アスクルが自社株買いを進めることで、ヤフーの持株比率が上昇し、ヤフーの子会社(連結対象)になるようです。
アスクルは5月19日、ヤフーとの業務・資本提携を更改すると発表した。国際会計基準(IFRS)上、ヤフーの連結対象になる見通し。両社で運営するECサイト「LOHACO」の販売拡大に向け、連携を強化する。
アスクルは、オフィス用品を中心にBtoBを拡大してきましたが、市場が成熟してきており、建設関係や医療関係など、新しい顧客と商品を開拓しています。一方でBtoCの開拓強化していて、ネットでの集客力を誇るヤフーと手を組みました。
今後の両社の展開はどうなっていくんでしょう。
アスクルとヤフーのWin-Winな関係
アスクルの5年間の業績は以下のようになっています。売上は伸びていますが、利益がやや鈍化してますね。
一方のヤフーの5年間の業績は以下のようになっています。売上の伸びがやや鈍化していますが、驚異的な利益率を誇っています。
ただ、eコマースで出遅れていたことから、Yahooショッピングを無料化して巻き返しを図っています。それについては、以前このブログで書きました。
Yahooショッピング無料化からEコマースの現状とYahooの戦略を考える
サイトへの訪問者数でみると、ヤフーは383.3M、アマゾンは120.8Mなので、ヤフーの方が3倍以上訪問されています。一方で、eコマースの流通総額でみるとアマゾンの方が勝っています。(訪問者数はSimilarWebで調べました。)
つまり、集客力はヤフーは申し分ないのですが、売上に結びつく部分がまだまだだということです。そしてeコマースを実現するためには、物流が重要になっています。アマゾンは従来から物流に力を入れており、楽天もいろいろ取組みを行っています。ヤフーはこの部分を強化するためにアスクルの物流に目をつけたわけです。
実際、アスクルの子会社と連携して、出品者向けの物流代行サービスを行っています。
ヤフー、モール出店者の物流代行、アスクルの物流網を活用で当日・翌日配送にも対応 – 通販新聞
というわけで、ヤフーとアスクルはWin-Winの関係を強化する、ということでしょう。
ヤフーが国内1位になる日は来るのか
ヤフーの流通総額は、1000億円程度になっています。楽天が2兆円、アマゾンが1.3兆円ぐらいなので、まだ桁がひとつ足りません。
Yahoo!ショッピングの出店者数は24.3万店に、3Qの流通総額は8.4%増の1028億円 | ネットショップ担当者フォーラム
二桁成長と言っていますが、楽天も二桁成長していて、ヤフーが追いつくのはすぐというわけにはいかなさそうです。
「楽天市場」など2014年の国内EC流通総額が2兆円を突破、モバイル経由は44%に伸長 | ネットショップ担当者フォーラム
ひとまず、ヤフーとしてはアスクルという物流基盤を手にしたので、今後も攻めていくことでしょう。こういう状況で、今後どういう戦略でヤフーが攻めてくるのか、楽しみです。