Gunosyのメール配信を購読するのをやめました

つい先日、Gunosyの購読を辞めました。2012年から2年ぐらい、ずっとメールで読んでました。

やめた理由は「他の情報源と重複する」からです。

 

Gunosyのメール配信は情報収集ツールとして有効か

まあ、人それぞれといえばそこまでなのですが。僕は以下のツールで普段情報収集してます。

  • RSS(Feedly) ➡ いろいろブログなどを登録してます。
  • メルマガ ➡ 気になるものを3つぐらい。
  • スマホ ➡ NewsPicks, Antenna, LINE News

これらのニュースソースを消費すると、Gunosyが配信される内容は重複してしまうんですよね。最初は結構違う記事が配信されてきたので面白かったのですが、だんだん重複感が増してきてあまり記事をクリックしなくなってしまいました。

結局、Gunosyはセレンディピティを与えるものではなく、「情報取得を効率化するツール」なのだと思っています。なので、それなりに多めの情報を取得する人にとっては、あまり向いていないのかもしれません。

 

その原因としては、メール配信の場合は25記事しか配信されないということです。25記事だと、ユーザーの動向を拾いきれないと思うんですね。人はきっとGunosy以外のニュースソースにもたくさん触れているはずなので。その点がアルゴリズムを利用したメール配信に限界を感じたところでした。

 

Gunosyはスマホ中心に舵を切った

以前もGunosyのiPhoneアプリを使っていましたが、ほとんど面白くなくて使うのやめてしまいました。しかし、今回メール配信をやめたことをきっかけに、もう一度スマホアプリを見てみたところ、やっぱり戦略を変えていたんです、Gunosyは。

スマホでいろんな情報を閲覧できるようにして、Gunosy上で行動してくれる量を増やし、消費量を増やしてもらうとともに、情報収集によるリコメンデーションの精度を上げられるようにしました。

 

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カテゴリ: ニュース, 仕事効率化
販売元: Gunosy Inc. – Gunosy Inc.(サイズ: 18.2 MB)
全てのバージョンの評価: (5,182件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応

 

最近、GunosyがウルトラマンのCMを打ち出し、アイコンも変えたりしてます。また、KDDIも出資して、今後のau端末にプリインストールされるのでは?という話も出ています。

よく比較対象にあるスマートニュースは300万ダウンロードぐらいで、Gunosyは180万ダウンロードぐらいなので、ここらでバーンと投資して広く利用されるようにする、という戦略はわかります。

GunosyというスマホアプリがテレビCMを流す理由 ‐ 川合雅寛

要は、個別最適するアルゴリズムに注目したアーリーアダプターではなく、マジョリティに使ってもらうにはどうすれば良いか、と考えた結果のマーケティング施策なのだと。

 

というわけで、Gunosyのメール配信は停止し、スマホアプリで使い続けてみようと思います。これによって、iPhoneで使ってるニュースアプリはどれか使うのやめるかなー。

 

それにしても、Gunosyという組織は面白いですね。数字を重視するという姿勢は、リーン・スタートアップの考え方とも合致していると思います。今後の展開が楽しみですね。

メジャー化に舵を切ったGunosyの今後とは

ブラウザを取り巻く環境は大きく変わってきている

ちょっとタイムリーではなくなってしったネタですが、Internet Explorerに脆弱性が発表されて、マイクロソフトから更新プログラムも出ました。一段落したって感じでしょうか。

さてさて、今回の騒動でいろいろ整理しておこうと思ったことを書いておきます。

 

IEのシェアはどの程度か

最新の調査によると、デスクトップで使われるブラウザのシェアはIEが57%と圧倒的で、その次がChrome、Firefoxと続きます。

IEはバージョン別に分けると、IE8が一番多く、IE11が次に続いています。

Chromeがシェア2位に – 3月ブラウザシェア | マイナビニュース

これだけIEを使っている人が多ければ、IEに脆弱性が!とニュースが出ると騒ぎになるはずです。ChromeやFirefoxに同じような脆弱性があったとしても、ここまで騒ぎにはならなかったでしょう。

 

複数のブラウザに対応した方が良いのでは

今回の問題点は、圧倒的なシェアを誇るIEの全てのバージョンで脆弱性が見つかったことです。それによって、「IEを使うことを控える」必要が一時的に生じました。知り合いから「IE使えなかったら、どうやってインターネットにアクセスするの?」という質問を頂戴しましたが、まあそういう感じになりますよね。。。。

エンタープライズシステムでも、Web系システムはブラウザをIEに限定したり、さらにはIEの特定バージョンに限定してたりします。そうなると、IE使えない=業務停止、となりかねません。

リスクヘッジとしては、「IE以外のブラウザでも使えるようにしておく」ということだと思うのですが、エンタープライズシステムの対応コスト、各端末でインストールされることによる管理コストなどの手間を考えると、避けたいなーと思うのが管理側の発想ですかね。でも、そろそろ避けられないんじゃないかという気がしてきます。

最低でも、こういう事態に陥ったときのルールを決めておいた方がいいでしょう。IEが使えない、でも端末にIE以外のブラウザがない、となると別のブラウザをインストールするためにIEを使わざるを得ない、という笑えない状況に陥ります。

 

ブラウザのバージョンアップスピードは早くなっている

ChromeやFirefoxはブラウザの「自動更新」が標準になっており、ユーザーが意識せずとも勝手に最新版に更新されます。良し/悪しの面はありますが、セキュリティ面から考えれば常に最新にしておくのは正しい行為です。セキュリティ被害の原因の多くは、ゼロデイ攻撃ではなく脆弱性を放置された古いバージョンの継続利用です。

Microsoft自身も認めるとおり、自動アップデートはFirefoxやChromeなど現代の多くのブラウザで標準になっている。もっともFirefoxのアップデート自動化は比較的最近のこと。自動アップデートの先鞭をつけたのはGoogleで、Chromeブラウザの一つのセールスポイントになった。言うまでもないが、ブラウザを最新版にアップデートすることはセキュリティーを飛躍的に高める効果がある。Microsoftは親切にもこの点を実証する独自の調査へのリンクを提供している。それ(Microsoft Security Intelligence Report vol 11)によれば、2011年上半期に発生したセキュリティー侵害事件のうち、ゼロデイ攻撃(セキュリティ上の脆弱性が発見された際、問題の存在が公表され、ソフトウェアのベンダー等によって対策が取られる前に行われる攻撃)によるものは1%以下だったという。 Microsoftのレポートによれば、99%の攻撃はパッチを当てられていない既知の脆弱性を利用したものだったという。45%はソーシャル・エンジニアリング(身分を詐称して電話したりのぞき見したりするなど、コンピュータ自体を攻撃する以外の方法で秘密情報を入手すること)によるものだったというのも驚きだ。残念なことに被害件数の90%は1年以上前にセキュリティー・アップデートが行われている脆弱性によるものだった。1年以上も放っておくとは!

ついに! Microsoft、来年からIEを自動アップデートすると発表 | TechCrunch Japan

また、OSやブラウザの開発スピードが早くなっており、これまでの対応方法は通じづらくなっている現状があります。IE6から7が発表されるまでの間は5年かかりましたが、IE10から11が発表されるまでは1年です。どんどん短くなっています。

Internet Explorer – Wikipedia

それでもエンタープライズシステムが5年とかいうサイクルで使い続けてこられたのは、ひとえにIEが新しいバージョンに古いバージョンとの互換性を持たせてきたからです。しかし、独自進化してきたIEも標準化へ舵を切っており、過去の互換性を捨てていく方向にあります。そのあたりの内容は、以下の資料がわかりやすいです。

 

で、何が起こるのかというと、エンタープライズシステムの5年とかいうサイクルでは、ブラウザのバージョンはもたなくなっているということです。途中でバージョンアップすることが当然のように必要になるんじゃないかってことですね。予め計画に組み込むなどの対応が求められるでしょう。

 

ウェブの標準化が進み、ブラウザの互換性は高まるはず

とはいえ、一方で新しい波も来ています。それがウェブの標準化です。HTML5ってやつですね。

これまでは、各ブラウザが仕様を拡張していろいろ利便性を高めてきましたが、そのデメリットとして互換性が進みませんでした。違うブラウザで開くとレイアウトが崩れる、とか。なので、HTML5という規格でウェブの標準化が進められています。その結果としてブラウザの互換性も高まると思います。

このプレゼン資料を読めば、HTML5が何かがさっと把握できますよ。

 

 

今日はこのへんで。

参考:
IEブラウザの互換性問題の緩和方法 – とあるコンサルタントのつぶやき – Site Home – MSDN Blogs

経営を教科書で学ぶことの重要性

ゴールデンウィークが明けましたね。いろいろ「ゴールデンウィーク明けに対応する」って申し送っていたタスクを山のように片付けないといけない状況です。頑張らないと。

ゴールデンウィーク中は読書がはかどりました。で、その中に「星野リゾートの教科書」という本があったのですが、これがこれまでの僕の読書スタイルを変えないといけないな、と思わせる一冊でした。

 

簡単にいえば、ビジネス本を教科書として丁寧になぞり、正直に遂行することで経営を成功に導く、という考え方です。

 

都合の良い情報だけを選んでいないか

ビジネス本だけに言えることではないのですが、何かを知りたいと思って本を読んでも、数百ページある本の全てを一回読んだだけで吸収するというのは難しいものです。

これまでは、一冊の本の中からできるだけ多くのエッセンスを拾いたいという気持ちはあるものの、読み返すほどのことはなく、一度読んで心に残るものを集めて実行することをくり返してきました。飽きっぽい性格ということもあり、二度読むなんてことはほとんどしなかったわけです。それでも、「少しでもエッセンスを吸収できれば良いや」って割り切ってる部分もありました。

ただ、本当にそれで良いのだろうかってこの本は思わせるんですよね。本当に理解したと言えるほど、その本を読んだのかと。

 

セオリーを学ぶ重要さ

結局、経営理論をしっかり自分の中で理解し、行動に落とし込むためには、どこまで深く読めるかが重要になってくるわけです。そのためには、少なくとも自分は一回で理解するには足りないんだと思いました。自分の行動を戦略的に組み立てて、他人を説得できるほどに腹に落とすことが必要だと。

昔から「守破離」という言葉がありますが、やはり最初は「型」を知り、それを忠実に繰り返していくことは、どんな場面でも当てはまることなんだなって思った次第です。

経営学って、なんというか理論がたくさんあるのですが、あまり「学習する対象」になっていない気がするんですよね。MBAに行かないと経営者になれないわけではないですし。ただ、経営学はこれまでの歴史の積み重ねが行われていますし、実際に使える場面が多いことはこの本を読むとよくわかります。

 

というわけで、教科書となる本を探し、繰り返し読みましょう。

ヤフーが社員にフォロワーシップを求める理由

Yahooの勢いが止まらないですね。先日発表されたブックオフとの提携も、非常に面白い取り組みが始まったなって感じました。

Yahoo! JAPANとブックオフが資本・業務提携 / プレスルーム – ヤフー株式会社

 

以前のヤフーはどちらかというと保守的なイメージで、新しいインパクトを生み出す印象は薄かったのですが、最近はバンバン新しい取り組みを生み出している感じです。

で、そのあたりの経緯は以前このブログで記事にしました。

爆速経営 新生ヤフーの500日 | Synapse Diary

そして、「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」に、ヤフーの組織改革として「フォロワーシップを重視している」という箇所がありました。フォロワーシップというものを前面に掲げている組織、というものを僕は初めて知りましたし、経営戦略と組織設計は密接な紐付きもあります。なので、もう少し「なぜヤフーにフォロワーシップが求められるのか」をヤフーの最近の置かれている状況などから考察してみようと思います。

 

 

ヤフーが置かれている状況

ヤフーの過去5年の業績は、以下の通りです。好調ですね。特にここ2年は売上が過去3年より大きく増加しています。

社長が交代する以前から、ヤフーの業績は上昇しており、古参のIT企業はいつの間にか保守的な組織体質が出来上がってしまっていました。

これを打開するために、ヤフーは社長交代を行い、「課題解決エンジン」というミッションを掲げて「爆速」で進もうとします。

ただ、これらを実現するためには、内部の組織も戦略に合わせて変更する必要があります。適切な権限と評価制度が組織に組み込まれていないと、いつまでも社員の意識は変わらないからです。

これに対する答えが、マトリックス型組織とフォロワーシップです。

 

社員が主体性を発揮できる組織へ

硬直化した組織から、社員が主体性を持つように変えるためによく行われるのが、権限移譲と階層のフラット化です。

かつてジャックウェルチが就任したGEもそうですし、星野リゾートも今の社長が就任してからは大きく従業員に権限移譲しています。星野リゾートの組織設計に関しては、この本に詳しく書いてあります。

 

そのため、ヤフーではサービスマネージャーという役職を設け、人と予算の権限を与えます。一方で、専門性も育てるためにラインマネージャーも設け、マトリックス型組織にしたのです。マトリックス型組織は、柔軟性が高い一方で、リーダーが二人になるため、リーダーより下の社員一人一人に高い判断能力が求められます。そこで、評価制度の中にフォロワーシップの観点を盛り込んで、主体的な行動を評価できるようにしました。

ちなみに、フォロワーシップとは、組織全体やリーダーを支える行動を行うだけでなく、時にリーダーに代わりチームを引っ張る主体性も求められることが、意味として含まれています。

したがって、リーダーはビジョンを持って引っ張る、フォロワーはその方針に従って支えるというのが一般的な組織のイメージではありますが、同時に、フォロワーが組織を引っ張る、リーダーがそのフォロワーを支えるという組織も、その混在型組織も十分にあり得ます。先に出てきた「強く指示を出す」というアクションは、リーダーがやっても、フォロワーがやってもリーダーシップに違いありませんし、「現場が強い組織」とは、フォロワーがフォロワーシップと同時にリーダーシップも発揮して、自らやメンバーを引っ張る組織というとらえ方のほうが自然ではないでしょうか。
フォロワーシップとは何か [リーダーシップ] All About

 

まとめ

ヤフーは外部環境として、スマホの流れに対応するため、スピーディに事業を遂行していく必要がありました。

それを実現するための組織設計として、サービスマネージャーに権限移譲するためにマトリックス型組織にして、組織の中に主体性を持たせるためにフォロワーシップを評価制度に導入しました。4500人という大所帯を変えていくことは簡単な作業ではないと思いますが、それでもこれを遂行しなければならない、と判断されたのでしょう。

 

ヤフーはどんどん新しい取り組みを発表しています。それらの結果を見ても、改革はうまくいっているようです。最近のヤフーは躍動感があって、見ていて面白いですね。

 

最近、紙より安くなくても電子書籍を買うようになってきた

たびたび電子書籍の素晴らしさをこのブログでも書いてますし、周囲でも使っている人が増えてきています。そんな電子書籍ですが、最近は僕も電子書籍の買い方が変わってきました。

 

紙の本の価格と比較しなくなった

比較する場合もあるんですけどね。多少の価格差であれば、上回っていても電子書籍で読みますし、本当にすぐに読みたいものは価格に関わらず電子書籍を即買いします。

最初は紙の本と比較して、安い場合は買うことが多かったのですが、最近は購買動機が変わり、「利便性が高いので電子書籍で買う」ということが増えています

これ、なんでなのかと考えると、やっぱり便利だからなんですよね。今すぐに読み始めることができますし、外出中の隙間時間などいつでも読める便利さがあるからです。人は、一度便利なものを覚えてると戻れないとは良く言ったもので、本当紙の本を読む機会はどんどん減っていますし、割引などもありますが、読む量が増えているので、全体として本に使うお金は増えていると思います。

 

本を買うのではなく、サービスを買う

本というコンテンツもそうなのですが、すぐに読める、マーキングできる、どの端末でも読みやすい、という電子書籍特有のサービスを消費しているんだと思っています。

アマゾンのジェフ・ベゾスも「電子書籍はサービス」だと言っていたようですが、本当そうだと思います。ネットワーク通信、端末、アプリケーションという、本を買うだけでは使うはずがない部分が、電子書籍を読む場合はたくさんあるのですから。

こういう、顧客の行動そのものを変えてしまうというのは、すごい威力だと思うんですね。なので、ぜひ出版社の方々は、電子書籍を紙と同じタイミングで発売するのをデフォルトにしてください。笑

 

以前から書いていますが、電子書籍はもっと普及するはずです。便利だもの。そして、携帯やタブレットの普及を考えると、ゲーム、音楽、映画、本などのコンテンツはそれらの端末で消費されるのが主流になっていくと思うのです。

先日、三省堂で本を買ったら、電子書籍の割引クーポンをもらいました。リアル書店はオンライン書店に押されっぱなしでしたが、電子書籍というフィールドでどこまで対抗できるのかは今後のお楽しみという感じです。(Bookliveもたまに利用しています。)

 

また、「製造業も単なるモノづくりから脱却してサービス化しないといけない」と言われていたのははるか昔ですが、モノづくりや販売をサービスとして捉え直すことで新しい価値が生まれるんだな、というのは電子書籍を利用していて改めて思います。

今、「星野リゾートの教科書」を読んでいるのですが、サービス業も製造業から学べる部分があるんだな、と感心しました。こうやって異業種でそれぞれ考えていくと、新しい価値が生まれるきっかけになるんですね。

 

不確実性の高い現代で、リーンスタートアップをなぜ学ぶべきか

新しい事業を生み出すということは、非常に難しいものだと痛感する毎日です。限られたリソースと不確かな状況の中で事業を育てていくことは、空を掴む感じに近いな、と思うこともあります。

そんな迷いの中で、「リーン・スタートアップ」という本に出会いました。

 

おおよその考え方自体は知っているつもりでした。「ミニマムな製品を発表し、顧客のフィードバックを受けて、改善していく」という感じで。なので、最初はあまり一冊の本として読む気がしていませんでした。しかし、実際に深く理解しようと思ったときに、ちゃんと勉強しないといけないな、と思ったのです。

 

仮説をつくり、計測できる環境を整える

「リーン・スタートアップ」では、仮説を定めることから始まります。「顧客は○○という欲求があるから、このサービスを欲するはずだ」というようなものです。

─「成功とは機能を提供することではありません。成功とは、顧客の問題をどうしたら解決できるのか学ぶことです。

要は、「闇雲にやるな」ということです。それはコンサルでも「仮説思考」みたいな言葉があるように、最初に方向性を明確に定めておかないと効率が悪く、煮詰まったときに停滞してしまうからです。

 

そして、最小限の製品を発表するのですが、重要なのは「計測できる仕組みを構築しておく」ことです。 でないと、フィードバックループを回すことができません。具体的な計測・分析のアプローチとして、コホート分析や成長エンジンの考え方は非常に面白く、示唆に富んでいました。

コホート分析については、本より以下の記事の方がわかりやすいと思います。

コホート分析とは – Hive Color

なので、サービスを開始する前に、「どうやって計測するか」を考えておくことが重要になるのです。

 

不確実性が高い時代の事業のつくりかた

読んでいて思うのは、このリーン・スタートアップって、別にスタートアップに限定しなくても、適用できるところは多いよな、ということです。

不確実性はどんどん増していて、先を読むことが難しい時代です。IT関係でも技術革新が早く、「数年先を見通すのは難しいよね」という話がよく出ます。そういう状況の中では、スモールスタートがリスクが小さく始めやすいものです。そして、実績を作っていって、少しずつチューニングしながら育てていきます。

本書の中で、「バッチサイズを小さくする」という考え方が出てきます。基本的にリーン・スタートアップはトヨタ生産方式から転用されたものですが、まとめて大量生産するより1つずつ作る方が効率が良い、という実証にもとづきます。

同じ作業をくり返したほうが効率的に思える理由として、もうひとつ、くり返すほど作業に習熟するはずという思い込みがある。しかしこのようなプロセス指向の作業では、全体的なパフォーマンスに比べて部分のパフォーマンスは影響が小さい

もちろん状況によりけりだとは思うのですが、習熟による影響より、システム全体の問題の方が影響が大きいのだと思います。そしてシステムが成熟してくれば、経験による習熟の影響を考慮する必要があるのでしょう。

ここで言いたいのは、計測しやすい環境を構築し、事業を小さい形でリリースして、フィードバック→改善をくり返していけることが、不確実性の高い状況を乗り越える有効な手段だということです。

 

「でも、ある程度投資できないと事業として成立できないものも多いじゃん!」と思うかもしれませんが、それをITが変えていて、小さい事業体で運営できるようになっているのです。その一例がクラウドサービスであったり、クラウドソーシングだったりします。また、コミュニケーションコストそのものも低下していますし、最近だとセンサーなどの計測関係も発展しています。

このあたりは「ITビジネスの原理」が参考になるんじゃないでしょうか。
経営を志す人なら読むべき。「ITビジネスの原理」 | Synapse Diary

というわけで、新しい事業でも、新しいマーケティングでも、日々の中の新しい取り組みでも、リーンスタートアップの考え方は活用できるはずです。

タスク管理ツールはToDoistで決まりで良いんじゃないかと

自分のタスクを管理するというのは、モチベーションを高め、生産性を向上させる上で重要です。

 

タスク管理ツールはもう生活に欠かせない

学生の頃にGTDの考え方に出会い、紙でタスクを管理するようになってから、check*padに移行して、その後Remember the Milkを長らく使っていました。

Remember The Milkをカスタマイズして生産性を向上させる

 

基本的には、朝PCを立ち上げるとRemember the Milkを立ち上げ、常にタスクを確認しながら作業を行うことがすっかり習慣化されていました。これがないと、タスクの全体がわからず、不安になるほどです。あるとないとで、僕の生産性は大きく異なります。

 

ToDoistに乗り換えることを決意した理由

Remember the Milkとの付き合いが長かったのですが、このたび新しいツールに乗り換えることにしました。それがToDoistです。久しぶりにアプリの使いやすさに感動しました。

Todoist: To-Doリストとタスク管理。無料、簡単、オンラインとモバイル用

もちろん日本語化されています。

乗り換えを決意した理由は、以下の点です。

  • 機能としてRemember the Milkと十分対抗できること
  • iPhoneなどいろんな端末に対応していること
  • おしゃれなUIで軽く動作すること

正直、Remember the MilkのUIは古くなっており、使い勝手の面で進歩が滞っていると感じていました。iPhone版なんて、無料だと一日一回しか同期しないし。。。

それでもこれまで使い続けてきたのは、同じ程度の機能を持つWebサービスが見当たらなかったためです。

ITトレンドはどんどん変わっており、然るべき対応をしていかないと、こうやってスイッチングされてしまいます。ToDoistを少し触った時点で、Remember the Milkを使う理由が無くなってしまったというのが正直なところです。

 

ToDoistの良いところ/気になるところ

良いところ

ToDoistは、プロジェクト単位でタスクを登録し、タスクの階層管理することができます。より構造的にタスクを管理できるので、お気に入りです。一人でも複数のプロジェクトを持っていますし、タスクも階層的にブレイクダウンできる方が管理しやすいというものです。

 

気になるところ

リピートタスクの日付指定がわかりづらいということでしょうか。リピートタスクを結構多く登録しておくのですが、記入方式がわかりづらいんですよねえ。。。Helpページにある通りに入力してもエラーになるし。

Todoist 日付と時間の挿入

というわけで、少し調べたら英語で入力する方が簡単でした。

毎月1日 → ev 1st 隔週 → ev 14 days starting 4/28/2014

 

まだ少し操作に慣れていませんが、それも時間の問題かと。全体として使い勝手はとても良いです。タスクツールは日々の自分の生産性を決める、大変重要なものです。積極的に使っていきましょう。

 

参考:
惚れた…もはや手放せないタスク管理ツールの決定版「Todoist」 : ライフハッカー[日本版]
えふすくBlog 2ndSeason: えふすく的Todoist活用メモ

文明の発達の違いはなぜ起こるのか

随分前に話題になった「銃・病原菌・鉄」を読みました。知的な刺激受けっぱなしな内容でした。ちょっとボリュームがあったので、他の本に浮気しつつで読み終わるのに時間を要しましたが。

 

本書は、世界を見たときに文化の発展に違いが生じた理由を解き明かすもの。具体的には、こういう疑問を解消してくれます。

ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌の犠牲になったアメリカ先住民や非ユーラシア人の数は、彼らの銃や鋼鉄製の武器の犠牲になった数よりもはるかに多かった。それとは対照的に、新世界に侵略してきたヨーロッパ人は、致死性の病原菌にはほとんど遭遇していない。この不平等なちがいはなぜ起こったのだろうか。

そしてそれが本のタイトルにある「銃・病原菌・鉄」になるのですが、要因はもっと奥深いところまで分析されています。結論としては、以下の文に尽きます。

私ならこう答えるだろう。人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸に居住した人びとが生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたからである、と。

というわけで、ヨーロッパが文明を発展させ、他の国を侵略したりしたのには理由があることがわかります。そして、環境によって文化に発展に違いが生じるのだとすると、現在でも活かせる教訓はなんでしょう。

 

人が集まり、そして競争する

仮想でもリアルでも良いのですが、文明を発展させるためには、人が集まり、分業して作業効率を上げていく必要があります。歴史でみれば、それが農耕であり家畜です。農作物の生産性が向上したから、組織が発展し、農作業以外の専門的な作業を担う人も登場しました。

人が集まり都市が形成されれば、インフラ効率などあらゆる生産性が向上すると言われています。

都市および組織の意外な数学的法則 | Synapse Diary

つまり、人を集約し分業を進めることで、全体の生産性は向上するというわけです。これは農業だけの話ではなく、組織全般に言えることです。

 

そして競争も重要な要素になります。ヨーロッパと中国では、文明の発達は中国の方が早かったのに、ヨーロッパの文明が発達した理由も説明されていました。

また、国内の政治状況に対応するために、既存の進んだ技術を後退させていった多くの国々を思いださせるが、中国は国全体が政治的に統一されていたという点でそれらの国々とは異なっていた。政治的に統一されていたために、ただ一つの決定によって、中国全土で船団の派遣が中止されたのである。

逆にヨーロッパは、地域としては人や知識が交流しやすかったものの、国は多数が群がっており、どこかの国が失敗しても、別の国でイノベーションが起こる、ということが起こりやすい状況でした。中国は、統一されていたが故にひとつの判断の誤りが、全体を停滞させる結果につながったということです。組織にダイバーシティが必要な理由のひとつも、このあたりにあります。

 

人が集まること、そしてその中に競争環境があることは、組織・文化が発展していく上では重要なことだ、というのが本書では歴史的な観点から立証されています。

 

移動によって環境を変えることができる

グローバルでは、地域・言語・文化を超えて移動できる人が、最先端の場所で活躍できるようになっています。それぐらい、世界の労働市場は流動的になっています。

Human Resource Managemenの講義を受けて | Synapse Diary

日本はただでさえ、日本語という言語の壁が生じやすく、かつ保守的だとも言われています。環境の要因によって文明の発展が変わるのだとすると、人は移動できる方がいざというときに有利だということです。

人が集まる環境を作ることも、同じぐらい重要だとは思いますけどね。

 

普及するためのドライバー(要因)を考える

本書では、東西に伸びたユーラシア大陸の方が、南北に伸びたアフリカ大陸やアメリカ大陸に比べて、農業が普及しやすかった点が挙げられています。これは、東西であれば気候の違いが生じにくく、どこかで確立された農業手法を適用しやすいからです。

目からウロコでした。必ず、普及していくためのドライバーとなるものがあるんだなーと感心したのです。日本でみても、本州は南北に伸びているところと東西に伸びているところがあります。これによって、有利になることも不利になることもそれぞれの地域であるのでしょう。

何かを広めようと思うときに、それを促進させる要因や阻害させる要因というのは、環境にあるのかもしれません。

 

上記の考え方は、今後の働き方や仕事への取組み方に対しても使えるものなんじゃないかなーと。

 

ロイヤルホストはなぜ業績が好調なのか

先週のカンブリア宮殿は、ロイヤルホストでした。低迷するファミリーレストラン業界の中で、高価格路線で業績が上がっています。ロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスの業績を見てみたのが、以下のグラフです。ただ、ロイヤルホールディングスとしてホテルとか機内食なども運営していて、ロイヤルホストの売上は全体の1/4近い割合です。

特に、営業利益率の伸びが良い感じですね。好調なのがわかります。

royalhost

高級食材による客単価の向上、呼び出しボタンやドリンクバーをなくした接客サービスの刷新を図っています。なんでロイヤルホストがこのような戦略を取るのか、ファミリーレストランの業界動向から紐解こうと思います。

ちなみに、今回の記事を書くにあたって、ファミリーレストランの歴史に興味を持ってこの本を読みました。

ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦

ビッグデータやアナリティクスというのは、すっかりバズワードみたいな感じになっていますが、実際、ビッグデータ・アナリティクスに求められる要素はなんでしょうか。

この「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」では、様々な企業がITを活用して、自分たちのビジネスモデルを発展させようとする取組みが紹介されています。

本書のテーマはこれです。

新しい技術の存在は認めつつも、手を出せない大企業。しかし、そんな大企業の中にもこの変化に対応しようとする組織が登場しつつあります。それらの組織がいかにして「組織の壁」を超えたのか。

IT技術はめまぐるしく発展し、事業スピードも速くなっています。その中で、変化に対応するというのは、企業戦略上非常に重要な要素です。

 

ビッグデータ・アナリティクスにいろんな企業が取り組んでいる

この本では、いろんな企業の取り組む事例が紹介されています。

スターバックスは、「フォースプレイス」という概念を提唱し、Web上で顧客体験を向上させる取組みを進めています。

ここに近年、第4の場所「フォースプレイス」構想が加わりました。この「フォースプレイス」とはTwitterやFacebookといった「デジタル空間」を指しています。
この「フォースプレイス」によって今まで店の中でしか築けなかった「スターバックスの経験」を店の外に拡張できるようになりました。ソーシャルメディアを中心としたデジタルによる顧客との新たなタッチポイントはすでにFacebook3190万、Twitter288万フォロワーに成長し(スターバックス本体の数字)、物質の世界で培ってきた40年間の顧客との信頼関係を「店」の外へ複製し、経験を共有することが可能になりました。

日テレは、ネットとの融合を進めることで、視聴者の同時視聴による体験の向上と、視聴率に代わるメディア価値の可視化を進めています。最近では、Huluを買収してましたね。

トヨタが「トヨタフレンド」というSNSを展開していたことは、この本で初めて知りました。車に乗っていない時も「車とブランド」を想起してもらうのが狙いのようです。

【プリウスPHV 3か月検証】SNSトヨタフレンド、見えてきた成果と課題 | レスポンス

それぞれが、どのような経緯から取り組むことになったのかは、本を読んでいただければわかります。

 

スモールスタートで推進する仕組み

とても当たり前の話になってしまいますが、事業環境の変化がとても早く予測が難しいので、いかにクイックに立ち上げてPDCAサイクルを回すかが重要になっています。クラウドなど低価格で利用しやすいITサービス環境が整ってきたことも後押ししています。

あとは、組織の問題ですね。本書の事例でも、やはり担当者やリーダーの一声で「まずはやってみる」という流れが生まれてから進んでいるケースがありました。大きなミスをしないようガバナンスすることも重要ですが、勢いを生み出して進んでいくことも非常に重要になっています。

そういう意味では、上記に挙げた事例が「成功している/していない」の尺度だけで評価されるのではなく、アイデアや組織も含めて取り組むアプローチが参考になるんじゃないかと思います。

 

ビッグデータやデータアナリティクス系の本は増えていますが、日本を含めて事例を細かく記載した本はあまりないんじゃないでしょうかね。