Jリーグが2ステージ制に移行することが発表されました。最初内容を見たときは、意味がわからないものだったのですが、いろいろ事情はあるようです。
収入の低下と、その背景にあるJリーグの関心低下
Jリーグ戦略会議の旗振り役である、中西大介競技・事業統括本部長のインタビューが要点がまとまっていてわかりやすいと思います。そこから引用すると、Jリーグが認識している問題点は3つあったと述べられています。
その前提として、戦略会議が認識している現状の問題点について、お話したいと思います。大きく3つありました。1つ目は、日本代表とJリーグのサイクルがアンバランスになり、パラドックス化しているということ。2つ目は、一般の人々の視線がなかなかJリーグに向かっていかないこと。3つ目は、未来への投資原資が枯渇しつつあるということ。
これらの問題から、2ステージ制・ポストシーズンマッチという案が出てきた、ということです。
日本人選手のレベルアップと、リーグの空洞化
日本のJリーグは、立ち上がりは非常にうまかったと言えます。それは「サッカービジネスの基礎知識」を読むとよくわかります。
一方で、育成がうまく行きだすと、有望な海外リーグに移籍する人が増え、スター選手となる人がJリーグから出ていってしまいます。これが今のJリーグの矛盾を生み出しているのです。
この点に関しては、ゼロ円移籍などの問題も言われていますし、Jリーグそのものが成熟してきているので、誰もかれもが海外リーグを目指さなくてもいいじゃないか、という論点もあります。が、現状としては海外リーグで活躍する選手がみれる日本代表は人気があって、Jリーグは注目されない、というジレンマを抱えているのです。
最近、セレッソの柿谷が注目されていますが、それがJリーグに観客を呼び込む効果を与えていることからも、日本代表→人気上昇、というマーケティングルートは未だに顕在していることがわかります。
テレビ放映権の拡大によって、潜在ファンを掘り起こす
プロ野球もそうですが、テレビ放映の機会が減ってきているように思います。Jリーグでは、主にスカパーが放映権を獲得しているのですが、視聴者の減少に伴い放映権料が減少してきています。
以下は、Jリーグの収益状況から引っ張ってきた放映権料収入の推移です。確かに減少傾向にあります。これは、Jリーグ全体の半分弱を占めているので、ここが減ってくると結構大きく響いてくるわけです。
ちなみに、この放映権料は、各クラブへの配当金にもなっていて、これが減ることになります。「Jリーグ・各クラブ放映権料収入は1試合当たりJ1約3.7%、J2約1.5%」という数字があります。
Jリーグ・各クラブ放映権料収入は1試合当たりJ1約3.7%、J2約1.5% – コンサBizラボ | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ
2ステージ制にする目的は、ポストシーズンにすることでテレビの露出機会を作り、放映権料を嵩上げする、という狙いがあります。また、Jリーグの観客数も確実に減少してきており、潜在顧客を増やすためにテレビの露出機会を増やし、Jリーグをもっと広く認知してもらおう、という狙いも含まれています。
まとめ
2ステージ制は、財政が弱くなってきたこと、その根底にあるJリーグ離れへの対策です。ポストシーズンの仕組みがわかりづらいな、とは思いますが、2ステージ制・ポストシーズンへ舵を切った理由はわかります。
プロ野球もクライマックスシリーズを導入したり、レスリングもルール改訂によって、スポーツそのものの魅力を向上させようと努力しています。Jリーグも同じように、新しく魅力あるスポーツになれるのかは、今後次第ということで。