経営を志す人なら読むべき。「ITビジネスの原理」

これは、経営に携わる人、志す人なら必ず読んだ方が良い。それぐらい良い本です。

ITビジネスというのは、非常に早いスピードで進化し、変化しているわけですが、ここまでシンプルに、原理として落とし込めている本というのは、なかなか存在しないと思います。非常にわかりやすい。

GoogleとFacebookの違いについて、

GoogleよりFacebookの換金化が比較的難しいのは、ユーザのインテンションが読み取りにくいことに起因しています。

という一言で表現してしまうあたり、ぐさっと刺さるものがあります。

インターネットの勃興からウェアラブルなどこれからの見通しまで、ひと通り整理されているので、ぜひいろんな人が読んだ方が良いんじゃないかと思っています。インターネットでどうやってお金が生まれているのか、というビジネス面から解説されていますので。Pintarestが注目されている理由、Twitterよりもトラフィックをもたらしている理由も、この本を読むとわかります。

PintarestはTwitterよりもトラフィックをもたらしている

昨日の任天堂ではないですが、外部環境がどんどん変わってきてしまって、戦略を柔軟に見直したり、先を読む力が経営には求められています。そのときに、原理を捉え、この先がどう向かうかを考える。そのきっかけをこの本は与えてくれるでしょう。

「ビッグの終焉」を読んで、今後の大企業や個人に必要なことを考える

ITが登場して以来、いろいろ社会環境が変化しています。それは「あらゆる大きなもの」が崩壊してきている、ということです。

例えば、メディア・企業・政府。マスメディアは、個人ブログやSNSによる情報の伝播と勝負せざるを得なくなりました。大企業は、個人が行うネットショップの価格や独自性と勝負せざるを得なくなりました。政府も、SNSなどから寄せられる意見やムーブメントを無視することができなくなりました。

これらはすなわち、IT技術によって個人の力が増幅されているから起こっているのです。

というわけで、「ビッグの終焉」という本を読み終わりましたので、簡単に思ったことを書いておこうと思います。基本的には海外の事例がほとんどですが、日本でも同じことが起こっています。

大企業が負けてしまう理由

最近だと、ヤマダ電機がネットショップの勢いに押されて、苦戦しています。

ヤマダ電機が赤字転落!ヤマダ電機が苦境に陥った理由 – NAVER まとめ

ヤマダ電機が苦戦しているのはネットショップだけが原因ではないと思いますが、家電量販店に行く人は確実にネットで価格をチェックして交渉に臨みます。ネットショップが安いのは出店コストがないからなので、当然安くしないと買ってくれなくなります。

これもIT技術によってネットショップという業態が成立するようになったことが、そもそもの原因です。本書の中では、こう説明されています。

規模の競争優位は陳腐化している。最小効率規模はどんどん小さくなっている。

事業を始めるための初期投資や、店舗運営などのオペレーションコストが劇的に小さくなったことで、損益分岐点がとても低くなりました。これまでは、大企業などが資本を投入して基盤を作ることで、初めて事業が成立していたようなところ、あるいは大企業が「規模の経済」を働かせて、大きくなることで効率化され、低コストになるという部分がありました。しかし、損益分岐点が下がってしまったことで、規模の経済を追求しなくても事業を運営できるようになったというわけです。

 

それでも「大きなもの」が必要な理由

では、個人や小さな企業でも勝てるようになったなら、大きい企業などの存在は不要か、と言われるとそうでもありません。それは、大きなものが「社会の信用」を形成する上で大きな役割を果たしているからです。

大企業が販売しているものは、品質はそれなりに高いと感じますし、大手メディアの記事は個人ブログよりは高いという感覚があります。そういう「信用」が裏側には存在するのです。メディアや企業や政府が小さくなると、こういう信用を形成する力が弱くなるリスクはあります。

メディアの例だと、個人ブログも多くはマスメディアの記事を参照したり引用しており、マスメディアの存在がないと個人ブログも成立しないものの、結局マスメディアが弱ってきているという矛盾のような状態です。

 

これからの社会はどうなるのか

大きな存在と小さな存在のパワーバランスは、今後も変化していくでしょう。大きな存在と小さな存在は、それぞれどう生き残っていくんでしょうか。

本書の中では、「大きなものがソーシャルの力を取り込む」ことが、ひとつのアプローチとして提示されています。民衆の声を集め、分析し、企業の戦略や政府の政策に活用する。そういう折衷的なところが現時点での落とし所だと感じます。あとは、大企業が勝てるフィールドが変わっているので、ネットがあったとしても「規模の経済」が有効なところを探すか、というところですかね。クラウド事業者などはまさにそういう部分になっています。

個人や小さい企業は、大企業がこれまで獲得していたフィールドに攻め込んだり、新しい分野を切り開いています。今後は、いかに自らの信用を形成するかを考える必要があるでしょう。政府の管理や大企業の取り組みによって形成されていた信用は、一部なくなっていくかもしれません。一個人や一企業が、どうやって社会から信頼を得ていくのかは、常に考えなければいけなくなっていると思います。

 

ラジオやテレビが登場したときも、今と同じようにあらゆる社会的な仕組みが変化したんでしょうかね。そう考えると、そういうレベルで政治も、企業経営も、社会を構成するいろんなところが変わっていくんだと思います。一度大きな資本へ向かったエネルギーは、小さいものへ分散していくんでしょう。日本でも地方が再燃したり、小さな企業が盛り上がるといいなと思います。

楽天koboならWindowsやMacからも電子書籍が読めます

皆さん、電子書籍読んでますか。

電子書籍は、Kindleなどの専用リーダーと、iPhone、iPadなどからアプリを使って読むことができます。が、それに加えて楽天koboもKindleもデスクトップ版があるのをご存知でしたでしょうか。

ただ、楽天koboはライブラリの管理だけで本は読めずにいましたし、Kindle版はログインすらできない状態でした。しかし、koboは最近デスクトップ版アプリがアップデートされて、WindowsやMacで書籍を読むことができるようになりました。

楽天のkoboデスクトップアプリアップデート!ついにMac/PCで本が読めるようになりました! – 一円を笑うものは二円も笑う

実際に、公式サイトからダウンロードしてみましたが、問題なく楽天koboで購入した電子書籍を読むことができました。

電子ブック楽天Kobo:楽天Koboアプリ

 

なぜか日本では禁止されていたデスクトップ版

楽天koboもKindleも海外から始まったサービスで、日本に登場してた時点でデスクトップ版が開発されていました。そして、海外では普通に電子書籍が読めたのに、意図的に日本ではWindowsやMacなどのデスクトップでは電子書籍が読めないような対応が行われていたのです。実際、Kindle for macは、日本でKindleサービスが開始される前から日本語化されていたようです。

「Kindle for Mac」が日本語をサポートも…

ただ、どこにでも強者がいるもので、楽天koboもKindleも、電子書籍を読めるようにする裏技を発見していました。

Koboで買った本をパソコンで読む | クポーン – 電子ブック楽天koboの定点観測
MacでKindleの本が読めるようになった!(Androidのエミュレータを使って) – SKKTM Lab Blog

で、日本はなぜ禁止しているのかと推測するのですが、技術的な問題ではなく恐らく契約で縛られているか何かでしょう。DRM解除して、コンテンツが自由になることを恐れているのかもしれません。

 

電子書籍市場を支配するKindle、追いかける楽天kobo

最近の調査レポートによると、今の日本の電子書籍市場では、Kindleが圧倒的な王者になっています。

電子書籍、Kindleストア利用者が半数超 日本業者の対抗策はネットで酷評 (1/2) : J-CASTニュース

僕がたびたびおすすめしている楽天koboは利用者数の順位では4位です。挑戦者の立場ですね。

お買い得だから、KindleじゃなくてKoboで電子書籍を買おう | Synapse Diary

楽天koboは、たくさんクーポンを配ったりすることで、何とか追い上げようとしているわけですが、王者の奪還にはまだ距離がありそうです。ただ、今回Kindleより先駆けてデスクトップ版で電子書籍のビューアーを公開したことは、挑戦者として必要な取り組みのひとつだと思います。

書籍ビューアーを公開したからといってすぐにKindleとの差が埋まるわけではありませんが、業界リーダーがやっていないこと、消費者にとってメリットがあることを先駆けて行っていくことに、挑戦者としての意味があります。

 

電子書籍サービスも、終了するところが登場してきており、早速競合が厳しくなってきています。

電子書籍サービス「エルパカBOOKS」が2月24日に終了–購入済み書籍は閲覧不可に – MdN Design Interactive – Webデザインとグラフィックの総合情報サイト

各社はユーザー数を増やし、囲い込みを強化しに行くでしょうし、それに伴って業界は寡占化されていくんだと思います。本を読む側としては、もっと便利で安くなれば嬉しい限りです。

勉強効率を上げるための読書方法

いろいろ時間ないな、と思いながら生活しております。

さて、今日は自分の勉強法というか読書の方法を少し見直そうかな、と悔い改めた話です。これまでは、関心がある本を片っ端からAmazonの欲しいものリストに登録して、本が読み終わったらリストから選んで買う、ということをしていましたが、いまいち効率が悪い気がしていました。

今回、Amazonの欲しいものリストもがっつり削除して、本の選び方を変えようと思います。それで勉強効率が上げようと。まだ今年も始まったばかりですし、勉強方法を見直しても間に合いますし。

 

勉強テーマを明確にする

日々勉強だと思っているのですが、結構テーマを具体的に絞りきらずに勉強を進めてしまう場合が多いです。なので、本を読むにしてもテーマがバラバラで、その時々で関心があるものを読んでしまうことがありました。

しかし、これだとジャンルが広がる反面、薄く広くなってしまい、あまり尖らないんですね。持っている知識も浅くて、深い洞察を得るには不十分になります。それよりも、テーマを絞り込んで情報を取得し、考えることで、ある特定領域の知識も深まるし、洞察力も磨かれると思うのです。

というわけで、常に「この1年は○○をテーマに勉強する」ということを、自分の中で明確にしておくことは重要です。新年になって、僕もいくつかテーマを設けました。何かに書いたりして、はっきりとテーマを定めることがポイントです。

 

具体的な目標を設定する

可能なものは、具体的な目標を設定しましょう。資格を取得するのが最もわかりやすい目標じゃないかと思います。マニアックなものも含めて、世の中にはたくさん資格があるものです。資格が対外的に有効かどうかも大切かもしれませんが、自己研鑽のきっかけに利用するというのも良い使い方です。

過去にも、資格の有効性について記事を書きました。

資格は何のために取得するのかという話 | Synapse Diary

 

テーマと目標を決めたら、まずは複数の本を買う

違うコンサルタントの人の言葉を借りると、「コンサルタントにとって本は消耗品」です。新しいジャンルを学ぶときに一番効率的に正しく学ぶことができるのが本です。仕事上、何か学ばなければならないジャンルに出会ったときは、そのジャンルがまとまってそうな本を何冊かまとめて購入します。

複数購入するという点がポイントで、一冊だと知識が偏ったり、誤った情報が含まれている可能性があります。複数読むと、完全に正解がわかるわけではありませんが、

  • 一般常識として問われている範囲をおよそカバーできる
  • 異なる情報があったときに、判別しやすい

というメリットがあります。なので、複数の本を購入して読むことにしています。

 

あとは、継続あるのみです。昔は、勉強時間を記録したりして、自分のモチベーションを維持しようとしていましたが、最近はあまりそういうことはしていませんね。最近だと、StudyplusとかアプリやSNSの特性を利用してモチベーションを維持することも良いんじゃないかと思います。

Studyplus(スタディプラス) – 勉強が楽しく続くSNS

 

以上です。有意義な読書生活をお過ごしください。

今年はオシャレな部屋に。デザイン家具を激安で買う方法

デザインが良い家具を、安く入手しづらくなっています。

部屋に新しく椅子を買おうと思い、いろいろ調べていたときに、「リプロダクト」「ジェネリック家具」「ジェネリックプロダクト」という言葉を知りました。

 

デザインが良い製品を、格安で買える

「ジェネリック薬」というのがありますが、考え方はアレと同じです。意匠権が切れたデザイン家具を、オリジナルとは異なるメーカーがそれぞれ作るということです。なので、素材のランクを落としたり、メーカーの工夫によって価格を低下させているのです。

デザイナーズが安く手に入る!ジェネリック家具って何!? – NAVER まとめ

ジェネリックプロダクト – Wikipedia

 

今回購入したのは、「セブンチェア」という椅子です。

北欧風チェア■組立て式■リプロダクト品【セブンチェア/アントチェア】送料無料(一部地域を除…
価格:4,200円(税込、送料込)

セブンチェアは、デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンの代表作で、3次元で成形された木材が包み込まれるような座り心地を実現します。また、広く使われることにも配慮された製品で、スタック(重ねて収納)することができるため、1955年の発売から500万本以上売れている椅子です。

ちなみに、オリジナル(正規品)はこちらです。使われている材質、仕上げのクオリティ、サポート保証などが違いとしては挙げられるでしょう。

 

このリプロダクト品については、オリジナルより安い商品が出回ってしまうことで賛否両論あると思いますが、僕は今回調べて買うまで知らなかったデザイン家具を知りました。興味も持ったので、他にもいろんなデザイン家具を買うかもしれません。確実に認知は上がったわけです。そういう効果はリプロダクト品にはあると思います。

 

工業化された数十年経過して、こういう「権利切れ」の製品が出てきました。また、経済が成熟し、デザインの優位性が相対的に高まっています。そういう時代の中で、もっとこういう製品は増えていくんだろうなと思います。今は買い手にとって良い時代だな、と思う反面、売り手にとっては競争が厳しいなーと思ってしまいました。

地方におけるデータセンター事情について

今日は日本におけるデータセンター事情について、書きます。

地方自治体によるデータセンター誘致が、加熱しているという記事を読みました。データセンター誘致が公共事業として良いのではないか、ということですね。

echo-news – 最強の公共事業とは何だろうーー再加熱するデータセンターの自治体誘致

 

首都圏集中から地方分散化へ

日本国内にあるデータセンターは、首都圏に集中しており、その数字は50%とか70%などと言われています。しかし、東日本大震災によって、電力不足や稼働停止などの影響を受けた結果から、首都圏に集中したデータセンターを、地方に分散させようという流れが生まれました。

 

国もデータセンター分散化を後押し

総務省は災害対策を目的として、データセンターの地方分散を促進するための税制優遇を設けるなど、施策を講じています。

総務省|電気通信政策の推進|データセンターの地域分散化の促進

 

地方に建設することはコスト面でも優位

データセンターのコスト構造をみると、土地・建物・電力などの比率が、全体の半分程度を占めています。機器などはどこで調達してもあまり変わりませんが、土地に紐づくコストについては、地方に建設することによって、コストを削減することができます。コスト優位性は、データセンターにおいて非常に重要な競争軸のひとつです。

連載/データセンターの電力効率、コスト効率を上げるには(2):新しいかたちのデータセンターを日本中に分散配置しよう (1/2) – スマートジャパン

 

地方におけるデータセンター建設の例

実際に、北海道や島根、青森などの地方でデータセンターが建設される事例があります。

クラウド ビフォア・アフター:郊外型データセンターの今とこれから – ITmedia エンタープライズ

これらを見ていると、単純な誘致だけではなく、地方の特性として自然エネルギーの活用やスマートタウン事業など、自治体の政策と関連した取り組みになっています。さくらインターネットが北海道石狩市に建設したデータセンターの例は、単純に誘致して建設するのではなく、企業の戦略と自治体の施策が合致している点が、非常に興味深かったです。

ASCII.jp:“箱”だけ作るから地方データセンターは失敗する|まもなく2周年!北の大地に石狩データセンターあり

 

本当に地方分散化は進んでいるか

データセンター事業としてみると、成長しています。国内のデータセンター総床面積はCAGR4.3%という堅調な伸びです。これは、増大するデータ処理量への対応、複雑化した機器管理コストの低減や機器の拡張性に関するニーズが高いことが要因です。

データセンター市場調査2013:相次ぐ新設で拡大 首都圏・地方別では課題も |ビジネス+IT

データセンター全体としては増えているのですが、ロケーションでみるとやはり首都圏が伸びており、地方は微増の状況になっています。

クラウドコンピューティングサービスは、低価格を強みとするため、建設コストや運営コストの低い地方のデータセンターが適している。さらに震災以降、企業の事業継続に対する意識が高まり、首都圏のセンターから距離のある地方のデータセンターをバックアップセンターとして活用するユーザー企業が増えていくと期待されていた。  こうした背景から、近年、クラウドコンピューティングの本格的な普及を見込み、地方にデータセンターを建設するIT事業者が増加していたが、長引く景気の低迷の影響による企業のIT投資予算の縮小により、期待されていたよりもクラウドコンピューティングサービスや事業継続サービスの普及が進まなかったことから、地方のデータセンターへの需要拡大を見込みづらくなってきており、IT 事業者による地方のデータセンターへの投資は、今後は微増にとどまると予測している。

相次ぐ新設、今後もデータセンターへの投資は堅調に拡大~矢野経済研調査

実際、IT投資におけるBCPへの予算は1%以下であり、BCP対策を行うにあたってもコストを優先的に考えるという調査結果があります。

年々増加するBCP関連ツールの導入と運用、企業の災害対策の最新状況は - TechTargetジャパン 経営とIT

 

また、先ほどの記事から引用すると、

中でもIT事業者による首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)のデータセンターへの投資は今後も堅調に増加するいう。大口ユーザーである大手企業が、緊急時に自社の情報システム部員が駆け付けることができる首都圏の立地を求める傾向は今後も変わらないと見込めることがその理由。  一方、地方(その他道府県)のデータセンターへの投資は、微増の推移に留まるという。それは、地方立地の特性を活かせると言われていたクラウドコンピューティングサービスと事業継続サービスが当初の期待ほど普及しておらず、ユーザー企業からの地方に立地するデータセンターへの需要拡大を見込みづらくなってきていることがある、としている。

データセンター市場調査2013:相次ぐ新設で拡大 首都圏・地方別では課題も |ビジネス+IT

となっています。

まとめると、以下になります。

  • IT投資、特に災害対策への投資は低調で、地方へシステムやデータを分散させる意欲が低下
  • クラウドコンピューティングなどまるごとアウトソースするのではなく、自社で保守できる体制を残す傾向が根強い

クラウドコンピューティングが加速していないため、自社で駆けつけて管理する体制を構築する必要があり、さらにIT投資全体やBCPへの関心もやや落ち着いてきているので、地方へのデータセンターの進出がいまいちという状況なのでしょう。

 

今後はデータセンターの分散化は進むか

では、今後データセンターの地方分散化は進んでいくのでしょうか。まず、クラウドコンピューティング自体は、市場が確実に拡大していますし、今後も成長が期待されます。

年々増加するBCP関連ツールの導入と運用、企業の災害対策の最新状況は - TechTargetジャパン 経営とIT

気になるのは、内訳をみるとプライベートクラウドの割合が多くなっていることです。さらに、こちらの記事をみるとオンプレミス型への期待が大きく、地方に分散させるホスティングはあまり高くないです。

国内プライベートクラウド市場予測を発表

とはいえ、データの分散などバックアップサイトとしてのニーズは堅調に続くでしょうし、クラウドコンピューティング自体は成長していくので、地方にもデータセンターは増えていくのでしょう。

ただ、そのときはスマートタウンなど、地の利や自治体の政策と合わせて拠点を作るアプローチが良いですし、その結果としてIT技術者など人が集まってくるんじゃないでしょうか。

SNSとマーケティングの関係を理解したい人は必読。「ウェブはグループで進化する」

新年最初の読書は、「ウェブはグループで進化する」でした。読んでみて思ったことは、「マーケティングを考える上では必読だな」ということでした。

2012年と少しタイムリーではない本でしたが、当時話題になっただけあって、SNSの潮流をどう捉えるかがよくわかる内容です。

著者はGoogle+をてがけ、GoogleからFacebookへ移籍した人で、一旦書いた本がGoogleから出版差止めになったという、曰くつきです。

マーケティングで考えた場合に、いろいろ目新しいエッセンスが満載でした。

 

インフルエンサーではなく、ネットワークの構造に注目する

よくネットマーケティングでは「インフルエンサー」を見つけて、そこに情報を流してもらうというアプローチが言われます。僕はこれ自体は間違っているとは思いませんが、それよりも重視すべきは「ネットワーク構造」だとこの本では述べられています。

理屈はシンプルで、以下のようなことです。

  • 元々、人は強い絆(親しい人)から強い影響を受ける
  • 人は小さいグループを複数形成する

つまり、幅広く強大な影響を与えるインフルエンサーというのは実際は少ないので、たくさんの「普通の人」が形成している小さなグループやグループ間に、どうやって情報を流すかに着目しようということです。

そうすることで、親しい人から受け取った情報は、信頼され、購買などの判断に強い影響を与えるというわけです。だから、自分が流す情報に関心を持ってくれる人たちを見つけて、そこに情報が流れるよう、メッセージを発信することが、マーケティングにとって重要になります。

 

SNSを有効なマーケティングツールにするためには、プランの作成と実行後のフィードバックが重要

TwitterやFacebookがマーケティングに有効だ、などと言われ、取り組んでいる企業もたくさんいますが、どれほど有効に働いているかよくわからないケースを見かけます。

この本では、グループと情報の流れに着目し、トライ&エラーでどれだけ反応が得られるかを検証することが重要と書かれています。同じようなことは「USERS」という本にも書かれていましたが、それだけSNSを運用するというのは、非常に手間がかかるものだということです。

これからの企業に必要なフィードバックループのやり方 | Synapse Diary

SNSは実社会の人間関係をオンラインへ投影したものであり、SNSの隆盛はあったとしても、SNSというサービス自体は今後も継続的に使われるし、もっと発展していくでしょう。それを考えると、現時点でSNSをマーケティングツールとして使いこなすことができれば、今後の企業の優位性を築くことができます。

この本には、どのように取り組んだら良いかのアプローチも丁寧に書かれているので、もう一度読み返して、実践してみようと思います。

 

それ以外にも、認知心理学やパーミッション・マーケティングとのつながりも述べられていて、いろいろな知識がつながっていくようで、楽しく読める一冊でした。

参考:心理と行動の関係が理解できる「ファスト&スロー」 | Synapse Diary

SlideShareの埋め込みコードをモバイル対応させる

今日はクリスマスだし、さくっとしたネタで。

ホームページでSlideShareのスライドを貼り付けて、スマートフォンからも見られるようにする方法を。メモ書きです。

 

SlideShareの埋め込みコードでは、スマートフォンから見られない

SlideShareでは、Embedで埋め込みコードを作ることができます。これを貼り付ければブログやホームページにスライドを掲載することができるわけです。

ただ、これFlashでできているので、iPhoneなどでは見れません。残念。

 

SlideShareにはモバイル用の埋め込みコードが存在する

諦めていたのですが、SlideShareにはどうやらモバイル用のページが存在します。そこでは、Flashを使わない表示に変換されているようです。

SlideshareのスライドをFlashなしで閲覧する小技 | マイナビニュース

で、このモバイル向けページで埋め込みコードを発行すると、Flashを使わない形式でブログやホームページにスライドを掲載することができます。具体的には以下のステップです。

  1. SlideShareのURLのユーザー名の前に「/mobile/」を挿入してアクセス
  2. 表示されたページの「Embed」から埋め込みコードを取得(Wordpress向けのショートコードではありません)

 

というわけで、SlideShareを使ってスライドをブログなどに貼り付ける人は、ご参考に。モバイルファーストの時代ですしね。

スマホで日記書くのがこんなに気持ち良いものとは思わなかった

有料アプリはあまり簡単に買わない方ですが、珍しく300円で日記アプリを買いました。Grid Diaryというやつです。

Grid Diary – 最もシンプルに日記を始める方法! 1.1.10(¥300)
カテゴリ: ライフスタイル, 仕事効率化
販売元: Sumi Interactive – Xiamen Sumi Network Technology Co., Ltd.(サイズ: 21.7 MB)
全てのバージョンの評価: (145件の評価)

買ってみてしばらく経っていますが、これは買ってよかったなと思いました。

手っ取り早く操作方法を知りたい方は、こちらの記事が良いかと。

日記を「書く」んじゃない、「答える」んだ。質問日記『Grid Diary』は、やってみる価値あり | TABROID(タブロイド)

 

いつでも簡単に書ける、という手軽さが良い

僕にとって日記というのは、自分の日々の生活が、自分が思い描いているような目標に従った行動ができているか、自分の感情を客観的にみた場合にどうなっているか、をチェックするために使っています。

なので、つらつら長く書く必要はありませんし、ノートを開いて書く、とかPCの前に座って書く、となるとちょっと手間に感じてしまいます。その点、スマートフォンであればいつでも身の回りにありますし、気づいたときにさっとメモする感じで一日の行動を振り返ることができます。

そういう点では、スマートフォンというのは偉大です。いつでも人の近くにいて、すぐに触れる環境というのは、スマートフォンの最大の利点だと思っています。

 

アプリが質問してくれるから、自分に発見が生まれる

Grid Diaryには予め質問が用意されています。日記を書いている間に、自分に疑問やいろんな思いがめぐり、「明日これやらなきゃ」とか、様々なアイデアや発想が想起されるのが良いです。質問というのは意外な威力があって、質問されて初めて気づくこと、思うことがたくさんあります。

質問もいろんな種類がありますし、自分で設定することもできます。このあたりを参考に考えるのも良いのではないかと。

大抵のことは解決する→質問力をブーストする100のクエスチョン 読書猿Classic: between / beyond readers

 

というわけで、日記をやろうと思いつつ、続かないとか踏み出せない人にとっては良いアプリだと思います。来年こそは、と思う人はどうぞ。

今日はこのへんで。

小説「ラストワンマイル」が物流業界の現状を描いていて驚いた

ラストワンマイルという小説を読みました。そこまで意図して読み始めたわけではありませんでしたが、ちょうど今、ECサイトや物流に対する関心が個人的に高くなっており、非常にタイムリーなビジネス小説でした。

この小説を読むと、実際に今起こっているEC市場の競争がよくわかります。Yahooショッピングがなぜ出店料を無料にしたのか。これからの競争のポイントがどこに置かれるのか。

 

重要なのは「ポータル・決済・物流」

少し前に「大前研一 日本の論点」という本を読んだのですが、そこでは今後のECプラットフォームには次の点が必要だと書かれていました。

私は次世代のカギを握るネット時代の三種の神器は、「ポータル」「決済」「物流」だと考えている。そして、この3つの分野をしっかり握っているのがアメリカの強みだ。

ただ、それ以上詳細な説明がなく、僕としてはピンと来てなかったんですよね。それが、この小説を読みながら、やっとわかりました。わかってみるとなんてことないんですが、「人がネット上で買い物をする上で必ず行われる行為」なので重要なんだってことですね。

 

商品(情報)の信頼性をどう確立するか

「ポータル」というのは、まさに入口のことで、消費者から選ばれる「入口」を作れるかどうかが重要になります。そのためには、プラットフォームやプラットフォーム上で掲載される情報に、いかに信頼性を高めるかが重要になってきます。

Amazonや楽天などのECサイトは、これまでここに多大な労力を払ってきており、納得性が高く豊富な情報を提供することや、購買者のレビューを掲載することで、信頼性を高めてきています。他にも、大手ではありませんが、その筋の信頼できる人がすすめる商品を取り扱ったり、完全にセルフサービスで完結するのではなくチャットなどを組み合わせてサービスを提供するタイプのECサイトも登場してきています。

AmazonだけがECじゃない。米で始まったEC新時代 – 湯川鶴章メルマガ ITの次に見える未来 – BLOGOS(ブロゴス)メルマガ

「ラストワンマイル」でも、これが論点のひとつになっており、小説の中では別の解決策が提示されています。

 

物流は戦争状態

決済や物流などは、買い物に必要な機能であり、有力なプラットフォームを形成する企業は、垂直統合してきています。それは、他社に重要な部分を握られるのが嫌だ、というところと、購買の入口から出口までを一気に完結させることで、マージンを最小化しようということでしょう。

Amazonがドローン(無人飛行機)で荷物を配送する構想を発表していましたが、その理由もうなずけます。

アマゾンも開発、「ドローン便」は離陸するか(動画) « WIRED.jp

また日本でみると、Yahooショッピングは物流面でAmazonや楽天に遅れを取っていましたが、アスクルと業務提携して物流に注力してきています。

アマゾン、楽天に殴り込み ヤフー、通販物流参入の本気|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン

 

一方で、最近だとAmazonの配送請負業者から佐川急便が撤退し、ヤマトに一本化されています。

クロネコの悲鳴、ヤマトに豊作貧乏のジレンマ  :日本経済新聞

ECの発展で物流も増えているのですが、各ECサービス業者が物流を垂直統合してきており、物流業者は苦しくなっている感じです。まさにこういう事態の問題提起が、「ラストワンマイル」が描かれているので、数年前に描かれたことが、実際に起こっているということなのだと思います。

 

このあたりは、O2Oやオムニチャネルなどとも関連して非常に面白い分野なのですが、ひとまず興味がある方は「ラストワンマイル」を読むと良いでしょう。

今日はこのへんで。