Twitter、Facebookなどソーシャルメディアの価値はどこにある

少し前になりますが、Facebookが上場しましたね。Facebookの価値がどの程度あるのか、というところが話題になるんだけど、本当のところ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアは、社会的にどのような役に立っているんだろうか。

単なるコミュニケーションツールであり、飽きられれば衰退する、という繰り返しのひとつなんじゃないか、という意見も聞いたりするわけで(僕は知らないけど、ニフティサーブとかよく引き合いに出されたり)。TwitterやFacebookがなくなっても別に困らない、という人もいるし。(あまり使わない人ほど、「TwitterとかFacebookの社会的価値やビジネス価値がわからない」という言葉を聞いたりする、というのは偏見だろうか。)

っていうわけで、ソーシャルメディアのビジネスモデルを考えてみますよ。

 

まずはTwitterの収益構造

Twitterはやっと最近収益化に成功してきている。ここらへんの記事を読めばわかる。

Twitterの収益源 | rionaoki.net
ぽんぬれぽーと: 収益から見るTwitter
調査: Twitterの収益は2013年には4億ドルに達する | ブログヘラルド

大きく3つの柱があって、広告ツイート、データコネクト、有料アカウント。この3つの割合はよくわからないけど、記事から推測するに、広告収入のインパクトが大きいようだ。

 

次はFacebookの収益構造

Facebookの2011年の売り上げの85%を広告収入から、15%を手数料収入から得ていることが分かった。
上場申請書で明らかになったFacebookの収益構造 上場後の戦略はどうなる?【湯川】 : TechWave

Facebookは広告が大半。個人に紐付く情報を持っているので、それと広告をマッチングさせるというところだろう。

 

クックパッドだって同じなんじゃないの?

TwitterやFacebookを考えてみたけど、例えばクックパッドだって同じような位置づけになるんじゃないの?なんでTwitterやFacebookと比較されないんだろ。というわけで、軽く調べてみた。

営業利益率50%! クックパッドの「七つの秘密」 : プレジデント(プレジデント社)
クックパッドの“儲ける仕組み”をピクト図解してみると…|「ピクト図解」で有望株を見抜け!|ダイヤモンド・オンライン

収益構造は広告配信、企業コンサルティング、有料会員の3つ。

 

面白いのは、企業コンサルティングと有料会員の比率が結構高いこと。つまり、TwitterやFacebookのような広告モデルに高く依存する体質でもないってことだね。

 

ソーシャルメディアの収益モデルとは

TwitterとFacebookとクックパッドを取り上げたけど、これらから収益モデルを大きく分類すると、

  • プラットフォームに広告を配信する
  • 利便性を向上させた有料アカウントを設ける
  • 蓄積したデータ、あるいはデータから導かれる分析結果を売る

というところだろうか。これを実現するためには、

  • 特徴を持った大量のデータを獲得する
  • プラットフォームに対する高いエンゲージメントを実現する

という2点が必要になる。1点目のデータ確保だけでいえば、日経とかシンクタンクのように取材や研究で蓄積したデータを売ることが商売のメインになる。

けれど、ソーシャルメディアの場合、2点目の特徴も合わせ持っているので、広告メディアとしても見ることができる。で、こういうビジネスが廃れるのか、といえば、この2点が失われるとあっという間に廃れることになると思う。

Twitterでいえば、Twitterよりリアルタイム性が高く、操作性などの面でより高いエンゲージメントを実現するようなサービスが現れればTwitterに広告を出稿する理由はなくなる。mixiがFacebookの登場によって存在感が小さくなっていったのも、獲得する情報が似通っていて、かつFacebookの方がエンゲージメントが高かったからだろうと思う。

あるいは、他にもっと面白い情報が登場して、Twitterの緩いソーシャル性とリアルタイム性に価値が感じられなくなると、危うくなるだろう。ここらへんは、マスメディアがその存在意義を相対的に低下させたように、他のメディア・サービスが登場し、そのサービスが持っている情報の優位性が失われると、あっという間に衰退することになる。

 

誰のためのソーシャルメディアか

これは卵が先か鶏が先か、ということなんだろうけど、ソーシャルメディアにとってはデータを蓄積することと、人が高い頻度で訪問してくれることが重要なわけで、ビジネス上の価値の源泉もそこにある。(そこからどう収益化していくのか、というのは別の問題として大きいのだろうけど。)

 

僕は、ソーシャルメディアが革命のきっかけになったり、新しい情報取得の媒体になったり、社会的なコミュニケーションコストを劇的に下げている、という価値も認めているけれど、それはやはりビジネス上の価値で考えれば二番目に来る話なのだと思う。

ビジネスとして最も初めに来るのは、「特徴あるデータをどう集めるか」であり、その次に「どうやっていろんな人に使ってもらえるサービスにするか」だと思うのだ。

 

というわけで、僕はTwitterもFacebookも使うし楽しいけれど、ビジネス上の価値でいえば、情報の種類が限定的で、かつほとんど劣化しないことを活かして、コンサルティングサービスにまで結びつけているクックパッドの方が、ライバルに対しての競争力も強いし、長く生き残るんじゃないかと魅力的に映るわけです。

2011年度の国内PCサーバー出荷概況

PCサーバの国内出荷状況が発表されてましたよ。昨年度は台数でも金額でもその前年より増加傾向にあったそうな。震災以降の防災対策の高まりや、スペック向上によってこれまでUNIX系の牙城だった基幹系サーバも席巻しているのが要因のようだ。

 

2011年度 国内PCサーバー出荷概況 – 株式会社 MM総研

2011年度 国内PCサーバー出荷概況 – 株式会社 MM総研

 出荷金額は前年度比6.7%増の2,113億円となり、成長率は出荷台数を若干上回る結果となった。出荷単価は40.9万円と前年度から2万1,000円の上昇となった。仮想化集約などの広がりにより1台あたりに搭載するCPU、メモリ、HDD、SDD等の増加が出荷単価を押し上げていること、また、Linuxなどのオープンソースの活用拡大が大規模システム、基幹系領域にも広がりつつあることもサーバーの単価上昇に寄与している。

あとは、仮想化によって機器集約することから、1台あたりの単価も上がっている。この傾向は今年度も続くとみられている。

 

面白いのはシェア争いで富士通がポジションを上げていることかな。中堅市場以下を狙ったモデルやデータセンターへの対応を強化しているんだとか。

随分前から中堅企業以下の規模の市場をどう崩すかが叫ばれていたけれど、中堅企業からIT関連投資を引き出せるようになっているということかな。実際、企業規模が小さいと、機器スペックの向上や仮想化などによるITリソースの集約ができなかったり、選択肢が多くないため、どうしても現状のITのコストを維持しやすい傾向にある。

 年商が30億円以上50億円未満、50億円以上100億円未満、100億円以上300億円未満の3つの年商帯についてはCAGR2.4〜4.3%の間で、比較的高い伸び率を示している。これらの年商帯では、会計、販売・購買、生産、人事・給与などといった基幹系業務システムを中心に、自社業務への適合などを課題とする試行錯誤がまだ続いているという。

 また、クラウドの活用についても既存システムの現状把握が十分でなく、大企業のように全社規模でITコストを大幅に削減するためのクラウド活用には踏み出しにくいと分析。こうした状況から、既存システムの改善・刷新においては自社内運用とクラウド活用が混在し、年商300億円以上500億円未満のようなITリソースの集約がスムーズに進まないとみている。
Weekly Memo:最新調査にみる中堅・中小企業のIT投資予測 – ITmedia エンタープライズ

 

機器スペックが年々向上しているし、長寿命化しているし、ITサービスも多様化している中で、PCサーバはどこまで拡大できるんだろう。

フィリップのカナル型イヤホンを買った

これまで音楽を聴くときは、GalaxyS買ったときに付属されていたサムスンのイヤホンを使っていたんだけど、ややくたびれてきたので新しいイヤホンを買った。イヤホンは消耗品だと思っているので、あまりお金を出す気はないんだけど、せっかく買うのであればできるだけ良い音が期待できそうなものにしたい。

 

まず、イヤホンの基礎知識はこちらで。

音楽ライフを快適にするイヤホン選びの基礎知識 | nanapi [ナナピ]

イヤホンは大音量で長時間聴き続けると難聴になることもあるらしい。カナル型は小さい音量ではっきり聴こえるのでその点では良いのかも。

専門医に聞く。急増中の「ヘッドホン難聴」を防ぐには? | キャリア | マイナビニュース

探すのに参考にしたのは、ここらへん。

コスパ最強!3000円以下で買えるイヤホンまとめ – NAVER まとめ
通勤通学が楽しみになる、今注目の高音質&オシャレイヤホン15選 – NAVER まとめ

というわけで、最終的にこれにした。

付け心地が良いし、音漏れもしない。唯一不満なのは、左右のコードの長さが違うことぐらいかな。それ以外は、金額の割に良いイヤホンを買ったと思う。

IT戦略作成に向けた7つのアイデア

IT戦略作成に向けた7つのアイデアっていうのがあったので、メモしておく。

7 Ideas for Next-Generation Strategic IT Planning

具体的なアイデアというよりは、概念的なもの。

1. Responsive and anticipatory — indicators of improved service delivery and greater citizen engagement.

2. Trustworthy — measures of transparency, privacy and security.

3. Available — government services through all channels — mobile, social, Web, physical — all supported by IT systems and networks.

4. Fast — the speed of connections via a robust broadband infrastructure that lets people live, work and interact with their government online.

5. Strong and flexible — demonstration that IT has increased government’s capacity to meet growing demand for service at less cost.

6. Affordable — demonstration that IT has been used to cut cost structures and deliver services cheaper than conventional means.

7. Catalytic and collaborative — demonstration of how technology is being used to foster collaboration across boundaries and with private and nonprofit sectors.

 

個人的に興味があるのは7かな。日本でも行政コストは削減されていて、民間リソースの活用が叫ばれている。Gov2.0でも同じ概念だけれど、民間同士の触媒的な役割や、民間と行政の協働が重要な位置を占める気がしてるんだよね。

鯖江市が最近オープンガバメントで熱い感じになっているけど、こういう民間と行政の動きが多様化してくれば良いと思うし、そのために必要な基盤となる形ってなんだろうって思う。

 

自治体がよりよりIT戦略を作るようになれば良いと思うけれど、どちらかというとこういう考えの方が最近は解決が早くなるんじゃないかと思うこの頃です。

自治体クラウドに新潮流ってなんだろう

自治体クラウドに新潮流、ということで読んだ。

記者の眼 – 自治体クラウドに新潮流、復興対策が後押し:ITpro

記者の眼 – 自治体クラウドに新潮流、復興対策が後押し:ITpro

簡単に言えば、震災で被害を受けた自治体を中心に、災害対策の一環としてシステムを移行していて、それが複数自治体による共同化ではなくて、単独だということ。

これまでの自治体クラウドでは、複数自治体が共同化することによる「割り勘効果」を享受することがメインだった。それに合わせて業務を合理化したり、法改正対応などのメンテナンスコストを下げる効用も期待されていた。

 総務省が共同化を推進してきた経緯もあって、従来の自治体クラウドは複数の市町村の参加による共同化を前提とした取り組みが一般的だった。一自治体単独でのクラウド移行は、東京都島しょ部など一部に限られていた。共同化では、参加する自治体の数が多いほど“割り勘効果”が働いて、一自治体当たりの運用コストなどを抑えられる利点があるからである。

 ただ、今回の震災復興対策では、事業経費の3分の1の補助を得られることから、多くの自治体が単独でのクラウド移行を決断したようだ。複数の市町村で共同化を進める場合は、業務プロセスの標準化やコストの分担をめぐって自治体間で調整が必要になるが、単独での移行ならそうした手間も省ける。

しかし、今回の記事では共同化による割り勘効果は含まれない。これは本当に費用対効果として十分検討されているのかな。確かに被災してデータの紛失や情報システムの長期利用不可を経験すれば、すぐにでもクラウドへ移行する方が安全という判断になるのかもしれない。だけど、これまでの「割り勘効果」をアピールする流れはどこへ行ってしまうんだろうと、ふと思った。新しい潮流というか、単純に補助金があるから単独移行でも成立してますよってことなんだろう。

それにしても、クラウドへ移行したあとはどうするんだろう。単独発注だと、またクラウドの状態でロックインされるって状況も起こりそうな気もするんだけど。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ

ふいに、パワポ資料を早く作るためのテクニック的なものを纏めておこうと思った。参考にしたい人はどうぞ。

[memo title=”MEMO”]

この記事を更新した最新版を書きました。よろしければこちらをどうぞ。

パワポ資料の作成スピードを上げる方法まとめ(2018年版)

[/memo]

<心構え編>

いきなり書き始めない

まず重要なのはこれ。パワポ資料は、頭の中がまとまっていない状態で書くのが一番よくない。どういう内容をスライドに落としこむかが、全体構成を踏まえてイメージできていないといけない。それらが頭である程度描き出されるまでは、Wordなどの文章でちゃんと内容を検討したり、手書きでスケッチを行う方が良い。

ただ、最近はそれだけでもダメで、最初にラフで固めたら、書いてみてしっくりこなければまた文章の構成だけに戻るっていう、スライドとテキストを交互に考えるパターンも自分の中で出てきた。細かいところは、自分がやりやすいやり方でどうぞ。

<準備編>

準備編の目的は、いかに資料の「再利用率」を向上させるか、という点に尽きる。

素材集をつくる

自分でよく使うクリップアートや図形などの素材集を、予め別ファイルで用意しておく。人物とかオフィス用品とか、使いたいクリップアートとか、Web上で入手した無料のものとか、後で簡単に取り出せるようにしておくと、作業が早くなる。

よく使うフォーマットはテンプレート化する

提案書とか報告書とか、決まった形式にできるものはテンプレート化しておく。あるいは、自分で説明しやすいパターン(現状→問題→解決策みたいな)があれば、そういうのをテンプレート化しておくのも良いと思う。

フォント・色使いを決めておく

これもテンプレート化しておくことと近いのだけれど、フォントを何にするとか、ベース色を決めておくとか、デザインに関する要素のパターンを決めておくと、作るときに毎回悩まなくて楽。おのずと統一感も生まれるし。タイトルの位置とかもね。

<操作編>

ショートカットを覚える

シンプルだけと、ショートカットを覚えておくと作業も早くなる。といっても、あんまり知ってるわけじゃないけど。Ctrl+SとかCtrl+Cなんかの基本的なところに加えて、パワポを作るとき特有で、自分がよく使うのは次の2つ。

Ctrl+D
オブジェクトのコピーと貼付け(Ctrl+CとCtrl+Vのコピペより早い)
Alt+H+G+A+(?)
図形を揃えるショートカット(後述)

図形をそろえる機能

複数のオブジェクトが規則正しく揃えると、見た目がきれいな資料を早く作れる。これが微妙にずれていると、気持ち悪く感じたりする。

(実例)

こういう、上下が微妙にずれているのが、何とも気持ち悪い。。。。

で、図形を揃えるためにはショートカットを覚えておくと早い。上で紹介した通り、Alt+H+G+A+(?)の組合せで実現できる。(単にツールバーのショートカットキーを順番に押しているだけ。)

最後の(?)は揃える位置で決まる。

C(Center)
横方向の中央揃え
M(Middle)
縦方向の中央揃え
L(Left)
左揃え
R(Right)
右揃え
T(Top)
上揃え
B(Bottom)
下揃え

最初はイライラするけど、何回かやれば覚えられる。そして、覚えた後はスピードが上がるのが自分でわかる。ショートカットの魅力ってそこだと思うな。

 

あとは、たくさん良いデザインを見ることかな。そして、実践を繰り返すのみ。

プレゼン資料デザインサンプル集 / Maka-Veli .com
FREEパワーポイントテンプレート31サイトまとめ – NAVER まとめ
Browse all our PPT Templates

自分もまだまだだから、もっと腕を磨きたい。他にも良いテクニックがあれば、ぜひ誰か教えて欲しい。

 

些細なことだけど便利。MacでアプリケーションフォルダをDockに追加する

本当小さいことなんだけどね。Macでよく使うフォルダは、Dockに追加しておくと早いし便利だよって話です。追加方法は、このブログをみればわかります。Finderで対象フォルダを開いたら、フォルダアイコンをDockの右下にドラッグするだけ。

これは便利。アプリケーションフォルダをDockに追加する方法。 | 和室Mac

 

これが追加した結果。とても見やすい。こんな機能があることなんて、知らなかったわ。

 

ついでに、Dockの見栄えが良くなるってんで、アイコンを追加。

Icon Download

 

これ使うと、Dockでは書類とかが箱に入っているように見えます。少し気分が良い。(上のキャプチャでは、既に導入済み。)

Amazonがなぜクラウドストレージを手がけるのか

少しタイムリーじゃなくなったけど、ふと疑問に思ったので書いてみる。Google DriveとかAmazon Cloud Driveなど、どうやら最近はクラウドストレージサービスが話題になっている。個人的にはDropboxで20GBを超えた容量があるし、それ以上大きな容量を使うことはないので、他のストレージサービスを使うつもりはないのだが、Amazonがクラウドストレージサービスを展開する意味については興味を持ったので、少し考えてみた。

Amazon Cloud Drive: Learn More

Amazonの経営戦略

Amazonは、方針がぶれないということで有名である。そして、Amazonの本業はAmazonというネット上の「市場」での売上を向上させることである。Amazonは既にネット書店ではなく(もちろん書籍の販売は重要な位置づけであることには変わらないが)、Amazonというネット上の市場で、販売店とユーザを結びつける「場」を提供することで儲けている。

 

これについて、いくつか紛らわしそうなものを挙げてみる。

Amazon Web Servicesという会社がある。これは、ITインフラストラクチャを主に企業に対して提供する企業なのだが、これはAmazonの本業であるネットリテールで培った技術を転用することで、本業を助ける儲けにしようとしたと聞いたことがある。ちなみに、AWSの売上はAmazonグループの売上では「その他」に分類されており、5億ドル程度らしい。
雲になったコンピュータ: Amazonのクラウド売上げは$500~600M?           -ついにAWS Tokyoセンターがオープン-

次に電子書籍端末であるKindle。特にAndroidを搭載したKindle Fireは、端末代は採算割れしていると言われている。そうまでして展開するのは、KindleをAmazonのWeb市場へダイレクトにつながる入り口とすることで、Amazon市場での売上を向上させようとしている。ここでも、電子書籍という売り物を売るための仕組むと考えられる。

最近だと、BtoB向けの市場も開始したようだ。これも、これまでのAmazonの市場を拡張するものであり、経営戦略としてはぶれていない。
Amazon Supply to Compete for B-to-B Bucks

Amazon Cloud Driveはどれぐらい儲けるのか

まず、Amazon全体の売上を調べる。年々売上高は増加しているのだが、最近だと2011年10~12月期の売上高は174億3100万ドル。純利益は1億7700万ドルらしい。大体の規模感を把握したいだけなのでこれで十分。この数値を4倍したのがほぼ年間の数値になる。
ネット通販のアマゾン、売上高は過去最高ながら純利益は前年同期比58%減益 : はちま起稿

これに対して、Amazon Cloud Driveがどの程度儲かるのかを考えてみる。いくつか仮定をおいてみよう。 参考として、Dropboxの登録ユーザ数が5000万人。有料ユーザはその4%だそうな。そうなると200万人になる。例えばAmazon Cloud Driveのユーザが同程度であり、かつ平均してみな50GBを購入したと仮定すると、200万人☓50ドル/年となるので、年間1億ドル。本業の売上高と比べた場合、年間の1%にも満たない。これを大きい売上として期待している、という見方は難しいだろう。
Dropboxの成功に学ぶビジネスにおける6つの教訓 | SEO Japan

AWSで培ったクラウド技術なら、Amazon Cloud Driveを提供することは技術的には難しいハードルではないはずだ。そして、AWSと同様に、本業をサポートするための「副業」と捉えることもできるかもしれない。

Amazon Cloud Driveの狙い

最初に述べたとおり、Amazonはネット上の「市場」でどれだけ売るかが至上命題だと思われる。だとすると、Amazon Cloud Driveはどういう位置づけになるのだろうか。僕は「Amazonが提供する電子コンテンツを管理するサービス」の延長と考えている。

今回のサービスでも、Amazonで購入したMP3は容量に含まれないことになっている。これは、Appleも同じ方針をとっているが、自社のマーケットから購入されたコンテンツが容量に含まれない、他デバイスで同期する、といった利便性をシームレスに提供することで、自社のマーケットとPC等のデバイスを結びつけようとしている。Amazonの場合、Kindleを除いて、携帯やPCを直接販売するわけではないので、各プラットフォームで電子コンテンツを管理するような機能を提供する必要がある。

電子書籍はアメリカでは広く普及しており、音楽の電子化は当たり前になった。今後も電子コンテンツは増えていくだろうし、Amazonでの販売比率も増えていくはずだ。今回は音楽だけだが、いずれは電子書籍も範囲に含まれることになるのかもしれない。

今後のストレージサービスはどうなる

個人的には、複数のストレージサービスを併用するのは面倒臭い。そして、容量は個人利用では数GBで十分な気がする。となると、ここはあまり差別化要因にはならない。逆に、AppleやAmazonがやっているように、自社のサービスで購入したコンテンツを管理する仕組みで囲い込む方が、差別化になる。購入したコンテンツは、買えば買うほど大容量になるし、それを無料でWeb上で管理できるようになれば、魅力に感じるよ。その意味で、Dropboxの今後はやや難しい展開になるんじゃないかなあ。

というわけで、Apple、Amazonあたりは、自社で展開しているマーケットとの関連を売りにしていくと思う。GoogleはいまいちGoogle Playが弱いもんなあ。どちらかというと、Google DocumentとのシームレスなつながりでGoogle依存度を上げていく方向性かな。

 

とはいえ、今のところこの分野ではDropboxが先行者としてリードしてると思うし、使い勝手も良い。上に書いたようなものとは全く違う、今後の新しい付加価値に期待しているけどね。

Googleが低価格タブレットの発売を検討しているらしいけど

Googleが低価格タブレットを販売することを検討している、というニュースが出ていたので、少し調べてみた。果たしてこれは正しい戦略なのだろうか?

ペイジ氏がローエンドのGoogleタブレットへの取り組みを認めたことで、「Googleが200ドルを切る独自のタブレットを今夏にリリースしようとしている」という先ごろ浮上した観測が現実味を帯びる。このタブレットは7インチ型で、クアッドコア・プロセッサを搭載、OSはAndroid 4.0で、通信機能はWi-Fiのみとされている。

グーグル、低価格タブレット市場を狙う方針を鮮明に (Computerworld) – Yahoo!ニュース

 

今のタブレット市場の伸び

タブレット市場は急速に伸びている。2010年は1700万台だったのが、2011年には6100万台との見込み。2015年までに年平均成長率81%で伸びる。そうなると、2015年までには約20倍になる計算になるので、3億台を超えることになる。ちなみに、2010年のPC出荷台数が3億台を超えていたぐらいなので、2015年までにはPCとほぼ同じぐらい普及する、という計算になる。
ビジネスニュース 市場動向:破竹の勢いで成長するタブレット市場、ネットブックをのみ込む – EE Times Japan

 

タブレット出荷台数
(上記数字のイメージをグラフ化したもの。途中の成長率など、数値でよくわからないところは推測で埋めているので注意。)

この予測を見る限りは、製品ライフサイクルでいえば今が成長期にあたる。ここでは差別化とブランド化が重要なポイントになる。(ちなみに携帯電話は世界で4億台ぐらい。参考:Kindle Fireが2011年第4四半期のAndroidタブレット市場で台数シェア首位に、IHS iSuppliの調査から – 家電・PC – Tech-On!

 

シェアとしては、iPad対その他大勢

そして、2011年時点でのシェアは、iPadの一人勝ちの状態。

2011年通期(1~12月)で見ると、タブレット端末の出荷台数ベースのシェアで、Kindle Fireが6%と第3位となった。iPadシリーズのシェア62%(4049万3000台)、Galaxy Tabシリーズの同9%(同611万台)に続く数字である。
Kindle Fireが2011年第4四半期のAndroidタブレット市場で台数シェア首位に、IHS iSuppliの調査から – 家電・PC – Tech-On!

 

他にも販売価格なども比較すると、こんな感じ。

タブレットの販売価格比較

 

製品ライフサイクルが成長期で、普及を迎えているときにこのシェアの偏りはGoogleとしては面白くない。Androidを広く使ってもらうのが目的だから。

 

そもそもGoogleはなぜ自社で端末を発売するのか?

そもそも、なんでGoogleは自社で端末を発売するのだろう。Kindle FireでもGalaxy TabでもAndroidを提供しているので、検索広告やGoogle Playを目的とするのであれば、達成しているんじゃないだろうか。

しかしこれにはひとつの理由があるようだ。iPadに対抗するには、高い顧客体験を提供する必要がある。それが他社任せのままでは、いつまでもシェアNo.1のiPadの牙城を崩せないのだ。Androidのバージョンはメーカーによって違うしね。だから、Googleが参戦してAndroidのシェアを広げていきたいということなんだろう。

そして、Galaxy TabやKindle Fireの値段とその売れ行きを見ると、タブレットは価格感応度が高いんじゃないかと。

 

Googleの低価格戦略は正しいのか?

Googleがこのシェア争いに参戦するなら、低価格で入り込むのは正解なようにみえる。だけど、iPadもKindle Fireも自分たちのプラットフォームへの入り口としてタブレットを展開しているし、AmazonなんてKindle Fireが売れるほど赤字になるという構造になっている。このタイミングでGoogleがこの2社にくらべて魅力的なプラットフォームを築いているかといえば、Google Playもまだいまいちピンとこない感じだもんね。

Googleからすれば、Amazonのようにシームレスに自社のプラットフォームと接続したり、楽にコンテンツを管理するのではなくて、端末の操作性と価格で勝負することになるんだろう。そうなると、Kindle Fireより低くないとダメかもねえ。だけど、Kindle Fireも端末だけでいえば赤字らしいからな。

とはいえ、このままの状態を放置することもできないから、何か手を打たないといけないからね。そして、Samsungがどう出てくるかも興味深いところ。

 

個人的には同じ値段ならKindle Fireを買うな。ただ、200ドルを切るというのは確かに魅力的ではある。電子書籍が日本で開始されたら、買っちゃうかもなあ。

 

参考:
新型iPad 対 Androidタブレット――タブレット競争を勝ち抜くのは?|Appleウォッチ|トピックス|Computerworld

行政機関で普及が広まっているコンテンツ管理オープンソース「Drupal」

アメリカの行政機関で、Drupalなるコンテンツ管理のオープンソースが広まっているという記事を目にした。恥ずかしながら、初めて知ったよ。

More federal websites adopting Drupal for content management — Federal Computer Week

Wikipediaによれば、

Drupalは、プログラム言語PHPで記述されたフリーでオープンソースのモジュラー式フレームワークであり、コンテンツ管理システム(CMS)である。昨今の多くのCMSと同様に、Drupalはシステム管理者にコンテンツの作成と整理、提示方法のカスタマイズ、管理作業の自動化、サイトへの訪問者や寄稿者の管理を可能にする。 その性能がコンテンツ管理から、幅広いサービスや商取引を可能にするにまで及ぶことから、Drupalは時々「ウェブアプリケーションフレームワーク」であると評される。Drupalは洗練されたプログラミング・インターフェースを提供するものの、基本的なウェブサイトの設置と管理はプログラミングなしに成し遂げることができる。Drupalは一般に、最も優れたWeb 2.0フレームワークの一つであると考えられている。
Drupal – Wikipedia

というわけで、優れたデザインと双方向性の実現、管理の容易さなどが優れたポイントのようだ。

 

そして、Drupalのページでは世界でDrupalを採用している行政機関のリストも公開されている。

List of Drupal sites in government (state, provincial, or national) | Drupal Groups

アメリカはホワイトハウスを始め、多数が使われている。

The White House
The White House

 

日本は4つ。国立国会図書館のカレントアウェアネスとか。

カレントアウェアネス・ポータル | 国立国会図書館
カレントアウェアネス・ポータル | 国立国会図書館

 

行政機関の「中立的な立場」という性質上、オープンソースとは相性が良い気がするんだけどね。OpenOffice(今はLibreOffice)の導入とか、鳥取県が地場企業と共同で開発したオープンソース「Joruri」とか、いろいろオープンソースの導入を進める流れもあるにはあるんだけど。

やっぱりこういうトップダウンが必要になるんだろうか。

「ロシア政府はLinuxを導入せよ」プーチン首相が命令書にサイン – DNA