AKB48と乃木坂46からマーケティング戦略を学ぶ

最近、アイドルではAKB48ではなく坂道シリーズ(乃木坂46、欅坂46)の露出が多くなっているようです。

テレビCM激減の「AKB48」 業界は「乃木坂46」「欅坂46」シフト (デイリー新潮) – Yahoo!ニュース

確かに、最近はAKBより乃木坂や欅坂を見ることが多かったかもしれません(もともとあまりテレビ見ないですが)。

グーグルトレンドで、「AKB48」と「乃木坂46」の2つを比較して見ました。5年間の推移です。

見事に5年で検索ボリュームが逆転してます。ただ、AKB48のボリューム自体が減少してきている、という見方もできますが。
(AKBの方が繰り返し一時的に検索ボリュームが増えていますが、これはおそらく総選挙でしょうね。)

ビジネスでは、消費者に飽きられるのが一番恐ろしいことです。メンバーの入れ替えをしながらも、全然違うグループを立ち上げて、違うコンテンツを用意している、ということですね。

ちなみに、こちらが乃木坂46と欅坂46のGoogleトレンドです。

今は乃木坂46を露出させつつ、欅坂46というコンテンツも育ててるって感じですかね。

というわけで、一つのコンテンツの成功に酔いしれるのではなく、市場が変化し、消費者に飽きられる前に、別のコンテンツを育てておきましょう。

 

最近アマゾンプライムでこちらの映画を見ました。実話をベースにしたもので、感動話ではあるのですが、淡々と進む感じが逆に好感を持てました。

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LINEの営業利益率はネット企業としては低くないですか?

LINEの四半期決算が発表されました。

LINE79月期の営業利益18.8%増 パフォーマンス型広告の伸びが成長けん引ログミーファイナンス

これを読んだ感想としては、「営業利益率が低いな」ということです。10%程度しかありません。さらに、その前は営業利益率がマイナスでした。

ネット系の企業は営業利益率が高いのが一般的なイメージとしてあります。ほとんど原価がかからないのが特徴だからです。例えばYahoo!はアスクルを買収して下がってきていますが、それでも20%あります。

クックパッドも少し落ちてきていますが、それでも30%です。

それと比べると、LINEの営業利益率は低いんですよね。なぜでしょう。

それを理解するには、LINEの事業モデルを理解しておく必要があります。LINEの営業費用の構造を見てみましょう。決算発表資料から抜粋します。

人件費が多いのはわかるのですが、目につくのは「決済手数料及びライセンス料」というのもそれなりの比率を占めています。

201712月期第3四半期決算説明会(PDF

これはなんだろうと調べていると、上場時の報告資料にその記載がありました。抜粋します。

スマーフォトンデバイス上での課金による決済手数料やIP保有者に対するロイヤルティが増加し、また、事業規模拡大に伴う従業員数の増加及び株式報酬費用により人件費が増加したほか、

新規上場申請のための有価証券報告書(PDF

LINEスタンプなど、LINE上のマーケットで売買されるコンテンツの決済やライセンスの費用が結構な比率を占めている、ということですね。

3番目に多い費用が「認証及びその他のサービス費用」です。昨年度から大きく増えています。こちらについては、決算発表でコメントがありました。

認証及びその他のサービス費用は前年同期比で81.7パーセント、前四半期比で13.1パーセント増加しました。認証及びその他のサービス費用のうち、LINEモバイルの契約者数増加に伴うインフラ関連コストがおよそ20パーセントを占めています。 またLINE NEWSサービス拡大に伴うコンテンツ関連費用も増加しました。その他の営業外費用は前年同期比で34.9パーセント。前四半期比で5.8パーセント増加しました。

LINE79月期の営業利益18.8%増 パフォーマンス型広告の伸びが成長けん引ログミーファイナンス

LINEモバイルやLINEニュースで費用が増加しているようです。

LINEはプラットフォームとして利益を上げていくので、スタンプなどの事業は利益より集客・利用向上のために必要になってるということですね。逆に言えば、それ以外の売上・利益拡大が重要ですね。

ちなみに、LINE Payを使っています。ポイント還元率も高くて、銀行オートチャージも使えるので便利です。銀行に預けるより良いと思いますね。

LINE Pay

楽天とヤフーショッピングの流通総額を比較してみた

ECサイトが今後どうなっていくのかを把握するために、主要なECサイトがどの程度の規模になっているのかを調べてみました。

ECサイトの規模を見るなら、「流通総額」を見ます。そのプラットフォームでどれぐらい取引額が発生したかをみる数字です。

ECサイトとして大きなメジャーはやはり楽天、Amazon . Yahoo!ショッピングの3つでしょう。

この中でアマゾンは日本だけの流通総額を正式には発表しておらず、楽天やYahoo!とモデルが違う(楽天・ヤフーショッピングは店舗型)なので、今回は除外しました。そのため迎えは楽天とYahoo!ショッピングの2つを比較したいと思います。IR資料で公開されている数字から作成しました。その結果がこちら。


(両社IR資料から作成。単位は兆円。)

ヤフーショッピングについては、ヤフオクとアスクルは除いた数字です。

結果を見ると、楽天の方が流通総額が大きいのがわかりますね。直近の2016年の数字を見ると、ヤフーショッピングの流通総額は、楽天の約4分の1です。

ただ、「eコマース革命」を掲げたヤフーは、ここ3年で大きく伸びてきています。2012年〜2014年はあまり大きくは伸びていませんでしたが、2015年、2016年と明らかに伸びが生じています。さらに、IR資料を見るとヤフーショッピングを今後も投資すると明言しています。

ということで、現時点では流通総額で見ると楽天が圧勝です。しかし、まだ大きな差はあるもののヤフーショッピングも大きく成長しており、今後もその伸びは期待できるでしょう。

さらに言えば、EC市場の流通総額自体が全体で向上しているので、ECサイト全体が伸びていくことも十分期待できます。

今日は以上です。今後の石サイトの展開を考えている方に参考になれば幸いです。

楽天やヤフーショッピングなどのECサイトについては、こちらの本でも分析されているので、興味ある方はぜひ一読してください。

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「いきなり!ステーキ」を展開するPFSが絶好調。その要因と今後を考える

「いきなり!ステーキ」のニュースを見かけたので、情報をアップデートしておこうと思いました。

今年8月に東証1部に2部からわずか3カ月でスピード昇格したペッパーフードサービス(PFS)が展開するステーキ店チェーン「いきなり!ステーキ」の勢いが止まらない。1号店を銀座4丁目にオープンした平成25年12月以来、牛肉の塊を客の目の前で切り分ける注文方法や、グラム単位の手頃な価格設定が受け、客足を伸ばし続けている。

引用:「いきなり!ステーキ」来年、いきなり店舗倍増計画 社長の強気戦略の成否は? (産経新聞) – Yahoo!ニュース 

内容を読む限り、非常に好調な内容になっています。

以前書いた記事はこちら。約2年前に書いていますね。

[kanren postid=”4232″]

ペッパーフードサービスの業績を確認

2年前に書いた記事では、都市部の出店が落ち着いてきており、郊外型にシフトしつつある状況でした。売上の伸びも少しずつ鈍化していくんじゃないかと予測していましたが・・・

すごい伸びてました!

四半期で見てみても非常に好調です。

利益率が低いのは飲食業の特徴ですね。

ペッパーフードサービスの事業セグメント

ペッパーフードサービスは、4つの事業で構成されています。しかし、主に「ペッパーフード」と「いきなり!ステーキ」の2つが柱になっています。以下が各セグメントの売上高です。

PFS_セグメント別売上高

2016年上期では、「いきなり!ステーキ」は60%超になっていましたが、2017年上期は70%を超えています。「ペッパーフード」も伸びていますが、やはり「いきなり!ステーキ」の成長の伸びがすごいですね。

営業利益も見てみると、

PFS_セグメント別営業利益

こちらの方が発見があります。2016年上期では「ペッパーフード」の方が営業利益の割合は大きかったのが、2017年上期では「いきなり!ステーキ」が伸びて、60%を超えています。つまり、売上も伸びているんですが、同時に営業利益も大きくなっているんですよね。

売上高については、客数×単価の数字をみると、単価はほぼ横ばいで、客数が高い数値になっています。

利益率も上昇しているということは、オペレーションも改善しているということでしょう。

今後の展開

これだけ勢いがあるので、出店攻勢をかけていきます。ペッパーランチをみると、直営店よりFC店の方が多いのですが、いきなり!ステーキは比率が逆転しています。

今後は、FC店を活用しながら店舗数を拡大していくのだと思われます。最近、幸楽苑がいきなり!ステーキのFC店になるというニュースもありましたからね。

幸楽苑が「いきなり!ステーキ」…FC業態転換 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

出店数が伸びているものの、飲食業界にまだ規模が大きい企業はたくさんいます。こちらのランキングを見る限りでは、ペッパーフードサービスは上位50社にも入っていないようです。

飲食業界売上高ランキング一覧業界動向サーチ

ただ、売上高としてはこのランキングの下の方に追いつくぐらいになってきていますので、市場としては成長余力があるんじゃないかと思います。(ちなみに、先ほどの幸楽苑の方が売上高としては上です。)

野村総合研究所(NRI)の業績を10年以上分析した

昔分析した野村総研の記事が、今でも結構アクセスされるんですよね。ただ最後に書いたのが2015年と古くなってきたので、久々に情報アップデートしようと思います。

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各セグメントごとの業績推移

2001年から2017年までのセグメント別売上高を確認しました。

NRI セグメント別売上高

まず全体として。多少の波はあるものの、順調に成長していますね。売上の伸びが一度止まっているのが2008年です。リーマンショックがあった年ですね。後述しますが、野村総研は金融と製造に対して強い企業なので、特に金融などの影響を受けたと思われます。

次に、セグメントごとの傾向も見ていきます。もう一度グラフを見てください。

NRI セグメント別売上高

注意していただきたいのは2009年と2010年でセグメントの分類が変わってきていることです。2009年以前に関しては、最新のセグメントに合わせてプロットし直しているので、分類が異なるかもしれません。参考程度に見てください。

これを俯瞰して見えるのは、売上高として1番稼いでるのは金融ITソリューションであると言うことです。野村総研は金融系に強いというのがよくわかります。もともとは野村証券のITシステムを対象にビジネスとして始まったので、成り立ちから考えると、当然とも思います。

それ以外でも、全体からの比率では小さいですが、コンサルティングが着実に増えていますね。IR資料でもコンサルティングが先頭に書いてありますので、このあたりを注力分野と位置付けて、投資家にもアピールしてる意図かもしれません。

こうやって見ると、セグメントごとには大きなトレンドや変化があると言う感じではなく、それぞれのセグメントで少しずつ成長を積み重ねて今があるという状況でしょうか。

ITビジネスは、一件あたりの規模が比較的大きく、期間も長いです。なので獲得できれば安定的にビジネスを回ることができますが、失注するとダメージも大きくなります。最新の決算説明会も動画で確認しましたが、大型の失注なども発生しているようです。

他のSIerとの比較

比較しやすいSIerの業績数字を見てみます。こちらが売上高の比較です。

SIer売上高

NTTデータの数字が突出しており、野村総研はNTTデータ以外では上のあたりです。

続いて営業利益率。

SIer営業利益率

こちらだと、野村総研は高い営業利益率を確保しています。

他社との比較や、野村総研自体の堅調な成長を考えると、参入障壁が築けており、コンペティターに行けない独自性を確立していると言えるのではないでしょうか。

最近のITを取り巻くトレンドがよくわかるIR資料

ということで、数字だけを見てもあまり今後の状況は予測しづらかったのでIR資料も少し読んでみました。そのIR資料が、今後のITトレンドを把握するのにとても理解しやすかったので、いくつかポイントをピックアップしたいと思います。

コーポレートITからビジネスITへ

既存の業務をIT化して生産性を上げると時代は既に終わっており、あまり広がらないビジネスになっています。野村総研ではそれをコーポレートITと呼んでおり、ビジネスを拡大するITをビジネスITと呼んでいました。

2017年3月期決算および2018年3月期業績見通し
(IR資料より)

コーポレートITはいわゆるコストセンターとして捉えられ、いかにコストを削減し投資対効果を高めるかが重要になります。一方のビジネスITはプロフィットセンターになります。今後はビジネスITへのシフトが重要と認識されているのです。

これとCIOとCTOの機能分化が説明されており、個人的にはこの関係図が非常に頭をスッキリさせてくれました。


(IR資料より)

システムを最適化させるCIOではなく、ビジネス変革を行うCTOという役割の方が注目されている、というわけですね。

コーポレートITはアウトソーシング拡大

じゃあコーポレートITの部分については今後は見込めないかというとちょっと違っていて、ここについては企業としてもあまり抱えていても仕方がないので、積極的にアウトソースする領域になっています。そのためアウトソースの範囲が拡大しているんですね。

野村総研の場合は、包括的なITパートナーとしてグループまるごとのITインフラを共通化したり様々な取り組みを一緒に行っていく関係を築くことでビジネス領域を広げる期待があるようです。


(IR資料より)

ということで、経営環境としては追い風のようです。移り変わりが早いのはITビジネスであり、気づくとすぐに既存のビジネスモデルは陳腐化しています。「自社の競争優位性を高めて、参入障壁を確保する」というこれまでの路線を踏襲しつつ、トレンドを読み、新しい領域に投資しながら、売り上げを拡大させていくという方向性はしっかり持っているのだと確認できました。

エニグモのテイクレートを調べて、ECサイトとしての強さを検証してみた

少し前にエニグモに関する記事を書きました。

Buymaを展開するエニグモのビジネスを分析してみた

書いた後、「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」で、ECサイトのひとつのKPIにテイクレートがある、ということを思い出したので、調べてみました。

テイクレートとは、総取扱高に対する売上高の割合を指します。マーケットプレイス型のECサイトでは、総取扱高を増やしながら、その中で自社の収益をどれほど確保するかが重要になるので、この割合を見るのですね。

エニグモのテイクレートは?

さっそく計算してみましょう。2017年度の第2四半期の数字を使います。

  • 取扱高:166.7億円
  • 売上高:19.2億円
  • テイクレート:11.5%

テイクレートが11.5%と出ました。この数字が高いのか低いのかを判断するため、他のECサイトの数字と比較してみましょう。前述の「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」に計算された数字があるので、それを引用します。

  • アメリカ:10%弱
  • 日本:7%~8.5%程度
  • 中国:3%程度

本を読めばわかりますが、それぞれビジネスモデル商慣習が違い、その結果からテイクレートも決まってきているので、単純な比較には注意が必要です。

この数字をみてみると、エニグモのテイクレートは、相対的に高い数値であることがわかります。それだけ、このプラットフォームに魅力があり、高い独自性を誇っている証拠とも言えるんじゃないでしょうか。

ただし逆に言えば、今後テイクレートを上げていくのは難しいのではないかと思うのです。つまり、今高いテイクレートをいろんな施策で維持しつつ、総取扱高を増やしていくかがポイントになると考えます。

この本は、決算資料を読んでみたいという人には本当おすすめです。

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鎌倉新書にみる、新しいプラットフォームのあり方

鎌倉新書という企業をご存知でしょうか。久しぶりに面白い企業を見つけたので、書いておきたいと思います。

株式会社鎌倉新書
株式会社鎌倉新書

ビジネスモデル

鎌倉新書という名前から、出版系かなと連想しますが、実態はだいぶ違います。Wikipediaから引用しますが、

1984年、清水憲二が豊島区に仏壇仏具業界向け書籍の出版を事業目的として設立。2000年には供養業界初の葬祭会社情報検索ポータルサイト「いい葬儀」開設。その後は「いいお墓」「いい仏壇」など多数の供養関連サイトを開設、運営。供養業者向けだけでなく一般向けセミナーも随時開催している。

引用:鎌倉新書 – Wikipedia 

「ライフエンディングサービス事業」として、葬儀社や仏壇、お墓などのライフエンディングに関わるポータルサイトの展開がメインになります。

収益モデルとしては、ECプラットフォームと同じになり、事業者とユーザーをマッチングさせるタイプで、事業者からの成約報酬が売上高になります。出店料や広告料はなく、完全成果報酬型になっています。

鎌倉新書_ビジネスモデル
(鎌倉新書のIR資料より)

つまり、いかに成約件数とその単価を増やすかがビジネスのポイントになります。そのためにも、プラットフォーム型のビジネスは、認知度を高め、事業者とユーザをプラットフォームに集めることが重要になりますね。

業績

売上高に関しては、過去5年で順調に伸ばしています。利益率もなかなか良い状況です。

鎌倉新書 通期業績

四半期業績に関しても見てみましょう。こちらについても売上高を堅調に伸ばしているように見えますが、利益率が若干低下していました。直近は回復しています。

鎌倉新書 四半期業績

ただし、今は成長期にあり、人材確保等の投資も行っていると言う説明がありますので、利益率の低下はあまり気にしなくても良いのかもしれません。

IR資料では、各事業の詳細なKPIも掲載されています。ウェブサービスとしてはお墓、葬儀、仏壇の順番で売上高が大きくなっています。

各事業のKPIとして、紹介数・単価・成約率が挙げられています。紹介数や成約率はどれもほぼ右肩あがりのように見えますが、単価だけがちょっと下がって受ける傾向に見えるのは気になるところです。以下は、お墓事業の例ですね。

LE事業1部(お墓事業)の状況
(鎌倉新書のIR資料より)

この単価の下落がどういう傾向を示しているのかは、この数字だけではちょっとよくわかりません。葬式等は家族葬が増えているなど小規模化が進んでおり、あまりお金をかけない傾向はあるのかもしれません。

関東圏では従来の一般葬(参列者が31人以上)が34%にまで減っている。逆に、一般葬より規模がぐっと小さい家族葬(密葬とほぼ同義、参列者30人以下、同32%)や1日葬(1日だけの葬儀、同11%)、直葬(葬儀を実施せず火葬のみ、同22%)が台頭している。

引用:“青山葬儀所離れ”にみる「現代葬式考」 – 日経トレンディネット今後の見通し

追い風となる外的要因が3つあります。1つは、都市化が進みこれまでの血縁や地縁等から選択されることが少なくなってきていることです。これはマッチングを主とするポータルサイトにとってプラスになります。

社会的背景(都市化)と鎌倉新書の役割
(鎌倉新書のIR資料より)

次に死亡者数は増加していく傾向にあるということです。人口動態は1番予測が固いものだと言われており、今の人口動態から予測すると、2040年までは死亡者数が増加するようになっています。

紹介数増加の背景①
(鎌倉新書のIR資料より)

最後にネット利用の増加です。いろんなサービスがネットを経由して利用されていくと言われており、様々なサービスのネット対応が重要になっています。鎌倉新書はポータルサイトをいち早く立ち上げ、この領域を今後広げていくことを考えていくとこのでも追い風になるでしょう。

紹介数増加の背景②
(鎌倉新書のIR資料より)

Yahoo!と提携してトラフィックを大きくする取り組みも行っていますね。

オーダーメイドの葬儀と全国のお墓・霊園のご紹介 – Yahoo!エンディング

また、ビジネスモデル自体として考えた場合にも、今は成果報酬型のみになっていますが、今後変化する可能性も考えられます。あくまで推測になりますが、かつての楽天は出店料のみにしていましたが、その後取引手数料や広告料をとるように変化しています。プラットフォームとしての魅力が高まってきたら、収益機会を増やす方向も考えられます。(そこまで市場が大きくなるのか、あるいは葬儀等の商材がそのようなモデルに合うのかはわかりませんが。)

さらに、先ほど挙げたように家族葬など簡素な葬式を好んであり、価値観が多様化する中でどういう風にビジネスモデルをブラッシュアップしていくのかという点は注目しておくべきかなと思います。

その辺については、新しいサービスを独自で立ち上げるなどの対応が進んでいる部分もあるように見えますので、こういう取り組みが売り上げや利益にどのように還元されていくのかを見ていくべきでしょう。

「偲び足りない」は自宅葬で解消? 面白法人カヤック×鎌倉新書が語る、新しい葬儀のあり方ログミー

先日のエニグモでも見たように、特定領域のプラットフォームというのは、業界事情などに合わせて作りこんでいくことで、参入障壁を高くすることができます。鎌倉新書の場合、葬儀社等の会社に販売サポートを行っていますので、こういう業界特有事情などを考慮した販売サポートなどは、真似しづらいノウハウになるでしょう。

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このように、これまであまりネットを経由して購買される対象になりづらかった商材が、対象になってきています。全体のEC化率はまだ伸びる傾向にあり、特定の領域の専門知識と組み合わせながら、プラットフォーム化される事例というのは今後もまだあるのかな、と思いました。

Amazon定期おトク便で家の消耗品管理を劇的に楽にしよう

最近生活の効率を上げるために、アマゾン定期おトク便を活用するようにしました。

Amazon定期おトク便 – 通販 | Amazon.co.jp

使ってみて、なぜこれまでちゃんと利用してこなかったんだろうと少し悔やんでいます。それほどに便利ですね。

 

家にある消耗品の在庫管理が面倒

ティッシュやトイレットペーパーなど、家では毎日の生活に使う消耗品がたくさんあると思います。こういうものって在庫管理がすごいめんどくさくないですか?

まず、家にどれだけあるかわからない(確認が面倒)。いざないと気づいたときに、急いで買いにいくのが面倒。こういうのを繰り返すたびに、いろいろ生産性が落ちていると思っていました。

なくなったのは気づいたときに、早めにアマゾンで注文するように最近はしていたのですが、ふと定期便を利用すればもっと楽になるんじゃないかと思い、家の中の消耗品をAmazon定期おトク便に切り替えています。

Amazon定期おトク便 – 通販 | Amazon.co.jp

 

Amazon定期おトク便で生活環境を構築する

Amazon定期おトク便の対象になっている商品であれば、購買頻度は1ヶ月から6ヶ月までの範囲で月単位で指定できます。なので1ヵ月以上持つようにある程度多めに買う必要があります。

また、計算通りに行くがない時もありますし、最初は購買頻度がよくわからない時もあるでしょう。その時は定期便の管理画面から、適宜購買頻度を変えていけば大丈夫です。

たくさん定期便の対象にすると、さらに追加で5%の割引が発生します。

こうすることで、定期的に必要な消耗品が家に配達されるので、生活用品の在庫をあまり意識せずに済むようになります。

 

購買行動から考えても合理的

Amazon定期おトク便の対象になっているのは、低関与商材と呼ばれるものです。自分でこだわりがなく、購買に時間をかけない傾向にあるのが特徴です。

低関与商材とは 意味/解説 – シマウマ用語集

なので、事前に入念に調べたりたくさん比較をして買うようなものでは無いのです。だいたいは買い物の「ついで」に、棚にあるものから安いものとか、なんとなく選んだものを買ってるのではないでしょうか。そして、特に不満がなければ使い続けていると思います。

そういうものについては、特定の製品を自動で開続けられるように仕組み化してしまった方が合理的ではないかと思うのです。

時間は有限です。こういうことを仕組み化して、有意義な時間を喪失したいものです。

大げさだと思うかもしれませんが、人間の思考能力にはエネルギーの限界があります。決断の数を減らすのは、重要なのです。

世界の成功者たちが「毎日同じ服を着る」興味深い理由 | 笑うメディア クレイジー

ということで、生活にかける労力を削減して、自分の時間とエネルギーを有意義に使いましょう。

 

「年間報酬3000万円超えが10年続く コンサルタントの経営数字の教科書」という本を読みました。このシリーズも3冊目ですが、ここで紹介されている「お金のブロックパズル」というのがとても刺激的で、いろいろ経営数字を考えながら、実態の理解を深めるのに役立つアプローチだと感心しました。経営数字をざっくり把握しながら考えたい人には、ぜひおすすめです。

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Buymaを展開するエニグモのビジネスを分析してみた

今日は、エニグモという会社を見てみたいと思います。

株式会社エニグモ | 世界が変わる流れをつくる。
エニグモ

ビジネスモデル

エニグモは、ソーシャルコマース事業とメディア事業の2つで構成されています。事業は2つあるものの、その9割位はソーシャルコマース事業であるバイマから創出されています。

BUYMA.com 世界中のパーソナルショッパーから海外通販ソーシャルショッピングサイト
BUYMA.com 世界中のパーソナルショッパーから海外通販 ソーシャルショッピングサイト

メイン事業であるバイマについては、利用したことがない人は以下の動画を見ていただくとわかりやすいのですが、簡単にいえばインポートファッションブランド商品に特化した、CtoCのプラットフォームと捉えれば良いのかなあと思います。

海外通販としては独立した地位を築いており、顕著な成長してきたのだと思われます。

バイマの売り上げは、プラットフォーム間での売買手数料になります。メディア事業に関しては広告収入ですね。

エニグモ事業構成
(IR資料より)

業績

こちらが、過去5年間のエニグモの売上高と営業利益率の推移です。ずっと売り上げは右肩上がりで、利益率も多少の凹凸あるものの、高い状態を維持しています。

エニグモ売上高

四半期で見ると期末に売り上げが上がったものの直近は、少し利益率が低下していることがわかります。

エニグモ四半期業績

利益が低下した分については、最近の決算発表資料でこのように説明されています。

エニグモ営業利益の差異分析
(IR資料より)

ここから分かる事は、バイマの事業に関しては利益が増えているものの、先行投資が営業利益の増加分を超えるほど行われていることで低下させています。また、メディア事業に関しても利益を減少を引き起こしているようです。

実際の販管費はこちらです。

エニグモ販管費

数字の比率で言えば人件費が一番大きく、増加比率も三番目に大きい数字になっています。それ以外に広告費や本社移転の費用も増加していることがわかりますね。

先行投資については以前から計画として予定していたものになるので、売り上げが予想以上に伸びなかったみるのが良いかと思います。

売上=総取扱高が伸び悩んだ理由は、ユーザーのアクティブ率の低下であり、そのアクティブ率の低下は、魅力ある商品のトレンドを見誤り、用意できなかったことだと分析されています。

ちなみに、この決算発表によって、エニグモの株価は大きく下落しました。

今後の見通し

今後の見通しについてはバイマ中心に考えますが、まずプラットフォームとしての市場規模を考察してみたいと思います。バイマの総取扱高は、400億円に届くかどうか、という規模です。

一方で統計データによると、BtoCのEC市場の中で衣服等の規模は、1.5兆円ほどあります。

EC化率

(経済産業省:平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査))

衣服等のEC化率は他のジャンルに比べて少し低めで、11%ほどになっています。

バイマがBtoCなの?という疑問もあると思います。僕自身も、統計データとしてはどっちなのかな?と思いました。なので、CtoCも見ておきましょう。統計データでは明確にフィットしそうな数字が見当たりませんでしたが、フリマアプリの市場が3000億円程度のようです。

いずれにしても、数千億~数兆円の規模は全体としてありそうです。そのうちのどれだけが、バイマの対象となるインポートブランドの市場なのかはわかりませんが。この場合、注目すべきはEC化率で、他のジャンルに比べてEC化率が低いことから、まだ伸びる余地があるという点でしょう。

また、競合との比較についても考えてみたいと思います。直接の競合というわけではないかもしれませんが、衣服のEコマースとして、ZOZOTOWNを手掛けるスタートトゥデイを選びました。

売上高比較

営業利益率比較

グラフを見るとわかりますが、売上高に関してはスタートトゥデイが大きくなっていますし、成長率も高くなっています。利益率で見ればエニグモも全然負けていないどころか、高い状態を維持しています。

ここから考えるのは、やはりインポートブランドの市場というのは、全体からみればある程度限定的な市場であり、ZOZOTOWNのようなオールジャンルの企業と直接比較するものではないかもな、ということです。

バイマは海外の様々なところにパーソナルショッパーを確保しており、プラットフォームとしては独自の地位を獲得していると思っていますが、今後の成長という意味だと、国内に限らず海外への展開が肝になってきます。実際、エニグモはバイマの海外展開もスタートさせています。

まとめ

エニグモは、バイマというインポートブランド商品に特化したCtoC市場を確立することで、成長してきました。プラットフォームの成長に合わせてユーザーや品ぞろえが拡大し、よりプラットフォームを拡充させようとしています。

短期的に利益が落ち込んだようですが、当面という意味では大きな懸念はないようです。また、長期的な成長という観点では、バイマの海外展開やバイマ以外の儲けどころなどを作ろうとしている段階といったところでしょうか。

Eコマース市場は群雄割拠な状況です。こうやって調べてみて、その中でここまで成長させているのはすごいなーと思いました。

【書評】投資される経営 売買(うりかい)される経営

あなたが投資家、あるいは経営者であるならば、この本はおすすめです。

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なぜなら、本書は経営者と投資家が互いを理解し、よりより経営や市場を形成することを目的とした本だからです。

 

経営者は投資家や市場とどう向き合うべきか?

日本市場においては、経営者と投資家はお互い理解することが難しいと思われています。

投資家は、短期思考から長期指向まで様々なトレーダーがいて、それによって株価は大きく変動します。経営者はそれらに縛られて市場から評価を受けることになります。

しかし経営者からすれば、自社のビジネスをどこまで理解しているのか疑問に思うこともあるでしょうし、短期の売買の材料にされると言うのは歯がゆく感じるところもあるでしょう。

本書の素晴らしいところは、投資家がどういう行動原理にあるのかを、ビジネスモデルから紐解いた上で、経営者と投資家はどう付き合うべきかを明確にしたところです。

 

本書では、投資家は「付加価値が薄い」仕事であると述べています。

やや振りかぶった議論になりますが、投資という事業にはどういった特性があるのでしょうか? 運用業界で働く人間は高収入というイメージがあるため、一般に付加価値の高い事業と思われているかもしれません。でも私は言葉の本来的な意味において、投資という事業は付加価値が薄いと考えています。

その理由として、投じたお金に対して儲かる利幅が薄く、大きなお金を動かす必要があるというものです。

「金融業はレバレッジが効くから儲かる」とはよく言われることですが、私からすると論理が逆転しています。少人数で大きな金額を動かさないと、まるで儲からない商売だからレバレッジをかける、かけなければ成り立たない。それが付加価値の薄い投資業の「宿命」だということなのです。

(それ以外にも、いくつか投資家というビジネスモデルについて書かれていますがここでは省略します。)

そこからさらに、投資家がなぜ短期志向になってしまいがちなのか、という論理構成が続きます。投資家という職業だけでなく、市場全体の構造的問題も含まれていることが理解できました。

 

日本の利益率の低さとコーポレートガバナンス

以前、「生涯投資家」を読んだときも書かれていましたが、日本は市場全体でみると、企業の利益率が欧米に比べて低くなっています。

【書評】生涯投資家

 

本書でもこのように書かれています。

日本企業の長期のROE水準は、欧米企業と比べると低いことは間違いありません。ざっくり言って半分程度の水準です。

(略)

日本企業のROEが低い理由は明らかです。ここで見られるように事業マージン、つまり「本業で利益を上げる力」が弱く、欧米企業の半分程度しかないことにあるのです。

伊藤レポートは、そのような問題点から、経営者と投資家が「高質な対話」を行うことで、中長期的に日本企業のROE向上を図ろうという狙いで策定されています。

伊藤レポート「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト「最終報告書」を公表します(METI/経済産業省)

では、どうすればいいのか?ということも考える必要がありますし、その処方箋は本に書いてあるのでぜひ読んでもらえればと思います。ここで書いておくのは、「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠教授の「長めの解説」の一節です。

しかし、ここで見た3つの市場の関係は短期的にはトレードオフでも、長期的にはそうでもありません。むしろ3者の間に好循環を生み出す「トレードオン」になり得ます。即座に解決できる特効薬はなくても、「時間が薬」ということです。この問題に限らず、長い目で見れば、人の世の対立問題は時間軸を長くとることによって解決できることが少なくありません。だからこそ、経営は長期利益をゴールとする必要があるのです。

3つの市場というのは、資本市場(株主)、競争市場(顧客)、労働市場(従業員)の3つを指しています。

企業というのは、あらゆるトレードオフを調整しながら進めていくことだということをMBAで学びましたが、それも時間軸によって考え方は変わるということですね。そのような視点を持つことで、投資する側も、経営する側も、雇われる側も、良い付き合い方ができるんじゃないでしょうか。

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最近、タイプミスが多かったので、キーボードを買い換えました。ワイヤレスで、タブレットなどにも使えることを考慮して、こちらにしました。今のところ快適です。日々使う道具はやはり細かいところも含めて使い勝手が重要だなと思った次第です。

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