ガソリンスタンド数の推移をみて、モビリティの将来を考える

「モビリティと人の未来」という本を読んでいるのですが、その中で電気自動車の普及は、過疎地のガソリンスタンドの減少に伴っても必要になる、という記載がありました。

確かにガソリンスタンドの数は減っている印象があるのですが、実際どの程度かを調べてみました。

ガソリンスタンドの数は大きく減少している

全体の推移

経産省のデータをみると、ガソリンスタンドは確かに減少しています。

平成30年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました|石油製品の品質確保|資源エネルギー庁

1993年をピークに、この30年で半分近くも減少しており、驚異的な減り具合です。

都道府県別のガソリンスタンドの数

都道府県別でみると、北海道が全国で一番多くなっていて、次が愛知県です。人口と比例しているのではなく、場所によって車の必要性が異なるからだと思われます。

実際、都道府県で車の保有率は異なります。当然ながら、都市部では保有率が低く、郊外に行くほど保有率は高くなっています。

自動車の所有率が高いのは「長野」と「群馬」、圧倒的に低い「東京」 – シニアガイド

これをみると、全体で減っていくトレンドはあるものの、地域によって違いが生まれそうです。

車両の保有台数と関係があるのではないか

ガソリンスタンドの特性から、車の流通されている台数と関係があるのではないかと思ったので、車の保有台数を調べてみることにします。データはこちらを参照しました。

自動車保有台数 – 一般財団法人 自動車検査登録情報協会

全体の推移

こちらが車両台数の全体推移です。

車両が減っているから、ガソリンスタンドも減っているのかと思って調べてみたら、車は減っていないんですよね。どういうことなんでしょう。

この内訳をみてみると、貨物車両は減っているのですが、個人所有が増えています。さらに詳しくみてみると、個人だと高齢者や女性の免許保有比率が増えており、これらの層の車保有が増えていったことが、全体の車両台数の増加を押し上げているようです。

経済産業省:交通需要の展望

 

この数字をみると、車の台数は全体で増えているのに、ガソリンスタンドは減っているという事実が見えてきました。

ガソリンスタンドの経営環境

ガソリンスタンドは、どうやら複合要因で経営体力が弱っているようです。

5年ぶりの倒産増「瀕死」のガソリンスタンドを救う方法とは? – M&A Online

車の低燃費化、法律改正による設備投資の重荷、セルフスタンドの隆盛などですね。つまり、単純な車の台数や人口の影響だけでなく、利益確保が難しくなっていることも、数が減っている要因もありそうですね。もちろん過疎化によって、局所的にニーズが減少してるところもあると思います。

 

冒頭の「モビリティと人の未来」では、過疎地域ではガソリンスタンドの数が減っていくことで、電気自動車の必要性が増加する、という論点が出ていました。電気自動車に転換していくには、ガソリンスタンドなどの社会インフラの転換が重荷だと思っていましたが、こうやってガソリンスタンドが減少している状況をみると、逆に促進していかないと交通手段がどんどん限定された地域が増えていくのかもしれません。

BtoBのためのマーケティングオートメーション 正しい選び方・使い方

B to Bのマーケティングを勉強しているのですが、「マーケティングオートメーション」をもっと知りたくなりました。Googleトレンドでみても、マーケティングオートメーションはこの5年で右肩上がりで増えています。

マーケティングオートメーションという単語は知っていたのですが、「メール配信とか顧客に合わせて自動配信してくれるやつでしょ?」ぐらいの認識でした。結論からすれば、そんな甘っちょろい理解ではだめで、とても奥が深かったのですが、それを理解させてくれたのがこちらの本でした。

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とても良書です。2015年だけど、原理は色褪せないなって思いますね。

 

BtoBのマーケティングには何が必要か

この本をおすすめする理由は、マーケティングオートメーションの機能を説明するのではなく、「なぜマーケティングオートメーションという製品が登場してきたのか」「日本企業がこれを使うメリットは何か」「マーケティングオートメーションを使いこなすためには何が重要か」を教えてくれることです。いや、もちろん機能の説明もあるのですが。

マーケティングオートメーションが生まれた背景を理解すると、BtoBのマーケティング活動にはどういう行動や組織が必要かがよく理解できます。

その前に、マーケティングオートメーション、SFA、CRMの違いを整理しておきましょう。

 

マーケティングオートメーションとSFAとCRMの違い

これらの違いはよく混乱しますよね。それぞれ目的が違い、発展してきた形も違うのですが、こちらのフェレットの記事が非常によくわかりやすく整理されています。

マーケティングのプロセスで考える「CRM」「SFA」「MA」の役割とは|ferret [フェレット]

簡単にマーケティングオートメーションを説明すると、潜在的な顧客を獲得し、自社の製品やサービスに興味を持ってくれるよう顧客を育てることを目的とし、それらの活動を可能な限り自動化したり省力化してくれます。

BtoBにおいて、潜在顧客を獲得するのはとても重要なことです。それを自社の仕組みの中から生み出すことができれば、これまでにない新しい顧客層を獲得できるでしょう。

 

日本企業のマーケティング活動の何が問題か

上述の通り、本書はマーケティング活動を俯瞰的に捉えているので、自社のマーケティング活動を再考する良いきっかけになるでしょう。

日本企業は、営業担当の引き合いに強く依存しがち、という言葉はハッとしました。引き合いは業績に繋がりやすくて良いものですが、それに依存しすぎるといくつか弊害が出てきます。

要は、顧客を獲得するチャネルは複数持った方が良く、その実現を助けるのがマーケティングオートメーションだということです。

 

最近は様々なマーケティングオートメーションサービスが登場してるので、どう活用できるか想像しながら読めて、面白かったです。ちなみに製品や事例が本書でも登場しますが、そのあたりはやや古いです。

ただ、繰り返しになりますが、btobのマーケティング活動を理解し、マーケティングオートメーションの役割を知りたい人にはとても良い本だと思います。

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関連本

デジタルマーケティングの教科書

マーケティングもデジタル化が進んでいて、今回紹介したマーケティングオートメーションも、ウェブサイトやメールなどのデジタルツールから顧客を獲得するのがメインになります。デジタルマーケティングは、今や欠かせないアプローチですね。

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営業にもITテクノロジーは必須なんだと確認する一冊「SALES GROWTH」

営業というのは、お金を生み出す出発点であり、企業活動にとってとても重要です。言わずもがなですよね。

最近、営業とはなんだろうと改めて考える機会が多くありました。デジタルマーケティングが注目されていますし、企業には今後どういう営業活動が求められて、それを実現するためにはどういう資源(人・知識・技術等)が必要になるのか。そういうことをぼんやり思っているときに、本屋で見かけて、この本を手に取りました。

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マッキンゼーが示す、今後のセールスのあり方です。今後のセールス活動に求められる要素を整理しています。各企業のマーケティング責任者にインタビューしているのも、リアリティーがあって良いです。

 

これからのセールス活動で求められること

本書では「5つの戦略」が書かれていますが、個人的に気になったことを書いておきたいと思います。

1つは、「速くなる改善サイクル」です。世界のビジネストレンドはどんどん変化してきており、競合との競争も激しくなっています。そのような中で、必要なデータをタイムリーに収集し、分析しながら営業活動の見直しや改善を素早く行える体制を整えることが求められていきます。言われてみれば当然ですけど。

もう一つは、「マルチチャネルが必須になっている」ということです。特にウェブサイトやスマホアプリなどのデジタルチャネルは日に日にその存在感を増しており、どんな商材であっても無視できないものになっています。本書の中でも、このような数字が登場しています。

小売販売の実に3分の2がリサーチや検討、購入のどこかでオンラインによる行動を経ることになる。

現在では、自社の製品やサービスを幅広く売るためにマルチチャネルモデルが欠かせない。それゆえほとんどの企業がなんらかの間接チャネルを使っている。

 

普段、知らないことがあれば検索してみるし、スマホはほとんど手放さないほど使ってますよね。セールス活動でもどう活用すべきか考えるべきです。BtoBなどの業態では「自社には合わない」と思っているかもしれませんが、カスタマーサービスやカタログなどの情報提供など、デジタルを活用できる領域は多く存在するはずです。

 

テクノロジーが重要になる

デジタルマーケティングの教科書」でも書かれていましたが、今やマーケティングにはテクノロジーが必須になっています。上に述べたような短期での改善サイクルやマルチチャネルを実現するためには、幅広いデータのリアルタイム収集やウェブサイトやスマホアプリの制作など、デジタルテクノロジーが構成要素として求められます。

例えば、本書の中ではビッグデータについて以下のように述べられています。少し長いですが引用しましょう。

ビッグデータには分析とリアルタイムという性質があり、これらの性質により従来の営業管理アプローチが3つの領域で変化しています。第1に、企業は業績管理サイクルを毎月から毎日へと加速する必要性が増しています。これは営業のテンポが劇的に速くなってきているからですが、とりわけパソコンや書籍、DVDといった、検討から購入までがほぼすべてインターネット上で行われる商品にはよく当てはまります。第2に、営業マネジャーはデータ収集の役割を担うようになっています。データにより新たなタッチポイントと見込客を従来型チャネルとデジタルチャネルの両方で獲得できるからです。第3に、セールスオペレーションや研修のような営業管理のコア要素をビッグデータに適合させる必要があります。つまり営業は情報科学になりつつあるのです。

 

どうでしょう。顧客へのアプローチの仕方が変わり、情報がより一層重要な位置を占めるようになっています。最後に書かれている通り、「営業は情報科学になりつつある」という言葉が印象的です。

テクノロジーを使った営業活動は大企業の話では?と思うかもしれませんが、そうとも限りません。確かに大企業の方が投資できる資源は多いと思いますが、それでも情報を統合し、見直しのサイクルを早め、様々なチャンネルでスムーズに対応できるという基本原則はどの企業にも当てはまるはずです。

まずはやれるところから、企業内でバラバラなってる情報がどれぐらいあって、統合できるのかを考えてみても良いのかもしれません。

重要なのは、本書で述べられているようなトレンドは不可逆的に進むということです。デジタルマーケティングの教科書読んだときも感じましたが、これからの企業にはITテクノロジーは不可欠ですね。

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関連本

営業生産性を高めるデータ分析の技術

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データを使った営業生産性向上アプローチを説いた一冊。不完全であっても、ある程度割り切りと合理性をもって、効果の出る営業活動を行うことが書かれており、非常に現実的で有用な内容です。

最近聞くデジタルマーケティングって何?

最近デジタルマーケティングという言葉をよく聞くようになりました。しかし、記事や本などによって定義は様々分かれており、いまひとつパッと概念が捉えられません。

これまでのマーケティング理論と何が違うんでしょう?
何が新しい要素なのでしょう?

その時に、この本を手に取ってみました。

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この本のオススメポイントは2つです。

 

従来のマーケティング理論との違いがわかる

この本では、従来のマーケティング理論との違いがわかりやすく説明されています。

意外な収穫だったのですが、まるまる一章を使って、従来型のマーケティングの基本が丁寧に書かれています。しかも要点が絞られているので、マーケティングの全体像を、いくつかのフレームワークを使いながら理解することができます。

マーケティングは、需要過多から供給過多へ社会が変わることで発展してきました。どんどんものが溢れると、人々は簡単には消費しなくなっていきます。そのような状況で、どうやって人々に商品やサービスを届けるのかを考えるのがマーケティングなのです。

1960年、1985年の従来型マーケティングの定義は、市場成長期を前提とした定義である。市場成長期は需要量が供給量よりも多い。したがって、消費者へ製品やサービスを「届ける」ことが重要である。だから、「財の流れ」(1960年)、「流通」(1985年)が重要なのである。また、1985年の定義では、マーケティング・ミックスを重視したマーケティング管理が意識されている。  2004年、2007年の従来型マーケティングの定義は、市場成熟期における「顧客との関係性」を重視した考え方に変化している。

 

個人的には、従来のSTP+4Pのようなフレームワークを用いて、マーケティング理論をおさらいできたことと、需要が低下した社会で需要を喚起するのがマーケティングだと捉えられたことが発見でした。

 

結局デジタルマーケティングはこれまでと何が違うの?

本書のメインテーマは、従来のマーケティングとデジタルマーケティングの対比をしながら、デジタルマーケティングを理解することです。

基本的に、マーケティングプロセスは従来とデジタルで変わりませんが、その方法と、競争優位性のポイントが変わります。

デジタルの特徴はデータが大量に蓄積されることで、これまでの潜在的なニーズを推測等で分析していたものが、はっきりとデータでわかるようになります。特に購入前の情報ですね。

さらに、データが大量に生まれることで、そのデータをどうやって活用するかと言う分析力が企業の競争優位に繋がります。

デジタルマーケティングにおける消費者「行動」理解ではデータ量の企業間格差は縮まるが、その取り扱い能力、言い換えれば、アナリティクス(分析力)で相当な企業間格差が生じる。

 

この動きから、マーケティングをリードするプレイヤーの交代も起こっています。

マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループは、WatsonのようなAIを持たず、また、テクノロジー領域に極度に弱い。これは、従来型マーケティング領域のコンサルティングが強かったことの裏返しでもあるのだが、その結果、デジタル領域へのシフトが遅れた、または、本気になりきれなかった。

 

このように、基本的な流れは従来のマーケティングと同じと捉えてオーケーですが、データが取得できるようになるので、データを主体にした体制にする必要がありますし、それを取り扱える企業が強くなるのです。

 

経営とITがますます一体化してきており、企業はテクノロジーに投資しないとまずいんじゃないかと最近思っていますが、この本を読んで改めてその思いを強くしました。

そんな折にハーバードビジネスレビューがこんな本を出していました。

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これを今読んでます。

あと、Kindle Unlimitedで読めるこちらも、似たような内容になっていますので、 Unlimitedユーザーで手軽にという人は、こちらも読んでみると良いかもです。

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AKB48と乃木坂46からマーケティング戦略を学ぶ

最近、アイドルではAKB48ではなく坂道シリーズ(乃木坂46、欅坂46)の露出が多くなっているようです。

テレビCM激減の「AKB48」 業界は「乃木坂46」「欅坂46」シフト (デイリー新潮) – Yahoo!ニュース

確かに、最近はAKBより乃木坂や欅坂を見ることが多かったかもしれません(もともとあまりテレビ見ないですが)。

グーグルトレンドで、「AKB48」と「乃木坂46」の2つを比較して見ました。5年間の推移です。

見事に5年で検索ボリュームが逆転してます。ただ、AKB48のボリューム自体が減少してきている、という見方もできますが。
(AKBの方が繰り返し一時的に検索ボリュームが増えていますが、これはおそらく総選挙でしょうね。)

ビジネスでは、消費者に飽きられるのが一番恐ろしいことです。メンバーの入れ替えをしながらも、全然違うグループを立ち上げて、違うコンテンツを用意している、ということですね。

ちなみに、こちらが乃木坂46と欅坂46のGoogleトレンドです。

今は乃木坂46を露出させつつ、欅坂46というコンテンツも育ててるって感じですかね。

というわけで、一つのコンテンツの成功に酔いしれるのではなく、市場が変化し、消費者に飽きられる前に、別のコンテンツを育てておきましょう。

 

最近アマゾンプライムでこちらの映画を見ました。実話をベースにしたもので、感動話ではあるのですが、淡々と進む感じが逆に好感を持てました。

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これからの超高齢化社会で中小企業が直面する経営課題とは?

これからの日本は、より一層人口の高齢化が進み、「超高齢化社会」に突入しています。改めて定義を確認しておくと、65歳以上の人口が21%を超えると「超高齢化社会」となります。

総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合を高齢化率という。世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」という。日本は1970年に高齢化社会になり、1994年に高齢社会になった。2007年には21.5%となり、超高齢社会に入った。

超高齢社会 – gooヘルスケア

高齢化は今後も進んでいき、全体的な人口減少と相まって、メインな労働力である生産年齢人口が大きく減少していくことになります。

日本の人口動態

 

超高齢化社会における中小企業の経営課題は?

そんな人口動態になる日本社会で、中小企業の経営課題として何がフォーカスされるのでしょうか。それを、中小企業経営者に対してアンケート調査した結果がありました。今回この記事を書こうと思ったのは、この調査結果を見つけたからです。

「中小企業の経営者が考える経営状況予測・意識調査」を実施

生命保険会社がインターネットによって調査した結果なので、その点は考慮して結果を解釈する必要があるでしょう。とはいえ、非常に興味深い内容になっていました。

詳しくは、PDFで公開されているのでぜひ読んでいただきたいのですが、アンケート結果では従業員の高齢化が最も懸念に上がっていました。てっきり人口減少によってビジネスのパイが減っていく事の方が懸念が大きいのかなと想像していましたが、どうやら違うようです。

高齢化によって、従業員の技術継承や組織のリフレッシュが進まない現状があるということです。裏を返せば、うまく人の採用ができないのではないかということです。

 

人材の確保が困難になっている中小企業

そこで、中小企業の採用状況を確認してみましょう。平成27年度の中小企業白書に、中小企業や小規模事業者の採用状況を示す統計がいくつかありました。

2 中小企業・小規模事業者を取り巻く人材の動向

その中でわかりやすいのは、「従業員過不足DI」です。従業員が「過剰」と答えた人の数と「不足」と答えた人の差を示した値になります。

従業員過不足DI

これを見ると、2009年からどんどん人不足の傾向が進んでおり、今でも続いています。特に、建設業とサービス業が顕著になっていますね。

 

そして、企業規模で見た統計として「高校卒業者の充足率」という統計があります。

高校卒業者充足率

企業規模が小さいほど、高卒者を獲得できていないのがわかります。従業員規模が29人以下の場合、充足率は4割を下回っています。

つまり、全体の傾向として人材獲得が難しくなっており、さらに企業規模が小さいほど人材が不足しているということです。

 

中小企業の採用手段

人材確保が厳しい状況であることはわかりましたが、実際に中小企業がどのような採用活動を行なっているのかを見てみたいと思います。同じく、中小企業白書にその実態を調査した結果がありました。

第2節 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着

興味深いのは、採用に成功する企業とそうでない企業の特徴を分析した結果です。調査結果から分析した箇所を引用すると、

「人材が確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」の違いとして、一般に言われている労働条件や賃金に加えて、企業としての採用力ともいうべき、人材確保の手段・ノウハウにおいて強みを持っていることが考えられる。中小企業、特に、小規模事業者においては定期的に人材採用を行うとは限らないため、どのような手段を用いてどのような人材を確保すればよいのかといった採用の基本的なノウハウの蓄積が十分ではない可能性が高いと考えられ、人材確保に課題を抱える企業では、まずは基本的な採用のノウハウを身に付けることが求められていると言える。

第2節 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着

というように、定期的に採用活動を行うわけではないので、ノウハウが蓄積されづらいことも影響しているのだと思います。逆にいえば、ノウハウを蓄積できれば差別化の要因になるともいえます。

 

また、採用手段ごとの実績も調査結果がありました。

中小企業の採用手段

未だにハローワークや知人・友人の紹介が多くを占めており、あまり採用手段が変わっていないのがわかります。自社ウェブサイトでの採用はあまり効果的でない、という調査結果にもなっていますね。

 

一方で、情報発信の観点で以下のように分析されています。

このように、企業の規模によって就業時における情報の明確性が大きく異なることが分かり、中小企業、特に、小規模事業者において企業の就労条件や仕事内容が不明確で、就職希望者が求める情報提示が必ずしも十分とは受け止められていない。こうした採用に関する情報発信の実態に鑑みると、就職を希望する者が入社を決断する上での判断基準となる情報が不足することが、中小企業・小規模事業者の人材確保におけるマイナス要因となっている可能性がある。さらに、就職時に十分な情報がないことで、就職後に就労条件や仕事内容に関するミスマッチが生じ、人材の定着率の低下にも寄与している可能性が高い。

第2節 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着

 

これを読むと、単純に手段の問題ではなく、情報発信を十分にできていないのが問題とも言えるのではないでしょうか。いろんな場面で、企業のウェブサイトを見て情報収集する人は多くなっており、企業のウェブサイトに正しい情報を掲載していくことは重要になっています。

就職活動調査から見る、中小企業の採用ページに書かなければいけないこと

 

まとめ

  • 中小企業の経営課題は人材の確保と育成
  • 確保に関しては小さい企業ほど十分に人材を確保できていない
  • 情報発信を十分にできていないのが原因ではないか

ということで、中小企業の経営課題は人材になっています。新しい採用手段として、ウェブサイトでの情報発信はますます重要になってくると再認識しました。

日本ではAndroidとiOSのどちらが多く利用されてる?最新のスマホ市場動向を調べて見た

iPhone 7が発売されました。購入した方もいるでしょうか?

イヤホンジャックがなくなったことや、Apple Payの日本上陸などが注目されています。ここで改めて、スマートフォンの市場動向を見てみたいと思います。

Webマーケティングの観点からも、スマートフォンの動向を把握し、ユーザーがどういう環境でWebと接続するのかを理解するのは重要なことですよね。

 

iOSとAndroidはどちらが多いのか

スマートフォンの2大巨頭といえばiOSとAndroidですが、日本ではどちらが多いのでしょうか。いくつか調査データがあり、タイミング等も違っていて、「iOSのシェアは50%超えてる、30%台、いやいや60%超えてるんだ!」などバラツキがあります。

ここでは、時系列でデータが取得されている、Kantarというサイトのデータを見てみたいと思います。Kantarは、各国の端末販売データからシェアを算出しているようです。

Smartphone OS sales market share – Kantar Worldpanel ComTech

 

 

こちらのサイトでは、2012年10月からデータが存在しています。ここによると、最新は2016年8月で、OSシェアはAndroidが66.7%、iOSは31.9%です。日本はiPhoneが強いと言われていましたが、思ったより低いですね。

これを時系列で並べてみると面白いことがわかります。

各OSのシェアを並べてみると、明らかに周期性があります。iPhoneは例年10月頃に発売されますが、それに合わせてiOSのシェアが上がっています。Androidだけを取り出した周期のグラフでみると、わかりやすいと思います。

このグラフをみるとわかりますが、確かに一時的に下がっているもののまたAndroidはシェアを盛り返してきて、長期的に見ればAndroidの方がシェアが高まっているように見えます。

さらに、AndroidとiOSのシェアの相関関係をみるとほぼ1対1です。

以上から、(Kantarのデータが正しいとすると)これらのデータからいえるのは、

  • AndroidとiOSのシェアは、随分前からほぼ2強状態である
  • 両者のシェアは一年間でみても、時期によって大きく異なる
  • トレンド的にはAndroidのシェアが高まっている

他のデータも見てみる

一方、運営しているブログのGoogle Analyticsから、モバイルOSの動向を見てみました。4年間ほど見てみましたが、全体的にiOSとAndroidの比率は2:1でした。iOSの方が圧倒的に多いですね。

周囲をみてもiPhoneが多いです。Androidがこれほど多いというKantarのデータも、自分の実感とは少し離れているような気がします。

これらの状況を見ていると、AndroidとiOSのシェアのどちらが高いのかわからなくなりますが、自社のマーケティングという観点で見れば、Google Analyticsなどのアクセス解析結果から得られるモバイルOSの割合が一番有効です。ユーザー層によっても使っているスマートフォンも違いますし、自社のユーザー層がどのようなデバイスからアクセスしているかを意識しましょう。

 

スマートフォン市場全体を考える

IDCの調査によると、iPhoneのシェアは昨年度からほとんど成長しておらず、一方でAndroidは7%以上の成長を達成しています。さらに、2020年までの予測でみると、AndroidもiPhoneも成長は見られますが、相対的にiPhoneのシェアは低下します。

(出所:Smartphone Growth Expected to Drop to Single Digits in 2016, Led by China’s Transition from Developing to Mature Market, According to IDC | Business Wire

 

こうみるとiPhoneは苦戦している感じがしますが、もっと重要なのはAndroidも2020年までの成長率が低下すると予想されているということです。既に「スマートフォン」という市場は飽和してきていると見るのが自然でしょう。

今後の主戦場は、モバイルOSではなく、その上のアプリケーション領域になると考えています。AIなどを駆使した、新しい利用方法が開発され、広がっていくでしょう。PCからモバイルへとインターネットアクセスの方法は変わってきましたが、それもやがて飽和して、モバイル上で「どのように情報を消費してもらうか」が重要になってくると予想します。

【書評】手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略

マーケティングというのは、ある意味「市場や顧客とのコミュニケーション」と言えるかもしれません。

本書は「7つのコミュニケーション戦略」というタイトルになっていますが、広い意味で「顧客とのコミュニケーション戦略」を、著者の経験を踏まえて体系的に整理した一冊になっています。

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読めばわかりますが、マーケティング戦略を「コミュニケーション」という切り口で説明していると理解できます。

7つのコミュニケーション戦略の成り立ちが時系列で説明されており、各戦略がどういう時代背景があり誕生してきたのか、他の戦略との違いは何かがよくわかります。

目次を見ると、それがより一層わかるでしょう。

  • 第1章 ポジショニング論 「違い」が、人を動かす。
  • 第2章 ブランド論 「らしさ」の記憶が、人を動かす。
  • 第3章 アカウントプランニング論 「深層心理」が、人を動かす。
  • 第4章 ダイレクト論  「反応」の喚起が、人を動かす。
  • 第5章 IMC論 「接点」の統合が、人を動かす。
  • 第6章 エンゲージメント論 「関与」が、人を動かす。
  • 第7章 クチコミ論 情報の「人づて」が、人を動かす。

手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略 | 宣伝会議オンライン

 

「ポジショニング論」はマイケル・ポーターが唱えたマーケティングの古典ですが、最新だとエンゲージメントやクチコミという、デジタルな世界で華やかになった最新理論まで述べられています。

時間の経過とともに、各種理論が発展してきた歴史をトレースするという意味では、「経営戦略全史」と似たような納得感が得られます。

経営戦略を学び直して、本当の意味で理解するための「経営戦略全史」

 

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【書評】確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

USJの劇的なV字回復は、今や日本の人に知られていますが、その立役者である森岡さんが書かれた本が最近2冊発売されました。

そのうちの1冊は既にアマゾンでベストセラーになってます。

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しかし今日ご紹介するのはもう1冊の方です。タイトルが非常に地味でカバーもちょっと硬く、値段も3,000を超えると言う高額なものになってます。しかしこちらの本は非常に中身が濃く、マーケティングを勉強したい方、USJの劇的な復活にどのようなマーケティングアプローチがとられたのかを具体的に知りたい方は、非常に刺激的な時間を得られることでしょう。

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マーケティングに数学の力を駆使する

本書の中で特徴的なのは、「数学マーケティング」と著者が読んでいる、確率や統計などの数学を駆使したマーケティングアプローチを知ることができることです。

自分たちが行っているビジネスの市場構造はどのようになっているのか。消費者の購買行動はどのような動機で行われているのか。その要因を数学モデルで解き明かし、自社の売り上げを増やすための経営資源の投下先を見極めていきます。

具体的な内容は本書を読んで欲しいのですが、経営資源の配分する要素には3つしかない、ということを数学的根拠と合わせて示されているのです。

戦略、つまり経営資源の配分先は、結局のところPreference(好意度)、Awareness(認知)、Distribution(配荷)の3つに集約されるのです。

マーケティングのフレームワークであれば4Pなどがありましたが、このように具体的な理論的アプローチは初めて知りました。

マーケティングをセンスや経験に頼るのではなく、数学をちゃんと理解し、実践に組み込むことで、成功するための確率を高めることができるのですね。まさに数学とマーケティングが結びつく姿が描かれていて、個人的には目から鱗でした。

 

実際の事例も面白い

細かい数学モデルも掲載されているので深く知りたい方はそれをきっかけに勉強することもできますし、理論やアプローチを知りたい方も非常に読みやすい内容で構成されています。

さらに、P&GやUSJでの需要予測や消費者の購買行動をどうやってモデル化したかなど、非常に具体的に記載されています。特にハリーポッターを新たに建設するときは、当時のUSJとしては非常にお金を投資しました。当初は車内でも反対が大きかったようです。

「絶対に許さない」。新エリア導入を提案した森岡氏に、ガンペル氏はこう言い放った。それも当然だった。USJの年間売り上げ規模の800億円超に対し、投資額は450億円。無謀にみえるのはしかたがない。

【USJ解剖(上)】勝負賭けたUSJ、「ハリポタ」投資450億円の“勝算”…映画一辺倒を転換、「ワンピース」「モンハン」取り込んだ「V字回復戦略」(1/4ページ) – 産経WEST

 

これが失敗すれば経営危機を招くかもしれないという、非常にリスクがある投資でした。しかしこれも、実は数学モデルを駆使した需要予測を様々なモデルで行うことによって、十分な顧客増加が見込めることを確信した上で投資を行っていたのです。本書ではその過程が非常に具体的に描かれており、「ここまで公開するんだ」という感想を持ったほどです。

 

マーケティングを科学的に捉えてみたい、という方には是非お勧めです。上記で挙げた以外にも、経営判断をどのように行うか、どのように組織を作り上げていくか、など経営とマーケティングが結びつく内容も描かれています。

個人的には、USJがチケットを年々値上げしている理由が興味深くて、また熱い思いを感じました。

最後に。

マーケティングは、どれだけ成功確率を高められるかを模索し続ける「科学」を基本としなくてはならない。

 

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【書評】マーケティングを学ぶ

ビジネス理論本というのは、できれば多くの事例をベースに語って欲しいですよね。そうなると、非常に理解しやすくなるので。

その意味で、この本はとても事例が多く含まれており、各企業の立場や考え方を踏まえながら、マーケティングに対する理解を深めることができます。

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例えば、個人的にはパナソニックとソニーのブランドに対する考え方の違いが、非常に刺激的でした。「ハッ」とさせられたのです。本書の中で、パナソニックとソニーでは、商品名に対する捉え方が違うと書かれています。

そのことは、パナソニックのライバル、ソニーの商品名の変遷と比較して見るとわかりやすい。ソニーは、逆に五年一〇年と長きにわたって商品名を変えない。たとえば、ウォークマン。ウォークマンは、録音機能をもたないステレオ・カセットとして発売された。しかし、ウォークマンの名前はそのカセットデッキの名前にとどまらなかった。ウォークマンの技術は、CD、ビデオ、MD、そしてネットワークと次々に変わるのだが、ウォークマンの名前は変わらない。これは、先のパナソニックのテレビ受像器の名前の移り変わりとは対照的である。パナソニックは、テレビ受像器だけでなく、ほとんどの製品について製品名を何年かおきに変える。

 

本当、言われてみればそうですね。これは、企業の形成に影響しているのですが、それについてはぜひ本書を読んでいただければ。

それ以外にも、伊藤園、JTB、コカ・コーラ、P&Gなど様々な企業の事例に基づいてマーケティングが説明されています。マーケティング理論を説明してるのですが、フレームワークはあまり登場せず、非常に読みやすい構成です。

また事例で挙げた企業を見ていただければわかりますが、主に消費者向けビジネスにおけるマーケティングが中心で、ブランド論なども非常にわかりやすく語られています。

個人的には、以前読んだ「ビジネス・インサイト」が本書中で紹介されていたのが、ちょっと嬉しかったですね。「ビジネス・インサイト」もおすすめです。

MBAに関心ある人向け。ケース教育の利点を理解しよう

 

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