データ社会と言われて久しくなっていますが、改めてビジネスや社会に様々なデータが浸透していくことによって、何が変わっていくかを分かりやすく説明してくれた本が本書です。
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これからの社会は、データによってどう変わるのでしょうか。
大事なのは商品ではなく「買うべき理由」
現在は、大量生産・大量消費社会から価値観がシフトしており、人は単純に雑誌やテレビで見た商品を買う、というようなシンプルな購買行動はしなくなっていると言われています。
このあたりの人々の購買に対する価値観の変遷は、「物欲なき世界」を読むとよいでしょう。
今の社会で重要になっているのは、商品やサービスそのものではなくそれをなぜ利用するのかというコンテクストです。様々なものが溢れる中で、安くて質が良いと言うだけでは売れなくなってきています。人はライフスタイルや買う意味を探しており、自分の価値観に合う商品やサービスであれば多少の金額は高くても買うと言う価値観にシフトしています。
そして、コンテクストの作り方については、本書でこう述べられています。
コンテクストクリエーションの重要性と概念はお分かりいただけたと思う。次に、どのようにコンテクストクリエーションができるのかということが問題となる。まずは、コンテクストクリエーションするためには、消費者の求めているライフスタイルを知り、そこでコンテントが価値を見い出すシーンはないかを考える必要がある。
では、消費者の求めているライフスタイルはどのように知ることができるのであろうか? 1.3節でお気づきになったかもしれないが、消費者はもう教えてくれている。もし分からないのであれば、そのデータが正しく活用されていないか、データをデータとして認識できていないかのどちらかだ。
つまり、消費者が様々な形で残しているデータを活用することが、ビジネスのコンテクストを作り出す上で重要である、ということです。
企業と消費者が近づく仕組みが必要
本書の中で一番「なるほど!」と思ったのは、「ICTやIoTによって「企業と消費者の間にインターフェースを作る」という考え方です。
企業と消費者との間で有効なインターフェースを築くことができれば、以下のようなことができます。
そのように潜在的にデータ交換を行うインターフェースを現実世界に設計する。そのインターフェースから企業は消費者にコンテクストクリエーションし、価値を提供するとともに、消費者の振る舞い、満足感、不満などを読み取る。これらのデータを読み解くことにより、企業は消費者心理を読み解くことが可能となる。
多様なライフスタイルや価値観に応えるために、企業と個人は距離を近づける必要があります。それを実現するのがデータであり、データを企業と個人が共有するためのインターフェイスであるのです。
顧客の実態はデータによってよくわかればそれだけサービスの価値が上がる、顧客の利便性が向上するという結果につながっていきます。大量生産大量消費の時代ではなく、顧客の実態に合わせて快適なサービスを提供する時代がやってきているのです。
パーソナルデータとの関係
本書の最後のあたりでは、パーソナルデータとの関係についてもわかりやすく整理されています。データを活用したい企業と、プライバシー等の個人情報は最低限守りたいと思う個人とのあいだで、境界線は曖昧になってきています。
企業はデータを取得する代わりとして、個人からちゃんと理解を得られる対策をとるとともに、サービスの利便性をそれ相応に与える必要があります。
また個人情報が流出してしまった場合のビジネスリスクも非常に大きくなっています。詳細についてはこちらの本を読むとよいでしょう。
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ビックデータ、データアナリティクス、IoTなど様々なデータに関する用語が登場してきていますが、データと企業と個人との関係を考えてみたときに、明らかに人々の価値観やビジネスに求められる要素は変わってきています。
これらの変化に企業は対応していく必要があるでしょう。データを活用する企業になりましょう。
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