人口が減少していく日本の地方はどうなるのか

人口減少のネタがいろいろありますが、少し前に買った「2100年、人口3分の1の日本」を読み終えました。

この本を読もうと思ったのは、地方を含めて日本の人口動態が、社会にどう影響を与えていくのか考えるきっかけが欲しかったからでした。

 

日本における人口の過去と未来

日本のすっごい昔の人口

本書にはありませんでしたが、日本の昔からの人口推移を調べたグラフがありました(リンク貼っておきますので、グラフはリンク先のページで見てください)。

図録▽人口の超長期推移(縄文時代から2100年まで)

江戸時代で大きく増えてから、明治維新後に爆発的に増えています。平和であることの重要性や、産業革命の人の生活への影響の大きさがよくわかります。

そして、鎌倉時代とか600万人ぐらいしかいないじゃん。都道府県でいうと、千葉県ぐらいですよ。千葉県に今いる人口が日本全体で、ドンパチやったりしてたって考えると、規模感が違うなーって思えてきますね。

参考:都道府県の人口一覧 – Wikiwand

 

人口減少は良いこと?悪いこと?

そして、未来について考えると、どんどん減少していきます。驚いたのは、かつての日本は人口増加に対する懸念を持っており、抑制することを意図してたということでした。

74年の『人口白書』が推測した2011年を待たず、日本人口は6年前倒しする形で人口減少を実現した。言い換えれば、いま問題となっている人口減少社会への移行は決して「想定外」の出来事ではなく、36年前に見た夢の実現だったわけだ。

 

実際に人口減少を達成したわけですが、「ああ、良かった」という話は全く聞かず、どうやって減少を食い止めるかという話が並んでいるのは、何か不思議です。

人口が増大しすぎると、食料や経済活動におけるエネルギー問題、土地などの居住スペースなどの物理的な問題がフォーカスされます。一方で、人口が減少すると、経済力が低下したり、社会福祉を年代の違いによって支えることが難しいという点が注目されます。要は、増える・減るの問題ではなく、社会環境において「どの程度の人口規模を維持するか」が問題である、ということが本書を読むとわかります。

 

人口が転換するには時間がかかる

もう一つ人口問題を難しくしているのは、人口が転換するには時間がかかるということです。ある程度期間をかけて成長したり減少したりします。それこそここを急激にしてしまうと、一層バランスを崩してしまうという面もあります。かつてのルーマニアにように、人口を増やすために法律で中絶を禁止にするなどを行うと、バランスを失い、社会が混乱するわけです。

そして、日本はゆっくり人口動態が変わっていきました。それは、経済成長と関係もあります。

近代になって経済成長を実現した欧米諸国では、時代と共に死亡率と出生率が下がっていった。近代のはじめまでは出生率・死亡率の両方が高い「多産多死」だったのが、やがて「多産少死」へと移行し、第2次大戦後にはどの国でも「少産少死」の状態となった。この一連の人口動態を「人口転換」と呼ぶ。

 

この流れでいけば、経済成長を達成した日本では今後、劇的に出生率が向上するということはないかもしれません。ただ、もっと生みやすい環境、育てやすい環境を実現する必要はあると思います。さらにいえば、その結果が出てくるのも、数十年後であり、そういう点も踏まえて社会動向を見なければいけないと思うのです。

 

人口が減っていく日本で何が起こるのか

さて、前振りが長くなりましたが、ここからが本題です。実際に、日本社会がどう変化していくのか、という点を考えていこうと思います。その前に、今の日本社会がどういうフェーズなのかをおさえておきます。

 

日本社会は成熟期

いろいろ見方はあると思いますが、本書の中ではこういう箇所がありました。

日本はこれまで数回、人口減少の時代を経験してきた。歴史人口学の視点から見るに、それは気候変動や戦争、災害といった不幸に伴う出来事ではなく、「文明の成熟化」に付随する必然的な歴史現象だった。

 

海外から新しい技術や物産、社会制度が導入されて、新しい文明システムへと転換していく時代が人口増加期であり、それが定着して社会が成熟し、発展の余地がなくなると人口減退の時代になった。

 

これを読むと、日本社会は一定の成熟によって人口が減少期に反転したといえます。それは、新しい技術や社会制度によるアドバンテージがなくなったということでしょう。つまり、今後はこのまま成熟期が長く続くのか、新しい社会制度が登場するのかはわかりませんが、何かを変えるためにはイノベーションや新しい考え方を取り入れていかないと、人口も変わらないということだと思います。

経営思想家の中で、イノベーションの仕組みを解明したクレイトン・クリステンセンが注目されているのも、成熟した世界からさらに成長するためには、新しい何かを生み出さなければいけないという危機感もあるのかもしれません。

参考:過去10年での注目される経営思想家の移り変わり

 

年齢構成が不均衡になる

本書では、人口動態が不均衡を伴う変化をもたらすと書かれています。

まず認識しておきたいのが、今後の日本が体験する人口変動は「減少」だけではない点だ。総人口の規模はもちろん問題なのだが、私たちの将来には、より深刻な課題が控えている。人口の「年齢構成」と「地理的分布」の変化による、不均衡の拡大である。

 

ここでいう年齢構成とは、「生産年齢人口」が減少し、労働生産性が低下していくことを指しています。そのためには、生産性を向上させていくこと、高齢者を労働者に組み込み直すこと、人口を維持するために働きやすくする環境を整備する必要があるでしょう。

いろいろと育児に関する施策が注目されています。ひとつひとつが間違いとは思わないですが、マクロ的にみるとこういう示唆が書かれています。

以上のプロファイル比較から導き出されるのは、「結婚した夫婦の出生行動はほとんど変わっていない」という事実だ。にもかかわらず、顕著な晩婚化と非婚化によって全体の出生率が大きく引き下げられたのである。  この点に注目すると、現在、取り組んでいる次世代育成支援メニューの対象は、子育て中の家族に偏りすぎているように思える。子ども手当の支給や、保育所に入れない待機児童をなくす施策は確かに、「子どもをもつ親」にとって大きな助けになる。安心して子どもを生んで育てられる環境は、子どもをもう一人生むための一歩を踏み出す。

 

どこに向かって施策を行っていくのか、課題はなんなのかを捉えることは重要だなと考えさせられます。

 

これからは地方の時代?

不均衡のもうひとつは、「地理的分布」です。「地方消滅」という言葉が出たように、人口減少によって集落を維持できず撤退しなければならないところが出てきています。

鹿児島県と秋田県のいくつかの地区では、将来的に高齢者だけで生活困難な状況になることが予想される集落について、総世帯の移転を実行している。ダム建設などによる消極的な集団移住とは一線を画すこの移転を、横浜国立大学研究員の林直樹氏は過疎からの「積極的な撤退」と呼んだ。生活を維持するためによりよい環境を求めて集落を再構築するこうした行動は、さらに推進されるべきだろうRead more at location 1190Add a note

 

また、公共インフラは地方ほど維持できなくなってきていきます。

自治体の課題 益々拡大する社会的基盤維持管理費 : アゴラ – ライブドアブログ

ここから想定されるのは、集落の再構築です。広がった地方を、人口減少と合わせて再構築し直す必要が生じているのです。

一方で、違う見方もあります。

歴史的に見ると、過去3回の人口変動の増加局面ではある特定の地域へと人が集中し、文明が成熟して人口が停滞・減少する時代(縄文時代後半、平安~鎌倉時代、江戸時代後半)は集中度が低下する傾向があった。新しい文明がある程度成熟してしまうと、社会を支える技術や制度、人々の生活様式は全国各地に波及する。地方への人口の分散化は、そうした普及に伴って進んだものと考えられる。あるいは、中央地域の政治力や経済力が相対的に低下したことの表れと見ることもできるだろう。

 

これは、ひとつ新しい示唆を与えてくれました。これまで戦後から高度経済成長を通じて実現してきた社会システムは、成熟して新しいフェーズを迎えています。東京への集中度は高い状態ですが、今後はそれが低下していくのかもしれません。本当のところはわかりませんが、新しい文化、制度が求められているのではないかと、確かに感じます。

今後、地方が新しい価値観、新しい制度・文化によって、人をひきつける要素を高めることができれば、地方への回帰は加速していくかもしれません。それは、この記事にある通り、これまでの地方分権とは違う視点が必要になっています。

「東京一極集中をやめろ」というのも幾度と無く叫ばれた言葉です。都市機能を分散移転するとかアイデアはいくらでも出てきますが、東京から奪うという発想事態がイケてません。地方が伸びて、東京以上に魅力的になる方策を独自に考えるのではなく、東京から何かをぶんどろうという発想です。伝統的な地方分権的発想と同じで、権力を地方に戻すという、小さな箱のなかの争いです。

消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。

「地方」に住む自分としては、そういう視点を持たないといけないことを再認識しました。

 

歴史人口学の観点から、未来予測するというのが本書の内容でした。上記以外にもたくさん面白い事実、示唆が含まれていて、目からウロコでした。

Evernoteのデバッグメニュー「データベースの最適化」はもうできなくなりました

Evernoteはノートの数が多くなってくると、結構重たくなってきて、時にフリーズしたりします。それを解消する方法のひとつとして、「データベースの最適化」を行うと良いよって記事を過去に書きました。

Evernote for Windowsが遅くなってきたら、高速する方法があります

この記事について、最近「デバッグモードで開いても、「データベースの最適化」ってメニューが表示されない」という連絡をいただきました。

上記の記事を書いてからPCが変わったりして、最近はあまりフリーズしていなかったこともあったので、改めて確認してみました。すると、確かに表示されません。

evernote

 

「データベースの最適化」メニューは削除されてた!

そして、Evernoteのフォーラムを検索してみたら、確かにWindows版のバージョン5.6から、「データベースの最適化」メニューがなくなっているようです。

[windows] Optimize Database removed from Evernote Windows 5.6 ? – Evernote – Evernote User Forum

そして、「ファイルごとリネームして作りなおす方法」などが挙げられていますが、最終的にはEvernoteのメンバーから回答が出ていました。

Hi everyone,   These are tools designed to help our customer support team trouble shoot specific issues and improve the application. They have been moved for convenience and we do not recommend using them unless instructed by support.    Thanks for noticing the change and all of the continued feedback!

[windows] Optimize Database removed from Evernote Windows 5.6 ? – Evernote – Evernote User Forum

 

要約すれば、トラブルシューティングやアプリ改善のために使う機能で、通常はおすすめしないよってことだそうです。

データベースを最適化するっていう方法は、結構出回っていた裏ワザ的な感じだったのですが、いつの間にか使えなくなってたんですねー。

 

ダウングレードするという荒技があるかも・・・

最新版では削除されているので、であれば古いバージョンに戻せばいいじゃないか!という発想もあると思います。僕は特に最新版で問題が発生していませんのでやりませんが、自己責任で試す場合はこちらに古いバージョンがあります。

Evernote 5.7.1.5586 – 履歴 – FileHippo.com

今のバージョンをアンインストールして、古いバージョンをインストールするだけのようです。

参考:
野良黒 Evernoteの最新版で頻繁にフリーズするので過去バージョンに戻した

 

というわけで、Evernoteで「データベースの最適化」はもう事実上できないよって話でした。

 

非正規雇用比率が高い業界ほど生産性が低いという現実

前回のJINSの記事を書いているときに調べていて面白いと思ったのですが、ちょっと違うネタなので記事を分けて、書こうと思います。

 

非正規雇用が多い業界ほど、生産性が低い?

非正規雇用というのは、右肩上がりで上昇してきていて、2014年では37.9%が非正規雇用の従業員だそうです。

で、JINSに関する記事を書いていたときに、「小売業や飲食業は非正規雇用が多いイメージがあるけど、そういう統計データあるのかな」と思って調べてみたら、ちゃんとありました。厚労省の資料に。

それで、業界別のデータだけでなく、それと生産性との関係がグラフで示されていたんですね。それが以下です。

業界別の非正規雇用率と生産性の関係

引用:第4回 日本の「稼ぐ力」創出研究会 雇用システム改革 事務局説明資料(PDF)

恐らく、BtoC系のビジネスモデルでは、季節変動が大きく発生してしまうため、非正規雇用による柔軟な労働形態が合理的になっているんだと推測します。

ただ、労働条件が正規と非正規で異なることがあり、それが生産性に違うを生んでいるということなんでしょうかね。

 

それが正しいとすると、ユニクロやスタバなど様々な企業が正社員化、雇用の多様化を行っています。それが、やはり自らの生産性向上に寄与すると判断しているのだと思われます。

 

労働市場改革が必要だと随分前から言われていますが、もっと多様な条件で働けるようになると、様々な人が労働市場に参画できるようになるし、全体で生産性も上がるんじゃないでしょうかね。

JINSが平均年収を10%も上げなければいけない理由

[aside type=”normal”] より最新の記事があります
この記事の一年後に、改めてJINSを分析した記事を書きました。よろしければ、そちらもお読みください。 →JINSという企業を改めて分析してみる | Synapse Diary [/aside]

少し前になりますが、メガネで有名なJINSが社員の給与を上げるとして、発表していました。

ジェイアイエヌが、店舗勤務する正社員を対象に11月から年間平均給与を10.2%引き上げる。優秀な人材確保と優れた顧客サービスの提供が狙い。来年度の新卒入社者の初任給は、これまでの20万円から17.5%増の23.5万円に改める。

JINSが店舗社員の平均年収10.2%引き上げへ | Fashionsnap.com

すごいな、業績良いから給料も上げるのかな、と思いきや、そうではありません。

以下のグラフを見てもらえばわかりますが、決して業績が良いわけではありません。逆に、売上の伸びは停滞し、利益率は低下しています。

JINS

端的にいって、苦戦している状況です。今回は、JINSがなぜ業績が優れないのに賃上げする理由を考えたいと思います。

JINSが現在置かれている状況

JINSが躍進してきた理由

JINSが躍進してきた理由は、前述の記事やJINS創業者の著書「振り切る勇気」を読むとよくわかります。簡単に言えば、「価格・提供スピードなどの改革によるユーザー利便性の向上」「機能性を重視した新しいメガネの提案」です。

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そういう中で、SPAによって新しい顧客ニーズをつかむとともに、低価格と新しい機能性あるメガネを提案したことで、これまでメガネを持たなかった人、メガネを複数は買わなかった人を開拓していったのです。

一方で、メガネ市場は縮小してきており、他社も模倣してきます。均一価格、機能性のアピール、低価格など。そうなると、差別優位性が失われていくわけですね。

メガネ業界の状況

メガネ市場はすごい勢いで縮小してきています。10年ちょっとで2/3ぐらいに縮小しています。

90年代後半からメガネ市場の市場規模は非常に早いスピードで縮小している。1996年に約6,000億円あった市場は09年には4,000億円を割り込んだ。

戦略ケース 眼鏡業界の4Pを刷新したJINS2013年) – J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所

そして、JINSはすごいスピードで成長しましたが、メガネ市場のシェア1位はメガネトップ、三城ホールディングスであり、売上的にはまだ差があります。

megane

メガネトップが上場廃止してしまったので、少し比較タイミングが古いのですが、まあそんなにずれていないと思います。

つまり、こういうことです。

  • JINSの売上は停滞気味
  • JINSが築き上げた差別化優位性は失われつつある
  • メガネ市場は縮小しており、他にリーダー企業が存在する

縮小する市場では、有力企業による寡占化が起こります。新しいユーザー層を開拓したJINSではありましたが、競争優位の源泉が変わり、JINSにとって新しいフェーズに突入しているということです。

人材獲得が競争優位性につながる

人件費増大の影響

2014年の決算情報をみると、人件費は71億円になっています。仮にこれが10%増えると、78億円です。プラス7億円ですね。営業利益が29.7億円なので、22億円になってしまいます。26%も下がりますね。

短期で考えると、ただでさえ利益が落ちているので、利益確保したくなります。そこで利益を下げてでも、人件費を上げるというのは、攻めの気持ちが伝わってくるようです。

参考:JINS20148月期決算資料(PDF

急激な出店増に人材が追いつかない

決算資料に書いてありますが、JINS PCでブレークしたものの、出店を急拡大させた影響で、商品開発や店舗オペレーションが追いつかなくなったようです。

この問題を解消しなければ、良い歯車は回りません。寡占化する業界で生き残っていくためには、機能性やファッション性など、新たな購買や買い替え需要を起こすことと、店舗数を拡大していくことが求められます。寡占化によって、これらの競争は激化していくでしょう。

ユニクロやスタバなど、いろんな小売企業が人材獲得競争を繰り広げています。人材をしっかり獲得していくことは、企業の生命線です。

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決算資料でも、来期も業績は微減で予想されています。現状は、企業体制を固める期間という判断なのだと思います。

個人的には、JINS MEMEなど革新的なアイウェアが登場することを期待しています。


[aside type=”normal”] より最新の記事があります
この記事の一年後に、改めてJINSを分析した記事を書きました。よろしければ、そちらもお読みください。 →JINSという企業を改めて分析してみる | Synapse Diary [/aside]

成城石井はなぜローソンに買収されたのか

少し前に、岐阜駅がリニューアルされたときに、成城石井がテナントに入ってきたんですよ。「成城石井がついに岐阜まで来たかー」と、やや驚いたのを覚えています。「都市型の高級スーパー」という印象がありましたから。

ただ、買収騒動があったりでいろいろ賑やかでしたし、出店も着実に伸ばしています。

この本を書いている二〇一四年三月の時点で店舗数は一一二店。一〇年前の二〇〇四年、成城石井は三〇数店舗だった。もっといえば、一九九四年には四店舗しかなかった。これが、わずか二〇年で一〇〇店を超えるスケールになっているのである。

実際に成城石井のHPを見ると、以下の通り出店数が伸びています。

成城石井の出店戦略
(引用:出店戦略 | 事業戦略 | スーパーマーケット成城石井

こんな勢いのある成城石井は、どういうビジネスモデルなのか興味が湧いて、一冊読んでみました。

成城石井の強さの秘密はなにか

企業が強さを発揮する理由はひとつで説明することは難しいのですが、もともと強い要素として調達・製造から小売までの一貫体制がありました。また、最近出店を伸ばしているのは、外部環境として食生活に対する成熟と、出店業態の多様化が挙げられると思います。

調達・製造から小売までの一貫体制

成城石井の品揃えって、独特ですよね。あまり他のスーパーでは見かけない商品が置いてあったりします。これは、自ら商品を選定し、調達・製造する能力が高いことの表れです。

直輸入品の多さは、成城石井が貿易会社を持っていることが大きい。まだ一店舗だった時代から、第三者に任せず、バイヤーが直に世界の商品を探し出し、買い付けてきた。輸入商材にオリジナル商品も加わり、全体の三割が、他ではまず買えない商品になっている。

成城石井は、東京ヨーロッパ貿易という子会社があります。それで、直接調達してるんですね。

また、セントラルキッチンも持っていて、プロのシェフが惣菜を企画したり、手間暇かけて調理しているそうです。ポテトサラダに使うジャガイモでもそう。

「ジャガイモは、皮の真下が一番おいしいんですよ。機械を使うと、そこまで削ってしまうことになります。これでは、味がまるで変わります」

さらに、現場店舗でのオペレーションも優れています。こういう、現場でのオペレーションの工夫・努力が行われています。

「昔から行っていることですが、各店舗には肉の知識を持つ担当者がいまして、お肉は店や仕入元などで熟成させて、一番の食べ頃の状態のときに、お客様に提供します。しっかりしたものを選んでくるだけではなく、食べ頃も見計らっています。それができるだけの目を持っている職人が、成城石井にはいるんです」

他にもあるんですが、要は高い品質と低コストのバランスを維持するために、一貫したオペレーション体制が構築されているってことです。これが成城石井の元来持つ強みですね。

食生活の成熟

最近特に追い風になっている理由として、日本の食生活が成熟してきている点があるんじゃないかと思っています。成城石井にもよく置いてあるワインの消費量を調べてみると、明らかに増大していることがわかります。

ワインの国産消費量の推移
(参考:www.kirin.co.jp/company/data/marketdata/pdf/marketwine2013.pdfから、国税庁のワイン消費量の推移を引用)

本書の中でも「時代が追いついた」という表現がありましたが、当初から高級志向だった成城石井の品揃えやコストパフォーマンスの高さがわかる人が増えた、という要因はあるんじゃないかと思います。

出店業態の多様化

3点目は、出店業態の多様化です。特にエキナカのフォーマットですね。路面店にある、ある程度の広さを必要とするスーパーの業態だけでなく、エキナカでも出店するようになりました。

本書の一部を抜粋すると、こう書いてあります。これはエキナカ店に初めて出店したときのコメントです。

「自分の考え方が大きく変わりました。路面店のスーパーマーケットとは、売れるものがまったく違ったんです。その一方で、それまで成城店をはじめとして、お客様のニーズに応えようと一生懸命に取り組んできたワインやシャンパン、チーズ、総菜といった成城石井独自の品揃えが大きく活きたんです」

路面店とエキナカでは、売れる商品などが異なるし、面積も断然小さいので、オペレーションや陳列方法も変えなければいけません。それらに適用していったことで、出店攻勢をかけられるようになったというわけです。今では、オフィスビルやコンビニ跡地などにも出店できるようになっています。

ローソン買収の狙いはどこにあるか

さてさて、成城石井は最近ローソンに買収されることになりました。この会社は、いくつかの企業に買収されてきており、その過程は本書の中に書かれています。ここでは、本書には触れられていませんが、ローソン買収による効果を考えてみたいと思います。

成城石井のウィークポイントはどこか

ローソンの社長は、成城石井の売り場は維持すると言っていて、調達などのバックヤード側でシナジー効果を出したいと述べています。

まずは、僕らが成城石井を150%理解したうえで、支援するのが大事。『ローソンのスイーツはおいしいから置いて』なんて押し付けるのはよくない。それはダイヤモンドの原石である成城石井の価値を損なう行為だ。(逆に)われわれが学ぶことはたくさんあり、うちのエース級の商品担当を出して勉強させる。
一方でお客様の目に触れない部分で、物流や原材料調達、出店開発などでは貢献できる。成城石井の出店開発部隊は3人ほどだが、ローソンは250人くらいいる。

ローソン、成城石井を買収した真意とは? | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

これが、今の成城石井のウィークポイントが出ていると思うんですね。その前に、今の成城石井の出店エリアを見てみたいと思います。

成城石井の出店エリア

これを見てわかる通り、都市部を中心に限定されています。ここから出店を拡大させていくためには、物流を中心にバックエンド側にスケールメリットが必要になります。インフラも人材も、スケーラビリティが求められるところであり、その点をローソンと集約していくことで、成城石井の出店攻勢を実現できるんじゃないかと思います。

ローソンのメリットはどこになるか

ローソンの狙いがどこにあるのか、という点は、ネットで検索したらすぐにわかりました。なるほどーと思ったのは、ナチュラルローソンの苦戦ぶりです。

同社は女性客層獲得を狙って「ナチュラルローソン」を展開中だが、実質的には失敗している。最初こそ好調だったが、今では当初の勢いを失い、まだ約100店舗で、13年に掲げた「5年間で3000店舗」の目標に遠く及ばない事実がそれを証明している。失敗の理由としては、女性客層向け商品開発力の欠如が指摘されている。今回の買収により、品揃えの豊富さで女性客層から断トツの人気を誇る成城石井の惣菜をローソンやナチュラルローソンにも展開することで、念願の女性客層を呼び込むことも可能になる。

(2ページ目)ローソンの成城石井買収は、吉or凶と出るか?なぜ評価二分?揺れるローソン独立性 | ビジネスジャーナル

ローソンの出店数は、公開されています。

ローソンの出店数

ごめんなさい、グラフにしてもわかりづらい見た目になりました。ざっくりいえば、ローソンは10000店、ローソンストア100が1000店、ナチュラルローソンが100店ぐらいです。一桁ずつ違います。しかも、ナチュラルローソンは2002年の100店から10年以上かけて110店という増加です。さすがに伸び悩みという印象です。

他にも、これを読めば端的にわかると思います。

成城石井を買収するローソンの3つの本音 [マーケティング] All About

いずれにしても、小売のPB比率は上がっていますし、成城石井の商品開発力をプラスに作用させたいと思っているんだと思います。

いやーそれにしても、本を読んで、いろいろ成城石井の商品を買いたくなったわー。

最後に、この記事書くために整理したビジネスモデルキャンパスをのっけておきます。

成城石井のビジネスモデル

iPhoneで英単語を勉強するならこの3つのアプリ

英語を習得するためには、単語を覚えることが重要と言われていますね。単語を知らないと、結局読んでいても聞いていても、詰まってしまうからです。

というわけで、iPhoneで使える英単語学習アプリを紹介。こういう隙間時間でできる単純な作業は、スマホアプリの出番です。そして、最近はユーザーインターフェースが洗練されていたり、ゲーミフィケーションが活用されていて、非常に使いやすくなっています。

 

最後の英単語学習!マジタン~TOEIC・英会話・大学受験英語の単語に~

最後の英単語学習!マジタン〜TOEIC・英会話・大学受験英語の単語に〜 1.0(¥100)
カテゴリ: 教育, ゲーム
販売元: appArray Inc. – appArray Inc.(サイズ: 40 MB)
全てのバージョンの評価: (849件の評価)

iPhoneでの英単語学習を真面目にやらないと、と思って手を出したのがこのアプリです。既に覚えている単語をどんどん消していって、覚えていない単語だけ繰り返しトレーニングできるようになっています。

覚えた単語が積み上がっていく感じが良いですね。

 

さくさく英単語-忘れられない学習法!4600語TOEIC®テスト

さくさく英単語-忘れられない学習法!4600語TOEIC®テスト- 1.1.1(無料)
カテゴリ: 教育, ビジネス
販売元: Ateam Inc. – Ateam Inc.(サイズ: 13 MB)
全てのバージョンの評価: (54件の評価)

これで無料!?と思うほど、UIが洗練されているアプリ。最初にレベルチェックテストがあって、そこからはレベルに応じた単語を覚えているかトレーニングしていきます。覚えが悪いものは短い期間で再度登場するようになっていて、記憶の定着に配慮されています。

あと、テストも何種類も用意されていて、その達成度合いをゲーミフィケーションで感じることができるのも良い設計だと思います。テストをやるほどランクが上がるのは、モチベーションが高まります。

 

mikan

mikan Ver. 1.0(無料)
カテゴリ: 教育
販売元: mikan Co.,Ltd. – mikan Co.,Ltd.(サイズ: 7.7 MB)
全てのバージョンの評価: (503件の評価)

ついに正式リリースされた話題のアプリ。

左右スワイプで高速暗記、1日1000語覚える英単語アプリ「mikan」が、いよいよリリース – TechCrunch

5つの単語を1つのセットにして、覚えている・覚えていないを繰り返すだけのシンプルなアプリ。そして、すぐにテストで記憶の定着をチェックします。「1回5秒見るより、1秒を3回みる方が覚える」というメッセージがアプリにも表示されましたが、とにかく回数を繰り返すことに重点が置かれているアプリです。

どのアプリにも一長一短というか、特徴があります。それぞれ自分の好みで使い分ければ良いんじゃないでしょうか。僕は、今はmikanが多いですね。やはり1回あたりの勉強時間が短く済ますことができるので、勉強にストレスを感じにくいことが最大の理由です。

Googleの新しいメールアプリ「Inbox」は僕らの生活をどう変えるか

Gmailに代わる革新アプリきたー。

これまでGmailのインターフェースを、Priority Inboxを導入したり、PromotionやSociailで分類したタブを導入したりして少しずつ改善してきていましたが、新たに「Inbox」というサービスが発表されました。inboxは招待制なので、申し込んで少し日数が経って使えるようになりました。

inboxの説明は、動画をみるのがてっとり早いです。

 

で、いろいろ面白いというか、今後のメールアプリが見えましたよ!

 

モバイルで扱いやすく

僕は最近Mailboxをお気に入りで使ってました。Mailboxの特徴は、以下の記事で書きました。

iPhoneアプリ「Mailbox」は本当にメールゼロにできる

Gmailにもモバイルアプリがありましたが、UIがモバイルでは使いづらく、Mailboxの方が断然UIがイケてました。しかし今回、Googleが従来のGmailとは異なるアプリを投入してきて、スワイプで操作しやすいインターフェースになっています。右にスワイプしたらアーカイブ、左にスワイプしたらスヌーズというルールは、Mailboxと同じです。

これで、モバイルでもGmailが扱いやすくなりました。Mailboxの方がシンプルな気はしますが、それでもInboxはだいぶモバイルにフィットさせてきたなって思いました。

これによって、Mailboxがどう対抗してくるのか、楽しみですねー。

 

無駄な時間をなくして、より素早く

メールボックスには腐るほどたくさんのメールが日々送られてくるわけですが、本当に役立つのは限られています。Inboxでは、そういうものに埋もれないように、Gmail側で勝手に分類してくれます。PromotionとかSocialとか。そうなると、Promotionに分類されるメールをまとめてアーカイブする、とかできるのです。

この分類のことをBundleと呼んでいるのですが、Bundleごとに通知する/しないも設定できます。これによって、自分が気にするBundleだけスマホのプッシュ通知で素早く気づくことができます。

自動で分類する、分類されたメールを処理する、というのは新しいメールボックスの形かもしれません。結構快適です。

あと、inboxによってスパムというかプロモーションメールを大量に送りつけるのは、どんどん割りに合わなくなってくるんじゃないかと思われます。Googleは検索でもなんでも、「よりユーザーに役立つ情報を提供する」ように進化しています。膨大で役に立たないメールはGoogleの敵なのです。スパムフィルタは高度化されてますし、自動分類もそういうひとつでしょう。今後は役に立たないメールは、どんどんユーザーの目に触れなくなっていくと思われます。

 

便利な情報を自動で付加する

先ほど紹介したBundleには、TravelやFinanceという分類もあります。Travelでは、ホテルの予約確認メールを受け取ると、住所を読み取って地図リンクを自動で表示してくれます。つまり、メールの内容を読み取って、自動で役立つ情報を付加してくれるのです。

これによって、より一層ユーザーの行動に近い形にすることになります。これは、メールサービスとして付加価値になるでしょう。メールを分析し、膨大な情報とマッチングさせる点で、Googleならではという感じがします。

 

さてさて。最初はMailboxの方が結局便利だろうなーと思って、実験的に使い始めましたが、上記のような理由で結構良い感じで使い続けております。

メールというのは結構古いツールになってきていますが、今でも大きなコミュニケーション手段であることに変わりはありません。そして、モバイルが普及してきて、新たな付加価値を提供しなければならない、という考えがGoogleにはあるのでしょう。

 

参考:
What Google’s new Inbox app means for email marketers

電子書籍時代の読書術

読書術の本は、何冊か読んできましたが、そのたびにいろいろ考えさせられるので、結構好きです。本をいかに自分の身にしていく、発見していくことができる気がしています。

今回読んだのは、かの有名な齋藤孝さんの「大人の読書全技術」。

 

これ読むと、本にいっぱいマーカーするようになります。笑

 

昔読んだ本は、自分にどのような感動を与えただろう

最近、昔読んだ本を棚から引っ張りだしたのですが、内容もポイントも全く思い出せませんでした。自分が目的を持って読めていなかった、単純に面白くなかったなど、いくつか理由があるかもしれませんが、なんか残念な気持ちになったんですよね。「ここまで覚えていなかったんだ」って。

この本では、いくつか読み方が提示されているのですが、個人的にはもっと読書している間の感性を磨きたいなって思いました。つまり、こういうことです。

とにかく最初は、ここはまあおもしろい、ここもおもしろいと、自分がおもしろいと感じるところに丸をつけていきましょう。まずは客観的視点などはさておき、自分のセンスだけで読み進めていくのです。

引っかかったところを、どんどんマークしていくことで、「何が引っかかっているのか」っていう理由を自分で考えるきっかけを作っていくのが重要かなと。

というわけで、改めて読書する時間を有意義にしようと心を新たにした次第です。

 

電子書籍時代の読書術

ところで、僕は電子書籍をたくさん読むようになっているのですが、この本を読んで改めて、電子書籍時代の読書術ってなんだろうなって考えました。紙と何か違うのかなって。

正直、この本では電子書籍についてはやや否定的なニュアンスで書かれています。

電子書籍では読んだ印象が薄くなり、浅い読み方しかできなということにもつながります。

こういう感じですね。理由としては、もっともな感じでもあるんですが、

実は、紙の本を読むとき、一ページ、二ページと、ページを繰りながら読んでいくことがモチベーションを高めています。 あるいは、実際に手にとることでこれは二〇〇ページの一つのまとまったものだと認識しているものです。だからこそ、ラストを目指して読む気にもなるのです。

という風に書かれています。

また、「ネットで「効く」コピー」という本でも、ディスプレイで読む場合は流し読む傾向があると述べられています。自分の実体験としてもそういう感覚があります。正確には、よほどじっくり読むという意識がない限り、流し読みしてしまうということです。

 

ただ、個人的にはInstapaperとかPocketという「あとで読む」サービスも一定の需要がありますし、電子書籍の利用者は確実に増えていることを考えると、ネットやディスプレイで読むものは「全て流し読み」と決めつけるのは違うなって思ってます。だってじっくり読む場合もあるし。

僕の場合、紙の本で読むことは大きく減っていて、ほとんど電子書籍になってます。確かに紙のように全体のボリュームを強く意識したり、前後ろをいったりきたりすることはやりづらいですが、電子書籍のアプリではマーキングをつけることもコメントを書き込むことも手軽にできます。さらにKindleだと、あとでそれをサイト上からまとめて確認することもできます。

Amazon Kindle: Welcome

なので、必ずしも「紙の本の方が効率的・効果的に読める」とは言い切れないんじゃないの?と思うのです。

 

紙も電子書籍もそれぞれ「読書術」がある

読書そのものは、気軽で様々な読み方があるわけで、それを効率的・効果的に読もうとするのが「読書術」です。紙と電子で多少なりとも違いはありますが、それぞれに効率的・効果的に読む術があると思うわけです。

たとえば、電子書籍アプリを使いこなし、マーキングしたりコメントしたり、それを後から眺めて編集したりするというのは、ある種のテクニックですし。

僕も電子書籍を読み始めたときは違和感を覚えましたし、すぐに電子書籍に移ったわけではありませんでしたが、慣れれば快適になります。紙とは違う利便性があるのは間違いありません。近いうちに「電子書籍時代の読書術」的な本が登場するんじゃないですかね。笑

 

今は電子書籍が増えていく過渡期ですし、紙の本がなくなることはないと思いますが、電子書籍だって全然良いじゃん!と思いました。ITリテラシーを高めれば、電子書籍だって良い読書体験になるはずです。

WordPressで目次をつけると、モバイル直帰率が改善するよ

今日は、久々にWordpressネタです。

ブログでもホームページでも、滞在時間を伸ばしたり(長く閲覧してもらったり)、直帰率を下げたり(訪問したら2ページ、3ページ見てもらったり)してもらうことで、できるだけ訪問してもらった人にとって価値がある内容にしたいはずです。

そして、内容も当然重要ですが、小さな改善を積み重ねることで効果を出していくことが、Webサイトの醍醐味でもあります。

そんな中で、こういう記事を見つけました。

平均ページ滞在時間を218%増やしたWordPressプラグインTable of Contents Plus

目次を掲載することで、モバイルの滞在時間が増えたとのことです。

 

Webサイトを読む人の大半は「斜め読み」

なんで目次を付けることで、モバイルの滞在時間が改善したのかってことですが、今のWebサイトの読み方と関係があると思っています。それは、ほとんどの人は見出しを中心に斜め読みしているってことです。

自分もそうですが、じっくり読むのなんて少なくて、ほとんどはざっとスクロールして、目につくキーワードや見出しで記事の内容を推測しています。だから、じっくり読んでもらう前提でコンテンツ作るのが本当に正解なのか?ということは、Webサイトをつくる上では考えなければいけません。

だから、目次、見出し、要約を付けておくことが、斜め読みでざっと通りすぎていく人たちにも情報を届けられる可能性が高まるのです。そういえば、livedoorニュースも各記事の冒頭に要約を表示してますね。

ライブドアニュース(livedoor ニュース)

 

参考: スマホ時代に「全文読まなきゃ理解できない」コンテンツは失敗する

 

自動で目次挿入するプラグイン「Table of Contents Plus」でモバイルの結果が改善した!

もうすっかり有名だと思いますが、「Table of Contents Plus」というプラグインを使って、記事に自動で目次が挿入できるようにしました。

何個以上見出しがあるときは目的を表示する、とか、番号のスタイルとか結構細かいところまで設定できます。

で、実際にこのプラグインを導入して効果測定したら、モバイルの平均セッション時間と直帰率が改善しました。わずかですけどね。この結果は、2週間強計測した結果です。

table of contets plus

ただ、見てわかると思いますが、改善しているのはモバイルトラフィックだけで、全体としては低下しています。この違いはなんなんでしょうね?

 

目次を付けるのはPCユーザーには良くない?

この数字を見れば、平均セッション時間や直帰率が悪化しているので、目次をみてすぐに帰る人の割合が増えたんじゃないかと推測されます。

ただ、目次というのはすぐに記事の全体像を把握する効果があります。そこで思いついたのが、「あとで読む」サービスの存在です。記事の目次をみて、あとで読もうと思ったらPocketやInstapaperなどに送るんじゃないか、と。

というわけで、久々にPocketのPublisher画面にアクセスしましたよ。

Pocket for Publishers: Dashboard

これでみると、値が好転していました。ただ、最大の難点はPocketのPublisherの指標がえらくわかりづらいこと。。。。本当に向上しているのかどうかは、自信が全く持てません。

ただ、モバイルは好転するのがわかりましたし、個別の記事でみると、PCで閲覧されていても特に劇的に下がっているような傾向は見られません。なので、しばらく目次を表示させたまま様子を見ようと思います。

 

ちなみに、「Table of Contents Plus」を設置すると、検索時にも目次が表示されるようです。

検索時のCTRへの影響は?プラグイン「Table of Contents Plus」によって生成される見出しリンクの話

WordPressユーザーは、ぜひ一度お試しあれ。

ニュースを「よりわかる」ためにbyus(バイアス)を読もう

ニュース系のアプリやサービスが乱立している昨今ですが、僕は最近「byus(バイアス)」というニュースメディアをよく読んでます。

 

byus(バイアス)とは

バイアスのミッションはこうなってます(コーポレートサイトをStrilinglyで作ってるってのは、ベンチャーっぽいですなあ)。

今や誰もがTwitterやブログ等で簡単に情報発信をできるようになりました。 しかし同時に、情報が溢れ、GoogleやTwitterで得られる情報は、 声の大きいマスメディアや自分の嗜好に合った情報がほとんどです。   世界には声の小さい、事実を知る当事者や、 自分にはない視点を持った人が多くいます。   byusは、そうした世界中の声や情報を 繋げていくニュースメディアです。

byus&co. on Strikingly

簡単にいえば、ニュースを起点にして、質問と回答のやりとりをできるようにするプラットフォームです。実際にサイトをのぞいてもらえればわかるでしょう。

[byus]「わからない」をなくすニュースメディア
[browser-shot url=”http://byus.me/” width=”600″ height=”450″]

 

「そもそも」の意味を理解させてくれるメディア

特徴的なのは、ニュースの背景になっている事柄や、より突っ込んだ話、そもそもみたいな視点が語られていることです。例えば、最近発表された「LINE pay」については、こういう質問が投稿されています。

Q.ユーザ同士の送金は決済法的に大丈夫なんですか? [byus]「わからない」をなくすニュースメディア

資金決済法というマニアックな話ですが、それに対してとても丁寧に解説されています。

あと、検索したらもう見つからなかったですが、御嶽山の噴火が起こったときに「心肺停止の人が●●人」という表現がメディアでされていて気になっていたんですが、それについても質問と回答がありました。

こういう感じで、ニュースを「より深く」理解させてくれるんですよね。通常のメディアは文字数や時間という制約があるので、あまり丁寧にバックグラウンドや派生事項をフォローしてくれません。なので、自分で日頃から勉強したりして理解力を高めているんだと思いますが、結構限界があります。

 

「池上彰ブーム」はなぜ起こったか?

これ、何かに似てるなーと思ったら、「池上彰ブーム」と同じだと思ったんですよね。池上さんって、ニュースの背景にある現代史をわかりやすく説明することで、今のニュースを「よりわかる」状態にしています。

知ってる人には大したことない事柄なんだと思いますが、ちゃんと理解していない(=表面的にわかったつもりになっている人)がたくさんいるってことです。「わかったつもり」と「よりわかる」の違いについては、以下の記事をぜひ読んでください。

読解力を高めたい!同じ文章を読んでも、深く読み取れる人は何が違うのか?

現代史というのは歴史でもあまり多くの時間を割いていませんが、現在起こっている事柄と直接つながっていることが多く、それらを知ると、今のニュースが「よりわかる」ことになるわけです。何かの本で、「現代史を説明する人がいないので、自分がやればチャンス」と池上さんが言っていた気がします。だから、現代史に関する報道や書籍が多いんですね。

 

 

というわけで、より深く理解できるメディアとしてbyusは面白いポジションだと思います。他のニューススタンドも特徴を出してきていますので、ニュース界隈はまだまだ面白そうですねー。