【書評】やりがいある仕事を市場原理で実現する!

やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!
渡邉正裕
光文社
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MyNewsJapanを立ち上げた経験をもとに、市場原理とやりがいある仕事の両立を説く。普遍的な理論のような話が前半にあって、後半は体験談を追っていく構成。

必要なのは「ビジネスモデル構築力」
 
これから必要なのは「ビジネスモデル構築力」。激しく同意。NPOやNGOの人と関わっても、こういう意識が醸成されつつあると思う。収益をあげないと組織は継続できないんだから、どういう風にお金を集めて利益を出すか、ということを考えないといけない。
 
しかも、不況で、閉塞感たっぷりな日本で、現状を壊して新しくビジネスモデルを構築する人材が活躍できる。きっと↓こんなイメージが一般的にはある気がするけど、これをブレイクスルーするようなビジネスモデルだって、描けるんじゃないの?と、この本は主張している。
 

「気持ち良くお金を払ってもらう仕組み」って言葉があったけど、シンプルで大事な思考だよなあと思う。
 
 
広告モデルの危うさ
 
この本で、広告モデルには一種の危うさがあることを知った。著者の実体験が書かれているが、どれも少なからず広告主の意図と矛盾しないようになっている。あのGoogleでさえ。書かれている内容をどこまで信じるか、ということもあるけれど、テレビやWebや雑誌など、広告収入モデルで成りたっているコンテンツビジネスは、バイアスがかかっている可能性を疑った方が良い、ということを改めて実感した。
 
GoogleのAdsenseのビジネスモデルは秀逸だと思うけど、そういう仕組みによって、おのずと自分の事業に制約がかかってしまう可能性があることも、今後ビジネスモデルを自分で考える上では参考にしたい。
 
 
コンテンツビジネスはデータベース化を考える
 
本の中では、書いた記事をデータベースとして蓄積して、会員に利用してもらうことが有益みたいなことが書いてあったけど、確かに自分が最近感じていることと重なる。コンテンツビジネスには、「データベースを売る」という概念が重要になっている気がするもの。今後はますます「新しい情報」には価値がなくなって、「誰も知らない情報」か「膨大な知ってる情報の蓄積」のどちらかに大きく触れていく。
 
 
市場原理と公共性のバランスについて、数年来何となくもやもやしていた気持ちが、少しは晴れた気がした。

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