ソーシャルメディアの多様性は失われない。新しいサービスが登場するから

ソーシャルメディアに関して、興味深い記事を読みました。面白いけど、別の見方もあるんじゃないかと思ったので、ここに書いておこうと思います。

多様性が失われるソーシャルメディア、「沈黙のスパイラル」へ(田中 善一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース

 

今はコミュニケーションの多様化の過渡期

ITが勃興してから、様々なコミュニケーションツールが生まれては消えてきました。

メールやメッセンジャーから始まり、GREEやmixiなどのSNSが登場してきました。その後、FacebookやTwitterが台頭し、今はLINEが躍進しています。また、Yammerやslackなど、社内SNSなどのコミュニケーションツールも普及が広がっています。

ここから言えるのは、時代の中で様々なツールが登場してきており、目的やターゲットに応じて細分化してきています。その中で、人々は複数のコミュニケーションツールを使って、人や状況に応じて使い分けている、ということです。

約75%前後の人が、リアルな環境(会食時)で家族や友人となら議論したいと答えていた。一方でフェイスブックやツイッターの場の議論に加わりたいと答えた人は約40%に過ぎなかった。ソーシャルがリアルの代替になりえていないようだ。
多様性が失われるソーシャルメディア、「沈黙のスパイラル」へ(田中 善一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース

FacebookやTwitterにここまで期待するのは、正直難しいかなと思っています。オープンなSNSでは、議論が難しいことが分かってきていますし。単に「議論するためには違うコミュニケーションツールが必要」ということだと思っています。

 

「沈黙」するようになったのはキャズムを超えたから

Twitterは2006年にサービスを開始し、日本のユーザー数は2000万人を超えています。Facebookは2004年にサービスを開始し、こちらも日本のユーザー数は2000万人を超えています。

日本の主要なSNSのアクティブユーザー数を調べてみた | Hivelocity ハイベロシティ

イノベーター理論によると、イノベーターとアーリーアダプターで16%程度が占められるので、日本のユーザー数を多く1億人とみても、今のTwitterやFacebookはキャズムを超えてアーリーマジョリティまでは使っています。そうなると、いろんな人が登場してきますし、オープンであるがゆえに議論や交流を高度に行うのが難しくなります。

Twitterは2009年から使っていますが、雰囲気はどんどん変わっている気がしています。昔はもっと牧歌的で議論しやすい空気がありました。

 

また新しいコミュニケーションツールが登場する

新しいコミュニケーションとして、NewsPicsもあります。NewsPicsはニュースメディアかもしれませんが、誰が意見を言ったかを可視化することで、議論を生み出しやすい仕掛けになっています。

今あるコミュニケーションツールが、ユーザーのニーズを満たしていないならば、それを解決するサービスがいずれ登場するでしょう。FacebookやTwitterに全ての解決を望む必要はないと思います。

 

Facebookの規程改定から、企業と顧客のコミュニケーションルールを考える

Facebookが、「いいね!」と引き換えに何か景品などのアドバンテージを与えることを禁止する条項を定めました。

もう1つは、ユーザーに何らかのインセンティブを与えてソーシャルプラグインの利用やFacebookページへの「いいね!」を奨励することの禁止だ。例えば「いいね!」すれば何らかの報酬を与えるとか、ゲームやアプリの特別コンテンツを提供するといったことを禁じる。

Facebook、プラットフォームポリシー改定で「いいね!」インセンティブを禁止 – ITmedia ニュース

これ、とても良いことだと思います。以前から、「何か欲しければ、Facebookページに「いいね!」を押してください」という行為があまり好きではありませんでした。

何が嫌かといえば、「与えられること」と「与えること」が直結していない感じがするからです。何か、こちらの弱みを握られる代わりに差し出してる気がしてならないんですよね。

 

ベネッセの個人情報取得方法も似た感じを抱いた

ベネッセは、水族館などの家族連れが集まる場所で、スタンプラリーイベントなどを開催していました。個人情報漏洩事件が起きてからは、控えていると思いますが。

このスタンプラリーでも最後に景品が用意されているのですが、その代わりとして「個人情報を書いて」というパターンで個人情報を収集しています。子どもを持つ親としては、「子どもに景品をあげたいが、個人情報は渡したくない」というジレンマと格闘することになります。

あと、ショッピングセンターでも、子ども用に風船などをプレゼントする代わりにアンケートを、ってやつも多いですね。

 

長期的関係を構築するのに有効か

AmazonやGoogleに代表されるような、インターネット会社もデータを取得していると言われていますが、悪質なものを除き、基本的にはそのデータを引き換えにユーザーにインセンティブを与える、と理解しています(少なくとも僕は)。

なので、インセンティブと、その引き換えに顧客やユーザーが提供するものは、ある程度直接の関係がないと、「人質に取られている」感が出てしまうので、長期的に見たときにユーザーとの関係が良くないんじゃないかと思います。

また、個人情報の取り扱いについては、どんどんセンシティブになっている気がします。これまでは許されていた行為が、徐々に許されなくなるような価値観の変化も起こっていると思います。

 
そういう行為にも配慮しながら、企業はユーザーとコミュニケーションを図らなければいけないな、って思いますね。

AmazonとGoogleがオンライン広告でガチンコ勝負に向かっている模様

ネット界の巨人同士が面白い展開になってきています。アマゾンが、オンライン広告市場に本格的に進出するというニュースがありました。

米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが、オンライン広告市場で優位に立つ米グーグルへの攻勢を強めている。多数のアクティブユーザーの情報を生かした広告をインターネット上に掲載するための独自のソフトウエアを開発している。

アマゾン、オンライン広告事業でグーグルへの攻勢強める – WSJ

 

購買情報をずっと狙っているGoogle

Googleは、以前からずっとECサイトなどの購買履歴に関する情報を狙っています。Google認定ショップや、Googleホテル検索など、より購買行動に近いところまで進出してきているのは、購買データを自社で取り込みたいからです。それらの流れについては、以前このブログで書きました。

Google認定ショップがECサイトの救世主になるのか

それだけ、よりダイレクトに顧客の購買行動に近いデータは、広告のマッチング精度を引き上げるでしょう。グーグルはオンライン広告市場全体の1/3のシェアを占めていると言われていますが、Facebookも台頭してきてますし、タブレット・スマートフォンではGoogleを経由しない検索も増えており、精度向上は必至です。

Googleなどの大手検索エンジン、深刻な売上シェアの減少。検索に取って代わりつつあるニッチなアプリ | TechCrunch Japan

 

新しい広告プラットフォーム構築を狙うアマゾン

今回Amazonは、新しい広告プラットフォームを構築しようとしているようです。購買行動のデータを山ほど持っているAmazonとしては、広告の精度向上をアピールして市場に進出したいということなのでしょう。これまでも両社はクラウド・ストレージなどのサービスで衝突してきましたが、広告でも衝突することになります。

Amazonの強みは、単なるECサイトを運営する小売業者ではなく、テクノロジー企業だということです。なので、自社で蓄積したデータを使い、新たな収益源を構築することもできます。

結局、テクノロジーを使えるかが一番重要であることは間違いないですが、次はそのテクノロジーを活用するためのデータを持っているかが競争優位性になってきているのは間違いありません。

Googleは売上は伸びていますがクリック単価が減少してきており、やや苦戦の気配がしつつあります。

ニュース – GoogleのQ2決算は22%増収、しかし利益はアナリスト予測を下回る:ITpro

また、Amazonの戦略は常にペネトレーションプライスで勝負をしかけ、一気にシェアを奪うのがこれまでの王道手段になっています。

 

生活やビジネスに大きな影響を与える2社の動向は、本当おもしろいですね。

安心を得るために読む。自分でつくるセーフティネット: 生存戦略としてのIT入門

現代が生きやすいか、生きにくいか本当のところはわかりませんが、今の世相を捉える上で本書はわかりやすく面白いと思います。ライトでさくっと読めるのも、休日に読むのに良い感じです。

 

佐々木さん(@sasakitoshinao)の本って結構読んでいて、「「当事者」の時代 」とか「キュレーションの時代 」とか「レイヤー化する世界 」とか、時代の感覚やトレンドを掴み、表現される内容に納得感を持ちやすかったりします。

で、今回読んだのが「自分でつくるセーフティネット」。なんかわかりづらいタイトルだなって思いましたが、端的に今後の生き方を提案されていて、同意できる点が多かったです。

 

「政府や社会、企業が守ってくれる」感が乏しくなっている?

僕は就職したときから終身雇用は崩壊していましたし、「誰かが守ってくれる」感の変化というのはあまり感じていないのかもしれません。なので、本書の前半に書いてある、戦後社会からの変化については、「まあそうなんだろうな」という想像の世界ではありました。ただ、政府の財政は乏しくなり、人口減とともに地域コミュニティの力は乏しくなり、企業が従業員のコミュニティを維持することも少なくなってきているのは間違いないのでしょう。

一方で、インターネットの出現による社会の変化は、まさにリアルタイムで経験してきました。最初は穏やかでギーク的な匂いがしていたインターネットは、いろんな人に広がっていくについて、何か「極端に振れやすいな」と感じる場面が増えてきました。湿原するとすぐに誰かが叩かれたり、ちょっとしたことで個人情報が暴かれたりしています。

そうやって、安心を提供できる力が社会全体で弱くなっていっている、というのが前提となる背景になっています。

 

「弱いつながり」を維持するコストが小さくなっている

以前から「弱いつながり」というのは、自分にとって新しいアイデアや機会を与えてくれるものだというのは、研究結果なども含めて言われてきたことです。ただ、インターネットやSNSが登場する以前は、「弱いつながり」を維持するのが結構大変だったんじゃないかと思います。

時々、忘れた頃に手紙書いたり、訪問したり、電話したり。でも、コミュニケーション手段に限りがあるので、伝えられる情報に限りがあります。一方で、FacebookなどのSNSは、近況がタイムラインに流れてきて、必要なときはそのままメッセージのやりとりなども行うことができます。SNSの優位性は、「常に近況をおおよそ把握しており、「つながっている」感がずっと維持される」という感覚の特異性にあると思っています。

実際、Facebookを使い始めてから、実際は直接やり取りをやっていない人でも「縁が切れた」「疎遠になった」という感じが自分の中でないですし、何年か経って唐突に連絡してみる、ということも起こっています。不思議なものです。

というわけで、「弱いつながり」を維持するコストは、SNSの登場で劇的に下がったといえるでしょう。それが本書でいう「セーフティネットの役割」を果たすのだと思います。

 

多様なコミュニケーションツールを使いこなす能力

FacebookやTwitterが巨大でメジャーなSNSになっているのは間違いないですが、一方で、LINEなどクローズドなコミュニケーションが主流になってきているとも感じています。これは、オープンなコミュニケーションだけでは全てが成立するわけではないということ、人にはいろんなコミュニケーションのパターンやニーズが存在するからだと思っています。社会性や時代のトレンドなんかもあるかもしれません。

今後もしばらくはFacebookやTwitterの優位性がすぐに崩れる、ということではないかもしれませんが、クローズドなコミュニケーションツールなど、様々なコミュニケーションツールが登場しては消えていく運命にあります。それらを自分の生活と当てはめて、リスクを見極めつつ上手に付き合っていく必要があるんじゃないかと思っています。

LINEも登場した当時、電話帳データを一斉にアップロードする機能があり、非常に抵抗感がありました。一方で周りを見てみると、そういうリスクを認知していなかったり、アップロードした後で気づいて困ったり、ということもあったのですよね。そういう意味で、ツールやサービスを見極める「リテラシー」は一層求められていくんだと思っています。

 

お盆も終わり、何か気分を一新しなきゃなって思い始めています。そろそろ頑張るかー。

スマートハウスはいろんな企業にとってビジネスチャンスになる

日経トレンディの最新号が、日用品・文房具のグッズ特集でした。

 

おしゃれなグッズがたくさん紹介されていて、眺めるだけでもテンションが上がる感じでしたが、家電系も結構あり、今後のITトレンドを象徴してるなって思いました。

例えば、家にあるリモコンをスマートフォンに統合しちゃうIRKitとか。

 

温度や湿度、CO2濃度などを計測して、スマートフォンに表示してくれる装置とか。

 

スマートフォンで電球のOn/Offや明るさ、色を変えられるやつとか。

 

 

スマートハウスが今後のITトレンドのひとつ

リビングなどにある従来の家電とITが結びついて、新しい価値を生み出すという流れが生まれています。上記の商品などはその例です。いずれも、センサーを装置に組み込んだり、別途スマートフォン用のソフトウェアを提供しています。

家の中でWi-Fiなどのネットワーク環境が整備され、安価なセンサーやスマートフォンが普及してきたことで、実用性が出てきました。いろんなアイデアあふれる商品はこれからも登場してくるでしょう。電気や水道の使用量、テレビの利用時間、留守時の温度・湿度など、家の中にあるデータでうまく計測できていないものはたくさんあります。これらが計測され、スマートフォンなどで効率的に閲覧・管理できるようになると、効果的な節電や留守中のペットの様子など、新しい生活パターンを生み出すことができるようになるでしょう。

 

プライバシーデータを提供することでメリットが生まれる

今、「自分でつくるセーフティネット: 生存戦略としてのIT入門」という本を読んでいますが、その中で「総透明社会」という言葉が出てきます。ECショップやSNSが普及したことで、プライバシーに関する情報がネットに(意図する・しないにかかわらず)提供されることになり、いろんなことが「透明」な社会が生まれている、という意味です。

確かに個人に関するデータは以前よりもどんどん表に出るようになっています。一方で、そのメリットも享受しているわけです。アマゾンであれば、おすすめ商品をリコメンドしてくれますし。

そして、スマートハウスとして家の中にあるデータが、いろんな機器やサービスを経由して企業に渡ることで、同じようにビジネスに利用されることになると予想されます。企業にとっては新しいビジネスチャンスがあるでしょう。生活パターンが分かれば、いろんな新しい提案ができるからです。

また、個人が身に付けるウェアラブルデバイスから得られるデータを、会社が従業員の健康管理に活かせるという記事もありましたが、そうやって各個人の生活に関するデータは、企業にとっていろんな点で活かせるポイントが生まれてくるでしょう。

Using Wearable Devices to Help Promote Employee Wellness | Entrepreneur.com

 

というわけで、いろんな家電を使ってみたいなーと思いました。今後も様々な家庭用デバイスが登場するでしょうし、家ごと提案する企業も登場してくるかもしれません。楽しみです。新しいビジネスチャンスは、この領域にも転がってると思います。

ウェアラブルデバイス「Jawbone UP24」を買ったら生活が激変した

ウェアラブルを体感するために、Jawbone UP24という活動量計リストバンドを購入しました。身につけて数日経ったのですが、少なくとも生活に変化をもたらす力があることを実感できました。

 

 

良く歩き、良く眠るようになる

UP24は、日々の活動量と睡眠を計測することができます。それ以外にも、他のアプリと連携したり、食事の記録もできるのですが、食事は記録が面倒で使っていません。このあたりは、写真撮ったらカロリー計算してくれるっていうぐらい手軽さがないと万人向けとは言えないかもしれないですね。

で、活動量がわかるので、「もう少し歩こう」という気持ちを起こさせてくれます。「腕につけて正確に歩数をカウントできるのか?」という疑問もあるかもしれませんが、体感的にはそこそこ正確な気がします。細かいことは気にしません。

また、睡眠を記録してくれるのもいろいろわかるので楽しいです。以下はある日の睡眠記録ですが、早く寝ても意外に眠りが浅く、深く眠れてる時間は少ないのがわかります。

up24

こういうのを目にすると、睡眠の質を上げるにはどうすればいいんだろうなって考えるようになりますよね。

加えて、「スマートアラーム機能」が素晴らしいです。個人的には、この機能が一番買ってよかったと思える点ですね。「スマートアラーム機能」は、起きたい時間帯の中で眠りが浅いタイミングを感知して起こしてくれる機能です。これが、とても目覚めを気持ちよくしてくれるんですよね。自分でも驚くほどの効果です。

買う前は、このあたりのレビュー記事を参考にさせてもらいました。

Jawbone UP / UP24レビュー:通知&アドバイスで活動促進するリストバンド – Engadget Japanese
Jawboneの『UP24』を使ってワイヤレス同期の便利さを実感 – 週アスPLUS
Jawbone UP24を一ヶ月間使ってみてのレビュー – シンプルライフ

 

UP24は他の健康系アプリと連携できるプラットフォーム

UP24のアプリは、単にバンドで計測したデータを見るだけでなく、他のアプリと連携して統合的に健康系データを管理することができます。

まず、IFTTTでいろんなデータを取り込んだり送ったりできます。

IFTTT 2.2(無料)
カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ
販売元: IFTTT – IFTTT Inc(サイズ: 26 MB)
全てのバージョンの評価: (182件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応

天気をIFTTTに表示させたり、Googleスプレッドシートに日々の睡眠や活動の結果を記録したり。

とりあえずUP24と連携させたiftttのレシピ3つ | Punksteady

 

また、Runkeeperと連携すれば、ランニングやサイクリングの結果も取り込むことができます。

RunKeeper ランニングもウォーキングも GPS 追跡 4.7.1(無料)
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, スポーツ
販売元: FitnessKeeper, Inc. – RunKeeper, LLC(サイズ: 32 MB)
全てのバージョンの評価: (1,949件の評価)

走ったルートが地図で表示されますし、運動結果をUP24に統合することが可能です。ちなみに、知らない間にデータが公開になっていないか、注意。公開したくない人は、最初にオプションでデータを公開しないように設定しましょう。

 

さらに、体重も記録することが可能です。Withingsで。

Health Mate by Withings – 歩数トラッカーとフィットネスコーチ 2.2.0(無料)
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, メディカル
販売元: WiThings, S.A.S. – WiThings, S.A.S.(サイズ: 58.5 MB)
全てのバージョンの評価: (89件の評価)

本当は、体重計も買って、体重を計測するだけで自動的にアプリに記録するようにしたいところですが、そのためだけに新しい体重計を買うのもなんだったので、手動で記録してます。十分対応できます。

 

Jawbone UPの機能を使って無料で体重管理をグラフ化するたった1つの方法

 

単なるライフログではなく、行動につなげるサービス

UP24は、健康に関する豆知識などをアプリに表示してくれます。「寝るときにスマートフォン見てると、明るさが眠りの質を悪くするよ」とか、「最近寝る時間が遅くなってるよ」とか、いろいろ注意喚起してくれるんですね。

これが、生活を改善させるきっかけを与えてくれるわけです。

UP24は、これまであったような記録を取るだけのライフログではなく、記録を踏まえて実際の行動を変化させること、継続させることを助けてくれます。日々の記録がモチベーションになり、改善すべきところを見つけ、実践していく。その繰り返しを生活の中に織り込むことができるという点で、有効性を実感できるサービスになっています。

これまでのライフログは、どちらかというと使い方のハードルも高く、アーリーアダプター向けという印象でした。しかし、UP24であればずっと身につけるだけですし、Bluetoothで自動同期するので操作も複雑ではありません。今後はマジョリティへ普及していくでしょう。

ウェアラブルってこういうことなんだなーというのを実感しています。

 

「健康である人は、幸福感や所得が高い」という研究結果があると聞いたことがあります。実際にどうかは知りませんが、UP24を身につけてから早寝・早起きになりましたし、健康が生活のモチベーションを高めている気がしています。

興味がある方はぜひ試してみてください。おすすめです。

 

Bluetoothの新規格で新しいサービスがどんどん登場している

スマートフォンに標準装備されてるBluetoothって、使う機会がないしONにしてると無駄に電力消費するだけだとずっと思っていたんですが、最近2つほどBluetooth接続の機械を買いまして、利用シーンが増えてます。

 

Bluetooth型のヘッドセットです。主にイヤホンとして使ってます。片耳だけで使えますし、充電持ちもそれなりに良いので、移動中に聞くのに重宝してます。

 

ウェアラブルなライフログツールですね。健康を維持させるのに良いかな、と買ってみました。

これらを使いながら思ったんですが、ビッグデータの世界が到来していることを実感しています。ビッグデータでは、主にM2M(機械間の通信)が増えて、データ量が増えていくと言われていたんですが、企業だけでなく個人でもそういう場面が増えてるんだな、と。

 

Bluetooth機器が増えている理由

大きくは、Bluetoothの新しい規格にあると思っています。Bluetooth4.0(Bluetooth LE)と呼ばれる規格は、これまでのBluetooth通信の容量やスピードを向上させたというのではなく、省電力性を重視した内容になっています。なので、パソコンやスマートフォン以外の機器による通信が、頻繁に充電する必要がなくなるなど、実用に耐えられるほど密に行えるようになってきているのです。

以下は2012年の記事ですが、そこからBluetooth4.0に対応した機器が増えてきています。

朝日新聞デジタル:いままでとどう違う? 「Bluetooth 4.0」 – 斎藤・西田のデジタルトレンド・チェック – デジタル

Appleがまもなくスマートウォッチを発表すると言われていますが、そういう機器でも省電力で通信できる環境が整ってきたと言えるでしょう。

ウェアラブルについては、この本が参考になると思います。

 

リビングでもBluetoothなど新しい通信が利用される

AppleTVは、今は無線LANでパソコンなどのデータを表示することになっていますが、Bluetoothへの対応も始まっているようです。

AppleTV Software Update 6.1の新機能「AirPlay device to discover Apple TV over Bluetooth」を試してみた。

あくまでコンテンツをストリーミングするために使えるわけではないですが、無線LAN以外の通信でも利用できることで、利用範囲を広げる意図があるんだと思います。

同じようにChromecastは、Wi-Fiじゃない規格でも通信できるようになる、という話が出ています。

Chromecast、超音波通信でもっと簡単にペアリングできるように : ギズモード・ジャパン

 

企業でも新しい通信を使ったサービスが登場している

Appleは、iOS7からiBeaconという通信技術を搭載しています。中身自体はほぼBluetooth 4.0のようです。

iBeaconとは? | iBeaconなら「ストアビーコン」

これを使うと、店舗への来店時に店にある機器と来店客のスマートフォンを通信させて、クーポンを配布することが可能になります。インターネット回線だと、一度クーポンをダウンロードしてもらって表示するなど、手間がかかりました。iBeaconを使うと、ダイレクトにスマートフォンにクーポンを表示させることができます。しかも、店に近づいたと同時に。

また、決済手段であるPaypalにもBeaconが導入されています。

具体的には、行きつけのカフェに入ると店員から名前で挨拶され、注文しなくてもいつもの商品がテーブルに置かれる。飲み終わると店員に挨拶をして店を出るだけで自動的に決済が完了している、というイメージだ。
米PayPal“支払い方法の未来形”、「PayPal Beacon」を発表 -INTERNET Watch

これらのサービスによって、新しい行動をユーザーに生み出すことができるかもしれません。

それ以外にも、車でも利用が進められようとしています。高機能化する自動車の配線を減らし、スマートフォンなどから制御できるようになるとのことです。

情報系だけでなくLINの置き換えも:Bluetooth LEでクルマが変わる? 関心高まるスマホとの連携 (1/2) – EE Times Japan

 

というわけで、いろいろ新しい通信規格をベースにした新しいサービスが実用レベルを迎えています。M2Mによるビッグデータの世界が訪れているわけです。自分のビジネスや生活に取り込めるようになってますよ!

ベネッセの個人情報流出を自社への教訓とするためのポイント

ベネッセの個人情報流出に関して、いろいろ展開が生まれていますが、きっと、日本全国の企業や組織で「自分たちはベネッセと同じようなリスクはないのか?」と右往左往されているんじゃないかと想像します。

ここまででわかっていることを踏まえ、ポイントを整理しておきたいと思います。

情報流出は、法律で罰するのは難しい

今回の事件で、久々に情報漏洩に関する法律関係の知識を思い出しました。既に犯人が逮捕されていますが、立件は「不正競争防止法」になっています。企業における競争を不正に防止するような行為を行った、ということです。

そもそも情報には所有権がありません。というか、実態がないので所有権を特定することが難しいのです。なので、情報を盗むのは、窃盗などと同じように扱うことが難しくなるのです。余談にはなりますが、ビットコインが革新的だと言われているのは、情報に「所有権」を定義できるからです。

ビットコインなどの仮想通貨はなぜ普及しているのか

不正競争防止法が成立するためには、「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3つを満たす必要がありますが、今回ベネッセが保持する個人情報はそれに該当すると判断されたようです。

【ベネッセ情報漏洩】顧客情報は「営業秘密」 事件化へ要件満たす – MSN産経ニュース

つまり、自社が情報漏洩した場合に犯罪として立件されるためには、これらの要件が満たされるように情報管理しておく必要があります。今回のベネッセの件では、「秘密管理性」を満たすかが一番ポイントになったようです。漏洩を防ぐ仕組みが構築されており、社内で「秘密」として管理されている状況であったと認められたことになります。

人的対策と技術的対策はどこまでやれば良いのだろうか

今回の犯人は、ベネッセの関連会社であり、システム運用管理の中心的存在であったSEとなっています。これで思い出したのが、少し前にあった横浜銀行の事件です。事件は、横浜銀行のシステム運用を担当していた富士通フロンテックの社員が預金者の情報を見てカードを偽造し引き出していた、というものです。

西本逸郎のIT社会サバイバル術横浜銀行のデータ不正取得事件から考える、内部不正事件と標的型攻撃の共通項:ITpro

横浜銀行の場合、暗証番号を見る正当な権限があり、長年担当する中心人物だったようです。

重要な情報を管理する体制として、長年担当し正当な権限を持つ、信頼されている人間が犯行に及ぶようになると、企業は大きなダメージを受けます。属人的な状況を作らない、権限を一人に掌握させないなどの人的対策は重要になるでしょう。

また、不正競争防止法における「秘密管理性」に認定された通り、入退室管理や権限管理、複製防止などの技術的対策は行われていたようです。あえて書きませんが、Twitterでは複製防止をすり抜けてデータを持ち出した方法に関する情報が流れていました。技術的対策には、いたちごっこの面もあります。常に危機感を持ち、技術的対策をアップデートし続ける必要があります。

クライシスマネジメントにおける初動の重要性

企業に危機が生じたとき、その初動はとても重要です。これまでマクドナルドの「顔」だった原田さんが、新しいベネッセの顔として表舞台に立つにしては、相当ヘビーな案件になってしまいました。

個人的には、最初の記者会見で「金銭的補償はしない」と明言されたことに、違和感を覚えました。会見当時、どこまで事実関係を掴んでいたのかはわかりませんが、漏洩したことに間違いはなく、事情はどうあれ「管理体制が甘かったんじゃないの?」という認識を抱かれる可能性は十分にあります。その後の会見では金銭的補償を行う方針に切り替えたことから、その間に危機管理に関する認識を変えたということでしょう。

こういう場合、法的な正統性や専門的見地からの事実とは別で、「一般的な感覚」が重要になります。銀行やクレカなどの直接的に金銭に関する情報は含まれていなかったようですが、ベネッセの扱っている顧客情報には子どもが多く含まれており、家族構成や職業情報など比較的センシティブと思われる情報が対象になっており、心理的には結構な抵抗感があります。そういう意味で、初動における感覚を読み誤った感があります。まあ、結果論になりますが。

クライシスマネジメントでは、初動がその後の企業イメージを大きく左右します。被害者やメディアがどういう感情を抱くかを考慮する必要があります。企業のためと思い保身に走ると、逆効果で大きく企業イメージを毀損することがあるわけです。

以上です。「自分のところは大丈夫」という過信は禁物ですね。

Google会長エリック・シュミットが予想する今後の社会

Google会長であるエリック・シュミット初の著書として話題になった「第五の権力」は、これからもっとインターネットが普及していった先には、どういう社会が待っているのか示唆してくれます。

 

この本を読んで、「統治機構の運営がインターネットのせいでどんどん難しくなっている」と感じました。ここでいう統治機構とは、国や地方自治体もそうですし、企業などをイメージしています。集団を形成し、ルールのもとで統制する機構のことです。

 

コンシューマライゼーションが予測不能をもたらす

2007年頃から「コンシューマライゼーション」という言葉が聞かれるようになりました。「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」では、コンシューマライゼーションをこう表現しています。

コンシューマライゼーションは単に「技術導入の変化」だけでなく、私はもっと大きな意味があると考えています。それはコンシューマライゼーションは「将来予測を難しくしている」ということです。 コンシューマライゼーションの重要な点は、政府による制御が利かないということです。軍が研究する技術であればすべての動向は政府が把握することができます。

 

つまり、インターネットの普及によって、民間企業や一般市民が先に新しい技術・製品を手にしてしまい、デファクトスタンダードが作られていきます。統治する側としては、これほど厄介なものはないですね。

インターネットが始まるまでは、企業が投資した技術・製品の方が進んでいましたし、コントロールしやすいものでした。それが、企業が使っている製品より個人が使っている製品の方が便利で使いやすいものになっています。これが、管理する側に対して「予測不能」な状態をもたらすわけです。

 

新たな統治のかたち

今はアメリカを中心に、インターネット網が張り巡らされているのですが、国によっては自由に大量な情報を与えることを規制したいと思うところがあります。エジプトの失敗事例などもこの本には書いてありましたし、少し前にトルコが発表した「ttt」構想も、まさにインターネットを分断し規制しようとする流れです。

トルコ、独自URLのttt検討 wwwやめて管理強化:朝日新聞デジタル

日本に住んでいると、あまり実感できない状況ですが、ソーシャルメディアなど自由な情報の流通は、統治する側の対応を難しくしている面はあるのでしょう。

 

一方で、新しい統治のアプローチも生まれています。それがビットコインです。厳密にはビットコインに代表される、ネット上での「権利の移転」に関する証明方法です。

ビットコインが注目されているのは、仮想通貨が目新しいからではありません。「貨幣の信用」を国家などの統治機構が主体にならなくても実現できることを、デジタルな仕組みによって実証したからです。

ベンチャーなどがこぞって、いろいろな仕組みの仮想通貨を生み出していますし、今後は貨幣にかぎらず様々な「デジタル取引」に関するビジネスが生まれていくんだろうと思います。

 

結局、本を読んで感じたことは、先行きが見えづらい世の中になっているのは間違いないなっていうことと、新たな統治の仕組みや規制が出てくる中で、企業としてもうまく順応していくことが求められるということでした。国の制度が変わるときこと、大きなビジネスチャンスが生まれるのが世の常です。

ファブレットは今後普及するのか

ITを取り巻く動向には興味があるのですが、最近だと「ファブレット」ですかね。これからは「ファブレットがくる!」という記事を見かけることが多くなりました。

先日読んだ「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」にも、ファブレットが到来を予感させる内容が書かれていました。

電子書籍というコンテンツを読みたいなら電子書籍リーダーが最適です。映画を見るならタブレットか大型テレビが最適です。ウェブならファブレット、携帯性とリアルタイム性が求められるサービスには常に持ち運ぶスマートフォン、というように。今はまだ「フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行期」ですが、今後スマートフォンに慣れたユーザーから「コンテンツに最適化されたデバイス」を選択する動きが始まるでしょう。これからは「使いたいサービスに最適なデバイス」を購入する変化が起きるのです。

 

 

ファブレットとは

ファブレットとはPhone+Tabletの造語で、電話機能を持たせたタブレットを指します。様々な定義がありますが、画面サイズが5~7インチ程度のものを指すようです。

ちなみに、iPhoneは4インチ、iPad miniが7.9インチなので、iPad miniよりちょっと小さい感じですね。

 

ファブレットが到来する理由

いろんな記事を読むと、ファブレットが売れていたり、今後もシェアを伸ばすという数字が出ています。

IDCによると、ファブレットとも呼ばれる画面サイズが5~7インチの大型端末の出荷台数が増えている。ファブレットのスマートフォン全体に占める出荷台数比率は前年同期の3%から21%に拡大した。

世界スマホ8割がアンドロイド 端末シェア1位はサムスン  :日本経済新聞

調査会社Juniper Researchの報告によると、世界のファブレット市場は2018年には販売数が1億2000万台に達するだろうとのこと。同社はファブレットを5.6インチから6.9インチと定義しているが、その前後コンマ数インチのモデルも含めればその数はさらに増えるだろう。ちなみに2012年のファブレット市場は全世界で2000万台であり、向う6年間で6倍に成長すると見込まれている。特に伸びが期待されるのがアジア市場で、ファブレット全体数の半数、約6000万台がアジアで販売されると予想されている。

アジアで6000万台の「ファブレット」市場を狙う!SonyのミドルレンジLサイズスマホ「Xperia T2 Ultra」はXperia Z2よりも注目機種【山根康宏の世界のモバイル】 – 夕刊アメーバニュース

ファブレットが支持される理由は、端末の利用シーンとして電話ではなく、ネットやゲームなどコンテンツに使う時間の方が多いからなんだと思います。コンテンツを利用することの方が多ければ、それに最適な端末のサイズを選びます。

そして、やはり大きい画面の方がWebサイトの画面は見やすいし、SNSやゲームもストレスがなくなります。画面の大きさによる操作感の違いは、iPadを買ってみて非常に感じました。実際に使ってみてわかる感覚というものがあるんだなって感じです。

iPad Airを買ったら、新しい生活がやってきた | Synapse Diary

 

次のiPhoneも大画面化されると予想

今リークされている情報からすると、次のiPhoneも大画面化に向かうようです。

8月に発売になるのは4.7インチ版のiPhone6。どの国で最初に発売になるかは不明。 5.5インチ版もしくは5.6インチ版は9月に発売になるという。

米アップル、iPhone6を8月に発売=台湾紙 | Reuters

個人的にも、まあちょっとぐらい大きくてもいいかなと思いますし、大画面に対する誘惑は日に日に大きくなっています。

でっかい端末で電話するのが、心理的にちょっと抵抗ありますけどねー。ただ、次に端末替えるときはファブレットを真っ先に候補として考えるんだろうなー。

 

ファブレットになって、生活やビジネスがまた少し変わるのかなって思うと面白いですね。電話の位置づけももっと小さくなるのかもしれません。コンテンツの作り方も大きい端末向けがスタンダードになるんでしょうね。