日本を観光立国にするポイント3つ

日本の地方都市は、観光で稼ぐことはできるだろうか。

この本は仮説思考をベースにした本なのだけれど、地方や中小企業に向けた内容が多く、特に観光戦略について考えさせられた。

長谷部 光重¥ 1,575

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観光産業を推進する目的は、外貨を稼ぐことに集約される。これを考えたときに、どうやって地方は観光戦略を立てるべきなのだろうか。今、日本の観光戦略に不足しているものは何だろうか。

観光に関する統計データを整備する

スペインでは、観光統計データも州、主要都市ごとに観光客数、国籍、宿泊日数などを把握して毎月公表。法令によりホテルや主要観光施設には詳細な報告を義務付けられていることで実現しています。そして、このデータに基づき観光状況を検討し、政策に反映させています。P.97

統計データを集め、提供することはひとつ重要な要素だろう。データがあって初めてわかることがあるし、データが公表されることで、いろんな人がそれを判断材料にできる。データに頼りすぎるのもよくないが、データは思い込みや誤解を排除し、新しい発見を与えてくれることがある。公共機関として重要な役割だ。

観光ルートを把握する

中国人観光客の観光ルートの定番は、関西空港から入国し空港近くのホテルに1泊。2日目は大阪、京都を観光し、滋賀県大津や岐阜県大垣などの比較的安価な宿泊地に宿を求めます。宿泊費の節約でしょう。P.162

東京で外国人を見かけたときは、みんな成田に到着して東京で宿泊するもんだと勝手に思っていたけど、こうやって具体的に示されると、なるほどと思うと同時に、言われてみないと気づかないもんだなと思う。

具体的なルートを知ることで集客の仕方も変わるし、意外なところで収益チャンスが生まれるもんだなあと感心。

観光者に受ける製品を考える

この本を読むまで全く知らなかった、海外で売れる商品をつくる地方企業というのがたくさんある。そのうちのひとつとして挙げられているのが以下。

古くから刃物の町として知られている岐阜県関市の刃物雑貨メーカー、グリーンベル。P.165

ここ。「ガイアの夜明け」でも取り上げられたそうな。

グリーンベル 匠の技

ルーペ付き爪切りなどが、中国人観光客に売れているのだそう。普通に自分の生活とか価値観を起点に考えていると、どういうものが売れているのかわからないものだなあ。

この本は地方企業の生き残りに関して、事例が豊富でかつ読みやすい。海士町のストーリーなどは読み物として楽しい。日本が観光によって外貨を稼ぐことができれば、閉塞感ある地方経済も新しい道が出てくるんじゃなかろうか。

指定フォルダの写真を自動アップロードする@Mac

Android写真をDropboxにバックアップしたら、「これを自動でFlickrにアップロードできれば楽なんじゃない?」と思いついた。ほとんどGoogle先生に聞いたらできたよ。ちなみに自分の環境は、Mac、Python2.5。

flickrapiをインストール

FlickrのAPIを利用する必要があるので、APIがモジュール化されたflickrapiをインストールする。easy_installを使えば、すぐに完了。

 

easy_install flickrapi

 

Pythonスクリプトを作成

ここを参考にすれば、すぐにできる。

Flickr 一括アップローダ – SPEAKER BREAKA

 

Flickr APIのキーを取得しようね。そして、ちょっとだけ自分用にカスタマイズしました。

 

#!/usr/bin/python 
# -*- coding:utf-8 -*-
from __future__  import with_statement
import sys
import os
import threading
import time
import re
import flickrapi
import shutil

API_KEY = "取得したAPIキー";
API_SECRET = '取得したAPIシークレット'

PAT_EXT = re.compile(r'\.(jpg|jpeg|avi)', re.I)
pict_dir = '.'

		
class UploadWorker(threading.Thread):
	"""
	"""
	def __init__(self, flickr, files, lock, name=None, args=(), kwargs={}):
		"""コンストラクタ"""
		super(UploadWorker, self).__init__()
		self.flickr = flickr
		self.files = files
		self.lock = lock
		
	def _pop_file(self):
		"""
		"""
		with self.lock:
			try:
				f = self.files.pop()
			except IndexError:
				f = None
			return f

	def run(self):
		"""
		"""
		while True:
			f = self._pop_file()
			if f is None:
				break

			print "[%s] Upload start: %s" % (self.getName(), f)
			try:
				# プライベート設定はここで。プライベートにするなら全部ゼロ
				self.flickr.upload(os.path.join(pict_dir, f), is_public=0, is_family=0, is_friend=0)
			except: print "[%s] Failed... Skip" % self.getName()
			else: print "[%s] OK: %s" % (pict_dir + "/" + f, f)

			# 画像をDropboxフォルダから移動
			shutil.move(pict_dir + "/" + f, "移動先ディレクトリ")

def init_flickr():
	"""Initialize and authenticate FlickrAPI"""
	flickr = flickrapi.FlickrAPI(API_KEY, API_SECRET)
	(token, frob) = flickr.get_token_part_one(perms='write')
	if not token: raw_input("Press ENTER after you authorized this program")
	flickr.get_token_part_two((token, frob))
	return flickr

def main():
	"""
	"""
	# 画像ディレクトリ設定
	global pict_dir
	pict_dir = "画像を格納するDropboxディレクトリ"

	# 画像ファイル名取得
	files = [f for f in os.listdir(pict_dir) if not f.startswith('.') and PAT_EXT.search(f)]
	if len(files) == 0:
		print "No files in the directory."
		sys.exit()
		print "File num: %s" % len(files)

		# Flickr API 初期化 & 認証
		flickr = init_flickr()

		# アップロード
		lock = threading.Lock()
		workers = []
		for i in xrange(5):
			w = UploadWorker(flickr, files, lock)
			workers.append(w)
			w.start()

		# 処理終了待ち
		for w in workers:
			w.join()
			print 'Done.'

def _test():
	import doctest
	doctest.testmod()

if __name__ == '__main__':
	main() 

 

Mac起動時に自動実行

自動実行するためにどうしようか考えていたが、Platypusという、スクリプトをアプリ化してくれるフリーソフトがあった。

Platypus | Macの手書き説明書

 

これでアプリを作って、「システム環境設定」⇒「アカウント」⇒「ログイン項目」に追加しておしまい。

これでここ数日運用してみたところ、GalaxySで撮った写真が自動でFlickrにアップロードすることができたので、満足。

「AiWiFi」でAndroidの写真と動画を自動バックアップ

GalaxySにしてから、携帯で写真を撮ることが多くなった。貯まった写真は、どこかにバックアップをとっておかないと不安になる。そこで、自動で写真や動画をバックアップできるアプリを導入。

 

AiWiFi – Android マーケット

 

AiWiFiは、携帯の指定したフォルダにあるファイルを、Webサービスに自動アップロードするAndroidアプリ。「前回アップロード時より新しいファイルのみ」を対象とすることができるので、便利。

本当はFlickrに対応していると嬉しいんだけど、これは残念ながら対応していないので、Dropboxにバックアップ。

ちなみに、WiFiでアップロードすることが基本になっているようだけど、3G回線でも可能。

データのバックアップは重要だし、こういう自動化してくれるアプリは時間とストレスを軽減してくれるよね。

情報の種類や時間軸について考える

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TEDをネタに記事を書こうと思ったときに、「やっぱり動画って見返したり分析したりするのに適してないな」と思った。特定のポイントを探しづらいし。そこでふと、TEDは字幕ファイルを取得できるので、軽くそういうプログラムでも書こうと思ったら、既にやっている人がいるもんだね。

 

TED Talk Subtitle Printer

 

これを見つけてから、「情報」の形についていろいろ考えてみた。

 

情報の種類を変える

やはり動画や音声なんかは、検索しづらいし、扱いづらい。同じ時間を共有できる反面、時間に制約されてしまう。どれだけネットが進化して、リッチコンテンツが充実してきても、まだ検索の容易性という意味で、文字情報の検索に勝るものは出てきていないと思う。

YouTubeなんかは検索機能があるけれど、これもタイトルや説明文、タグなどの「メタデータ」に属する情報からヒットしているわけで、「動画そのもの」の情報ではない。そういう意味で、メタデータをつけるという手間と、メタデータそのものの情報量が、通常の文字コンテンツに比べて少ないというデメリットは否めない。

書き起こし.comが流行ったのも、そういう「扱いづらいデータから扱いやすいデータに変換された」ことがウケた理由だと思う。

 

書き起こし.com =注目の動画・音声の文字起こし/テープ起こしサイト=

 

こんな感じで、情報の性質を変換すると、新しいニーズが生まれる気がする。そういう意味では、冒頭のTEDも動画だけでなく、写真と字幕ファイルを組合せた記事形式にしたりすれば、読みたいと思うなあ。

 

情報の時間軸を変える

ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉であるに書いてあったけれど、最初にHPが登場したときは更新時間はゆったりしたものだった。そしてブログが登場してから情報は日次で更新されるようになった。さらに、Twitterなんかのマイクロブログが登場すると、時間軸の単位は「日」ではなく「時」や」分」「秒」になった。そうやって、どんどん情報が加速している。

一方で、Twitterを束ねたTogetterが登場したり、まとめ記事やまとめブログがあったりして、早過ぎる情報を束ねて静的化する流れもある。

 

時間軸の中で情報を捉え、違った時間軸の中に情報を流したり整理すると、違ったニーズが発掘できたりするようだ。

 

情報化社会と言われて久しいけれど、爆発しそうな情報の多さに立ち向かうためにも、「情報」をいろんな角度から眺めると見えてくるものがあるのかもしれないなあ。

ブックオフとAmazonマーケットプレイスの違いについて考える

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定期的に本棚がいっぱいになるので、そのたびに古本屋で本を売っている。今回も近所のブックオフに売りにいったら、一冊値段がつけられないと言われた。その本はビジネス書としては結構珍しい方なので、もったいないから引き取って返ってきた。で、試しに、初めてAmazonマーケットプレイスに出品。

マーケットプレイスへの登録は簡単

マーケットプレイスに登録するには、通常お買い物するときとは別に登録が必要。といっても、本人確認と銀行口座情報の登録ぐらいなので、大した手間ではなかった。

手数料としてAmazonに払うのは430円。配送料としてもらえるのは250円。なので、実際の売った金額から180円引かれた値段が、実際の売上になる。

ブックオフで売れなかった本がAmazonで売れた

ブックオフでは全く値段がつかなった本だけど、数日放置してたら売れました。驚き。しかも、定価がそこそこ高く、競争率も低い本だったので結構強気の値段つけたけど売れました。

本そのものが売れたことよりも、同じ本なのにブックオフとAmazonでどうして値段が変わるのか、不思議に思ったので考えてみた。

儲けるポイントが違う

ブックオフは、ブックオフ自身が売主と交渉して買取り、店頭で売る。基本的にはこのときの利ざやで稼ぐ。一方で、Amazonはプラットフォームを提供しているだけなので、その「場所代」で稼いでいる。

考えなくても当然ですね。ただ、このビジネスモデルの違いから、本の値段が変わってくる、という点についてもうちょっと考えてみる。

中古本を売るための費用構造から考える

中古本を売るまでに、いくつか費用構造が存在する。

・本そのものの価値(貴重性、本の状態)

・在庫費用

・人件費

・サーチコスト(機会ロス)

本そのものの価値(貴重性、本の状態)

これについては、両者で大きく違う。ブックオフは、買取り価格に明確な基準を設けており、定価と本の状態なんだそうだ。本そのものの稀少価値などは、組み込まないとされている。ブックオフのすごいところはこの仕組みを作ったところなんだと思うんだが、値段のつけ方という意味では正直微妙なところ。

逆にAmazonでは、他の出品者の数や値段などを踏まえながら値付けを行うので、(ある程度)市場競争にさらされた値段が付けられる。高くても、状態が悪くても、ニーズがあれば売れる。だから、主に需要と供給のバランスで値段が決まりやすいメカニズムになっていると推測される。

在庫費用

在庫費用というのは、結構ばかにならない。ブックオフの場合は、買い取った本を店舗に並べるので、そのための店舗スペースが必ず必要になる。

一方Amazonは、本そのものはユーザが抱えているので、在庫費用はゼロになる。

人件費

ブックオフはアルバイトなどの人件費が必要。Amazonは基本いらないよね。一応、コールセンターとか構えているけど。

サーチコスト(機会ロス)

市場というのは、参加者が多ければ多いほど「適正な」値段がつくもの。ブックオフの場合は店舗内に限られており、品揃えも店によって異なる。ここで欲しいものを探そうと思うときの労力はとても大きい。つまり、店側からすれば機会ロスがあるわけなので、その分売れたときの利ざやを大きくしなきゃいけない。

Amazonはインターネットの中で、検索キーワードで簡単に探せる。あとは、欲しい商品が欲しい値段であれば、購入することができる。サーチコストはとても小さい。だから、手数料という形で薄く広くとることで十分なのだろう。

考えてみてわかったこと

まあ、結構乱暴な仮定もおいているので、厳密な比較はできないものの、お金が動き、品物が動き、かつ市場価格が形成されてやすいという意味で、Amazonマーケットプレイスの方が良いエコシステムだと個人的には思う。本当は、双方が取り扱っている本の数とか、動いている金額の規模が統計の数字なんかであれば、確認できるんだろうけど。

ちなみに、ブックオフもオンラインで中古本を販売している。

 

ブックオフオンライン 新品中古まとめて購入&まとめて配送

 

これはこれで良いと思う。中古本を収集する仕組みを持つ強みもあるだろうし。漫画のまとめ買いは、便利だしお得なのでオススメです。

 

漫画本を大人買いするなら、ブックオフオンラインが便利だと思う | Synapse Diary

 

Googleリーダーでインプット情報量を増やす

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一日に消化できる情報量は、どこまで増やせるのだろうか。

本や雑誌、新聞、ネットのニュースなどをみている。その中でも、RSSリーダーは自分にとって重要な位置を占めている。ここ数年はずっとGoogle Readerを使っていて、1日に100本ぐらいは記事に目を通している。全部熟読しているのではなく、タイトルや記事の冒頭から、興味があるものを取捨選択している。

RSSリーダーの記事をどれだけ早くさばくかは、自分の情報生産性に大きく左右される。

取捨選択の見極めを早くする

RSSリーダーでとっている情報から、必要な情報を見極めて、いらないものはどんどん既読にしていくのがスムーズに情報を取得するポイント。というわけで、Googleリーダーではショートカットが便利です。

 

キーボード ショートカットはありますか。 – Google リーダー ヘルプ

 

たかがショートカット。されどショートカット。覚えたときは、あまりの快適さに、今まで知っていても試そうとしなかった自分をバカだと思いました。

覚えたのはたった2つ。

「n」で次の記事

「p」でひとつ前

キーを押すとちゃんと次の記事の先頭までスクロールしてくれるし、マウスでクルクルしてた頃のイライラが解消されました。バカにならないもんだなー。正直、それ以外のショートカットはあまり使う場面がない。

記事を読むまでの操作を省く

GoogleリーダーのFirefoxアドオンで、全文表示してくれるやつがあるので、それを愛用している。要Greasemonkey。

 

Googleリーダーに登録したGreasemonkey3つ | Synapse Diary

 

全文配信されない記事なんかで読もうと思ったものは、アイコンを押せばすぐ読めるので便利。リンクをクリックして、タブを切り替えて、とかちょっとしたストレス。

空いた時間にまとめて読める状況を作る

評論とか長い解説記事とかは、少し集中力がある状態で、まとまった時間に読みたいもの。そういうものは、基本的にはGoogleリーダー上でディレクトリを分けるか、Instapaperに送ってしまう。

Instapaperであれば、読んだところまで位置も記憶してくれるし、ここ1年ぐらいずっと使っている。

 

Googleリーダーのスター付き記事を自動的にInstapaperに取り込み、Androidで効率よく管理する方法 | juggly.cn

 

記事をすぐにスクラップできるようにする

最近はまっているEvernote。気に入った記事は、Googleリーダーから直接送る。「Evernoteに必要な情報が入っている」という安心感は、もはやバカにできない感じ。

 

Googleリーダーから気になった記事をEvernoteに送る方法 | nanapi [ナナピ]

 

情報は数を増やせば良い、というわけではないけれど、情報を選別し、脳に刺激を与えることは、日々を楽しくしてくれる。

ネーミングライツの適正価格について考える

完全にタイミングを逸した感があるけれど、京都会館のネーミングライツが、ロームという半導体企業によって50年50億円で落札された。その長い期間と金額の大きさに驚いたんだが。

異例の命名権50年間52億円 京都会館に半導体「ローム」 – MSN産経ニュース

一方で、「日産スタジアム」のネーミングライツは、最初の5年間の契約が満了し、契約更改されたが、年間4億7000万円から1億5000万円に、金額が大きく減った。このあたりにネーミングライツの値付けの難しさがあるように思える。

[N] 「日産スタジアム」ネーミングライツ継続へ

命名権は、1990年後半にアメリカで広がり、日本では2000年代から注目を集め、自治体等の公共施設の赤字補填の手段として注目を集めた。自治体側としても、こういう手続上の理由もあり、事例が増えていったものと思われる。

命名権 – Wikipedia

ちなみに地方自治法において命名権売却は「公有財産の処分」にあたらないため、各自治体の議会での議決は必要ない

「適正な価格」をどう測るか

わかりやすいのは、何か定量的な指標を見つけることだ。過去、フルキャストが宮城スタジアムのネーミングライツを獲得したの効果について、算出している。年間2億円の費用に対し、メディア露出量として4.4億円、2倍以上の効果があると試算されている。

スタジアム命名権のお値段と効果 – Spooky Data Spooks – Yahoo!ブログ

検索キーワードに対するヒット件数、というのもひとつの指標なのかもしれない。

ネーミングライツの費用対効果

AEDを製造するフグタ電子が、「千葉市蘇我球技場」の命名権を獲得したのは、施設内にAEDを配備して商品アピールをするため。こういう具体的なアピール方法もある。

 

定性効果をどう捉えるか

一方で、必ずしも定量的には測れない効果もある。「東京スタジアム」の命名権を購入した味の素は、若年層など普段は味の素と接点が少ない人たちに名前が触れることで、「親近感」が得られたという。

冒頭のロームについても、具体的な費用対効果というよりは、京都会館という地元に根付いた文化施設と企業イメージをリンクさせ、企業名や企業イメージを向上させることが狙いだろう。

そういう意味では、命名権を獲得したい企業と、施設のイメージとの親和性が重要なファクターになる。施設そのものがどういうファクターを持っているか、ということ。そして、そのファクターに魅力を感じる企業がどれぐらいいるのか、というのも価格を考える上で重要だろう。

 

期間はどう設定するか

これまでの日本の事例では、3~6年での設定が多いようだ。3年で変わる名称というのはどうか、という疑問もあるが、一方で契約期間を長くすることは、企業が経営リスクの面から嫌がったり、自治体側としても企業の倒産リスクから嫌がったりするので、これぐらいが落とし所なのだろう。

ただ、名称というのは長く続くからこそ愛着が生まれる、という気もするけどね。

 

考えてわかったこと

命名権というのは、ひとつの広告形態であり、広告効果を定量的に測ることは限界がある、ということ。しかし、そこに魅力を感じる企業はいるし、地方で小さくても、地元にイメージが定着している施設などでは、命名権を獲得したいと思う地元企業もいる、ということ。

自治体にとってひとつの収入獲得手段であることは変わらないけれど、ひとつのブームは既に去り、施設のイメージファクターを見極めるとともに、企業とマッチすることが求められてるんだろうなあ。

コンサルとエンジニアの違いについて考える

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ITコンサルタントとシステムエンジニアの違いは何だろうか。上流SEという言葉もあるし、経営戦略、事業戦略をシステム化してゆくフェーズを担うことについては、変わりがないのでは、という話を上司としていたのが面白かったので、メモに残しておこう。

 

顧客の立場にたてるかどうか

結論からいえば、コンサルタントは顧客の立場に立ち、SEは自社の立場に立つ。ここに違いがあるのだと思う。これが、言葉だけではなかなか重要さが伝わらないのだけれど、ここに違いが生まれるのだと思う。

 

エンジニアの人と仕事をすると、(もちろん全てとは言わないが)自分たちの理想を追求したり(この方がシステムは使いやすい、ソースコードがきれいになる)、自分たちの作業が楽になったり(開発工数が減る、テスト工数が減る)という話が主体になることがままある。

 

そして、それが顧客の視点からみれば望ましいことではなく、顧客の要求とシステム開発側の思想がコンフリクトすることも結構ある。顧客の要求を反映すると工数が増える、というトレードオフの関係だ。こういうときはよく議論になる。気づくと、自分が顧客側の主張を代弁している。

 

これがうまくいかないと、平然と「こういうシステムの制約があるので、それはできません」という答えを返すことになったりする。結果的に業者側の都合を押し付けている。もちろん本当に制約があったり、過大な要求は取り下げてもらうことはある。でも、可能な限り顧客の要求を実現に近づけることが重要だと思っている。

 

それでも、アメリカではコンサルタント役員がインサイダーで逮捕されたりで、コンサルタントへの信頼はいつまでも揺らいでいる。怪しい、いかがわしい、信用できない。

不祥事に揺れるマッキンゼー ビジネスモデルが情報漏洩を生んだ? JBpress(日本ビジネスプレス)

 

それでも、顧客のために尽くさなければと思う。本当の信頼を得るまで。

 

デービットキャメロン「政府の新時代」について考える

TEDでみたデービッドキャメロンの「政府の新時代」という動画が結構面白い。ポイントを整理してみる。情報革命と行動経済学を活用することで、行政の新しい形を示している。ここでも軽く触れたけど、やっぱり見返すと面白いので、もう少し掘り下げてみる。

 

デービッド・キャメロン: 政府の新時代 | Video on TED.com

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政府の「これまで」と「これから」

政府の形はこれまでの歴史で、「Local Power(地方分権)」→「Central Power(中央集権)」と変化してきていて、今は民衆に力が与えられる「People Power」の時代になりつつあるようだ。つまり、民衆に力を与えることと、それが故に民衆を理解することが求められる時代になる。

 

新時代の政府に求められるポイント

透明性(Transparency)

政府には透明性が求められる。予算や事業の内容は、いつでもWebで閲覧できるようにしなければいけない。プレゼンの例で出ているのは、ミズーリ州。実際に見てみたけど、確かに情報公開がすごい。州の事業が一覧で公開されていて、どの会社にいくら支払ったとか、詳細に辿れるようになっている。

 

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事業名をクリックしていくと、事業者名が出てくる。わかりやすい。

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本でも、行政機関や自治体によって情報の公開度は異なる。これは自治体の人員やかけられるコストという面もあるのだろうけれど、リーダーや市民からの勢いで進む場合も多い。

予算の公開度が高いのは、大阪府かな。事業ごとに計画内容や予算検討の経緯が公開されていて、誰でもみれる。自分の住んでいる自治体や国は、本当に透明な情報公開が行われているだろうか。

 

選択肢(Choice)

民衆が、公共サービスにもっと選択肢を持てるようになる。わかりやすいのが病院。治療内容や手術の実績なんかを公表し、自分にとって合っていて、安心できる公共サービスを自分で選ぶことを可能にする。公共機関が保持している情報で、公開されていないものは沢山ある。それらを公開することで、今まで選ぶ余地がなかったり、受けてみるまで内容がよくわからなかった公共サービスに選択肢が生まれる。

 

説明責任(Accountablity)

ここでは、犯罪に関する情報を地図にマッピングすることが例に挙げられている。「ニューヨーク市の地図サービスがすごい」でも書いたけど、地図上にいろんな情報をマッピングして公開することは、ひとつのトレンドとして生まれつつある。地図情報がこれまで重かったり、ライセンスが高かったのだけれど、ライセンスが安くなったり、Google Mapsみたいに動的に情報をマッピングする技術が発達したおかげだ。

 

情報を公開することで、現状を正確にタイムリーに伝えることができ、民衆が政治に対して関心を高め、行動に起こすことを呼び起こす効果が期待できる。

 

あとは、電気の利用料金も公開することで、行動経済学的アプローチから制約などの動機付けを行うことを提案している。情報公開は、うまく人々の動機を呼び起こすこともできる。情報革命と行動経済学という組み合わせのアプローチというのは、とても勉強になる。

 

考えてみてわかったこと

先進国では財政不足という共通の悩みを抱えているし、情報革命や行動経済学の発展は、世界で同じように恩恵を受けることが可能だ。つまり、この動画で語られている形は、日本でも通用するひとつの可能性だと思う。

 

また日本では、今後の政府や地方政治の形がうまくみえずにもがいているように見える。一方で、名古屋や大阪で、ひとつの方向性を示す人も登場してきている。リーダーに必要なのは、ビジョンでありコンセプトだ。ひとつひとつの政策を語るのではなく、歴史的な流れを踏まえながら、これからの形を示してくれる。そういうリーダーが求められている気がする。この動画のように。

 

それにしても、一国の首相がこういう講演でビジョンを語れるのはとても良いことだ。

岐阜市歴史博物館で岐阜の歴史を学んできた

初めて、岐阜市歴史博物館へ行ってきた。岐阜市図書館は、岐阜公園の隣接している結構立派な建物。

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企画展「古地図」が面白い

博物館に所蔵されている、古代からの地図を集めた企画展示。いろいろ興味深く見る。特に、近代になって、路面電車などが走っていた様子がわかる地図をみると、今とだいぶ様変わりしたなあと思ってしまう。

岐阜市は昔というか数年前まで、市内に路面電車が走っていたが、不採算と歩行者への危険性から、全て撤去してしまった。その経緯を知る人たちとこのネタになると、多くの人が「路面電車をなくしたのは失敗だった。名物だったし、移動手段も車に限定されてしまった」と嘆く声を聴いた。一方で、「実際使っている人が少なかったわけだし、仕方ない」という声もあった。

今、似たように樽見鉄道が存続の危機になっている。残したい、という人がいる一方で、採算というどうしようもない資本主義の力が、大きく立ちはだかっている。

岐阜市は、岐阜県の中で最も中心地であろうし、他から人を呼び寄せる力があるはずだ。そういう都市から公共機関による移動手段が消えていく、ということの危うさと寂しさを、地図を見ることで呼び起こされた。

スタッフの方の説明が面白い

2階に通常展示があって、岐阜で見つかった遺跡などが展示されているんだけど、ここにはスタッフの方が何人かいて、展示物などを説明してくれた。

岐阜は西日本と東日本のちょうど中間に位置されるので、発掘されるモノも文化が混在している、とか。

縄文時代には海水がとても上がってた時期があって、岐阜も近くまで海があったんだよ、とか。

発掘されたモノが意味不明で、学者の方々があーだこーだ言っているとか。

これは青銅鏡は地元の中学生が見つけたんだよ、とか。

こういう細かいことや、歴史的背景を説明してくれると、俄然興味がわいてくる。東京でも美術館や博物館に何度も行ったけれど、ガイドはスピーカーだし、丁寧に人が説明してくれることなんてない。休日でもあまり来館者がいないからできる、という皮肉なのかもしれない。

久しぶりに博物館に行ったけど、やはり知的な刺激を受けて面白い。来館者が少なくて、採算がどれだけとれているかは不安になる限りだけど、また行きたい。文化遺産や美術品を見せてくれる存在というのはとても貴重なのだけれど、地方都市で、興味を持つ人が少なく、お金がなくなると危うくなるのかもしれない、と妄想した。そしたら、こんなページを見つけた。

1.「美術館について」

全国的に見て美術館の運営は簡単ではなく、ここ数年でも閉館された美術館は少なくありません。「非営利」を定義している美術館では収入にも限界があり、収入だけで館を維持してゆくことは非常に難しいことなのです。

 多くの美術館は知的財産を支えようとする人間の良心や使命感、歴史や文化に対する畏敬の念、未来に対する責任感と愛情によって維持されています。美術館 や博物館が町にあるということはそういった意識が強いということのあらわれであり、それが維持できなくなるということはその逆を意味してしまいます。

思いがなければ、資本主義は経済性という名の元に容赦なく潰してしまうんだな。また面白い企画展やってくれないかなー。