中小企業白書2011年版

中小企業庁¥ 2,400

だいぶ遅くなったけど、中小企業白書2011年版を読んだ。日本の中小企業を取り巻く現状が毎年纏められてるんだが、それなりに情報が詰まっていて面白い。

中小企業の従業員数は、全体の7割。企業数でいけば、中小企業は全体の99.9%になる。だけど中小企業の求人倍率は4.4倍。大企業は0.47倍とかなのに。どれだけ不均衡なんだよ。。。雇用のミスマッチが激しい。
www.recruit.jp/news_data/data/job/20110524_1.pdf

 

随分言われていることだけれど、中小企業は大企業と比べて労働生産性が低い。大企業では4000円~6000円/時間ぐらいなのに対して、中小企業では2000円~3000円/時間になっている。

で、いくつか労働生産性を向上させるための課題が分析されてるんだけど、個人的に気になるのはIT投資の低さ。

実施状況では、「パソコンの導入」が9割弱、「ネットワークへの接続」が7割強を占めている。一方で、「電子商取引の活用」の実施割合は2割強であり、「クラウドコンピューティングの活用」は1割にも満たない。P.248

 

だいぶ前から大企業だけでなく中小企業にもIT投資の裾野を広げようと、IT会社は頑張って営業していると思うんだが、いまいちうまくいってないんだろうか。ただ、スマートフォンの導入とか、Googleの「みんなのビジネスオンライン」みたいな、導入しやすいソリューションが出てきているし、「電子商取引」とか「クラウドコンピューティング」以外のアプローチもいろいろありそうだ。

個人的には、EC Studioみたいにいろんな生産性向上ツールの導入を支援していく方が、中小企業にはアプローチとして合ってる気がしてます。中小企業の業種や規模にもよるんだろうが。

 

きっとIT投資を行えば生産性は上がると思ってるんだけど、如何せんそこまでうまく入り込めるソリューションがない、というか、導入する側にしてみてもリテラシーが追いついていない、というか。そういう状況なのかな。NTT西日本のCMみたいに、リテラシーがほとんどない中小企業経営者が多い、というのが実態なんだろか。

そういえば、中小企業向けのクラウドサービス導入支援の目的で経産省がつくった「J-SaaS」は、最近みたら富士通に移管されていたな。

 

ちなみに、中小企業白書はWebでは無料公開されてます。

中小企業庁:中小企業白書(2011年版)全文

「大阪都構想」の今後

大阪ダブル選挙が終わりましたね。結構楽しみにしていて、速報も見てました。府知事選は微妙という下馬評があった気がしたので、ねじれたらどうなるのかという勝手な妄想をしていたけど、結果は両方維新の会。

年代別で見ると、高齢層と若年層でくっきり支持がわかれた様子。現代を象徴しているようで興味深い。

年代別では、70歳以上の51・5%が平松氏に投票したものの、他の年代ではいずれも6割以上が橋下氏に投票。30代では74・2%が橋下氏に投票した。
【ダブル選】民自公すべてを食い尽くした橋下、松井両氏(1/2ページ) – MSN産経west

 

岐阜にいたけど、何人かから「大阪は何が争点なのか?」という質問を受けた。みんな興味があるけれど、何が争点になっているのか、はっきりとは理解しづらいようだった。「大阪都構想」の内容をしっかり理解しようと思うと、これまでの地方自治制度の成り立ちや問題点を把握する必要があるよなあ。

今後、たくさんハードルがあるとは思うけど、「大阪都構想」はもっと進められていくだろう。というわけで、いろいろ本を読んで知識を得ておこう。

上山 信一¥ 819

橋下市長のブレーンと言われる方の、大阪の現状と今後を書いた本。入門として良い。

 

橋下 徹・堺屋 太一¥ 893

選挙前に発売された本。橋下さんの考え方はこの本から伝わってくる。なぜ大阪都か、という点についても、「大阪維新」と合わせて読めば一通り理解できるだろう。Amazonでは売り切れになってるな。

あとは、ここらへんの資料もおすすめです。

大阪にふさわしい新たな大都市制度を目指して
http://www.pref.osaka.jp/attach/9799/00000000/02HP_jichi_saisyu.pdf

地域主権時代の”新しい国のかたち”
http://www.pref.osaka.jp/attach/8180/00044525/kuninokatati.ppt

 

もう少し具体的な施政に関しては。

上山 信一¥ 1,749

大阪市改革なら、こっちも面白い。自治体が持っている既存ストックをどう活用していくか、というのもとても面白いアプローチ。

 

玉真 俊彦¥ 1,869

大阪府と大阪市も水道事業を統合しようとしたらしい。水ビジネスと自治体が行っている水事業は、近年注目されている。どういう現状で、どういう可能性があるのか把握したい人。

 

この先どうなっていくのかは、引き続きウォッチしなきゃな。

働きながら、社会を変える

慎 泰俊¥ 1,575

働き方を考える上で、この本にはいくつかヒントがありそうだ。様々なバックグラウンドを持つ人たちの方向性をどう纏めていくか、社会貢献できるようなソリューションをどう見出すか、という点で大いに参考になるだろう。読みやすい文章であるし、多様な働き方をしたいと思っている人は、読んで欲しい。

 

ここで書こうと思っているのは、社会貢献へのアプローチとしての「行政の補助金」について。

ネタを少しばらしてしまう気もするけど、この本でも解決策のひとつとして、行政の補助金を有効活用する手段が書かれている。これを読んで、制度があっても利用されていない現状はたくさんあるかもしれないし、「行政からいかにお金を引き出すか」というのは、NPOなどの社会貢献アプローチとしては有用なんだってことだ。

市場経済というのは、不均衡を是正する仕組みがある。おいしい条件があれば、みんなが群がることで条件が緩和され、平準化される、というあれだ。しかし、市場経済だけでは難しいので、それを是正しようと行政は制度をつくるけれど、市場のような効率性が十分に効かないので、なかなか制度利用が進まないんじゃないか。

 

別の例だと、中小企業で女性の産休を取得しやすい制度づくりを支援するNPOでも、国からの補助金を引き出すことで財政的な問題を解消しようとしている。

結婚しても、子どもを産んでも、オンナの人生は選べる!女性が働き続ける環境作りを支援する「Arrow Arrow」 | greenz.jp グリーンズ

結婚しても、子どもを産んでも、オンナの人生は選べる!女性が働き続ける環境作りを支援する「Arrow Arrow」 | greenz.jp グリーンズ

 

国や自治体の制度は永続的に続くわけではない。だからこそ、一時的に社会のギャップを埋めるために補助金を活用するスキームをつくるのがNPOというのは、良い組み合わせな気がする。制度をつくる側と利用する側の中間的な存在が必要なんだろう。

ブクログスキャンで蔵書管理する

自宅の本棚が定期的に限界を迎える。買った本をたまに売ってスペースを空けてきたが、どうやら小手先の対応では限界があるようだ。というわけで、ちょっと大々的に本棚を整理することにした。そのときに、必要だけど当面読まない本は実家に送ることにした。(本当は電子化してしまいたかったけど、設備をそろえるのに何かとお金がかかるので諦めた。)

それで、あとあと何を送ったか忘れそうなので蔵書リストをつくろうと思った。ちょっと考えて、ブクログのMacアプリがバーコードスキャンできるのを思い出したので試してみたら、すごい簡単だったよって話。

 

「ブクログスキャン」をMac Storeからダウンロード

ブクログ スキャン App
カテゴリ: ライフスタイル
価格: 無料

 

あとは、アカウントでログインして、iSightでバーコードを読みこませるだけ。登録されると音も鳴るし、ちょっと気持ち良い。これで、心置きなく40冊ぐらい実家に送れる。

ちなみに、蔵書保管してくれるサービスもいくつかある。相場としては一箱一ヶ月で200円ぐらいだろうか。

本を読むと、蔵書管理に真剣に困るなあ。

手作業さようなら。Macでタスクを自動実行する方法

Macでいろいろ自動化する手段を列挙するよ。

 

Mac起動時に自動実行

Macを起動したときに、アプリを自動実行する方法。

「システム環境設定」→「アカウント」→「ログイン項目」
「+」ボタンで、自動実行したいアプリを指定。

 

iCalで自動実行

iCalで時間や繰り返し頻度を指定して、アプリやスクリプトを実行できる。詳細は以下のリンクを参照。

iCalで指定時刻にアプリを呼び出す – 週刊!Mac miniのある生活

 

Automatorで自動実行

Automatorは、Macに標準で搭載されている自動化アプリケーション。GUIでいろいろ設定できるのが魅力。Automatorからスクリプトを実行することもできるので、スクリプト処理とアプリケーションの処理を組み合わせることもできる。

Automator の使い方 [Mac OSの使い方] All About

 

AppleScriptとフォルダアクションの組合せ

フォルダアクションで、フォルダに操作が加えられたときにスクリプトを実行することができる。詳細は以下のリンクを参照。

フォルダアクションとAppleScriptで写真アップロードを自動化 | Synapse Diary

 

Proxiでいろんなトリガーから自動実行

様々なトリガーを元にタスクを実行することができるフリーソフト。

これがトリガー。

これがタスク。

 

これで、手作業さようなら。

TPPと政府調達 その2

TPP交渉参加が決まりましたね。

とりあえず、TPPにおける政府調達について、もう少し書いてみる。前回は国内の方だったけど、今回はその逆で国外について。

 

政府調達の位置づけ

政府調達は、各国や地方政府が調達する物品やサービスのこと。Wikipediaの記載によると、その国のGDPにおいて政府調達が占める割合は10~15%相当らしい。
政府調達に関する協定 – Wikipedia

 

で、政府調達は資本主義が働きづらかったり、政府という特性上自国企業を優遇する、という傾向があり、ある種の参入障壁を築きやすいという特徴がある。これを回避するために、昔から協定によって政府調達プロセスを共通化・透明化することで、参入障壁を小さくしようと取り組まれてきた。

 

WTOにおける政府調達協定

WTOでは政府調達協定がある。自分の国を優遇してはいけないという原則を設け、大規模な建設などの調達を対象にされている。しかし、WTOの諸協定の中では例外的に参加が義務ではない協定(複数国間協定)であり、現在締結しているのは41カ国。途上国はほとんど参加していないのが現状。

今回TPPでは政府調達が含まれているが、これによって上記の政府調達協定が結ばれていない国でも、調達プロセスが可視化・透明化され、日本企業が参入しやすくなる可能性がある。この本ではメキシコの鉄道の例が挙げられているが、水道事業など途上国にインフラ技術を輸出しようという取り組みの足かせを、TPPは取り払う。

 

現在の政府調達協定も不完全

アメリカはバイ・アメリカン条項というのがある。バイ・アメリカン条項では政府機関が物品を購入する場合、製品の一定割合もしくは全てをアメリカ内で製造しなければならないとしている。この条項は実際にはNAFTAとの整合性を確保するため、製品の一定割合もしくは全てをNAFTAの域内で生産することを求めている。ただし、WTOの政府調達協定国に対してはこの条項は適用されないので、日本はこの条項の影響を受けない。けれど、地方政府である州も全部協定の対象になっているわけではないし、公社など公共性が高い企業も対象外になっていたりする。

一方で、日本の場合JR本州3社が政府調達協定の対象に含まれている。これは、EUからの異議によるもの。民営化した企業を除外する基準がないため、仕方なく残っているらしい。
www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g80508a2-13j.pdf

こういうものは、前例であったりパワーバランスで決まるものだと思うけれど、現時点でもいろいろ細かいところでは矛盾がある。TPPでのルール作りは、バイ・アメリカン条項の撤廃や、調達対象機関の範囲を見直す契機として利用できる可能性があるのかもしれない。正直、自分にはよくわからない。

MacでMP4を簡単に結合してくれるフリーソフト「MPEG Streamclip」

MacでMP4をさくっと結合したいなら、MPEG Streamclip。iMovieでもできるんだけど、結構iMovie重かったりするし操作が面倒なので、これを使っている。

Squared 5 – MPEG Streamclip video converter for Mac and Windows

操作は簡単。
アプリを起動すると、以下の画面が出てくるので、結合したいファイルをドラッグする。
その後、「File」→「Save as・・・」で結合後のファイルの場所と名前を指定したら、結合処理が行われる。

 

結合の順番をどう認識しているのかは、正直ちょっと不明。ファイルに番号付けてるから、それを認識しているか、タイムスタンプなのかな。。。。とりあえず、何となくうまくいっている。

元々は動画編集ソフトなので、他にも多機能。

参考:わかばマークのMacの備忘録 : MPEG Streamclip

 

徳島県が自治体OSSソフトをパッケージ化

これ、いいね。自治体OSSキット。

徳島県が開発し利用中のソフトを「自治体OSSキット」としてパッケージ化 – ニュース:ITpro

徳島県は2011年11月18日、独自開発し県庁で利用中のソフトを「自治体OSSキット」としてパッケージ化したと発表した。自治体OSSキットはホームページ作成/グループウエア・ソフトの「Joruri」、オンラインストレージ・ソフトの「DECO」、内部統制管理ツールの「Ai」などで構成され、いずれもRuby on Railsで開発されている(図1)。

以前から公開されてたJoruriなどのOSSをパッケージ化したもの。メール、HP作成、ソフトウェア資産管理など、組織の業務内容に左右されにくいところなので、どこでも活用の余地があるんじゃないかと。

Joruriは、山形県寒河江市、群馬県館林市、青森県平川市、北海道北見市、島根県邑南町、長崎県西海市、愛知県瀬戸市、大阪府交野市といった自治体のほか、NPOや企業でも採用されている。

 

面白いのは、カスタマイズしたければ徳島県の地場IT企業を使ってください、という展開になっていること。地場企業の技術向上や仕事の受注機会拡大にも寄与している。地方自治体って、地場産業の育成も考えているから、自分たちが発注した仕事を、どうやって地場企業のビジネス拡大につなげていくか、ということも考えられた結果なんだろうね。

徳島県がRubyの独自開発CMS「Joruri」でサイトを刷新,OSSとして公開へ – ニュース:ITpro

 

自治体が先進的なソリューションをつくる。それをパッケージング。地場企業がそのパッケージを売っていく。そういうモデルが他にも作れるのかな。

 

Joruriのデモの様子。

シンクタンク系のレポートを読む(全部無料)

シンクタンク系の調査研究結果とか、政策提言は、結構無料レポートとして公開されている。興味があるトピックは、こういうところから拾って読んでいる。とりあえずメモ代わりに、纏めて書いておく。

 

東京財団
総合研究開発機構(NIRA)
機関誌|地方シンクタンク協議会
三菱UFJリサーチ&コンサルティング|季刊 政策・経営研究:Quarterly Journal of Public Policy & Management
ニュース&オピニオン : 三菱総合研究所
NRIオピニオン | 野村総合研究所(NRI)
政策シンクタンク PHP総研 論文・書籍
提言・論文 / シンポジウム | 21世紀政策研究所

他にも良いのあったら、誰か教えて。

麻生太郎元首相の講演@岐阜

麻生元首相が、岐阜で講演を行った動画があったので貼っておく。

大半は経済の話。あとは最後の方にちょっと外交の話。バブル崩壊後の不景気から現在の状況までを、経済の仕組みを簡素化しながら伝達するのはさすが、という感じ。面白かったのは、東北復興の話。

 

東北の仙台港を復興させるため、仙台港の水深を現在の14mから18mにするという案。今世界では最大サイズの貨物船が着岸するには18mの深さが必要とのこと。ちなみに、現在進められているパナマ運河の拡張工事では水深18mになる予定。
仙台港 – Wikipedia
パナマックス – Wikipedia

シンガポールは世界でも有数のハブ港であり、コンテナ取扱い量も世界一とのこと(2008年時点)。日本の積荷は、シンガポールで小さなコンテナ船で積み替えられている。で、大きな貨物船が着岸できるような港に再興できれば、港の要員も道路も必要になる。企業も集まる。これによって投資が投資を呼び、復興につながる、というストーリーだった。

そういえば、「公共事業が日本を救う」にも港の話が出ていたな。安直に港の深さと取扱い量が直結するようには思えないけど、とりあえずこれまでの復興の話で、政治家からこれだけ具体的な数字を含めて聴いたのは、あまりなかった気がするな。

 

で、自分的タイムリーでこんなまとめがあったので、ついでに貼っておく。マスメディアよりよっぽどわかりやすいよね。

【総理の器】麻生さんの政治哲学、報道されなかった舞台裏「危機をチャンスに変えろ」:哲学ニュースnwk

 

藤井 聡¥ 650
マルク・レビンソン¥ 2,940