【書評】物欲なき世界

「最近の若者は車を買わない」とか「物欲がなくなってる」と言われていたりします。また、かの有名な大前研一氏は、「今の日本は「低欲望社会」だ」と言っています。

私が考える日本経済の現状と問題点は、「低欲望社会」ということに尽きる。 日本は個人金融資産1600兆円、企業内部留保320兆円を抱えているが、それらがまるで使われていない。歴史的な低金利でも借金をしようとしない。「フラット35」が1%に接近しても借金して家を建てよう、という人はいない。このような国は世界中にない。普通は金利が5%を下回ってくれば借金して家を建てようとするし、金利が上がれば貯金をしよう、とする。 ところが、金利がほとんどつかなくても貯金は増えており、銀行の貸し出しは減っているのだ。

ピケティの主張は的外れ、日本経済の問題は「低欲望社会」に尽きる(6/6) | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

 

そういう経済状況は、確実に顕在化してきている感覚がありますが、実際に今後の経済がどうなっているのか、この本を読んで考えてみましょう。

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この本を読む前は、最近注目されている「シェアリングエコノミー」が中心の本だと思っていましたが、内容はもっと壮大なものでした。

 

僕らの物欲は衰退したのか?

どうやら、経済が成長し成熟してきたことで、身の回りにモノがあふれるようになり、「どうしてもこれが欲しい」という欲望が薄れてしまったようです。それによって、価値観の変化が起こっているというのが、今の消費の姿なんじゃないでしょうか。

例えば、ファッション・ビジネスについてこのような記載があります。

「ファッションビジネスにおいてライフスタイル提案が注目されてきた背景には、ひとつは日本が発展途上から欧米型の成熟社会になり、価値観として、所有の価値から使用の価値を求めるようになったという点だ。発展期にはモノが欲しかったが、モノをもっているだけでなくどう楽しむか、質の良い生活への欲求、例えば海外の都市生活へのあこがれ、都市と郊外でのダブルライフに対する欲求などが使用の価値につながっていると思う。  ふたつ目にリアル店舗の役割の変化とオーバーストア。ネット通販が台頭し、目的買いで強さを出し、リアル店舗もプラスアルファが必要になった。さらにこの一〇年でアパレルの市場が約一兆円縮小したのに対して売り場面積は三〇%増えた。体験し、過ごし、発見する場所といった機能が必要になったのではないか」

 

「所有の価値」から「使用の価値」へ、という転換は、なるほどという感じがします。所有すること自体はどちらでも良くて、モノを使用することで、どう生活が豊かになるか。それが重要になってきているということでしょう。

シェアリングエコノミーとして、車や家を若者は買わないと言われていますが、それも「所有欲」が薄くなり、ある意味経済合理的な選択をしているのかもしれません。

僕としては、この言葉にハッとさせられました。

欲しいモノがあまりない世界というのは、何を目標とすればいいのか。その世界では何が幸福と見なされるのか。実は消費と幸福は無理矢理結びつけられていたのではないか

これからの経済はどうなっていくのか

この本のすごいところは、今後の経済がどう変化していくのかを丁寧に考察しているところです。特に、経済成長を求めること自体に対するアンチテーゼは、非常に思考を刺激されます。

デイリーもここ日本の停滞ぶりに関して、逆にポジティヴな見方をする。日本は成長の限界に適応しており、この低成長状態は成長経済の失敗なのではなく、定常経済の成功と見なせるのではと。「日本は成長の限界にうまく適応することに関して、世界の先頭に立っているのです」。  水野氏も同じような見解を示す。「難しい転換期において日本は新しいシステムを生み出すポテンシャルという点で、世界のなかでもっとも優位な立場にあると私は考えています。その理由は、逆説的に聞こえるかもしれませんが、先進国のなかでもっとも早く資本主義の限界に突き当たっているのが、日本だからです」

 

日本を始めとする先進国では経済成長を実現するのが難しくなっており、低成長時代を迎えています。トマ・ピケティは、資本主義は格差を拡大させるシステムであることと説きましたが、それは低成長の中で収益性を高める場合は、資本を持つ人に有利に働き、持つ者と持たざる者との格差が拡大していく、ということです。

そうなると、今と同じような経済システムが永続的に続くわけはなく、今後は変化していくのでしょう。そして、お金に変わる資本が「信頼」になると言われています。

お金はますますモノから離れ、情報になり、そして信頼の証になる。そうなると、これからの「お金持ち」は「信頼を多く得ている人」ということになる。さらにビットコインやポイントのやりとりのように、既存のお金に換金せずに、信頼と信頼をネットワーク上でやりとりすることで、豊かな交易が出来る。そうなると、国や中央銀行が発行する通貨の経済と、個人と個人、団体と団体で価値を認め合い交易する信用の経済の二本立てで私たちは生きていくようになるのではないだろうか。

信用を蓄積することで、お金の代わりとしてやりとりできるようになる。なんか、夢物語のような感じがしますが、ビットコインや電子マネーによって、中央統制による貨幣が相対的に存在感を低下させているのは間違いなさそうです。

「信頼が新しい通貨になる」という考え方については、このTEDの動画がわかりやすいです。

信頼がより重視されることで、今後はこういう価値観がもっと台頭してくるでしょう。

これからはモノの消費から時間の消費へという説を紹介したが、物欲が減ってくると人々はモノよりもサービスやアクションを欲するようになる。さらにお金が信頼の情報となりつつあるなかで、お金でモノを買うことに幸福感を見出すよりも、信頼でサービスやアクションを買う/共有することに幸福感を見出すようになるはずだ。

今の消費に対する価値観や、世界を含めた経済動向、今後はどういう経済システムになっていくかを考える上で、非常にうまくまとめられていて、そういう経済状況を理解したい人にオススメです。

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それにしても、最近は「資本主義に代わり、これまでの経済ルールが変わる」と述べている本が増えてる感じがしますね。

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【書評】フェルドマン博士の 日本経済最新講義

年末年始で、この本を読みました。

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ええ、ちきりんさんのおすすめにまんまとひっかかったわけですが、なにか?笑

この一冊 2015年から2016年へ – Chikirinの日記

ただ、最近「新・観光立国論」や「東京一極集中が日本を救う」を読んでいたので、地方を含めた今後の日本経済の論点というものがいろいろつながって、頭の整理と刺激になりました。

【書評】新・観光立国論

「東京一極集中が日本を救う」を読んで今年の地方創生を考えよう

 

特に地方再生に関する課題の提起については、新しい視点が含められていました。

 

地方再生の課題は「エネルギー効率」と「インフラのコスト」

最終章が「地方再生と教育改革」になっています。そして、地方における課題として2つ挙げられています。

一つ目はエネルギー密度です。

次はエネルギー密度です。前述の日銀レポートの中に、都道府県別のエネルギー効率が紹介されています。人口密度が高くなるほど、あるいは都市化率が高くなるほど、利用する一人当たりのエネルギーは少なくなります。これは当然です。地方に住んでいれば、スーパーへ買い物に行くのも遠いので、車を使う必要があるからです。

 

ここでいう「日銀レポート」というのは、「わが国の「都市化率」に関する事実整理と考察 ― 地域経済の視点から ―」です。

そしてもう一つとして、インフラのコストが挙げられています。

もう一つの課題はインフラのコストです。同じ日銀のレポートには、さまざまな社会インフラと都市化率との関係が載っています。たとえば、一人当たりの郵便局の数。同じく小学校の数、病院の数。さらに、一人当たりの道路の長さ。都市より地方のほうがコストがかかる現実が、非常にはっきり出ています。

 

2つとも、いわば地方は都市への集約効果が低いことが課題だというわけです。これまで日本は全体で都市面積を広げてきましたが、人口減少を迎えている今は、都市面積を広げるのではなく、都市に集約し生産性を向上させる必要があるわけです。特に、サービス業は都市への集積による生産性の向上効果が高いと言われています。

 

どうやって地方を再生させるのか

本書では、地方の生産性を高める方法についてのポイントも示しています。ひとつは選挙制度改革で、もうひとつが「稼ぐ力」の向上です。具体的には、以下のように書かれています。

選挙制度改革を進めると同時に、稼ぐ力をどう増やすのかが問題になります。ごく普通の経済常識で考えれば、答えは「生産要素」と「生産性」です。付加価値を上げる生産要素は、資本、労働、土地(地方ではとくに農地)です。生産性を上げるには、その三つの要素をつなげる技術が必要です。

 

つまり、こういう生産要素がうまく活用されていないので、稼ぐ力が停滞しているというわけです。東京などの三大都市圏と同じようにあらゆるものを集積するというアプローチではダメだと思うので、

  • 地方の都市部は可能な限り集積
  • 都市以外の土地を農業等(大規模農業)で活用

 

という両面のアプローチが必要なのでしょう。

口で言うのは簡単で、実行するのは難しいのかもしれませんが、実際に新しい行動で地方ビジネスを起こしている事例もあります。

【書評】地方創生ビジネスの教科書

 

それ以外にも、経済的な論点が多数

本書を読むと、それ以外にも多数の経済的な論点が述べられています。個人的に気になったのは、まず財政再建。

大前研一さんの「日本の論点 2015~2016」でも、「累積赤字の解消が日本経済最大の問題」と述べられていました。

「日本の論点 2015~16」を読んで今後の日本社会を考えよう

 

本書の中でも、今日本が置かれている財政状況がこう書かれています。

財政制度等審議会という財務省の有識者会議で、経済学者の富田俊基中央大学教授が同じような計算を行いました。すると、消費税を一〇%として、経済がうまく成長すると想定しても、年間六十兆円が必要になるというシナリオも出ました。  その六十兆円をどこから捻出するのか。すべて消費税に転嫁すれば、消費税率三四%です。逆に増税をまったくしなければ、百二十八兆円の社会保障支出の中から六十兆円を削らなければいけません。四七%ぐらいの削減です。結局は国民が増税と歳出削減の組み合わせを選択せざるを得ないのです。増税と歳出削減をどの割合で行うか、という選択です。

 

ということで、増税は行われてきていますが、歳出削減の議論が進んでいるかといえば、十分ではない気がします。

また、労働市場についても考えさせられます。例えば、男女の違いについてはこう書かれています。

では、男性と女性の割合をみます。右の正規雇用者のうち、男性は約六九%です。女性は約三一%にすぎません。非正規だと、ほぼ同じ比率で逆転します。すなわち、男性は三二%。女性が六八%。正規雇用で守られている人たちは、圧倒的に男性だとわかります。  同じ五千六百万人を就業状態別に分けると、無期契約社員は三千七百五十万人。有期契約社員は千七十万人。その男女別の内訳は、無期契約社員の六一%が男性。女性は三九%。有期契約社員では、男性が三九%。女性が六一%です。ここでもまた、同じ比率で逆転しています。予想通りといえば予想通りですが、産業界は女性より男性を手厚く守っているのです。格差社会というか、差別社会というか。これが現状です。

 

他にも大企業と中小企業の平均賃金の違いについても示されていました。いずれも労働市場が硬直化しているのがよくわかる数字になっています。

 

というわけで、本書を読めば、あらかた日本経済における論点がカバーされてるんじゃないでしょうか。具体的な数字に基づいた意見が述べられているので明快ですが、幅広いテーマになっているので、じっくり読むのがおすすめです。

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「東京一極集中が日本を救う」を読んで今年の地方創生を考えよう

新年明けましておめでとうございます。

新年最初の記事は、地方創生について考える一冊を紹介したいと思います。

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地方創生というのは安倍政権で登場した言葉です。これを取り上げるのは、今の政権がどういう考えを持っていて、国の形や地方のあり方がどうなっていくのか、考えてみる必要があると思ったからです。

 

今後必ず訪れる人口減少という衝撃

地方創生の目的は何か?ということを聞かれた場合、どう答えるでしょうか。この記事で、小泉進次郎氏が地方創生の目的を非常に端的に述べています。

小泉:地方創生というのは、すごく簡単に言ってしまうと2つのことです。 1つは東京一極集中をやめるということ。2つ目が、日本全体の人口減を食い止めるということ。この2つを地方創生の目的だと考えてもらって差し支えないと思います。

小泉進次郎が語る、地方創生の「2つの目的」

 

また、いわゆる「増田レポート」の登場も大きな話題になりました。若年女性が2040年までに半数以下に減ってしまう都市を「消滅可能性都市」として、それが全国の市町村のうち約半数にのぼるという衝撃でした。

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増田レポートの注目ポイントの一つとして、東京一極集中と人口減少を結びつけたことにあります。

これまでは、以下のサイクルが機能してきました。

  • 地方が人口を都市に供給する
  • 都市が富を生み出す
  • 生み出した富を地方に配分する

しかし、人口減少によって地方が人口を十分に供給できなくなったことで、このサイクルは成立しなくなってきました。特に、東京は出生率が低いので、都市に人を供給すればするほど人口が減っていくという問題が「東京一極集中の是正」と結びついたというわけです。

参考:図録▽都道府県の合計特殊出生率

 

東京一極集中を是正させるのは本当に良いことか

さて、前置きが長くなりましたが、本書は東京一極集中を是正することに対するアンチテーゼが述べられています。様々な切り口から述べられているのですが、基本的には都市に資源(ヒト・モノ・カネ)が集まることは、効率を高めることにつながります。

以前このブログでも取り上げましたが、このTEDのプレゼンを見てもらうと都市の効果がよくわかります。

都市および組織の意外な数学的法則

 

さらに、イノベーションは都市で人が集まることで生まれやすくなることが言われています。以下は、このブログで「年収は「住むところ」で決まる」の書評で書いた一節です。

そして、イノベーション企業は一箇所に集まる傾向にあることも重要なポイントです。ICTが進化して、コミュニケーションコストがタダみたいに低くなり、情報の伝達速度が著しく速くなりました。それでも、人が直接集まるとイノベーションが生まれやすくなる、ということがわかっています。 なぜ直接集まった方がイノベーションが生まれやすいかは、本書の中でいろいろな理由が述べられています。僕なりに解釈すれば、やはり電話やメール、SNSなどコミュニケーションは多様化しましたが、それが故に、直接対面で会うことによるアイデアの創出効果が、相対的に高くなったのだと思っています。

【書評】年収は「住むところ」で決まる | Synapse Diary

 

【書評】年収は「住むところ」で決まる

 

本書では、世界における日本、東京の位置付けや競争環境が述べられています。その上で、先ほど紹介した「地方創生」の目的や「増田レポート」に対しては、こういう観点が抜けていると指摘しています。

つまり、「地方創生」という大きなテーマを語るうえで、「人口減少」と「東京一極集中」という2つの論点を絡めたことが、「増田レポート」の新しさだったわけだ。とはいえ、「増田レポート」は「東京一極集中に歯止めをかけるべきだ」「地方に人を戻せ」と訴えるものの、東京ひいては日本の競争力をどう高めるべきか、については語っていない。
また、東京への人口の集中が地方消滅の元凶のように論じているが、一極集中が進んだ背景には、一定の経済合理性があることについては触れられていない。国の政策によって無理矢理東京に連れてこられた若者はいないのだ。仕事の数、生活環境など、彼らには彼らなりの、東京に出てきた理由がある。その事実を無視して地方に帰らせるという結論ありきの議論は、やや乱暴な感が否めない。

結局どうすればいいのさ?

僕は地方が人口減少の中で衰退してくのが良いとは思いません。一方で、東京の都市としての強みも、非常に経済合理性から見て有益だとも思っています。

僕なりの解釈を少し述べておくと、地方はあり方を変えていく必要があると思います。そのヒントは、本書の中のこの一文にあります。

その一方で、なぜか日本の市街地の面積は広がり続けている。同じく国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、三大都市圏および政令指定都市を除く全国県庁所在地の人口は、1970年から2010年の40年間で平均2割しか増加していないのに、DID(Densely Inhabited District=人口集中地域)の面積は2倍に拡大したという。

 

つまり、地方では都市面積が拡大し続けてきたわけです。コンパクトシティという言葉も出てきていますが、各地域で都市を集積させることで経済合理性を生み出しつつ、都市や人が住む場所を再構築する必要があるのではないでしょうか。

 

というわけで、今年は地方創生も重要なテーマであり続けるでしょう。どう言う政策が展開されるかも注目ですし、福岡のように起業などを盛り上げる機運がそれぞれの地方で高まるかもしれません。どこに住んでいようと、人口減少の影響は必ず受けることになります。皆さんは地方創生をどう考えるでしょうか。本書を読んで、ぜひ考えてみてください。

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国会議員の育休についてネガポジ分析してみた

年末ですね。久々にデータ分析を実行してみました。

Twitterでデータ分析してみようと思い、テーマとしてこれを選びました。

国会議員カップル「育休とりたい」 制度ないけど計画:朝日新聞デジタル

 

Twitterからデータを抽出

「国会議員 育休」という条件で検索して、その結果を分析します。APIの制限で1500件ぐらいしか取得できないので、結果としては昨日・今日のツイートだけが対象になります。

tweet

結構みなさん、つぶやいてるんですね。まあ、それが想定されたからテーマに選んだのですが。タイムラインをここに貼っておきますので、なんとなく雰囲気はわかるかな、と。

 

頻出語を可視化

つぶやき結果を形態素解析して、頻出語を可視化します。結果はこんな感じです。

wordcloud

「橋下」というキーワードが多く登場してるようですが、どうやらこれが原因みたいですね。

ネガポジ分析もやってみる

ネガポジ分析というのは、登場するキーワードの特性から、その文章がポジティブな感情表現なのかネガティブな感情表現なのかを分析するものですね。今回は、これをやりたかったというのがあります。

早速分析結果です。

negaposi

3/4がポジティブという結果が出ました。これ、どう感じますかね。

ちなみに、このネガポジ分析は以下の記事を参考に行っています。

R言語 – テキストのネガポジ度を分析する – Qiita

比較的簡単にできるので試してみましたが、日本語の文章をポジティブ/ネガティブで分類するというのは、それほど簡単なものではなく、アプローチの仕方によって結構結果は変わります。ニュートラルな文章というのもあるでしょうし。今回示した結果も、あくまで一つの推測手法だと捉えてください。

別のアプローチとして、ヤフーがリアルタイム検索として「感情」を推測していますが、それでみると否定的な感情が多い結果になっています。

yahoo

「国会議員 育休」のYahoo!検索(リアルタイム) – Twitter(ツイッター)、Facebookをリアルタイム検索

 

分析結果はともかく・・・

蓮舫さんや橋下さんは、任期が限定されていて身分が保証されているのに、その間に育児休暇ってさ?という論点なのだと思っています。ただ、海外では総理や経営者も育児休暇を取得しており、どんな形であれ、広くそれを認める形にすれば良いのかな、と思います。

育児というのは、「休暇」とついていますが、ある意味戦争ですしね。。。。生まれたての子供の面倒を見るというのは、本当負担が大きいものです。国会議員にそういう制度が十分じゃないなら、これを機に整えればいいのかな、と。

経済成長を考える時に人口というのはとても重要です。最近読んだ「新・観光立国論」で書いてありましたが、日本が高度経済成長を達成したのは、人口が劇的に増加したためです。人口の増加は経済にとても大きなプラスのインパクトをもたらすのです。

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それでも日本は間違い無く人口減少に向かっていきますし、人口減少の影響は今後いろんなところで表面化していくでしょう。その減少速度を少しでもゆるやかにするためにも、子供を産み育てることが、社会に取ってプラスであるということを理解し、いろんな制度が変わっていけばいいなと思います。

 

今日はこのへんで。

【書評】新・観光立国論

訪日観光客がどんどん増えている、というニュースが流れていて、政府や自治体も観光戦略に力を入れています。人口が減少し、 GDPを増やして経済的に成長していくことが難しいと言われている日本で、観光によって外貨を稼ぐことができる点で、有力な産業として期待されています。

実際に訪日観光客数は、近年大きく伸びています。

スクリーンショット 2015:12:27 16:07-2

(出所:日本政府観光局「訪日外客数(2003年〜2015年)」)

そして、この本を読むと、まさに観光は日本のGDPに大きく貢献できる可能性があることが理解できるでしょう。

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著者は、イギリス人アナリストで、今は日本の国宝・重要文化財の修復を手がける小西美術工藝社の社長を務めるデービッド・アトキンソン氏。アナリストだけあって、単なる「外国人の目」で見た感想などではなく、統計的なデータを論理的に積み上げ、そこに自分の着眼を加えていくという、まさにプロの仕事でした。ありがとうございました。

ということで、GDPへの効果も以下のように試算されています。

もしも私が提言するように、2030年に外国人観光客8200万人、平均支出金額20万円という目標が達成されれば、波及効果込みで、年間の経済効果は32兆円になってもおかしくはありません。外国人観光客のために観光インフラを整備することで、国内の観光市場も活性化されますので、より大きな効果が見込まれます。

アトキンソン氏、「新・所得倍増計画」を提言 | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

日本のGDPが500兆円程度なので、非常にインパクト高い成長分野であることがわかります。

一方で、日本の置かれている現状として、厳しい面もたくさん指摘されています。

詳しくは本書を読んでほしいのですが、いろいろと刺激的です。冒頭は、日本の経済状況がうまく整理されていて、人口減少による影響や、生産性向上・移民政策・女性活用などが経済的にどのようにインパクトを与えうそうか、端的で分かりやすい内容になっています。

 

今後の経済状況を理解する上で、観光分野というのは間違い無く大きくなります。それを理解するなら、ぜひ読んでおくと良いでしょう。

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【書評】怒らない経営 しがらみを超え、地元を盛り上げる!

カンブリア宮殿に出ていたのをきっかけに知った、愛媛の「エイトワン」。

http://www.eightone.jp/

 

その創業者であり若き経営者の本を読みました。

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大学時代はパチンコの没頭し、就職せずに株式投資にのめり込む。35万円から25億円まで資産を増やすことに成功。それだけでも驚きなんですが、その後実業家として愛媛で様々な事業を手がけています。

その事業の特徴は、地域の資源を磨き、新しい価値を創造していくことにあります。「地方創生ビジネスの教科書」も読みましたが、本書についても地方でビジネスを行う、という場合にどういう視点が重要か、ということを教えてくれます。

【書評】地方創生ビジネスの教科書

 

ブランディングとデザインの重要性

エイトワンのスタンスは、地域にある資源(製品や観光資源)をリブランディングさせることにあります。コンセプトを定義し、それに合わせた製品デザインを施す。そして、地元業者とタッグを組んだり、自社での製造も行っています。つまり、ブランディングとデザインが非常に重要な位置を占めています。

本書の中では、ブランドづくりの重要性と、それを実現するためのデザイナーの存在についてこう書かれています。

地方でビジネスを展開していると、優秀なデザイナーとの接点が少ないため、ブランドづくりが中途半端になってしまうことがある。例えば私は、愛媛県出身のデザイナーとの出会いをきっかけにネットワークを広げたり、契約条件を工夫したりして、デザインの課題をクリアした。

 

こういう点は絶対的な人口が少ない地方ならではかもしれません。逆に、そういう地方が枯渇している点を強化したからこそ、エイトワンは強くなっているとも言えます。

地方創生ビジネスの教科書」でも紹介されていた今治タオルは愛媛であり、エイトワンも今治タオルの店を展開しています。今治タオルそのものが、佐藤可士和というデザイナーを起用しブランディングしたことで、下請け企業から脱却し、「高級タオル=今治タオル」という位置を獲得した好事例です。

 

ということで、「地方創生ビジネスの教科書」「怒らない経営」を読んで、今治タオル買いました。いいですよ。良いタオル使うと、毎日がちょっと楽しくなりますよね。

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【書評】地方創生ビジネスの教科書

「地方創生」という言葉をいろんなところで目にします。

Googleトレンドによると、2014年6月頃からキーワードとして登場したようです。

今回読んだのは、「地方創生ビジネスの教科書」。あの「地方消滅」という衝撃的な「増田レポート」の次につながるテーマとして、実際の地方創生ビジネスの事例を集めた一冊。

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10個の事例が登場し、それぞれ置かれている状況やビジネスのカタチは異なるけれど、だからこそビジネスとして差別化につながっているのだと感じましたね。

 

ITをうまく活用することでビジネスが成長する

印象的だったのは、最後の解説にある「鍵を握る、若者、ヨソ者、ITパワー」ということで、ITが重要なファクターに挙げられていること。事例の中でも、農業のIT化を推進する効率化の手段として、あるいはインターネットマーケティングのツールとして、ITが使われています。

地方にいると、確かにIT化によってまだ効率化できる余地というものがあると感じるときがあります。あるいは、ホームページをうまくマーケティングに活用できていない、とか。

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ITを使えば全てがうまくいくわけじゃありませんが、ツールとして活用する余地が、地方や中小企業には大きいというのは、統計データなどを見ても言えるのではないかと思います。

 

ビジネスに必要なのは差別化

都市に人口が集中することで、効率化し、賃金も上昇します。それは都市経済学的に散々言われていることです。一部の企業やビジネスが大きな発展をすることで、その地域の様々な産業も恩恵を受けます。

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ただ、地方にも魅力的な資源はあるわけで、それを磨くことでビジネスとして差別化することができるようになります。

じつのところ、地方には、まだ手つかずの資源がたくさん残っている。それを眠ったままにしておくのは、あまりにももったいない。隠れた魅力を掘り起こし、商品として磨きをかけ、全国に広くアピールして、上がった収益をいかに地元に還元するか。

 

そして、結局はここに帰結するんじゃないかという、妙な納得感がありました。

都会の人からすると、仕事はあっても金額的に希望と合わないということはあるかもしれない。だが、田舎暮らしは都会ほどお金はかからない。若い人が田舎に来ないのは、仕事がないからではない。なにか面白そうな仕事ができそうだという予感がないからだ。田舎では新しいチャレンジができないと思っているから、都会の魅力に勝てないのだ。

 

 

ということで、生き方は様々あるし、この本に書かれている事例を真似ればバッチリ!ということはないでしょうが、それでもいろんなアプローチ、いろんな生き方があるという点は確かだと思います。

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【書評】角川インターネット講座 第三の産業革命 経済と労働の変化

ITが劇的に普及していて、いろんな領域に革新を与えている今は、「第三の産業革命」といえるんでしょうか。

 

角川インターネット講座」という、インターネットに関する様々な論考が特集されていて、シリーズ15巻が発売されています。

角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー
角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化
角川インターネット講座 (3) デジタル時代の知識創造 変容する著作権
角川インターネット講座 (4) ネットが生んだ文化誰もが表現者の時代
角川インターネット講座 (5) ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代
角川インターネット講座 (6) ユーザーがつくる知のかたち 集合知の深化
角川インターネット講座 (7) ビッグデータを開拓せよ 解析が生む新しい価値
角川インターネット講座(8) 検索の新地平 集める、探す、見つける、眺める
角川インターネット講座 (9) ヒューマン・コマースグローバル化するビジネスと消費者
角川インターネット講座 (10) 第三の産業革命経済と労働の変化
角川インターネット講座 (11) 進化するプラットフォーム グーグル・アップル・アマゾンを超えて
角川インターネット講座 (12) 開かれる国家 境界なき時代の法と政治
角川インターネット講座 (13) 仮想戦争の終わり サイバー戦争とセキュリティ
角川インターネット講座 (14) コンピューターがネットと出会ったら モノとモノがつながりあう世界へ
角川インターネット講座 (15) ネットで進化する人類 ビフォア/アフター・インターネット

 

どれも興味をそそられるのですが、特にインターネットが経済にどのような変化をもたらすか、という観点で、「第三の産業革命」を読みました。

 

冒頭からこんな記載があり、非常に刺激的です。

「インターネットと産業」というお題の本として、本書はネットがいかに産業、そして経済を変えるかを扱おうとしている。でもその前提として、まずはインターネットがいかに産業を変えていないか、いかに既存の産業の延長上にあるかを理解することが重要だ。それを押さえておかないと、目先の変化に踊らされる浮わっついた話のオンパレードとなってしまう。

その背景として、蒸気機関が生まれた産業革命では、生産性が何千倍にも上がったが、ITではそこまで至っていないのが現状です。ただ、蒸気機関でも電気でも、発明としては革新的でも、用途が確立されるまでには時間がかかっており、ITもまさにこれから「産業革命」に値する変化が起こるのではないか、というのがこれからの展開です。

確かに、いろいろ便利になってきているものの、まだまだ劇的に社会を変えるのはこれからだ!というネタが、この本にはたくさん書かれています。本当にたくさんの示唆があるのですが、今後の企業経営という面で2つほど取り上げておこうと思います。

ITは格差を拡大するものか、縮小するものか

ITはいろんな制約を飛び越えることが可能になるので、都市と地方、国内と海外、個人のレベルなど、様々な切り口で格差は縮小していくのでないかと言われていました。

しかし、ITが利用されるにつれて、格差を縮小するどころか、拡大するのでは?と言われてきています。

ITによって人は都市に一層集まるようになる

例えば都市で言えば、こういう論調ですね。

ICTが急速に浸透していった1980年代、 「都市の消滅」がさかんに論じられたが、実際には都市への集中も進んだ。 その理由は、情報利用産業は分散しても情報創造産業は集積するからだ。 情報創造産業の立地条件は、手頃な地代条件(オフ・ブロードウェイ)、若者文化などである。

いつでも情報を利用する、という面ではITは場所を選びませんが、それをクリエイトするためには、人々が集まる部分が存在しており、それが集積を高めている、ということです。「年収は「住むところ」で決まる」という本もありましたが、イノベーションは人が集まる都市で生まれやすくなってます。

https://synapse-diary.com/?p=2678

これを考えると、都市と郊外の格差を、ITは加速させてゆくでしょう。ただし、利用する側として立てば、クラウドソーシングなど様々なオプションは増えていきます。働き方に多様性は生まれるでしょう。

ITは大企業を強くする

さらに、企業の規模でも同じことが言えます。ITによって起業しやすくなったのは事実ですが、ITが進歩することで、必要な初期投資が増えています。それは、ITサービスの経済的特性に原因があります。

経済学者によれば、インフォメーション製品の生産には高額の固定費と低額の限界費用がかかることになっている。インフォメーション製品の最初のコピーの制作には莫大な費用がかかることもある反面、追加のコピーの生産(つまり再生産)コストは無視できるほどのものだ。この種のコスト構造からいろいろな意味が理解できる。たとえば、コストからはじき出した価格づけは機能しない。つまり単価に対する10~20パーセントの利益幅というのは、製品単価がゼロのときまったく意味がない。インフォメーション製品の価格づけは、消費者が認める価値に対応したものでなければならない。生産コストが基準ではないのだ。

つまり、製造業などと異なり、ほとんどが固定費で構成され、初期投資が大きくなるのが特徴です。

また、ITは大企業にも大きな力を与えています。

またネットは、一時は中小ベンチャーや低資本事業に有利だと思われていたけれど、一方では企業の大規模化を可能にしたし、大規模なデータが精度をもたらすビッグデータ分析にはデータ処理設備やソフトに大規模資本が要求される。結局、資本家がますます有利になって業績や所得を伸ばすことになり、既存の格差がさらに拡大しかねない。

初期投資が必要になり、さらに大企業を効率化するITは、大企業と中小企業の格差をこれから広げていくかもしれません。

 

他にも、例えば以下の点など書かれており、インターネットと産業がどう関わり、どう変化していくかが幅広い視点で書かれています。

  • 情報サービスではブランディングが重要
  • 企業が自社メディアを持つ理由
  • 新しい貨幣の在り方

このブログの「MBAおすすめ本」で経済学も取り上げていますが、経済は新しいステージを迎えていて、従来の経済理論に基づいた施策が効かない場面が増えてます。

インターネットやITは、今後ますます世界を変えていくでしょう。10年後、20年後の未来を感じたい人に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

 

都道府県が持つ特徴をGoogleサジェストから分析してみた

narciso1 / Pixabay

あなたの住む地元には、どのような特色があるでしょうか?

最近いろんな自治体で実施されているプレミアム商品券など、自治体の横並びと言われる戦略について書かれた記事がありました。

皆がやっていることをただひたすらやっても、それは平均点をとるだけの戦略です。あえてその地域を選択してもらえる理由は、何一つとして出てきません。 多様化している社会において重要なのは、限られた一部の人たちに熱烈に支持される突出したコンテンツを用意することです。

地方はどうすれば「横並び」から脱出できるか | 地方創生のリアル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

突出した「ウリ」となるコンテンツを作っていく、ということなのですが、これをきっかけに少し興味があったので、Googleサジェストを使って都道府県でどういうキーワードが検索されているのか、調べてみました。これを調べることで、注目されているコンテンツを持っているような傾向が見られないかな、と。

以下が調べた結果です。上位5つまでを抽出しました。

google

内容をみてみると、夏なので、それに関連する季節的なものもあるのかな、と思います。

大半は結構かぶっていて、多いのは以下です。

  1. 地図(45)
  2. 天気(44) ※「天気予報」も含めると47
  3. 観光(42)
  4. 人口(33)

確かにこれらは普遍的によく検索されているんでしょうね。

あと、観光については地図で表示してみるとこんな感じになっています。

kankou

ちょっとわかりづらいですが、「観光」が上位5位に入っていないのは、東京都・神奈川県・大阪府・京都府・沖縄県です。沖縄県以外は都市部ですね。沖縄は8位に観光が入っています。観光地として既に大きく認知されていますので、「観光」というキーワードは少し低めなのかもしれません。

 

次に、「温泉」というキーワードが47都道府県中13件でランクインしていました。これも地図でプロットしてみました。

onsen

これらの県は、温泉地としてある程度認知されている、ということでしょうかね。

 

さて、他県と異なったキーワードが含まれているところをピックアップしたいと思います。

 

香川県=うどん

なんというか、当然ですね。「うどん県」ですし。マーケティング的にもうまいんだと思います。香川のうどんは元々有名だったと思いますが、より認知度は上がったんじゃないでしょうか。うどん巡りとかしてみたい!

 

鳥取県=スタバ

最近、ついに空白地帯だったスタバが進出したことが結構大きなニュースになりましたね。「スタバはないけど、スナバはある」というのは見事なマーケティングだったな、と思います。

 

先日も記事に書きましたが、今は企業の地方にある資源に注目しています。うまく発掘し、地域の特徴をアピールしていくことが、地方創生につながるんじゃないでしょうか。

これからは地方の時代だ!東京に対する憧れは小さくなっている

これからは地方の時代だ!東京に対する憧れは小さくなっている

ガイアの夜明けでセブンイレブンの鈴木敏文会長が「東京への憧れがなくなっている」と発言されていました。インタビューでも同じように答えてますね。

共同通信のインタビューに対して語った。鈴木会長は「東京から全国に画一的な商品を売り出す戦略はもう通用しない」と強調。地域重視とネット強化を両輪に、各地域の消費を掘り起こしていく意向を鮮明にした。

セブン&アイの鈴木敏文会長が地域を細分化し商品開発を進める方針を表明 – ライブドアニュース

 

地域密着を強化する大企業のトレンド

セブン-イレブンでは、地域性のある食品などを取り込み、地域限定商品の割合をこれまでの1割から5割まで引き上げるそうです。地域密着をもっと鮮明にする流れですね。

セブン&アイ・ホールディングスは傘下のコンビニエンスストアやスーパーなどで、店舗のある地域の嗜好を反映した地域限定商品の比率を高める。全国に商品調達や開発の担当者を配置し、2017年度までに地域限定商品の比率を現在の1割から5割にまで引き上げる。画一的な品ぞろえで効率を追求する商品戦略を転換し、味や機能などで消費者ニーズにきめ細かく対応する。

セブン&アイ、地域限定商品を5割に、効率追求型から転換。 | リテールテックJAPAN

 

ユニクロも地域密着を掲げて、新しいアプローチを試しています。

「ユニクロ 吉祥寺店」は、地域密着型の店舗として、吉祥寺の街の中に溶け込み、吉祥寺の街にふさわしい店舗を目指しています。 今回のオープンに合わせて展開する広告物(屋外広告物、外囲い、フライヤー、中吊り等)には、吉祥寺の街の風景、吉祥寺にお住まいの方々、また吉祥寺では誰もが知っている店舗の店長さんやスタッフの方々などが多数登場いたします。モデルになっていただいた方々は、いずれも吉祥寺に縁のある“吉祥寺歴”の長い方ばかり。吉祥寺で最も有名な漫画家の一人、楳図かずお先生や、現在モデルとして活躍中の松島花さんなども登場し、「ユニクロ 吉祥寺店」のオープンを盛り上げていただきます。ひとつのエリアに限定して、一般の方々がユニクロの広告物に登場するのは初めてのことです。

ユニクロが新たな“地域密着型“マーケティングを展開、10月3日「ユニクロ 吉祥寺店」オープンに合わせて実施 – UNIQLO ユニクロ

 

このように、東京発全国画一というイメージがあったコンビニやファストファッションにおいて、地域密着のトレンドを打ち出してきています。これは、今後の流れや日本社会を占う上で外せない流れなんじゃないでしょうか。

 

東京への憧れの低下は本当か

統計でみると、既に若い人たちは地方にとどまる傾向を示しており、東京へのあこがれや上京の必然性は低下しているのがわかります。下は、国交省のデータです。少し古いですが、確実に若年層が都市圏へ出なくなっているのがわかります。

Image

(出所:国土交通白書「地方圏における年齢別転出率の推移」

 

東京などの大都市は、これまで人を吸収し、経済を牽引し、文化をつくってきました。しかし、近年は「マイルドヤンキー」という言葉が生まれるよう、地元密着、ファストファッション志向の若者が登場し、ひとつのセグメントとして認知されています。

地元を離れるのを嫌い、生まれ育った土地で慣れ親しんだ友達と家族を大切にして穏やかに暮らす日々。マイルドヤンキーは、きわめてコンサバティブな「地元を愛する」若者たちなのです。 こうした地元を愛するマイルドヤンキーの、地元愛を構成する要素は、大きくは中学校時代からの同級生であり、パラサイト先としての親であり、あるいは彼らと一緒に遊ぶ地元の大型ショッピングモールなどです。

視点・論点 「”マイルドヤンキー”にみる現代の若者像」 | 視点・論点 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス

 

何か不思議な感じがしますね。サービス業は地域集約型の傾向が強く、都市が経済的に強くなるのは物理的に集約されるからです。仕事を求めるなら、都市へ移動するはずなのです。

年収は「住むところ」で決まる

サービス業の割合は日本で70%にも及ぶのに、都市ではなく地域に残ろうとするのは一見矛盾しているように見えます。これは、経済合理性だけでなく、賃金が多少低くても残っても良いという人が増えてるということなんでしょうか。

一方で、今後は東京一極集中を緩和させるとともに、地域経済圏をどうやって維持・成長させていくかが国のテーマになっています。今後は、郷土愛や文化を高め、地元に残ってもらえる人口をいかに維持できるかが、地域の生き残りに重要になる、ということでしょう。弱いところは、経済的な衰退を免れず、人口減少に歯止めを効かせられない可能性が高まります。

 

いろんな観光資源や文化があると思いますし、大企業もそれらを発掘したがっています。これからも都市の強さは変わらないと思いますが、地方にもいくつか経済圏ができ、相対的に東京と地域の格差は縮まっていくかもしれません。また、各地域が日本より外に目を向ければ、外国人から観光客や労働者を呼び込み、地域を強くすることもできます。

大企業が地域資源に注目する、ということは、均衡ある国土発展でも東京一極集中でもない、新しい日本の都市が作られていくひとつの徴候じゃないでしょうか。