TPPと政府調達 その2

TPP交渉参加が決まりましたね。

とりあえず、TPPにおける政府調達について、もう少し書いてみる。前回は国内の方だったけど、今回はその逆で国外について。

 

政府調達の位置づけ

政府調達は、各国や地方政府が調達する物品やサービスのこと。Wikipediaの記載によると、その国のGDPにおいて政府調達が占める割合は10~15%相当らしい。
政府調達に関する協定 – Wikipedia

 

で、政府調達は資本主義が働きづらかったり、政府という特性上自国企業を優遇する、という傾向があり、ある種の参入障壁を築きやすいという特徴がある。これを回避するために、昔から協定によって政府調達プロセスを共通化・透明化することで、参入障壁を小さくしようと取り組まれてきた。

 

WTOにおける政府調達協定

WTOでは政府調達協定がある。自分の国を優遇してはいけないという原則を設け、大規模な建設などの調達を対象にされている。しかし、WTOの諸協定の中では例外的に参加が義務ではない協定(複数国間協定)であり、現在締結しているのは41カ国。途上国はほとんど参加していないのが現状。

今回TPPでは政府調達が含まれているが、これによって上記の政府調達協定が結ばれていない国でも、調達プロセスが可視化・透明化され、日本企業が参入しやすくなる可能性がある。この本ではメキシコの鉄道の例が挙げられているが、水道事業など途上国にインフラ技術を輸出しようという取り組みの足かせを、TPPは取り払う。

 

現在の政府調達協定も不完全

アメリカはバイ・アメリカン条項というのがある。バイ・アメリカン条項では政府機関が物品を購入する場合、製品の一定割合もしくは全てをアメリカ内で製造しなければならないとしている。この条項は実際にはNAFTAとの整合性を確保するため、製品の一定割合もしくは全てをNAFTAの域内で生産することを求めている。ただし、WTOの政府調達協定国に対してはこの条項は適用されないので、日本はこの条項の影響を受けない。けれど、地方政府である州も全部協定の対象になっているわけではないし、公社など公共性が高い企業も対象外になっていたりする。

一方で、日本の場合JR本州3社が政府調達協定の対象に含まれている。これは、EUからの異議によるもの。民営化した企業を除外する基準がないため、仕方なく残っているらしい。
www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g80508a2-13j.pdf

こういうものは、前例であったりパワーバランスで決まるものだと思うけれど、現時点でもいろいろ細かいところでは矛盾がある。TPPでのルール作りは、バイ・アメリカン条項の撤廃や、調達対象機関の範囲を見直す契機として利用できる可能性があるのかもしれない。正直、自分にはよくわからない。

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