未だに、このブログではNRI(野村総合研究所)の業績について書いた、以下の記事にアクセスがあります。
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書いたのは2012年なので、結構古い内容ではあるんですが。で、最近の動向はどうなっているのか、情報をアップデートしてみました。
相変わらず、NRIの利益率は高い
最新5年間のNRIの業績は以下の通りになっています。売上は少しずつ上昇しており、利益率も比較的高い状態を維持しています。
NRIの特徴は、なんといってもこの高い利益率でして、SI業界の雄であるNTTデータと比較すると、明らかに高いことがわかります。2倍以上も違います。
これは、シンクタンクを由来とする野村総合研究所の特徴として、コンサルティングの利益率が高いことが要因です。以下は、NRIの決算説明資料からの抜粋ですが、セグメント別の売上・営業利益を示したものです。コンサルティング部門だけでなく、他部門を含めた全体の利益率が、先ほど示したNTTデータの利益率より高いのがわかります。全体として、付加価値をつけることに成功しているのでしょう。
(出所:野村総合研究所決算説明資料より)
NRIとNTTデータの戦略の違い
もうひとつの軸として、売上高を見てみましょう。こちらもNTTデータと比較しますが、売上高でみると3倍以上開きがあり、近年その差はどんどん開いています。
これを見てわかる通り、2社は目指している方向性が違うんですよね。両社の戦略の違いについて、従業員数から分析した記事があり、大変参考になります。
SI産業 企業比較(NTTデータ、野村総合研究所) – Mic_Kの思うところ
両社とも、国内市場が縮小していく一方で、AWSなどのクラウドサービスが台頭しており、規模を拡大して海外市場を含めて勝っていく戦略なのだと思いますが、NRIの場合、付加価値が高い分、それを維持したスケール拡大(M&A等)を行うことが難しいんでしょうかね。M&Aを全くやってないってわけではないですが。
NRIは金融系のITソリューションで大きな売上を上げており、そのあたりが事業基盤になっています。その強みを活かして事業を拡大していく流れですね。
前回記事を書いたときから、NTTデータは売上規模を高め、利益率を少し落としました。NRIは売上の伸びはNTTデータほどではありませんが、高い利益率を維持しています。このような企業戦略の違いは、カルチャーやビジネスモデルなどから生まれてくるものです。それぞれの違いが浮き彫りになって、面白いですね。
ところで、両社は共同でこんな本を出しています。IT業界全体が、もっといろんな人が働きやすく、価値を生み出せるようになれば良いな、と思います。