野村総合研究所とNTTデータの戦略の違いは、数字に表れている

未だに、このブログではNRI(野村総合研究所)の業績について書いた、以下の記事にアクセスがあります。

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書いたのは2012年なので、結構古い内容ではあるんですが。で、最近の動向はどうなっているのか、情報をアップデートしてみました。

相変わらず、NRIの利益率は高い

最新5年間のNRIの業績は以下の通りになっています。売上は少しずつ上昇しており、利益率も比較的高い状態を維持しています。

NRI 2011-2015

NRIの特徴は、なんといってもこの高い利益率でして、SI業界の雄であるNTTデータと比較すると、明らかに高いことがわかります。2倍以上も違います。

profit

これは、シンクタンクを由来とする野村総合研究所の特徴として、コンサルティングの利益率が高いことが要因です。以下は、NRIの決算説明資料からの抜粋ですが、セグメント別の売上・営業利益を示したものです。コンサルティング部門だけでなく、他部門を含めた全体の利益率が、先ほど示したNTTデータの利益率より高いのがわかります。全体として、付加価値をつけることに成功しているのでしょう。

nri_segment

(出所:野村総合研究所決算説明資料より)

NRIとNTTデータの戦略の違い

もうひとつの軸として、売上高を見てみましょう。こちらもNTTデータと比較しますが、売上高でみると3倍以上開きがあり、近年その差はどんどん開いています。

sales

これを見てわかる通り、2社は目指している方向性が違うんですよね。両社の戦略の違いについて、従業員数から分析した記事があり、大変参考になります。

SI産業 企業比較(NTTデータ、野村総合研究所) – Mic_Kの思うところ

両社とも、国内市場が縮小していく一方で、AWSなどのクラウドサービスが台頭しており、規模を拡大して海外市場を含めて勝っていく戦略なのだと思いますが、NRIの場合、付加価値が高い分、それを維持したスケール拡大(M&A等)を行うことが難しいんでしょうかね。M&Aを全くやってないってわけではないですが。

NRIは金融系のITソリューションで大きな売上を上げており、そのあたりが事業基盤になっています。その強みを活かして事業を拡大していく流れですね。

前回記事を書いたときから、NTTデータは売上規模を高め、利益率を少し落としました。NRIは売上の伸びはNTTデータほどではありませんが、高い利益率を維持しています。このような企業戦略の違いは、カルチャーやビジネスモデルなどから生まれてくるものです。それぞれの違いが浮き彫りになって、面白いですね。

ところで、両社は共同でこんな本を出しています。IT業界全体が、もっといろんな人が働きやすく、価値を生み出せるようになれば良いな、と思います。

企業経営者が、新卒採用者を3年で辞めさせないために考えること

大企業と中小企業で、どの程度求人倍率が違うかご存知でしょうか。正解は、大企業が0.5倍に対して、中小企業は3.3倍です。

リクルートワークスの発表によると、2012卒の大卒有効求人倍率は、1,000〜4,999人以上の大手企業で0.74倍・5,000人以上の大企業0.49倍に対して、300人未満の中小企業で3.35倍と圧倒的な差があります。1,000人以上の大手企業の中でも就職人気ランキングのトップ100などの企業はもっと低い求人倍率になっているでしょう。

大企業と中小企業の採用格差 – 企業側から見た就職活動 – 就職活動テクニック –

 

また、新卒者がどの程度企業に定着したか、を示した指標をみると、事業規模が小さい企業ほど、定着率が低いのがわかります。

teichaku

(出所:「直近10年間で正社員として採用した新卒者が、現在まで働いている割合」(平成21年度中小企業白書)

 

つまり、中小企業は採用時点でも大きなミスマッチが生じてますし、入社してからも定着していないのが現状だ、というのがわかります。

 

不幸なマッチングの正体

どうしてこういう構造になるんでしょうか。いろいろ要因はあると思いますが、僕はひとつの観点を提示したいと思います。

中小企業の社長や採用担当者と話をすると、こういうことを聞いたりします。

「うちの会社は小さいし、大企業などに比べると採用できる学生のレベルが低い。エントリーや面接で良いな、と思って選んだ学生がいたとしても、最終的には断られてしまう。そうなると、次の学生を採用しようとして、また断られる。そして、企業が「妥協して」選んだ学生が残ることになります。

そうなると、どうでしょう。入社しても「妥協して選んだ学生」だから、教育もどこか諦めが入ってしまい、一人前に育たなくなってしまう。

一方で、就職を間近に控える学生と話をすると、

「たくさん企業の面接を受けて、たくさん不採用になった。いくつか諦めて、残った企業に決めた」

といいます。すると、せっかく入社しても企業に対しても愛着がわかないし、仕事にもやりがいは出てこない。惰性で仕事をするか、とっとと見切りをつけて辞めてしまいます。

 

つまり、お互いが「妥協して決めた」という感情だけが残ってしまいますよね。その結果として、不幸なマッチングになってしまうんじゃないでしょうか。

 

経営者はひとつの解決策を提示することができる

「HARD THINGS」という本を読むと、上記を解決するひとつの答えが書いてあります。

社員一人ひとりの「自分はなぜこの会社で働くことを選んだのか?」という根本的な疑問に答えを与えるのがストーリーの役割だ。社員なら「この会社で働くべき理由」、顧客なら「この製品を買うべき理由」、投資家なら「この会社に投資すべき理由」に答えられなくてはならない。さらには世界の人々に対して「われわれの会社が存在することで世界がより良い場所になる理由」を語れなくてはならない。こうしたストーリーを明確な言葉で語ることが、社員、顧客、投資家、パートナー企業、メディアに対して自社の行動のコンテキストを与えることになる。明確なストーリーを与えることを怠る企業からは、こういう不満が出やすい。

つまり、「なぜこの会社で働くことが素晴らしいのか?」ということに対して、答えを与える必要があるということです。そうなれば、それに共感する社員が残ります。

アメリカにある靴のネット通販で有名なザッポスは、自社の理念やカルチャーを強化することで、本当に会社が好きな人が働ける環境を作りました。

参考:ザッポス伝説

それと同じように、「この会社で働くべき理由」を提示できれば、働いている人も迷わずに働き続けられるんじゃないでしょうか。ストーリーを語りましょう。

 

今日はこのへんで。

ヤフーがアスクルを子会社化。eコマース市場は今後どうなる

jarmoluk / Pixabay

アスクルが自社株買いを進めることで、ヤフーの持株比率が上昇し、ヤフーの子会社(連結対象)になるようです。

アスクルは5月19日、ヤフーとの業務・資本提携を更改すると発表した。国際会計基準(IFRS)上、ヤフーの連結対象になる見通し。両社で運営するECサイト「LOHACO」の販売拡大に向け、連携を強化する。

アスクル、ヤフーの連結対象に 「LOHACO」強化へ連携緊密に – ITmedia ニュース

アスクルは、オフィス用品を中心にBtoBを拡大してきましたが、市場が成熟してきており、建設関係や医療関係など、新しい顧客と商品を開拓しています。一方でBtoCの開拓強化していて、ネットでの集客力を誇るヤフーと手を組みました。

今後の両社の展開はどうなっていくんでしょう。

アスクルとヤフーのWin-Winな関係

アスクルの5年間の業績は以下のようになっています。売上は伸びていますが、利益がやや鈍化してますね。

askl2010-2014

一方のヤフーの5年間の業績は以下のようになっています。売上の伸びがやや鈍化していますが、驚異的な利益率を誇っています。

yahoo2011-2015

ただ、eコマースで出遅れていたことから、Yahooショッピングを無料化して巻き返しを図っています。それについては、以前このブログで書きました。

Yahooショッピング無料化からEコマースの現状とYahooの戦略を考える

サイトへの訪問者数でみると、ヤフーは383.3M、アマゾンは120.8Mなので、ヤフーの方が3倍以上訪問されています。一方で、eコマースの流通総額でみるとアマゾンの方が勝っています。(訪問者数はSimilarWebで調べました。)

つまり、集客力はヤフーは申し分ないのですが、売上に結びつく部分がまだまだだということです。そしてeコマースを実現するためには、物流が重要になっています。アマゾンは従来から物流に力を入れており、楽天もいろいろ取組みを行っています。ヤフーはこの部分を強化するためにアスクルの物流に目をつけたわけです。

小説「ラストワンマイル」が物流業界の現状を描いていて驚いた

実際、アスクルの子会社と連携して、出品者向けの物流代行サービスを行っています。

ヤフー、モール出店者の物流代行、アスクルの物流網を活用で当日・翌日配送にも対応 – 通販新聞

というわけで、ヤフーとアスクルはWin-Winの関係を強化する、ということでしょう。

ヤフーが国内1位になる日は来るのか

ヤフーの流通総額は、1000億円程度になっています。楽天が2兆円、アマゾンが1.3兆円ぐらいなので、まだ桁がひとつ足りません。

Yahoo!ショッピングの出店者数は24.3万店に、3Qの流通総額は8.4%増の1028億円 | ネットショップ担当者フォーラム

二桁成長と言っていますが、楽天も二桁成長していて、ヤフーが追いつくのはすぐというわけにはいかなさそうです。

「楽天市場」など2014年の国内EC流通総額が2兆円を突破、モバイル経由は44%に伸長 | ネットショップ担当者フォーラム

ひとまず、ヤフーとしてはアスクルという物流基盤を手にしたので、今後も攻めていくことでしょう。こういう状況で、今後どういう戦略でヤフーが攻めてくるのか、楽しみです。

Google Photosはスマホ写真の保存先として大本命になる

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先日のGoogle I/Oで、Google Photosが発表されました。

無料で容量無制限に写真&動画を保存しまくれる「Google Photos」、本日から利用可能 – GIGAZINE

これが破壊力抜群です。一気に、写真サービスの本命になってしまう可能性があるんじゃないかと思います。

これまでGoogleは、PicasaやGoogle+フォトなど、いくつか写真サービスを展開してきました。しかし、いずれも本命になりきることができずにいました。

一方で、FlickrやDropboxなど競合の写真サービスも存在していますが、これらもなかなかブレークスルーしきれず、撮った写真をどこにストックし、どうやってシェアするかというのは、結構ユーザーを悩ませています。

ちなみに、僕は2009年からFlickrの有料ユーザーです。

FlickrのProアカウントを購入した

 

Google Photosを使っておけば、とりあえずバックアップは心配ない

Google Photosのサービス内容として一番注目されるのは、容量が無制限だってことです。もちろん、写真は1600万画素、ビデオの解像度は1080Pという制限があります。それを超える写真や動画を保存したい場合には、容量が無制限ではなくなります。

ちなみに、iPhone6のカメラは800万画素です。一眼レフなどもっと解像度が高い写真を普段から撮っている人でもなければ、普段の携帯写真はGoogle Photosで十分でしょう。

[iPhone]カメラの画素数はどのくらいですか? | ソフトバンクモバイル

 

実際に、Google PhotosのアプリがiOS/Androidの両方で提供されているので、使ってみました。

 

Googleフォト 1.0.1(無料)
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: Google, Inc. – Google, Inc.(サイズ: 53 MB)
全てのバージョンの評価: (178件の評価)
+ iPhone/iPadの両方に対応

 

アップロードも早いですし、撮影年月ごとに並んでみれたり(カメラロールと同じ感じ)、花や空など、写真を解析してそれぞれにまとめて閲覧することもできます。

さらに、連続写真と認識されるものは、自動でアニメーションも作成してくれるようです。気に入れば、自分のライブラリに保存することもできます。

 

Googleの狙いは膨大な写真情報

なんでこんなサービスを無料で提供するのか、という点についてですが、いくつか目的は考えられます。まず、写真に関するプラットフォームになること。先述した通り、いまいち写真を保存・共有するデファクトスタンダードとなるような強力なサービスが存在しない「空白地」になっています。

そこで、無料での保存、画像認識等による閲覧・検索しやすさを追求したサービスを提供することで、プラットフォームの覇権奪取を狙ってる。これは、Google+フォトを提供していた頃から、路線としてはあまり変わってないと思いますが。

 

あとは、ディープラーニングなどの画像解析を使うことで、高度なサービス実現をできる見通しがたったから。Picasaでは顔認識もやっていますし、Google+フォトでは画像を自動でコレクションして動画を作るなど、いろんなサービス提供を試みています。これらを活用して、いろんな楽しみ方を提供できることで、競合にも勝てると考えたんじゃないでしょうかね。

特に解析技術に関しては、情報が多いほど精度が向上します。サービスを無料で提供することで、一気に膨大な写真を集める。それによって、一層解析の精度が向上を図り、他社を寄せ付けない戦略じゃないでしょうか。

Flickrが先日「Magic View」という、画像認識技術を使った検索サービスを提供開始しましたが、Google Photosの登場でややかすんでしまいました。完全に同質化されてしまった印象があります。

Flickr、Dropboxのような自動バックアップや画像認識検索などの大規模アップデート – ITmedia ニュース

 

また写真は、個人の嗜好や特性などを解析するのに膨大な情報が含まれています。それによって、広告サービスにも活用するんじゃないかとみられています。

 

Googleには、ある。同社の持つコンピュータービジョン、機械学習、人工知能を始めとする高度な技術を活用すれば、写真に写っている人々、場所、物等を認識し、そのデータをユーザーの個人情報と結び付けることができる。お気に入りの炭酸飲料やオートバイと一緒に写っている写真から、そのユーザーに見せるべき広告がわかる。ランドマークから識別された位置から、何を探しているかを推測できる。

Google Photosの「無料無限ストレージ」は、Appleの高価なiCloudを打ちのめすかもしれない | TechCrunch Japan

 

写真サービスという市場の状況などを踏まえると、タイミングやサービス内容はよく考えられてると思います。メインの収益事業である検索広告があるので、こうやって別サービスで思いっきり無料にするという戦略は、競合にとってはたまったものではありませんね。

 

 

ーーー

 

個人的には、FlickrとGoogle Photosの併用で様子を見ようと思っていますが、どこかのタイミングでGoogle Photosに乗り換えることもありえそうだと思っています。特に写真を保存してこなかった人は、Google Photosを使ってみることをおすすめします。

あなたの欲望を刺激する「ウルフ・オブ・ウォールストリート」をぜひ見て欲しい

PublicDomainPictures / Pixabay

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」という映画を見ました。

レオナルド・ディカプリオ主演、マーティン・スコセッシ監督の作品です。以下は、公式サイトのイントロダクションから引用しますが、

ウォール街には、金にまつわる豪快な逸話がいくつも転がっているが、なかでも特別スケールの大きな話がある。26歳で証券会社を設立、年収4900万ドル(約49億円)を稼ぎ出し、10年間の栄光の果てに、36歳で楽園を追放された男、ジョーダン・ベルフォートの物語だ。成功、放蕩、破滅─そのすべてにおいて彼は、いまだ誰も超えられない破格の伝説を打ち立てたのだ。

映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 | 公式サイト

実話をもとにした映画です。ジョーダン・ベルフォートという人の、成り上がり物語です。

ずっと、金・ドラッグ・セックスで埋め尽くされている映画です。あまりにもパンチがあって、バカらしくて、面白いです。少し長いんですが、飽きずに見れます。

 

欲望の大切さを感じる映画

この映画を見て、「ディカプリオ、やっぱり演技うまいなー」とか思っていたんですが、一番感じたのはやっぱり「欲望の大切さ」ですね。

大前研一さんがいろんなところで「今の日本社会は『低欲望社会』だ」って語っています。そういう本も出しています。

ネット記事から一部引用しましょう。

私が考える日本経済の現状と問題点は、「低欲望社会」ということに尽きる。 日本は個人金融資産1600兆円、企業内部留保320兆円を抱えているが、それらがまるで使われていない。歴史的な低金利でも借金をしようとしない。「フラット35」が1%に接近しても借金して家を建てよう、という人はいない。このような国は世界中にない。普通は金利が5%を下回ってくれば借金して家を建てようとするし、金利が上がれば貯金をしよう、とする。 ところが、金利がほとんどつかなくても貯金は増えており、銀行の貸し出しは減っているのだ。

ピケティの主張は的外れ、日本経済の問題は「低欲望社会」に尽きる(6/6) | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

 

欲望が経済にとても影響する、という観点で見ているわけですね。

 

また個人のレベルでみても、これは主観になりますが、エネルギッシュな人というのは、欲望をたくさん持ってますね。「おいしい料理を食べたい」「面白いことをしたい」「あれもしたい」とか、やりたいことがバンバン出てきます。一方で、あまりエネルギーを感じない人というのは、「別にやりたいことがあまりない」と言ったりします。

欲望というのは、そういうエネルギーに関わってくる重要なファクターだと思うわけです。

 

で映画の話に戻ると、この映画の登場人物はもう欲望だらけです。金持ちになりたい。金を稼いでいろんなことをしたい。そういう欲望にあふれているのです。それが大きなことを成し遂げていく重要な動機になっています。

犯罪はダメですが、欲望を持つことは感情を動かし、個人の行動を変えて、ひいては経済を動かしていくのです。だから欲望を持ちましょう。いろんなことに関心を持ち、欲望を抱くことが、人生を豊かにしてくれるはずです。

 

いやー本当破天荒な人がいるもんですなー。

 

そろそろMicrosoftが戦略転換して本気を出すようです

geralt / Pixabay

Microsoftが「Build 2015」という開発者向けカンファレンスで新しい戦略をいろいろ発表しました。たくさんのネタが発表されたのですが、Microsoftの戦略として面白い動きがあったので書いておきます。

「Build 2015」の概要をつかむなら以下の記事がわかりやすいです。

ついに目覚めた巨人 Microsoftの逆襲 – WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

 

特に面白かったのは、

Windows 10上でiOSやAndroidなどのアプリを実行できるようにした

ことです。この意図を読み解くには、これまでのMicrosoftや競合企業の動きを理解する必要があります。順を追ってみてみましょう。

 

モバイル戦略に乗り遅れたMicrosoft

スマートフォンの普及によって、デバイスの数でみるとPCは相対的にシェアが下がりました。

モバイルデバイス出荷台数、19.9%の大幅減 PC・Android・iPhoneすべて不調 |ビジネス+IT

このモバイルの普及に対して、モバイル市場はAndroidとiOSに占拠されて、Windows Phoneは出遅れた状況です。

mobile-share

(出所:調査リポート:OS別世界スマートフォン市場シェア、AndroidとiOSが96.3%に──IDC調べ – ITmedia Mobile

これを挽回するひとつの戦略として、タブレットやモバイルでWindowsを無料開放したり、OfficeをiOSに提供しました。詳細は、以前書いたブログの記事を参照していただけると。

https://synapse-diary.com/?p=2607

 

これによって、モバイルにおけるシェアを少しでも高めようとしているわけですね。無料開放すると、どこで儲けるのさ?って思いますが、Microsoftはビジネスモデルを大幅に転換しているようです。その詳細は後ほど書きます。

 

PC・タブレット・モバイルはシームレスに統合する必要がある

デバイスの普及はどんどん進んでいて、一人でPC・タブレット・モバイルなど複数のデバイスを保有し、場面に応じて使いこなすようになっています。

Appleは、MacとiPadとiPhoneで、統一的なUIやアプリケーションを提供し始めていて、どんどん統合を進めています。これらの製品間で、シームレスに情報のやり取りができるようになっています。それは、まさにこういう背景を反映した戦略です。

Microsoftも、モバイル戦略で出遅れましたが、まさにここを狙ってきています。最近発表されたWindows 10では、7つのエディションが全て「Windows 10」の名前がついていて、その中でモバイル向けも存在します。重要なポイントを、解説記事のひとつから引用します。

Windows 10の世代から、スマートフォン向けのOSも Windows Phone ではなくPCと同じ「Windows 10」のモバイルエディションという位置付けになりました。スマートフォンのほか、タッチ中心の小型タブレットでも Mobile を採用します。 アプリは Windows 10デバイス汎用で動くユニバーサルアプリに対応。Windows Store でユニバーサルアプリを入手すれば、PCでもモバイルでも、UI画面の大きさや入力方法にあわせて最適化しつつ実体は同じアプリが動きます。

速報:Windows 10のエディション構成発表。Home / Pro / スマホ版Mobileは無料アップグレード(期間限定) – Engadget Japanese

 

つまり、PCもモバイルも「同じOS」として捉え、アプリケーションも両方で同じように使えるようになるそうです。

 

ここから、今回iOSやAndroidのアプリケーションもWindows上で動かせるようにした理由が見えてきます。(厳密には、「比較的」簡単にiOSやAndroidのアプリを移植しやすくした、というわけで、ソースコードの多少の書き換えは必要なようですが。)

モバイルで大きくシェアを握っているiOSやAndroidからアプリを展開できるようになれば、Windows Storeの魅力も向上するのでは、と期待されます。つまり、Windowsというプラットフォームを開放させることで、プラットフォーム自体の魅力を向上させよう、というわけですね。

 

今、Microsoftはビジネスモデルを大きく転換させている

Windows 10の発表からいろんな情報が出てきましたが、これらを読み解くと、これまでのMicrosoftのビジネスモデルを転換させようとしていることがわかります。

例えば、Windows 10は無償でバージョンアップされて、さらに機能追加も無償で行われます。

Windows 10は、Windows 7以降の環境に無償で提供され、さらに、将来のメジャーバージョンアップまでは無償で機能追加等が行われることになったという。

山田祥平のWindows first – Windows 10から変わるバージョンアップをめぐる問題:ITpro

 

最近はセキュリティ対策やサービス化の流れから、ソフトウェアは無料化が主流です。AppleはOSを無料アップデートしていますし、AndroidなどGoogle関連サービスはずっと無料です。

この流れを追うように、Microsoftもこれまでのようにソフトウェアのバージョンアップでお金を取るのではなく、Windowsをプラットフォームとして捉え、サービス化(利用料金の形で課金)しようとしているのです。

既に売上高としても、MicrosoftはWindowsに依存しなくなっています。以下の記事によると、Microsoftの売上高におけるWindowsの割合は、25%程度だそうです。Officeやクラウドサービスでの売上を伸ばしています。

2002年、デスクトッププラットフォーム部門はMicrosoftの総売上高の33%を占めていた。その割合は縮小し続けており、2013会計年度には、該当する部門(Microsoftの「Surface」ハードウェアも含まれるようになった)が同社の着実に増え続ける総売上高に占める割合は、わずか25%になった。その間、サーバ製品、「Microsoft Office」などのデスクトップアプリケーション、クラウドサービスは着実に売り上げを伸ばした。

マイクロソフト、アップル、グーグル–決算報告から読み解く10年の歩み – ZDNet Japan

Windowsでの収益拡大を狙うよりも、Windowsをいろんなデバイスからオフィスやクラウドサービスへアクセスするための「プラットフォーム」に育てることで、オフィスやクラウドサービスの収益を拡大させようという狙いなのだと思います。

 

まとめ

  • Microsoftはモバイルの普及に対して出遅れた
  • モバイルシェアの高いiOSやAndroidから、Windows向けにアプリを移植してもらって、Windows Phoneの価値を高めたい
  • 一人でPCやモバイルなど複数のデバイスを使い分けるようになっており、デバイス間の統合が必要
  • Windows 10では、PC・タブレット・モバイルが同じOSとして提供されることになっている
  • Windowsは稼ぎ頭というよりは、オフィスやクラウドサービスの「入口」的な役割を担う

ーーー

Windows Phoneを調べてみたら、結構安くありました。しかもAmazonのレビュー評価も結構良いんだけど。Officeも使いやすいみたいだし、試してみるのもいいんじゃないの?

4年ぶり!任天堂が黒字になった理由

Nemo / Pixabay

いやーついに任天堂が黒字になりました。4年ぶりです。

以前このブログで任天堂のことを書いたときは、ずっと赤字でした。

任天堂とDeNAが業務・資本提携。任天堂はスマホゲームに本気か

実際に、今回の決算発表の数字で、営業利益は黒字になっています。

Nintendo2015

今日はなんで黒字になったのか?を分析しておこうと思います。

任天堂が4年ぶりに黒字になった理由

上記のグラフにある通り、今回の任天堂の決算は「減収増益」です。

産経の記事では、端的に「コスト削減と円安効果」と書いています。

任天堂が平成27年3月期連結決算で4年ぶりに営業黒字を確保した。ただ、コスト削減に加えて円安の恩恵が大きく、まだ復調には遠い。28年3月期はゲーム専用機の本体、ソフト販売とも前期を下回る予想のため、年内に発売するスマートフォン向けゲームが浮沈の鍵を握る。

【任天堂4年ぶり黒字】スマホ向けゲームにかける「任天堂の本気度」 収益の柱に育てられるか(1/2ページ)産経WEST

コスト削減が営業利益に、円安効果が経常利益に表れます。

さて、ゲーム会社のコスト削減というのはどう行うのでしょう。もう少し細かい数字を見てみましょう。売上総利益率と売上高販管費率を今期と前期で算出してみました。

2014年3月期2015年3月期
売上総利益率28.55%39.03%
売上高販管費率36.67%34.53%

今期分で、売上総利益率がすごい上昇しているのがわかります。原価を絞ったんですね。また、売上高販管費率も減少しています。任天堂の今期のテーマは、「収支のバランスをとる」ということで、コスト削減もひとつ重要な経営テーマでした。 なので、経営テーマのひとつをちゃんと達成した、ということでしょう。

原価や販管費は、実際どうやって減らしたのか?

まず原価。任天堂の場合、事業は「ゲーム機の販売」と「ゲームソフトの販売」なので、ゲーム機の製造原価を下げるか、ゲームソフトの開発費用を下げるか、どちらかになります。過去の発表などをみると、ゲームソフトの開発費用が削減の主な対象だったことがわかります。

ちょっと長いですが、任天堂のWebサイトにある決算の質疑応答から抜粋します。

まず、ゲーム開発の効率の悪い部分について「効率を上げなければいけない」というご指摘についてはその通りです。ただ、お客様が求めておられるのは、実は単なるコンテンツの数ではなく、「自分が遊びたいと思うコンテンツがどういう頻度で出てきて、自分が何かに飽きたら次に遊ぶものが目の前にあって、それを遊ぶことは自分にとって良いことだと感じていただけるのかどうか」がポイントだと私たちは思っていますので、単純にコンテンツの数を増やすとか、1タイトル当たりの開発費を削減するということが一概に必ず良いことだとは私は考えていません。と申しますのも、1タイトル当たりのコンテンツ開発にかかる費用を単純に削減していきますと、一つひとつのものの魅力がなくなっていって、長期的に売れなくなるからです。逆に、結果的に売れ続けているものや、ホットな話題であり続けるものがあれば、お客様にとって遊び続ける動機が増え、新しく買ってくださるお客様の数も増えます。タイトル数だけがいくらあっても、一個一個が小粒になってしまっては意味がありません。例えば当社は、『マリオカート8』で追加コンテンツを配信することで、コースを増やしたり、カートを増やしたり、キャラクターが増えたりということに新しくトライしています。一番の目的はマリオカートというものが遊ばれ続ける状態をどうしたら維持できるかということで、高い情熱でプレイいただいた段階を経たソフトをもう一度遊んでいただくには、そういった何かしらの補強が必要であろう、ということです。今はそういう施策が技術的に可能になりましたし、『マリオカート』の新作を1本つくるのと、追加コンテンツでコースやキャラクターを配信するのとでは、かかる人月も時間も費用も全く異なります。

20141030日(木)経営方針説明会 / 20153月期2四半期決算説明会質疑応答

開発費用の削減という観点でみれば、投入資源を減らすか、開発本数を増やせば効率は一見上がります。ただ、コンテンツの質という点で難しくなるでしょう。上記の説明を読むと、以下のサイクルを回すという意図が見えます。

  1. 1つのコンテンツを「売り切り」ではなく、追加コンテンツを順に投入する
  2. 1つのコンテンツが長く遊ばれることになる
  3. 長期的に売れるようになる
  4. 結果として、1つのコンテンツの開発効率が上がる

これは、インターネット接続と密接に絡みます。今任天堂は、アカウントサービスを強化しようとしていますが、ゲームがネットと接続されることで、売り切り型にならず、コンテンツを順次配信したり、ネットを経由してコミュニケーションをとることができるようになるからです。ゲームの消費のされ方も大きく変わってきているということです。

また、広告宣伝費も削減の対象になっています。これも決算説明会の質問で社長が答えています。これも少し長いですが、引用してみましょう。

特に最近は、かつてテレビ広告だけがマスに届く方法とされていましたが、テレビ広告という方法ではなくても、インターネットやスマートデバイスの普及により、非常にたくさんの方が能動的に情報を取りに来てくださるようになりました。例えば任天堂が何かのゲームの紹介、あるいは新しいテレビコマーシャルをつくった時に、お客様はYouTubeや任天堂ホームページにわざわざ来てくださっています。また、任天堂は「ニンテンドーダイレクト」に力を入れ、定期的にウェブで「ニャニャニャ!ネコマリオタイム」という動画を公開していますが、これは大変人気の動画で、非常に多くの方にご視聴いただいています。今、日本国内ではニンテンドー3DSのニンテンドーeショップに、毎週定期的に動画を見に来てくださるお客様がかなりの人数いらっしゃるのですが、その方たちの視聴はまさに能動視聴です。テレビで突然ゲームの宣伝が入ってくる場合以上に、お客様は集中して見てくださっていますので、一回見ていただく際の効果はより大きくなります。テレビで見ていただくこと、お客様にとって面白いコンテンツをインターネット上につくって、そこにお客様に能動的に来ていただいて見ていただくこと、さらにそこで何かが盛り上がるとそこからソーシャルメディアを通じて、もともと興味をお持ちでなかった方たちにまで見ていただけるようになることによって、ゲームのマーケティングの活動はまだまだ効率化できると思っています。

20141030日(木)経営方針説明会 / 20153月期2四半期決算説明会質疑応答

マスメディア広告を控え、インターネットやスマホを活用したマーケティングを進めることで、広告宣伝費を下げつつ、顧客獲得ができているということでしょうかね。

ゲーム業界の戦略は変わってきている

任天堂のコスト削減を見てきました。こうみると、コンテンツに対する考え方が変わってきている感じがします。

  • 「売り切り」型からネット配信を組み合わせた長期型へ
  • アカウント管理を行い、ユーザー囲い込みへ

そして、新しいライトユーザーを獲得する手段として、DeNAと提携したようなスマホがあるんじゃないか、と。さらにこんな戦略も、最近発表されています。

任天堂と「ユニバーサルスタジオ」を運営する、ユニバーサルパーク&リゾート(Universal Parks & Resorts)は、業務提携し任天堂のゲームを元にした世界をユニバーサルのテーマパークに展開すると発表しました。

任天堂とユニバーサルスタジオが提携し、テーマパーク展開を計画 (インサイド) – Yahoo!ニュース

テーマパーク展開することで、マリオなど任天堂が持っているキャラクターをより強くブランド化することができ、新しい形でユーザーを獲得するきっかけを作ることを狙っているんじゃないでしょうかね。

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それにしても、コスト削減頑張ったら200億円営業利益が出るって、やはり只者じゃないというか、ダイナミックな動くをするな、任天堂って思いますね。

日本通信はもっと評価されて良いと思う。今後の経営戦略を分析する

日本通信は、2015年3月期の決算発表がありました。

さっと決算発表の内容を知るためには、この記事をどうぞ。

VAIO Phone」効果は? – 日本通信、営業利益43.5%減

ちゃんと知るなら、動画を見るのが良いと思います。

今回の業績をどうみるか

結論からすると、決算発表によって日本通信は株価が低落しました。売上・利益が業績予想を下回ったためです。まあ、以前からVAIO Phoneの問題で予想を下げていたわけですが。

5年間の売上・利益率の推移は以下のグラフです。

日本通信

今回注目したのは、売上セグメントです。決算発表資料をみると、「MSP事業」というのが大幅に伸びています。

日本通信のセグメント別売上高 日本通信のセグメント別売上高

(出所:20153月期決算発表資料より)

この急速に伸びている「MSP事業」は何だろうか?というのが、今回の記事のテーマです。

MSP事業とは?

MSPというのは、モバイルソリューションプラットフォームの略です。これがちょっとピンと来なかったので、もう少し調べてみました。以下は、日本通信が考える「SIMサービス」と「MSPサービス」の違いです。

日本通信のSIMサービスとMSPサービス 日本通信のSIMサービスとMSPサービス

(出所:日本通信が考えるMVNOより)

「MSPサービス」には3つ書いてありますね。

ATM向け無線専用線

日本通信のアメリカ子会社は、アメリカでATM向けの専用ネットワークを構築してサービスを提供しています。セキュアな専用線を持っている、ということですね。それを日本にも展開しています。決算説明会の話を聞くと、信用金庫のタブレット需要において、セキュアなネットワークが必要であり、このサービスを提供していると説明しています。

デュアルネットワーク

これは、ドコモだけでなく、KDDIやソフトバンクなど他のキャリアも利用しながら、適宜切り替えて利用できるようにするというものです。

FMCフォン

FMCフォンは、携帯電話と固定電話とつなげて、携帯電話から固定電話と同じように使えるようにするものです。

企業で内線電話の接続などに使うPBX(構内交換機)とスマートフォンを接続して利用できるIP電話ソリューションで、会社にかかってきた電話を外出先でも受けられるというもの。着信だけでなく発信も可能で、スマートフォン側からも会社の固定電話の番号で電話をかけられる上、通常の携帯電話と比べ通話料も安くできるという。 スマートフォンとPBXの接続にはNTTドコモのネットワークを使用し、インターネットではなく日本通信の設備を経由することから、導入が簡単で、かつ高いセキュリティを実現できるのが最大の特徴になるという。

日本通信・三田社長に聞いた! 「MVNO」が次に目指すべき姿とは? – 会社の内線をスマホで受けられる仕組みを開発日経トレンディネット

日本通信はB2Cなの?B2Bなの?

なんとなく「日本通信=MVNO=SIM」というイメージがあったので、なんとなくB2Cがメインだと思い込んでました。ただ、今回のMSP事業やVAIO Phoneの戦略をみてみると、B2Bをターゲットにした戦略なのではないか、と思えてきます。実際、上記のMSPサービスの内容をみると、B2CというよりはB2Bの方に強いニーズがありますよね。

SIMの方は、価格競争になっていて、体力勝負になっています。日本通信はMVNOのシェアはNo.3で、決して体力があるわけではありません。そこで、そこに競争性をある程度維持しつつ、特許技術を持っているセキュリティネットワークをサービスに組み込んで、差別化を図っていくというのが基本的な戦略です。

VAIO Phoneの出荷時にリモート・インストール・セッティング機能を搭載することで、固定電話とひもづける設定を、リモートで簡単に行うことができるようになる。そういう意味で、端末と通信をセットで提供することに意味があるのですな。

また、IoTのビジネスチャンスも取り込める可能性があります。アメリカではこういう事例が出てますしね。

日本通信、特許技術セキュアM2Mが米国で採用決定 - 全米規模の保健センター・キオスクにて -|日本通信株式会社

というわけで、SIM事業は価格競争しているので、その競争に疲弊しきってしまう前に別事業で差別化を図ろうというのが日本通信の現状です。

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日本通信は、以前から事業構造が少しわかりづらかったのですが、いろいろ調べるにつれて理解できてきました。既存事業はどこかで競争が激化して衰退していきます。日本通信は、ネットワーク技術を起点として新しいニーズを掘り出している段階だと思います。

日本通信は、いずれはSIMを提供する会社でもない。そして、B2Bがメインの会社だと思われるときが来る気がします。

忙しいあなたが明日から読書時間をちゃんと増やす方法

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あなたは、読書時間を確保できずに困っていませんか?忙しい毎日の中で、読書時間をいかに確保するか、というのは悩みの種だったりします。

 

読書量と収入に相関関係がある

経営に関心を持つなら、いろんな読書をすることは欠かせません。情報を入手したり、物事を考えるきっかけをもらったり、小説などで感性を刺激することは、とても重要です。

ただ、日々が忙しいと、どうしても読書する時間が限られてきます。しかもちゃんと集中して読む時間を確保しようと思っても、日中は忙しく、移動中は疲れて寝てしまい、夜や休日に読書しようと思っても、誰かと過ごしたり予定をこなすと、読書する時間もエネルギーも残りません。

1ヶ月の読書量について、「4冊以上」の回答が70%を占めました。4~10冊が51%、11冊以上が19%という結果に。一般的な成人の1ヶ月に読む本の平均冊数は0~2冊が72.1%(財団法人出版文化産業振興財団の「読書実態と意識に関する調査」(平成21年度)による)と比較すると、月お小遣い10万円超えの人は2倍以上の読書量であるということが言えそうです。

稼ぐ人はトイレで月4冊以上!年収は読書量に比例する!?~「月お小遣い10万円超え」稼ぐ人のライフスタイル調査を実施~|プレスリリース配信サービス【@Press:アットプレス】

他にもいろんな記事で、読書の重要性が説かれています。

年収の差は読書量の差?今年の秋は本を読んでみるのもいいかも – NAVER まとめ

統計的な話というより、個人的な実感として、読書は知識を増やし、発想を豊かにしてくれます。僕は大学生ぐらいで読書する習慣がつくられましたが、もっと早い時期からたくさん読書しておけばよかったとつくづく思っています。

 

Kindleでお風呂時間に読書する

いろいろ隙間時間に読書するのが良いというのが今のところの結論ですが、そのひとつの手段としていろいろ考えた結果、お風呂での入浴時間に読書することにしました。

紙の本だと濡れたりふやけたりしますが、電子書籍端末であるKindleを使えば、かさばらないし、紙のように濡れてダメになるリスクも小さいと考えました。

ジップロックにKindleを入れてあげれば、防水対策も問題ありません。ジップロック上から操作もできます。袋の中が曇って、ちょっと読みづらくなるときがあるのが難点ですが。

 

Kindleは安い

Kindle端末はいくつか種類がありますが、一番安いので7000円ぐらいです。万が一壊れても、これなら後悔ないぐらいなんじゃないでしょうか。読書時間を増やすための投資としては、全然アリだと思います。

 

集中した読書時間が劇的に増えた

入浴中にKindleで読書するようになって、集中した読書時間が大きく増えました。隙間時間に読むといっても、数分ごとに細切れすると、やはり集中しづらいので本の内容がスムーズに入ってこないことも多いです。やや難解なビジネス書や洋書など、集中力を要する本を読むときには、やはり読書に集中できる時間が必要です。入浴中に読むことで、集中して考えながら読書する時間が圧倒的に増えました。

また、僕はもともとあまり読むスピードが速くないのですが、集中して読むようになったことで、読む速度も高まりました。これも良い効果です。

 

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ということで、皆さん読書しましょう。経営者や仕事ができるビジネスマンほど読書する時間がないほど忙しいと思いますが、いろんな工夫によって読書時間を増やすことはできます。Kindle、おすすめです。

 

【書評】ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方

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「起業家」と呼ばれる人は、どういう考え方をしているのでしょう?

あるいは、「起業家」と呼ばれる人たちは、なぜあんなにリスクテイクして行動することができるのでしょう?本書は、世の起業家の考え方、行動アプローチを「方法論」として述べたものです。

起業家というと大層な感じがしてしまいますが、ビジネスの革新スピードが速くなっており、不確実性が高い時代においては、どんな組織に属していても、企業内で起業家的な行動を求められる場面が多くなるでしょうし、いつかは退職して独立するかもしれません。起業家の考え方というのは、いろんな人に共通して知っておくと良いものなのです。

 

「起業家」にはメソッドがある

本書は、起業家教育に特化したバブソン大学の起業家理論をまとめたものであり、バブソン大学の卒業生には、トヨタ自動車の豊田章男氏や、イオンの岡田元也氏がいます。

バブソン大学 – Wikipedia

  本書は冒頭でこう述べています。

私たちは、起業家が予測できない世界を一般人とは違う視点で見ることだけでなく、問題に対する起業家特有のアプローチ法はきちんと順を追って説明できる、ということにも気づいた。つまり、起業家のメソッドは誰もが実行できるのだ。

リスクを取る勇気がないといけない、膨大な資産がないといけない、突飛なアイデアを思いつく独創力がないといけない、など、起業家が持たれるイメージが本書では否定されています。実際には、リスクを許容範囲内に抑え、新しい領域に前進していくための方法論が述べられているのです。

 

「予測すること」が愚かな場合は行動しよう

仕事では、ちゃんと事前に調べ、計画を立て、それがうまく進むように行動することを求められます。これはとても重要なことで、ちゃんと事前に計画することが、ミスを防ぎ、考慮漏れを防ぎ、計画通りの実施に結びつくからです。

しかし一方で、予想通りにいかないことも世の中にはたくさんあります。どれだけ事前に計画しても、そのとおりにいかない場合もあるのです。それは、計画の対象がどの程度「予測できるか」によって、計画の立て方も変わるのです。ほぼ高い確率で予測できる領域であれば、計画を立てる方が望ましいです。しかし、ほとんど予測が難しいところは、計画を立てても無駄に終わります。

起業というのは、そういう「予測がしづらい」領域に活路を見出すことがほとんどであり、計画的に調べて実行に移すということが極めて難しいのです。その場合には、損害を許容される範囲に抑えながら、情報や経験を集めていきながら、サービスを確立していくことが求められます。これを解決するのが「行動」であり、起業家に求められる特性なのです。

そして、積極的に行動していく特性は、誰しも備わっていると本書では述べられています。

子どもの頃は、何をするにも知らないことばかりで、誰もが行動から状況を学んだはずだ。たとえば、音を立てたら何かが起きた。母親が振り向いたかもしれない。あるいは猫の尻尾を引っ張ったら引っかかれた、という具合だ。つまり、私たちが提唱しているのは、遠い昔に持っていたスキルを取り戻すことにすぎないーーまずは行動を起こし、さらに深く状況を理解する能力のことである。

行動しながら改善していくという考え方は、「リーン・スタートアップ」と共通するものがあります。

 

これからの時代を生き抜くためには、いろんな不確実で複雑な出来事にぶつかっていくでしょう。インターネットは膨大な情報を無料で入手しやすくしましたが、それでも変化は常に起こっています。これまでに教わってきた、「予測し、計画してから行動する」やり方では、通用しない場面が増え、やり方を変えなければいけません。

本書を読んで、自らが行動し、新しい時代を勝ち抜くための考え方を手に入れましょう。