以前よりいろんな統計に興味を持つようになった。数値からあぶり出される事実が、意外であり、また確かな根拠があることを教えてくれる。何でもそうだけど、情報があって分析があって、そしてやっと判断ができる。もちろん情報が不足している状態で意思決定をしなきゃいけない場面もあるだろうけど、世の中にはいろんな指標がある。それをもっと活用すれば、面白い結果が出てくるとも思う。
さて、面白いことが書いてあったので、気になることを列挙してみる。いろいろ考え込んでしまったな。
少子化対策ってなんだろうねえ
少子化対策なんてよく言われるけど、何やってるんだろう。この本をみれば、対策が不十分か的を外しているとしか思えないぐらい、低空飛行を続けている。海外も交えていろんな例も出されているけど、制度を変えることで少子化を打開できそうなのは、以下。
・婚外子を認める
フランスがよく例に出される。結婚以外での子どもの権利を認めてあげることで、女性が子どもを中絶する理由は減るかもしれない。ただ、日本社会では結婚⇒出産みたいな流れ以外を「おかしい」と捉える人が多いので、導入してもあまり効果がない気がする。
・母子家庭への補助を増やす
母子家庭になると、相対的貧困率が低い状況に陥りやすいのは、統計からも自明になっている。こういう状況に対して、セーフティネットの構築をすることで、「もし離婚したら」とか「子ども産んだら生活やっていけない」と思う人も、減るのかも。
原理的に考えると、人は不安を覚えると妊娠・出産を控えるそうだ。だから、この国が不安よりも希望が大きく、不安要素を少しでも小さくするような制度設計をすることが、少子化対策になる。
人口は都市部に集中している
この本の中で、一番考え込んでしまったのが、都市部に対する人口集中の統計。
三大都市圏でみれば、東京がひとり勝ち。大阪は数年前から減少気味。名古屋は製造業(トヨタ)の気迫で横ばい。他にも北海道と東北の例があり、県外移動があり、県内でも都市部(仙台とか札幌)に移動しているのが、数値としてはっきり出ている。
こういう結果をみると、人の合理的判断として都市部に集中しているんだろうな、ということがわかる。職業機会も多いだろうし、商業施設が集まれば買い物は便利。医療施設や行政施設も集中していれば、利便性やサービスレベルが向上しているとも思われる。
そういう都市部への集中が起こるときに、どういう街づくりが良い姿なのか、考え込んでしまった。確かに、費用対効果で考えれば極力コンパクトな街であることは望ましい。移動コストや社会基盤インフラの固定費などを、極力小さく保ちながら、市民に提供することが可能になるからだ。
こういう合理的判断をすると、20年後や50年後はどうなるんだろうか。日本は、みんな東京が稼いだお金を分配することで、社会を保っているんだろうか。違う仕組みが必要な気がしてならない。いろんな場所で、経済圏として独立する必要がある気がする。集中と分散。そのバランスを行政はとれるだろうか。
なんか、この本を読んでると、人口は少なくなるわ、地方は疲弊しているわで、気持ちが苦しくなってくる。どうしたもんかねえ。ただ、こういう事実からこそ、何かが見えてくる気もするんだよなあ。
「【書評】未来思考」への1件のフィードバック
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読後評:未来思考 10年先を読む「統計力」
久々にアップしておきたい本が出てきたので(ウレシイ!)
と言いつつ、この本を紹介する前に、先により数段 強力な論陣を張る池田 信夫氏の「希望を捨てる勇気」について一言。
読むタイミングがかなり遅れてしまったことと、そして毎日ブログで接触している内容のバ