組織や集団の中でどうやって合意形成するか

地方議会によるオープンガバメントの取り組みを読んだ。

議会のオープンガバメントが地域を変える! : 2011年 : Thinking TODAY : コラム : ニュース&オピニオン : 三菱総合研究所

議会のオープンガバメントが地域を変える! : 2011年 : Thinking TODAY : コラム : ニュース&オピニオン : 三菱総合研究所

行政のオープンガバメントは話題になることもあるが、議会というのはあまり注目も少なく、これを読んで、「ああ、良い取組だな」と思った。それと同時に、地域行政でも民間企業の組織運営でも、集団において合意を形成するプロセスをつくるというのは難しいもんだな、ということを感じた。

 

どうやったらみんなが納得することができるのか?

最近講義を受けたHRMでも言われたんだけど、一番重要なのは「透明なプロセス」で決定されていることがわかることだと思う。

議会に行けば直接意見を言うことができるし、議会に行くのが難しければインターネットを通じて意見を言うこともできる。適切な情報公開のもとに、議員以外のさまざまな人が議会に関与していく。参画手段も、インターネットに限定されるのではなく、実際の会議の場にも自由に参加できる。まさに、議会の理想的な姿ではないだろうか。

こういう取り組みは重要で、いろんな人が参画できることも大切だけれど、一番重要なのはそこに透明性があることだと思う。(なんでも自由に参加できたら、代議制の意味はどうなの?とか非効率になったりしない?とも思う。)

完璧な仕組みもないし、完璧に正しく判断できる人間がいるわけでもない。全てを論理的に決められるわけでもない。それでも人々が納得するのはそこに透明なプロセスがあるからだ。

 

そもそも興味がない人にはどうしたらいい?

透明なプロセスはわかるけど、そもそも興味ない人もたくさんいるじゃん、という問題もある。しかし、正しく集団の中で情報を浸透させようと思うと、それなりにコストをかけたり、役割を明確にしたりする必要があるわけで。

組織をコミュニケーション(チャネル)の集合体と捉えたときには、そのチャネルの間にある「結節点」が有効に機能しなければならない。
この結節点は、組織の外部の状況を適切に伝える、(1)「情報提供」機能を持ち合わせ、また、一方で内部の状況を把握する、(2)「情報収集」機能を持ち合わせなければならない。また、組織の判断基準に基づき、良いものは良い、悪いものは悪いとはっきりと基準を提示し、人を評価する父性的な(3)「判断行動」機能、そして、個々人の状態に親身になって気を配り、労をねぎらい、ときには褒める母性的な(4)「動機形成」機能も必要である。P.100

モチベーションエンジニアリング経営―人材流動化時代の新たな経営手法

そのためにはコミュニケーションチャネルを定義したり、効率的な単位に集団を区切って管理したり。そういうコストをかけることで、やっと情報が伝わり、興味・関心を抱いてもらえるようになる。

それでも疑問に思う人はこの動画をどうぞ。

つまり、それなりにコミュニケーションコストを払わないと、逆に合意形成というのを築くのは難しいということで。透明なプロセスを築いても、それが膨大な情報量に埋もれていて、要点も整理されていなくて、重要性も理解できなければやはり納得感は低い。

膨大な情報の中から要点を抽出し、わかりやすい形に加工し、人やメディアを駆使して伝達する。なんでオープンガバメントが注目されているかといえば、こういう情報公開するためのコストや、コミュニケーションコストがIT技術によって大きく下がってきたからで。

 

というわけで、「合理的に説明できる透明なプロセスを築いているか」「理解を得るためのコミュニケーションコストを払っているか」ということが、納得感を高めるポイントで、何となく納得感を得られていないのだとすれば、それはこういう要素が欠けているからだろうし、それについては民間企業でも行政でも変わらないと思う。

 

ビジネスで使える自己診断ツール4つ

ビジネスで使える自己診断ツールを集めてみましたよ。HRMの講義を受けて、いろいろ興味を持ったので。

 

Strength Finder

「さあ、才能に目覚めよう」という本を買うと受けられる。自分の強みを統計の観点から把握する方法。

ちなみに、Strength Finder 2.0という上記の本からのバージョンアップ版がある。こちらも本を購入すると受験できる。本自体は日本語訳されていないので洋書になるが、試験自体は日本語で受験可能みたい。まだ買って試してないけど、久しぶりに試してみようかな。

MBTI

パーソナリティの特定を類型する性格検査。

MBTI(エムビーティーアイ:Myers-Briggs Type Indicator)は、個人をタイプに分類したり、 性格を診断したりすることが目的ではありません。回答した個人一人ひとりが、自分の心を理解し、 自分をより生かすための座標軸として用いることを最大の目的にしています。
MBTIとは

こういうサイトで質問に答えると自分の類型がわかる。

タイプ別性格判断

タイプ別性格判断

Multipliers

HBRに掲載されていた「組織の知力を引き出すリーダーの条件」で紹介されていた。

以下のサイトで登録して10問答えると、組織の力を増幅させるのか消耗させるのか、自分がリーダーとしてのタイプを診断できる。(英語)

multipliers

multipliers

バークマン・メソッド

全世界の実績データに基づく人材分析手法で、世界のエグゼクティブではスタンダードな評価方法。ただ、日本では知名度がすごい低い。

The Birkman Method® consists of a 298-question personality assessment and a series of related report sets that facilitate team building, executive coaching leadership development, career counseling and interpersonal conflict resolution.
Birkman : Birkman Method : What is the Birkman Method?

日本語で紹介されているのはこの本。

こういうツールや診断をどこまで信じるか、ということはあるけど、参考にはなるし、自分や他人を見つめなおすきっかけになる。

Human Resource Managementの講義を受けて

MBAでHuman Resource Managementの講義を受けたことに対して、自分の思考のまとめなので、結論はないです。お気になさらず。

 

世界から存在を消す日本

日本は労働人口が減っていますし、人口と市場はどうしても関連するから、日本の存在感が低下していくという事実があります。人口ベースでみると、2050年には、日本は世界のトップ10にもいない。


Top 10 Countries By Population – 1950-2050より引用)

 

グローバルリーダーも生み出せていないから、日本は世界から静かに存在を消しています。下記の通り、グローバルリーダーの移動は、日本がスルーされてしまっているのです。


www.manpowergroup.jp/img/company/r_center/pdf/TheBorderlessWorkforce2008.pdfより引用)

住む場所を選ばない人、他国の言語を習得できる人、経営など先端の知識吸収にどん欲な人。こういう人たちと勝負できないと、日本は労働市場から追いやられてしまうんじゃないでしょうか。

 

人的資源管理は「スキル」

人の評価やフィードバックの仕方、人材マネジメントの方法論は、知識であり、スキル。身につければ、身につけないよりは確実に向上します。

パーソナリティに依存するとか、トレーニングしても効果が低いんじゃないかと言われていますが、効果が見えにくいだけで、スキルとしてはどんどん体系化されています。

教育コストについても、企業内のコミュニケーションコストについても、「人に投資する」コストがどんどん増えています。それでも投資するのは、モチベーションも含めて人というのは投資対効果が高いからでしょう。ここに投資するかしないかで、企業のスタンスもわかります。

 

巷で言われていることを繰り返すなら、日本人はグローバルを意識しないと本当にダメになりますよってことでしょうか。いろんな事実がそれを物語っている気がしました。

人材マネジメント入門

オーソドックスな本に分類されるようなものだと思うんだけれど、たくさん発見がある一冊だった。これはいろんな人に一読することをおすすめしたい。

人材マネジメントというのは、本当に難しい。それは、企業と個人には対立する要素が必ず含まれているからだ。そして、それをバランスすることが人材マネジメントに求められる。そして、今後の人事部門が求められるスタンスというのは、以下の通りだろうと思う。

今後、企業経営がより分散的になり、組織をまとめていくための求心力が、ビジョンになればなるほど、方向性の共有化の重要性は増します。P.24

企業の求心力が、複合的なものになったり、相対的にビジョンが重要になっている。そうなると、人事部は積極的に個人をコントロールしていくのではなく、個人のキャリア形成をサポートする役割になっているんだろう。そのためにも、選択オプションを用意したり、プロセスを透明化することが重要になってくる。特に個人のニーズが多様化しているので、労働時間、処遇、雇用形態など様々な柔軟性が組織には求められる。

 

OJTはなぜ有効か

個人的には、OJTがなぜ有効な教育手段であるかが、ちゃんと説明されているのがすごい嬉しかった。こういうことですよ。

経験からの学習可能性が最も高い仕事

1.自己決定:人に押しつけられたのではない、自分の仕事として、受け入れられる
2.フィードバック:結果がうまくいったかどうかの判断がつきやすい
3.有能感とチャレンジのバランス:その課題は難しいが、できると思う
4.有意味であること:どんなに小さな仕事でも、その仕事に意味があるという認識

ただ、最近はOJTの効果を疑問視する声もある。この記事にあるように、「知識」に関しては時間による陳腐化が激しくなってきているので、その点は考慮しなければいけないだろう。

大西 宏のマーケティング・エッセンス : OJTが効かなくなってきたワケ – ライブドアブログ

大西 宏のマーケティング・エッセンス : OJTが効かなくなってきたワケ – ライブドアブログ

負のフィードバックの威力

ただ、正のフィードバックは受けたいが、負のフィードバックは受けたくない。そんな心理は誰でももっています。スーザン・アッシュフォードという経済学者は、能力の高いマネジャーほど自分をマイナスに評価する上司を避けることがうまくなるので企業の中で成長せず、逆に、負のフィードバックを意図して探すマネジャーは時間をかけてトップパフォーマーになっていくことを確認しました。P.103

今はライフネット生命で有名な岩瀬大輔さんも、コンサル会社時代は上司から作った資料を真っ赤に添削されて喜んで帰っていったと聞いたことがある。それだけ、自分から積極的に負のフィードバックを受け入れられると、自分の力にできる。確かに、自分の中でも辛いと思った経験ほど、後ほど自分の血肉になっていると感じる。言うのは簡単で、実行するのは難しいけどね。だけど、負のフィードバックが自分に還元されることを知っていれば、受け入れやすくもなる。

 

他にも、日本は、キャリアで差が付き始める年数を比較的遅くすることで、誰にでも昇進を期待させて、長期間の雇用と忠誠心を確保しているという指摘も面白かった。ただ、早期選抜など成果主義が入ってきて、その傾向も崩れつつある。

人材マネジメントというのは、バックオフィスのイメージがあり難しいのだけれど、モチベーションコントロールや、人の成長、効率的なチームマネジメントなど、日々の作業に直結する重要な要素がたくさん含まれている。そういう意味で、いろいろ気づきが得られる一冊だった。

なぜ組織は形骸化していくのか

作業をしていると、いろいろ「形骸化」している場面に出くわす。

ある目的で立ち上げられたタスクフォースが、一応実行されているものの、誰が何の目的で作業しているかがよくわからず、とりあえず集まって、言いたい意見を言っておしまいになっていたり。

「ちゃんとルールを文書化しよう」と意気込んだものの、その文書が全く更新されず、いつの間にか誰の目にも触れずに眠ってしまっていたり。

 

こういうのを見ると、やっぱり意識し続けないと目的が見失われていくし、時間が経てば人は忘れていく。ルールを作ったとしても、立派な目標を立てたとしても、それが継続して実行されずに終わるのであれば、何の意味もない。

現場は「不必要と思う」ものは風化させていく

現場は面倒くさくて、一見効果的でないと思えることはどんどん風化させていく。これはもう見事にそうなる。個人の問題ではなく、現場における作業の優先度に関する考え方の問題だ。

これに従うと、緊急度も重要度も高いものがまず選択され、現場では次に重要度が低く緊急度が高いものが選択される。ここで、組織内で正しく緊急性・重要性が理解されていないと、「あの作業、何のためにやるかよくわからないし、後回しにするか」と判断されて、後回しにされる。そうやって、見事に風化し、形骸化していくのだ。こういう光景を見ると、組織というのは本当よくできているな、とある意味感心する。

だから、新しい仕組みやルールを導入するときは、現場に対してちゃんと緊急性・重要性を理解してもらう必要がある。

ルールは一度決めたら終わりではない

ルールをちゃんと文書化しよう、というのはいろんな場面で見られる。マニュアルなんかも整備する。だけど、それに定期的なメンテナンスが必要になる、というのは忘れられる場合が多い。ルールは一度作ったら終わりではなく、常に状況に合わせて最新化する必要がある。

そのためには、予めメンテナンスを想定したルール作りや制度設計が必要になる。こういうことを想定しておかないと、すぐに忘れられるか、誰かが思い出しても「メンテナンスするなんて面倒だ」っていう方向で処理される。

最後はリーダーの意志だ

精神論は好きではないけれど、結局仕組みだけでは全てを賄うことはできない。組織が継続的に改善され、発展していくためには、組織としてそれをちゃんと全うするという意志がインストールされる必要がある。そして、それをインストールするのがリーダーなのだ。人が動くためには気持ちが必要になるんだよ、結局。

 

というわけで、形骸化しないためには、予め手を打っておくことが重要だし、維持していくためには相応のコストが必要だということです。

組織の生産性をちょっと上げたい人へ送る記事17本

これまでブログで書きためた組織や仕事に関するトピックをまとめておく。書いた順番ではなく、内容に関連がありそうな順番で並べているので、もし仕事に悩むようであればお読みください。部下、上司、リーダーそれぞれの立場に分けてありますよ。

部下として

まずは、組織で上手く仕事をするコツを覚えよう。

上司に聞く前に考える3つのこと

自分の作業を見積もれない人はちゃんと日報つけよう

仕事を円滑に進めるために「責任範囲」を理解する

朝令暮改を受け入れる

理不尽な上司に立ち向かう方法を考える

見えない「調整コスト」を考える

上司を上手に使うスキル

上司として

いろんな人の話を聞かないといけない。

役職が上がって変わることについて考える

部下は上司に意見をしちゃいけないんですか

年齢を重ねると細かいことは誰も注意してくれない

部下にNoと言ってもらえる上司になろう

部下に自信を与える3つのこと

モチベーションを低下させる上司の行動を適当に上げてみる

リーダーとして

リーダーはビジョンを示していくのが仕事。

「決断」の種類と重要性について考える

ディスカッションパートナーの重要性

何かを始める前に共通認識を育てる

チームに上手に学習してもらう仕組みを作る

上司を上手に使うスキル

ふと自分の中でホットトピックになったので、軽くまとめておく。

ピラミッド構造を取る組織は多いと思うんだが、組織をうまく回すコツに「上司を上手に使う」っていう点があると思うんだよね。

 

上司より自分の方が現場を知っている

上司を上手に使うスキルが必要なのにはちゃんと理由がある。それは、上司と部下で情報の非対称性が存在するため。

組織はピラミッド構造だから、自分の上司は現場の全部を知っているわけじゃない。だから、現場の情報を的確に教えてくれる人間は貴重なわけです。それによって、完全とは言わないまでも情報の非対称性を埋めることができるから。そして、非対称性があるということは、部下が情報を発信しないといつまでも非対称性が解消されないことにもなる。だから、部下が上手に上司を使うスキルが必要になる。

 

スキルを発揮すれば良い組織になる

これには良い効果があって、上司と部下の間の風通しがよくなることが多い。もちろん一概には言えないけど。だけど、自主的に考えた意見を進言してくれる部下を大切にしない人とか、どうかと思うしね。ちゃんと考えて進言していけば、お互いに思っていること、考えていることを言いやすい空気ができるんじゃないかなあと思う。

あと、結果として上司にちゃんと責任をとってもらえる。そもそも自分の責任範囲を超えているから進言しているのであって、それをちゃんと考えて行動すれば、上司は上司の責任を取ってくれるだろう。

 

こういうスキルはどのポジションでも必要ではあるんだけど、きっと中間管理職になってくるとこういうスキルが顕著に求められるようになる気がするな。上司はうまく使うものだし、上司である人もそれを承知で立ち振る舞うのがかっこいいよね。

何かを始める前に共通認識を育てる

仕事をやっていると、たまに顧客に見当違いな提案をしてしまったり、議論が面白いほど噛み合わなかったりすることがある。いろいろ議論を進めていたはずなのに、急にちゃぶ台返しみたいな急展開を迎えることだってある。こういうことが起こってしまう原因は、お互いが前提としている知識や課題、目的などがずれている場合がほとんどだと思っている。

 

うまく本音を引き出せていなかったり、コンサルとして現場や顧客の業務を十分に理解できていなかったり、ということもあるのだが、一番重要なのは「何が目的なのか」をクリアにできずに議論を進めてしまうことだと思っている。プロジェクト全体の目的は何か。この1ヶ月間の目的は何か。この打合せの目的は何か。それがクリアになっていると、議論も大きく的外れになることはないはずなのだ。

そして、目的を定めるために必要なのが「課題認識」だ。そもそも何か作業をするのは、そこに課題があるからだ。課題をちゃんと定めることで、目的がはっきりしてくる。課題として認識しているものが違ったり、課題の重要度の捉え方が違っても、目的は随分変わってくる。

だから、誰かと議論を始めるときは、最初は共通認識を合わせることに力を注いだ方が良い。最初は何となくうまく議論できているようでも、微妙なズレが内包されていると、あとあと大きくひっくり返ることもある。

 

最近Twitterとかでみられる炎上の一部も、そういうところがあるんだろうなと思う。部分的なところだけを捉えてしまったり、誤解であったり。共通認識を埋めることがなく、いきなり議論がスタートしている感じもある。

 

だから、何かを集団で始めるときは、お互いの理解を深めるために、まずは共通認識を育てよう。僕らの社会は結構複雑で、いろんな知識や前提、慣習、思い込みなどが織り交ざって形成されている。共通認識を持とうという意識をするだけで、相手に一歩歩み寄れる。議論の発展は、そこから始まる。

嵐の櫻井くんが解く人間関係の考え方がわかりやすくて素晴らしい

先日「ひみつの嵐ちゃん」をちょっと見てたんだが、すごい櫻井くんが真っ当で人生のためになることを言っていた。うろ覚えだけどメモっておく。

 

学生から質問を受ける形式だったのだけど、ある生徒が「嵐の仲良しの秘訣を教えてください」っていう質問があった。これの答えが、すごい人間関係の真髄を表している気がした。櫻井くんは「遠慮と我慢の設定」と答えたのだ。

いくら仲良しだとは言っても、自分の苛立ちや不機嫌さを簡単にぶつけてしまうのはナンセンス。しかし、我慢し続けると悪い部分も何も変わらないので、本当に信頼できる関係にはなれない。だから、遠慮と我慢のラインをどこに設けるかを考えて付き合うことが重要だと言うのだ。

 

これを聞いて、感心してしまったよ。すごい人間関係の妙を端的に表現してるんじゃないかと。

いろんな人といろんな関係があるが、すべてこの「遠慮と我慢」のラインをそれぞれ引いている。あまり関わりが薄い人に対しては、ほとんど自分に実害がないから一時的に高い我慢を強いられても耐えられるけど、距離が近くなるほどそうもいかなくなる。だからといって感情をぶつけすぎても関係性は壊れる恐れが高まる。

 

どこまで遠慮や我慢をすることが、お互いの関係性によって良い方向に向かうのかを考えるのは、とても良い示唆だと思う。

空気に負けない方法を考える

ああ、最近少しモチベーションが上がらない気がする。あまり仕事のスピードが落ちているとは思わないけど、何となく「やるぞ」って感じにならない。まあ、定期的にこういうことは訪れるので、あまり深く気にせず、こういうときは徹底的にダラっとするのが良いので、しばらくそうしようかと思う。

と思ってたら、面白い記事を読んだので貼っておく。

「頑張らなければいけない」空気に、人が組織で取り囲まれる怖さ-渡辺美樹氏、木村剛氏を観察した私の経験から : アゴラ – ライブドアブログ

人は、他人に夢を見せられるとそれに心酔する場合があるということだろうか。きっと、「完璧な人間」に憧れたり、示されたビジョンに魅了されて、頑張ってしまって、壊れるんだろうか。

 

自分で自分の働き方を決めている感覚

コンサル会社にいると、結構みんなドライだ。優しいけれど、ドライ。恐らく経験したことがない人からすると、不思議な感覚かもしれない。基本的に「お前は絶対に会社辞めないでくれ」とか「俺の部下でいてくれ」なんてことはない。「お前の好きにしろ。だけど、お前のためになるのなら、できることは協力しよう」って感じ。少なくとも、僕の上司はこれまでそうだった。僕が不要だったからかもしれないけど。

この、「お前の好きにしろ」っていうある種の突き放しが、自分を冷静に見つめさせてきたと思っている。結局選ぶのはお前なんだと。お前が納得した上で働け、と言われ続けた気がするし、自分も他人にそう接した気がする。それは、その感覚が、厳しいけれど一番各個人にとって正しいものだと思ったからだ。「この会社ではこうするのが当たり前」とか、そういう「空気」みたいなのはできるだけ排除して、感覚的にも自分が心地よいと思えるような、納得できるような選択ができるような状況を作ってくれていたんじゃないかと今は思う。

 

自分が何をやりたいのか、どう働きたいのか、これからどう進みたいのか。ベストな答えがあるわけではないし、どんな会社に行ってもそれを完全に叶えてくれるところもない。だからどこかで折り合いをつけるのだけれど、それでも自分で働き方を考えて、納得した上で仕事する感覚にいることはすごい重要なんだと思う。

 

自分をできるだけメタ認知する

先ほどの記事にあるように、すごい人を見ると、圧倒されて自分の存在が風で消し飛ぶぐらい軽く感じる。そして、自分の当たり前の基準が揺らいでしまうような感じになる。もっと頑張ろうと思う。自分にない新しい世界を生きようと思う。それが自分の能力を引き出すきっかけになるもの確かだ。

だけど、できるだけ等身大の自分を受け入れるような、ダメで堕落した自分を受け入れるような、そういう感覚も定期的に思い出す必要があるんだと思う。結局、いろいろ決断し、選択し、働き方を決めていくのは自分なのだから。

 

僕も、自分がどういう状態にあるのか、できるだけ冷静に考えるように努めている。感情をコントロールする、という意味ではなくて、自分がどういう要因で苛立っているのか、とか精神的に疲れているんじゃないか、とか。そういう点は結構考えるようにしている。未だに全然うまくできないけど。

 

自分の感覚に素直に従う

僕は大学生のときに、自分の精神状態にある程度波があることに気づけた。だいたい1年で3~4回、無気力に近いというか、いろんなことにモチベーションが上がらない時期が発生することに気づいた。そして、そういうときは徹底的に堕落して、好きなことをするようにした。学校も大した内容じゃないと思えば行かなかったし、一日中マンガ読んだり寝たり。そうやって、自分が立ち上がる時期を探ってた。結局、ほんのささいなことをきっかけにして、また新しいモチベーションを得られるんだってことにも気づいた。

自分をメタ認知するよう意識すれば、自分の乱れに気づくこともできるようになる。きっと。そしたら、どうやったら自分が苦しい状況を脱することができるか考えることにも進むと思うんだよね。環境を変えてみたりとか。思い切って数日休んでみるとか。苦痛と思ってる作業をやめるとか。

 

努力を強制するような空気は僕は嫌い。そのためにも、自分の状態に気づいて、自分の感情に素直になりながら、うまく社会で生きていく方法を学ぶことが重要なんじゃないかと思う。というわけで、僕はしばらく力を抜いて生きると思います。