大企業と中小企業の休みの日数を比較。統計データから違いが鮮明に

最近、「働き方改革」が大きく注目されており、長時間労働の是正、兼業・副業の促進などが国でも議論されています。さらに、経済界もこの動きに連動しており、経済団体は有給休暇の消化を増やすことを推進するなど、「働き方改革宣言」を公表しています。

社員の有給消化、3日ほど増やしたい 経団連など「働き方改革宣言」発表 – ITmedia ビジネスオンライン

 

この中で、有給休暇の消化率が5割以下にとどまる、という点が気になりました。

長時間労働の是正や、平均で5割以下にとどまる年休取得率の改善が「喫緊の課題」だとしている。

引用:社員の有給消化、3日ほど増やしたい 経団連など「働き方改革宣言」発表 – ITmedia ビジネスオンライン

 

実際に、どの程度休みを取得しているのか、国の統計データがありますので、見てみましょう。今回使ったのは、厚生労働省が公開している「就労条件状況調査」です。

就労条件総合調査:結果の概要

こちらの最新である平成27年のデータを使っています。

 

はっきりと浮かび上がる、企業規模別の休みの実態

まず、企業が採用している週休制度の日数を見てみましょう。

企業規模別週休日数

すべての企業規模で、最も多いのは週休2日制です。ただ、企業規模が小さくなるにつれて、週休の日数が少ない割合が高まっていきます。

 

次に、年間の休日数も見てみましょう。

企業規模別年間休日数

1000人以上の企業では、「120-129日」が最も多くなっていますが、30-99人の企業では、「100-109日」が最も多くなっています。

 

有給休暇の取得率も見てみます。

1000人以上の企業は5割をやや上回るのですが、そこからは右肩下がりです。冒頭ご紹介した記事の「有給休暇の消化率が5割以下」というのは、これらの数字を見てのことでしょう。

ここから浮かび上がるのは、企業規模と休みの日数は明らかに相関しているということです。もっといえば、企業規模が大きいほど、休みが多いといえるでしょう。

 

それでも時間とともに改善されている

経年変化ではどうでしょうか。ここでは、年間の休日数がどう変化してきたのかを見たいと思います。

企業規模別年間休日数推移

統計データで確認できた平成13年からの推移でみると面白いことがわかります。多少の変動はありますが、1000人以上の企業は平成13年から27年まででほとんど変わっていません。一方で、30-99人の企業や100-299人の企業は、時間の経過とともに休みの日数が増えています。明らかに大企業と中小企業の差が小さくなっているといえるでしょう。

 

今後、働き方改革が進めば、ご紹介したこれらの数字がもっと改善されていくのでしょうか。多様な働き方、体調に配慮された労働時間に対する価値観が広まれば、もっと豊かに暮らせると思います。

あなたの企業は、どこに当てはまりましたか?

2017年に向けて読む一冊:100年ライフを読んで人生プランを考えよう

新年、あけましておめでとうございます。

新しい年になり、まっさらな気持ちでこれからを考えるのにピッタリな一冊をご紹介したいと思います。

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この本を読むと、これからの自分の人生で、どういう風にキャリアや資産を形成していけばよいか、考えずにはいられないでしょう。

この本は、人間の平均寿命の話から始まります。人間の平均寿命が伸び続けているのは、皆さん知っていると思いますが、その先もこの傾向は続くと予想されています。

国連の推計によれば、2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みだ。第1章の図1‐1で示したように、2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。

この数字を見ると、結構衝撃です。今生まれている子供たちは、半分以上が100歳以上生きるのですよ。そして、このような寿命の伸びが、社会制度に影響を与え、自分たちの老後の生き方、ひいては人生プラン全体に影響を及ぼす、というのが本書のメインテーマなのです。

 

政府が進める働き方改革は何を意味するのか?

最近、政府は盛んに働き方改革を推進しています。これは、女性を含めた様々な人が働きやすい環境を作っていこうというものであり、いろんな人にとって良いことなんじゃないかと思います。

働き方改革の実現 | 首相官邸ホームページ

さらに、労働時間の短縮についても気運が高まっており、ヤフーが週休3日制を検討する、ということがニュースにもなりました。

ヤフーが週休3日制を検討する理由は? 人事担当者に聞いた「働き方改革」

これらのベクトルは、「働く手段の多様性」と「余暇の創出」に向かっており、その背景にあるものの一端は、本書を読むことで理解できるでしょう。

詳しくはぜひ読んで欲しいのですが、僕なりに解釈するのであれば、その要因としてあるのは、「これまでの社会制度の崩壊」と「それに伴う人的資源の再投資の必要性」です。

 

戦後モデルの崩壊

日本に限らず、これまでの資本主義国のモデルは、若年層で教育を受け、40年ほどはその教育をベースに働いて資産を得て、その資産を消費する形で老後を過ごすというケースを基本としてきました。本書では、それを「3ステージ」と表現しています。

しかし、平均寿命の伸びから、年金をはじめとする社会福祉制度は維持が困難となっています。そうなると、国家が支えるのではなく、自分たちが様々な手段で資産を獲得しなければならない状況が生まれているのです。

一方で、寿命が伸びたことでビジネスにも影響を与えています。それが「スキルの陳腐化」です。

人々の寿命が短く、労働市場の変化が比較的小さかった時代には、20代で知識とスキルを身につけ、その後は知識とスキルへの本格的な再投資をしなくても、キャリアを生き抜けたかもしれない。しかし、労働市場が急速に変化するなかで、70代、80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。時間を取って、学び直しとスキルの再習得に投資する必要がある。

人が長生きすることで、生きている間に通用するスキルが一つでは不足してきました。そのため、社会人になっても新たなスキルを獲得し、キャリアを移行させる必要が生じてきているのです。これが、余暇の創出を必要とするもう一つの理由です。余暇がないと、自分に再投資できないですからね・・・。

 

とういことで、社会制度の変化とビジネススキルの陳腐化が、働く人たちに求めるスキルやキャリアに対する考え方に、大きな変革をもたらそうとしています。この変化は最近急激に生じており、いろんな価値観を改めないといけないと思っています。

しかし、学生と時々話すと、そういう認識を持っている人がいなかったり、「最初に入った会社で一生勤めたい」と本気で考えている人もいて、時代感と合ってないなと感じることもしばしばです。

どの年代にも通用する、重要な一冊になると思います。正月の休暇にぜひ。電子書籍なら今すぐ読めますので、どうぞ。

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年末年始にこそ考えたい。あなたの生産性を上げる休息法とは?

皆さんには決まった休息法がありますか?今日は、年末の休日にお勧めの1冊をご紹介したいと思います。

マインドフルネスと言う言葉が流行っていますが、最初は僕も少しいかがわしいというか、あまり実効性を感じていませんでした。

しかしこの1冊を読んで考え方は今は改めています。

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本書はマインドフルネスについて、ストーリー仕立てでどのような効果があるのかを説明しています。著者が医師ですので科学的な説明も含まれています。

 

「体の休息」と「脳の休息」は別であると考える

マインドフルネスの重要な点は、脳を休めることにフォーカスしていることです。生物学的には、脳は体全体の中でも非常に多くのエネルギーを消費しており、ぼーっとしていても、思考をぐるぐる巡らせていると、それだけでエネルギーを消費して疲れてしまいます。

脳を休めたければ、エネルギーの浪費家であるDMNを使いすぎないようにせねばならん。マインドフルネスに習熟すれば、その要である内側前頭前野と後帯状皮質の活動を抑えることができる。こうして瞑想は、雑念が脳のエネルギーを無駄遣いするのを防いでくれるというわけじゃ

DMNとは「デフォルト・モード・ネットワーク」のことで、脳の一部を指します。特に多くのエネルギーを消費する領域です。そこで、マインドフルネスによって思考を安定させることで、DMNのエネルギー消費を抑え、思考を鈍らせないようにするのです。

 

科学的なアプローチによる休息法

瞑想という手段だけを取り上げると、古くから仏教などでも存在しており、今更というか少し怪しげな雰囲気すらつきまといますが、今マインドフルネスとして注目されているのはそれらが科学的アプローチによって分析されて、効果が実証されつつあるということです。本書の中でも、様々な研究結果が紹介されています。

また、マインドフルネスが注目される理由には、現在の時代背景も関係していると思っています。今、日本では「長時間でも頑張って働く」という考え方から「働きすぎは良くない」という考え方に変化しており、労働やそれに伴う幸福感に対する価値観が見直されています。これは、物資として満たされる時代が過ぎ、精神的に満たされることが重要視されていることにもつながっていると思っています。

【書評】物欲なき世界

そのような中で、いかに効率的に生産性を上げるか、うつに代表されるような心の病を仕事や生活の中でどのように回避、改善していくかというメンタルの部分も非常にクローズアップされています。

人が抱えるメンタルに関する問題も、様々な実験や研究によって、科学的に解き明かされてきており、それがメンタルの問題をフォーカスする現代社会とマッチしてるんじゃないでしょうか。

 

とりあえず、この本を読んでマインドフルネスを少し試してみたくなりました。あまり構えることなく、ちょっとした時間に呼吸に集中するだけでも効果があると言っていますので、気楽に入った時間を見つけて試しています。

気のせいかなのかもしれませんが、そうやって呼吸に集中するような時間を積み重ねていくと、仕事における集中力もちょっとだけました感じがするので不思議です。

ぜひ自分の普段の休息方法について、改めて考え直す良いきっかけとなれば幸いです。

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才能や学歴ではない。仕事で結果を残せる人は、何が違うのか

社会人になって、ビジネスで活躍できる人とそうでない人がいて、それは決して学歴が高い・低いだけでは決まらないということに気づきました。

その違いはどう生まれるのか、ずっと疑問に思っていましたが、明確に言語化することができませんでした。しかし、この本を読んで長年の疑問を晴らすことができたのです!


この本は、仕事やスポーツなどで結果を残せる人というのは、どのような特性を持っているのかを様々な研究から明らかにしたものです。

大きな成果を残せる人は「やり抜くことができる人」

本のタイトルになっている通り、大きな成果を残せる人が共通して持っている特性は何かと調査していき、それが「やり抜く力」であると特定します。

マシューズが驚いたのは、困難に対処する力は才能とはほとんど関係ないということだった。訓練の途中で辞めていった者たちは、才能がなくて辞めたわけではない。それよりも重要なのは、マシューズの言葉を借りれば、「絶対にあきらめない」という態度だった。

結果を残せる人というのは、もともと才能があるということよりも、粘り強くあきらめず取り組める態度が重要だということです。

また、個人的に発見だったのが、多くの人が「天才」や「才能」というものを重視している事実を示していることですね。

参加者にとって明らかな唯一の相違点は、2名のピアニストの紹介のしかたにあった。ひとりは「才能豊かで、幼少時から天賦の才を示した」とあるいっぽう、もうひとりは「努力家で、幼少時から熱心に練習し、粘り強さを示した」とあった。 するとこの実験では、先ほど紹介したアンケート調査の結果(才能よりも努力が重要)とは矛盾する結果が出た。音楽家らは、「天賦の才」に恵まれたピアニストのほうが、プロの演奏家として成功する確率が高いと評価したのだ。

自分が敵わない、想像できない領域にいる人を、その距離を表現するために「あの人は天才だ」とか「才能があるんだ」と言ってしまう訳ですね。しかし、成果を残す人は多くの努力をしており、その積み重ねによって高いレベルへ到達しているのであり、「才能」と一言で片付けられるものではないのです。

逆に言えば、努力の積み重ねによって、誰でも大きな業績を生み出せる可能性を秘めている、とも言えます。

どうやったら「やり抜く力」を伸ばすことができるか?

「やり抜く力」を伸ばすための方法が、この本には書かれています。詳しくはぜひ読んでいただきたいのですが、これは何歳になっても、どのような状況であっても、活かせる内容になっています。

驚いたのは、これまで自己啓発などでよく登場する言葉が、何度も登場してきたことです。目標を持つこと、ポジティブ思考になること、良いメンターを得ること。これらは内容としては新しくないかもしれません。しかし、それが「やり抜く力」を形成する上で、「なぜ重要なのか」を具体的に説明されていて、その意味を腹に落ちた形で理解することができます。

最後のあたりは、子供の教育にも触れられています。どうやったら、自分の子供に「やり抜く力」を身につけてもらえるか。これは若手育成など、どの年代でも教育という視点で考えて見ると、発見があるんじゃないでしょうか。

こういう研究によって、人の特性が解明されるというのは、非常に刺激的です。今回この本を読んで、いろんな刺激を受け、自分の行動を変えないといけないな、と認識することができました。

ちなみに、TEDで著者によるスピーチを見ることができますよ。



というわけで、人の能力のどこに注目するべきか、どうやったら結果を残せる人になれるのかに興味がある方には、非常にオススメです。

最後に。この言葉が一番、心をどきっとさせられました。

もしあなたが自分の子どもの「やり抜く力」を引き出したいなら、まず、「自分が人生の目標に対してどれくらいの情熱と粘り強さをもって取り組んでいるか」、つぎに、「子どもが自分を手本にしたくなるような育て方をしていると思うか」、考えてみよう。

今日はこのへんで。


【書評】「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論

現在のビジネスパーソンに求められる能力とはなんでしょうか?

ビジネススクールに行って思ったのは、市場で評価される付加価値のポイントが変わってきているということです。かつて栄華を誇った日本の電機メーカーが苦戦する中で、アメリカでは新しい産業と強い企業が生まれています。明らかに、市場が求めるものが変わってきています。

いろいろビジネス戦略や外部環境の変化などでも説明することはできますが、今回読んだのは「人材」にフォーカスした内容が書かれたものです。

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端的にいって、今の人材に求められる素養というか能力と、ビジネスにおける付加価値のポイントが見事にリンクしています。人材マネジメントに関わる人に限らず、いろんなビジネスパーソンにとって有用な一冊でしょう。

 

単に知識や技術があるだけでは勝てない

現代では、単純に知識や技術があるだけでは勝てない時代になっています。本書ではトヨタ生産方式が例に挙げられていますが、製造業の世界でトヨタ生産方式は珍しいものでも何でもなく、製造技術の観点で差がつかなくなっているのだそうです。

また、弁護士や税理士などの士業やプロフェッショナルと言われるところも、非常に厳しい状況になってきています。昔は資格をとれば安泰だと言われていたと思いますが。。。。

弁護士の給料半減! 年収200万~300万も当たり前の悲惨な現実 人事&給料の謎【28】:PRESIDENT Online – プレジデント

これらは、ある程度決まった情報やルールに基づいて作業する、という点で共通しており、それらは情報が広がってしまえば、あるいは機械化されてしまえば、どんどん差異が生じなくなってしまうのですね。

もちろん職業が全てなくなってしまうわけではありませんし、今後もそういう職業や製造現場が残っていくのは間違いないですが、市場の中で相対的に価値が下がっているのは明らかです。

 

企業に利益をもたらす人材とは何か?

では、どういう人材が企業に利益をもたらすのでしょうか。本書では人材を次の4つに分けて整理しています。

①複数分野の知識あり、創造的知識労働、目的的・改革・改善・地頭・洞察・未知を既知に変える能力──タレント
②知識あり・定型労働、既知の事柄を確実にこなす──プロフェッショナル
③知識あり・定型労働、特定分野の知識に詳しい専門家──スペシャリスト
④知識なし・定型労働+改善能力(非定型労働)──改善ワーカー
⑤知識なし・定型労働──ワーカー

先程の弁護士や税理士等は、程度にもよると思いますが②プロフェッショナルあるいは③スペシャリストに分類されます。そして、最も企業に利益をもたらす人材は①タレントであると述べています。

タレントが、プロフェッショナルやスペシャリストとの違いはこうです。

いわゆるプロフェッショナルは、期待される成果は最初から決まった状態であることが多く、スペシャリストは特定の分野にただ詳しい人というイメージである。一方、優れたタレントは、それ以上の人を指している。つまり、タレントは、プロフェッショナルやスペシャリスト達を使って、「質的に異なる意味のある新しい何か」を生み出す人である。

世の中の変化のスピードはどんどん早くなっており、製品やサービスが陳腐化するスピードも速くなっています。そのため既に明らかになった考え方や技術というものはすぐに伝搬し真似されて行きます。そのため差別化要素と言うものはすぐになくなってしまうのです。

あのiPhoneですらも、ずっと安泰な地位があるわけではありません。

そういう中で未知の領域ににおいて、深い洞察やイマジネーションによって新たな製品やサービスを形にしていく人材が、今の時代に最も求められていると言えるでしょう。

 

そのような人材はどういう能力を兼ね備えているのかという点については詳しく書かれていますので興味がある方はぜひ読んでみてください。

久々に組織論や人材に関する刺激的な本を読むことができました。今日はこの辺で。

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岐阜県の有効求人倍率は全国2位!「売り手市場」で採用するには会社PRが必要

最近の経済状況の改善によって、人不足が発生しています。中小企業の採用活動も大変になっていますよね。その中で岐阜県は全国で見ても一層人不足な状況のようです。それは、有効求人倍率に現れています。

岐阜労働局が1日発表した県内の1月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0・06ポイント増の1・70倍だった。23年ぶりの1・7倍台で、東京都に次いで全国2位となった。労働局は「雇用情勢の改善が進んでいる」との見方を示している。

有効求人倍率:県内1.70倍 23年ぶり、東京に次ぎ全国2位 /岐阜 – 毎日新聞

すごいですね。有効求人倍率が1.7倍ということは、求職者1名に対して求人数が1.7件あるということです。

 

岐阜県の有効求人倍率はずっと上がってきている

岐阜県の有効求人倍率の推移を見ると、過去7年で右肩上がりになっています。

岐阜県有効求人倍率

(出所:有効求人倍率の推移(H28.4.28 更新) | 岐阜労働局)

 

そして以下のグラフが、直近1年間の月次推移になります。

岐阜県有効求人倍率_月次

 

有効求人倍率が上昇している理由として経済状況が良くなっていることもあると思いますが、生産年齢人口が減少していることも影響していると思っています。

有効求人倍率と生産年齢人口の推移を重ねあわせてみたのが、以下のグラフです。

有効求人倍率と生産年れ人口

(生産年齢人口の出所:岐阜県:人口・世帯数

 

生産年齢人口はどんどん減少してきており、7年間で10万人減少しています・・・。

経済状況は変動しますが、人口動態は長期トレンドとしてあまり変化しないものです。人口減少は今後も続くと思いますので、「売り手市場」は今後も想定しておく必要があると思います。

 

「売り手市場」の中で、どう自社をアピールしていくか

ある経営者から、「これまでは求人の応募がコンスタントに来たが、最近は集まらない」という悩みを抱えている方がいました。ウェブサイトの求人募集ページには、簡単な説明と「詳しくは連絡ください」とだけになっており、「これでは仕事内容や雰囲気を理解するのは難しいのでは」と思うほど、情報が少ない状態です。

なのでもう少し雰囲気や条件を伝えるようと、仕事内容の説明、雇用条件、職場の雰囲気が伝わる写真などをコンテンツに追加しました。

その後求人ページへのアクセス数は増えましたし、ウェブサイトの効果だけではないかもしれませんが、求人問合せ数が再び増えて、無事に採用することができました。

 

「売り手市場」の中では、企業は選んでもらう立場になるので、自社をアピールしていかなくてはいけません。自社のウェブサイトは求職者もよく見るようになっており、会社の雰囲気や仕事内容、雇用条件などを確認するのです。なので、ウェブサイトにはそういう点を意識したコンテンツづくりが必要になります。

 

まとめ

  • 岐阜県は有効求人倍率が高くなっており、今は「売り手市場」
  • 人口減少は今後も続くため、経済状況の変動はあるものの、「売り手市場」は続くと予想される
  • 「選ばれる企業」になるためには、自社のPR強化が必要
  • ウェブサイトでの求人向けコンテンツの強化はひとつの有効な手段

以上です。採用活動には、ウェブサイトの活用を是非検討してみてください。

【書評】ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

ビジネススクールで経営学を学んでも、その後はなかなか知識がアップデートされない、という実感があります。そういう意味では、本書はなかなかない一冊です。経営学に関するいろんなトピックが、最新の論文等を踏まえて紹介されており、ビンビン刺激されました。

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ビジネススクールで学ぶ知識は「最先端」というわけではない

これはビジネススクールを否定するわけではありません。特性上、そうならざるを得ないというのが僕の感想です。

  • ビジネススクールは実務家を生むことを主眼に置いており、比較的基礎を学ぶところ(最先端かどうかは二の次)
  • 学校というスタイルの特性上、タイムリーにアップデートするのが難しい

また、最近は統計によるデータ分析がどんどん発達していますが、経営学にもその考えが強く出ており、「科学的」に理論を証明することが経営学者の関心であり、役割になっているとのことです。

経営学者は、何百・何千・何万、場合によっては何百万という企業データ、組織データ、個人データを使った統計分析をしたり、あるいは人を使った実験やコンピューター・シミュレーションをしたりして、その経営法則が正しいかどうかを確認していくのです。

 

以前、「優秀な経営学者は、会社を経営できるのか?」が議論になったことがありますが、この本を読めば、それは必ずしもイコールでないこともわかるでしょう。

経営学者はなぜ自分で会社を経営しないのか?一橋大学教授が答えたところ堀江貴文氏が強烈なツッコミ | netgeek

 

両利きの経営、コンピテンシー・トラップ、トランザクティブ・メモリー etc.

最新だけあり(あるいは僕が知らないだけなのかもしれませんが)、いろいろ知らない用語が出てきました。本書は特に組織論にフォーカスした本というわけではありませんが、組織論を中心に非常に面白い示唆が紹介されていました。

まず「両利きの経営」というのは、こういう風に紹介されています。

「両利きの経営」の基本コンセプトは、「まるで右手と左手が上手に使える人のように、『知の探索』と『知の深化』について高い次元でバランスを取る経営」を指します。

 

これだけではわかりづらいかもしれませんが、次の「コンピテンシー・トラップ」と合わせて理解することで、僕は納得できました。

この企業の知の深化への傾斜は、短期的な効率性という意味ではいいのですが、結果として知の範囲が狭まり、企業の中長期的なイノベーションが停滞するのです。これを「コンピテンシー・トラップ」と呼びます。

 

つまり、企業経営には「新しいアイデアを求める動き」と「ある領域の知識を深める動き」の両方が必要になりますが、一旦事業として形成すると、その領域を洗練することに注力する傾向が強く出てしまい、新しいアイデアを求める動きが低下する、ということです。

これは、僕は実感としては非常に納得します。どうしても、目の前の仕事をこなしていると、それを大幅に見直したり、新しいアイデアを導入するという思考自体が失われることがあります。そうでなく、積極的に情報を探し求めることも時々やらないと、組織は閉塞的になっていくということです。

トランザクティブ・メモリーというのは、組織全体で知識を高めるのではなく、組織内で「誰がそれについて一番詳しいのか」を知っておくことが、組織全体の知識能力を向上させる、という考え方です。英語でいえば、「Know what」ではなく、「Know who knows that」を高める方が効果的、ということです。

非常に捉え方が面白いなと思いましたし、それが学習効果として高くなるのだとすれば、組織のあり方やコミュニケーションの仕方も、「こうした方がいいかも」というアイデアがわいてきましたね。

 

それ以外にも、最近話題のダイバーシティに対する考え方、最近はあまり聞かなくなったCSRの効果など、様々な示唆が豊富に出てきます。ポーターなど基本的な経営学は学習したけど、、、、という人にとっては、非常に面白く読める本だと思います。

冬休みの読書にどうぞ。

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【書評】マインドフル・リーダーシップ

最近流行りの「マインドフルネス」ですが、それをリーダーシップに当てはめたて述べられた本ということで、久々にリーダーシップものを読みました。

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「マインドフルネス」という新しい健康ムーブメント

「マインドフルネス」というのは、なかなか日本語であてはまる表現がないのですが、どうやら「集中力」と近い関係にあるようです。

マインドフルネスの状態にある時は、自分のまわりで起こっていることに、意識を完全に集中できています。

記憶力や免疫力をも上げる? 「マインドフルネス」とは結局何なのか | ライフハッカー[日本版]

これが、瞑想などの様々な行為が、人間の集中力を高めたり、ストレスを軽減する効果があることが、科学的に証明されてきているというのが、最近のムーブメントの背景にあります。

あとは、シリコンバレーで発生している健康ブームも重なっています。日本でも、様々な本が翻訳されて登場しています。

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こちらも、会社における従業員のパフォーマンスを高めていくには、従業員が健康になるのが重要だという考えが高まるとともに、健康を科学的にアプローチしている点が、新しい流れのようです。

 

リーダーシップをマインドフルネスで解釈する

本書のテーマがこれですね。流行っている「マインドフルネス」をリーダーシップに当てはまて解釈したものです。とはいえ、著者は元GEクロトンビル・マネージャーですので、GEでの内容が中心になっています(クロトンビルは、GEのリーダーシップ開発研究所です)。

なので、マインドフルネスという観点だけでなく、そもそものGEを中心とした著者のリーダーシップ論が書かれているので、非常に体系だってわかりやすい内容になっています。

例えば、リーダーシップの定義については、こう述べられています。

マインドフルなリーダーの具体的な行動について考えるにあたり、まず、そもそも「リーダーシップ」とは何か、私なりの解釈をまとめておきます。私はいつも、「自分の職位に付随した権限を行使して人を動かすのがマネジメントで、その権限を行使しないで人を動かすのがリーダーシップである」と教えています。

 

どうでしょう。わかりやすくないですか?

管理職になってくると、いろいろタスクが分散してしまい、マルチタスクが激しくなります。そういうときに、いかに「マインドフルネス」、簡単に言い換えれば集中力を発揮し、クオリティの高いリーダーシップを発揮していくか、が本書のテーマになっています。

個人的に気になったところを挙げておきます。

 

自分を振り返る時間を持つ

別にマインドフルネスでなくても言われていることではありますが、改めて本書を読んで「大事だな」と思いました。スティーブ・ジョブズが座禅など東洋思想の影響を受けていたことは有名になっていますが、瞑想や座禅など内面を見つめる行為は、自らの気付きを促し、自分の進むべき方向を深く考えるきっかけになります。

該当する部分を少し引用しておきます。

「多くのマインドフルな思考や行動からいくつかのセルフ・アウェアネスが得られ、その多くのセルフ・アウェアネスの積み重ねによって本物のリーダーシップ要素がいくつか得られる」

今の自分は一年前の自分とどう違っているか。三年前と比べてどうか。自分が進もうとしている方向は本当に正しいのだろうか。さまざまなチェック・ポイントがありますが、大切なことは少しの時間でもよいので、自分を客観的に振り返ることを習慣化することです。

 

日記を書こう、手帳に振り返りを書こうとかいろいろ言われていますが、自分を振り返る時間を集中的に持つ習慣が、自分を強くしてくれるのだと思いますね。

 

メールチェックという病魔を克服する

メールというのは、コミュニケーション手段を劇的に変えたという点で革新的でしたが、逆にたくさんのメール処理に追われるのが当たり前になってしまっています。ですが、四六時中メールをチェックしていると、気になってしまって何かを考えたり作業するのに集中できません。

そういう時は、こうしましょう。

「高い集中力が必要な作業をするときには、メールソフトをシャットダウンし、作業の切れ目となる六〇分から九〇分ごとに休憩を兼ねてメールをチェックする。その際、緊急で重要なメールだけに返信し、あとはざっと目を通すだけにする。作業が終わったら優先順位の高い順に返信する。  中程度の集中力が必要な作業をするときについても同様で、メールソフトは立ち上げないまま。休憩を兼ねたメールチェック時に返信をするものは、緊急性が高く重要なものに加えて、緊急性が高くて重要度が中程度なものに拡大する。あとは目を通すだけ。  あまり集中力を必要としない作業をしているときであれば、メールソフトは立ち上げたまま」

 

メールなんて、実はそんなに頻繁にチェックしたり返信しなくても、案外困らないものです。なので、思い切ってメールソフトをシャットダウンして、ひと段落したら息抜きがてらチェックする。そういうサイクルに切り替えてみましょう。

僕も試してみましたが、結構気持ちが良いものです。ずっとメールを確認していると、内容によってはずっと気になってしまって返信するまで他の作業に手がつけられなくなります。そういうのから解放された感じで、少し集中できる環境になったと実感しました。

 

それ以外にも、部下への接し方、成長をどう促すか、組織の課題をどう解決していくかなど、様々な示唆がありました。時々こう言うリーダーシップものを読むと、改めて自分を振り返るきっかけになるな、と思いましよ。

 

ちなみに、最近マインドフルネスを取り入れたiPhoneアプリを買ってみました。

PAUSE – Relaxation at your fingertip
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, ライフスタイル
指を画面にタッチし続けることで、集中しながらリラックスを促すものです。何回か試してみましたが、確かに集中できますし、だんだんリラックスしてきて眠たくなってきます。夜、やるとオススメです。

太極拳とマインドフルネスを応用したiPhone用瞑想アプリ「Pause」 | BUZZAP!(バザップ!)

 

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あなたが明日からクリエイティブなアイデアマンになる方法

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あなたは、自分に創造力があると思いますか。あるいは、周囲にアイデアマンと呼ばれる人はいるでしょうか。

 

僕がビジネススクールに行っていたのはもう数年前になっていますが、そのときは「もうビジネスにおいて論理的に管理したりするのは20世紀型で、21世紀はイノベーションやクリエイティビティだ」、と言われたりしていました。今、ビジネスシーンで必要なのは、創造力やアイデア、デザインと呼ばれるような領域になってきています。

 

ビジネスにおけるデザインやクリエイティビティが注目されるようになった

実際、IDEOというデザイン会社がビジネスコンサルティングの市場に進出するようになり、これまでボストンコンサルティングやマッキンゼーに代表されるようなコンサルティング会社は、新しい軸での競争に迫られてきたわけです。

そして、最近はその流れがどんどん加速してきており、コンサルティング会社がデザイン会社を買収する事例が増えています。

IDEOやfrog designも!マッキンゼーがLUNAR買収と聞いて、デザイン会社のM&Aを調べてみた – Tayoriブログ

また、ビジネススクールにおいても、「dスクール」というビジネスデザインを学ぶカリキュラムが注目を浴びています。

それぐらい、デザインやクリエイティビティというのは注目される分野になっており、ビジネス上の競争優位性になっているのです。

 

誰でもクリエイティブになれるか

さて、今回僕は、IDEOの創業者であり、dスクールを創設したデヴィッド・ケリーと、その兄弟であるトム・ケリーの本を読みました。それは「クリエイティブ・マインドセット」というタイトルで、誰にだってクリエイティブになれる素質があるという前提に立ち、それを身につけるための方法論が書かれたものでした。

自分でいうのもの何なんですが、クリエイティブだとはとても言えない人だと思っているので、「誰でもクリエイティブになれるなんて」という半信半疑で本書を読んでみた次第です。

僕が注目したのは、「創造性は誰もが持っているが、その自信を自分の中に持てるかが大きく変わる」ということです。(ちなみに洋書のタイトルは「クリエイティブ・コンフィデンス(=創造力に対する自信)」です。)

 

以下は、いろんな人に創造性を持ってもらうためにdスクールを設立することを考えていた著者の一節です。「創造力に対する自信」をこう説明しています。

私たちが気づいたのは、創造性を一から生み出す必要はない、という点だ。人々がすでに持っているものー世界にふたつとないアイデアを想像したり発展させたりする能力ーを再発見する手助けをするだけでいいのだ。しかし、アイデアを実行に移す勇気を奮い起さないかぎり、創造性の真の価値は発揮されない。つまり、新しいアイデアを思いつく能力と、アイデアを実行に移す勇気ーこのふたつの組み合わせこそが、創造力に対する自信の特徴といえるのだ。

アイデアを思いつく能力とアイデアを実行に移す勇気。その組み合わせによって、創造力は発揮されるということです。

 

創造力を発揮するために大切なのは、行動を起こすことだ

そして本書では、行動を起こすために重要な点への説明に進んでいきます。

しかし、行動を起こすためには、何よりもまず、今まで創造性を妨げてきた恐怖を克服する必要がある。

失敗に対する恐怖は、あらゆるスキルを学んだり、リスクを冒したり、新しい課題に挑戦したりする妨げになる。創造力に対する自信を手に入れるには、失敗に対する恐怖を克服する必要がある。

失敗に対する恐怖を克服することで、行動を起こす勇気が得られるということです。確かに失敗をネガティブに捉える組織ではみんな斬新なアイデアを出さないし、無難でミスをしない方策を考えるようになりますよね。

 

自分について考えても、思えばたくさん失敗を重ねてきました。今思い出しても恥ずかしい失敗もありますし、それによって気づいたり成長できたこともたくさんあります。逆に、新しい挑戦をして良い結果を得たこともあります。思い返してみると、実は日々の小さな出来事においては、失敗しても大きな損害を与えるとか誰かに迷惑をかける、というのはほとんどなくて、「変なことを言っている人だと思われたくない」や「言い出して失敗したら白い目で見られる」という、他人の目線を気にして躊躇している要素が無意識に大きく作用している気がしています。

でも、誰かが失敗したことを自分がそれほど覚えていないように、周囲もあまり覚えていないようです。だからいつまでも失敗を恥ずかしいと思わず生きていける気がします。

つまりは、自分が新しいアイデアを思いついたら、「恥ずかしいとか失敗したときのことを考えず、とりあえずやってみろ」ってことですし、組織を管理する立場のリーダーであれば、「失敗しても許容される雰囲気をつくれ」ということです。

 

ということで、本書はクリエイティビティに関する内容にフォーカスされていますが、それ以外にも気づきが多い、刺激的な内容になっています。あなたも私も、創造力を高められますように。まずは行動しましょう。その積み重ねが、きっと自信となってさらに創造力を高めてくれるでしょう。

 

最後に、失敗に対する勇気を与えてくれる言葉を。

何より、ハンガリーの随筆家、ジョルジュ・コンラッドはこんなことを言っている。「勇気とは、小さなステップの積み重ねにすぎない」

では、今日はこのへんで。

 

Googleを見習って自由で強い組織をつくろう

もっと自由闊達な組織を作りたいと思っている方へ。

Googleの組織がどのように作られているかが説明された「How Google Works」を読みました。いろんな観点で語られており、なんとも表現しづらい部分もあるのですが、今や素晴らしいグローバル企業となったGoogleの考えがみえるという点で貴重かな、と思います。

 

20世紀型管理組織の否定

Googleは従来の組織管理の在り方を根底から覆す考え方を持っています。経営方針について、以下の通り説明されています。MBAだと、このあたりの方法論やフレームワークを腐るほど教わりますんですが、一切ないそうです。

財務予想や収入源に関する議論は一切なかった。ユーザ、広告主、あるいはパートナー企業が何を望んでいるか、それが市場セグメントにどのように当てはまるかといった市場調査も行わなかった。市場のセグメンテーション、あるいは最初にターゲットとすべき広告主といった考え方もなかった。チャネル戦略も、広告プロダクトをどのように売るかという議論もなし。セールス部門はこれ、プロダクト部門はこれ、そしてエンジニアリング部門の仕事はこれ、といった組織図の概念もなかった。何をいつまでにつくるかを詳細に記した製品ロードマップもなかった。予算もなし。取締役会や経営陣が進捗状況を確認するための目標やマイルストーンといったものもない。

人や組織に対しては管理ではなく、それぞれが自律して行動することが求められます。Googleでは、それぞれが自律的に大きな発想をして、組織の境界などを気にせず、行動する文化を形成しています。

経営者をしていて意外だったのは、プロジェクトチームにとんでもない野心を抱かせるのは、とても難しいということだ。どうやらたいていの人は型破りな発想をするような教育を受けていないらしい。現実世界の現象から出発し、何ができるか見定めようともしないで、最初から無理だと決めてかかる。グーグルが自律的思考の持ち主を採用し、壮大な目標を設定するためにあらゆる手を尽くすのはこのためだ。適切な人材と壮大な夢がそろえば、たいていの夢は現実になる。たとえ失敗しても、きっと重要な学びがあるはずだ。

そして、そんな文化を形成するために、様々なルールがビルトインされています。例えば、こんな感じ。

  • 新プロダクトの取組みは低予算にする(制約によるイノベーションの誘発)
  • 20%ルール
  • マイクロマネジメントの廃止(上司は最低7人以上の部下)

 

不確実性が高いビジネス環境で生き抜くためにプロダクトに集中する

なぜ組織に自由を与え、各自が自律的な発想と行動を求めるかといえば、不確実性が高いからです。IT業界はとても変化のスピードが速く、技術やサービスはすぐに陳腐化し、競争環境がどんどん変わっていきます。そういう中で生き抜くためには、サービスやプロダクトの新しい発想を誘発し、スピーディに開発することが有効になります。

本書の中で、「プロダクトの開発計画を決めると、それ以上速く開発することはない」という考え方は、印象的でした。確かに、計画を立てることは重要ですが、いつの間にか計画の通りか遅れることはあっても、早めることは少ないのが人間の心理です。

 

プロダクト開発に資源を集中的に配分できるよう、素早く行動し、その結果をデータ化して改善を図ります。Googleでは主観的な判断を極力排除し、データに基づいた判断を行うようにしています。

インターネットの世紀がもたらした最も重大な変化の一つは、事業のほとんどの側面を定量的に把握できるようになったことだ。従来の意思決定は主観的意見や事例にもとづいていたが、いまでは主にデータが判断材料となった。

データ・プレゼンテーションとビジュアリゼーションの権威であるエドワード・タフティは、スライドの枚数を減らしてデータ量を増やせ、と説く。

人材採用についても、過去の採用結果をデータ分析した結果から、ルールやマニュアルを作成しているそうです。

 

人材採用の質を高めないと、この組織を維持することはできない

このように、従業員に大きな裁量を与える組織を形成するのは、何もGoogleやIT業界だけではありません。例えば、ホテル業であるリッツ・カールトンでも各従業員に2000ドルの決裁権限を与えるなど、大きな権限委譲をしています。それは、接客内容に100%正解はなく、それぞれの顧客や状況に応じて、スタッフがそれぞれ判断し行動することが必要になるからです。

【第3回】「一人2000ドルの決裁権」の真意|リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ|高野登|cakes(ケイクス)

つまり、現場に大きく権限委譲する(予算なり時間なりの裁量を与える)ことは、不確実性が高い状況に立ち向かうためには有効な組織なのです。

一方で、これらのように自主的に考え、判断し、行動できる人材というのは、市場的に価値が高い人材です。また、カルチャーとして合う/合わない、という点も重要視する必要があります。というのは、個人の裁量がとても大きい組織というのは、価値観という明文化されていない領域を共有できている必要があるからです。

というわけで、採用というのは組織を維持するための根幹にあたるところです。Googleが厳密な採用プロセスを構築しているのもうなずけます。

ダメ社員を解雇するような不愉快な事態を避けるには、最初から彼らを採用しないのが一番だ、と。だからグーグルでは、採用プロセスを厳格にすることで偽陰性(本当は採用すべきだったのに、採用しなかったケース)が出るほうが、偽陽性(本当は採用すべきではなかったのに、採用したケース)が出るより好ましいと考えている。

 

まとめ

というわけで、まとめます。

  • IT業界は変化が激しく、新しい発想とスピードが求められる
  • 不確実な状況に強い組織を作るためには、各従業員が自律的に考え、行動できる必要がある
  • そういう人材は市場価値が高く、価値観も重要。採用プロセスを厳格化することで質を維持する

まとめてしまうと、あまり目新しいものではないなって感じもしますが、Googleという偉大な企業を創業者二人が大学卒業後に築きあげてきた、と思うと、やはり凄さを感じますね。

 

似たような内容で、シュミット会長のスライドが公開されています。

Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中 – GIGAZINE

 

あと、もう一冊人事の本があります。より詳細にGoogleの採用プロセスを説明した内容のようです。まだ洋書しかありませんが、興味ある方はどうぞ。僕も英語の勉強がてら読んでみようかな。