうです。ただ、今回Kindleより先駆けてデスクトップ版で電子書籍のビューアーを公開したことは、挑戦者として必要な取り組みのひとつだと思います。

書籍ビューアーを公開したからといってすぐにKindleとの差が埋まるわけではありませんが、業界リーダーがやっていないこと、消費者にとってメリットがあることを先駆けて行っていくことに、挑戦者としての意味があります。

 

電子書籍サービスも、終了するところが登場してきており、早速競合が厳しくなってきています。

電子書籍サービス「エルパカBOOKS」が2月24日に終了–購入済み書籍は閲覧不可に – MdN Design Interactive – Webデザインとグラフィックの総合情報サイト

各社はユーザー数を増やし、囲い込みを強化しに行くでしょうし、それに伴って業界は寡占化されていくんだと思います。本を読む側としては、もっと便利で安くなれば嬉しい限りです。

勉強効率を上げるための読書方法

いろいろ時間ないな、と思いながら生活しております。

さて、今日は自分の勉強法というか読書の方法を少し見直そうかな、と悔い改めた話です。これまでは、関心がある本を片っ端からAmazonの欲しいものリストに登録して、本が読み終わったらリストから選んで買う、ということをしていましたが、いまいち効率が悪い気がしていました。

今回、Amazonの欲しいものリストもがっつり削除して、本の選び方を変えようと思います。それで勉強効率が上げようと。まだ今年も始まったばかりですし、勉強方法を見直しても間に合いますし。

 

勉強テーマを明確にする

日々勉強だと思っているのですが、結構テーマを具体的に絞りきらずに勉強を進めてしまう場合が多いです。なので、本を読むにしてもテーマがバラバラで、その時々で関心があるものを読んでしまうことがありました。

しかし、これだとジャンルが広がる反面、薄く広くなってしまい、あまり尖らないんですね。持っている知識も浅くて、深い洞察を得るには不十分になります。それよりも、テーマを絞り込んで情報を取得し、考えることで、ある特定領域の知識も深まるし、洞察力も磨かれると思うのです。

というわけで、常に「この1年は○○をテーマに勉強する」ということを、自分の中で明確にしておくことは重要です。新年になって、僕もいくつかテーマを設けました。何かに書いたりして、はっきりとテーマを定めることがポイントです。

 

具体的な目標を設定する

可能なものは、具体的な目標を設定しましょう。資格を取得するのが最もわかりやすい目標じゃないかと思います。マニアックなものも含めて、世の中にはたくさん資格があるものです。資格が対外的に有効かどうかも大切かもしれませんが、自己研鑽のきっかけに利用するというのも良い使い方です。

過去にも、資格の有効性について記事を書きました。

資格は何のために取得するのかという話 | Synapse Diary

 

テーマと目標を決めたら、まずは複数の本を買う

違うコンサルタントの人の言葉を借りると、「コンサルタントにとって本は消耗品」です。新しいジャンルを学ぶときに一番効率的に正しく学ぶことができるのが本です。仕事上、何か学ばなければならないジャンルに出会ったときは、そのジャンルがまとまってそうな本を何冊かまとめて購入します。

複数購入するという点がポイントで、一冊だと知識が偏ったり、誤った情報が含まれている可能性があります。複数読むと、完全に正解がわかるわけではありませんが、

  • 一般常識として問われている範囲をおよそカバーできる
  • 異なる情報があったときに、判別しやすい

というメリットがあります。なので、複数の本を購入して読むことにしています。

 

あとは、継続あるのみです。昔は、勉強時間を記録したりして、自分のモチベーションを維持しようとしていましたが、最近はあまりそういうことはしていませんね。最近だと、StudyplusとかアプリやSNSの特性を利用してモチベーションを維持することも良いんじゃないかと思います。

Studyplus(スタディプラス) – 勉強が楽しく続くSNS

 

以上です。有意義な読書生活をお過ごしください。

社員の自主性を育てる組織をつくるためには

様々な変化が素早く起こるビジネス環境では、自発的に物事を考え、行動を起こす人材が重要になります。また、そのような人材は時に、イノベーティブで大きな利益をもたらしてくれる場合もあります。

では、社員が自発的に考え、行動する組織というのは、どうすれば作れるのでしょうか。年末年始に、この「シャドーワーク」という本を読んで、そんなことを考えていました。

「シャドーワーク」という単語がわかりづらいですが、いうなれば「業務外の活動」のことです。ただし、完全なプライベート活動とも違います。仕事に関連するが、正規の活動ではないことを指します。

 

各個人に自主性を求めることのジレンマ

この本を読むと、組織をマネジメントすることと、各個人の自主性を高めることには、ジレンマがあることがわかります。

組織をマネジメントするためには、、、

  • ルールによる規律を設ける
  • マニュアル等による手順を統一し、生産性・品質を向上させる
  • 上から下に伝達される

一方、各個人が自発的に作業するためには、、、

  • ルールに縛られずに発想し、行動する
  • 社内の評価基準から逸脱する(→評価されない)
  • 上からの命令ではなく、自分でモチベーションを高める

ということで、真逆の方向になります。特に、社内のルールに縛られないように行動してもらうことがとても重要なポイントです。「こうあって当然」という先入観を打破し、新しいビジネスを創りだすためには、既存のルールからはみだす人が必要になります。問題は、組織ではこういう人は評価されないんですね。ルール外なので。

「じゃあ、評価基準に入れてしまえば良いじゃないか」という考えになりますが、そうなると「上から下に命令される」形になって、個人の自発性が損なわれます。ここにジレンマがあります。

 

原理・原則によって、組織の柔軟性を高める

結局、冒頭の問いに対する答えは「原理・原則を高める」ことだと僕は理解しました。組織は、集権と分権のバランスで出きています。どこまでを会社で統一して、どこまでを権限移譲するのかのラインを設計するのが、組織戦略です。

ただ、あまりに権限移譲してしまうと、企業のガバナンスが弱くなります。各自が勝手なことをやってしまい、企業のブランドを失墜させたり、大きな不利益を生じさせる自体は防ぎたいわけです。かといって、集権化が行き過ぎると、組織の柔軟性が失われ、企業全体の競争力が低下します。

本書では、このように表現されています。

1つ目の問題点は、環境は常時変化するし、そのスピードはどんどん速くなっているということである。このために、与えられた役割、想定したプロセス、生み出すべき予定のものが変わってしまうことが、しばしば起こるようになった。こうした変化に即座に対応しないと、推奨される行動をとっても報われず、既定路線では意味がなくなり競争から脱落してしまうリスクが高まっている。 こうした環境変化に対応するには、きっちり決まった組織の仕事の枠組みでは、なかなか対応しにくい。誰かが別のことを考えないといけないわけだ。ところが、そうした別のアプローチは、しばしば組織の既定路線、想定内のこと以外の行動をともなうために、マネジメントとぶつかり合うことになる。

そこで、これを解決する手段として「原理・原則」が必要になります。IKEAやZapposなど、企業理念による経営が注目されているのも、ガバナンスを高めるための武器として、企業理念という「原理・原則」が存在するからです。それによって、マネジメント側からすれば、組織運営におけるリスク発生を低下させると同時に、各個人に創造性を発揮してもらうことで、サービス品質を向上させているのです。

ひとつの例として、ルイス・ガースナーの言葉が紹介されています。僕は、非常に感銘を受けました。

彼は1994年に来日しているが、その際に開かれた記者会見のなかで、質問に答えて、「私の信念、経験からいえることは、ルールでがんじがらめになった組織は基本的に弱いということです。偉大な組織は原則にのっとって、みんなが行動する組織です。つまりルールではなく、原則にのっとって動く組織です。ルールだけ守っていれば、成功したと思いがちです。しかし、これは内部の尺度であって、外部の市場とかお客様といった尺度ではありません」と、述べている。

柔軟性のある強い組織は、原則に従って行動できる組織です。

劇的に変化する外部環境の中で、モチベーションが重要だ、とかブラック企業だ、とかいろいろ組織に関する話題が登場しています。ひとつの絶対解があるわけではありませんが、本書にかかれているような仕組みが組み込まれている組織は、強く変化しながら進んでいけます。

 

最後に、本書にかかれていた好きな言葉を紹介して締めます。

人事部の仕事は、「労を惜しまないような楽しさを仕事のなかにどれだけ仕掛けていけるか」、「前向きな意味で『自分の仕事』と受け止められるように社員をサポートできるか」だと思うと、荻野は語る。

 

今年はオシャレな部屋に。デザイン家具を激安で買う方法

デザインが良い家具を、安く入手しづらくなっています。

部屋に新しく椅子を買おうと思い、いろいろ調べていたときに、「リプロダクト」「ジェネリック家具」「ジェネリックプロダクト」という言葉を知りました。

 

デザインが良い製品を、格安で買える

「ジェネリック薬」というのがありますが、考え方はアレと同じです。意匠権が切れたデザイン家具を、オリジナルとは異なるメーカーがそれぞれ作るということです。なので、素材のランクを落としたり、メーカーの工夫によって価格を低下させているのです。

デザイナーズが安く手に入る!ジェネリック家具って何!? – NAVER まとめ

ジェネリックプロダクト – Wikipedia

 

今回購入したのは、「セブンチェア」という椅子です。

北欧風チェア■組立て式■リプロダクト品【セブンチェア/アントチェア】送料無料(一部地域を除…
価格:4,200円(税込、送料込)

セブンチェアは、デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンの代表作で、3次元で成形された木材が包み込まれるような座り心地を実現します。また、広く使われることにも配慮された製品で、スタック(重ねて収納)することができるため、1955年の発売から500万本以上売れている椅子です。

ちなみに、オリジナル(正規品)はこちらです。使われている材質、仕上げのクオリティ、サポート保証などが違いとしては挙げられるでしょう。

 

このリプロダクト品については、オリジナルより安い商品が出回ってしまうことで賛否両論あると思いますが、僕は今回調べて買うまで知らなかったデザイン家具を知りました。興味も持ったので、他にもいろんなデザイン家具を買うかもしれません。確実に認知は上がったわけです。そういう効果はリプロダクト品にはあると思います。

 

工業化された数十年経過して、こういう「権利切れ」の製品が出てきました。また、経済が成熟し、デザインの優位性が相対的に高まっています。そういう時代の中で、もっとこういう製品は増えていくんだろうなと思います。今は買い手にとって良い時代だな、と思う反面、売り手にとっては競争が厳しいなーと思ってしまいました。

自分用のマニュアルを作成すれば、生産性は飛躍的に向上する

「無印良品は、仕組みが9割」を読みました。この本では、主にMUJIGRAMと呼ばれるマニュアルの有効活用など、仕組み化することで、組織の生産性が劇的に向上するということが書かれていました。

マニュアルは、作業の生産性を向上させる上でとても有効

この本に書かれている、マニュアルの活用については、とても同意です。僕も日頃から、業務を標準化したり、底上げするためには、作業や考え方を可視化することが重要だと思っています。現場でマニュアルがない、ということがよくありますが、そういう場合はうまく知識が蓄積されず、強い組織にはならないのです。

一方で、「マニュアル人間」と言われるように、なんでもマニュアルに決めてしまうと、それ以外はやらない、創造的にならないなどということも言われます。僕はその点については違うと思っていて、重要なのは「マニュアルを見直す作業」が、仕組みの中に含まれていれば、創意工夫も生まれるし、マニュアル人間にはなりません。重要なのは、「見直す」や「最新化する」プロセスをルール化してしまうことです。

そういう思いが、この本にはたくさん書かれていて、「そうそう、そうなんだよ」と思いながら、読み進めていました。みんな、この本読んでマニュアル作りましょう。

 

自分用のマニュアルも作ってみる

この本には、最後の章に「自分用のマニュアルも作ろう」と書かれています。家事など、身の回りの作業でもマニュアル化すると、生産性が上がったり、家族で情報共有が進むということです。これに影響されて、自分用のマニュアルも作ってみることにしました。初めてからここ数日運用していますが、それなりに良い調子です。どういう点で有効かというと、

  • 繰り返し作業する必要があるけれど、いつも思い出すのに時間がかかる
  • やった方が良いと思っているけれど、何となく着手できない

というような作業です。繰り返し行う作業は、定型化することで、生産性が上がっていきます。また、なんとなく着手しづらい作業は、作業ステップを細分化しておいて、作業着手へのハードルを下げる効果もあります。

僕は、そういう自分のためのマニュアルを、Evernoteに書き溜めていくことにしています。まだ少ないですが、少しずつ溜めていって、生産性を高める努力をしていこうと思います。

 

まずは行動することで、思考も変わっていく

無印良品は、一度業績が悪化し赤字になるのですが、その後はV字回復を果たします。そのときに、様々な新しい仕組みを導入し、組織改革を行っていったのです。組織改革では、必ず抵抗勢力が生まれます。人間はやはり変化をするのが苦手で、先に感情的な拒否反応が出てしまうものです。

そこで、無印良品では先に仕組みを整備してしまって、あとはそのルールに従って作業してもらうことにしました。最初は反対意見も出てくるのですが、次第に仕組みに慣れたり、効果を実感するにつれて、反対意見もなくなっていったのでした。

 

ここで面白いと感じたのは、「とにかく、行動する」ことを優先して、そのための仕組みを整備したことです。人は、行動すれば変わるきっかけをつかむことがあります。よく、笑顔の表情を作ると、感情としても楽しくなると言われていますが、それと同じようなことでしょう。先に行動が生まれると、感情が後から付いてくる。そういう人間の特性も、何かを変えるときには重要になります。

これは自分に対しても同じです。自分を変えたいと思っても、なかなか変えられないものです。そういうときは、まず行動してみる。そして、行動するためのきっかけがマニュアルです。あまり深く考えず、マニュアルに従って行動してみたら、少しずつ自分も変わっていくかもしれません。

 

というわけで、みんなマニュアルを作りましょう。この本を読んで。