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ベン・メズリック
青志社
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気分転換に、ひとつの読み物として興味本位で読んでみたけれど、意外に当たり。起業家物語として、起業家の本質をあぶりだすという意味では不十分な点は多いけれど、事業が劇的なスピードで拡大していく様子が、高揚感を与えてくれる。

創業者マーク・ザッカーバーグが作り出したfacebookを中心に、環境が目まぐるしく変わっていう中で、人や組織がどう変わっていくのかが面白い。特に、ハーバード学生時代の共同創業者で、経営面を担っていたエドゥアルドという人の存在が象徴的だった。最初はうまくマークと役割分担できていたけど、途中から別の人間に代わられて、距離感ができていく。それに気づくのに遅れ、最後には「創業者」の地位に固執するようになってしまう。

このときのマークの対応が冷徹のように描かれているけれど、僕としては何ら不思議はない。組織に貢献できなくなったらその人は存在できなくなる、という意味で非常に厳密で冷徹なものだ。(たまにこれができなくなるから、組織が非効率になるのだけれど。)

そういう組織の中で最も強いのは実行して結果を残せる人。facebookでは創業者マーク・ザッカーバーグだ。自ら企画し、コーディングし、人を牽引していく。

組織の中でどうやって生き残っていくか。結局はどういう人が強いのか。読めばよくわかる。そして、ちょっとコーディングしたくなる。

そういえば、デヴィット・フィンチャーが映画化したんだよね。このストーリーをどう描いたかは興味あるなあ。

Facebook誕生の裏側を描くD・フィンチャー監督作、予告編解禁 : 映画ニュース – 映画.com

これからの思考の教科書 酒井穣

ロジカル・シンキングとかクリティカル・シンキングはわかるけど、ラテラル・シンキングとかインテグレーティブ・シンキングって何?という感じだったので、拝読。面白かったよ。

最近、考えるということは「分析」と「統合」だと思うようになった。分析とは対象を細かく分類して、新しい事実を発見していくこと。統合とは、複数の事象を整合性を保ちながら新しい戦略なり思考に発展させていく行為だと思っている。

そして、ロジカル・シンキングは分析に適しているが、統合には適していない。事実を掘り下げて、正しく事象を捉えるのには適しているが、「飛び道具」的なイノベーションはロジックだけでは生まれない気がしてならない。

そういう意味で、ラテラル・シンキングとかインテグレーティブ・シンキングが登場する、というのが著者の主張だろう。インテグレーティブ・シンキングはまだ未知な要素が大きく、体系だって整理されていない分野ではあるものの、イメージを掴ませてくれる。知的生産を生業とする人は、一度読んでおくべきだと思う。まさに「これからの」教科書だろう。

あと個人的には、最後の曹操のあとがきがよかったなあ。

タイムマネジメントの考え方

同じコンサルタントでもタイムマネジメントが下手な人もいる。仕事が終わらず連日徹夜。家庭も崩壊とか。というわけで、僕なりのタイムマネジメントの考え方を書く。

1.自分の時給を知る

まずは自分の時間当たりの価値を知ることから始まる。年収/労働時間なので、簡単に算出できる。

時給がわかれば、自分の時間をどう使うべきか意識できるようになる。わかりやすいのは移動時間だ。例えば、電車だと駅までの徒歩も含めて1時間。タクシーだと20分で、自分の時給を3000円と仮定する。

 電車:300円(電車賃)+3,000円(1時間分の労働時間)=3,300円

 タクシー:2,000円(タクシー代)+1,000円(20分分の労働時間)=3,000円

こういう計算がさくっとできるようになれば、自分の時間がどれくらい貴重かわかるというものだ。

2.人に頼めることはどんどん頼む

自分で抱え込む傾向にある人がいるけれど、それはNG。自分の付加価値をあげるためにも、人に任せられる仕事をアウトソースしないといけない。

3.見えないコストを測る

精神的・肉体的疲労などは、表層には見えにくく定量化するのは難しいが重要だ。精神的ストレスや肉体的疲労は、作業効率が低下して、結果として時間が失われる。そういう事態が予想される場合は、金銭的解決の可能性を考える。ちょっとした金額で疲労を回避できるなら素晴らしい限りだ。

4.長期的目線で考える

結婚するまでは特に考えなかったが、ワークライフバランスというのもタイムマネジメントを考える上では重要な要素を占めてくる。(独身ならば、目一杯気にせず働けば良いけど。)

プライベートの安定は、自分の仕事を安定させる。そういう意味でプライベートの時間も重要と思えるようになった。あと、出産などのライフイベントは一生でその時にしかできないこと。そう考えると、たかが仕事に比べてとても貴重に思えてくる。仕事を休んだって良いじゃないか。

5.コミュニケーションには時間をかける

上記に挙げた考え方でいくと、人とのコミュニケーションなんてストレスが溜まるし、効果も見えづらいから効率化・省力化に走ってしまいがちになる。しかし、コミュニケーションは時間と労力を惜しんではいけない。コミュニケーションが希薄で、言いたいことや重要なことが共有できていない組織は、大抵どこかで大きな失敗をやらかすのが定石。

これぐらいかなー。

コンサルタントを志す人へのおすすめ本

最近、コンサルタントになろうと思ってる人におすすめする本を聞かれたので、書いておきます。入門的な本をピックアップ。

 

ハイ・コンセプト

自分の価値を上げないと、グローバル競争の中で飲み込まれていく危機感を悟った一冊。実際、日本の賃金はここずっと低下し続けている。知的労働を志す人なら読んでおくべし。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ダニエル・ピンク
三笠書房
売り上げランキング: 480

戦略プロフェッショナル

小説仕立てで戦略コンサルタントが企業を立てなおしてゆく流れが理解できる。コンサルタントのイメージを捉える、という意味で良書。

小説仕立てなので理解しやすく、立て直してゆく様子はある種の高揚感を与えてくれる。同シリーズの「V字回復の経営」も良い。

 

ビジョナリーカンパニー2

優良企業のエッセンスが描かれている。ひとつひとつの論理に派手さはないけれど、内容はどれも真理を突いている。自分がチームを組織するとき、顧客の組織を考えるときも、この本のエッセンスを適用している場合が多い。企業経営とは、ということを考えるきっかけとして良いだろう。

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ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社
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経営者の条件

言わずもがな、という感じですが、ドラッガーの名著。タイトルがおかしいのは有名で、経営者じゃなくても知的生産に携わる人にはみんな当てはまるはず。仕事に対する考え方を明確にしてくれる。

ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 477

 

これぐらいでしょうか。コンサルタントという職業を知りたくて、学生のときに読んだのを思い出す。懐かしい。

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける 石黒圭

「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける (光文社新書)
石黒 圭
光文社
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このブログで書評を書いているけれど、書評というのは難しいもんだなと思うポイントが2つある。ひとつは本を読み解き、要点を抽出すること。もうひとつは、読み解いた内容を文章に書き表すことだ。この本は、前者を助けるための本だ。漫然と本を読んでいる自分に、新しい「読み方」を提案してくれる。

書いたものに現れる個性は「文体」と呼ばれ、よく知られていますが、読みときにも「読体」というそれぞれの人の個性があります。(中略)本書は、自分なりの読み方、「読体」を対象化し改善する目的を持っています。

この本では様々な読み方に関する技術が書かれていて「●●ストラテジー」みたいな大相な名前がつけられているけれど、内容は全く複雑ではない。ただ、日頃自分では意識していない事象を体系だって整理されると、新しい気づきが多く、ありがたい。

速読で自分の中で前提となる「スキーマ」を利用して文章を予測し、要点を素早く特定していくことと、精読で書かれていることを疑ったり想像を広げたり掘り下げて考えてみることは、正反対である。その相反することが、読む上では重要なのだ。速読で知識を増やせば良いだけではない。本に書かれている内容を、本当に自分の血肉にするためには精読が欠かせない。

ビジネスパーソンとしては、限られた時間で効果的に知識を吸収し続ける必要がある。つまりは、速読と精読のバランスが重要になる。この本のテクニックを意識すれば、読み方の幅を広げられるだろう。

部下に自信を与える3つのこと

 

仕事では結果を求められるし、やったことがないことを「できます!」と言い切るのもやり過ぎだ。それで疲弊するのは現場だよねー。
自信をつける為に役立つ、ちょっとした3つの方法 – GoTheDistance

 

仕事をしていく上で自信というのは大切だと、最近になって思う。一緒に仕事をしたい、とか仕事を任せようか、と考える上では、自信があって堂々と主張する人の方が圧倒的に頼みやすい。頼む側になって考えれば、当たり前だけど。

もちろん結果を残すことは当然のことながら、自信をもっていろんなことを主張することが重要。ただ、これができる人がなぜかそんなにいない。主張と自信は表裏一体だと感じる。

自信を養うためのテクニックはGoTheDistanceに書かれているので、上司の目線から必要なことを書いてみる。

1.与える仕事の自由度を考える

自分が仕事を割り振るときは、まずはこれかな。割り振る人にどの程度の自由度を与えるか。自由度は「判断」と言い換えても良い。判断できる要素をいくつ与えるか。

人のモチベーションを高めるためには職務拡大と職務充実が王道なのだが、拡大させすぎたり充実させすぎると、自信喪失⇒戦意喪失⇒職場大混乱のパターンに陥る。

部下に対する自由度を適切に見極めて割り振れるのが、良い上司。

2.意思決定に参加させる

自分が新人の頃ミーティングに参加して、意見を述べて採用されたとき、非常に些細な内容であっても嬉しかった記憶がある。今思えば単純なもんだ。でも、これは重要な要素を含んでいる。

自分が決定に加わった事項には、仕事をやり抜こうという責任感が芽生えやすい。支障がない限り、いろんな検討事項に部下を巻き込んで、意思決定に参加させるべきだ。

3.成功・失敗に対してタイムリーにコメントする

成功したときは自信を養うチャンス。こういう場合はどんな形でも良いから褒めるべきだ。失敗したときは自信が喪失されるピンチだ。こういう場合はどんな形でも良いから慰めと復活へのアドバイスを行うべきだ。

これは内容もさることながら、タイミングが一番重要だと思う。一週間前の失敗を蒸し返されたときは、「もっと早く言えよ」という気分になる。成功や失敗に遭遇したら、可能な限り早く行動を起こすこと。

まあ、よろしければこちらも参考に。

モチベーションを低下させる上司の行動を適当に上げてみる | Synapse Diary

はてなダイアリーで行間を狭くする

はてなダイアリーに引っ越して書き方も少しずつ慣れてきたけど、行間が無駄に広くなって気に入らない。なんでこんなに広いんだ。。。。

調べたら解消できたので、メモを残しておく。

はてなダイアリーを書くと1行づつ空いた感じになるんですが…どうやったら詰められるのでしょうか? – 人力検索はてな

次のコードをCSS設定に追加する。

div.section p

{

margin-top: 0px;

margin-bottom: 0px;

padding-top: 0px;

padding-bottom: 0px;

line-height: 1.4em;

}

コード挿入前。

601D30443064304D30D630ED30B02
Uploaded with Skitch!

 

 

コード挿入後。

Uploaded with Skitch!

 

これですっきり。読みやすくなった。

福田和也の超実践的「文章教室」

ブログを書いてみてわかったのは、上手な文章は簡単には書けないということ。愕然として、たまに書くのが嫌になる。名文を書くために必要なエッセンスというのを、具体的な文豪たちの文章から具体的に教示してくれるなんて、贅沢な一冊。

ネットでは文字が溢れていて、僕も日々消化している。その中で、読みやすい文章、読まされてしまう文章というものが確実に存在する。玉石混交の中で人の目に触れてもらうのは、そういう文章を書ける人だろう。

周囲に対する「違和感」を大切にすること。目の前の事象を丁寧に描写すること。

ちなみに、いろんな題材が取り上げられるので、つい読みたくなる本がたくさん出てきて困った。

Googleリーダーに登録したGreasemonkey3つ

これを読んで、そのうち3つ登録した。メモとして残しておく。

Googleリーダーを超便利にする最強のGreasemonkeyスクリプト11選! | フリーソフト,Windows PC活用情報局

Google Reader Full Feed Mod for Greasemonkey

ボタンを押すと、確かに全文読み込んでくれる。「まるごとRSS」とか出番なくなるね。ちなみに、これを導入したらTweet数も記事タイトルに表示されるようになった。これもちょっと便利。

Google Reader Prefetch More for Greasemonkey

体感的にはよくわからないけど、入れてみた。気休めか?

Favicon with Google Reader

ファビコンがあるとどの記事かの認識度が上がる。やっぱり、記事元がわかると先読みしやすくなるから、フィードをさばくスピードも上がるね。

 

Googleリーダーを快適にするなら、これもよろしければ。

Google Readerをストレスゼロで優れたインプットツールに変える5つのステップ | Synapse Diary

IT産業が労働集約型から知識集約型に転換するために必要なこと

これを読んで、考えさせられた。

Software is Beautiful:第3回 なぜ日本のソフトウェアが世界で通用しないのか|gihyo.jp … 技術評論社

 

確かに日本のIT産業は明らかな労働集約型になっている。そもそも業種・業界に係わらず、日本全体でゼネコン体質的な構造が多く見受けられるので、そういう労働集約ビジネスの形が受け入れられやすかったのかもしれない。

 

ここから脱却する方法なんていうとおこがましいが、転換するために必要な心構えや取組みについて書いてみたい。

 

 

まずは定義のおさらい

 

労働集約とか知識集約について、ここが端的に纏めていたので、ありがたく引用。

 

1.労働集約産業

これは多くの場合は機械化が難しい分野で、単純労働力の提供が収益の源泉となっている産業。例えば飲食業・人的なサービス業・運送業などが代表例となる。一人あたりの、資本投下額が小さく、売上げに占める労務費の割合が高い。

 

2.資本集約産業

資本投下を行い、労働力よりも機械や設備の力で生産したりサービス提供をするような産業。メーカーや、大型商業施設などが代表例。一人あたりの、資本投下額が大きく、売上げに占める労務費の割合は下がる。

 

3.知識集約産業

知的労働力や、研究開発によって会社としての知識や技術力を高めることが収益の源泉となっている産業。投資ファンド、コンサルティング(ファーム)、ファブレスメーカー、製薬会社が典型例。一人あたりの、資本投下額はさほど大きくはならないが、成功している例では一人あたりの収益力は高くなる。

 

 

まあ、これらは厳密な境界はないわけだけど、イメージは十分掴めるかと。で、IT産業が労働集約型だと言われるのは、システム規模や作業内容を人月で見積りし、その積み上げで行われているからだ。労働力がそのまま金額になるのだから、その金額を下げることが競争につながる。これは問題視されているし、経産省も人月ではなくパフォーマンスベースでの契約を行うよう促している。

経産省-人月単価脱却に報告書

 

本題に入る。

 

知識集約産業になるためにどうするか

結論からすれば、ナレッジマネジメントにもっと投資した方が良い。ナレッジマネジメントというのは、言葉や概念ではわかるが、実際に仕組みを作り、組織に浸透させ、有効に活用させることは難しい。

勉強会を開いてみたものの形骸化していつの間にか開かれなくなり、作った資料は誰にも見られないままファイルサーバの端っこで放置されている。これでは、いつまでたっても作業は効率化しないし、組織に知識は蓄積・昇華されない。

経験論からすれば、やった方が良いよね、とみんな思ってはみるものの、日々の業務で忙しく、知識を纏めたり、共有する手段を構築するまでに至らない。圧倒的に「知識」を醸成することに対する投資が低いのだ。

 

知識集約産業とは知識の商品化

知識集約産業とは、端的に言えば知識を「商品化」することだと思っている。つまり、ひとつの知識パッケージで、複数の相手からお金を取ることができるか、だ。

例えばテレビのメーカーは、テレビをデザインし大量生産し、多くの客から対価を得ている。これと同様に、知識をデザインし、パッケージングし、複数の客から対価を得ることが理想だ。

自分がある企業の業務システム構築に携わったとする。似たような企業に売れるだろうか。そのとき、ナレッジの蓄積によってどれぐらいコストメリットが出せるだろうか。

システムを構築するときは、相手企業の業界慣習、業務の進め方に始まり、システムの機器設計や採用したアプリケーション、開発方法、プロジェクト管理など、あまたの知識が凝集されている。それを再利用可能なレベルまで引き上げてこと、知識集約産業と言えるんじゃないだろうか。

 

目の前に業務があるのに、どうすればいいのか

本気で実現するためには、リーダーの先導が必要だ。ナレッジマネジメントは、日々の業務からすると緊急性が落ちる。下のマトリックスでいうところの、左上の象限に該当する。緊急性はスタッフでも判断しやすいが、重要性はトップの決断が必要な場合が多い。つまり、緊急性を要しない作業は、トップがやる・やらないという方向性を示す必要があるのだ。

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トップが実務レベルまで加味して、スタッフの日々の業務の中に、ナレッジマネジメントの構築・維持作業を組み込まなければいけない。SECIモデルで示されているようなサイクルを日々回していくための、作業の分担や役割の設定が必要になる。

3MやGoogleのように、20%ルールみたいな制度を作って、日々の業務と切り離した時間を半ば強制的に設けても良いのかもしれない。

 

それいしても、ナレッジマネジメントの資格とかないのかな。基本知識に始まり、業務設計とかツール活用とか、学ぶべきことは多いしそれなりに面白いのにな。データ分析とかいろいろ今後も注目される分野だろうし、勉強しよ。

 

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