県庁おもてなし課

高知だけじゃなくて、どこの地方でも抱えている「地域資源の発掘」と「外貨獲得」。小説のストーリーを通して、それに気づき、どうやってブランディングしていくまでの感覚が味わえるのが面白い。少しはデフォルメされている部分もあるんだろうけど、公務員が「民間の発想」にシフトしていく過程が、追体験しているようで読んでいて気持ち良い。

今住んでいるところはいわゆる「地方」で、自分の故郷ではないけれど、縁があって住んでいるところだし、良い状態であって欲しいと思う。町中を歩いて、衰退する感覚を味わうのは堪え難い。

それでも、いろんな視点を変えることで発見があるし、そこから発想が生まれるし、ストーリーを重ねることで人を惹き付ける可能性がある。そういう感覚に、この本はさせてくれる。

観光産業とか、地方振興に興味ある人は、読んでみるといいよ。

県庁おもてなし課
県庁おもてなし課

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有川 浩
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社会人としての成長のステップ

最近、人が成長するステップみたいなものをぼんやり考えることがあり、新人の頃から考え方も変わったかもなあと思ったので、新人から今に至るまで考えていたことを軽くまとめてみる。

 

上には上がいることを思い知ることから始まる

高校に進んだとき、大学に入ったとき、会社に入ったとき、どのタイミングでも「ああ、世の中には本当に頭が良い人がたくさんいるんだな」と感心してしまった。と同時に、自分はなんと小さくて能力が低いのだろうとも思った。

でも今思えば、そういう事実と向きあうところから自分の成長は始まったんだろうと思う。がむしゃらに追いつこうと努力すれば、最初は全く見えなかった背中が、気づいたら少しずつ見えてくるという、不思議な感覚も味わった。

いつ頃からか、上がいるということは、自分にもまだ伸びる可能性があるということを教えてくれると思うようになった。

 

新しい場所に飛び込む勇気を持つ

少し仕事に慣れてくると、新しい仕事を任される機会が訪れる。自分にとって未知なことは、何事も不安でありストレスに感じる。でも、自分が社会人として成長しようと思うのであれば、そういう不安を抱えながらも、飛び込む勇気が必要になる。そもそも、新しい仕事を任されるということは、それだけ伸びる可能性があると周囲はみているということでもある。

時にチャンスを目の前に与えられても飛び込まない人もいるし、そういう人に限っていろいろ断る理由をつくるのが上手だし、不満を述べることが多い。価値観や考え方がいろいろあるんだな、と社会人として数年やってみて思う。それはそれで否定はしないけれども、それでは責任は大きくならない。自分の責任の幅を大きくしたいと思うのならば、それだけ自分も成長する必要がある。

 

自分の長所を確認する

最初は、仕事はうまくいかないし、自分を振り返る余裕もない。だけど、仕事に対して心の余裕ができてくると、自分が周囲と比べて何が優れているのか、ということに少しずつ気づき始める。それはささいなことであっても。

なぜ自分が仕事を任されているのか、なぜこのポジションなのか。細かい日々の作業の中で、そういうことをうっすら考えて、自分の長所を確認するところから、新しい成長が始まる気がする。それは、自分にとって優位を築くポイントであるはずだし、他人との差別化になるからだ。

組織の中で生きていくには、組織に必要とされる人にならなければいけない。自分の長所を確認するといことは、組織のニーズとマッチしているか、ひいては市場のニーズとマッチしているかを考える良いきっかけになる。

 

自分にとっての勝負時を見定める

新人の頃は、ただがむしゃらに目の前の仕事に立ち向かうことで、何とか顧客に認められる人間になろうと思って仕事をしていたけれど、数年経つといろいろ心境にも変化が出る。人はエネルギーはそんなに継続しない。ずっと全力疾走はできないということに気づく。

だから、勝負する時を見極める必要がある。普段は、自分のバランスを崩さない程度に仕事を継続する。しかし、自分にとって勝負時と思えば、多少のバランスを崩してでも、無理をしてでも、エネルギーを注ぎ込まなければならない。そういうタイミングが必ずあるもんだなと。そして、それをやり抜けた後、自分には少し新しい視界が開けている。そんな感触がある。

 

そろそろ勝負時かな。

組織にいて、いずれ管理者になろうと思うのならば、自ら決断しなければいけない機会が多くなる。

自動車の未来

少し前から自動車産業が熱い。新しいパラダイムが来ている感覚だ。例えば、この動画をみるとそれを感じることができる。

 

蓄電池のコストと充電時間が問題になっているけれど、この動画をみれば、それも解消されるんじゃないかと思える。蓄電池は車の大きさで200万円ぐらいはするそうなので、所有と利用を切り離して、距離などに応じて利用料金を払う形態に変化するのかもしれない。

 

そして、電気自動車に含まれる蓄電池は、スマートグリッドでも重要な要素になっている。電力ピークを抑制するために、つ蓄電装置の効率性、コストの両面で発展が望まれている。

 

あと、Googleが自動車を開発しているのも、最近話題になっている。主にITを活用した自動運転技術なのだけれど、その概要はこの動画がわかりやすい。

 

すごいよね。実際にアメリカの公道を走っているようだ。

正直、車の運転で加害者になるリスクは、いつも不安に思っている。年間の交通事故による死亡者は5000人弱程度らしいけれど、原因をみると人間の誤認や操作誤りが起因しているものが多い。

 

自動車はどんどん社会的ステータスではなくなってきているし、車を所有しなくてもいつでも近くに乗れる電気自動車があって、目的地を設定すれば、勝手に運転してくれる未来が来るかもしれない。すごい期待。

ゾーンに入る技術

この間、自分の集中力が落ちている、という話をかいたけれど、集中力に関して気になる一冊があったので読んだ。ちなみに、こういう脳科学系の本は疑わしい目で見てしまうのだけれど、 今の自分には結構参考になることが多かった。

 

そもそも、イチローとか持続的に能力を発揮する人は、どうやってメンタルを保っているのか非常に興味があった。テクニックだけではなく、メンタルコントロールが非常に優れているんだろうなと思っていたから。これ読んで、それがちょっとわかった気がした。

 

外部の刺激に自分の感情が振り回されていないか

人は外部の刺激にうまく対応するように発達してきた。だから、外部の変化には過敏に反応するようになる。けれど、外部の刺激に影響され続けると、集中力としては散漫になってしまう。

 

感情がうまくコントロールできていないときは、それを認識し、理由を考える。強制的に心理を変えようとしても無駄なんだよね。それよりも、理由を考えてそれへの対処を考えた方がよほど建設的。

 

「結果」だけでなく「好き」にもフォーカスする

結果を出すことは大切。結局は、世の中は結果が出ていくことで発展していくのだから。ただ、結果だけを自分の報酬とすると、それを持続するのは難しい。常に結果を出さなくてはいけなくなる。

 

だから結果だけじゃなくて、自分が何に好きであるかについても考えてみる。結果は他人が評価できるものだけれど、好きであることは主観なので、他人にも振り回されないし。結果に至るプロセスを楽しめるようになれば、何をしても面白く前向きに捉えられそうだ。

 

過去でも未来でもなく、今に集中する

結局の結論は単純で、過去に縛られることなく、未来に不安を思うことなく、今目の前のことに集中すること。そして、来るべきときに向けて準備をする。それが良いメンタルを生み、最後には結果が生まれる。

 

この動画も参考になる。スキルを使い、自分にとってチャレンジをしているとき、人は集中力が高い「フロー」の状態にはいるのだそうだ。そして、そのフローの時間が多いほど、人は幸せに感じることができる。

ミハイル・チクセントミハイ フローについて | Video on TED.com

 

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何事も後手に回ってはいけない

仕事をしていてわかるのは、何事も後手に回ってはいけない、ということだ。先手で進めることが、いろんなリスクを小さくし、成果を最大化させる。情報を集めたり、調査したり、資料を作ったり。何事も先回りして進めることで、良いことがたくさん得られる。

 

準備漏れを防ぐ

期日に余裕があるからといって後回しにして、直前で準備が不足していることに気付くのはよくあること。

少しでも前に進めておけば、やりながらイメージが具体化されていくので、決めておくべきルールが細かく設定されていなかったとか、資料に含めるべき情報が不足しているとか、いろんなことに気づくことができる。早く気づけば、それに対する対応の時間も確保できる。良いことが多い。

 

精神的な余裕がもたらすクオリティ

本来の実力を発揮するためには、適度な緊張感と余裕のバランスが必要になる。先に進めるということは、時間的に余裕ができるということだ。これは、本当に大切なこと。

そして、後手に回ってしまうパターンとして気をつけなければいけないこと。

 

クオリティに100%はない

どんなことでも当てはまることとして、品質に100%というものはない、ということ。一方で、ある程度相手を納得させられるクオリティというのも存在する。つまり、品質というのはある種妥協ラインを見極める行為なのかもしれない。

この、クオリティに上限がない、というのは時に厄介だったりする。際限なく時間をかけられてしまうからだ。でも、誤字が一箇所あったところで、文章の意味は失われない。(誤字は典型的なクオリティの印象要素になるので、絶対になくせ!と思っているけれど。)クオリティのためにどこまで時間をかけるべきか、考えないといけない。

 

経験が慢心させる

仕事に慣れてくると、その場の思考スピードが上がってきて、「大丈夫だろう」というカンが働くようになる。あながち間違っていない場合も多いので自分でもよくわからなくなってくるんだけれど、それでもカンが当たらない場合もある。そして、そういうときは大抵問題が大きくなる。

経験というのは素晴らしい財産であると同時に、自分の思考をゼロにしにくくさせる厄介なものだったりする。慢心してはいけない。常に物事は先に進めることで、品質が高いものを常にアウトプットできるようにしないと。

 

こんな感じか。最後に、この人の名言から。

マネジメントの仕事ぶりとは、主として明日に備えて優れた仕事をすることを意味する。

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ゼロのちから

NGOなどお金がない組織がどうやって運営していくのか、戦略、人事、財務、マーケティングなどいろんな面からアプローチが語られる。何かをやろうというときに、すぐにお金の発生を考えたり、制約があるからできない、という状況は単なる言い訳なのかもしれない。

でも、Evernoteの創業者も語っている通り、マーケティングツールやお金の徴収なんかは、Webのプラットフォームが続々出てきていて、無料で利用できるインフラは揃ってきている。だから、良いことも悪いことも人々が興味を持っていることはWebを通じてすぐに伝播するし、マスメディアだってWebを情報源にするパターンが増えている。

それよりも、マーケティングのアプローチだったり、サービスをコンパクトに絞ったりする、務設計の部分が重要なんだろう、と改めて思う。企業体力は未だ大きな力ではあるけれど、小さな組織にも活路を見出す手段は増えているのだろうな。

本書では、海外のNGOの実践事例がたくさん書かれている。郵便番号をメールで送れば、地域のボランティアを携帯にメールで配信するサービスなんかは、結構面白いと思ったなあ。

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議事録の書き方

議事録の書き方には、それなりのノウハウというかルールがあるのだけれど、それがよくわかってない人もいたりするので、ここでまとめて書く。

 

何が良い議事録か

まず、議事録の目的を考える。議事録は単に話したことをそのまま書けばよいものではない。次の2点が明確になっている議事録が、良い議事録である。

・後で読んだときに、会議の流れや議論の経緯、決定事項がわかる

・関係者が今後何をしなければならないのかがわかる

 

事前準備は十分か

会議での議題や配布資料、想定される議論の流れなどは、可能な限り事前に把握しておく。これが十分にできていないと、現場での会話が予想できないので、議論についていけず聴きもらしやよくわからない議論を書くハメになる。

 

会話で欠けている言葉を補う

よく誤解があるのが、言葉を勝手に足すことだと思う。これに抵抗を感じる人もいるようだ。しかし、会話というのは前後関係をよく省略するし、それでも会話は成立する。それを書き言葉にするときは、読んだ人が正しく議論の内容や経緯を把握できるように、議論の内容を損なわない程度に言葉を足す必要がある。

 

論理が構成されやすい順番に入れ替える

これも誤解されやすい部分があるけれど、実際の議論では、話の順番が飛んでしまったり、違うことを話した後で元に戻ったりする。振り返ると議論が堂々巡りになっている場合もあるし。こういうことをそのまま議事録にすると、前後の文脈もわかりづらくなって、読み手としてはつらい。ので、適宜論理構成がスムーズになるように順番を入れ替える。

 

結論へのストーリーを描く

会議での議論というのは、何らかの形で結論が出ているものである。ある事項を合意する、反対意見を踏まえて軌道修正する、持ち帰り確認する、などなど。議事録を書くときは、ひとつの議論の結論を明確にし、そこにつながるように議論の経緯を書く。ある種、とても短いストーリーを書くように。

 

宿題事項を明確に書く

議事録は記録であるとともに、ToDoリストの役割も担う。いろんな関係者に正しく告ぎのアクションを実行してもらうために、宿題事項と実施者、期限を明記しておく。

これらの点が意識して書かれた議事録は、読みやすく関係者の認識の齟齬も生まれにくい、良い議事録である。

FlickrのPrivate設定の写真をFacebookに連携

FlickrからFacebookへの連携はこれまでもあったのだけれど、Private設定されている写真の共有が簡単になったので、メモ程度に書いておく。

Facebookとの連携は、この写真の左上にできた連携ボタンでFacebookを指定するだけ。

f:id:synapse23:20110418230825p:image

これで、Private設定でもFacebookに表示されるようになる。ちなみに、これはGuestpassが自動で発行されるため、Private設定でもFacebookからは参照できるようだ。

連携する前の公開設定は、こんな感じ。

f:id:synapse23:20110418230826p:image

Facebookに連携すると、こんな感じに変わって、Guestpassが発行されたのがわかる。

f:id:synapse23:20110418230827p:image

FlickrのGuestpassの使い方はこれがわかりやすい。結構便利だよね、Guestpass。

Flickrのゲストパス(Guest Pass)を使う方法 | IDEA*IDEA

オープンガバメントのWebイメージがわかる動画4本

震災が起こってから、行政の役割や継続性が少しずつ見直される動きが出てきている。行政機関の情報提供はHTML/CSVでにも書いた通り、経産省が行政機関のデータはCSVかHTMLでと声明を出したりもしている。

 

そこで、新しい行政としてオープンガバメントの概念がわかる動画を紹介したい。次のTEDの動画がわかりやすい。

 

David Cameron: デービッド・キャメロン: 政府の新時代 | TED Talk

 

先進国はどこも公共負担が増えて、財政不足に陥っている。しかし、情報革命によって、政府の姿も変わる。今後の行政は、Webを使って情報の透明性と説明責任を向上させることで、人々の行動に変化を起こすことが求められる。

 

Kevin Kelly: ケビン・ケリーが語る「ウェブのこれからの5000日」 | TED Talk

 

ウェブの進化の様子がわかる。最初は機械と機械がつながり、その次にページとページ、がつながった。今はデータとデータがつながる必要がある、という流れの説明が印象的。今後はもっとXML,RSS,APIなどデータ間をつなぐ技術が活発に利用・発展するだろう。

 

HTMLの創始者から2本。データを公開することの重要性を説く。特に行政機関にはいち早く生データを公開するように求めている。

Tim Berners-Lee: ティム・バーナーズ=リーが示す次のウェブ | TED Talk

 

Tim Berners-Lee: ティム・バーナーズ=リー 「オープンデータとマッシュアップで変わる世界」 | TED Talk

 

早くオープンガバメントがもっと進展しないかな。