人を活かす方法を理解する-【書評】モチベーション3.0

昔部下に、「これ確認してください」「あれ見てください」と、何でも確認・承認を求められたことがある。恐らく、どこまで確認をお願いしたら良いか判断することが難しかったのだろう。
 
そのとき、自分で考えるコツみたいなのを教えた。ざっくり次のようなことだったと思う。
 ・細かいことまで上司に確認を求めるのは、自分に自信がない、何がわからないかもわからない人間だとみなされる。
 ・逆に、上司も全てを確認したいはずはないので、どこが確認のポイントであるかを、部下の方から決められると良い。
 ・もしわからない、自信がないポイントがあれば、そこは具体的に要点を絞って上司に問うと良い。
 
それ以降、依頼の仕方も変わったし、お互いに良いリズムで仕事をすることができるようになった。
驚いたのは、この話をしてから、こちらの予想以上に率先して仕事を進めるようになったことだ。信じる幅、任せる領域を広げると、人間は自信になり、意欲がわき、思考が活性化するんだと、まざまざと思った。
 
 
で、本題のモチベーション3.0の話。「自律性」という言葉がよく出てきて、上記のような出来事を思い出した。人のモチベーションというのは、本当やり方によって大きく変わる。
 
モチベーションコントロールによって、人は活きもするし死んだりもする

課せられた業務が個人の能力を超えると、不安が生まれる。能力以下の業務を課せられれば、退屈になる。

日本のうつ病・躁うつ病患者の数は年々増加していて、2008年では100万人を超えているらしい。(参考:図録▽うつ病・躁うつ病の総患者数

職場でうつ病など心の病になる場合のひとつに、仕事の与え方があると思う。
 
これが適切にできていない上司や職場環境が多い。
往々にして、個人の能力に対して要求が高すぎて、プレッシャーに潰されてしまうか、逆に低すぎてつまらなくなって辞めてしまうか。どちらであってもいけない。(個人的感覚では、前者の方が早く重症化しやすい。)
 
組織論からすれば、敵者でなければ追い出すことで、代謝されることも重要だ。ただ、そうではなく仕事の与え方によって、せっかくの人材を潰したり逃したりするケースも多いのではないか。部下の能力と現在の仕事のハードルの高さがだいたい一致しているか、常に気にかける必要がある。良い仕事を与えれば、人は良い方向に化けたりすることもある。
 
 
報酬と社会的意義
 
この本は単純に「アメとムチ」に代わるものとしてモチベーション3.0を説いているわけではない。むしろ、一般よりもやや高い報酬の方が効果が出るとさえ書いている。
マズローの五段階欲求でもある通り、やはり生理的欲求から段階的に満たされる考えの方がしっくりくる。実際は、このいろんなレベルの欲求が、いろんな場面で入り乱れているんだろう。
 
生活の不安というものをある程度取り除いた上で、仕事に対する社会的意義を明確にする。それが、上司・リーダーの役目。
(それにしても、何でこの仕事をやるのか、ということを説明しない上司も、説明を求めない部下も多いよね。不思議。)
 
意味付けをすることで、人の考え方は大きく変わる。やらされている感も緩和されるし、自発的に取り組むようになるのは、本当に面白い。
 
 
最初は少し甘く見ていたけれど、読み込んでみたら評判になっている理由もわかった気がする。モチベーションを理解して、やり方を工夫すれば、組織は活性化すると思う。
 
 
ちなみに、本の内容の一部(要約)がTEDにあるので、手っ取り早く把握したい人はこれで良いと思う。

ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | Video on TED.com

ケン・ロビンソン卿:教育に革命を! | Video on TED.com