これからは地方の時代だ!東京に対する憧れは小さくなっている

ガイアの夜明けでセブンイレブンの鈴木敏文会長が「東京への憧れがなくなっている」と発言されていました。インタビューでも同じように答えてますね。

共同通信のインタビューに対して語った。鈴木会長は「東京から全国に画一的な商品を売り出す戦略はもう通用しない」と強調。地域重視とネット強化を両輪に、各地域の消費を掘り起こしていく意向を鮮明にした。

セブン&アイの鈴木敏文会長が地域を細分化し商品開発を進める方針を表明 – ライブドアニュース

 

地域密着を強化する大企業のトレンド

セブン-イレブンでは、地域性のある食品などを取り込み、地域限定商品の割合をこれまでの1割から5割まで引き上げるそうです。地域密着をもっと鮮明にする流れですね。

セブン&アイ・ホールディングスは傘下のコンビニエンスストアやスーパーなどで、店舗のある地域の嗜好を反映した地域限定商品の比率を高める。全国に商品調達や開発の担当者を配置し、2017年度までに地域限定商品の比率を現在の1割から5割にまで引き上げる。画一的な品ぞろえで効率を追求する商品戦略を転換し、味や機能などで消費者ニーズにきめ細かく対応する。

セブン&アイ、地域限定商品を5割に、効率追求型から転換。 | リテールテックJAPAN

 

ユニクロも地域密着を掲げて、新しいアプローチを試しています。

「ユニクロ 吉祥寺店」は、地域密着型の店舗として、吉祥寺の街の中に溶け込み、吉祥寺の街にふさわしい店舗を目指しています。 今回のオープンに合わせて展開する広告物(屋外広告物、外囲い、フライヤー、中吊り等)には、吉祥寺の街の風景、吉祥寺にお住まいの方々、また吉祥寺では誰もが知っている店舗の店長さんやスタッフの方々などが多数登場いたします。モデルになっていただいた方々は、いずれも吉祥寺に縁のある“吉祥寺歴”の長い方ばかり。吉祥寺で最も有名な漫画家の一人、楳図かずお先生や、現在モデルとして活躍中の松島花さんなども登場し、「ユニクロ 吉祥寺店」のオープンを盛り上げていただきます。ひとつのエリアに限定して、一般の方々がユニクロの広告物に登場するのは初めてのことです。

ユニクロが新たな“地域密着型“マーケティングを展開、10月3日「ユニクロ 吉祥寺店」オープンに合わせて実施 – UNIQLO ユニクロ

 

このように、東京発全国画一というイメージがあったコンビニやファストファッションにおいて、地域密着のトレンドを打ち出してきています。これは、今後の流れや日本社会を占う上で外せない流れなんじゃないでしょうか。

 

東京への憧れの低下は本当か

統計でみると、既に若い人たちは地方にとどまる傾向を示しており、東京へのあこがれや上京の必然性は低下しているのがわかります。下は、国交省のデータです。少し古いですが、確実に若年層が都市圏へ出なくなっているのがわかります。

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(出所:国土交通白書「地方圏における年齢別転出率の推移」

 

東京などの大都市は、これまで人を吸収し、経済を牽引し、文化をつくってきました。しかし、近年は「マイルドヤンキー」という言葉が生まれるよう、地元密着、ファストファッション志向の若者が登場し、ひとつのセグメントとして認知されています。

地元を離れるのを嫌い、生まれ育った土地で慣れ親しんだ友達と家族を大切にして穏やかに暮らす日々。マイルドヤンキーは、きわめてコンサバティブな「地元を愛する」若者たちなのです。 こうした地元を愛するマイルドヤンキーの、地元愛を構成する要素は、大きくは中学校時代からの同級生であり、パラサイト先としての親であり、あるいは彼らと一緒に遊ぶ地元の大型ショッピングモールなどです。

視点・論点 「”マイルドヤンキー”にみる現代の若者像」 | 視点・論点 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス

 

何か不思議な感じがしますね。サービス業は地域集約型の傾向が強く、都市が経済的に強くなるのは物理的に集約されるからです。仕事を求めるなら、都市へ移動するはずなのです。

年収は「住むところ」で決まる

サービス業の割合は日本で70%にも及ぶのに、都市ではなく地域に残ろうとするのは一見矛盾しているように見えます。これは、経済合理性だけでなく、賃金が多少低くても残っても良いという人が増えてるということなんでしょうか。

一方で、今後は東京一極集中を緩和させるとともに、地域経済圏をどうやって維持・成長させていくかが国のテーマになっています。今後は、郷土愛や文化を高め、地元に残ってもらえる人口をいかに維持できるかが、地域の生き残りに重要になる、ということでしょう。弱いところは、経済的な衰退を免れず、人口減少に歯止めを効かせられない可能性が高まります。

 

いろんな観光資源や文化があると思いますし、大企業もそれらを発掘したがっています。これからも都市の強さは変わらないと思いますが、地方にもいくつか経済圏ができ、相対的に東京と地域の格差は縮まっていくかもしれません。また、各地域が日本より外に目を向ければ、外国人から観光客や労働者を呼び込み、地域を強くすることもできます。

大企業が地域資源に注目する、ということは、均衡ある国土発展でも東京一極集中でもない、新しい日本の都市が作られていくひとつの徴候じゃないでしょうか。