東京スカイツリーと東京タワー

最近、昔書いたスカイツリーに関する記事へのアクセスが急に増えた。スカイツリー開業記念だろう。まさかこのブログでそんなことが起こるなんて思ってもなかった。

東京スカイツリー建設の目的 | Synapse Diary

東京スカイツリー建設の目的 | Synapse Diary

 

それはそうと、東京スカイツリーと東京タワーについて気になる記事をいくつか貼っておく。

 

まずは今後の東京タワーに関する記事。東京タワーは東京タワーで、自分の存在価値を今後も模索することになる。

 しかし、「移行後もテレビ6局は、災害などでツリーから電波が送れない場合の予備電波塔としてタワーを利用する契約になっている」と、東京タワーを運営する日本電波塔。テレビ以外でも東京タワーの役割は大きく、ラジオのFM各局のほか、大地震の際に東京駅を中心とした100キロ圏内を走るJR東日本の列車を緊急停止させる信号を出す「防護無線用アンテナ」、東京都環境局の大気汚染調査用測定機器も取り付けられている。
東京タワーはどうなる? スカイツリーと「共存共栄」目指す+(1/2ページ) – MSN産経ニュース

 

次はニューズウィークから。これを読むと、イメージが先行して、お金が生まれるイベントを起こしたかったということなんだろうか。

「スカイツリーを作らず、東京タワーに新しいアンテナを取り付けるという手もあった」と、上海在住で、東京に暮らした経験のあるフランス人通信アナリストは言う。「複数の高層ビルの屋上を使い、アンテナ群を設置してもよかった。スカイツリーの建設プロジェクトは、公式には電波塔利用が目的だとされているが、それだけではないと思う。イメージの問題だろう。オリンピック招致のようなものだ」
スカイツリーは東京衰退のシンボルだ | 東京に住む外国人によるリレーコラム | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

Wikipediaも結構面白い。大店法みたいな地域の商店街への影響も生じてますよ、と。

東京スカイツリーができることにより多くの観光客が当地を訪れ、地元の商業が活性化することが期待できる。しかし、テナントを募集する際は地元の商店を優先したものの家賃が高いことから(墨田区の坪単価は1万前後だが、スカイツリーは3 – 5万)1軒も入らないことに決まった[119]。結果、東京スカイツリーには大規模な商業施設が併設され、短期的に見ると地元商店街を圧迫するおそれが大きい[116]。
東京スカイツリー – Wikipedia

 

 

最後はこれ。相当シニカル。

「ありがとう、スカイツリー」 一日限りの夢舞台、解体始まる

「ありがとう、スカイツリー」 一日限りの夢舞台、解体始まる

地方新聞のシェアの高さに驚く

日本全体でみると、地方新聞のシェアって高いんだなあ。

地方における地方新聞の普及率は大手紙を寄せ付けない。ABC協会のデータによれば、47都道府県のうち、実に8割近い37道府県で地方紙が全国紙を圧倒しているのだ。徳島新聞、鳥取県の日本海新聞、福井県の福井新聞が、県内シェア75%を超える御三家だ。その三県では全国紙5大紙が束になっても半分にも満たない。
大阪維新で地方新聞の時代が来る! : アゴラ – ライブドアブログ

日本全体でどんどん人口は減っていくし、ネットメディアも広がっていくから、旧メディアである新聞は今後の生き残りが難しいんだと思ってた。というか今でも思っている。それでも、ローカルなニュースというのは確実にニーズがある。イベントなど地元の交流を促したり、市役所公務員の不正を報道することで公権力の監視を行う部分で意味がある。

 

ここらへんを見ると、人口減少によって新聞の発行部数が減少しているのは間違いないのだが、人口減少よりも減少幅が大きい。普及世帯数で見ると、明らかに新聞を購読しない世帯が増えている。

存亡の機を迎えた新聞(1)

存亡の機を迎えた新聞(1)

新聞の収益構造としても、新聞そのものの販売収入はあまり変わっておらず、広告収入が減少していることが影響が大きいようだ。新しい収益モデルが求められている。

 

全国紙はテレビやラジオなどメディアの複合体によって体力をつけて生き残るのだと思うが、こんな状況でローカルメディアというのは、生き残る方法があるんだろうか。地方に住んでいて、地元の情報がうまく入手できなくなったら、どういう社会になるんだろうか。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ

ふいに、パワポ資料を早く作るためのテクニック的なものを纏めておこうと思った。参考にしたい人はどうぞ。

[memo title=”MEMO”]

この記事を更新した最新版を書きました。よろしければこちらをどうぞ。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ(2018年版)

[/memo]

<心構え編>

いきなり書き始めない

まず重要なのはこれ。パワポ資料は、頭の中がまとまっていない状態で書くのが一番よくない。どういう内容をスライドに落としこむかが、全体構成を踏まえてイメージできていないといけない。それらが頭である程度描き出されるまでは、Wordなどの文章でちゃんと内容を検討したり、手書きでスケッチを行う方が良い。

ただ、最近はそれだけでもダメで、最初にラフで固めたら、書いてみてしっくりこなければまた文章の構成だけに戻るっていう、スライドとテキストを交互に考えるパターンも自分の中で出てきた。細かいところは、自分がやりやすいやり方でどうぞ。

<準備編>

準備編の目的は、いかに資料の「再利用率」を向上させるか、という点に尽きる。

素材集をつくる

自分でよく使うクリップアートや図形などの素材集を、予め別ファイルで用意しておく。人物とかオフィス用品とか、使いたいクリップアートとか、Web上で入手した無料のものとか、後で簡単に取り出せるようにしておくと、作業が早くなる。

よく使うフォーマットはテンプレート化する

提案書とか報告書とか、決まった形式にできるものはテンプレート化しておく。あるいは、自分で説明しやすいパターン(現状→問題→解決策みたいな)があれば、そういうのをテンプレート化しておくのも良いと思う。

フォント・色使いを決めておく

これもテンプレート化しておくことと近いのだけれど、フォントを何にするとか、ベース色を決めておくとか、デザインに関する要素のパターンを決めておくと、作るときに毎回悩まなくて楽。おのずと統一感も生まれるし。タイトルの位置とかもね。

<操作編>

ショートカットを覚える

シンプルだけと、ショートカットを覚えておくと作業も早くなる。といっても、あんまり知ってるわけじゃないけど。Ctrl+SとかCtrl+Cなんかの基本的なところに加えて、パワポを作るとき特有で、自分がよく使うのは次の2つ。

Ctrl+D
オブジェクトのコピーと貼付け(Ctrl+CとCtrl+Vのコピペより早い)
Alt+H+G+A+(?)
図形を揃えるショートカット(後述)

図形をそろえる機能

複数のオブジェクトが規則正しく揃えると、見た目がきれいな資料を早く作れる。これが微妙にずれていると、気持ち悪く感じたりする。

(実例)

こういう、上下が微妙にずれているのが、何とも気持ち悪い。。。。

で、図形を揃えるためにはショートカットを覚えておくと早い。上で紹介した通り、Alt+H+G+A+(?)の組合せで実現できる。(単にツールバーのショートカットキーを順番に押しているだけ。)

最後の(?)は揃える位置で決まる。

C(Center)
横方向の中央揃え
M(Middle)
縦方向の中央揃え
L(Left)
左揃え
R(Right)
右揃え
T(Top)
上揃え
B(Bottom)
下揃え

最初はイライラするけど、何回かやれば覚えられる。そして、覚えた後はスピードが上がるのが自分でわかる。ショートカットの魅力ってそこだと思うな。

 

あとは、たくさん良いデザインを見ることかな。そして、実践を繰り返すのみ。

プレゼン資料デザインサンプル集 / Maka-Veli .com
FREEパワーポイントテンプレート31サイトまとめ – NAVER まとめ
Browse all our PPT Templates

自分もまだまだだから、もっと腕を磨きたい。他にも良いテクニックがあれば、ぜひ誰か教えて欲しい。

 

TEDが字幕付きダウンロードに対応していた

昔、TEDの動画を字幕付きでダウンロード/保存するって記事を書いたんだけど、知らない間にTEDのWebサイトで手っ取り早く字幕付きでダウンロードできるようになってましたよって話。

動画下にある「Download」ボタンを押すと、以下の画面が出てくる。

「Subtitle」が表示されるようになっていて、字幕付きでダウンロードできるようになってました。

 

これ、すごい便利。最近TEDから遠ざかっていたけど、久々にいろいろダウンロードして見るか。こんなまとめもあったし。

これだけは観ておきたい!あなたの価値観を変えるTED動画ジャンル別まとめ – NAVER まとめ

これだけは観ておきたい!あなたの価値観を変えるTED動画ジャンル別まとめ – NAVER まとめ

ただ、日本語字幕を表示できても、ダウンロードするときにSubtitleでJapaneseを選べるとは限らないみたい。動画によるようだ。その理由は不明だけど。

 

ついでに、TEDをみやすい環境にするために、iPod touchにスマートプレイリストつくった。

まあ、大したことじゃないんだけど、iPodに入れたTED動画で未視聴のものをピックアップするリスト。これで、見てない動画も忘れずにいられる。(TEDはダウンロードしてiTunesに取り込むとPodcastに分類される。)

 

個人的にはTEDの中ではこれが好きです。論理がわかりやすく、そして秀逸。これを初めてみたときは衝撃だった。

サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか | TED Talk

PCでの作業用BGMを充実させる

PCで集中して作業しようと思うときは、音楽を聴くんだが、いくつかネタをまとめておく。

まずはこれ。本当たくさんのジャンルで、作業用BGMが纏められているので、ここから適当にピックアップして流しておくだけでも良い感じになる。

 

【作業BGM】本気で作業したい人のために – NAVER まとめ

 

紹介されているものがたくさんあるけど、例えばこのあたり。心地よい気分で作業に集中できる。

 

あと、YouTubeからミュージックビデオをピックアップしてくれるサービスもある。どちらのサービスもすごい操作性の面でも使いやすいし、どういうロジックなのかわからないけどうまくミュージックビデオを抽出してくれるので、流しっぱなしで作業もできる。

君のラジオ
Music Video Awesomeness. – Musictonic

他にもここらへんとか。両方とも合法とのこと。ただ、音楽ビジネスはライセンスがセンシティブで、急にサービス停止になることもあるけどなあ。

 

Grooveshark – Listen to Free Music Online – Internet Radio – Free MP3 Streaming

(説明:無料の音楽ストリーミングサイト「Grooveshark」知らない人は損をしている(イケダハヤト) – BLOGOS(ブロゴス)

 

8tracks | Handcrafted internet radio | The best free music playlists online

(説明:8tracks:伸び続ける「合法的Muxtape」

 

手元にiPodとか音楽がなくても、ネットさえつながっていれば、良質な音楽に囲まれて作業を進めることができる。なんて素晴らしい時代なんだろう。

 

こういうネット上で知った音楽で、実際買ってしまうものもある。購買動機の形成のされ方も、僕が子どもの頃から大きく変わったなと改めて実感する。音楽の本質的な価値の源泉は「ライブ」に戻っていると言われているし、FREEでもそう書かれていたが、確かにその通りなのだと思う。

さあ、今日も音楽を聴いて作業でもするか。

年齢を重ねると細かいことは誰も注意してくれない

昔親に、「会社に入ったら、どんなに辛くても不合理なことがあっても3年は続けろ。そうすれば見えてくるものがある。」と言われた。実際に同じ会社で3年は過ぎたわけだが、確かに見えてくるものは経験とともに変わってくる。

ただ、最近気づいたのはその逆のことで、年齢を重ねると、新人の頃に教えてもらったような基礎的なことは誰も教えてくれなくなる、ということだ。例えば、日本語文章の「てにをは」や、挨拶の仕方など、それ以外の各種業務の「基本のキ」と言われるようなことは、自分が十分に行き届いていなくても、教えてくれなくなる。注意してくれなくなるのだ。

誰も教えてくれなくなる理由

理由はいくつかあるが、一番シンプルな理由としては「できて当然」だからだ。働く以上は、年齢とともに経験値を上げ、コストパフォーマンスを上げることが求められる。だから、年齢が上がればそれ相応のコストパフォーマンスが当然のレベルになるし、今更基本的なことを教えるなんて、ありえない。

次に、研修にはコストがかかる。教える時間、それを準備する時間。その分作業効率は落ちる。最初に入社してから数年経てば企業としては人材に対する投資時期を終え、収穫時期に入る。いつまでも研修なんてしてられない。

あとは心情的な問題。組織上偉い立場になると、基本的なことを誰かが指摘するのは結構勇気がいる。プライドを汚すことになるし、余計な軋轢を生まないためにも、そっとしておくことが合理的な行動になる。

自分に基本ができていなかったらどうする

というわけで、経験を重ねるといろんなことを誰かから受動的に教わることは難しくなっていく。これを解決するためにはどうすれば良いだろうか。

受動的に教わることが難しい、ということは逆に自分から学ぶ姿勢を作る必要があるということだと思う。自分で気づく機会を作って、自分で学習して、実践していく。誰かが積極的に教えてくれる時期は過ぎたのだから、自分から学んでいかないとダメなんだろうな。

あと、プライドも自分の中で整理しないといけないかもしれない。プライドは自信を持って仕事をしていく上では重要だと思うんだけど、時に逆効果というか、変に持ってしまうとなかなか純粋にいろんなことを吸収しづらくなる。自分もぼちぼちそうなってるかもしれない。

そういう意味では、MBAでは利害関係もないし、自分がやっぱりできていない部分があるんだなって再認識させてくれるところも大きい。ひとつのコミュニティだけじゃなく、いろんなコミュニティに所属する、というのは環境を変えると個人間の利害関係も変わって、新しい気づきを得やすいというメリットもあるんだろうな。

 

というわけで、何年か社会人景観を積んだ方々は、自分で積極的に学ぶ機会を作ろうね。そんだけです。あと、それでもいろいろ教えてくれる人が周りにいるのであれば、大事にしたほうが良いということです。

些細なことだけど便利。MacでアプリケーションフォルダをDockに追加する

本当小さいことなんだけどね。Macでよく使うフォルダは、Dockに追加しておくと早いし便利だよって話です。追加方法は、このブログをみればわかります。Finderで対象フォルダを開いたら、フォルダアイコンをDockの右下にドラッグするだけ。

これは便利。アプリケーションフォルダをDockに追加する方法。 | 和室Mac

 

これが追加した結果。とても見やすい。こんな機能があることなんて、知らなかったわ。

 

ついでに、Dockの見栄えが良くなるってんで、アイコンを追加。

Icon Download

 

これ使うと、Dockでは書類とかが箱に入っているように見えます。少し気分が良い。(上のキャプチャでは、既に導入済み。)

自治体の公会計モデルについて(メモ)

自治体の公会計モデルについて、少しTwitterで教わったので、忘れないうちに自分の頭を整理しておく。きっかけは、この記事だった。

市有財産情報を電子化 佐野市が資産管理システム運用 |下野新聞「SOON」

ここで、佐野市が財務会計を基準モデルにするために、資産管理システムを導入するって話があって。それに対して、RTで教えてもらった。ありがたや。

 

そもそも公会計モデルは複数ある

以前から何となく知ってはいたけど、公会計基準は複数あるんだ。それが「基準モデル」と「総務省方式改訂モデル」だ。あと、旧式の「総務省モデル」というのもあるし、さらに独自方式も許容されていたりする。

で、基準モデルというのが一番厳密な財務会計処理になるのだけれど、事務処理も結構大変になるんだとか。総務省HPにある資料がわかりやすかったので、引用。

公会計モデル

(総務省HP http://www.soumu.go.jp/main_content/000025645.pdfより抜粋)

 

基準モデルだと、ストックはすべての資産を対象にして、フローも個別取引の仕訳が必要になる。

 

平成20年度時点だと、市区町村で基準モデルを採用しているのは7%程度。大半は総務省方式改訂モデルになっている。残念ながら、最新の数値は見つけられなかった。。。

 

基準モデルの方がアカウンタビリティが向上するようだ

まあ、基準モデルの方が厳密な評価を行う形になるので、当然なんだけど。少し古い記事だけど、各務ヶ原市が基準モデルへの移行を行ったときの記事が出てた。

【岐阜県各務原市】基準モデル対応の公会計システム導入、職員の作業負担は変わらず – 電子行政:ケースス…:ITpro

例えば、借入金が多いのではと言われたら、「これだけの資産が残っています」「世代間の公平性の観点から、後の世代の人にはこれくらい払っていただきます」と反論ができるようにしたい。そのために資産の的確な把握をしなければならず、それで基準モデルを導入しました。

 

あと、システムの改修費用も出てたよ。

公会計システム導入と連携を図るための既存システムの改修コストを合わせて、2007年度予算で1000万円を計上しました。システム開発は、2007年7月から開始しました。2006年の10月から11月にかけて、ベンダー5社に問い合わせて話を聞き、最終的に1社を選びました。

各務ヶ原市の平成20年度の財務諸表を見ると、行政コストは合計で558億円。このうちの1000万円の整備コストをどう見るか。ただ、規模が小さい自治体はこういう金額のインパクトが大きくなるとは思われるけど。(参考:www.city.kakamigahara.lg.jp/shoukai/zaisei/yosan/pdf/renketu20.pdf)

 

自治体クラウドなどのシステムソリューションの状況は

ふと思ったのは、システムソリューションの状況。基礎自治体向けにはパッケージやクラウドが浸透しつつあり、いろんなソリューションが登場している。これらはどうなっているのかと思ってざっくり調べてみた感想は、

・基準モデルと総務省方式改訂モデルの両方に対応している
・総務省方式改訂モデルで整備して、その後に基準モデルへステップアップしよう、という説明もある

という感じだった。恐らく、実情としては総務省方式改訂モデルを採用している自治体が多いので、それらに合わせたトーンになっているのだろう、と勝手に推測する。ただ、ソリューションのオプションに基準モデルへの対応も含まれているものもあるし、以前のように完全に自前で整備するよりは、会計モデルを移行しやすい状況になっているのかもしれない。

Amazonがなぜクラウドストレージを手がけるのか

少しタイムリーじゃなくなったけど、ふと疑問に思ったので書いてみる。Google DriveとかAmazon Cloud Driveなど、どうやら最近はクラウドストレージサービスが話題になっている。個人的にはDropboxで20GBを超えた容量があるし、それ以上大きな容量を使うことはないので、他のストレージサービスを使うつもりはないのだが、Amazonがクラウドストレージサービスを展開する意味については興味を持ったので、少し考えてみた。

Amazon Cloud Drive: Learn More

Amazonの経営戦略

Amazonは、方針がぶれないということで有名である。そして、Amazonの本業はAmazonというネット上の「市場」での売上を向上させることである。Amazonは既にネット書店ではなく(もちろん書籍の販売は重要な位置づけであることには変わらないが)、Amazonというネット上の市場で、販売店とユーザを結びつける「場」を提供することで儲けている。

 

これについて、いくつか紛らわしそうなものを挙げてみる。

Amazon Web Servicesという会社がある。これは、ITインフラストラクチャを主に企業に対して提供する企業なのだが、これはAmazonの本業であるネットリテールで培った技術を転用することで、本業を助ける儲けにしようとしたと聞いたことがある。ちなみに、AWSの売上はAmazonグループの売上では「その他」に分類されており、5億ドル程度らしい。
雲になったコンピュータ: Amazonのクラウド売上げは$500~600M?           -ついにAWS Tokyoセンターがオープン-

次に電子書籍端末であるKindle。特にAndroidを搭載したKindle Fireは、端末代は採算割れしていると言われている。そうまでして展開するのは、KindleをAmazonのWeb市場へダイレクトにつながる入り口とすることで、Amazon市場での売上を向上させようとしている。ここでも、電子書籍という売り物を売るための仕組むと考えられる。

最近だと、BtoB向けの市場も開始したようだ。これも、これまでのAmazonの市場を拡張するものであり、経営戦略としてはぶれていない。
Amazon Supply to Compete for B-to-B Bucks

Amazon Cloud Driveはどれぐらい儲けるのか

まず、Amazon全体の売上を調べる。年々売上高は増加しているのだが、最近だと2011年10~12月期の売上高は174億3100万ドル。純利益は1億7700万ドルらしい。大体の規模感を把握したいだけなのでこれで十分。この数値を4倍したのがほぼ年間の数値になる。
ネット通販のアマゾン、売上高は過去最高ながら純利益は前年同期比58%減益 : はちま起稿

これに対して、Amazon Cloud Driveがどの程度儲かるのかを考えてみる。いくつか仮定をおいてみよう。 参考として、Dropboxの登録ユーザ数が5000万人。有料ユーザはその4%だそうな。そうなると200万人になる。例えばAmazon Cloud Driveのユーザが同程度であり、かつ平均してみな50GBを購入したと仮定すると、200万人☓50ドル/年となるので、年間1億ドル。本業の売上高と比べた場合、年間の1%にも満たない。これを大きい売上として期待している、という見方は難しいだろう。
Dropboxの成功に学ぶビジネスにおける6つの教訓 | SEO Japan

AWSで培ったクラウド技術なら、Amazon Cloud Driveを提供することは技術的には難しいハードルではないはずだ。そして、AWSと同様に、本業をサポートするための「副業」と捉えることもできるかもしれない。

Amazon Cloud Driveの狙い

最初に述べたとおり、Amazonはネット上の「市場」でどれだけ売るかが至上命題だと思われる。だとすると、Amazon Cloud Driveはどういう位置づけになるのだろうか。僕は「Amazonが提供する電子コンテンツを管理するサービス」の延長と考えている。

今回のサービスでも、Amazonで購入したMP3は容量に含まれないことになっている。これは、Appleも同じ方針をとっているが、自社のマーケットから購入されたコンテンツが容量に含まれない、他デバイスで同期する、といった利便性をシームレスに提供することで、自社のマーケットとPC等のデバイスを結びつけようとしている。Amazonの場合、Kindleを除いて、携帯やPCを直接販売するわけではないので、各プラットフォームで電子コンテンツを管理するような機能を提供する必要がある。

電子書籍はアメリカでは広く普及しており、音楽の電子化は当たり前になった。今後も電子コンテンツは増えていくだろうし、Amazonでの販売比率も増えていくはずだ。今回は音楽だけだが、いずれは電子書籍も範囲に含まれることになるのかもしれない。

今後のストレージサービスはどうなる

個人的には、複数のストレージサービスを併用するのは面倒臭い。そして、容量は個人利用では数GBで十分な気がする。となると、ここはあまり差別化要因にはならない。逆に、AppleやAmazonがやっているように、自社のサービスで購入したコンテンツを管理する仕組みで囲い込む方が、差別化になる。購入したコンテンツは、買えば買うほど大容量になるし、それを無料でWeb上で管理できるようになれば、魅力に感じるよ。その意味で、Dropboxの今後はやや難しい展開になるんじゃないかなあ。

というわけで、Apple、Amazonあたりは、自社で展開しているマーケットとの関連を売りにしていくと思う。GoogleはいまいちGoogle Playが弱いもんなあ。どちらかというと、Google DocumentとのシームレスなつながりでGoogle依存度を上げていく方向性かな。

 

とはいえ、今のところこの分野ではDropboxが先行者としてリードしてると思うし、使い勝手も良い。上に書いたようなものとは全く違う、今後の新しい付加価値に期待しているけどね。

「超」入門 失敗の本質

「失敗の本質」は昔から気になってた。超入門なんて本が出ているし、ここでも紹介されているもんだから、ついつい買ってしまった。だけど、予想以上に面白かった。

目標を設定できない「平和ボケ」の伝統 – 『「超」入門 失敗の本質』 : アゴラ – ライブドアブログ

これ読んでいると、日本人のアイデンティティというか、歴史の中で深く刻み込まれた特性みたいなものに、つい思いを馳せてしまう。自分の中にもそういう部分があるなあ、とか。迷走している組織って、そんなに珍しくないよなーとか。

軍事本というよりは、ビジネス本としてエッセンスをさくっと捉えるのが良いと思う。心に残った2点を書いておく。

 

「戦略」というものをどう意識するか

「戦略とは指標を追いかける指標のことである」P.48

戦略の定義はいろいろあるし、どれも正解だと思うんだが、これが今まで教わった戦略の定義の中でわかりやすく、そして明解だと思う。指標を明確にする、という行為そのものが組織に方向性を与えるし。

そして、日本人はこの指標を設定するのが苦手で失敗したり、経験的に無意識に獲得した指標を追いかけて成功するけど再現性がなかったり、というわけで。

 

どうやって自分から変化していくか

いろいろ失敗の要因が書かれているんだが、こういうことがわかっているのに、なんで何十年経っても改善されずに継続してしまうんだろうなあ。歴史の中で培われた特性はそんなに簡単には消えなくて、一方で人間は時間とともに過去の教訓や失敗は忘れてしまうからなのかね。

最近調べた雪印乳業にしても、2000年に起こした食中毒事件が倒産(正確には事業分割か)のきっかけになったんだが、1955年にも同じような食中毒事件を起こしているんだよね。だけど、それぐらい時間が経つと緊張感なんかも風化してしまうのかもしれない。

自分たちの思考や体質を治すためには、まずはこの本に書いてあることを自覚することから始まる。特に変化を自ら起こすというのが、日本人は苦手なのかもな。

 

インテルが日本企業の高品質DRAM参入で苦しんでいるときの、なかなか転換できない姿勢と、そこから脱却していくきっかけの言葉は何とも印象的。

「僕らがお払い箱になって、取締役会がまったく新しいCEOを連れてきたら、そいつは何をするだろう?」

日本人でもアメリカ人でも、やっぱり自ら変わるのはしんどい作業だ。これまでの自分を否定することになるのだから。それでも、自分から変化できることが最終的にブレイクスルーを生み出す。