村上龍から政治の今を感じ取る

逃げる中高年、欲望のない若者たち
村上 龍
ベストセラーズ
売り上げランキング: 22127

少し脳みそが疲れ気味だったので、軽い気持ちで読めるエッセイを購入。JMMも読んでるし、たまにカンブリア宮殿をみたりもするけれど、村上龍という人は、素直に事象を読むことが上手な気がする。特に政治分野で。

政治に対して何か期待を感じることが難しくなってきている。どの政党や議員を支持すれば、自分や家族や社会が幸せになれるのか、よくわからない感じだ。「辞めろ」「辞めない」とか、「言った」「言わない」とか、どうでも良いことをメディアも報道し続けるし、どうすれば良い政治が行われ、良い社会になると信じることができるんだろう。日本の国家財政の現状、政治家の仕事、民主主義のプロセスについて、村上龍がわかりやすく捉えているのでメモしとく。

日本の国家財政の現状

現在、日本の国家財政は、破綻しそうなほど悪化している。借金の山で、使える金が限られている。つまり、どこかに予算を振り分ければ、他には回せない。

そんな状況で政治家を目指す人の動機がわたしにはわからない。予算をどう使おうが、すべての層に利益をもたらすのは無理なので、必ず誰かから恨まれるのだ。P.27

全体の経済状況が向上していれば、どこかにずさんなお金の流れがあっても、多くの人は気にしない。実際に名目GDPは1996年あたりから頭打ちになっている。正直、僕が大人になって、日本経済が拡大していくような感覚は味わったことがない。

[世] 日本の名目GDPの推移(1980~2011年)

「誰かが損をする」という構図が生まれた途端に、削られた方から強い反対が出る。そういう前提に立つと、どこからどう削るかを考える必要が出てくる。ビジョンやコンセプトがないと、なし崩しだったり、とりやすいタバコなんかの増税になってしまいがちだ。

政治家の仕事

外交を別にすれば、政治家の仕事は、資源の再配分に尽きる。国家資源と税金をどう配分するか、ということだが、日本ではそういった感覚があまりない。P.26

これを行うためには、マーケティング的発想だったり、戦略的なコンセプトを作る、という作業が必要なんだと思うが、政治家の仕事を端的に表していると思う。もともと公共機関というのは、市場原理では非効率なことを、関係ある人からお金を集めて託す存在なのだ。そして、集めたお金をどう配分するかという方針を決めるのが、政治家の仕事だ。

民主主義のプロセス

選挙に行こうにも、どの党に投票すれば自分たちの利益となるのか、若者だろうが、中高年だろうが、よくわからないのではないだろうか。政策で選ぶというより曖昧な好感度で選んでいるのが実情ではないかと思う。P.140

民主主義のプロセスというのは、なんだろうか。民主主義が良い仕組みだと学校の授業で教わったけれど、完璧な仕組みからはほど遠く、むしろその仕組みに行き詰まりすら感じたりしている。ただ、政党や政治家が変わったのではなくて、「利権集団」という構成をして、わかりやすい要望を政治に望む人たちが減ったからなのかもしれない、と思ったりもする。政治家は、そういうふわふわした「何となく」な集団の要望を、うまく掴む必要があるのかもしれない。

政治について、毎日毎日情報に触れているけれど、本当に有効な議論がされている?とついつい疑問に思ってしまう自分がいる。ただ、いろんな情報は大抵はある断面でしかないし、できるだけいろんな見方をしたいとも思う。最後にこの言葉を噛み締めて。

わたしたちの社会で流行する言葉は、ある事実や状況を正確に表現するものというのではなく、ミもフタもないリアルな現実を覆い隠すためにある場合が多い。P.14

イノベーションを起こすため5つのヒント

世界一自由な脳のつくり方
茂木健一郎
かんき出版
売り上げランキング: 252310

脳科学系の本は結構あふれていて、どちらかというと科学的な内容と精神論がごちゃ混ぜになっていまいち信用できず距離を置いていたんだけど、この記事(今でも何回か読み返す。)を読んで、ちょっと興味を持ったので世界一自由な脳のつくり方を購入。

脳が変わる7つの考え方 ~茂木健一郎著『脳が変わる考え方』より – ライフハックブログKo’s Style

最近ずっと、アイデアというかコンセプトを作れる組織や人材というのは、どうやって作れるのかに興味がある。そういう意味で、この本にはいろんなヒントがあった。

欲望を育てる

イノベーションを起こすためには、欲望をもち続けなければならないと言ったわけです。こうした欲望は、現状に対する厳しい認識からくるものです。現状のままでよいのであれば、欲望など生まれません。P.41

今の日本は、ハングリー精神が失われたといわれているけれど、こういう部分のことを言うのだろう。欲望というのは、どういう方向であれ強いほど、発想や行動に結びつく。現状の小さな不満をちゃんと認識し、それを解消する手段を考えてみることも、新しいイノベーションを起こすきっかけになる。

現実的な計画と大きなビジョンの両方を持つ

具体的に明日どうするかという現実に根差した計画と、大きなビジョンの両方をもっている人がイノベーターになりうるのです。P.138

空想家であってはいけないし、実務だけを考えていてもいけない。その両方をバランス良く考えることが、イノベーターには求められる。「Why」はあっても、「So what」がない人が結構多い。自分もそうならないよう、日々よく反省している。こういう両方の要素を持った人というのは、人材として少ない。人はどちらかに偏っているのが普通だと思うので、弱いほうを少しずつ鍛えるのが重要。

技術を見極める眼力を持つ

イノベーターは技術の詳細を自分でつくることができなくてもかまいません。ですが、技術については、目利きでなければなりません。P.32

技術そのものを深く知るレベルまでは至らなくても、原理や背景、使うことによるインパクトなどをしっかり理解していないといけない。全てを細かく理解するのではなく、要点を見極め、判断する力が必要なのだ。

複数の場所で活動する

人間関係においても収入源においても、ロングテールの部分をもっていなければ、リスクがきわめて高くなります。さまざまな人と結びついて、どの一つの関係をとっても、そこにだけ依存しているわけではないということでない限り、脱藩した意味がないからです。P.123

ひとつの会社に依存する生き方は終わったと思うし、複数の組織やコミュニティと関わり、仕事をすることが、リスクを分散することになる。あんなに安泰と言われたJALや東電もどうにかなってしまう時代だし、こういう生き方をしやすい社会に、もっとなればいいと思う。

アウトプットする機会を持つ

かつてないほどインプットの機会が増えていますが、アウトプットの機会があまり変わっていません。インプットは無意識のうちになされますが、アウトプットは意識的に機会を設けなければできないので、どうしてもバランスがくずれてしまいます。P.154

改めて言うことでもないけれど、アウトプットを意識的に進めていかないと、知識が定着していかないし、やってみないとわからないことが多い。文章にする、図にする、誰かに話す、というアクションを通すことで、思考が深まり、発展する。そういう機会を意識的に作っていかないと、インプットを横に流すだけの人間になってしまう。

このポイントは勝手に書きだしただけなので、本の中には他にもいろんなヒント満載。最後に。

自分の最大の長所は、最大の欠点のすぐ知覚にあります。日本人が自らのマインドセットに潜んでいる欠点を直視することは、逆に思わぬ長所を発見することにつながるはずです。P.5

自分の思考というのは、鍛えないとどんどん固まっていく。自由な脳を作ろう。

Evernoteって使うほど便利に感じて仕方ない

 

最近、Evernoteが個人的に盛り上がっている。以前から使っていたけど、オンラインで同期できるメモ拡張版みたいにしか考えていなかった。だけど、最近活用するようになって、一層便利にしたいと思ったので、活用ツールなどを書く。

 

Evernoteで「脳内検索」

Evernoteでスクラップしたところで、Googleで検索するのと変わらないじゃないか、と思っていた。結局たどり着く情報は変わらないんじゃないかと。でも違った。考えてみれば当然だけど、自分が興味ある情報しかEvernoteにはないのだ。だから、検索の対象は限定されているし、情報も濃密だ。

そして、キーワードで検索すると、思ってもみなかったような記事がヒットしたりして、結構自分の脳が刺激を受けたりする。こういうことも結構面白い効用だ。

 

必要な情報を無駄なく素早くスクラップする

自分の「第二の脳」を作るためには、良いと思った情報をスクラップしていく必要がある。ノートブックとかタグの整理方法なんて、まあ各自やり方があるだろうからどうでもいいけれど、大切なことがひとつある。「検索しやすい状態」でスクラップすることだ。

 

ページの必要部分だけスクラップ

ブラウザからEvernoteボタン一発でページ丸ごとスクラップできるけど、これをやるとヘッダとかサイドバーとか入ってしまう。これは検索のときに「ノイズ」になりやすい。最近のブログだと関連記事とかよく書いてあるし、そういう「本当は不要な情報」まで入ってしまうことは、極力避けた方が良いと最近気づいた。

そういう場合は、ページ丸ごとスクラップせずに、PrintWhatYouLikeを使う。対象ページが無駄なく素早くスクラップできる。

Evernote と PrintWhatYouLike の組み合わせが便利すぎる! 【 マインドマップ1年生 plus ライフハック! 】

 

複数ページの記事をひとつのノートでスクラップ

複数ページにまたがった記事が結構あって、4ページとか、長いと7ページとかにまたがっている。こういうのを全部ページごとにノート作ってたら、検索したときにうっとおしい。読み返すのも面倒だ。そういう場合は、AutoPagerなど続きページを勝手に読み込んでくれるアドオンが便利。PrintWhatYouLikeと組み合わせると、もっと効果的。

あとは、無駄な情報は時々削除すると良いと思う。

 

今後はアウトプット系のサービスに期待

Evernoteはツイエバとかハテブテとか、インプット系に関するサービスが登場してきているけれど、Evernoteの本質はアウトプットに活用されてこそ。今後は、新しいアウトプットを引き出してくれるようなサービスが登場するんじゃなかろうかと勝手に予想してみる。

 

ノートの追加数や累積数をグラフ化してくれる

数字自体に余り意味はないのかもしれないけど、ライフログをEvernoteに突っ込む人も結構いる。Evernoteに関する数字をグラフ化してくれるサービスとか、あってもおかしくなさそうだ。

 

ノートから画像を抽出して一覧化してくれる

スクラップした記事に画像が結構含まれているので、それだけを抽出してくれるとか。さらにそれを一括ダウンロードとか、フォトサービスにアップロードとか。

 

ノートの文字情報を解析して、それに関連する情報を教えてくれる

企業でもテキストマイニングとかで傾向分析したりするよね。その個人版みたいな。何に使えるかはよくわからないけれど。

 

マインドマップと連携

最近ちょっとマインドマップ使い始めたけど、ちゃんとEvernoteと連携してくれるサービスって今は無いみたい。Evernoteに直接画像を保存できて、編集もできたりすると、使う人は結構いるんじゃない?

時間と気力に余裕があれば、Evernote APIとかいじってみようとも思うけれど。

 

今ドコモのAndroid端末を買うと、1年分のプレミアムアカウントが無料に

買った後で気づいたけれど、ドコモでAndroid端末を買うと、Evernoteのプレミアムアカウントが1年分無料でもらえます。

キャンペーン・イベント情報 : docomo×EVERNOTEプレミアムキャンペーン | NTTドコモ

 

これで試してみよう。プレミアムになったはいいけど、抜け出せなくなりそうだ。

ここらへんも参考に。

情報が溢れる社会で、人と違うアイデアを生み出す「仕組み」を作る | Synapse Diary
「アイデアを作り伝える技術」を読んでEvernoteを整理した | Synapse Diary

 

Firefoxの「MakeLink」をカスタマイズして遊ぶ

Google Chromeに乗り換えようと思ったけれど、結局Firefoxユーザのまま。そして、ブログ書くときは、リンクのHTMLコードを一発で作ってくれる「Makelink」が重宝している。今日はMakelinkをカスタマイズしつつ、今後設定を移行しなきゃならんときのために、カスタマイズしたやつ残しておく。

通常のリンク

思いつきブログ2

まあ、お決まりのやつです。これが2クリックだけでできあがった最初は、すごい感動した。

スクリーンショット

思いつきブログ2
思いつきブログ2

heartrailsを使ったスクリーンショット。画像サイズはちょっと大きめ。

 

%text%

 

スクリーンショット+リンク

男子ハックのリンクみたいに、画像とリンクを足したやつ作りたいと思ったので、ちょっとカスタマイズしてつくってみる。実際に男子ハックのWebソースをのぞいた。

 

男子ハックが気になったニュース(2011/5/21~5/27) *男子ハック

 

ああ、結構簡単にできた。見本にした男子ハックは、リンクの記事冒頭も貼付けてるんだけど、どうやってんだろ。わざわざテキスト選択してんのかな。一発で抽出する方法が思い浮かばなかったので、そこだけは挫折。まあいいや。はてぶ数が結構簡単に表示できるようになっているのが、少し驚き。

 

%text%

 

結構こういう地味な工夫が、記事書くときに楽しくさせてくれんだよね。

Makelinkのカスタマイズは、ここらへんも参考になります。

 

リンク先の画像をMozshot+FirefoxのMake Linkでカンタンに貼る方法 – [Mu]ムジログ

 

 

Make Linkでリンク横にはてなブックマーク数を表示する方法 – sorarium

 

あと、今回初めてHTMLコードをブログに書いたけど、こういうツールを初めて知りました。便利。

 

【ブログツール】ソースを「そのまま表示する為のHTMLソース」に変換

 

情報が溢れる社会で、人と違うアイデアを生み出す「仕組み」を作る

f:id:synapse23:20050428190947j:image:w360

 

新しいアイデアは、誰にでも量産できるのだろうか。

 

新しいアイデアを比較的多くひねり出す人がいる一方で、そういうのを不得手とする人もいる。それでも、訓練によって、あるいは何か自分の行動を工夫することによって、新しいアイデアをひねる出せるとしたらどうだろう。そんなことになれば日々の生活はもっと楽しく、可能性を感じるだろう。というわけで、結構楽しみながら読んだ。今の情報収集の仕組みとかアウトプットの仕組みも見直すヒントがたくさんあった。

 

情報は多く存在しているけれど、アウトプットに結びつけることが難しい感覚がある。研究開発と事業化の間に「死の谷」があるように、インプットとアウトプットの間にもなにやら「谷間らしきもの」がある気がするのだ。これを乗り越えるためには、どうすれば良いだろうか。

 

アウトプットを想定した「自分データベース」の構築

まずは自分用のデータベースを構築する。過去は書斎だったり読書カードやノートだったのだろうが、最近はブログだったりEvernoteみたいな方がイメージしやすい。これを、単にデータを収集したものにするのではなく、アウトプットにどう結びつけるかを意識した構築が重要だ。

 

具体的には、次の2点だと思う。

・エッセンスを抽出し、自分の言葉で書き留めること

・取り出しやすい形にしておくこと

 

何かを読んだり聴いたり見たりして感じたことは、エッセンスとして抜粋したり、それに関して考えたことを書き留めて、「濃縮した」データベースを構築することが、本質を捉え、人と差別化を図る上で重要なポイントだ。

 

そして、データベースからいかに効果的に取り出すかも大切な要素だ。エッセンスを抽出しておくのも、それをみてすぐに内容を理解したりするためだ。あとは、検索しやすいようデータを整えておくのも大切。

 

型を意識したアウトプット

アウトプットをしようと思っても、最初から具体的なイメージが浮かんでいることは少ない。そういうときは、「型」を使うことで、それに従って「観点」を整理したり、新しいアイデアがひらめいたりする。そういう意味で「型」というのは、自分に新しい何かをしみ込ませる上では効果的。

 

最初は「型」に従ってアウトプットを生み出すことで、次第に「型」から自分独自のスタイルに発展できるだろう。

 

話す行為は自身の思考がまとまっていないとできませんから、自分の考えが熟したら、いきなり文章を書くのではなく、口述するわけです。つまり思考の断片をあらかじめ口述で出力し、それを文章化して、さらにリライトをかけるという効率的な方法を採っています。P.111

こういうアプローチも、ひとつの「型」。面白そう。

 

そうはいっても、あまり本気で取り組めなかったり、取り組んでもすぐにやめてしまったりする。それには、まずマインドとして、「なぜアウトプットするのか」を考える必要がある。

 

プロの料理人は常にお客さんの<うまい>のために、優れた食材を探し、料理への創意工夫を怠りません。それはわたしたちにも言えることではないでしょうか。P.104

 

そう。アウトプットするからには、相手に喜びと驚きを与えることが目標なのだ。それが自分にとっても楽しくなる。そう考えるとまだまだだな。。。。

 

 

 

モチベーションを思うまま高める法

f:id:synapse23:20070921164840j:image:w360

 

普段はこういう本はあまり興味もわかず手にとることがないんだけれど、これを読んでもわかる通り、ここ最近モチベーションが低下しており、少しでも心を前向きにシフトするために購入。

それにしても、モチベーションの高い維持が仕事でのパフォーマンスに大きく左右されるけれど、モチベーションの源泉が単純じゃなくなっている気がする。それは、はじめに書かれているこの文を読めば、その理由がすっきり分かる。

 

今見ている上司の姿が、10年後、20年後の自分の姿だとしたら、どうでしょうか。苦労するばかりで何も報われない。仕事や会社に疑問を抱きながら働き続ける。P.2

努力が確実な成果に結びつく時代には、たしかに成功を目指すことは「正攻法」だったかもしれません。しかし、先の見えない現在において、達成できるかわからない成功を目指すことは、かえってモチベーションを下げてしまうでしょう。P.7

今ではもう、都合のいい「ニンジン」を用意してくれる会社はありません。自分のやる気は自分で管理するーモチベーションの自己責任時代がやってきたのです。P.22

 

会社は結果を求めるけれど、日本経済全体に停滞感があり、自分の収入が右肩上がりになる予感がしない。そういう状況で、何を自分のモチベーションの源泉にすれば良いのだろうか。

 

勝つとか負けるといった他人との比較に依存してモチベーションを高めるのではなく、自分自身の中にある絶対的な基準に照らし合わせて、モチベーションを高めていくのです。P.35

 

外側にモチベーションの理由を求めるのではなく、自分がやりたいことや、自分の過去からの成長を実感するなど、内部的な動機によって自分をモチベートしていく「スキル」が求められている。

 

組織でも、こんなに記事になったり組織がうまくいかない事例が増えていても、どうしてもうまくこういう視点にシフトできていない人もいる。外部的な動機でコントロールしようとする上司とか。やはりどちらかというと、年代が高い人の方が、価値観の転換をうまくできていない率が高いんだろうか。

 

モチベーションの源泉が変わったのであり、それをちゃんと自覚するとともに、うまく内部から自発的にモチベーションを上げられる人になることが、面白い人生を過ごすことができるんだろうな、と改めてはっきり思う。

 

人生のコンシューマーになるのではなく、人生のクリエーターになるべきなのです。P.166

 

モチベーションを思うまま高める法
モチベーションを思うまま高める法

posted with amazlet at 11.05.23
小山 龍介
三笠書房
売り上げランキング: 13503

小説 上杉鷹山

小説 上杉鷹山 全一冊 (集英社文庫)小説 上杉鷹山 全一冊 (集英社文庫)
童門 冬二

集英社 1996-12-13
売り上げランキング : 13440

Amazonで詳しく見る by G-Tools

数年前に読んだとき、いたく感動したことを覚えているんだけど、内容をほとんど忘れてしまっていたので、久しぶりに再読。未曾有の危機にあるような気がする昨今の日本。何か新しい動きを作れる人というのは、どういう要素が必要なのか、改めて考えさせられた。

窮状に瀕している米沢藩の藩主に17歳でなった上杉治憲。藩の財政は縮小されていくのに、武士の人数を全く減らさないから、どんどん藩の財政が悪化し、治憲が藩主になったときは、幕府に藩政を返上しようというところまで話が及んでいた。あまりにも絶望的な状況で、反対者も多い中で改革を断行してく姿は、読んでいて少し気持ち良い。

人の登用の仕方、政策の根幹やビジョンを提示する姿勢、部下や民衆に配慮した人の接し方など、リーダーとしての素養はいくつか挙げられるが、今回読んだときは、「ああ、改革に必要な要素はこれだ」と思った。

結果ではなくプロセスを重視する

改革というと、すぐに「結果」を考えてしまう。しかし、本当に重要なのはそのプロセスなのだと気付かされる。

信頼していた重臣が、改革を素早く進めるためとして汚職に染まり、泣く泣くその処罰を決めるシーンがある。そのときも、時間がかかったとしても正しく行わなければならない、と治憲は述べる。結果を追い求めるあまり、本当に大切なことを見失ってはいけない。

上杉鷹山の場合は、藩の財政再建であり、経済活性であり、ひいては民衆の豊かな生活だった。そういう方向がぶれないよう施策を立て、批判されても反対者が表れても断行したことが、絶望的な藩の財政を立て直す結果につながったのだろう。

昨今はメディアもマスだけでなく多様化し、ステークホルダーも複雑化している。どちらかを立てればどちらかが何か損をする。そういう状況が生まれやすい。「絶対的な正しさ」がないときに、どういうビジョンを持って進むべきか。民衆が望んでいる、世論がこう言っている、というだけでは何か足らない気がする。

民衆に迎合せず、潜在的な要素や方向性を見出し、それをビジョンにし、提示していく姿こそ政治家に求められているような気がした。そういう意味で、政治家というのは本当に大変な仕事だ。

それにしても、上杉鷹山という人は、当時は画期的な考えを持った人だったんだろうな。

上杉治憲 – Wikipedia

「アイデアを作り伝える技術」を読んでEvernoteを整理した

いやー「アイデアを形にして伝える技術」に刺激を受けて、「第二の脳」といわれるEvernoteを整理しました。

ポイントは次の点。

 

アウトプットを意識した分類

これまで、何となくインプットの種類で分けていた気がする。だけど、それではアウトプットが出せない。アウトプットを意識した分類にしないと。

例えば、仕事で使えそうな情報、ブログのネタ用、プログラミング時に参照する情報、とか。その情報を何に使うかを意識すると、分類の仕方がどんどん変わる。

未だにぴったりした分類にはならないけれど、これを意識しながらぐちゃぐちゃ日々変えていこうと思う。

 

振り分ける前に入り口をひとつにする

ハテブテとか使って、Twitterのつぶやきに含まれたリンクの記事をEvernoteに登録してたんだけど、どっちかというと登録した後は放置してたんだよね。これだとEvernoteの意味があまりないな、と考え直した。

というわけで、情報の入口をひとつにして、毎日振り分けを手で行うことにした。どうせ数十件だし。自分で、何に使う情報かを考える良いきっかけになるし、情報も整理しやすい。

 

「その他」を作る

今回結構分類を大きく見直したので、大量に振り分け直しが発生した。このときに、どうしてもしっくりする分類が作れなかったりする。そういう場合は、「その他」に入れておけばいいんじゃない?で、ある程度たまってきたら、後でもう一度分類すればいい。

ある程度時間が経過すると、自分が何かしらのテーマで情報を集めていることに気付かされる。そういうタイミングで新しい分類をつくれば良いし、自分にあわなくなった分類は、また振り分け直せばいいんじゃないだろうか。

 

一度集めた情報も、不要と思えば捨てる

Evernoteに突っ込んじゃうと、思わず「取っておいて損はないか」と思うけど、アウトプットのための情報なのだから、どう考えても活用の可能性が見当たらない場合は、思い切って捨てる。これで200ノートぐらいは減った。無駄な情報は、活用するときにノイズになる。

 

こんだけやったら、結構脳みそが刺激を受けたし、「情報をどう活用するか」に少しシフトできた気がする。そして、分類した情報を眺めていると、新しい何かが生まれる期待がわいてくるから不思議だ。(まだ何も生まれないけど。)

仕事でひどく落ち込んだときにモチベーションあげる方法

自分で言うのもなんだけれど、比較的自分のモチベーションコントロールは上手いのではないかと思っている。(同時に、他人のモチベーションコントロールほど難しいものはないと最近痛感する。)

ただ、それでもモチベーションが急降下するときがある。実際今がそうだ。。。。そういうときに、いろんなアプローチから自分を言い聞かせる。

「人生はとても短い」ことを確認する

こんなこと、学生のうちは全く思っていなくて、老後なんてとてもじゃないけど想像できないぐらい未来にあるんだって思ってた。でも、自分が生きた年数が20年超えて、30も近くなってとか考えると、「ああ、もう老後まで折り返しているのかあ」とか、残念だけど周囲で亡くなる人が少しずつ出てきたりして、妙に「死」を意識する機会が増えた。こうやって死ぬことを意識すると、死んだら仕事なんてどうてもよくなるだろうし、仕事の悩みなんて大したことはないと思える。

他人は自分の言動を余り細かくは覚えていない

これは一長一短なのだろうけれど、人は結構他人には興味がなくて、自分がとても恥ずかしいと思ったことも意外と覚えていなかったり、全く気にとめていない。だから、他人の気持ちが本当かどうかを確かめる術はないけれど、他人はあんまり自分の言動なんか覚えていないのだから、と思えば、気が楽になる。って、ちきりん先生が言っている。笑

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法
ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

posted with amazlet at 11.05.17
ちきりん
イースト・プレス
売り上げランキング: 1185
同じ組織は永続しない

上司と相性悪かったり、部下の仕事ぶりにいらだったとしても、同じ組織はずっとは続かない。いずれ今の職場からいなくなるのだと思えば、上司との関係が悪くても、仕事が辛い状況であっても、少し気が楽になったりしないだろうか。

ドラッガーだって言ってるよ。

「組織より長生きするがゆえに、知識労働者は仕事を変えることができなければならない。」

乗り越えたときの未来を想像する

短い社会人経験を振り返ると、辛い仕事を乗り越えたあとは、自分が成長したという実感を得ることが多かった。これを思うと、今の辛い状況を超えた先には成長した自分が待っていると考えると、少し前向きになる。

「今」に集中する

ゾーンに入る技術」でも書いてあったけれど、心が苦しいときは過去に起こった出来事を後悔するのではなく、未来の漠然とした不安にさいなまれるのではなく、今目の前にある作業を確実に、高いクオリティで実現することを考える。

これぐらいの種類のメンタルブロックの方法を考えておけば、つらいときは気持ちを少しずつ楽にできるだろう。ああ、書いて少しすっきりした。

共通番号(国民ID)のすべて

先日、病院に行ってきた。数ヶ月に1回は行く病院なのだけれど、毎回氏名、年齢、住所、病歴etc.をひと通り書かされる。5分程度で書けるので大した負担じゃないと言われればそうなのだけれど、「顧客管理ぐらいしといてくれよ」と正直思ったりする。

でも、2015年から始まろうとしている共通番号が導入されると、こういう事態も防げるようになるだろう。というわけで、共通番号に関するヘビーな一冊。だいたいこれで主要な論点を網羅されてるんじゃなかろうか。

 

共通番号(国民ID)のすべて
榎並 利博
東洋経済新報社
売り上げランキング: 56541

 

名前などの文字では情報は一元管理できない

年金の名寄せ問題は記憶に新しい。未統合記録が約5000万件存在することに驚き、連日のように糾弾されていた。組織体質のせいだとか、システムが古いとか、データの記入間違いがある、とか言われていたけれど、外字の問題に触れた主張は、この本が初めてだ。

外字というのは、JISなど一般的に使われる標準文字では表せないもので、一般的に使うパソコンなんかではそういう文字は取り扱えない。ただ、公共機関は戸籍情報などのために旧字や異体字なんかを正確に扱う必要がある。そういうのは、外字として文字イメージを別途個別に作成し、データとして登録可能なようにシステムをつくりこむ。こういう部分が、名寄せを厄介にさせる。

外字は、都道府県CIOフォーラムでも議題にされるほど、自治体システムで共通して解消すべき課題になっている。

都道府県CIOフォーラム 第8回 春季会合 – 都道府県CIOフォーラム:ITpro

番号がないと国民が不利益を被る場合がある

年金問題がわかりやすい例だけれど、仕組みや情報の取扱いが不十分なことで、国民の権利が損なわれる可能性があることを、ちゃんと認識しなければいけない。

あと、定額給付金や子ども手当が、収入などの条件に関わらず一律なのは、世帯収入などの条件を一元的に把握する仕組みがないからだ。これをひとつひとつ確認して配布するより、条件に関わらず一律でばらまいてしまった方が事務コストが圧倒的に安い。だから、一律になってしまうのだ。(それでもメディアは、収入が多い世帯に対して給付するのは不公平だ、と報道している場合が多いけれど。)

今の番号制度の検討も、「給付付き税額控除」を実現することが目的のひとつになっている。垂直的な公平性を確保する上でも、番号制度は寄与する。

国の再配分機能は低下している

国などの公共機関には、再配分による格差是正機能があるが、相対的貧困率がメディアで話題になったことからもわかるように、再配分機能は低下しているようだ。以下は、OECDの2008年の報告から抜粋。

給与と貯蓄から得られる所得の格差は、1980年代半ばから30%拡大したが、同時期においてOECD諸国の平均は12%増だった。日本よりも大きく拡大したのは、イタリアだけであった。

1985年以降、子供の貧困率は11%から14%に増加したが、66歳以上の人の貧困率は23%から21%に減少した。これは、依然、OECD平均(13%) を上回っている。

http://www.oecd.org/dataoecd/45/58/41527388.pdf

本の中では、OECD25カ国で公的移転は下から3番目、税による再配分効果は最下位となっている。つまり、租税や給付による再分配機能が低下していて、国内での格差拡大を招いている。番号制度を導入することで、「給付付き税額控除」などの垂直的公平性を実現することを期待されている。

セキュリティや個人情報保護の懸念をどう回避するか

この本では、第三者機関の設置やアクセスログの確認する仕組みを作ることが述べられていた。実際に政府もその方向で検討しているようだ。

番号制度の要綱決定、事業者の罰則も強化 政府実務検討委 – SankeiBiz(サンケイビズ)

住基ネットはセキュリティ上強固であり、かつ合憲であることが実証されているが、共通番号は本人確認に用いられる、かつ所得情報などともひもづけられるので、漏洩リスクは大きく捉えるべきだろう。

「番号になるなんて嫌だ」とか「漏洩したら大変だ」ではなく、理論的に他国の事例なども参考にしながら注視すべきだろうと思う。そういう意味で、この本に書いてある各国の事例は、非常に参考になる。どれも国の背景や事情を念頭に設計されている。

クロヨンやトーゴーサンピンなんて本質的でない

共通番号や納税者番号の議論になると、クロヨン問題が解消するような捉え方があるが、それは恐らく難しいだろう。少額の決裁まで全部補足することは、いくら番号制度を導入しても不可能に近い。だから、小規模事業者や個人事業主の所得が事細かに補足されることは、少なくともすぐには実現できないだろう。

そもそもサラリーマンも年間65万円の給与所得控除をもらっている。全員が年間65万円もスーツとか本とか、自分の仕事に必要な経費として投資しているだろうか。というわけで、サラリーマンは補足されやすい代わりに、こういう控除を結構もらっているんだな、ということを知った。

共通番号が税の分野に導入されると、金融資産などの一元把握が可能になり、税収が上がると言われている。この本の試算では、16.7兆円だそうだ。これが本当なら、子ども手当の財源だって余裕だ。

というわけで、検討自体は着々と進んでいるし、Twitterでも#kokuminIDでそれなりに盛り上がっている様子。いろいろチェックしていかないと。


Warning: Trying to access array offset on value of type null in /home/synapsediary/synapse-diary.com/public_html/wp-content/plugins/amazonjs/amazonjs.php on line 637