【書評】経済古典は役に立つ

経済学に興味を持ったら、まず最初にこの本を読むと良い。それぐらい、わかりやすい。「アダム・スミスの国富論が書かれたのが、なぜあの時代だったのか」を説明してくれる本に、初めて出会った。

リーマン・ショックのように市場も失敗することがあるけれど、それ以上に政府が失敗する確率の方が大きい。そして何より厄介なのは、政府の方が下方硬直性が高いということだ。

 

日本は今大きな下方硬直性と直面している。世代間格差、特定業界、議員報酬、公務員の人員削減など。これまでいろんな経緯があったとはいえ、時代に合わなくなったと思われても、今の政治はこれらの既得権益を引き剥がせずにいる。それぐらい、既得権益というのは強大なものなんだね。

この本によれば、オペレーション・リサーチの研究でも市場の方が効率的であることは実証されているようだ。それに、民間と政府の従事者数を考えれば、トータルで処理する情報量は圧倒的に民間の方が多いだろうし、競争の原理から来るサービス向上は政府と比べるまでもない。

だから、僕は市場の方が効率的であると信じているし、公共セクターは可能な限り役割を限定して、民間が自由に活動できる土壌を整備・管理する役割に専念するべきだと思っている。(特定事業に補助金を出すなんて意味がわからないし、ちょっと前に話題になったTPPだって、こんなに反対の声が大きい日本の状況を知ったら、アダム・スミスは泣くかもしれない。)

 

それにしても、やっぱりこの人の本は読みやすく、多くの気づきを与えてくれるから好きだなあ。

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