新国立競技場に関する検証報告書をテキストマイニングしてみた

 

新国立競技場の設計・建設に向けての検証報告書が出ました。

新国立競技場整備計画経緯検証委員会 検証報告書(PDF)

この内容についてニュースになっていますし、文科相が辞任という流れになっていますが、少し気になったので、この検証報告書をテキストマイニングしました。

新国立競技場に関する検証報告書をテキストマイニングする

その結果が以下です。ちなみに、報告書の核心である三章と四章を分析対象にしています。

houkokusho

あまり特徴がない感じですね。だいたい聞き慣れた単語が並んでるようです。

今度は共起ネットワークでも見てみたいと思います。

net2

多すぎるとネットワーク図としてわかりづらくなるので、単語数は絞っています。それっぽく関係ある単語で固まっていますが、あまりここから意味を見出すことは難しいですね。かろうじて、「意思決定」が重要視された内容である、ということは言えるかもしれません。

それ以外、日付などありきたりな単語は削るなど、分析の精度は工夫の余地がありそうです。

「新国立競技場」を含むツイッターをテキストマイニングする

今度は、ツイッターで「新国立競技場」を含むつぶやきをテキストマイニングしてみました。9/24時点のものです。

twitter

こうやってみると、「責任」「問題」「検証」というのがフォーカスされていますね。また、「文科」というキーワードも多くなっています。また、「毎日新聞」や「産経新聞」も登場しており、ニュースメディアが取り上げた情報が出ていることもみてとれます。

 

というわけで、実際の報告書とツイッターの情報を、テキストマイニングで比較してみました。こうやってみても、メディアがある程度要約し、論点がフォーカスされた情報が流通されるんだな、と感じました。

報告書は60ページもありますし、なかなか直接目を通す人は少ないでしょう。その分、要点を伝えるニュースメディアの存在も必要だと思いますが、少しは報告書がどういう文章で構成されているかは、わかったでしょうか。

【書評】データサイエンティスト養成読本(機械学習入門編)

「データサイエンティスト養成読本」も3冊目になり、ついに機械学習入門編が発売されました。「人工知能」「機械学習」というキーワードがとても注目されており、早速購入して読んでみました。専門的な内容がわかりやすくまとめられており、「機械学習の技術領域を入門的に知りたい」という位置付けで、非常に良い本です。興味があるけどどれを読んだらよいんだろう、という方は「買い」でしょう。

 

機械学習の全体像を説明

なぜ今機械学習が注目されているのか、改めてこれまでの歴史がわかりやすく説明されています。今は、Webの拡大によるデータ取得の容易性、コンピューターリソースの進歩によるデータの蓄積・分析の高度化、R言語などのフリーウェアの登場、分析アルゴリズムの共有によるデータ分析ツールの市民性獲得が重なり、これまでは専門家でしかできなかったことが、誰でもできるようになっています。

また、ディープラーニングという技術的ブレークスルーが2012年に生まれたことで、人工知能への到達にまたひとつ現実味が出てきていることが、機械学習が注目を集めている理由です。

 

機械学習が行うのは「外れ値検知」と「分類」

機械学習って何に使えるの?という答えに対して、本書の中では「外れ値検知」と「分類」と書かれていました。つまり、何かインプットを与えると、それがYesなのかNoなのか、という判別をしてくれるわけです。あるいは、AかBかCのどれに該当するかを教えてくれます。

メールのスパムフィルタや、アマゾン等のリコメンド機能に使われています。こういう原理を知ると、どこに応用できるか発想が広がりますね。

 

これからのデータ分析ソフトウェアは?

Rはデータ分析に特化したフリーソフトで手軽に使えること、豊富な追加パッケージがあることがメリットなのですが、サーバーサイドの分析にあまり強くなく、そういう面ではPythonの方が強みを発揮してきてるのかな、というのが本書を読んだ印象です。

実際に、本書の中ではこう書かれていました。

ただ、私見にすぎませんが、昨今ではPythonの方が勢いがあるようにも思われます。また、機械学習に慣れてきてフルスクラッチでアルゴリズムを書きたい場合も、PythonはNumpy、Scipyを駆使して高速なアルゴリズムを書けます。一方で、Rは多くの場合、Rだけでは十分な速度が出ず、CやC++等を用いて高速化する必要が出て、学習の負担が大きくなりやすい傾向にあります。

Rは手軽に使えること、比較的環境セットアップや言語習得が容易であるものの、高度なプログラミング処理を行う場合は、Pythonなどで組み上げる必要がある、ということでしょう。

 

以上です。R活用編に比べると、具体的な説明が少ないですが、それでもいろいろ事例やコードが書かれているので、データ分析を試してみたい、と思わせてくれます。

分析アルゴリズムが共有され、誰でもあまり深く意識しなくても利用できるようになってきているので、データ分析は本当にいろんな人に身近になってきています。興味がある方は、一度試してみてはどうでしょう。R言語に関しては、参考になるネタをこのページにまとめています。

https://synapse-diary.com/?page_id=3783

さーなにやろうかな。

安倍総理の戦後70周年談話をテキストマイニングしてみた

安倍首相が戦後70周年談話を発表しました。少しタイミングが遅れてしまいましたが、過去に発表された村山談話(戦後50周年)、小泉談話(戦後60周年)と合わせて、テキストマイニングで分析してみようと思います。

分析の前提

R言語で分析を実施しました。それぞれ以下のサイトから全文を取得しました。

村山総理大臣談話
小泉総理大臣談話
安倍総理大臣談話

全文テキストを日本語の形態素解析を行い、名詞を抽出しました。

3つの談話の分析結果

村山談話、小泉談話、安倍談話の3つを形態素解析して、ワードクラウドで表示したのが以下です。

村山談話

murayama

小泉談話

koizumi

安倍談話

abe

 

3つとも同じ条件で解析したのですが、特徴的なキーワードはちょっと違っていることがわかります。村山談話や小泉談話は「平和」というキーワードが多くなっていますが、安倍談話では「日本」「世界」というキーワードが多くなっているのがわかります。

また、そもそも3つをみると、安倍談話→村山談話→小泉談話の順にキーワードの数が少なくなっているのがわかります。全文テキストの文字数でみると、こうなっています。

村山談話(1995年)1285文字
小泉談話(2005年)1135文字
安倍談話(2015年)3354文字

安倍談話が突出して文字数が多いのがわかりますね。いろいろセンシティブな国際情勢の中で、説明に苦慮した結果なのかもしれません。

 

とりあえず、こうやって比較すると特徴がみえてくるものですね。

Apple Music使ってるけど、これならお金払ってもいいかも

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iOS8.4の配信が始まり、合わせてApple Musicが開始されました。3ヶ月の無料お試し期間があるので、あまり深く考えず、とりあえず使ってみることにしました。

 

まず、無料お試し期間後の自動更新(有料化)を止める

まず、iOS8.4へバージョンアップしましょう。そのあとは、無料お試し期間が過ぎた後、自動延長しないよう始めに設定しておきます。こういうのが用意されてるのは、好感持てますね。

ただ、やり方はちょっとわかりづらいです。

無料でApple Musicを自動更新せずに3ヶ月間だけ使い倒す方法 – GIGAZINE

これをやっておけば、3ヶ月後に自動でお金を支払うことを防ぐことができます。

 

Apple Musicのメリット

Apple Musicを使ってみて、次の点が良いなって思ってます。

 

オフラインにダウンロードできる

Appleミュージックは好きな音楽を予めダウンロードして、オフラインでも聴くことができます。

ストリーミングはパケットを消費しますが、自宅などWi-Fiに繋がってるときにダウンロードしておけば、パケットを大量に消費することはありません。

ちなみに、各種ストリーミングサービスの通信量を調べたところ、Appleミュージックが一番低かったそうですけどね。

1曲聞くと何MB?Apple MUSIC / AWA / LINE MUSICの通信量を調べてみた ※追記あり | iPhoneひとすじ! かみあぷ速報

でも、オフラインで音楽が聴けるようになるってのは、ストリーミングサービスとしてはとても良いなって思います。

 

パソコンからも聴ける

MacやiTunesを提供しているAppleらしく、Apple MusicはPCやMacからも使えます。これは、家でも聴けるってことですし、パソコンで作業してるときに聴くこともできるということです。

いろんな音楽を聴く場面に応じて、モバイルだけでなく、パソコンでも音楽を楽しめるのは、パソコンで作業する時間が長い自分にとってはグッドポイントです。

 

実際に使ってみての変化

音楽を聴く時間が増える

正直、音楽を聴く時間が増えました。いろんな場面を見つけては、これまで音楽を聴いていなかった時間も音楽を聴いてます。

なにせ、膨大な量の音楽と出会えるので、たくさんの種類の音楽を聴きたくなるんですよね。これまで「ちょっと聴いてみたかったな」って音楽も、片っ端から聴いています。新しい音楽を探し、聴くという行為が間違いなく増えるでしょう。

 

プレイリスト作る手間が省ける

Apple Musicでは、「For You」や「New」などのメニューから、様々な音楽が提案されます。これが、アーティストとかのリコメンドだけでなく、「ジャズ」や「90年代HipHop」とか、いろんなテーマでプレイリストが作られていて、好みやシーンに応じて選ぶと、そのプレイリストで再生することができます。

これまでは自分でプレイリスト作ったり、iTunesが自動で作ってくれたりしましたが、Apple Musicでは自分が持っていない音楽も含む膨大な音源から、ある程度テーマで選ばれたプレイリストがどんどん提案されてくれます。

 

正直、ストリーミングにはそこまで期待してなかったんです。しかし、使ってみると快適だし、自分が知らない音楽に出会えるきっかけができるので、結構快適です。毎月990円はちょっと高い気がするけど、払っちゃうかもなー。

自民党のイメージが低下しているのか、Twitterで分析してみる

自民党の報道圧力に関するニュースがいろいろ騒動になっています。そんな中で、石破地方創生相が、こんな発言をしています。

自民党がガタガタとするのは政策よりも「なんか自民党、感じが悪いよね」と国民の意識がだんだん高まっていったときに危機を迎えるのが私の経験だ。政策は大事だが、「嫌な感じ」が国民の間に広まることは心しなければいけない。

「自民、感じ悪いよね」国民に広まると危機 石破氏:朝日新聞デジタル

ということで、実際にイメージがどうなっているのか、Twitterで分析してみようと思います。

例によって、ヤフーのリアルタイム検索を使います。

Yahoo!リアルタイム検索~Twitter(ツイッター)、Facebookをログインなしで同時に検索!

 

日本の政党で、議席数獲得上位5党のTwitter分析結果が以下になります。

自民党は報道以降、Twitterの件数が増えており、「感情の割合」ではネガティブが民主党に比べて多くなっています。

jiminminshukoumeiishin   kyousan

政治は権力であり、常に批判される対象ではあるので、全体としてネガティブが多い傾向なのは当然といえば当然かもしれません。ただ、5党でネガティブな割合を比較すると、やはり自民党が頭ひとつ抜けてる印象があります。

あと、ツイートの件数でみると、自民や民主が多いのはわかりますが、議席数が比較的少ない共産党のツイート数が公明党や維新の党より多いです。共産党はマーケティングが結構優れているというか、ポジションがぶれないので、わかりやすいというのはあるんじゃないかと思います。

 

企業も政党もそうですが、イメージとしてどう抱かれているのかというのはとても大切です。なぜかといえば、人には「代表制バイアス」というものがあり、ある特定の事象が全体の印象を決めてしまうからです。

冒頭の記事であるように、「なんか感じ悪いよね」というイメージが侵食していくことは、組織としては良くないことでしょう。そして、こうやってネットからだとイメージを可視化できるようになっているので、そういうのも企業などのブランディングに活用できる時代になっている、ということです。

 

民衆の意思が可視化され、政治に取り込まれていく、という考え方は、まさにこの本の通りですなあ。

 

今日はこのへんで。

毎日ポッドキャストを聴く人はOvercastを使おう

Podcastを日頃聴いてるんですが、iPhoneの標準アプリである「Podcast」の動きがちょっと不安定なので、これを機に新しいPodcastアプリを試してみることにしました。

普段聴いている「Rebuild」で、Overcastが紹介されていたので、これに切り替えました。

Overcast: Podcast Player 1.2.2(無料)
カテゴリ: ニュース, ミュージック
販売元: Overcast Radio, LLC – Overcast Radio, LLC(サイズ: 5.5 MB)
全てのバージョンの評価: (55件の評価)
+ iPhone/iPadの両方に対応

まさに、毎日Podcastを聴くような人に向けたアプリです。今使ってるPodcastアプリに不満がある人は、ぜひ乗り換えを検討してください。

ちなみに、アプリ自体は無料で使えますが、ほとんどの優れた機能は有料版でないと全部は使えません。無料版の段階で、時間限定で試すことはできるので、そこで試してから有料版を購入されると良いでしょう。無料版は機能が制限されており、標準アプリとあまり変わらないので、せっかく使うなら有料版にされることをおすすめします。

聴きやすくする工夫がたくさんある

Overcastには、Podcastを聴きやすくするためのたくさんの機能が用意されています。

細かい速度調整

標準アプリに比べて、速度調整が細かくできます。標準アプリは、0.5→1.0→1.5→2.0の4段階でしたが、それ以上に細かくできます。ので、もう少し遅く、もう少し速く、という感じで、自分が聴きやすい速度に調整しやすいです。

overcast

また、登録してるPodcastごとに速度を設定できますので、日本語のPodcastでは速く、英語のPodcastは遅く、という設定をしておくことで、快適なスピードで聞き流すことができます。わざわざ速度を毎回変える必要はありません。

無駄な「空白」時間を除去する「Smart Speed」機能

Smart Speed機能というのがあり、それをONにすると、Podcast中にある微妙な間などで発生した空白時間を取り除くことができます。これで、時間の節約にもなりますし、聴きやすくなります。

声をより鮮明にする「Voice Boost」機能

声をより強調して、ボリュームも標準化してくれます。これで、より音がより鮮明で聴きやすくなります。

ポッドキャストごとに設定を行うことができる

速度調整でも触れましたが、ポッドキャストごとに各種設定を行うことができます。これが結構地味に便利です。例えば、ニュース系のポッドキャストは保存を「最新3エピソード」に限定し、じっくり聴きたいものは「全て保存」にする、などです。

iPhoneの標準アプリだと、全てのポッドキャスト共通でしか設定できないんですよね。

PCとiPhoneで同期できる

Overcastを利用する場合、アカウントをつくる必要があります。これによって、Webサイトからでも登録したPodcastを聴くことが可能になります。もちろん、既聴/未聴は当然のこと、途中まで聴いたものは聴いた位置まで同期してくれます。

PCで作業することが多い人にとっては、この機能も良いと思います。

以上です。かゆいところに手が届くアプリなので、使い始めると手が離せなくなります。ぜひ、お試しあれー。

3Dプリンターがどんどん安くなってる!これから普及していくでしょう

Ana_J / Pixabay

3Dプリンターがすごい安くなってる!

3Dプリンターは、正直まだまだ高いと思っていました。本格的に普及するのはもう少し後だろうなーと。

 

しかし!2万円を切る3DプリンターがKickstarterに出ていました。Tikoという製品です。

Tiko – The Unibody 3D Printer by Tiko 3D — Kickstarter

[browser-shot url=”https://www.kickstarter.com/projects/tiko3d/tiko-the-unibody-3d-printer” width=”600″ height=”450″]

いいですねー。早期の割引はなくなっていますが、それでも179ドルで購入可能です。GIGAZINEでも日本語で詳しく紹介されています。

約2万円で高精度な出力を楽しめるユニボディ3Dプリンター「TIKO」 – GIGAZINE

 

3Dプリンターは確実に注目されていて、グーグルトレンドでみても、ここ2年ぐらいで急速に検索されるようになってます。

3dprinter

 

どんなものがプリントできるようになるのか、って調べてみたら、こんなサイトがありました。

3Dプリンター用のデータが無料で手に入るサイト2015年版 | 3D Magazine by 3D Navi
3Dプリント可能なデータがダウンロードできるサイトまとめ
ぞくぞく登場!3Dプリンター用データ共有サイトがアツい – NAVER まとめ

これ見てると、いろいろ夢が膨らみますねー。

以前Twitterで紹介したドローンも3Dプリンターの情報が公開されてましたしね。

 

 

材料はどうするんだろ?と思ったら、Amazonで売られてました。多分、これです。同じような製品がたくさんありますね。これなら、プリンター買った後の材料の調達にも困らなさそうです。

 

いやー買おうかどうか悩みます。締め切りが5/1なので、もう少し考えますかねえ。

なぜ、ソフトバンクやファミリーマートがTポイントに出資するのか?

geralt / Pixabay

ソフトバンクがTポイントへ出資、というニュースがありました。

ソフトバンク、Tポイントに出資 ヤフーも追加出資:朝日新聞デジタル

また、同じタイミングでファミリーマートも出資しているようです。

「Tポイント」に200億円出資 ソフトバンクとファミマ  :日本経済新聞

 

最初は、「Tポイントへ出資」の意味がわかりませんでした。「ポイントに出資する、ってどういう意味だろ?」と思ったのですが、「株式会社Tポイント・ジャパン」というCCCとは別会社がいるんですね。さらに、「株式会社Tポイント」という別会社もあります。

Tポイント – Wikiwand

 

これまでのTポイントと個人情報保護の関係

今回の出資の意図を考えるには、Tポイントのこれまでの経緯を理解しておく必要があります。

Tポイントというのは、自社だけでなく複数の企業が付与・利用できるようにする仕組みになっています。ポイントは、複数の企業にまたがるデータを集めて、分析することで、マーケティングに活用しよう、という取組みであった点です。

その何が問題なのか?といえば、「共同利用する」という範囲がユーザーから見て非常にわかりづらい点です。それが個人情報保護法にも抵触しているのでは?という話があったわけです。要は、「取得した個人情報を共同利用するからには、その範囲を事前に明確にしておく」という点が、ポイント参加企業がどんどん増えていくことで、明確にできなかったというわけです。なので、ユーザーが個人情報を提供した時点では意図しない形でいろんな企業に情報が共有される状況だったわけです。

個人情報保護法とTポイントの関係は、この記事を読むとわかりやすいと思います。

Tカードは個人情報保護法違反に該当するのか?──津田大介の「メディアの現場」vol.44より:津田大介の「メディアの現場」:津田大介チャンネル(津田大介) – ニ(コニコ)ちゃんねる:社会・言論

そのような指摘もあり、Tポイントは規約が改訂されて、複数企業による「共同利用」から、「第三者提供」という位置付けに変えました。同時に、「自分の情報は第三者に提供したくない」という意思表示をできるオプトアウト手続きが提供されています。

ニュース – 「共同利用」から「第三者提供」に、CCCがT会員規約を大幅改訂へ:ITpro

 

ソフトバンクやファミマがTポイントに出資することの狙いは?

簡単にいえば、データの共有を促進させたい、ということでしょう。単なる参加企業の場合、「第三者提供」という形になりますので、オプトアウトなども含めて個人の購買履歴などがうまく利用できない可能性が今後高まっていくと予想されます。

しかし出資関係を構築することで、「グループ企業」という事実関係を作れることから、より深くいろんな企業で取得した購買履歴などの情報を共有することが可能になると思われます。それは、先ほど挙げた記事を読むと書いてあります。

鈴木:はい。今回のTカード問題でまず論点になるのが、(3)共同利用者の範囲です。T会員規約には、共同利用者の範囲は「当社の連結対象会社及び持分法適用会社」と「ポイントプログラム参加企業(TSUTAYA加盟店を含みます)」と示しています。 経済産業分野ガイドライン45頁をみると「本人からみてその範囲が明確であることを要するが、範囲が明確である限りは、必ずしも個別列挙が必要ない場合もある」というように示されています。 持って回った言い方をしていますが、ここの趣旨は、共同利用者の範囲は、第一に個別列挙方式を原則とすること。すなわち、A社、B社、C社とすべて限定列挙することが望ましいということを示しています。第二に、本人から見て共同利用者の範囲の明確性があれば例外的に個別列挙原則を緩和するということが書いてあります。

Tカードは個人情報保護法違反に該当するのか?──津田大介の「メディアの現場」vol.44より:津田大介の「メディアの現場」:津田大介チャンネル(津田大介) – ニ(コニコ)ちゃんねる:社会・言論

 

つまり、「ポイントプログラム参加企業」だけでは、その他大勢の企業と同様の扱いになり、「第三者提供」の枠を抜けだせません。それを出資関係になることで「共同利用」方式をとって、情報を共有する形を採りたいのだと思われます。あるいは、匿名化などのデータ提供ルールを調整する際の主導権を握っておきたい、というところかもしれません。日経新聞の記事でもこう書いてありますしね。

加盟店はポイントを顧客の囲い込みに使う。だが現在、得られる購買履歴のデータは、自社の店舗での利用に関するものに限られる。出資を機に多様な店舗での購買データを活用。ソフトバンクはスマートフォン(スマホ)で年齢や性別などの属性に応じた食品や日用品の割引やポイントを使った決済を手掛ける考えだ。ファミリーマートは独自商品の開発や品ぞろえの改善につなげる。

「Tポイント」に200億円出資 ソフトバンクとファミマ  :日本経済新聞

 

それぐらい、購買履歴というデータには宝がたくさん埋まっている、と考えているのでしょう。データ活用が今後はもっと広がっていくと思いますし、そのときに強いのは「データを握っている企業」です。そういう戦略を今後強化していく上で、ソフトバンクやファミリーマートはしっかりとデータを利用したりコントロールしやすい状況にしておこう、という狙いなのだと思います。

 

企業が提供するこういうポイントプログラムをどう信用し、利用していくかは利用者側にも理解というかリテラシーが求められます。こういう情報を提供する、利用するのが嫌だ、ということであればオプトアウトするなり、ポイントの付与を受けない代わりに購買情報の提供を拒否するという考え方もあります。

 

ポイントプログラムによる囲い込みは、一時期様々な企業が提供していましたが、ある程度絞られた感があります。ソフトバンクやファミリーマートなどの大企業がが自分たちでポイントプログラムを提供をしていないのは、その証拠ではないか、と。

今だと楽天とTポイントが優勢ですかね。

楽天スーパーポイント VS T-POINT &ヤフー 会員数と提携店舗数 比較

楽天はネットに強く、Tポイントはリアルに強いというそれぞれの特徴があります。それぞれの戦略は見ていて面白いですね。

 

個人情報保護については、個人情報保護法の改正やパーソナルデータ活用など、いろんな動きが生まれています。この本を読むと、主要なポイントや流れを抑えることができて良いんじゃないか、と。

「J-SaaS」の後に台頭する、中小企業向けクラウドサービス

FirmBee / Pixabay

もう「J-SaaS」という言葉自体が忘れられてると思っていましたが、未だにこのブログには「J-SaaS」というキーワードで以下の記事にたどり着く人がいます。

https://synapse-diary.com/?p=434

あんまり忘れられていないんですかね?というわけで、J-SaaS以降の中小企業クラウドの動向を書いておこうと思います。

 

「J-SaaS」はどうなった?

J-SaaSというのは、経済産業省が始めた中小企業向けのクラウドサービスでした。財務会計とか給与計算とか、業務系のアプリケーションをクラウド上から安く提供することで、中小企業のIT導入を促進させようとしたものです。

J-SaaSは2009年に始まりましたが、予想したより普及が進まなかったのか、当初の予定通りだったのかはわかりませんが、2010年に富士通に引き継がれました。今は「azmarche」というサービスが展開されています。

富士通、中小向けSaaSサイト「J-SaaS」の運営を引き継ぎ-さらなるサービスの拡充目指す – クラウド Watch

[browser-shot url=”http://azmarche.com/” width=”600″ height=”450″]http://azmarche.com/[/browser-shot]

 

J-SaaSはうまくいかなかったけど、クラウド化の流れは止まらない

J-SaaSは事業としてはうまくいかなかったかもしれませんが、ITトレンドでみればITサービスがクラウド化しているのは間違いありません。中小企業白書でもその点が調査・分析されていて、大手をはじめいろんな分野で、IT投資先はクラウドサービスに移ってきています。

cloud

(中小企業白書2013年版「3 クラウド・コンピューティング利用の現状と課題」から引用)

大企業では27%が既に導入済みで、「関心がある」まで含めると7割近くになっています。一方で中小企業は「関心がある」まで含めても3割強です。

クラウド化の流れは個人的には不可逆だと思っていて、キーは「どこまでクラウドが普及するのか」という点と、「どれぐらいのスピードで普及が進むのか」だと考えています。

 

Kintone vs Zoho

ここからは相当主観になります。

今このジャンルでメジャーどころなのだと、サイボウズが展開する「Kintone」でしょうか。プログラミング不要というセールスポイントが売りで、Excelを拡張させたような業務アプリを簡単に作れる、という内容になっています。

[browser-shot url=”https://kintone.cybozu.com/jp/ ” width=”600″ height=”450″]https://kintone.cybozu.com/jp/ [/browser-shot]

サイボウズはグループウェアで有名ですが、最近はクラウドサービスへの投資に積極的で、売上も伸びてきています。

cybozu

(サイボウズ2014年12月期決算資料から抜粋)

 

また、競合としてZohoもありますね。海外発のサービスということで、少し抵抗があるのかもしれません。

[browser-shot url=”http://www.zoho.jp/” width=”600″ height=”450″]http://www.zoho.jp/[/browser-shot]

サイボウズkintoneよりはるかにコスパが良いZOHO Creatorが日本企業で検討されない理由 | 愛と苦悩の日記

 

ただ、SimilarWebで見る限りだと、Zohoの方が訪問者数がやや多い感じですね。B2Bのサービスなので、訪問者数だけでシェアを見るのは難しいと思いますが。

 

IT投資というのは、企業の効率化のキーになるのですが、これまでのトレンドをみると、こういう新技術・新サービスは大企業で利用され、中堅企業→小規模企業という流れで進む傾向が顕著です。今後も利用されていくでしょう。

そういう意味で、J-SaaSは方向性としては間違っていなかったのだと思います。ただ、中小企業へのIT導入はまだまだハードルが高く、思ったより普及スピードが遅かったということでしょうか。

体内時計の仕組みを知ると、あなたの生活はもっと楽で楽しくなりますよ

jill111 / Pixabay

朝、早く起きてますか?仕事していても、ランチの後は眠くなりませんか?

人間の体には体内時計があり、いろいろ複雑な特性があるようです。その研究がわかりやすい説明と面白い例によって一冊の本になったのが、「なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか?」です。

ウェアラブルデバイスであるUP24を買ってから、日々の生活リズムを気にするようになりました。そこで、体内時計に関するこの本を読んでみて、たくさん驚くことが書いてありました。

確かな研究に基づいたトピックが満載で、これを把握して生活に組み込むことで、自分の生活がもっと生産的で豊かなものになるのは間違いないでしょう。

 

「早起きは三文の得」は今も通用するか?

「朝活」などが流行しているようですが、今でも早起きする人は規則正しく、遅く起きる人は怠惰だという印象があります。本書の中では、それに対して疑問を投げかけています。

そもそも、今は夜も電気によって生産活動は行うことができるようになっています。朝活動することも、夜活動することも、それは単なる「リズム」でしかないはずです。それでも、朝早く起きることが美徳となるのはなぜでしょう。それは、文化に由来します。農耕文化であると、こういう考え方が強くなります。

太陽が出ている間にしか生産活動ができず、誰もが同じ時間に休んだり活動したりする文化圏で、早起きを賞賛する道徳観がはぐくまれるのはよく理解できる。そのような文化では、資源を入手できるかどうかは、空間(どこで食物を見つけるか)だけでなく、時間(いつ見つけられるか)に関わる問題なのだ。

つまり、夜になると生産活動ができなかった時代では、時間は一日の中で限られたものになるので、朝早く起きた方が生産活動を長くできた、というわけです。早起きが素晴らしい、と一律に決めるのはちょっと違うようです。

 

昼間は外に出て光を浴びよう。それで健康的になれる

人間の体内時計が24時間ちょうどではない、というのは有名な話です。本書の中では、さらに個人差があり、24時間より長い人も短い人もいる、と書いてあります。

さて、いろんな実験を行った結果から、人間は光によって体内時計を調整し、地球の一日のリズムと波長を合わせていることがわかっています。

今は都市が発展し、昼でも屋内で作業する人が増えています。それは、農作業など普段から光を浴びている人とは大きく異るようです。それは、光を浴びる量がとても小さいのです。

建物の中と外での光の強さの違いは大きい。明るい照明のついた部屋でも、数百ルクスを超えることはめったにない。外の明るさは雨の日でも一万ルクスに達し、快晴の日はおよそ15万ルクスだ。しかし町に住む人は昼間(日中)にあまり光を浴びないだけでなく、夜に多くの光を浴びている。都市は田舎に比べて明るく照らされているからだ。そのため都市における明暗の振幅は、田舎に比べるとはるかに小さい。

光を浴びないと、体内時計が一日のリズム調整を十分に行えず、健康的なリズムを構築しにくくなります。これを読んで、昼休みに建物の外に出るなど、少しでも日光を浴びようと考えるようになりました。

 

年齢によっても体内時計は変化する

先ほどは体内時計には個人差があると言いましたが、さらに年齢によっても変化します。年齢が若い人は自然と「夜更かし型」になり、さらに長く睡眠時間を必要とする体に変化していくそうです。そして、20歳前後でピークを迎え、徐々に早起き型にシフトしていくことがわかっています。

なので、学生が夜更かししてしまうのは、怠惰なわけではないのです(そういう場合もあるかもしれませんけどね)。面白いのは、学校の開始時間と体内時計の関係が、学業に影響すると唱えている点です。

ティーンエージャーには八時間から十時間の睡眠が必要だが、学校のある日にはじゅうぶんな睡眠がとれない。最近の研究では、学校の始業時間が一時間遅くなれば、毎晩、少なくとも八時間眠れる生徒の割合が、35.7パーセントから50パーセントに跳ね上がるという。学校の授業への出席率、成績、モチベーション、食事の習慣まで、始業時間が遅くなれば大幅に向上する。

こういう発想はありませんでした。ぜひ、実現した方が良い気がしますがどうなんでしょう。通勤ラッシュも緩和しますしねえ。

 

他にも気付きが満載な一冊です。上記で紹介したのはほんの一部なので。

 

体内時計を考えて、自分の生活を改めるのは非常に良いと思います。UP24もおすすめです。睡眠時間や歩数などの生活状況が可視化されると、悪い部分を改めよう、もっと頑張ろうとモチベーションが高まりますよ。

ウェアラブルデバイス「Jawbone UP24」を買ったら生活が激変した

 

 

 

今日の物欲。

拭き掃除ロボットのブラーバが欲しいなー。価格もルンバに比べれば安いし、拭き掃除をやってくれるのは良さそう。ロボット掃除機にすっかり味をしめているので。