デービットキャメロン「政府の新時代」について考える

TEDでみたデービッドキャメロンの「政府の新時代」という動画が結構面白い。ポイントを整理してみる。情報革命と行動経済学を活用することで、行政の新しい形を示している。ここでも軽く触れたけど、やっぱり見返すと面白いので、もう少し掘り下げてみる。

 

デービッド・キャメロン: 政府の新時代 | Video on TED.com

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政府の「これまで」と「これから」

政府の形はこれまでの歴史で、「Local Power(地方分権)」→「Central Power(中央集権)」と変化してきていて、今は民衆に力が与えられる「People Power」の時代になりつつあるようだ。つまり、民衆に力を与えることと、それが故に民衆を理解することが求められる時代になる。

 

新時代の政府に求められるポイント

透明性(Transparency)

政府には透明性が求められる。予算や事業の内容は、いつでもWebで閲覧できるようにしなければいけない。プレゼンの例で出ているのは、ミズーリ州。実際に見てみたけど、確かに情報公開がすごい。州の事業が一覧で公開されていて、どの会社にいくら支払ったとか、詳細に辿れるようになっている。

 

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事業名をクリックしていくと、事業者名が出てくる。わかりやすい。

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本でも、行政機関や自治体によって情報の公開度は異なる。これは自治体の人員やかけられるコストという面もあるのだろうけれど、リーダーや市民からの勢いで進む場合も多い。

予算の公開度が高いのは、大阪府かな。事業ごとに計画内容や予算検討の経緯が公開されていて、誰でもみれる。自分の住んでいる自治体や国は、本当に透明な情報公開が行われているだろうか。

 

選択肢(Choice)

民衆が、公共サービスにもっと選択肢を持てるようになる。わかりやすいのが病院。治療内容や手術の実績なんかを公表し、自分にとって合っていて、安心できる公共サービスを自分で選ぶことを可能にする。公共機関が保持している情報で、公開されていないものは沢山ある。それらを公開することで、今まで選ぶ余地がなかったり、受けてみるまで内容がよくわからなかった公共サービスに選択肢が生まれる。

 

説明責任(Accountablity)

ここでは、犯罪に関する情報を地図にマッピングすることが例に挙げられている。「ニューヨーク市の地図サービスがすごい」でも書いたけど、地図上にいろんな情報をマッピングして公開することは、ひとつのトレンドとして生まれつつある。地図情報がこれまで重かったり、ライセンスが高かったのだけれど、ライセンスが安くなったり、Google Mapsみたいに動的に情報をマッピングする技術が発達したおかげだ。

 

情報を公開することで、現状を正確にタイムリーに伝えることができ、民衆が政治に対して関心を高め、行動に起こすことを呼び起こす効果が期待できる。

 

あとは、電気の利用料金も公開することで、行動経済学的アプローチから制約などの動機付けを行うことを提案している。情報公開は、うまく人々の動機を呼び起こすこともできる。情報革命と行動経済学という組み合わせのアプローチというのは、とても勉強になる。

 

考えてみてわかったこと

先進国では財政不足という共通の悩みを抱えているし、情報革命や行動経済学の発展は、世界で同じように恩恵を受けることが可能だ。つまり、この動画で語られている形は、日本でも通用するひとつの可能性だと思う。

 

また日本では、今後の政府や地方政治の形がうまくみえずにもがいているように見える。一方で、名古屋や大阪で、ひとつの方向性を示す人も登場してきている。リーダーに必要なのは、ビジョンでありコンセプトだ。ひとつひとつの政策を語るのではなく、歴史的な流れを踏まえながら、これからの形を示してくれる。そういうリーダーが求められている気がする。この動画のように。

 

それにしても、一国の首相がこういう講演でビジョンを語れるのはとても良いことだ。

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