あなたが投資家、あるいは経営者であるならば、この本はおすすめです。
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なぜなら、本書は経営者と投資家が互いを理解し、よりより経営や市場を形成することを目的とした本だからです。
経営者は投資家や市場とどう向き合うべきか?
日本市場においては、経営者と投資家はお互い理解することが難しいと思われています。
投資家は、短期思考から長期指向まで様々なトレーダーがいて、それによって株価は大きく変動します。経営者はそれらに縛られて市場から評価を受けることになります。
しかし経営者からすれば、自社のビジネスをどこまで理解しているのか疑問に思うこともあるでしょうし、短期の売買の材料にされると言うのは歯がゆく感じるところもあるでしょう。
本書の素晴らしいところは、投資家がどういう行動原理にあるのかを、ビジネスモデルから紐解いた上で、経営者と投資家はどう付き合うべきかを明確にしたところです。
本書では、投資家は「付加価値が薄い」仕事であると述べています。
やや振りかぶった議論になりますが、投資という事業にはどういった特性があるのでしょうか? 運用業界で働く人間は高収入というイメージがあるため、一般に付加価値の高い事業と思われているかもしれません。でも私は言葉の本来的な意味において、投資という事業は付加価値が薄いと考えています。
その理由として、投じたお金に対して儲かる利幅が薄く、大きなお金を動かす必要があるというものです。
「金融業はレバレッジが効くから儲かる」とはよく言われることですが、私からすると論理が逆転しています。少人数で大きな金額を動かさないと、まるで儲からない商売だからレバレッジをかける、かけなければ成り立たない。それが付加価値の薄い投資業の「宿命」だということなのです。
(それ以外にも、いくつか投資家というビジネスモデルについて書かれていますがここでは省略します。)
そこからさらに、投資家がなぜ短期志向になってしまいがちなのか、という論理構成が続きます。投資家という職業だけでなく、市場全体の構造的問題も含まれていることが理解できました。
日本の利益率の低さとコーポレートガバナンス
以前、「生涯投資家」を読んだときも書かれていましたが、日本は市場全体でみると、企業の利益率が欧米に比べて低くなっています。
本書でもこのように書かれています。
日本企業の長期のROE水準は、欧米企業と比べると低いことは間違いありません。ざっくり言って半分程度の水準です。
(略)
日本企業のROEが低い理由は明らかです。ここで見られるように事業マージン、つまり「本業で利益を上げる力」が弱く、欧米企業の半分程度しかないことにあるのです。
伊藤レポートは、そのような問題点から、経営者と投資家が「高質な対話」を行うことで、中長期的に日本企業のROE向上を図ろうという狙いで策定されています。
伊藤レポート「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト「最終報告書」を公表します(METI/経済産業省)
では、どうすればいいのか?ということも考える必要がありますし、その処方箋は本に書いてあるのでぜひ読んでもらえればと思います。ここで書いておくのは、「ストーリーとしての競争戦略」で有名な楠教授の「長めの解説」の一節です。
しかし、ここで見た3つの市場の関係は短期的にはトレードオフでも、長期的にはそうでもありません。むしろ3者の間に好循環を生み出す「トレードオン」になり得ます。即座に解決できる特効薬はなくても、「時間が薬」ということです。この問題に限らず、長い目で見れば、人の世の対立問題は時間軸を長くとることによって解決できることが少なくありません。だからこそ、経営は長期利益をゴールとする必要があるのです。
3つの市場というのは、資本市場(株主)、競争市場(顧客)、労働市場(従業員)の3つを指しています。
企業というのは、あらゆるトレードオフを調整しながら進めていくことだということをMBAで学びましたが、それも時間軸によって考え方は変わるということですね。そのような視点を持つことで、投資する側も、経営する側も、雇われる側も、良い付き合い方ができるんじゃないでしょうか。
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最近、タイプミスが多かったので、キーボードを買い換えました。ワイヤレスで、タブレットなどにも使えることを考慮して、こちらにしました。今のところ快適です。日々使う道具はやはり細かいところも含めて使い勝手が重要だなと思った次第です。
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