「USERS」という本を読みました。原著のタイトルは「USERS, NOT CUSTOMERS」です。「顧客」にフォーカスする時代は古い、ということです。
この本では「ユーザー」を以下のように定義しています。
この本におけるユーザーとは、顧客、従業員、求職者、見込み客、パートナー、ブランドのファン、メディアのメンバー、その他影響力を持った人々(インフルエンサー)のことである。要するに、デジタル・メディアとテクノロジーを通して企業と交流する人々を指す。
これらユーザーと企業の関わり方について、ネットを中心とした取り組みと、それを実現するための内部組織の作り方など、幅広く説明されています。端的に言って、これからのネット活用を考える人には必読です。ホームページを看板代わりに掲げるだけなんてのはとっくに終わっていますし、TwitterやFacebookが登場してきても、コミュニティ運営をうまく行える企業は限定的です。
いろいろこの本から気付きがありましたが、今日書きたいのは「フィードバックループの重要性」です。
フィードバックループとは、何か実行した結果を測定し、評価・学習することで、次の行動に活かすことを指します。
この「USERS」では、アクセス解析やSNSなどのコミュニティ運営の重要さが述べられています。なぜこれらが重要なのかといえば、企業が市場やユーザーからフィードバックを得られる貴重な情報源だからです。
例えば、アクセス解析の重要性に関しては、以下のように書かれています。
トップ企業は、どのように人々が自社のデジタル・フットプリントを利用するのかを探るため、定期的にデータを解析し、それに応じて繰り返しユーザビリティを改善し、ユーザー・データの変化を見て、また最初からやり直す。これを「フィードバック・ループ」と呼ぶ。彼らは、自社のデジタル・フットプリントのユーザビリティを継続的に強化するためにフィードバック・ループを用い、究極的には組織全体のパフォーマンスを改善する。
インターネットやスマートフォンなどの発展によって、コミュニケーションに関するコストはどんどん低下しており、企業に対してもスムーズなコミュニケーションを求めています。なので、ユーザビリティというのが非常に重要になってきているわけです。
企業は、ユーザーのニーズやユーザビリティの問題点を、アクセス解析から得て、改善を続ける必要があります。
コミュニティ運営について言えば、Facebookページなどが注目されています。確かに新しいコミュニケーション方法であり、ブランドの形成ツールだと思います。企業にとっても、旧来のマーケティングとは違うアプローチで、フィードバックのための情報源を獲得できるようになっているわけです。
これらの情報を収集し、企業へのフィードバックに活かす必要があるわけです。これらの情報蓄積が、企業の資産になります。難しいな、と思うのは、これらのアクセス解析やコミュニティ運営について、外注が難しい点です。アクセス解析自体は外注しても良いかもしれませんが、それを組織へのフィードバックに組み込むためには、組織の実状を深く理解しておかないと、なかなか深い効果は出づらいかもしれません。逆に、そうじゃない有効なアプローチを設計できれば、ひとつの有用なビジネスになる気もします。
コミュニティ運営もそうですね。ノウハウと呼ばれるものがあるようでなく、外注やコンサルが活躍しづらいフィールドになっていると思います。あと、金銭価値で評価しづらいという点もネックでしょうか。となると、本来は自社で内製する必要があるのですが、大企業ならともかく、中小企業になると限界もありそうです。
いかにネットの各種ツールから情報を取得し、企業のフィードバックに取り込んでいくか、というのは今後の企業にとって重要だと思うのですが、それをどう実現するかについては、まだまだ課題がありそうだな、と思う今日このごろです。
これからの企業に求められるのは、透明性の高い情報とコミュニケーションです。
今日はこのへんで。