政策はエビデンスベースドで、かつリアリスティックでなければいけない。
そうだ。世の中には感情論や論理のすり替え、一面的な見方で議論されていることが多い。
政策の実践と学問
http://itunes.apple.com/jp/podcast/id386483207?i=86054728
政策はエビデンスベースドで、かつリアリスティックでなければいけない。
そうだ。世の中には感情論や論理のすり替え、一面的な見方で議論されていることが多い。
政策の実践と学問
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行政改革に取り組む自治体実務者におすすめ
大きなバッシングを受けた大阪市役所。その後の立て直しのために実施した経営分析結果が纏められた一冊。分析の数値や結果がとても生々しくて良い感じ。
下水道、消防、公営住宅などの事業をこんなに細かく具体的に分析しているのは、とても興味深い。本の目次をみればわかるが、どの事業も自治体にとって重要であり、公益性も求められるものばかり。そういうものをどう解決していくか、正面からアプローチしている。
大阪市の起債は、改革後S&P社でAAマイナス、ムーディーズでAa2という格付になったそうだ。起債の価値が上がれば、市民サービス向上にも返ってくる。
一方で、岐阜県は起債制限団体になったし、京都市も数年度には財政健全化団体になるという話がある。
中日新聞:起債許可団体転落 公共事業のツケ ずしり:岐阜(CHUNICHI Web)
京都市、健全化団体転落も 13年度、有識者会議 – 47NEWS(よんななニュース)
財政状況も含めて行政に対するチェック機能を働かせる意味で、情報公開は重要だ。
情報公開への取組は、確実に進んでいる。予算編成過程を公開する自治体は増えたし、大阪府は本当に全査定の内容を公開している。ちなみに、自治体の情報公開度ランキングで予算編成の「透明度」が都道府県中最下位になったことを受けて、岐阜県は改善を図っている。
県:今年度予算などHPで公開 /岐阜 – 毎日jp(毎日新聞)
とりあえず、自分が住んでる自治体の財政状況は把握しておくよ。
あと、もっと広い意味での自治体改革を知りたければ、こっちも面白い。
他人事ではありません。本書は厳しい状況にある全国の自治体が生き残るための処方箋を事例を交えて提示しいます
ローソンが現場での仮説・検証には限界があることを提起している。
「現場任せの仮説・検証はもう古い」--ローソン・新浪社長の問題提起 – 情報を活かす組織:ITpro
この話は結構興味深い。
まず、現場での仮説・検証で有名なのは、セブンイレブンだ。現場での仮説・検証を作る体質を浸透させて、高い平均日販を維持している。他のコンビニと比較しても、セブンイレブンだけ突出している。
【63】データから見るコンビニ市場 | BPnetビズカレッジ:トレンド | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
「ストーリーとしての競争戦略」でも触れていたが、これはセブンイレブンのオペレーション力が長年に渡って強化されてきたことが大きいのだろう。
戦略の本質を理解する良書 – 【書評】ストーリーとしての競争戦略 | Synapse Diary
さて、記事で語られているローソンの今後の先読みロジックは、次の通りと思われる。
高齢の人口比率が高まる
⇒遠くに買い物に行くよりも、近く(コンビニ)に行く人が増える
⇒過去の行動パターンからの予測が難しくなる
そこで、次の大きく2つのアプローチから、予測精度を高めようという試み。
・データ精度を向上させる
・データを増加させてパターン分析する
これを両方解決する方法として、会員登録によるユニークユーザ情報の収集を積極的に行っている。興味深いのは、一部のユニークユーザの方法が全体の傾向を示している、という事実だ。
「カード利用率が20%の店舗では、このお客様の購買動向が全体の90%ぐらいを表している。これを使わない手はない」
要は、質より量なんだな。
統計分析は今後ホットな分野になる、という話もあるし、精度の高いデータの収集と分析は、今後もっと面白くなりそうだ。
少しタイミングとして出遅れた感があるが、今更ながら読んでみた。やはり良い。
スタンフォード大学のスピーチにしても、iPhone発表時の基調講演にしても、見ていて気持ちが良いものだ。その秘密がこの本に書いてある。
日頃、少なからず資料をつくり相手に説明する立場にあるだけに、反省すべき点が多い。
相手が抱いている問題を提起できているだろうか?
それに対する解決策を提示できているだろうか?
重要なポイントが明確になっているんだろうか?
余分な情報で混乱や退屈を招いていないだろうか?
そして、相手の期待に応え、超えるために十分な練習をしただろうか。
現実は難しい。それでもそれをできる人はいる。少しずつでも見直したいなあ。資料作って説明する機会が多い人は、一度は読んどけって感じ。
本の中に出てた、Slideshareのコンテスト入賞作品をみれば、良いプレゼンというのはどういうものかイメージできる。上達するには、良いプレゼンを見る機会を増やすこと。
World’s Best Presentation Contest 2009 sponsored by Adobe Acrobat 9 on SlideShare
新内閣の総務大臣に、改革派知事と言われた片山さんが就任した。今後は、より一層地域主権への動きが加速するという予想も出ている。
6月には地域主権戦略大綱が出され、着実に地域主権への検討が進められているが、それでも具体的な国の形がイメージしづらい。
そんな中で偶然手にした一冊。片山さんの対談も載ってましたよ。
「二元代表制」に対する理解はあるか
地方は、首長と議員の両方を、住民の直接選挙で選ぶ。主に、首長が作成した予算案や条例案を、議会の場で議員がチェックする仕組みになっている。
ところが、全国でみると首長提出の議案は97~98%が無修正で可決されている。・・・議会が本来の役割を果たしていないだけのことである。
議会がチェック機能を果たしているかをチェックするのが住民だ。住民には、首長や議員個人のリコール、議会の解散を求める権利もある。名古屋市や阿久根市で運動が起こっているのは、これだ。(名古屋市は市議会、阿久根市は首長。)
自分が住んでいる街の行政は、自分たちでチェックし、リコール等を通して意思を表示することもできる。こういう仕組みや現状を理解することから政治は始まる。
道州制は時期尚早ではないか
道州制になれば、自助努力で解決するのが基本となる。国による財政支援もないと考えるべきだ。
「補完性の原則」という言葉がある。地域主権戦略大綱でも何度も登場する。行政の最小単位でできることを行い、それが難しい場合は広域で、さらに難しければ国で。そうやってボトムアップでアプローチして行政の仕組みを作っていく考え方だ。道州制は地方の行政単位を大きくして、権限を大きくすることだから、まさにこの「補完性の原則」に立つ必要がある。
しかし、今の地方行政の仕組みは逆に感じる。未だ中央集権の形が色濃く、地方には権限や予算の面で制約が多い。(それが、陳情などの「おこぼれ」思考につながるのかもしれない。)そして、住民もあまり興味を持てない。それほど日常が暇でもないし、参画してもしなくても変わらない気がしてしまう。
こういう状況で、道州制で首長の権限を強めたとき、それをチェックするガバナンス機能はどうやって構築すれば良いのだろうか。本書によれば、州知事の権力は今の東京都知事の5倍くらいらしい。
そう考えると、道州制は時期尚早だと思える。中央集権的な仕組みからそのまま道州制にしても、うまく纏まるように思えない。いきなり形を変えるのではなくて、今の地域戦略大綱のように、基礎自治体の権限や予算を移譲してゆき、国の出先機関を統廃合するなどを行うことが先んじて行うべき方向だと思える。
他にも、住民投票の法制化、シティマネージャー制度、地方政党など、今後のいろんな地域行政の可能性・選択肢を提示してくれている。少し今後の地域行政に対するイメージが広がった。
地方を歩いていると、「分権で生活がどれだけよくなったのか」とよく質問されるんですが、私はあえて「地域を変えるために、ご自分で何をしましたか」と問い返しています。自動的に暮らしがよくなるわけではないですから。
経営戦略系の本では、久々にヒット。重厚で面白かったです。
最終的には、ひとつのストーリーとして動的な流れで戦略を考える、という主旨の本なのですが、金融日記でも書いてある通り、戦略の基本的な考え方みたいなものが一通り紐解かれていて、それだけでも頭が整理されます。
目次
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」
ファイブフォースとか、欧米型と日本型の経営スタンスの違いとか。企業のスタンスはポジションと組織力のバランスで構成されている、とか。ビジネスにおける競争戦略の様々な要素が紐解かれつつ、「ストーリー」の重要さを説いていきます。
この本は、基本的な知識ということではなく、戦略とはどういうもので、用語として言われていることはどういうことを示しているのか、という点を教えてくれます。部分的な捉え方ではないし、用語の解説でもない。目立った切り出し方はないのかもしれないけれど、骨太な論理を語ってくれる本です。
そして基本的な論理から発展して語られる、ストーリーとしての戦略というコンセプトは、非常にうならされました。
経営戦略なんて絵に書いた餅で、役に立たないと思う人も多いかもしれないけれど、自分は違うと思っています。こういう戦略論理に触れるとき、自分の周りに置き換えながら、いろんなことに思いを巡らせます。あれを試してみよう、とかアプローチを変えてみよう、とか。次の一歩を踏み出すときのアイデアの素となってくれます。そういう本こそが良書なんだと思うのです。
失敗した企業が山ほどいて、その中で輝く企業がいる。その要素をこの本は示しているように思えました。自分が戦略を考えるときは、この本をまた開きたいと思います。
そして、しばらく軽い戦略本なんかは読まないでしょう。
ってな感じで整備しておけば、プレイリストも飽きなくなるんじゃないかな。あとは、使いながら少しずつ微修正していけば、どんどん快適なリストになる。
TEDのプレゼンで面白かったのでメモ。
キャメロン・ヘロルド 「子供を起業家に育てよう」 | Video on TED.com
小さい頃からお金を稼ぐ方法を考え続けることで、起業家精神を養えるという話。その中で、子どもへのお小遣い制度の話があった。
子どもに決まったお小遣いをあげることは、起業家精神からすると良くない習慣だそうだ。提起的に収入がある生活に慣れると、「与えられることが当然」の思考になってしまう。すると、自分でお金を稼ぐ、仕事を作る、ということをできにくくしてしまう、ということだ。
このスピーカーの家では、家の中で仕事を見つけたり、親が子どもに仕事を依頼するとき、仕事の内容に応じてお金の交渉を行う。すごいね。(それにしても、話すエピソードの数々が余りにもたくましい。。。。)
そういえば、身近な知り合いの家で、最初に子どもに1年分のお小遣いをあげて、勝手にやりくりさせてるって聞いたこともあるなあ。
お金の使い方やリテラシーは重要。子どもと、お金を通してどう接するかで、子どものお金に対する考え方も変わるだろうし、仕事の見方も変わるんだろうな。今のうちから少し考えておくか。
起業家精神といえば、この本が秀逸。
【書評】20歳のときに知っておきたかったこと | Synapse Diary
昔部下に、「これ確認してください」「あれ見てください」と、何でも確認・承認を求められたことがある。恐らく、どこまで確認をお願いしたら良いか判断することが難しかったのだろう。
そのとき、自分で考えるコツみたいなのを教えた。ざっくり次のようなことだったと思う。
・細かいことまで上司に確認を求めるのは、自分に自信がない、何がわからないかもわからない人間だとみなされる。
・逆に、上司も全てを確認したいはずはないので、どこが確認のポイントであるかを、部下の方から決められると良い。
・もしわからない、自信がないポイントがあれば、そこは具体的に要点を絞って上司に問うと良い。
それ以降、依頼の仕方も変わったし、お互いに良いリズムで仕事をすることができるようになった。
驚いたのは、この話をしてから、こちらの予想以上に率先して仕事を進めるようになったことだ。信じる幅、任せる領域を広げると、人間は自信になり、意欲がわき、思考が活性化するんだと、まざまざと思った。
で、本題のモチベーション3.0の話。「自律性」という言葉がよく出てきて、上記のような出来事を思い出した。人のモチベーションというのは、本当やり方によって大きく変わる。
課せられた業務が個人の能力を超えると、不安が生まれる。能力以下の業務を課せられれば、退屈になる。
日本のうつ病・躁うつ病患者の数は年々増加していて、2008年では100万人を超えているらしい。(参考:図録▽うつ病・躁うつ病の総患者数)
職場でうつ病など心の病になる場合のひとつに、仕事の与え方があると思う。
これが適切にできていない上司や職場環境が多い。
往々にして、個人の能力に対して要求が高すぎて、プレッシャーに潰されてしまうか、逆に低すぎてつまらなくなって辞めてしまうか。どちらであってもいけない。(個人的感覚では、前者の方が早く重症化しやすい。)
組織論からすれば、敵者でなければ追い出すことで、代謝されることも重要だ。ただ、そうではなく仕事の与え方によって、せっかくの人材を潰したり逃したりするケースも多いのではないか。部下の能力と現在の仕事のハードルの高さがだいたい一致しているか、常に気にかける必要がある。良い仕事を与えれば、人は良い方向に化けたりすることもある。
この本は単純に「アメとムチ」に代わるものとしてモチベーション3.0を説いているわけではない。むしろ、一般よりもやや高い報酬の方が効果が出るとさえ書いている。
マズローの五段階欲求でもある通り、やはり生理的欲求から段階的に満たされる考えの方がしっくりくる。実際は、このいろんなレベルの欲求が、いろんな場面で入り乱れているんだろう。
生活の不安というものをある程度取り除いた上で、仕事に対する社会的意義を明確にする。それが、上司・リーダーの役目。
(それにしても、何でこの仕事をやるのか、ということを説明しない上司も、説明を求めない部下も多いよね。不思議。)
意味付けをすることで、人の考え方は大きく変わる。やらされている感も緩和されるし、自発的に取り組むようになるのは、本当に面白い。
最初は少し甘く見ていたけれど、読み込んでみたら評判になっている理由もわかった気がする。モチベーションを理解して、やり方を工夫すれば、組織は活性化すると思う。
ちなみに、本の内容の一部(要約)がTEDにあるので、手っ取り早く把握したい人はこれで良いと思う。
昔、「上流SEとITコンサルタントの違いがわかるか?」と聞かれたことがある。「わかりません」と答えると、「そんなものないよ」と切り替えされた覚えがある。
当時は「そんなものか」と深く考えず納得していたけれど、この本を読んだ後なら、「いや、違いますよ」と答えられただろう。
コンサルタントとは何だろうか。プロフェッショナルとは何だろうか。その答えがこの本の中にあった。
コンサルタントに必要なのは、論理的思考力、コミュニケーション能力、そして知識を吸収するキャッチアップ力だと言われたりする。ただ、これを素直に突き詰めていくと、「専門領域のない」人になってしまう。
すると「じゃあ専門知識を身につけなければ」となる。こうなると、冒頭の「上流SEとITコンサルタントの違いってなんだっけ?」となってしまって、堂々巡り。
知識を深めること、自分の専門分野を作ることが、コンサルタントなのだろうか。
答えはYesでもあり、Noでもある。重要なのは知識の幅と、知識に対するスタンスだった。
ディープ・ジェネラリスト。本書に出てくる言葉。
これを聞いて、専門分野を作ることと、コンサルタントとのバランスに悩んでいた思考が、すっきり晴れた。コンサルタントには、幅広く、かつ深い知識が必要だが、それにも増して重要なのは、それらを統合して考えられること。
過去の歴史にあった事象、世界の違う場所で起こっている変化、多業種の取り組み、そういうものを知り、理解し、自分の中でパターン化して取り込んでいく。そして、目の前の顧客が抱える問題に対し、解決策を発想するためのアドバイスを行う。それが、コンサルタントとしての価値を創造する。
冒頭の質問ではないが、ひとつの分野に対するエキスパートと、コンサルタントなどのアドバイザーとの違いをしっかり理解した上で仕事にのぞみたい。
エキスパートは知識が深いが、アドバイザーはそれに加えて知識の幅が広い。
エキスパートは答えを出す が、アドバイザーは良い質問をする。
エキスパートは分析するが、アドバイザーは統合する。
このようなスタンスの違いが、一分野の専門家と、コンサルタントとを分ける要因なんだろう。
これを混同してしまったり、専門家だけのスタンスになってしまったり、顧客の望む情報に擦り寄ってしまったりというのがよくあるものだ。
もう少し早く出会いたかった。でも、今だからこの内容に理解を示せたのかもしれない。今後も、何回か読み返すことになるだろう。