岐阜市の消費者物価指数(平成24年8月分)

岐阜市の8月の消費者物価指数が発表されていた。

 

消費者物価指数(CPI)とコアCPIとコアコアCPI

消費者物価指数は、現在の物価の状況や今後の物価の推移を考える際に用いる。なお、総務省の定義では以下の通りとなっている。

消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。 すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。 指数計算に採用している各品目のウエイトは総務省統計局実施の家計調査の結果等に基づいています。 品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格を用いています。 結果は各種経済施策や年金の改定などに利用されています。

統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)

一言で消費者物価指数といっても、総合指数と呼ばれるCPIの他に、生鮮食品を除いた「コアCPI」と、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除いた「コアコアCPI」と呼ばれるものがある。

消費者物価指数 – Wikipedia

 

できるだけ物価の変動を正しく捉えるために、コアCPIやコアコアCPIという指標が設けられている。

また、最近ではエネルギーに関する注目が大きいが、コアCPIよりコアコアCPIの方が小さいということは、エネルギー価格が向上していることを指すと思われる。政策判断に用いられるのは、コアCPIやコアコアCPIで、日銀はコアCPIの数値を金融政策の基準にしているといわれている。

 

岐阜市の消費者物価指数の結果

平成24年8月の岐阜市の総合指数は、平成22年を100として99.5となり、前月比で0.4%上昇、前年同月比で0.2%下落となった。  生鮮食品を除く総合指数は99.5となり、前月比で0.3%上昇、前年同月比で0.3%下落となった。  食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.2となり、前月比で0.3%上昇、前年同月比で0.6%下落となった。

岐阜県 : 岐阜市消費者物価指数 月報201208

というわけで、グラフにしたものが以下。


岐阜県 : 岐阜市消費者物価指数 月報201208元に作成)

 

多少上下しながら、コアコアCPIが長期的には下落していることから、デフレ傾向は未だに続いているのがわかる。

 

消費者物価指数から何を読み解くか

デフレの原因についてはいろいろ語られているので特にここでは書かないけれど、この記事が端的でわかりやすいのではないかと。

統計局ホームページ/統計Today No.36

統計局ホームページ/統計Today No.36

あとは、この記事では消費者物価指数と食料価格上昇率の関係を整理した上で、日本の農業が世界の市場から取り残されているのではないかという論旨を組み立てている。こういう発見をすることもできるのか。面白いなあ。

デフレの続く消費者物価から農業保護を考える (1/2)(官庁エコノミスト) – BLOGOS(ブロゴス)

デフレの続く消費者物価から農業保護を考える (1/2)(官庁エコノミスト) – BLOGOS(ブロゴス)

中小企業月次景況調査(平成24年8月)

中小企業月次景況調査が発表されていたので、簡単に確認。
8月の中小企業月次景況調査(平成24年8月末現在)

 

中小企業月次景況調査は、DI値で示される。内閣府の説明によると、景況把握にはDI(ディフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)の2通りがあり、最近では量的把握を行うためDIよりCIにシフトしているとのこと。

景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)がある。 CIは構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を、DIは構成する指標のうち、 改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする。
従来、景気動向指数はDIを中心とした公表形態であったが、近年、景気変動の大きさや量感を把握することがより重要になっていることから、 2008年4月値以降、CIを中心の公表形態に移行した。 しかし、DIも景気の波及度を把握するための重要な指標であることから、参考指標として引き続き、作成・公表している。

景気動向指数の利用の手引 – 内閣府

実際発表された調査結果をみると、4月頃をピークに全体的に低下のトレンドになっている。

 

原油価格の高騰や気価格値上げなどエネルギー面からのコスト圧迫、円高による輸出産業の収益低下、消費税増税による消費傾向の変化に対する懸念などが挙げられている。

 

原油価格・電気代・円高の状況

気になったので原油価格の近年の推移をみてみると、10年ぐらい前から2倍以上に跳ね上がっている。

原油価格(WTI)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

 

 

電気代については、事業所向けはおよそ17%程度上昇しているようだ。

今回の値上げによって、1kWh(キロワット時)あたりの単価が夏季で18.2%、その他季で16.5%も高くなる。明らかに家庭向けの「電灯」よりも値上げ率が大きく設定されている。4月に実施された「高圧」の値上げ率17%と変わらない水準だ。

電力供給サービス:家庭よりも中小企業に重荷、東電の値上げ率は夏季18.2%にも – スマートジャパン

例えば、電気を多く用いる電炉メーカーでは、製造コストの25%が電気代に占められており、電気代の値上げインパクトはとても大きい。(25%の17%増は、29.25%になる。)

電炉はスクラップを電気で溶かして鋼材を作るため、製造コストの25%が電気代といわれるほど依存度が高い。電力料金の値上げは、最大手の東京製鉄で年間8億円程度のコスト増になるという。

電炉全15社、東電値上げ受託 「死活問題」中小企業は悲鳴 – SankeiBiz(サンケイビズ)

 

最後に円高。直近だと2010年4月頃から一段と下落している。

為替レートの推移(2007年1月~2012年8月) - 世界経済のネタ帳

円高によって輸出産業は価格競争力が低下するので、その影響から需要低下や価格低下のプレッシャーが生じることになる。

 

中小企業の海外進出

原油も電気も円高も、すぐに解消するような事象ではないので、長期的に考えれば、海外進出とか事業多角化とか施策を増やしておかないといけないとは思うんだが、実際に平成20年時点の中小企業白書をみると、海外進出する中小企業は確実に増えている。ただ、非製造業の方が割合は多い。また、比較的規模が大きく、労働生産性が高い企業が海外進出しているのも特徴。

第3節 中小企業の海外展開と生産性

 

 

日本国内では中小企業の減少が進んでおり、一方で大企業の数が増えている。これは、国内市場が寡占化のトレンドであることを示しており、中小企業が生き残る環境は今後も厳しいものだろう。

岐阜県の鉱工業生産指数(平成24年7月分)

岐阜県の7月分の鉱工業生産指数が発表されていた。概況は以下の通り。

平成24年7月の県内鉱工業の動向を季節調整済指数でみると、一般機械工業、電気機械工業等が上昇したものの、化学工業、輸送機械工業等が低下したため、前月に比べ生産指数は0.4%減と前月に引き続き低下した。また、出荷指数は3.9%増と上昇に転じ、在庫指数は0.5%減と低下に転じた。

なお、原指数で前年同月比をみると、生産指数は2.8%減となり、前月に引き続き前年を下回った。

生産指数自体は前月から低下しているが、出荷指数は増加し在庫指数は減少しているため、景気回復の兆しも見られる。

 

6月時点では出荷が落ち込み、在庫も低下していたので、今後は回復傾向がみられるようになるのではないか。

業種でみると、回復傾向にあるものと下落傾向になるものが存在するのがわかる。回復傾向にあるのは、鉄鋼、機械、パルプ・紙・紙加工品、食料品。下落傾向にある化学工業は、ものすごい変動が発生しているが、そういう業種なのだろうか。

 

なお、同時期に発表された消費者物価指数(平成24年8月)は、ほぼ横ばいぐらいの状況になっている。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

岐阜県の大型小売店販売額(平成24年7月)

岐阜県の大型小売店販売額が発表されていたので、確認。

まず小売店販売額というのは、経済指標としてよく取り扱われる。個人消費の傾向を把握することができるのがその理由なのだが、そもそも個人消費を図るのがなぜ重要か。

それは個人商品というのはGDPの構成要素だから。岐阜県のGDPに類する県内総生産のうち56.9%は個人消費である(参照)。

 

というわけで、平成24年7月の大型小売店販売額。

岐阜県 : 岐阜県の大型小売店販売額 月報201207
[scshot url=”http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/tokeijoho/kohyoshiryo/shogyo/ogataten/2012/ogataten201207.html”]

 

● 大型小売店販売額:238億円
前月比は2.3%増
前年同月比は、全店ベースで3.0%減、既存店ベースで2.8%減となった。

● 商品販売額別の動向
・ 衣料品の前年同月比は、全店ベースで8.0%減、既存店ベースで8.0%減
・ 飲食料品の前年同月比は、全店ベースで1.4%減、既存店ベースで0.5%減

というわけで、前月比は全体として下がっている。

 

1年間の推移は以下の通り。

大型小売店販売額(平成24年7月)

こう見ると、ある程度起伏が生じて繰り返しているように見える。景気動向指数で書いたように、今は少し低調気味になっているのかな。

行政改革の処方箋

PwCがまとめた行政機関の調達を中心とした課題と対応を纏めた一冊。べき論が書かれたありがちな内容ではなく、具体的な問題認識と対応策が書かれているのが特徴。

この類いの本は、社会全体として圧倒的に少ないので貴重だ。

調達能力の強化は進んでいるか

IT調達は、件数で8割、金額では9割以上は随意契約だ。(「情報システムに係る政府調達の基本方針」でも記載されている。www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/hosakan/densi/dai2/2siryou1_1.pdf

ただ、安易に随意契約から競争入札に切り替えれば良いというわけではないし、「随意契約けしからん」といって競争入札にできるかといえば、実際にはいくつもハードルは存在する。

これを打開するためにはいろいろ調達方法を工夫するということもあるが、それ以上に、組織としての調達能力を向上することが求められている。ここでいう調達能力というのは、調達実績や市場動向、業者の情報を分析し、集中的に戦略を立案する機能を組織で有するということである。

新しい調達方式の登場

調達方式は複数種類が存在し、調達する内容の特性に応じて使い分けが必要になる。調達するものが汎用的で自明である場合は価格競争が良いだろうし、提案要素を求める場合は総合評価方式、プロポーザル随意契約などがある。

さらに、新しい調達方式が米英では進められている。eオークション方式、調達カード方式、競争的対話方式などだ。これらが今政府調達が抱えている問題を全て解決するわけではないが、これまでの問題を受けてより良い調達を実現するために生み出されたものであり、メリットが存在する。

eオークション法は日本でも試験導入することが決まっており、こういう新しい方式を含めて複数の調達方式からベストな方法を選んで調達していく力が求められるだろう。

 

 

調達の現場で何が起こっているのかについては、この本で知ることができるだろう。なお、電子政府に関する本であれば、「e-ガバメント論」の方が体系的に整理されている。

岐阜県の鉱工業生産指数(6月分)

鉱工業生産指数は景気と連動する一致指標。鉱工業生産指数は、金属や機械など幅広い工業製品を対象とした生産指数であり、経済への波及効果も高いと言われている。そのため、この指数が高ければ景気拡大、低ければ景気後退とみられる。ざっくり把握するにはこのサイトがわかりやすい。

鉱工業指数|金融経済の基本レッスン|乙女のお財布
[scshot url=”http://www.tokaitokyo.co.jp/otome/finance/business/check/industry.html”]

 

6月の鉱工業生産指数はここに掲載されている。

岐阜県 : 岐阜県鉱工業指数 月報201206
[scshot url=”http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/tokeijoho/kohyoshiryo/seizogyo/kokogyo/2012/kokogyo201206.html”]

指数としては先月(5月)から低下している。前年同月比で比べると、ここ数カ月はややプラスだったものの、6月で急に下降している。

岐阜の鉱工業生産指数(6月分)

概況は以下の通り。

平成24年6月の県内鉱工業の動向を季節調整済指数でみると、鉄鋼業、非鉄金属工業が上昇したものの、一般機械工業、電子部品・デバイス工業等が低下したため、前月に比べ生産指数は7.4%減と低下に転じた。また、出荷指数は9.8%減と3カ月ぶりに低下し、在庫指数は8.2%増と上昇に転じた。  なお、原指数で前年同月比をみると、生産指数は8.6%減となり、5カ月ぶりに前年を下回った。

岐阜県 : 岐阜県鉱工業指数 月報201206

 

出荷が低下して在庫が上昇しているということは、明らかに売れ行きが低下している。

岐阜県の景気動向指数(6月分)でも、ここから景気が低迷する兆しがあるのではと書いたが、鉱工業生産指数を見ても、同じことが言えそうだ。景気の山を超えて、短期的に低下するサイクルに入ったのだろうか。

岐阜県の景気動向指数(6月分)

ウォールストリート・ジャーナル式経済指標読み方のルール」を読んだので、実際に少し経済指標をウォッチしてみようと思う。

 

今回は岐阜県の景気動向指数(6月分)をみる。まず、景気動向指数の読み方について。内閣府に説明が書かれている。

CIは、主として景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としている。  一般的に、一致CIが上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面であり、一致CIの動きと景気の転換点は概ね一致する。 一致CIの変化の大きさから、景気の拡張又は後退のテンポを読み取る。 ただし、例えば景気の拡張局面においても、一致CIが単月で低下するなど、不規則な動きも含まれていることから、 移動平均値をとることにより、ある程度の期間の月々の動きをならしてみることが望ましい。 毎月の統計表には、足下の基調の変化をつかみやすい3ヶ月後方移動平均と、 足下の基調の変化が定着しつつあることを確認する7ヶ月後方移動平均をあわせて掲載している。  景気の基調をみる上では、経済活動の拡張(又は後退)がある程度の期間、持続しているか、 またある程度の大きさで変化しているかが重要である。したがって、一致CIが続けて上昇(又は下降)していても、 その期間が極めて短い場合は、拡張(又は後退)と見なすことは適当でない。 また、一致CIがこれまでの基調と逆方向に十分に振れてから、その基調が変化したと見なすことが望ましい。

景気動向指数の利用の手引 – 内閣府

 

ここで見るのは、一致指数になる。6月までの岐阜県の一致指数は、以下の通り。

岐阜県の景気動向指数(一致指数)

www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/tokeijoho/kohyoshiryo/keizai/keiki/2012/keiki201206.data/keiki_2012_06_syou.pdfから抜粋)

 

ここ数カ月は、全体的に緩やかな上昇傾向にあることがわかる。平成17年が100となっているが、ほぼその水準までは戻っている。震災が発生した頃も、一時的に落ち込んでいるようだが、その後も上昇基調は変わらない。ただ、直近の数値は下がり始めている。

 

次は先行指数の推移。こちらはここ数カ月、上下を繰り返しながらほぼ横ばい。

岐阜県の景気動向指数(先行指数)

 (www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/tokeijoho/kohyoshiryo/keizai/keiki/2012/keiki201206.data/keiki_2012_06_syou.pdfから抜粋)

 

次のグラフは、もう少し長い期間で一致指数をみたもの。

岐阜県の景気動向指数(一致指数)2

 (www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/tokeijoho/kohyoshiryo/keizai/keiki/2012/keiki201206.data/keiki_2012_06_syou.pdfから抜粋)

 

平成3年ぐらいからの推移になるが、直近の景気後退期である平成19~平成21年ぐらいまでの期間は、ちょうど世界金融危機の頃。ここで大きく落ち込んで、その後復調していることがわかる。

 

最後に、最近発表された国のCI一致指数(速報値)。

国の景気動向指数(一致指数)

統計表一覧:景気動向指数 結果 – 内閣府から抜粋)

 

国と岐阜県で、ほとんど似たような傾向になっている。いろんな経済指標がマイナスになっているよう。
7月景気動向指数、生産低迷で一致・先行とも4カ月連続低下 | ビジネスニュース | Reuters

ウォールストリート・ジャーナル式経済指標読み方のルール

ウォールストリート・・ジャーナルで用いられている、経済を把握するための指標とその読み方。情報源や投資対象についても丁寧に書いてあるというおまけつき。

僕は実際の経済状況を把握するために買ったのだけれど、これは面白いよ。いろいろ勉強になる。新聞や報道でいろんな景気動向に関する統計情報がニュースになっているけれど、それをどう捉えて、どう行動すれば良いかというのはなかなか頭がつながらない。その点をこの本が補ってくれると思う。

 

あと、指標にはスタンダードに用いられているものもあれば、「ウェイトレス美人指数」なんていうマイナーで工夫されているものもある。経済状況を把握するために決まったルールはなくて、自分で発見していくものだという点も、この本では主張されている。エコノミストの言うことは信用できない、と言われているけれど、いろんな経済指標が開発されて、今起こっている事象、これから起こる事象を把握しようとしている。この本を読むと、経済指標から世の中が少し見える気がしてくる。

 

たくさん分析を重ねて、独自な視点を築いていくことが重要だ。

 

 

ちなみに、出版社のサイトに指標は全部掲載されているので、指標だけ知りたい人はこれで十分かと。

ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール サイモン・コンスタブル/著| かんき出版
[scshot url=”http://www.kankidirect.com/np/isbn/9784761268145″]

 

あと、こういうサイトもある。

ネットで調べる経済指標
[scshot url=”http://fp.st23.arena.ne.jp/EI.html”]

この世で一番おもしろいマクロ経済学

前作「この世で一番おもしろいミクロ経済学」に続いて、マクロ経済学編が登場。

本当に、この本はわかりやすく説明してくれる。いろんな理論や考え方は他の本でも学習することができるが、それを一体的にひとつのストーリーとして理解させてくれるのは数少ない。

何と言っても、この本が素晴らしい点は、マクロ経済学の目的をちゃんと定義してくれていることだ。これは、意外にもいろんな本で言語化されて説明されていない。ちなみに、ミクロ経済学でもちゃんとその目的を定義している。

 

それにしても、このマクロ経済学編は前作のミクロ経済学編に比べるとやや歯切れが悪い。それはこの本の最後にも書かれている通り、今もアップデートされ続けている学問であり、未だ答えが見つかっていない現象が世の中には多いからだ。

それでも、マクロ経済学は長期的な生活水準の向上と、短期的な経済の安定性を考える学問であり、僕らの生活に結びつくものだ。ミクロとマクロでは時に反対の行動になったり、短期と長期でも反対になったりする。その不思議さが、マクロ経済学をわかりにくくさせているのだろうと思う。

 

どちらかといえば、一度マクロ経済学を勉強して、頭が混乱した人が読むと楽しいのかもしれない。いろんな事象がすっきりとひとつに頭の中で纏められるんじゃないかと思う。

 

他にも入門書としては、この本も良いと思う。

古典も含めて経緯を整理したいなら、こちらがおすすめ(書評)。

女性を活用する国、しない国

たった60ページぐらいの短いブックレット。けれど、いろいろ思い知らされる事実が並んでいたよ。何となくしか知らなかったことも多かった。

例えば、国連が発表しているジェンダー・エンパワーメント指数が109の国・地域中57位とか。全国の市町村議会の4つに1つは女性議員ゼロの状態とか。

なぜ女性を活用する必要があるのか?

最初は欧米で女性の活用が進んだ。欧米は今でこそ女性の活用が進んでいるが、昔は日本と同じ「男が稼いで女は家庭」モデルだった。しかし、産業が発展し、肉体労働など男性優位の仕事が減り、逆に知的労働の産業比率が増えてきたことで、女性の労働力が必要という課題に直面する。つまり、産業構造の転換が起こったため、人材活用の仕方を変えなくなった。

女性を社会に出そうとするには、女性がこれまで無償で行ってきた家事・育児・介護を社会全体で担う必要が生じる。家事・育児・介護を社会サービス化して、女性の労働力を社会へ出そうということだ。

なぜ女性の活用が進まないのか?

これについては、鶏が先か卵が先か、という感じではあるけれど、いくつか要因はある。

まず、「同一労働価値同一賃金」がちゃんと適用されていないため、これまで女性が担っていた社会的サービスが低い価格になっていること。あるいは、女性労働者が多いパートタイムなどを職務に応じて賃金を上げていくこと。

これによって、時間に限りがあったとしても、それに応じた賃金を得られれば、女性が自立することもできるようになる。逆にこれが実現できないと、女性が社会に進出する機会が少なくなるので、結局男性も何も変えられない。

 

 

でも一番意識すべきことは、これ。

日本でも2003年、指導的な地位に就く女性比率を2020年までに30%程度にまで上げるという目標が掲げられましたが、国際指標の順位の低落傾向に歯止めがかかっていません。原因は、海外でのほかの国のスピードの速さに、日本の人々が無関心であり、政策的に追いつくための具体的措置がほとんど採られていないことにあるといえそうです。P.11

どんどんグローバルの人材競争から置いてけぼりにされてるという現実。価値観を大きく変えないとダメなんだろうな。

 

こうやって教科書から情報が削除されていく事実というのも、どうなんだろうね。
mネット・民法改正情報ネットワーク