日本も脱原発に向かう

とはいえ、米国で原発が作られなくなったことで、軍産複合体の一部門だった原発産業は仕事を失った。代替策として考案されたのが、日本や西欧など対米従属の同盟諸国に米国の技術での原発増設を加速させ、原発産業が米国で儲からなくなった分を同盟諸国での商売で取り戻す策だった。対米従属が戦後の最重要の国是である日本では、米国からの依頼(命令)であれば、活断層などあらゆる危険性を軽視して原発が増設された。対米従属の国是を推進する右派(右翼)が原発を強く推進する構図ができた。

 このような流れの結果として、日本は、地震大国であるのに原発大国となった。しかし、今回の震災後に米政府が日本に脱原発を押し売りしていることから考えて、すでに米国側は、同盟諸国に原発を売って自国の原発産業の儲けを確保する戦略をやめた可能性が高い。西欧諸国も次々と脱原発している。いまだに原発に強くこだわっているフランスは、米国と別の独自利権だ。フランスは、1960年代に対米従属をやめて自主独立の国是を開始して以来、米国から自立した独自の原発産業を持っている欧州で唯一の国だ。
フランスの変身

 米国の原発産業の2大企業は、ゼネラル・エレクトリック(GEエナジー)とウェスティングハウス(WH)だが、いずれも2006-07年に日本企業に事実上身売りされている。WHは06年に東芝に売却された。GEエナジーは07年に日立との企業連合体(GE日立ニュークリア・エナジー)に変身した。東芝の買収額は、WHの企業価値をかなり上回る高値買いだったが、当時は、これから中国など新興市場諸国が原発をどんどん建設するはずなので、東芝のWH買収額は高くないと言われた。

 しかし今になって考えてみると、新興諸国の原発建設が増えてWHが儲かるのなら、そもそもWHが身売りに出されることもなかったはずだ。WHは、00年に英国の国営核燃料会社(BNFL)に買収されたが、BNFLは6年後に東芝にWHを売却した。BNFLを所有する英国政府は、00年にWHを買ったときは新興諸国の原発が増えて儲かると考えたはずだ(BNFLはWHと同時にスイスのABBの原発部門を買収した)。だが、06年にWHを売却したとき、英政府は、もはや原発が儲かるとは考えていなかったことになる。
Westinghouse Electric Company From Wikipedia

こういう角度から考えるのも面白いもんだなあ。

プロフェッショナル・コンサルティング

波頭 亮¥ 1,575

なんか重い本かと思っていたら、意外に読みやすかった。対談形式だし。いろいろ気になったので、抜粋してく。

(冨山)

米国の場合は、テレビメーカーにしても本質的に日本と補完だったので、譲ってもらったようなところがあった。本当のガチンコまでは行かないで、彼らは彼らで違うところで戦おうと違うマーケットに行ってくれた。GEだって競争回避の戦略を採っていました。彼らは選択と集中の枠においては、日本のプレーヤーが得意だった領域は彼らが捨ててきた領域なんです。

しかし、韓国や中国はそうではない。補完しない近似モデルですから、完全にガチンコ。P.17

本当かどうかはわからないけど、日本が航空業界に深く入り込んでいないのも、こういう棲み分けを図ったからという話もある。だけど、今は状況も変わり、土俵も変わっている。

(波頭)

一方、東京は日本の中では情報も人材も圧倒的に集中しています。だから東京にいればわざわざ直接海外に出かけていかなくても、世界中のヒト、モノ、情報が手に入ります。その条件の良さが返ってアダとなって海外指向が先鋭化しなかったのでしょう。P.50

東京にはあらゆるものが集中しすぎていて、東京本社の日本企業は海外志向になりづらいという話。制約が大きい方がイノベーションが生まれる、というのと近いのかもね。確かに、東京にいたときはいろんな情報が豊富で近かったと実感する。人を媒体にした情報の伝達が一番大きいかな。

(波頭)

でも、今みたいにインテリジェンス・インテンシブ(知識集約的)な産業がパイを稼ぐ時代になると、やっぱり突出した人間がいかに活躍するかで生み出されるパイの大きさが左右されるわけです。だから、そこにフォーカスしたマネジメントにシフトしないと日本は企業も社会も持たない。P.71

大人げない大人になれ!」でも書いてあったけど、突出した人間に価値が集中しているんだよね。経営層がそういう価値観にシフトして、人でもアイデアでも良いものは抜擢していく仕組みがないと、なかなか難しい気がするなあ。

(冨山)

クライアントとの関係って、どっちが考え尽くしたか、喧嘩をしているわけだから。P.98

これはその通り。考えるのって一瞬と思われるけど、思考の深さにはある程度時間と比例関係にあると思うな。経験とともに短い時間で深く考えれるようにもなる気がするけど。そして、最後にはどちらが深く考えれたかの勝負な気がしている。そういう緊張感が、苦しくも刺激的でもある。

(波頭)

だから、ファクト(事実)を共有化してある目的を設定しさえすれば、あとはロジカルに議論していくことで合理的なコンセンサスに到達することは可能なわけです。仮に思考的スタンスや好き嫌いが多少あったとしても、少なくともきちんとした議論はできる。今の自民党と民主党って、議論になってないでしょ。国の政策のあるべき論ではなく、権力闘争を目的にしているから、あんなかみ合わない不毛な議論に落ちてしまう。政治家って直接話したらみんな頭いいんですよ。知識もあるし、頭の回転も速いんだけど、答弁になると変わる。政治のためにやっているのではなくて、権力のためにやっているから。P.119

政治家の議論がなんであんなに空転するのか、という話。才能の問題ではなく、インセンティブ設計の問題だよね。

(波頭)

論理的思考力、つまりロジカルシンキングの力とは、ものごとを正しく考えるための基礎的な能力です。考えるテクニックではなくて、脳みその筋力と言ってもいい。P.136

新人トレーニングのとき、先輩社員に「脳みそは筋肉と一緒。鍛えれば鍛えるほど賢くなる。」と言われて、そんな考え方したことなかったから、自分の中で鮮烈だったのを覚えている。そして、この本で同じことが書かれていたよ。確かに、ロジカルシンキングは訓練。訓練すれば、論理的に構成されていないものの違和感に気づけるようになる。

(波頭)

まとめると、ロジカルコミュニケーションは、正確にロジックを展開して伝えるという正攻法もあるけれど、聞き手の知識や思考の性質に合わせてメタファーやメッセージとして伝えるやり方も使えるようになっておく必要がある、ということです。P.151

論理的思考を鍛えることと、それをコミュニケーションに発揮するのは、似てるようで違うよ、という話。単純に論理を振りかざすのではなくて、論理構造をちゃんと理解して、どこがうまく伝わっていなかったり、感情の要素が働いているかがわかった上で伝達手段を考える必要があるってことだよね。

(冨山)

逆に年功制を守ろうとすると終身雇用は崩壊する。年功序列が残って、終身雇用が壊れる。意外にそうなってしまう場合は多いんですよ。上の世代の既得権に切り込めず、年功的要素が残ってしまい、終身雇用の方が危うくなっているところがありますよね。組織内の人たちのリアリティとしては、年功序列のほうに結構、しがみつくんです。年功序列で権力を持っている上の世代が自分たちの年功特権と終身雇用だけを守って、若い世代については、終身雇用を事実上、放棄してしまうパターンです。P.244

終身雇用と年功制の話。両方守るか両方捨てるか、みたいな感じで議論されることが多い気がするんだけど、どちらかというと組織転換に影響が大きいのは年功制だってことだよね。年齢とともに仕事の能力が向上するのは30代ぐらいまでな気がするので、そこらへんから賃金カーブを調整するように変えていかないといけないと思うんだけど、なかなか既得を崩すのは難しいよね。

それにしても、見事にカタカナ語が多い本だな。笑

カルコスの不思議

岐阜に来て、本の購入には絶対困ると思っていた。都心型の書店とは品揃えが絶対違うから。だけど、良い意味で裏切られたのがカルコスの存在。

 

 

確かに郊外型なので、店舗レイアウトや書棚の並べ方も普通というか新鮮味に欠ける部分はあるかもしれないし、いろんな点で都心と同等とはいえない。だけど、専門書なども含めて、バランスよく揃えられている。少しマニアックな専門書やビジネス書でも、欲しい本はそれなりに見つかる。

 

 

 

 

書店でアルバイトしてたので、郊外型書店の経営の厳しさみたいなのは垣間見た。配本は卸業者に管理されていて、返品率が高い店には売れる本も含めて全体的に配本されない。逆に、売れどきを逃したときに配本されてきたりして、また返品率が上がるという悪循環を形成したりする。

 

 

 

 

カルコスは、どうやってこういう部分を解消したのだろう。すごい興味ある。従業員160名かー。6店舗しかないのに、従業員多い気がするけど、どういうビジネスモデルで回してるんだろうか。。。。。
 株式会社ナレッジ・デザイン

 

人口と財政力指数の相関関係

気になったので、人口と財政力指数の関係を確認してみた。データは、やや古いけど平成19年度。

ちなみに財政力指数とは。

財政力指数(ざいせいりょくしすう)とは地方公共団体の財政力を示す指標として用いられるものであり、基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値である。通常は過去3カ年の平均値を指す。

財政力指数が1.0を上回れば地方交付税交付金が支給されない不交付団体となり、下回れば地方交付税交付金が支給される交付団体となる。したがって、地方交付税交付金が地方公共団体間の財政力の格差を調整するために支給されるものであることを踏まえると、その性質上必ずしもすべての地方公共団体に地方交付税交付金が支給されるわけではないが、近年において日本全国47都道府県の中で1.0を上回っている都道府県は、東京都と愛知県しかないため、東京都・愛知県を除くすべての道府県に支給されているのが実状である。また、市町村は、一部の市町村を除き1.0を上回っていない。

なお、2004年度から2006年度における第1期の三位一体の改革に伴う地方への税源移譲により全国的に高くなる傾向にあるが、社会保障関係経費等の増嵩もあることなどから必ずしも地方財政の自由度が高まっているものを示した指標にはなりえていない状況にある。

財政力指数 – Wikipedia

まあ、自治体の財政力を図るひとつの指標ですね。その結果がこれ。横軸が人口。縦軸が財政力指数。

f:id:synapse23:20110712194908p:image:w640

(平成19年度人口増減率ランキング、財政力指数ランキングを元に作成。)

これを見ると、人口が多くなればなるほど、財政力指数のバラつきが低くなるのではないか、という仮説がみえる。逆に、人口が少ないほどバラつきが大きい。

試しに違うグラフも作った。全国の自治体の人口をパレート図で表したもの。例えば、人口50万を超える都市って全体の3割ぐらいになっている。

f:id:synapse23:20110712195234p:image:w640

日本の市の人口順位 – Wikipediaを元に作成。)

人口が少ない自治体ほど経営努力によるインパクトが大きくて、財政に余裕があったりなかったりの幅が大きいという仮説ができあがる。

大きいほどブレ幅が小さくなるのは、人口増による税収増加や、人口が集まる都市部の経済活動によって収益が安定するからかもしれない。逆に人口が少ないところは産業が安定していなかったり、衰退産業を抱えていたりするので、税収が安定しないのかもしれない。

人口があまり多くない都市に住んでいる人は、ちゃんと自分のまちの財政状況をチェックした方が良いのかもしれないし、都市部はなんだかんだ安定しているかもしれないから、充実した行政サービスを受けるなら都市部の方が良い、という選択も考えられるかもなあ。

いや、あくまで数値だけを元にした思考実験ですよ。

起業のファイナンス

磯崎 哲也¥ 2,310

 

今までにない切り口の本だよね。主にベンチャーで起業しようという人には、参考になる内容ばかりだろう。事業計画の作り方や企業形態、資金計画、資本政策など、起業のマインドを中心に書くものではなく、起業してからどうやって育てていくか、というところまでもわかりやすく書かれている。

 

 

そういう具体的な要素もそうだけど、やっぱりこういうのを読むと、

 

「イケてるソーシャルグラフの中に潜り込んで、自分の必要をかなえる能力」、たとえば、「資金を出してくれる人にたどり着いたり、人材などを見つけ出したり、営業で成果を上げる能力があること」
ということになります。P.115

 

地域的な集合による情報・ネットワークの密度というのは、とても重要なんだなあと再認識。人を採用するにしても、地域的に人材の流動性が高いと、優秀な人材の確保のハードルがぐっと下がるよな、というのが東京にいたときの実感。

 

岐阜にもソフトピアジャパンという情報産業集積があるけれど、どこまで起業やイノベーションに結びついているのかなあ。

Podcastメモ

Podcastって、一時期注目された割にはあまり面白いコンテンツがなく、自分の中で随分下火になってたんだけど、久しぶりに見たらちょっと優良なコンテンツもある気がした。

 

Dig – TBS RADIO 954kHzによる無料 Podcast

社会ネタ。マニアックだけど、法案系のネタが取り上げられることが多い気が。

 

 

オンザウェイ・ジャーナル – JAPAN FM NETWORKによる無料 Podcast

 

いろんなコンテンツがごちゃごちゃしてるんだけど、はっきり言えば、主に田原総一朗だけ聴いている。

あとは、これも結構面白いよ。

それでも3つか。。。。
なんか他に良いのないかなー。移動中の暇つぶしとして、情報収集ネタが欲しいんだけど。

新聞のビジネスモデルの今後

Dig – TBS RADIO 954kHzによる無料 Podcast

これで、新聞のビジネスモデルについて語られていたのでメモ。

 

新聞発行費用の65%は、印刷、インク、販売代。電子化すれば、これらは不要になる。ただ、日本の新聞業界は長い期間競争にさらされることがなかったので、販売店網をいきなり壊すことができず、紙媒体を前提としたサービスにしてしまう。日経や朝日の電子版の料金体系が象徴的。

 

この記事を読むと、新聞の発行部数はどんどん少なくなっているのがわかる。

しかし、若い人は新聞を読まなくなっている。学生なら新聞の購読者は2~3割しかおりません。彼らは紙でなく、インターネットの電子媒体でニュースを見ているんですね。ネットがあるから新聞はいらないという若い人が増えています。4年に1度ずつ、新聞協会は調査をしているのですが、じりじりと購読率は下がっており、2012年には1世帯当たり0.8部になると推計されています。

実はいろいろな水増し部数を差っ引いた日本の新聞の本当の実力は1.0部程度なんです。これが0.6部や0.7部に落ちると、販売網を維持できなくなります。

『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』(その1) / SAFETY JAPAN [インタビュー] / 日経BP社

 

あと、アメリカに比べて、日本は販売収入に頼っているようだ。電子版にスムーズに移行できない理由はこの辺にもありそう。まあ、日本語圏という限られたマーケットで勝負している、というのもあるのかもしれないけど。

日本の新聞の広告収入が35~40%程度に対して、アメリカでは80%以上が広告収入。ニューヨーク・タイムスにいたっては95%も広告です。広告収入が維持できれば、思い切って電子に移れる。ところが日本は販売収入に大きく依存しており、決断できないのです。

『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』(その1) / SAFETY JAPAN [インタビュー] / 日経BP社

 

 

今後、全国紙が淘汰されたりとか、地方新聞がもっとローカライズしてコンテンツを磨いていくのか、とか、新聞のビジネスモデルがどう変わっていくのかは非常に興味がある。

Androidアプリ「ComicAlarm」

コミックの発売日をアラートで教えてくれるAndroidアプリ。まじ便利。自分が集めてるコミックを登録しとくだけ。新刊発売日はGoogleカレンダーにも登録できる。

ComicAlarm – Android マーケット

 

ちなみに今読んでるやつ。

 

TwitterのEmbedコード生成

さっきのポストを書くときに調べたので、ついでにメモ。

Blackbird Pie – Twitter Media

ここがメジャーどころかな。 ただ、Posterousではうまくいかなかったので、ちょっと調べたらBookmarklet作ってる人がいた。そっちだとちょっと見栄えがマシになる。

Blackbird Pie(ツイートのブログ貼付けツール)をPosterousで使う方法 – exdesign

Real-time curation » Blog Archive » Blackbird bookmarklet: publish a tweet in html

 

Bookmarkletの方が楽だよね。

Twitterで名言botをフォローする

最初はくだらないと思ったんだけど、Twitterで名言botをフォローするのも結構悪くないかなーと思ったり。タイムラインのぞくと、なんか名言つぶやいてるし、読んでしまえば何となくそのことについて考えてしまうわけで。

 

というわけで、フォローしているbot。

本当の貢献を必要とするのであれば、それあらの貢献を行った人たちに報いなければならない。 http://ameblo.jp/drucker365/Thu Jul 07 03:45:03 via TTM API

いわずとしれた経営の巨人。たくさん気づきを与えてくれる。たまに言葉が重すぎて、辛くなるときがあるけど。

 

未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。Thu Jul 07 02:45:04 via youbird

イノベーションの神様。いろんなエピソードを聞くと、変わった人だとも思うけれど、端的な言葉選びはセンスあるよね。

 

偉大な企業の構築と外部からのCEO招聘の間には強い逆相関関係があることが分かっている【ビジョナリー・カンパニー3】http://amzn.to/cMapIb #meigenThu Jul 07 04:00:01 via 140moji.org

いろんなビジネス書の一部を抜粋してつぶやく。バリエーションもそれなりに豊富。アフィリエイトリンクが含まれていて、考えた人はちょっとうまいなーと感心。

 

もらったものは、買ったものより、ちょっとおいしい。   (西武百貨店/2000/岩崎俊一)※7月7日は「ギフトの日」Thu Jul 07 01:01:27 via Twit Delay

広告のコピーをつぶやくやつ。これも結構面白い。広告のコピーって、やっぱりワンフレーズで惹きつけるように考えられているから、言葉が練られてるんだよね。

 

やーい、お前の母ちゃんエグザイルWed Jul 06 20:15:30 via twittbot.net

なんというかね。発想がすごくて。。。。

 

いろんなこと考える人がいるよね。言葉というのは、いろいろ面白い。