折込チラシは今後衰退していくと思うので、新しいマーケティング方法を考えましょう

地域の宣伝方法として、代表的な一つに「折り込みチラシ」があります。この折り込みチラシの広告費は、雑誌やラジオより大きいって知ってました?

そして、「新世代デジタルマーケティング」に興味深いことが書いてありました。

エリアごとの重要なターゲティングメディアには、新聞の折り込みチラシがある。新聞の部数が急激に落ちている割に、チラシ広告はいまだ5000億円ぐらいの市場があり、あまり減っていない。乗るビークルが少なくなっているのになぜチラシが減らないのかというと、代替するものがないからである。しかし、ロケーションデータを上手に使うという観点からも、チラシがスマートフォンなどの次世代型へ移行する動きはありそうだ。

面白いですね。折込チラシはまだ結構有効な宣伝手段なようです。

 

折込チラシの広告費をテレビ・新聞・ラジオと比べる

各媒体の広告費は、2005年から2013年で、どの程度減少したでしょうか。

媒体減少割合
テレビ-12.2%
新聞-40.5%
ラジオ-30.1%
新聞折込-23.4%

(ネット栄えども折込チラシは死なず:日経ビジネスオンラインより作成)

 

上記の通り、冒頭の引用で紹介させていただいた通り、折込チラシの広告費は新聞・ラジオに比べれば減少してないという状況になっています。

新聞という媒体そのものが減っているのに、折込チラシはあまり減っていないというのがやや不思議な感じがします。それだけ、折込チラシには宣伝効果があるのだということだと思われます。(とはいえ、減少傾向であることは変わりがありませんが。)

 

新聞=折込チラシはどの年齢層が見ているのか?

一方で、新聞の購読者層というのは圧倒的に高齢者になっています。それはNHKが実施している「国民生活時間調査」という調査結果を見てもはっきりとわかります。

以下は、各メディアに触れる時間のうち新聞を読む時間の割合を、平日・土曜・日曜別で示したグラフです。

 

新聞の購読割合(男性)
新聞の購読割合(女性)

出所:2015年 国民生活時間調査|NHK放送文化研究所

 

つまり、年齢層で見ると、若年層はほとんど折込チラシは見ないですし、40代でも20〜30%程度です。この傾向は今後も続いていくのは間違いありません。

 

そこで登場しているのが、「デジタルへの移行」です。デジタルチラシ、電子チラシという名前が登場してきています。Shufooが有名ですね。

チラシ・広告・キャンペーン・クーポン情報満載|シュフー Shufoo! あの店の情報も掲載中

 

昔から折込チラシを積極的に用いてきているユニクロも、電子チラシを掲載しています。

UNIQLO(ユニクロ)今週のチラシ|UNIQLO

 

さらにユニクロやGUは、最近スマホアプリに力を入れており、新しい顧客との接点を構築しようとしています。このように、これまで折込チラシを活用していた企業などを中心に、敏感に新しい宣伝手法を試しているのだと思います。

 

まとめ

  • 折込チラシの広告費は新聞やラジオに比べると減少割合が小さく、未だ有効な宣伝方法になっている
  • とはいえ減少傾向であることは間違いない
  • 新聞の購読者は高齢者層に偏っており、若年層に対する宣伝効果はとても低い
  • ウェブサイトに電子チラシを掲載したり、スマートフォンアプリを使った新しい宣伝方法が登場している

 

折込チラシやフローペーパーなどの従来の宣伝手法には陰りが見えている中で、ウェブサイトやスマートフォンを活用した宣伝手法が登場してきています。自社のビジネスの特徴に合わせ、宣伝手法を見直す必要があるのだと思います。

ぜひ、従来の宣伝手法が本当に効果が出ているか?ウェブサイトなど、定量的に効果を計測できるデジタルマーケティングの可能性はないか?一度考えてみてください。

【書評】Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話

Unsplash / Pixabay

散々、このブログでは電子書籍を読もうって書いています。

https://synapse-diary.com/?p=2329

その電子書籍のセール等の情報を紹介するブログとして、「きんどう」があります。

http://kindou.info/

Kindleの日本上陸と合わせて、個人でやっている一大メディアになった「きんどう」は、Amazonアフィリエイトで生計を立てているのですが、その運営ノウハウがまとめられたのがこの本です。

 

この本に書かれている内容は、あらゆるWebメディアに関わる人に役立つものになっています。特に、企業ホームページと合わせてブログやSNSを始めたものの、塩漬けになっている、あるいはあまり役に立っていない中小企業経営者にとっても有意義な内容になっています。

 

きんどう本から得られるメディア運営のヒント

入念な下調べとメディア戦略の作成

「きんどう」は、Kindle日本上陸から考えると、後発組でした。そういう中で、勝てるメディアにするため、様々な施策を打っていきます。特に参考になったのは、事前に下調べして、海外等のメディアを調べて、「きんどう」をどのように育てるかの戦略を入念に練っていた点です。

企業ブログなどを見ると、あまりそういう明確なメディア戦略があるわけではなく、日々の出来事を書いているのが多く見られます。ただ、ユーザーが興味を持つ情報を提供する、という点を意識しないと、結局内輪でしか見られないものになってしまうわけです。

自分が消費者として、ついついチェックしてしまうような企業ブログが、どういう内容で書かれているのか、ぜひ分析してみましょう。

 

信頼を得るアプローチ

自分のサイトを介して買ってもらうためには、サイトを信頼してもらわないといけません。自分が消費者の立場であれば、おのずとわかりますよね。信頼を得るというのは、いろんな方法がありますが、きんどうさんの場合は、こう書かれています。

さて話を戻して、わたしがとった読者に近いメディアづくりは中の人感を前面に押し出すことで成立させています。ツイッターを使ったリアルタイムの返信や、積極的なコミュニケーション、記事のリード文で喜びやボヤキをいれて、良い意味で読者から親しみやすい信頼できそうという立ち位置にいます。

 

「中の人」感を出すというのはそうですね。よく言われることでもあります。ただ、実行するのはそう簡単ではありません。コミュニケーションを図る積極性を持ち、小さな工夫の積み重ねを行う必要があります。

 

片手間でやるのではなくて、全力投球を

結局、ここに落ち着くのですが、片手間でやっている企業が多いのが実情です。もちろん、本業があるのはわかります。ただ、投入したエネルギーに応じた見返りがある、と思うわけです。

きんどうさんの場合はメディアですので、立ち上げから勢いをもって成長させていきました。その部分について、こう書かれています。

二、三日に一記事? 土日は休み? 何年かけてメディアを成長させる気ですか。一日でも早い成長ペースに乗せるために、序盤に地獄を見たほうが後からサイト運営は楽になります。息をするように更新しましょう。更新こそが人生です。

 

企業の場合はなんでも更新しろ、というわけでもありませんが、でも最終更新が半年前、とかざらにありますし、「明らかにエネルギーが投入されてないな」というのは、サイトからにじみ出ます。逆に、ちゃんといろんな更新や改善が図られているのも、サイトからにじみ出ると思うんですよね。

だから、サイトから顧客を勝ち取りたいのであれば、それ相応のエネルギーを投入しましょう。

 

とても電子書籍に対する愛が詰まった一冊です。150円と安いですし、すぐに読めてしまうぐらいのボリュームなので、ぜひ読んでみてください。

 

企業がブログやSNSを業績に直結させるためには

geralt / Pixabay

少し前から、ブログやFacebook、Twitterなどが企業の宣伝手段として活用する企業が増え、いろんな場面で使われています。こうやって企業が自ら宣伝手段を持つことは、大きなマーケティング戦略の変化と言えます。

また、これらが普及していることには、経済的な背景もあります。

 

企業のメディア化が重要な理由

角川インターネット講座の「第三の産業革命」で、企業がメディア化していく理由について、2つ書かれています。

その理由の大きなものは、テクノロジーの進歩によって企業が自らコンテンツを届ける力を持てるようになり、コンテンツへの反応を可視化して、顧客のターゲティングができるようになっていることだ。

企業がメディアを持つもうひとつの理由は、企業に顧客との「つながり」をつくるという方向が生まれていることだ。ほとんどの製品はコモディティ化のサイクルが速くなっており、だんだん製品やサービスが似かよってくる。それを差別化するために、これまではイメージキャラクターやインパクトのあるキャッチコピーを使ったマス広告が利用されてきた。これは今後も一定の役割を果たす。しかしネット社会ができて、製品やサービスには消費者個人の体験や評価が織り込まれて消費が連鎖していくようになった。それを情報発信により促進し、コミュニティをつくることが成功のカギとなる。これが、企業がメディア化していく背景だ。

これまで自社が消費者に情報を伝えるには、何らかのメディアを経由する必要がありましたが、主にWebで自社メディアを持つことで、消費者とダイレクトに繋がれるようになりました。また、特に重要なのは二点目で、製品の陳腐化が早くなっており、自社製品に関するコミュニティを育てることが、差別化の一つの手段になって行くのです。

それが、ブログやSNSなどを使った「メディア化」です。

 

オウンドメディアとは?

最近では、オウンドメディアという言葉がよく聞かれます。これまでもブログやSNSを活用しよう、ということを言われていましたが、それをもっと「メディア」として戦略的に情報発信しようとい考え方が生まれています。

オウンドメディアについては、このあたりの記事や本を読むと良いでしょう。

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2015/07/15/20150

従来と一番違うところは、「ユーザー目線」でコンテンツを作成することにあります。これまでは、企業が流したい情報を一方的に流す企業が多かったですが、もっとユーザーが関心を持つ、役に立つ情報を流そうという考え方が強調されています。

言葉で言うだけでは分かりづらいと思いますので、実例を見てみると良いと思います。

http://liskul.com/wm_ownedmsp11-4514

http://web60.co.jp/ownedmedia_jirei.html

http://matome.naver.jp/odai/2142617516019848901

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2015/07/30/20161

 

ブログやSNSを始めてみたものの…

経営者から「ブログやSNSはやった方がいいの?」と質問されたりしますが、あまりお勧めすることがありません。

ブログやSNSを真面目にやろうと思うと、とても労力がかかります。すぐに結果が出るわけでもありませんし、うまくユーザー目線で作らないと、結局自己満足になってしまいかねないわけです。

そういうところを勘案すると、無理に手を広げるよりは、ホームページの更新をちゃんとやったり、SNSを増やすのではなく、ブログの更新に力を入れたり、限られたエネルギーをどこに注ぐかは、ちゃんと考えた方が良いと思っています。

とはいえ、うまく運用すれば有効なマーケティング手段になりますので、自分の状況に合う手段を考えると良いでしょう。

 

というわけで、ブログやSNSがうまく機能してないなーと考えている人は、「ユーザー目線」を組み込んだ自社メディアとして、情報提供してみてはどうでしょう。

今日はこのへんで。

 

Twitterにはオープンプラットフォームとして頑張って欲しい

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先日大学生と話していたときに、それぞれのSNSには違いがあるよねってことで、代表的な3つについて、それぞれ以下のような感じなんだと話していました。

  • Twitterはオタク。2ちゃんねると同じ。
  • Facebookはおっさん。
  • LINEが若者。

 

これを読む人はどう思いましたでしょうか。僕が一番驚いたのは、一点目のTwitterでして。ノイズが多く、過剰な思考パターンの人が集まっているという印象を持っているんだなーというところでした。

確かに、Twitterにはノイズが多いです。キーワード検索とかするとわかるのですが、関係ないキーワードを含めてスパムリンク狙ったり、同じことをずっとつぶやくbotなんかがうじゃうじゃいます。

それはわかるんですが、一方でオープンなプラットフォームとして考えると、Twitterに代われるようなものが今のところないと思ってもいます。どういうことかといえば、誰でも簡単にどんな情報にもアクセスできるSNSという意味ですね。

データ分析でも、よくTwitterから情報を取得して、それぞれグリグリ回して分析して、新しい示唆を得ようというアプローチはよく見られます。マーケティングに使おうとか、新しいニーズ調査に使おうとか。地震などの災害が発生したときも、素早い反応とアクセス性から情報源として期待されています。

 

なので、それに対して学生があまり関心を持っていないことがちょっと驚いたんですよね。僕が話した学生が偶然そうだったのかもしれませんが。

ユーザー数などではFacebookに大きく離れていたり、LINEなど新しいSNSに押されてる印象がありますが、個人的には頑張って欲しいな、と思う次第です。ちなみに、年齢層で捉えるとTwitterも若者が圧倒的に多いようですね。

参考:
【2015年保存版】ソーシャルメディアのデータまとめ一覧。ユーザー数から年齢層まで、SNS運用担当者は必見!
5大ソーシャルメディアのユーザー数まとめ!Facebook、Twitter、LINE、Google+、YouTube- SMMLab(ソーシャルメディアマーケティングラボ)

 

Twitterは、少し前にCEOが交代したばかりです。

https://synapse-diary.com/?p=4060

業績が芳しくないのですが、ぜひとも頑張って欲しいな、と思う限りです。こういうオープンなプラットフォームの存在が、情報を広く流通させていくものだと思ってますし。

今日はこのへんで。

あなたが明日からクリエイティブなアイデアマンになる方法

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あなたは、自分に創造力があると思いますか。あるいは、周囲にアイデアマンと呼ばれる人はいるでしょうか。

 

僕がビジネススクールに行っていたのはもう数年前になっていますが、そのときは「もうビジネスにおいて論理的に管理したりするのは20世紀型で、21世紀はイノベーションやクリエイティビティだ」、と言われたりしていました。今、ビジネスシーンで必要なのは、創造力やアイデア、デザインと呼ばれるような領域になってきています。

 

ビジネスにおけるデザインやクリエイティビティが注目されるようになった

実際、IDEOというデザイン会社がビジネスコンサルティングの市場に進出するようになり、これまでボストンコンサルティングやマッキンゼーに代表されるようなコンサルティング会社は、新しい軸での競争に迫られてきたわけです。

そして、最近はその流れがどんどん加速してきており、コンサルティング会社がデザイン会社を買収する事例が増えています。

IDEOやfrog designも!マッキンゼーがLUNAR買収と聞いて、デザイン会社のM&Aを調べてみた – Tayoriブログ

また、ビジネススクールにおいても、「dスクール」というビジネスデザインを学ぶカリキュラムが注目を浴びています。

それぐらい、デザインやクリエイティビティというのは注目される分野になっており、ビジネス上の競争優位性になっているのです。

 

誰でもクリエイティブになれるか

さて、今回僕は、IDEOの創業者であり、dスクールを創設したデヴィッド・ケリーと、その兄弟であるトム・ケリーの本を読みました。それは「クリエイティブ・マインドセット」というタイトルで、誰にだってクリエイティブになれる素質があるという前提に立ち、それを身につけるための方法論が書かれたものでした。

自分でいうのもの何なんですが、クリエイティブだとはとても言えない人だと思っているので、「誰でもクリエイティブになれるなんて」という半信半疑で本書を読んでみた次第です。

僕が注目したのは、「創造性は誰もが持っているが、その自信を自分の中に持てるかが大きく変わる」ということです。(ちなみに洋書のタイトルは「クリエイティブ・コンフィデンス(=創造力に対する自信)」です。)

 

以下は、いろんな人に創造性を持ってもらうためにdスクールを設立することを考えていた著者の一節です。「創造力に対する自信」をこう説明しています。

私たちが気づいたのは、創造性を一から生み出す必要はない、という点だ。人々がすでに持っているものー世界にふたつとないアイデアを想像したり発展させたりする能力ーを再発見する手助けをするだけでいいのだ。しかし、アイデアを実行に移す勇気を奮い起さないかぎり、創造性の真の価値は発揮されない。つまり、新しいアイデアを思いつく能力と、アイデアを実行に移す勇気ーこのふたつの組み合わせこそが、創造力に対する自信の特徴といえるのだ。

アイデアを思いつく能力とアイデアを実行に移す勇気。その組み合わせによって、創造力は発揮されるということです。

 

創造力を発揮するために大切なのは、行動を起こすことだ

そして本書では、行動を起こすために重要な点への説明に進んでいきます。

しかし、行動を起こすためには、何よりもまず、今まで創造性を妨げてきた恐怖を克服する必要がある。

失敗に対する恐怖は、あらゆるスキルを学んだり、リスクを冒したり、新しい課題に挑戦したりする妨げになる。創造力に対する自信を手に入れるには、失敗に対する恐怖を克服する必要がある。

失敗に対する恐怖を克服することで、行動を起こす勇気が得られるということです。確かに失敗をネガティブに捉える組織ではみんな斬新なアイデアを出さないし、無難でミスをしない方策を考えるようになりますよね。

 

自分について考えても、思えばたくさん失敗を重ねてきました。今思い出しても恥ずかしい失敗もありますし、それによって気づいたり成長できたこともたくさんあります。逆に、新しい挑戦をして良い結果を得たこともあります。思い返してみると、実は日々の小さな出来事においては、失敗しても大きな損害を与えるとか誰かに迷惑をかける、というのはほとんどなくて、「変なことを言っている人だと思われたくない」や「言い出して失敗したら白い目で見られる」という、他人の目線を気にして躊躇している要素が無意識に大きく作用している気がしています。

でも、誰かが失敗したことを自分がそれほど覚えていないように、周囲もあまり覚えていないようです。だからいつまでも失敗を恥ずかしいと思わず生きていける気がします。

つまりは、自分が新しいアイデアを思いついたら、「恥ずかしいとか失敗したときのことを考えず、とりあえずやってみろ」ってことですし、組織を管理する立場のリーダーであれば、「失敗しても許容される雰囲気をつくれ」ということです。

 

ということで、本書はクリエイティビティに関する内容にフォーカスされていますが、それ以外にも気づきが多い、刺激的な内容になっています。あなたも私も、創造力を高められますように。まずは行動しましょう。その積み重ねが、きっと自信となってさらに創造力を高めてくれるでしょう。

 

最後に、失敗に対する勇気を与えてくれる言葉を。

何より、ハンガリーの随筆家、ジョルジュ・コンラッドはこんなことを言っている。「勇気とは、小さなステップの積み重ねにすぎない」

では、今日はこのへんで。

 

大学もマーケティングが必要な時代

近畿大学が志願者数で全国一位になっていたって、知ってました?あの近大マグロの大学です。

近畿大学が志願者一位になった理由は何なのか?を書いた本がこの「なぜ関西のローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか」です。

大学は今もこれからも競争が激化する市場

人口減少が現実的な課題になってきていますが、大学も同じです。18歳人口は減少してきていて、これまでは進学率の上昇で大学生はずっと増えてきましたが、ここ最近は打ち止め感があります。

本書ではこういう記載がありますが、

2009年を底にしていったん安定した18歳人口は、2018年から減少に転じ、2031年までに実に33万人も減少すると予測されている。大学関係者の間で深刻な事態として考えられている「2018年問題」だ。

グラフで見てみるとこんな感じです。

18歳人口、入学定数、入学者数の推移

※時間軸がばらついているので、注意してください。 (文部科学省「大学の入学定員・入学者数等の推移」P.18より作成)

若者の総数が減り、進学率など大きな増加要因も見込めない状況では、市場全体が伸びるのは難しそうです。留学生など別のチャネルを構築することも考えられますが、全体としては学校経営は競争が激化し、寡占化(ブランド力がある強い学校がますます勝つ)になっていく状況が予想されます。

そのような状況の中で、関西圏の大学の中で決してランクが高いわけではない近大には、相当な危機意識があったと思われます。

 

「偏差値」という硬直的な物差しにどう立ち向かうか

大学の生き残りを考えるとき、「偏差値」によるランク付けというのは大きな脅威です。顧客である学生が選ぶ基準が明確になってしまうので、偏差値が高い大学と比べられると負けます。そこから何が言えるかといえば、志願し、受験してくれても、より偏差値が高い大学に合格した学生は、そちらを選ぶということです。

つまり、志望順位が高くなる大学は合格辞退はあまりありませんが、志望順位が低いと合格辞退がたくさんでるので、枠の学生を確保するためにはより多くの学生に受験してもらう必要があります。打率が低くなるということですね。

そう考えると、志願者を多く集めて、そのひとたちに学校を選んでもらい、学校生活でモチベーションを上げてもらう必要があります。それが本書ではこう表現されています。

「たくさんの志願者に集まってもらうことは、学生の意欲を向上させ、入試の倍率も上がり、徐々にではあっても偏差値を上げていくことに必ずつながっていきます。偏差値がすべてではないことは繰り返し述べてきた基本的な見解ですが、世の中の現状がそれを一つの尺度としている以上、無視するわけにはいきません。東大がどんな教育や研究をしていて、どんな優秀な教師がいるのか。就職支援システムはどうなっているのか知らないのに東大はすごいということなっています。それは、偏差値が一番高くて入試が一番難しいからでしょう。

硬直的な大学の偏差値という評価軸に打ち勝つためには、新たな魅力を提示したり、広報戦略を洗練させていくことで、ブランドイメージを変えていくことが必要になります。

 

「近大マグロ」はマーケティング的成功例

一番驚いたのは、「近大マグロ」が話題になったのは、マグロの完全養殖が成功してからだいぶ後でした。2002年に成功し、広報で一度取り上げられていましたが、その後話題になることはなかったのです。しかし、2007年頃から新しい広報担当者が「近大マグロ」の広報的価値を見直し、宣伝をかけていった結果、今のような認知度を獲得したのです。

Googleトレンドで「近大マグロ」をみても、検索が多くなっているのは最近です。

また、近大はコメンテーターブックを発行しています。これも、大学教授がどういう専門分野を持っており、メディアからの取材に答えられるかをいつでもメディア関係者に理解してもらえるための取り組みだそうです。

そうやって大学の認知度を高める仕組みを設けています。

 

大学というのは、ひとつの硬直的な市場で、今後の展開はとても難しくなります。積極的に投資をして、魅力と規模を追求できる大学が生き残っていくのでしょう。(近大も学部や施設を拡大させています。)

企業でも、硬直的になってしまっている自社のイメージをどう変えていくか、を考えてみるのは重要なんじゃないでしょうか。

あー近大マグロ、食べにいきたい。

スタバ・コンビニなどのコーヒー戦略はこの一冊を読めばわかる

最近、コーヒーを飲まない日はないんじゃないか、と改めて実感しますね。外出するとスタバで休憩したり(スターバックスカードを保有してるぐらいヘビーユーザーです(過去の記事))、コンビニコーヒーで手軽に飲んだり。あらゆる場面でコーヒーを飲んでる気がしています。日本人は1人あたり1日2杯ぐらいコーヒーを飲んでるそうですよ。

 

で、コーヒーを中心にしていろんな企業が戦略を展開しており、面白いネタが満載なわけですが、このような本が発売されていて読んだ次第です。

 

 

ドトール、スタバ、マック、コンビニのコーヒー戦略が一冊で理解できる

スタバの躍進、マクドナルドがマックカフェを打ち出す、コンビニコーヒーの流行など、コーヒーに関するビジネスの動きはたくさん起きています。そして、サードウェーブコーヒーという流れが起きています。

コーヒーは、いろんな業種がひしめいている、とても面白いビジネスの商品になってるのです。特にコンビニコーヒーの勢いはすごいようで、ここ最近のコーヒー消費量は過去10年以上の最高を示すほど伸びています。

日本におけるコーヒーの消費量の推移。

統計資料 | 全日本コーヒー協会より作成)

スターバックスやセブンカフェなど、それぞれの情報をあるものの、各社がどういう戦略のものでコーヒーを売ってきているか、そしてサードウェーブなど今後どのように業界が進んでいくか、など一連の流れが捉えられるので、非常に頭の整理になって良い一冊かと思います。

 

「100円コーラ」シリーズは、マーケティング戦略をわかりやすく学べるのでおすすめ

本書は、「100円のコーラを1000円で売る方法」の作者の最新刊です。

100円コーラは、シリーズ本や漫画本が出るほど人気になってます。

今回の「戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!」も、期待を裏切らず、わかりやすくポイントを学べるストーリー仕立てになってます。短い時間で読めるので、気軽に読みたい人、いろんな知識を思い出したり、整理したい人には良い本だと思います。

「もしドラ」以降、こういうライトでわかりやすい本が人気な感じですなー。さ

 

全然関係ないですが、この本読んで、ネスカフェのバリスタが気になり始めました。安く、おいしく飲めるならいいよなー。

 

革新的なアイデアはどんな人でも思いつけるかもしれない。この本を読めば

少し前に「プロフェッショナルの流儀」に登場して話題になっていた、USJのマーケッターの本を読みました。偶然、プロフェッショナルの流儀も見ていたんで、とても興味がわきました。

 

USJが開園から一度経営危機を迎えたのは知っていましたが、最近V字回復したというのは知りませんでした。実際のV字回復の様子はこの記事などを見ればわかると思います。

東京ディズニーランド・シー & USJ の入場者数の推移をグラフ化&比較(1983年~) –

読み物としても面白いのですが、なんといっても興味がわいたのは「どうやって困難な状況を打開するアイデアを思いつくのか」という点でした。「プロフェッショナルの流儀」をみた率直な感想としては、「柔軟な発想を才能として持った人ではなく、左脳思考寄りの人だな」という印象でしたし、実際に本人もテレビや本書でそう書かれていました。

それでも結果は出ていますし、いろんなアイデアを思いつき、実行しています。つまりその人なりのノウハウがあるはずだ、と思い本書を読んだのです。

 

アイデアを思いつくのが苦手と思っている人こそ読むべき

アイデアを思いつくというのは、簡単ではありません。後で「なんだ、そんなことか」と思うようなことであっても、それは後で結果を見たからそう思うのであって、思いつくまでの過程はとても大変なものです。

本書では、そういう状況に置かれたときに、いかに効率的に成功率が高いアイデアを創出できるのか、という方法が「イノベーション・フレームワーク」として書かれています。詳細はぜひ本書を読んで欲しいと思いますが、何気なく自分が普段やっているアイデアの求め方なども、見直さないといけないなと思わされました。また、なんといってもアイデアを探求する姿勢というか強い思いには、心動かされるものがあります。

それ以外にも、USJのマーケター就任直後に定めた「3段ロケット」による経営向上のアプローチや、数字に基づくマーケティングの考え方など、随所に書かれているポイントが、仕事の考え方としてとても参考になりましたし、いくつか取り入れたいなと思いました。

 

中小企業が勝つには「アイデア」が必要になる

本書の最後のあたりに、「中小企業がビジネスで勝つには「アイデア」が必要」と言っている部分があり、とても感銘を受けました。中小企業は大企業と比べて資本が小さく、ポートフォリオを組むことがほとんどできません。何かが失敗してもこっちがあるから大丈夫、というようなビジネス戦略を取りづらいのです。なので、本業一本勝負をしなければいけないのですが、そこで差別化・付加価値を見出すためには、やはり「アイデア」が重要なエッセンスになるのです。

中小企業診断士を取得してから、社会における中小企業に重要さとともに、経営資源の少なさからくる制約の多さ、経営の困難さを実感するようになりましたが、「アイデア」によって少しでもそれを打開できるのではないか、と思えるフレーズでした。

とにかく、どこにいてもアイデアを発想し、それを実際に形にしていくことには、大きな困難が伴いますが、それでもその先には大きな喜びが待っているでしょう。この本を読むと、自分でももっと思いつけるんじゃないかと思えるから不思議です。

 

それ以外にも、USJのV字回復のストーリーとしても、エンターテイメント業界を知るという意味でも面白い一冊です。マーケッターの実情を描いた本ってあまり読んだことがなく、そういう点でも新鮮でした。新しいビジネスの発想を求めている人はどうぞ。

 

Facebookページの投稿は全てのユーザーに表示されるわけではない

Facebookページで「いいね!」しても必ずタイムラインに流れるわけではない、という話を、意外と知らない人が多かったので、書いておきます。

 

Facebookページの投稿が個人のニュースフィードに表示される割合は1~2%

意外と知らない人が多いのですが、Facebookページで投稿した内容は、「いいね!」した人のニュースフィードでは1~2%程度しか表示されません。

職業柄フェイスブックのマーケティング戦略に詳しい筋が匿名でValleywagに教えてくれた話によると、現在同社は「投稿のオーガニックリーチ(無料投稿配信数)を1、2%まで下げる」途中みたいですよ? これは全ブランドが対象です(一般ユーザーは関係なし)。例えば、ネット戦略にかなり力を入れて1600万人以上いいね!を獲得したナイキも、ただ投稿しただけでは100分の1の16万人のニュースフィードにしか流れないってこと。米ギズ運営元ゴーカーも読者のかなり大きな部分をFacebookの無料配信からの流入に頼っているのですが、Facebookを宣伝に活用している企業はみなお金を払わないと、いいね全員に投稿を届けられないことになります。

Facebookページリーチ激減り、ただ乗り終了のお知らせ : ギズモード・ジャパン

1000人「いいね!」してくれても、10~20人ぐらいにしか表示されないわけです。

厳密には、ニュースフィードに表示されるかどうかは「エッジランク」というアルゴリズムで決まっており、必ずしも固定で表示される割合が決まっているわけではありません。親密度・重み・経過時間の掛けあわせで決まると言われています。

Facebookを活用するなら必須の知識、『エッジランク』の仕組み – NAVER まとめ

この記事に書いてある通り、関係性が高く質の良い記事であれば、多くの人にリーチされるようになっているようです。

ではどうしてわたしの会社のFacebookページはリーチが異様に高いのか。もともと自分のクライアントのソーシャル運用の見本とするためにやってみせているのだが、ざっとクライアントのFacebookページ群をチェックしたところ、きちんと指示通りに運用してくれているところでは、少なくとも6%とかそういうレベルのは無かった。60%を超えているところもあった。 つまりソーシャルの運用の質によってリーチなんていくらでも変えられるってこと。ソーシャル運用におけるKPIは「ファン数の増加」ではなくて「リーチ数」なのです。そのために必須なのが「ネタ」ですよ。広告代理店に運用丸投げしたり、やる気の無い素人の社員が毎日のルーティーンワークとして投稿してもなんの意味も無いって事です。

ブランド力、知名度だけのFacebookページ運用はすでに終了しましたのお知らせ | More Access! More Fun!

 

Facebookページはただ単に作れば良いというわけではない

ここからわかるのは、Facebookページをただ単に作っただけでは全くダメで、質の高い記事を投稿し、ブランディングを高める必要があるということです。

もしくは、広告を出稿すれば、お金で解決して表示を高めることもできます。

まあ、うまい話はないってことです。

もっといえば、Twitterは表示するタイムラインをTwitter側でコントロールすることがないので(広告は別ですが)、フォローされたら必ず表示されます。Facebookの場合は、ニュースフィードに表示する量を調整する機能が働いているので、こうやって抑制するアルゴリズムを設けているわけです。そして、ニュースフィードに流すために広告を出稿してもらうことで、マネタイズしてるわけですね。

 

今日はこのへんで。

Adsenseの収益を増大させるA/Bテスト「広告の許可とブロック単位」が追加されました

このブログでは、Google Adsenseで広告を掲載しています。別に大して儲からないですが。ただ、Webマーケティング的にはいろいろ面白いのです。

で、以前からGoogle Adsenseでは広告ユニットごとにA/Bテストができる機能があるのですが、最近「広告の許可とブロックに関するテスト」もできるようになっていました。

Inside AdSense : 「広告の許可とブロック単位」でも A/B テストが可能に

広告には「アパレル」とか「インターネット」とか、カテゴリーが定められています。で、基本的にはどのカテゴリーを表示するかはGoogleが判断して良い感じに表示できるのですが、特定のカテゴリーをブロックして、収益を最適化するためのA/Bテストを行うことが可能になったのです。

テストのやり方は、以下の記事が詳しいです。僕もこの記事を読んで理解しました。

Google Adsenseの収益を向上させる「広告の許可とブロック単位」のA/Bテストの設定方法 | ドウデモイイコト。

今回書こうと思ったのは、もう少し「効果が低いカテゴリー」の見極め方を考えてみようと思ったからです。

 

効果が低いカテゴリーをどう見極めるか

上で紹介した記事では、「収益額の割合÷広告表示回数の割合」で効果が低いカテゴリーを見極めるという手法が掲載されていました。それで実際にやってみようと思ったんですが、途中であることに気づきました。僕の場合、「収益額の割合」と「広告表示回数の割合」を散布図にプロットしたのが、以下のグラフです。

category1

これを見て思ったのは、

  • 表示回数と取得金額には、ある程度相関関係がみられる
  • 「表示回数が多いカテゴリー」と「その他のカテゴリー」に大別できる状況にある

ってことです。なので、Google先生がある程度最適化しているので、あまり除外すべきカテゴリーが見当たりませんでした。この中のどれを「効果が低いカテゴリー」とすべきなんだろうって、疑問に思ったんですよね。

 

近似曲線を使ってみる

そこで、散布図に近似曲線を追加してみました。

category2

R2乗も0.92なので、まずまず良い相関関係にあります。そこで、この近似曲線より右下にあって、比較的外れているカテゴリーがブロックする対象になると考えました。

多少下回っている程度は、誤差の範囲内の可能性があり、かつあまりカテゴリーを外しすぎると収益機会を逆にロスする可能性もあったので、明らかにはずれているカテゴリーだけ対象にしています。

というわけで、今回はこの分析に従って2つだけカテゴリーから除外してみました。まだテスト始めたばかりなので結果は定かではないけれど、理屈上は収益が多少は向上してくれるんじゃないかと期待してます。このブログでは比較的きれいな相関関係になりましたが、他のブログではそうじゃないかもしれません。そうなると、表示回数は多いけど収益割合が低いカテゴリーをうまくブロックできれば、大きな収益機会の増大を狙えるんじゃないかと思います。

 

注意:広告ユニットのA/Bテストを実施中は、カテゴリーのA/Bテストはできません

広告ユニットのA/Bテストを実施している場合は、同時にカテゴリーのA/Bテストはできないようです。

広告ユニットの設定に関するテストは、同時に複数実施できます(ただし、1 つの広告ユニットごとに最大 1 つです)。また、広告の許可とブロックに関するテストは、全体で 1 つだけ実施できます。この 2 種類のテストを同時に実施することはできません。

テストに関するよくある質問 – AdSense ヘルプ

というわけで、カテゴリーのA/Bテストを試したい場合は、一度広告ユニットのテストを終了させましょう。

 

どんどんA/Bテストで収益機会を増大させる方法を考えましょう。こういう試行錯誤が、Webマーケティングの醍醐味だと勝手に思っています。