佐々木 直彦¥ 840 単なる情報整理術にとどまらない内容の濃い、成果志向型の仕事術の本 第1章のタイトルが全てを物語ってます |
私たちがほんとうに行わなくてはならないのは、大量の情報を、見やすく、あとで取りだしやすいように整理する情報整理ではなく、「ホンモノの情報」を創りだす情報整理なのです。
自分の行動が起こる。相手の行動も起こる。「この二つの行動が起こるための情報整理とは何か」に答えを出したかったのです。
企業経営に関して書いた記事です。経営戦略、マーケティング、財務など経営学に関する全般を対象にしています。
佐々木 直彦¥ 840 単なる情報整理術にとどまらない内容の濃い、成果志向型の仕事術の本 第1章のタイトルが全てを物語ってます |
私たちがほんとうに行わなくてはならないのは、大量の情報を、見やすく、あとで取りだしやすいように整理する情報整理ではなく、「ホンモノの情報」を創りだす情報整理なのです。
自分の行動が起こる。相手の行動も起こる。「この二つの行動が起こるための情報整理とは何か」に答えを出したかったのです。
遅ればせながら、話題になったFREEを読みましたよ。確かに面白い。これからのビジネスモデルの動きがつかめる気がしてくる。
要はビジネスモデルの転換
ITなどの技術進化によって複製コストがゼロになるので、お金の取り方を変えなければいけない、ということだと思う。複製コストがゼロになるところを、無理やりコピーコントロールなどの制限をかけても、技術進化には勝てなくなる。
それよりも、「予想通り不合理」でも書いてある通り、200円が100円になるより、100円が無料になる方が飛び抜けて人をひきつける効果がある。それぐらい「無料」のインパクトは大きい。これを利用して、宣伝効果を得ることを考える方が良い。
これからは、これまで収益ポイントだったところを無料する代わりに、新しい収益ポイントを探すことが重要だ。価格は「創造的」に作り出す、という言葉が印象的だった。
他にも、行政や税金の運営との関連などを考えたけど、余りうまくまとまらないので、とりあえずこれで終わり。
ビジネスモデルを把握できる手段を学べると思い、ピクト図解の本を購入。で、それとほぼ同時期に、GIEフォーラムで電子書籍がトピックに扱われたり、iPadとかKindleが欲しいなーとか考えていたので、電子書籍のビジネスモデルを考えるようになった。
というわけで、試しに電子書籍がもっとメジャーになると、ビジネスモデルがどう変わるか、ピクト図解で考えてみた。
これが、一般的な書籍の流通形態。作者から、出版社、取次、書店を経由して、客が手にとる。
ネット書店は、恐らくこういう形。Amazonは取次を経由せずに、直接出版社から仕入れているらしい。(返品率の低さに驚き。)電子書籍も中抜きになるとか言われているけど、ネット書店ですら、書店のみならず取次も中抜きにしている。
電子書籍の予想されるひとつの形。出版社はコンテンツのマネジメント機能(編集やマーケティング、宣伝など)で残ると勝手に予想。そこからプラットフォームを経由して、読者へ。ビジネスモデル的には、余りネット書店の場合と変わらないね。あと、Discover21みたいに、出版社とプラットフォームを兼ねる場合もある。
電子書籍の派生というか発展版。紙媒体を電子にするだけじゃなくて、音声や動画を組み合わせたり、インタラクティブな動きを行う仕組みを盛り込んだり、電子コンテンツでしか実現できないことを作成する企業が出てきそう。
で、電子書籍が主流になると、こうなる、と思われているモデル。作者と客がほぼダイレクトにつながるようになる。出版社の機能などが必要ない場合は、こういう形も増えるかも。(個人的には、あまりメジャーにはならないと思うけど。)
あと、電子書籍だとコンテンツを編集するのが容易になるので、一度購入した本の更新版を、安い料金で配信したりできそう。というか、Twitter社会論ではそういう計画らしい。これまでの、一度売ったら終わり、というような流れではなくて、コンテンツを二次利用したり、アップデートすることで、課金するタイミングを増やすのは重要だろう。
電子書籍は、これまでの出版業界を壊すなんて話しも耳にするけど、こうやって考えてみると、収益モデルはいくつも描けそう。あと、FREEでも書かれているように、コンテンツは限界費用まで下がる(ほぼゼロ)代わりに、講演やセミナー、コンサルティングの機会を増やしてお金を稼ぐ、というような、「書籍そのもので稼ぐ」みたいな考えを改めることも必要なんだろうなあ。
iPadが発売されたら、ここらへんももっと面白くなりそう。
自分がコンサルタントをやっていると、「コンサルタントをどう活用していいか、イマイチわからない」ということを聞くことがある。ので、自分が考える「コンサルタント」のうまい使い方を書いてみる。
前提:使う側の責任範囲を超えて仕事はできない
当たり前かもしれないけれど。使う側の責任範囲を超えて仕事はできない。担当者に決定権がないことには、やはり提案も調査もしづらい。
過去に上司から、「担当者の先まで飛行距離がある資料を作れ」と言われたことがある。これは何を指すかというと、担当者だけでは決定できないことでも、担当者の上司やその先の上司などが見たときに、その人を納得させ動かせるような内容を意識しろ、ということであった。それだけ、仕事をする中で決定権限の壁に当たることが多いということでもある。
使う側としても、コンサルタントに期待する内容に適した、決定権限を持つ人がプロジェクトに加わることが重要になる。
アクション:漠然とした悩みを打ち明ける
問題を明確にすれば、解決策を講じるのはそれほど難しくない、とも言われる。で、「何が問題であるか」を明確にするのはそれほど簡単でもなかったりする。
コンサルタントはそこを明確にすることを求められる。顧客が求めているものを明確にして、そこに解答を導きだす。答えがずれてはいけない。
よくコンサルタントの使い方として「自分の要望や成果物を明確にしてから依頼しましょう」なんて書いてあるのを見るけど、そんなに全て最初からイメージしていたら、コンサルタントに依頼しなくてもどこかのIT業者とかでも良いよね、と思う。「ここらへんが問題だと思ってるんだけどねー」ぐらいの軽いスタンスから始まっても良いんじゃないかと。
アクション:妥当性をチェックする
コンサルタントは経営知識や業界の動向に詳しかったりするので、一歩間違うと「言いなり」になる恐れがある。もちろん熟練で有名なコンサルタントであっても、絶対に正しいなんてことはない。つまり、使う側がコンサルタントの言っていることが妥当であるかどうかをチェックすることが必要になる。
「業界ではみんなこうしてます」みたいな非論理的な説明をするコンサルタントは注意した方が良い。論理的に妥当性を証明できてこそ本当のコンサルタントであると考えているので、使う側もぜひそういう論理的な穴がないかチェックすることを意識した方が良い。チェックなんて難しいこと書いているけれど、やり方は至極簡単。「自分にはわからないので、わかるように説明して」と突き返せば良い。それだけ。
コンサルタントもお金をもらって雇われる身。空気を読んで、相手が欲しがっている結論を導きだしてしまうことだってあるかもしれない。そういう状況を避けるためにも、使う側もちゃんとチェックを。
役割:第3者的なチェック機構として
前項で書いた通り、妥当性や論理性を追求することを得意とするので、何かの妥当性や信憑性を評価できない事態が発生している場合は、それを評価する第3者的チェック機構として、コンサルタントを活用するのはひとつの手段だと思う。
何かの事業などを評価したいときに、その評価の妥当性を証明したり、費用対効果を示したりする。世界にはこういうフレームワークはたくさんあるし、コンサルタントはそういうものに精通しているはずなのだから。
役割:組織横断の役割として
縦割り組織というのは、よくありがちな組織の弊害。それが、コンサルタントを入れることで血流を良くなることがある。本来であれば役割として違うのかもしれないが、実態では顧客の部署間の調整を外部の業者が行ったりすることがある。
情報を収集し、加工・編集するのはコンサルタントの得意とする分野だったりする。その特性を活かして、現場からの情報吸い上げや横断的な調整役として利用するのは、ひとつの活用方法としては悪くないと思う。その場合は、「そういうことも期待してますよ」とコソッと伝えておくと、それを意識して動いたりするので、なお良いと思われる。
他にもいろんな使い方があると思う。情報を集めたいときも、呼んで少し話をしてみれば、望んだ情報の触りぐらいは得られるかもしれない。仕事の仕方も独特に見られるので、働き方を一緒に働いて間近で見てみたい、と言われたこともある。
あまりコンサルタントの実態がわからないけれど、単価高い、とか、言ってることが敷居高そう、などで抵抗がある人は、とりあえず少し接触する時間を増やして欲しい、とも思う。呼んでもらって話をするだけなら、お金なんていただきませんよ。
他にもあるかな。とりあえず、今思いつくのはこれぐらい。
あわせてどうぞ。
Ustreamで動画があったので、聞いてみました。基本的にはベーシックインカムの話。
(Ustreamで再検索したら見つけられなかった。。。削除されたかな?)
自分の中では、金持ちに5万円与えても社会にとってインパクトはないけれど、貧しい人が手にした5万円は、その人にとって大きな価値を生むし、それによって社会にとっても利益を生むはず、ということ。
つまり、全体に基礎的なインカムを再分配することが、社会にとっても有効は資源活用になるんだという発想。こういう社会設計を考えられる人、というのは日本にどれくらいいるのかな。でも、こんなに最近ネット上でベーシックインカムの話を聞くと、時代の流れとして社会に受け入れられる日も遠くないのかもな。個人的にはベーシックインカムは賛成。
@assamtea @kuze_takahiro @katsuragawa_m @fuchan_gifu @megumeru とやった勉強会でも話が出たけど、社会全体の生産性を考えれば、本当に生産性をプラスにできているには全体の1割。これは昔から変わらない。これを受け入れて、残りの9割も含めて全体で生活をできる社会、という基盤作りを真剣に求められる時代になる気がするなあ。
あわせてどうぞ。
Ustreamで公開されていたので、拝聴。面白かった。いろいろ考えさせられましたよ。
ソフトバンクの会社説明会の位置づけらしいけど、前半は孫正義社長の生い立ちから今に至るまでの振り返りや、信念の説明。後半は、今後のソフトバンクのビジョンが語られていた。
ちなみに以下のリンクで、全て書き起こされている。
孫正義、【志】を語る。「孫正義 LIVE 2011」書き起こし(その1) | kokumai.jpツイッター総研
思ったことをつらつらと。
冷静と情熱のバランスを考えるとき、最後に情熱が勝つ
これは前々から思っていたことだけど、優秀なリーダーは冷静と情熱のバランスを考えたときに、最終的には強烈な情熱が勝る傾向にある。今回の孫正義LIVE2011でも同じ感想を持った。
食事するときも必ず教科書を左手、左手に教科書、右手で箸とかフォーク。そん時思ったんですけどねえ、一度ゆっくり両目でお皿を見て料理を食べたいな。そしたらどんなにおいしいだろうかな。そんな贅沢ってあるのかな。
と思ったわけですよ。
皆さん食事するとき大概両目でお皿見て食べるでしょ。僕はね、そんな贅沢はなかったんですよ。そんなことはできない。必ず、食事するときも教科書をにらみながら、視野のはしっこにボーッっと見える皿にフォークを突き刺してとりあえず刺さったものを食べる。ときどき胡椒みたいなのがそのまま入ってガーッと叫んだりすることも。
孫正義、【志】を語る。「孫正義 LIVE 2011」書き起こし(その1) | kokumai.jpツイッター総研
これを聞いて「いや、ご飯と勉強を切り分けた方が効率が良いんじゃないの?」とか「ご飯を早く終わらせる方法を考えた方が・・・」とか「箸やフォークを使わない食事を・・・」なんて突っ込みをすることには余り意味がない。
そこまで強い思い込みによって何かの作業に打ち込めるか、ということだと思う。全体を通してみればわかるけれど、冷静な部分ももちろんある。「自分はちょっと世間からするとおかしいと見られるかもな」というような、客観的な目線も持ち合わせている。それでも、最終的には自分の情熱・信念が勝る。
その信念が正しいものであるかどうかは問題ではない。誰でも間違いはあるのだから。ただ、リーダーになろうと思うのならば、少なからず冷静と情熱のバランスを考えたときに、最終的に情熱が勝つような資質が重要だ。(自分にはない。冷静になろうと過ぎる傾向にある。)
日本は第2次産業革命の終焉の時期を迎えている
日本や経済を見る目としても、重要な示唆をしている。イギリスで始まった軽工業に対する第一次産業革命、アメリカを発端として重工業に対する第二次産業革命を経て、今に至る。日本は、この第二次産業革命で製造業を発展させ、日本社会を牽引してきた。
でも、それも終わりを迎えようとしている。講演の中では、「絶対に今後の日本では製造業で発展することはない」ということを述べている。
トヨタや日産、ソニーなどの企業が終わる、という意味ではないが、社会を発展させる役割をその分野だけに担わせるのは限界である、ということを示しているのだろう。強く同感した。
もう言われ尽くしているけれど、製造業などの人が与える付加価値が高くない作業については、低い賃金の方に流れる。それどころか、最近は高度作業でも新興国の企業に流れ始めているくらいだ。
そういう中で、日本社会はどういう付加価値をつけて、アジアや世界の経済の中で生き残っていくかを考えなければいけないんだろうと思う。
2時間ぐらいあるけど、あっという間だね。熱くさせる人だ。ちょっとソフトバンクのファンになったもの。
この本を読むと、会社の仕組みを作るのが上手な人なんだろうな、ということが伺える。いろいろ奇抜に感じる制度が多いけれど、何とも合理的な考えに基づいているのがわかる。
会社にお金を残さないことの合理性
本のタイトルにもある通り、できるだけ内部留保を残さないようにするのが会社のルールなのだそうな。利益が上がったら、社員にボーナスを与え、それでも余ったら値引きして顧客に還元する。
これのどこが合理的か、といえば、会社全体として残る金額の違い。会社の利益には法人税がかかり、従業員の所得には所得税がかかる。この2段階の税を最小にするためには、法人税をゼロにすることが合理的なのだ。
相当単純化したシミュレーション。最終的に社員に残る金額が多くなるのがわかる。
(参考:法定実効税率 – Wikipedia、所得税 – Wikipedia)
目から鱗。税金を支払うことが良いか悪いか、ということではない。制度の中で、いかに社員の満足度を上げるかを考えた末の方法だと思う。
完璧な仕組みはない、という前提に立つこと
いろいろ面白い会社の仕組みが紹介されているけど、その前提は「完璧な仕組みなどない」ということ。それを理解した上で、会社の価値観に賛同できる人が来てくれるのが良いと謳っている。
会社の評価をアバウトに行うと公言することも、評価基準に照らし合わせるよりも、一緒に働いていればおのずと優秀な人はわかる、という考えに基づいているし、全員の力量はやはり差があり、稼ぐ人が稼げない人を養っているのが組織の実態であるが、それを厳密に推し量ることなど現実的ではない、という。
人を評価することは、組織として非常に重要なことだと思うけれど、「何のための評価であるか」ということを改めて考えるべきかな、とも思った。社員のモチベーションを上げること、会社全体に納得感を持たせることが評価の目的であるなら、曖昧な点を残したって大丈夫なんだろうな。
完璧な仕組みではなく、みんなが納得でき、現実的ではないことに力を注がないこと。それが、経営する立場から重要なことなのだ。
重要なのは組織のモラルを醸成すること
メガネ21では、従業員の給料は社内で公開されているし、会社の事業内容などもオープンらしい。隠すのは社員を信頼していないから。信頼すれば、オープンにした方が活発な議論が進む。経営に対する社員のチェックも入る。
情報をオープンにすることと、社員のモラルは組織の両輪である、という表現が本の中であったけど、なるほどと感心する。情報をオープンにする仕組みがあっても、社員にモラルや関心がなければ、情報は何も活用されずに過ぎていく。情報をオープンにすることが経営や行政でよく問われるけれども、それと同じくらい、それを受け取る側のモラルも重要なんだなあ。
社会の中で当たり前と思っていることも、本質を考えればこんなにもユニークで合理的な仕組みができあがるんだと感心した。
MyNewsJapanを立ち上げた経験をもとに、市場原理とやりがいある仕事の両立を説く。普遍的な理論のような話が前半にあって、後半は体験談を追っていく構成。
必要なのは「ビジネスモデル構築力」
これから必要なのは「ビジネスモデル構築力」。激しく同意。NPOやNGOの人と関わっても、こういう意識が醸成されつつあると思う。収益をあげないと組織は継続できないんだから、どういう風にお金を集めて利益を出すか、ということを考えないといけない。
しかも、不況で、閉塞感たっぷりな日本で、現状を壊して新しくビジネスモデルを構築する人材が活躍できる。きっと↓こんなイメージが一般的にはある気がするけど、これをブレイクスルーするようなビジネスモデルだって、描けるんじゃないの?と、この本は主張している。
「気持ち良くお金を払ってもらう仕組み」って言葉があったけど、シンプルで大事な思考だよなあと思う。
広告モデルの危うさ
この本で、広告モデルには一種の危うさがあることを知った。著者の実体験が書かれているが、どれも少なからず広告主の意図と矛盾しないようになっている。あのGoogleでさえ。書かれている内容をどこまで信じるか、ということもあるけれど、テレビやWebや雑誌など、広告収入モデルで成りたっているコンテンツビジネスは、バイアスがかかっている可能性を疑った方が良い、ということを改めて実感した。
GoogleのAdsenseのビジネスモデルは秀逸だと思うけど、そういう仕組みによって、おのずと自分の事業に制約がかかってしまう可能性があることも、今後ビジネスモデルを自分で考える上では参考にしたい。
コンテンツビジネスはデータベース化を考える
本の中では、書いた記事をデータベースとして蓄積して、会員に利用してもらうことが有益みたいなことが書いてあったけど、確かに自分が最近感じていることと重なる。コンテンツビジネスには、「データベースを売る」という概念が重要になっている気がするもの。今後はますます「新しい情報」には価値がなくなって、「誰も知らない情報」か「膨大な知ってる情報の蓄積」のどちらかに大きく触れていく。
市場原理と公共性のバランスについて、数年来何となくもやもやしていた気持ちが、少しは晴れた気がした。
あわせてどうぞ。
以前よりいろんな統計に興味を持つようになった。数値からあぶり出される事実が、意外であり、また確かな根拠があることを教えてくれる。何でもそうだけど、情報があって分析があって、そしてやっと判断ができる。もちろん情報が不足している状態で意思決定をしなきゃいけない場面もあるだろうけど、世の中にはいろんな指標がある。それをもっと活用すれば、面白い結果が出てくるとも思う。
さて、面白いことが書いてあったので、気になることを列挙してみる。いろいろ考え込んでしまったな。
少子化対策ってなんだろうねえ
少子化対策なんてよく言われるけど、何やってるんだろう。この本をみれば、対策が不十分か的を外しているとしか思えないぐらい、低空飛行を続けている。海外も交えていろんな例も出されているけど、制度を変えることで少子化を打開できそうなのは、以下。
・婚外子を認める
フランスがよく例に出される。結婚以外での子どもの権利を認めてあげることで、女性が子どもを中絶する理由は減るかもしれない。ただ、日本社会では結婚⇒出産みたいな流れ以外を「おかしい」と捉える人が多いので、導入してもあまり効果がない気がする。
・母子家庭への補助を増やす
母子家庭になると、相対的貧困率が低い状況に陥りやすいのは、統計からも自明になっている。こういう状況に対して、セーフティネットの構築をすることで、「もし離婚したら」とか「子ども産んだら生活やっていけない」と思う人も、減るのかも。
原理的に考えると、人は不安を覚えると妊娠・出産を控えるそうだ。だから、この国が不安よりも希望が大きく、不安要素を少しでも小さくするような制度設計をすることが、少子化対策になる。
人口は都市部に集中している
この本の中で、一番考え込んでしまったのが、都市部に対する人口集中の統計。
三大都市圏でみれば、東京がひとり勝ち。大阪は数年前から減少気味。名古屋は製造業(トヨタ)の気迫で横ばい。他にも北海道と東北の例があり、県外移動があり、県内でも都市部(仙台とか札幌)に移動しているのが、数値としてはっきり出ている。
こういう結果をみると、人の合理的判断として都市部に集中しているんだろうな、ということがわかる。職業機会も多いだろうし、商業施設が集まれば買い物は便利。医療施設や行政施設も集中していれば、利便性やサービスレベルが向上しているとも思われる。
そういう都市部への集中が起こるときに、どういう街づくりが良い姿なのか、考え込んでしまった。確かに、費用対効果で考えれば極力コンパクトな街であることは望ましい。移動コストや社会基盤インフラの固定費などを、極力小さく保ちながら、市民に提供することが可能になるからだ。
こういう合理的判断をすると、20年後や50年後はどうなるんだろうか。日本は、みんな東京が稼いだお金を分配することで、社会を保っているんだろうか。違う仕組みが必要な気がしてならない。いろんな場所で、経済圏として独立する必要がある気がする。集中と分散。そのバランスを行政はとれるだろうか。
なんか、この本を読んでると、人口は少なくなるわ、地方は疲弊しているわで、気持ちが苦しくなってくる。どうしたもんかねえ。ただ、こういう事実からこそ、何かが見えてくる気もするんだよなあ。