MBAで経営戦略を勉強しました。そこでは、たくさん戦略の考え方や分析ツールが登場します。それぞれが一長一短あり、場合によって使い分けることが求められます。なんとなく、どういう場面でどう使うべきか、迷うときもあるんですよね。
また、分析ツールを誤用しているケースもあります。その場合、期待した効果を得ることはできませんし、変な結論を導き出してしまいます。せっかく学んだのに、意味ないよねって思うわけです。
そして、経営戦略や分析ツールの位置づけを理解し、正しい使い方を身につける上で、この「経営戦略全史」というのは非常に面白い一冊です。このような本は、あるようでありませんでした。
20世紀初めのテイラーの「科学的管理法」からはじまる、経営戦略のおよそ100年におよぶ歴史が見事に一冊にまとめられています。自分の中でバラバラだったパズルのピースが、ひとつにまとまっていくようでした。
思想やフレームワークの成り立ちがわかる
3Cとか4Pとか、数え上げればきりがないほどたくさんフレームワークはあるのですが、それぞれに生まれた時代背景というのが当然あるわけです。そこを理解することで、「○○戦略」の意味であったり、フレームワークの本当の理解が進むのです。
実際僕は、「組織は戦略に従う」という言葉がどうやって登場したのかもこの本で知ったし、SWOT分析の位置づけ、使い方についても本当の意味では理解できていなかったことがわかりましたよ。
「わかったつもり」になっていることが、たくさんあることを気づかせてくれました。
現在に求められる経営戦略とは
やはり経営戦略はどれも万能ではないし、時代の移り変わりによって新しい考え方が生まれています。現代の特徴としては、
- 外的環境の変化が激しい
- ITによって計測・分析のハードルが下がっている
という点が挙げられるでしょう。そうなると、現状を「正しく測定」し、それに応じて仕組みを変えていくということが求められていきます。これはテイラーが工場の作業を科学的に測定し、仕組みを作り上げたのと根底としては同じです。
最近読んだ「リーン・スタートアップ」が本書の最後のあたりに紹介されていました。スモールで立ち上げ、状況を計測し、成長させていく考え方が現代にはフィットしていると改めて認識しました。
不確実性の高い現代で、リーンスタートアップをなぜ学ぶべきか | Synapse Diary
そして、外部環境に適用するために重要なのは、最後は組織です。ここに帰結するんだなって思わせてくれました。実践するのはとても難しいのですが。
ヒトや組織も同じです。自らの内部構造(ケイパビリティ)を変え続ける力を持つもののみが、生き残れるのです。
でも、結局生き残るためには、自らを環境に適用させていかなかればいけません。組織を変え続けられるかは、今後も普遍的に求められる経営の重要な要素でしょう。
以前、経営学を歴史からとらえた竹中平蔵さんの本を読んで、とてもわかりやすくて興奮したのを覚えていますが、その感覚を思い出しました。
この本は、教科書的に読み返すことになりそうです。