任天堂とDeNAが業務・資本提携。任天堂はスマホゲームに本気か

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任天堂とDeNAが業務・資本提携しましたね。

【全文】任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)、業務・資本提携に関する共同記者発表会 | ログミー[o_O]

以前、このブログでも任天堂について書いたことがあって、任天堂は結構劇的な業績になっていて驚いたのを覚えています。

任天堂の売上高が4年で3分の1になっていてびっくりした
ウェアラブルの時代到来と、任天堂の今後の戦略

任天堂の現状はとても厳しい

まず、任天堂・DeNA・グリーの売上高を比較してみると、こうなります。

NDG Sales

本当、任天堂の落ち込み具合がわかりますね。かつて2兆円を超えた売上高は、いまや6000億円を下回っています。3分の1以下ですね。ただ、規模でみればまだまだ任天堂の方が大きいです。

また、営業利益率もみてみると、こうなります。

NDG Profit

任天堂、利益出てません。マイナスなんですよ。それに比べて、DeNAやGREEの高収益体質がわかります。

つまり、規模は大きいけど調子が良くない任天堂と、規模はまだ追いつかないけど高収益なDeNAで対照的であり、こういう記事が出てくるのも、なるほどなという印象です。

任天堂とDeNAの業務資本提携がまるで没落貴族と新興成金のケッコン式 : 市況かぶ全力2階建

任天堂にはスマホゲームを運営するノウハウがない

ファミコンから始まった任天堂の躍進は、ゲーム機というプラットフォームを自社で開発し、プラットフォーム上のコンテンツを開発することでプラットフォームの魅力を向上させる。そして、他社のゲームを自社プラットフォームに引き込むという「プラットフォーム戦略」でした。Wiiの成功もこのパターンです。

つまり任天堂は、「ゲーム機=プラットフォーム」と「ゲーム=コンテンツ」の両方を作れるから強かったんですね。それが、Wiiのヒット以降は据置型ゲーム機で新しいプラットフォームを作り出すことができず、スマホという巨大なプラットフォームにライトユーザーを奪われる形になったと思われます。本当は、このあたりのライトユーザーこそ、任天堂の味方だったはずなのですが。

とはいえ、任天堂にはゲーム機の開発だけでなく、ゲームコンテンツを作り出す能力もあります。これをスマートデバイスに適用させれば良いと思うのですが、ここはこれまでと違う運営能力が求められます。巨大なサーバー、ビッグデータ分析とスピーディーなゲーム改善、通信によるネットワーク性などです。これらを任天堂は自前で実現することが難しいと判断したからこそ、今回の業務・資本提携になっているのでしょう。

ログミーの記者会見全文でも、任天堂の岩田社長からはっきりそういうコメントが出ています。

それと、そのことによってもうひとつは我々一社がやるのではなくてDeNAさんという強力なパートナーを得ることで、我々の得意でないことで過剰に開発の人員をたくさん投入して、結果ゲーム専用機のソフト作りがおろそかになるというようなことが無いような形で、むしろ逆に任天堂IPをより多くの方に知っていただいて、うまく架け橋をかければ両方のためにプラスになるという答えが見つかったと。

【全文】任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)、業務・資本提携に関する共同記者発表会 | ログミー[o_O]

任天堂はスマートデバイスに対してどこまで本気か

任天堂としては、これまでプラットフォームとコンテンツを一体的に提供することで、ブランドを構築し、価格の高止まりを実現してきました。これが高収益体質を実現してきたわけです。企業が持つ資源には限りがありますし、ビジネスモデルごと変えるためには、企業買収などを含めて大胆なことを起こさないと変えることができません。

今回の判断は、任天堂の従来のスタンスを大きく変えることなく、スマートデバイスのチャネルも活用してみよう、という流れなんだと思います。キャッシュが膨大にあるから耐えられる部分はあると思いますが、今開発中と言われている新型ゲーム機「NX」でどれほどイノベーティブな商品が出てくるかが勝負かな、という気がします。

あと、資本提携のアンバランス(DeNAが任天堂の株10%程度を取得、任天堂がDeNAの株1%程度を取得)さから、任天堂はあまりスマートデバイスに本気ではないのかな、とも思ってしまいますね。

ひとまず、ヘビーユーザー層を狙うなら企業規模自体を縮小してバランスさせると思いますし、規模を狙うならスマートデバイスを本気で狙わないと売上を伸ばしていくのは難しいんじゃないか、と。