インプット依存症候群から抜けだそう

情報化社会で、常にPCの前で作業をしていたり、スマートフォンを手にしたりすると、ついつい検索して情報に頼りがちになる。だけど、それだけじゃだめだよなーと思う自戒の記事。

わずかに付加する「新しさ」に価値がある

情報化社会における付加価値とは、新しい視点を生み出すこと。真似るだけでは結局受け取る側として目新しさがないわけだし、差別化が難しい。羽生善治も言っている通り、情報化社会のおかげで「過去の情報」が蓄積され、誰からもアクセスされることで、いろんな人の知識向上に寄与している。しかし、そこにもどこかで壁がくる。

だから、2段階で考えないといけないと思うわけですよ。学んで知識レベルを上げることが1段階め。その知識から新しい観点や考え方を付加するのが2段階め。こんな比率のイメージ。

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自分の中に知識をストックして、知識量を増やし、人より早く最低ラインにたどり着くのも大事。そして、そこから自分の新しい要素を付与する。人ひとりが考えることなんて、過去の積み上げから考えれば大した内容でもないし、大した量でもない。だから少しで良い。少しで良いけれど、新しい何かを付与する。

脳内バランスを保つ努力をする

インプットとアウトプットはバランスが大事だ(どちらかといえばアウトプットに比重を置くべきだと思うけど)。インプットを行い続けると、いつの間にか情報を消費して、新しいアイデアを生み出せない自分が出来上がっている気がする。学ぶことが目的化してしまっていたり。

そういうときは、少しインプットから離れてみる。もしくは、全く違う情報に触れてみる。そうすると、自分で考える「隙間」みたいなのが出てくるので、インプット依存症候群から抜け出せる気がする。

定期的にそんなことを思い出しながら、日々を過ごしている。

イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」

 

コンサルに入門しようというときに読んだバーバラ・ミント。そのときはわかったつもりになっていたけど、久しぶりに同類の本を読むと、自分の中でまた違う捉え方がされるから不思議だなあ。

 

仮説思考とかロジカル・シンキングなど、いわゆるコンサル会社が使うテクニックを説明しているのだけれど、非常にわかりやすいテキストという感じ。特に、仮説思考を中心にストーリーを組み立て、そこからMECEなどのロジカルシンキングを組み入れるポイント、調査し分析した結果のイメージまで事前に仮説に組み入れる入念さは、非常に参考になる。

 

人は、「犬の道」に迷いこむことがよくある。情報に触れすぎていて、情報量オーバーで自分の思考が失われる。羽生善治が言っているように、情報が豊富だから、一定レベルまでは多くの人がすごい早く到達できるようになる。でも、その先に行くためには、自分独自の思考を膨らませないと差別化は難しい。ホワイトワーカーに問われるのは、正にこの点だろうと思う。

 

ドラッガーは、ホワイトワーカーの労働生産性はとても低いと指摘した。実際に数年コンサル会社で仕事してみて、確かにそういう感覚がある。再利用が難しく、組織として知識を活用している感覚が低い(だからこそ個人に稀少価値が生まれやすいとも言えるのだけれど。)

 

この本には、知的生産性を向上させるヒントが多く詰まっている。バーバラ・ミントよりもはるかに読みやすい、というおまけつき。

コンサルタントを志す人へのおすすめ本

最近、コンサルタントになろうと思ってる人におすすめする本を聞かれたので、書いておきます。入門的な本をピックアップ。

 

ハイ・コンセプト

自分の価値を上げないと、グローバル競争の中で飲み込まれていく危機感を悟った一冊。実際、日本の賃金はここずっと低下し続けている。知的労働を志す人なら読んでおくべし。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ダニエル・ピンク
三笠書房
売り上げランキング: 480

戦略プロフェッショナル

小説仕立てで戦略コンサルタントが企業を立てなおしてゆく流れが理解できる。コンサルタントのイメージを捉える、という意味で良書。

小説仕立てなので理解しやすく、立て直してゆく様子はある種の高揚感を与えてくれる。同シリーズの「V字回復の経営」も良い。

 

ビジョナリーカンパニー2

優良企業のエッセンスが描かれている。ひとつひとつの論理に派手さはないけれど、内容はどれも真理を突いている。自分がチームを組織するとき、顧客の組織を考えるときも、この本のエッセンスを適用している場合が多い。企業経営とは、ということを考えるきっかけとして良いだろう。

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ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社
売り上げランキング: 345

経営者の条件

言わずもがな、という感じですが、ドラッガーの名著。タイトルがおかしいのは有名で、経営者じゃなくても知的生産に携わる人にはみんな当てはまるはず。仕事に対する考え方を明確にしてくれる。

ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 477

 

これぐらいでしょうか。コンサルタントという職業を知りたくて、学生のときに読んだのを思い出す。懐かしい。

コンサルタント2年目に読みたかった-【書評】選ばれるプロフェッショナル

昔、「上流SEとITコンサルタントの違いがわかるか?」と聞かれたことがある。「わかりません」と答えると、「そんなものないよ」と切り替えされた覚えがある。
 
当時は「そんなものか」と深く考えず納得していたけれど、この本を読んだ後なら、「いや、違いますよ」と答えられただろう。
コンサルタントとは何だろうか。プロフェッショナルとは何だろうか。その答えがこの本の中にあった。

 

専門領域の無いコンサルタント

コンサルタントに必要なのは、論理的思考力、コミュニケーション能力、そして知識を吸収するキャッチアップ力だと言われたりする。ただ、これを素直に突き詰めていくと、「専門領域のない」人になってしまう。
 
すると「じゃあ専門知識を身につけなければ」となる。こうなると、冒頭の「上流SEとITコンサルタントの違いってなんだっけ?」となってしまって、堂々巡り。
知識を深めること、自分の専門分野を作ることが、コンサルタントなのだろうか。
 
答えはYesでもあり、Noでもある。重要なのは知識の幅と、知識に対するスタンスだった。

 

コンサルタントはいろんなモノを「統合」することで価値が出る

ディープ・ジェネラリスト。本書に出てくる言葉。
これを聞いて、専門分野を作ることと、コンサルタントとのバランスに悩んでいた思考が、すっきり晴れた。コンサルタントには、幅広く、かつ深い知識が必要だが、それにも増して重要なのは、それらを統合して考えられること。
 
過去の歴史にあった事象、世界の違う場所で起こっている変化、多業種の取り組み、そういうものを知り、理解し、自分の中でパターン化して取り込んでいく。そして、目の前の顧客が抱える問題に対し、解決策を発想するためのアドバイスを行う。それが、コンサルタントとしての価値を創造する。

 

エキスパートとアドバイザーの違いを理解する

冒頭の質問ではないが、ひとつの分野に対するエキスパートと、コンサルタントなどのアドバイザーとの違いをしっかり理解した上で仕事にのぞみたい。
 
エキスパートは知識が深いが、アドバイザーはそれに加えて知識の幅が広い。
エキスパートは答えを出す が、アドバイザーは良い質問をする。
エキスパートは分析するが、アドバイザーは統合する。
 
このようなスタンスの違いが、一分野の専門家と、コンサルタントとを分ける要因なんだろう。
これを混同してしまったり、専門家だけのスタンスになってしまったり、顧客の望む情報に擦り寄ってしまったりというのがよくあるものだ。

 
もう少し早く出会いたかった。でも、今だからこの内容に理解を示せたのかもしれない。今後も、何回か読み返すことになるだろう。

 

世界を広げる問題解決思考-【書評】プロデュース能力

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時間をかけない情報整理

を読んで気になったので、同じ著作のプロデュース能力を読了。原因
分術析とは異なるアプローチで、どうやって問題解決するのか、を探った一冊。

 
著名なコンサルティングファームの本とは、ちょっと違う感じ。なぜを5回繰り返しても、ロジックを積み上げても解決できない現状にぶつかった場合に、どうすれば良いのか。
 
原因が究明され問題の構造が整理されても、それだけでは絶対に解決できない。原因をつぶすという発想で解決が進まないからである。
 
問題を解決する手段は、ひとつではないことを知ることから始まる。いろんな考え方、いろんな手段がある。正解がない問題に対して求められるのは、明確な「方向性」。どういうことを成し遂げたいのか、大小問わず、言語化することが重要。

そして、次に重要になるのが「小さくても明確な結果を出すこと」。
自分の責任範囲というのが、どんな組織でもある。でも、これを少し超えることが、新しい世界を切り開いていく。そして、超えるためにはスモールスタートで何かの結果を作ってみる。形が見えることで、自分の自信や周りの共感が得られて、方向性が強化される。
 
思いつきで指示をして、結果を気にしない上司やコンサルタントは、現場を混迷させるだけで結果として何も価値を生み出していない。
 
いいか悪いかを判断しきれないアイデアは、すべて却下か、または保留になっていく。
 
みんなで合議して出したアイデアや、緻密に問題を分析した結果だけでは、ダイナミックで結果に結びつける解決策は、ひねり出せないことを念頭に置くべきだろう。自戒の念を込めて。

コンサルタントの使い方

自分がコンサルタントをやっていると、「コンサルタントをどう活用していいか、イマイチわからない」ということを聞くことがある。ので、自分が考える「コンサルタント」のうまい使い方を書いてみる。

前提:使う側の責任範囲を超えて仕事はできない

当たり前かもしれないけれど。使う側の責任範囲を超えて仕事はできない。担当者に決定権がないことには、やはり提案も調査もしづらい。

過去に上司から、「担当者の先まで飛行距離がある資料を作れ」と言われたことがある。これは何を指すかというと、担当者だけでは決定できないことでも、担当者の上司やその先の上司などが見たときに、その人を納得させ動かせるような内容を意識しろ、ということであった。それだけ、仕事をする中で決定権限の壁に当たることが多いということでもある。

使う側としても、コンサルタントに期待する内容に適した、決定権限を持つ人がプロジェクトに加わることが重要になる。

アクション:漠然とした悩みを打ち明ける

問題を明確にすれば、解決策を講じるのはそれほど難しくない、とも言われる。で、「何が問題であるか」を明確にするのはそれほど簡単でもなかったりする。

コンサルタントはそこを明確にすることを求められる。顧客が求めているものを明確にして、そこに解答を導きだす。答えがずれてはいけない。

よくコンサルタントの使い方として「自分の要望や成果物を明確にしてから依頼しましょう」なんて書いてあるのを見るけど、そんなに全て最初からイメージしていたら、コンサルタントに依頼しなくてもどこかのIT業者とかでも良いよね、と思う。「ここらへんが問題だと思ってるんだけどねー」ぐらいの軽いスタンスから始まっても良いんじゃないかと。

アクション:妥当性をチェックする

コンサルタントは経営知識や業界の動向に詳しかったりするので、一歩間違うと「言いなり」になる恐れがある。もちろん熟練で有名なコンサルタントであっても、絶対に正しいなんてことはない。つまり、使う側がコンサルタントの言っていることが妥当であるかどうかをチェックすることが必要になる。

「業界ではみんなこうしてます」みたいな非論理的な説明をするコンサルタントは注意した方が良い。論理的に妥当性を証明できてこそ本当のコンサルタントであると考えているので、使う側もぜひそういう論理的な穴がないかチェックすることを意識した方が良い。チェックなんて難しいこと書いているけれど、やり方は至極簡単。「自分にはわからないので、わかるように説明して」と突き返せば良い。それだけ。

コンサルタントもお金をもらって雇われる身。空気を読んで、相手が欲しがっている結論を導きだしてしまうことだってあるかもしれない。そういう状況を避けるためにも、使う側もちゃんとチェックを。

役割:第3者的なチェック機構として

前項で書いた通り、妥当性や論理性を追求することを得意とするので、何かの妥当性や信憑性を評価できない事態が発生している場合は、それを評価する第3者的チェック機構として、コンサルタントを活用するのはひとつの手段だと思う。

何かの事業などを評価したいときに、その評価の妥当性を証明したり、費用対効果を示したりする。世界にはこういうフレームワークはたくさんあるし、コンサルタントはそういうものに精通しているはずなのだから。

役割:組織横断の役割として

縦割り組織というのは、よくありがちな組織の弊害。それが、コンサルタントを入れることで血流を良くなることがある。本来であれば役割として違うのかもしれないが、実態では顧客の部署間の調整を外部の業者が行ったりすることがある。

情報を収集し、加工・編集するのはコンサルタントの得意とする分野だったりする。その特性を活かして、現場からの情報吸い上げや横断的な調整役として利用するのは、ひとつの活用方法としては悪くないと思う。その場合は、「そういうことも期待してますよ」とコソッと伝えておくと、それを意識して動いたりするので、なお良いと思われる。

他にもいろんな使い方があると思う。情報を集めたいときも、呼んで少し話をしてみれば、望んだ情報の触りぐらいは得られるかもしれない。仕事の仕方も独特に見られるので、働き方を一緒に働いて間近で見てみたい、と言われたこともある。

あまりコンサルタントの実態がわからないけれど、単価高い、とか、言ってることが敷居高そう、などで抵抗がある人は、とりあえず少し接触する時間を増やして欲しい、とも思う。呼んでもらって話をするだけなら、お金なんていただきませんよ。

他にもあるかな。とりあえず、今思いつくのはこれぐらい。


あわせてどうぞ。

コンサルタントのソリューションは古いのか

原材料だけで言えば色んなものがFLOSSとして提供されている中で、それを操ることが出来るITリテラシーの高い事業体が中核に据えたビジネスモデルを作り、その下にシステム屋が入るというスキームが増えていったら、システム屋の価値はどこにあるんですかという問いを投げているわけですね。
受託開発はプロフェショナル・サービスの領域になる – GoTheDistance

この領域は、これまで経営コンサルタントやITコンサルタントが担ってきており、今も続いているはずだ。しかし、この記事を読むと、コンサルタントよりも、商社やネット事業者の方が、サービスソリューションや仕組み作りに長けていて、ビジネスイノベーションのニーズに応えられると読むことができる。

これが正しいとすれば、コンサルタントはビジネスモデルや顧客へのアプローチを見直さなければならない。

商社やネット事業者が提供するソリューションと、コンサルタントが提供するソリューションは、何が異なるのだろうか。

コンサルタントは、フレームワークを使って分析するのはお得意だけれど、仕組みを作って提供するのは、得意とまではいかない気がしている。
「こういう仕組みでサービスを提供すれば良いですよ」というのを、自分たちの思考から作り上げるのは、「分析」から入る思考アプローチでは、難しいのではないだろうか。

分析することにより、お客様それぞれに合わせたソリューションを、というスタンスだけでは、迅速なソリューション提示にはつながらないのかもしれない。

CRMパッケージを導入すればこう変わるとか、ERPを導入すれば企業が効率化される、とか、システムありきのソリューションではなく、サービス戦略をパッケージ化する、というような、高度な仕組み作りが求められているのかもしれない。

あわせてどうぞ。

プレゼン資料を作る人のためのリファレンス

プレゼンテーションの技術」の前シリーズ。

まさにプレゼン資料を作る人のための本。プレゼンに書くチャートは、あくまで伝達手段であり、重要なのは、「何を伝えたいか」というメッセージを明確にすることだ。

5つに分類した使用方法があり、それに適したチャートを作るのだ。チャートのパターンがものすごくたくさん登場して、参考になる。

ネタが豊富に書かれているので、 今後資料を作るときに迷ったら、時々参照しよう。類似書を見かけないので、こういう本は貴重だ。

ついでにこういうのを見つけたので、メモ。結構頭痛いこと書いてありますね。 惰翻 – プレゼンをイカす10のtips

プレゼンテーションの根幹

内容は、PowerPointだけじゃなく、プレゼンテーション全般の技術・心構えについて。

仕事上、資料を作ってクライアントに説明する、原稿を書いて大勢の前でスピーチする、などの人は、読んでおくと良い。結構細かいところまで、気をつけるべきポイントが書かれている。

わかりやすい説明をするためのステップ、発表するときの見せ方、プレゼンターの心理的不安は、どうやって取り除くか、などなど。プレゼンの入門書として良書。

ここに書かれているエッセンスを意識し、 あとは経験を重ねていくことが大事だ。

マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

観想力

読み物として面白い。企業の様々な事例を取り上げて、 いろんな角度から物事を捉えることによって、 新しい道を拓く可能性があることを示唆してくれる。

こういう力は、日々ずっと鍛錬して、 長い間経ってやっと見に付いていくものだなーと思う。頑張ろう。