働きながら、社会を変える

慎 泰俊¥ 1,575

働き方を考える上で、この本にはいくつかヒントがありそうだ。様々なバックグラウンドを持つ人たちの方向性をどう纏めていくか、社会貢献できるようなソリューションをどう見出すか、という点で大いに参考になるだろう。読みやすい文章であるし、多様な働き方をしたいと思っている人は、読んで欲しい。

 

ここで書こうと思っているのは、社会貢献へのアプローチとしての「行政の補助金」について。

ネタを少しばらしてしまう気もするけど、この本でも解決策のひとつとして、行政の補助金を有効活用する手段が書かれている。これを読んで、制度があっても利用されていない現状はたくさんあるかもしれないし、「行政からいかにお金を引き出すか」というのは、NPOなどの社会貢献アプローチとしては有用なんだってことだ。

市場経済というのは、不均衡を是正する仕組みがある。おいしい条件があれば、みんなが群がることで条件が緩和され、平準化される、というあれだ。しかし、市場経済だけでは難しいので、それを是正しようと行政は制度をつくるけれど、市場のような効率性が十分に効かないので、なかなか制度利用が進まないんじゃないか。

 

別の例だと、中小企業で女性の産休を取得しやすい制度づくりを支援するNPOでも、国からの補助金を引き出すことで財政的な問題を解消しようとしている。

結婚しても、子どもを産んでも、オンナの人生は選べる!女性が働き続ける環境作りを支援する「Arrow Arrow」 | greenz.jp グリーンズ

結婚しても、子どもを産んでも、オンナの人生は選べる!女性が働き続ける環境作りを支援する「Arrow Arrow」 | greenz.jp グリーンズ

 

国や自治体の制度は永続的に続くわけではない。だからこそ、一時的に社会のギャップを埋めるために補助金を活用するスキームをつくるのがNPOというのは、良い組み合わせな気がする。制度をつくる側と利用する側の中間的な存在が必要なんだろう。

日本に「民主主義」を起業する―自伝的シンクタンク論

鈴木 崇弘¥ 576

 

日本でなぜシンクタンクが形成されないのか。政策形成の中心が官庁のままであり、外部からの政策形成過程をつくることができていないのか。そういう現状がよくわかる。

政策はどう形成されるのか。最近では、パブリックコメントだったり、アイデアボックスなどのオープンガバメント系の取り組みが少しずつ進められていて、民意を政策形成プロセスに組み込もうとしているが、本当にそれだけで良いのだろうか。

もっといえば、「政策競争」みたいな状況が起こりえないのか、ということだ。そこで必要と言われるのがシンクタンク。「シンクタンク」の定義がわかりづらいけど、これで何となく伝わるだろうか。

 

これまで述べてきたことからもわかるように、シンクタンクは単なる調査研究機関ではない。政策形成過程をよりオープンにし、より多くのアクターをその過程に関わらせ、そこに競争性を持ち込む、社会に民主主義のプロセスを実現する一つの道具、まさに民主主義の装置なのだ。P.110

 

シンクタンクが行うことは、アカデミックな政策研究や調査と合わせて、その提言を発表したり、議論する場を設けたりする。そして、実際の政策機関に対する人材輩出も時には行う。大学などでも公共政策を研究しているけれど、アカデミックと実学の中間に立つのがシンクタンクだ。

 

しかし、それが国内では十分に育っていない。

 

私の理解では、日本にもこれまで多種多様な形で政策提言をする組織や活動は存在してきた。しかし行政組織も含めて、的確かつアカデミックな議論も踏まえた政策研究を行い、その成果に基づいた政策提言とその政策情報の蓄積を行ってきたシンクタンク等が、ほとんど現存してきていないのである。それは国際的にみても日本の政策形成において、政策情報の質量で大きなハンデであるといえるだろう。P.173

 

そこは、社会的なニーズの機運もあるだろうし、個人的には資金面の問題が大きいと思っている。研究機関を抱えるにはそれ相当の資金が必要となる。その資金を財団が資金を提供しても良いし、パーセント法などの法律によってフィランソロピー文化を醸成しつつ、寄付提供先として資金を受けても良いと思う。民間になれば、調査・研究依頼やコンサルティングで資金を獲得する方法もあるだろう。ただ、後者についてはシンクタンクという長期的な視点で作業を行う性質なので、やや難しいのかもしれない。逆に、シンクタンクが社会にどう役立つのかをもっとわかりやすくしなければいけないのかもしれないし。

 

あとは、人材面でもシンクタンクの社会的役割はある。

 

これらのように、大学、シンクタンク、行政府、議会(立法)等の間を行き来したり、それらの機関に関わりを持ったりする人材は、シンクタンクという仲介機関を一つの軸として、政策研究に多様に関わっている。P.118

政策人材の育成機関も日本では欠如している。これまで公務員の育成の多くは大学の法学部等が担ってきた面もあるが、そこでは法律の解釈が教えられるばかりで政策や法案の作成について学ぶ機会は少ない。また近年では公共政策系の学部や大学院が多数できているが、実務を含めた政策立案や政策研究について必ずしも学べるとはまだまだいいがたく、政策人材の育成に大きく寄与しているとはいえないのが現実だ。また政策人材が活躍するための制度等も不十分である。たとえば公的活動に関する休職制度や専門人材の雇用制度等が未整備だったり、兼任や兼務を禁止する等の制約があったりする。P.246

 

官民交流が硬直的と言われているのは昔からだし、みんなの党なんかは官僚幹部については政治登用として公務員の雇用保護の対象から外す提案をしている。

 

幹部官僚はいったん退職。特別職として時限採用し、時の内閣の政策を忠実に遂行。選挙公約 – みんなの党

 

シンクタンクが成立して、政策市場の規模が大きくなることで、人材が交流して、政策形成が活性化していくのではないか。

 

最後に。

今後の地域主権の流れから考えると、各地域にもこういう政策を考える小規模なシンクタンクも必要なのかもしれない。そういう地域行政の政策形成プロセスに、今は興味がある。

 

追加参考:

特集:民間シンクタンクに期待される役割|三菱UFJリサーチ&コンサルティング|季刊 政策・経営研究:Quarterly Journal of Public Policy & Management

地域の力が日本を変える

4761525126

地域の力が日本を変える

 

地方には問題が山積している。過疎化、中心市街地の衰退、若者の雇用場所の喪失。この本を読んでいても、社会資本はこれ以上新規投資できないほどの財政難、公共交通機関の経営難による移動手段の減少など厳しい現実と将来が描かれている。

それでも、前向きに取り組んでいる人たちのインタビューを読んで、希望も感じる。そして、いくつかこれからの地域活性化に必要なポイントが見えてくる。どれも当たり前といわれればそれまでかもしれないが、非常に重要な要素を含んでいる。
 
 
地域内で自立した仕組みを形成する
これは、特に資金面が先行する。国や自治体の助成金に依存しない仕組みを作ることだ。最初の立ち上げは確かに難しい。資金面でも苦慮するので、助成してもらうこと自体が悪いのではない。ただ、継続的な仕組みを構築するのであれば、やはり自立した仕組みが必要なのだ。
 
それは人材についても同じだ。若手の雇用を創出し、地域を振興できる人材を育て、活躍の場を与えることが必要だ。
 
 
地元の事業をインキュベーションする仕組みをつくる
本の中でいくつか登場するが、成功してると思われる事例には、地元の魅力を発見し、それを事業化するまでのインキュベーションの仕組みが組み込まれている。
 
別府温泉で始まったオンパクは、地元の魅力を感じられるマイクロプログラムを用意する取り組みなのだが、これが地元事業者の新しいサービス化につながるインキュベーションの役割を担っている。
 
ただ、ビジネスの起業化支援には、人材、資金、起業に必要な情報・人脈の提供や持続可能なビジネスモデル構築等の経営ノウハウの提供などが求められるが、こうしたニーズに応えることができる専門的な能力を持った中間支援組織が日本ではまだ十分には育っていない。P.61
 
インキュベーションの先に、事業化を支援できる組織の充実も課題だろう。
 
 
新しい資金の流れをつくる
事例として、熊本城の「一口城主制度」や高知県梼原町の「千枚田オーナー制度」が挙げられているが、直接感心がある人たちから少額融資を集める仕組みをつくることが、新しい資金集めの仕組みが生まれている。
 
イベントカレンダー – 【熊本城公式ホームページ】
棚田(千枚田)/高知県梼原町
 
一つの事例では、LLCとLLPの組合せで、出資会社と運営部門を明確に分けて、出資しやすい構造をつくるとともに、出資と運営の責任明確化を図っているというのがあった。
 
ネットの世界ではCampfireみたいなマイクロファイナンスが登場しているし、関心がある人から少額融資を受けやすい仕組みをつくることが、うまく資金運営していく重要なポイントになるんじゃなかろうか。
 
 
とにかく事例が満載だ。これからの地域活性化を考える人は、読んでおいた方が良いだろう。
 
岐阜の中心市街地を初めて見たときは、人の少なさに正直ちょっと驚いたが、最近はギフレクや長良川おんぱくの取り組みを見たり、実際住んでみて穏やかな岐阜の街並みをみて、都市部とは違う価値を感じるようにもなっている。いろんな「良さ」を探すのも、楽しいもんだ。
 
 
 
最後に。

これからの地域再生は、地域経済の成長だけではなく、むしろ地域住民が実感する地域での「暮らしの満足度」や「幸福度」をどう高めていくかに価値軸が置かれるであろう。P.5

「秘伝 大学受験の国語力」で読解力とは何かを考える

 

石原 千秋¥ 790

 

中小企業診断士の二次試験用に、読解力を鍛えるために購入して読んだ。その理由は、どうやら自分には読解力がとても不足している、ということと、二次試験には知識よりも文章から読み取る「読解力」が答えを導くための要素として多くを占めると考えたから。

それにしてもこれまでの人生で、国語の受験問題について「出題する側」から考えたことがなかった。問題の流行り、時代背景から求められる要素、どういう観点で解答まで導くか、という点が事細かに書かれている。

 

本書の中では、読解するにあたっての能力がたくさん出てくる。文章参照能力、二項対立整理能力、翻訳能力、構成把握能力、感情移入能力、意味づけ能力。これらが組み合わさって、文章を読み解くことができる。

しかし、個人的にはここが肝心だと思う。
 

何度でも繰り返すが、文章読解の最終形態は要約である。要約に、文章の理解度のほとんどすべてが現れる。だから、どのレベルの要約なら設問が解けるのかということは、問題のレベルを雄弁に物語るのだ。P.181

 

仕事では意識してやってるはずなのに、仕事以外で長文を読もうと思うときにはできてないんだなと思ったよ。仕事では、目の前の問題を解こうと思ったときに、「前提事項は何か」「本当の問題はなにか」「結局のところ、伝えるメッセージは何か」というのを考えることで、問題を要約してたんだなあ。いろんな文章を読んで、本質は何かを意識するようにすれば、読解力は向上するということだ。

 

それにしても、現在の国語教育の状況や、塾の役割など、いろんな「脱線」があり楽しめる一冊だった。ウィットに富んだ文章も読みやすい。

ドラゴンフライ・エフェクト ソーシャルメディアで世界を変える

ドラゴンフライ エフェクト ソーシャルメディアで世界を変える
ジェニファー・アーカー アンディ・スミス
翔泳社
売り上げランキング: 9845

ソーシャルメディアを活用する、というのは企業や自治体で動きが出ているけど、そう考えているような人は読んだ方が良い気がする。ただ使えば良いってものではないことがわかる。内容は、ハーバード大学のビジネススクールで人気の講義が本に纏められたらしい。(最近、こういうコンテンツの売り方が多いね。日本の大学の場合、余り見かけない気がするけど。)

基本的には、ソーシャルメディアを活用したターゲットマーケティングだと思うんだ。目的を絞れ、とかストーリーで共感を引き出せ、とか。それでも、こういう状況を十分理解しないといけない。

IDCの調査によれば、毎年、情報の量はーーオフライン、オンラインともにーー65%ずつ増えているという。同調査の回答者は、すでに情報洪水の弊害に対処するため、自分の時間の26%を取られていると答えている。マーケティングや広告の分野では、人々の注意を引くのはますます難しくなりつつある。最新の消費者は必ずしも広告をありがたらない。P.84

普遍的で特徴がないものは、どんどん注目されなくなるのかな。確かにネットでもいろんな情報ソースが出てきているし、取捨選択が難しくなってきてる。たまに「情報ダイエット」するぐらいだ。だから、注目してもらうためには、どうやって興味を持ってもらうかを考えないといけない。

そして、興味を持ってもらったとしても、人は合理的には行動しない。

人間が下す判断は、現実には最善ではないことが多い。行動経済学者が指摘しているように、「選択アーキテクチャ」、つまり選択に至る過程が、人々の選択に影響を及ぼしている。P.53

逆にいえば、心理的に納得して、行動しやすい仕組みが用意されていれば、多くの人を行動に結び付けられるってことだよね。選択アーキテクチャという概念は、今後とても重要になるのだろう。

(そういえば、GREEの退会処理がひどいと話題になってるけど、あれも選択アーキテクチャの一環になるのかね。)

人間が自己肯定感を持つためには、少なくとも3つの要素が欠かせないと言われる。能力(自分がしたいことができるという感覚)、自律(自分で自分のすることを決めているという感覚)、人間関係(他者とつながっているという感覚)の3つだ。P.9

ソーシャルメディアは、こういう自己肯定感を醸成するから人気があるのだろうし、それを刺激するようなメッセージを送ることが重要なんだよね。

個人的には、オバマが選挙でどのようにソーシャルメディアを使ったかって話と、クックパッドのポリシーが面白かった。

大統領選挙のときは、草の根運動を印象づけるようにシナリオライターを雇用して、支援者のエピソードを効果的に伝えるようにしてたらしい。大掛かりでソーシャルメディアを利用していくためには、こういうアプローチが重要なんだなー。

「クックパッドの人気レシピが検索できない」って嫁が怒ってたけど、その理由がわかった。コミュニティ運営のために、特定のユーザに人気が集中することを助長するような仕組みは避けようとする目的なんだって。コミュニティ設計って、本当重要だよね。(ちなみに、プレミア会員には人気レシピ検索を提供しているらしく、なんか微妙な気分になったのは内緒です。)

「知」のソフトウェア

立花 隆¥ 777

「プロフェッショナルの情報術」で紹介されていた、知的生産の古典。読んでみたよ。1984年初版なので、ツールなどは古いんだけど、考え方は古びてないね。

いったい知的情報のインプットに毎日どれだけの時間をさくことができるのか。新聞、雑誌以外のまとまりのある書物を読む時間をどれだけとることができるのか。その時間に自分の読書能力と平均余命をかけ合わせるという簡単な計算で、誰でも自分が残りの一生であと何冊くらいの本が読めそうかはすぐにわかるだろう。相当に読む時間をとっているつもりの人でも、それは驚くほど少ないはずである。P.11

あの立花隆でさえ、インプットに時間が足りないと言っているのだ。自分なんて、本当足らなさすぎるだろう。時間は有限だ。どんどんインプットを続けながら、良質で効果的なインプットをできる仕組みを自分で作らなければいけない。

それは、常に自分でいろんな物事を考える、ということに尽きる。

「いかがですか?」「ご感想をちょっと・・・」と水を向けるだけで、相手が何かまとまりのあることを当然にしゃべってくれる思い込んでいるおめでたいジャーナリストがあまりにも多いのだ。まるでこちらがラジオかテレビのような機械で、「きっかけの一言」というスイッチを入れると、あとは自動的に番組が流れ出てくるものとでも思っているかのようだ。P.123

スポーツ選手への試合後のインタビューとか、本当にインタビュアーのレベルの低さというかワンパターン振りにがっかりする。こういうメディアの状況を知らないうちに受け止めてしまっているとすれば、思考状態がとても危ない。自分で考えて、想像して、仮定を置いて、本当の疑問を探さなくちゃいけない。

そして、それはアウトプットでも同じだ。

文体は個性である。どこかで読んだようなスタイルの文章しか書けない人は、個性をいまだ確立していないか、個性を喪失してしまっているかのどちらかであろう。P.200

本の中では、学生の文章の未熟さに唖然とした、みたいな下りがあるんだけど、文章というのはどれだけ書いたか、ということと、それに対してどれだけフィードバックを受けたか、によると思う。自分の文章が上手いだなんて思わないが、書けば書くほど自分の文体が変わるのが分かる。学生よりも今の方が文章を書いているし、そう考えると、学生時代に文章を書く量というのは、少なかったのかもなあ。

最後にもう一度述べておくが、本書の内容を一言で要約すれば、「自分で自分の方法論を早く発見しなさい」ということである。本書を含めて、人の方法論に惑わされてはならない。P.236

自分の情報収集とかタスク処理の仕組みは、大学時代にコピー用紙の裏にタスクリストを書き始めた頃からスタートしてる。そこからいろいろ考えて、今も少しずつ変化している。この繰り返しをして磨く以外に、ベストな方法にたどり着く方法はないんだろうなあ。

【書評】下町ロケット(池井戸潤)

池井戸 潤¥ 1,785

不覚にも、ちょっと感動しちゃったじゃないか。

直木賞受賞作。高い技術力を持つ中小企業が、いろんな困難に立ち向かいながら夢を追いかけるサクセスストーリー。ストーリーのタイプとしては目新しさに欠けるし、大企業社員の描き方が極端すぎてちょっと気になる。

ただ、体力的に余裕のない中小企業に対して貸し渋る金融機関の現状だったり、目先の利益と企業のアイデンティティが矛盾した場合に、どちらを優先するの?とか、会社の方針に反感を覚える社員にどう向き合うか、みたいな組織とリーダーシップという面では、いろいろと楽しめたり。

それにしても、特許とかの知財戦略というのはとても大事なんだなあ。特許の申請の仕方とか、法定闘争なんかにどう対処するか、というところまで考えると、そういう点でも中小企業はなかなかハードルが高いと思ってしまうけど。

とりあえず、感動を味わうほど働かないとな、と思う。

憂鬱でなければ、仕事じゃない

見城 徹¥ 1,365

タイトルの言葉に救われる。立ち止まり、悩み、苦しむことはなんらおかしいことじゃない、ということを示してくれる。見城徹のポリシーに藤田晋が解説っぽいコメントを寄せる、という少し異色な構成。本の中でいくつか気になった言葉を。

自己顕示と自己嫌悪は「双子の兄弟」

いい言葉だよね。この矛盾したものを内包するからこそ、絶妙なバランスを築ける気がするよね。昔読んだ中田ヤスタカの言葉を思い出した。

-ふと不安になる事はないですか?

かっこいいかなって。これ本当にかっこいいかなってことですよね。いつもですよねそれ。大体なんか半分半分です。不安と自信がどっちも同じくらいの量ある感じで、多ければ多いほどいい。

中田ヤスタカの10のルール@TBS「私の10のルール」 090908 – Aerodynamik – 航空力学

こういう、相矛盾した感覚を肯定できると幸せになれる。

「極端」こそわが命

大人げない大人になれ!」でも書いたけど、結局何かに突出しないとだめなんだってことだと思うんだよね。平凡で代わりがきくと、自分の価値が上がらないというか。いろんなエピソードで「極端」を形成するヒントが書かれているんだけど、どれもそれなりにエネルギーが必要という。笑

まあ、楽して結果を残そうという発想が間違っているのかもしれないけどねー。

天気の話でコミュニケーションを図るホテルマンは最低である

これは確かにその通りだな。よくコミュニケーション能力を向上させるために、「とりあえず天気の話をしとけ」って書いてある本があるけど、中身がないよねーといつも思う。天気の次はどうすりゃいいんだよ、というツッコミ。

結局、相手に興味を持ち、調べ、ひねり出した一言に意味がある。これをやるのは簡単じゃないけど、考える価値はあることだと思うな。

他にも「パーティーには出るな」とか、自分と同じ考えで驚くとともに、どこかちょっと安心した。同じこと考える人がいるんだな、という。

ここまでいろいろ書いていてなんだけど、ちょっと重いんだよな。笑

これを読むと「がんばらないとだめだな」という強迫観念に襲われる可能性もあるので、あまり自分を思い詰めたくない人は、「ゆるく考えよう」なんかを合わせてお読みください。努力することは大事ですが、同じように努力すればいいってもんでもないとは思う。

ちきりん¥ 1,365

大人げない大人になれ!

成毛 眞¥ 1,000

社会人になって、世の中はとても「自由」だって思い直したことがある。人生とか自分の可能性というものを重く考えすぎていたんだと思うんだが、社会はとてもたくさんのことで溢れているし、楽しいことを追求したって別にいいじゃないか、という感覚を味わった。

でもやはり人の気持ちは窮屈になるときがある。最近は思いつめることも多かったけど、この本でいくらか心が軽くなった。やっぱり自由に生きないとなあ。

創造性が求められる時代

今後は、とんでもなく不確実な世界のなかで、変化に対応するだけでなく、変化を自らが創り出すことが求められる。

こうした状況下においては、単純労働者はおろか、事務的な頭脳労働者でさえも、その価値が半減してしまう。均一な労働力よりも、飛びぬけた創造性に価値の源泉が移行しているからである。P.17

単純な労働力も資本として有効だった時代から、頭脳労働が資本になる時代になり、それも過ぎて今は創造性があるところに、人も金も集まるようになっている。ああ、こういう時代になるととても大変だなーと改めて思ってしまった。でも、事実だとも思う。

勉強はできるけど、創造性がない人なんて、高学歴でもごまんといる。何が認められる要素なのかは十分に考えないといけない。

平凡から脱却する

なぜこのようにするかといえば、権力を持った人の考えは、完璧な独裁者でもない限り、民主主義の論理に沿って部分最適に向かうからである。乱暴に言えば、自らの地位を守るために自然と大衆に迎合していくのだ。P.72

いろんな人の言うこと、特に上司やえらい人の発言というのは、重みがある一方で、年齢を重ねるために固まってしまった「思考の偏り」みたいなのを感じることがある。そういう意味では、権力を持った人の考えを疑ってみるというのは、良い考えだと思うし、みんなが信じる方向と逆に進むという意味で、平凡から脱却できると思う。

そして、日々の細かい行動についても、平凡から脱却するヒントがある。

このように形式的な話し方ばかりしていると、思考や発想までが型にはまり、つまらないものになってくる。話し方は、常にその人の考え方に大きく影響しているのだ。意味不明のカタカナ語を使うたびに、メールでは「お世話になります」と書くたびに、あなたの中からはクリエイティビティが失われていくはずだ。P.97

こういう意識を積み重ねていかないと、自分が何気なくやっている行為が、既に普遍性の罠にはまっている気がしてきちゃうな。

細かいことに捕われない自分になる

大人げなくなるためには、あまり細かいことにこだわったり心を乱されない「鈍感力」が必要になる。

では、自分が鈍感になるためにはどうしたらよいか。月並みな表現だが、それは、より大きな刺激を受けることである。強い刺激を受けると自分が持つ感度の上限と下限が広がっていくから、小さなことでは失敗とも成功とも感じなくなるのである。P.125

いろんな刺激を自分に入れていくことで、少しずつ小さなことにいちいち悩んだりしなくなるのかもなあ。

いろいろ自由に振る舞った方が、人生楽しいし気持ちも楽になる。いろんな可能性を試したくなるよなあ。人生は楽しみ尽くすにはあまりにも短いと、最近は思う。

「嫌われ者の流儀」で今の社会システムを考える

嫌われる人ほど注目されるし、何より楽しそうに生きているように見えるという不思議。

堀江 貴文¥ 1,575

Amazonで詳細を見る by AmaGrea

対談本なので、軽い気持ちで一気に読了。いろいろ話しているんだけど、とりあえず思うのは「今の社会システムはちっとも完璧ではない」ということ。むしろ問題が多くて、解消しなきゃいけない気がしてくる。まあ、気張らずやれるところからやればいいんだけど。

新卒採用の不思議

たとえば大学卒業して何年か世界を回って見聞を広めたり、ボランティア活動して経験を積んだりしたっていう人を、新卒じゃないって理由だけで大企業は採らないんだよ。P.79

これは本当だと思う。実際こういう人が職場にいたけど、入った理由が「外資系じゃないと自分みたいなキャリア採らない」って。ああ、本当に日系企業って門戸が狭いんだなって思ったよ。大学で就職活動するとき、こんな現実は誰も教えてくれなかったけど。企業側もこういう採用ばかりするのはおかしい気がするし、それに波長を合わせてしまっている大学も、どこか見直した方がいいんじゃない?就職塾が流行るのもわかるよね。あれはあれで、馬鹿らしい気も個人的にはしてるけど。

だから、転職市場をもっと活性化させないとダメなのかなあ。今では転職者も珍しくないと思うんだが。

固定した価値観による支配

普通の人は、なにか価値観が壊されることを自分が全否定されるみたいに感じているところがある。だから全否定されることを恐れるあまり、価値観が壊されることを受け入れないってことがあると思うんだ。P.98

否定されるのはしんどいけど、新しい価値観とぶつかるときは結構楽しい。物事の見方も違うし、発見が多い。自分もそうやって価値観を少しずつ変えてきた気がするし、今も日々の生活の中で変わっている。それが普通であって、むしろひとつの価値観に固定する方がつまらなくて危険じゃない?感情的に流されるような空気に支配されている気がするよね。マスメディアとか、似たような報道しかしないし。そういう単一の価値観というのは、コミュニティとして住みやすい反面、創造が生まれないんだよねえ。

見えない敵とたたかう

誰かわかりやすいリーダーがいて、その人が社会の成長を阻害しているならその人を除けば解決する。でも、株式の持ち合いのように、集団がちょっとずついろんなことに加担している場合は、倒すべき人が誰かわからないし、どこから手を付けたらいいかわからない。P.118

日本にとって、自分が住む町にとって、自分にとってどこに問題があって、閉塞感があるのかがよくわからない。だから、何を破壊すれば自分たちがもっと幸せになるのかもよくわからない。そういう状態が続いてるんじゃないかと思う。何となく不利益を被っている気がするし、政治家や官僚やメディアが悪い気がしちゃうし、なんだろうね。単純に何かをスケープゴートにするんじゃなくて、社会システムを理解して、変えたい方向に行動を起こさないと、何も変わらないんだろうなあ。

僕は過去のことなんて知らないけれど、何となく個人の力で有名になっている人が増えていると思うし、そういう人は他と違う価値観を提示してるよね。企業とか組織の中で生きるのはなくて、個人としてどう生きるかが問われている時代なのかもなー。ここにも書いたけど、やっぱりITは個人に力を与えるわけですよ。異質であったとしても、それに賛同を示してくれる人も多いかもしれない。