ファミリーマートとユニーが合併。今後のコンビニ業界は楽しくなるはず

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ファミリーマートとサークスKサンクス(正確にはユニーHD)との合併が発表されましたね。

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(ユニーグループHD)は3月10日、経営統合に向けた協議を開始すると発表した。来年9月、ファミリーマートを存続会社とし、ユニーグループHDを吸収合併する形を検討する。

ファミリーマートとユニーグループ、来年9月に経営統合へ ファミマ・サークルKサンクスはブランド一本化検討 – ITmedia ニュース

いろいろ簡単に数字を振り返ってみようと思います。

コンビニ業界の飽和と寡占化

以前から言われている通り、コンビニ業界は飽和状態のようです。以下はコンビニ店舗数の平成20年から26年の推移ですが、今5万店ぐらいですね。

コンビニ店舗数
コンビニエンスストア 統計データ|一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会より作成)

ここで今回、合併するというファミリーマートとユニーHDの売上・利益の推移を確認。

まずはファミリーマート。売上高は伸びていますが、利益はやや落ち込みという感じでしょうか。

ファミリーマート

次はユニーHD。こちらはスーパー部門も含んでいるので、単純な比較にはなりませんが。売上も利益も低下しているのがわかります。

ユニーHD

ちなみに、セブン&アイHDはこんな感じです。こちらもスーパー部門があるのですが、それでも売上が伸びて、利益も踏みとどまっていますね。

セブン&アイHD

経営のセオリー的には、ある業界が飽和すると、これまでは競いつつ共に成長してきたものが、競争激化によって潰し合いになります。その結果として、寡占化に向かいます。強いものがより強くなる、という構図ですね。コンビニは大手5社で9割の売上を占めるほど寡占化しているのですが、今回の合併でより一層上位3社の戦いが鮮明になった形です。

総合スーパーはどうなるんでしょうか

個人的には、コンビニも気になるのですが、総合スーパーの今後の方がもっと気になります。スーパーの2大巨頭であるイオンとイトーヨーカ堂も苦戦しています。

小売業全体でみると、総合スーパーのボリュームがまだ大きく、それをコンビニが追いつこうとしています。百貨店は厳しい感じですね。

総合スーパーの終わりと、ネットスーパーの始まり | Synapse Diary

ただ、総合スーパーも伸びるというよりは衰退を待っている感じがあり、業態のひとつとしては成長分野と言うのには難しい状況です。こうなると、どうやって撤退しつつ、新しい分野に投資していくかという全体のポートフォリオを意識した撤退戦略が重要になります。

セブン&アイは随分前からPB商品をコンビニやスーパー、デニーズなどで共有していますし、ローソンもコンビニに生鮮食品を置くなど、境目をどんどんなくしています。ユニーが持つ「アピタ」「ピアゴ」などのスーパーは、今後どうなっていくのでしょう。郊外に行くと、「アピタ」「ピアゴ」のようなスーパー以外に目立って生鮮食品を買うようなところもないのでは?と思う場面にも出くわしたりします。華麗に撤退されると、それはそれで困る人たちも多くなるんじゃないでしょうか。

コンビニに代わる新しい小売フォーマットは生まれるか?

小売業というのは、昔から「売り方」を変えてきた歴史があります。商店街形式から一元的に安く変える「総合スーパー」になり、小規模で多品種を取り扱うコンビニが台頭しました。それ以外にも、コストコのような会員制にするものもありますし、ユニクロやJINSなど専門店も優勢です。あとはネットショッピングも。

ローソンは成城石井を買収してたりしていますし、サークスKサンクスは「K’s cafe」というカフェ併設店を展開しています。

成城石井はなぜローソンに買収されたのか | Synapse Diary

[browser-shot url=”http://www.circleksunkus.jp/cafe/” width=”600″ height=”450″]K’s cafe[/browser-shot]

ということで、これからは一層いろんな「売り方」が登場するはずです。今後のコンビニ業界はどういう「売り方」で顧客のニーズを捉えていくのか楽しみです。

総合スーパーの終わりと、ネットスーパーの始まり

イオンが業績悪化していることを、先日つぶやきました。

改めて、総合スーパーという業態がどうなっているのか書いておこうと思います。

「総合スーパー」という業態の衰退

イオンの業績悪化はGMS=総合スーパーが不振だったためと言われています。まず、マクロとして小売全体でみたときに、総合スーパーという業態に限界が出ているのがわかります。

retail

参考:
時系列データ|商業動態統計|経済産業省
販売統計|日本チェーンストア協会
日本百貨店協会 : 百貨店売上高

小売というのは業態の戦いでもあるので、消費者ニーズに合った新しい業態が登場すると、古い業態はシャアを奪われる運命にあります。総合スーパーも小さな商店から多様化する消費ニーズをワンストップで対応する、という時代背景からシェアを伸ばしてきたのです。そして、今度は総合スーパーが、コンビニやドラッグストア、専門店、インターネット通販などの新しい業態の隆盛によって、業態としては衰退期を迎えている状況です。

(参考:我が国流通業の現状と取組・課題について(PDF) )

イオンはそういう状況の中で、アジアへの進出や既存店の大規模改装などで業績回復を図ろうとしています。

ネットスーパーは強力な収益源になるか

今、ネットスーパーが少しずつ普及している状況です。試しにSimilarWebで、イオンのネットスーパーのアクセス数を調べてみたところ、月間30万アクセスとそれなりの数字がありました。

visits

インターネットでの買い物にいろんな人が抵抗がなくなり、品揃えの豊富さや家まで届けてくれる手軽さは、実用的なモノを買う点では、「わざわざ店まで買いにいかなくても」と思うだけの十分な理由になります。自分のことを思い返してみても、本や消耗品を中心に、どんどんネットで買う金額も回数も増えています。

また、Amazonは少し前からアメリカでは生鮮食品の販売を始めています。

知られざるAmazonの生鮮食料品配達サービス「AmazonFresh」とは? – GIGAZINE

これらを考えると、ネットスーパーという領域は今後も拡大していくでしょう。

ただ、ネットスーパーは収益化が難しい点が以前から挙げられています。商品の配送コストを吸収することができないのが問題点のようです。

実は儲からないネットスーパー。それでも各社が続ける理由とは? – NAVER まとめ
便利すぎるネットスーパー、でも実は儲かってないらしい | Lifeclip

一方で、生鮮食品を買うチャネルというのは非常に魅力的でもあります。日常の中で購買の頻度が高いからです。頻繁に買うチャネルとして選ばれることになれば、ついでにあれも買おう、これも買って配送してもらおうというようになるでしょう。そういう意味で、最初はコスト度外視でもチャネルを抑えてしまうという戦略は考えられます。

そのために、今後は購買のインターフェースも高度化していくでしょうし、物流も向上させていくんでしょう。まさに「オムニチャネル」としての対応が進みます。

いやーイチ消費者としてはネットスーパーがもっと普及して使いやすくなって、便利になれば楽しいな。今後が楽しみです。

ネットレンタルサービスの競争状況を調べてみた

ツタヤやゲオなどのレンタル事業ネタは前回で終わりにするつもりでしたが、結構面白かったので違うネタでもう一本書いておきます。ちなみに前回の記事はこちら。

CDレンタルショップが激減している今、ツタヤやゲオはどうしてるの?

ネットレンタルサービスの競争環境について

調べたのは、ネットレンタルについてです。SimilarWebで調べました。主要なものをまとめたのは以下の通りです。

net-rental

月間訪問者数に違いが出ています。このあたりから、なんとなく力関係がわかりそうですね。

また、それ以外のサイト滞在時間や直帰率などの数値は結構似通っています。サービスがレンタル事業として同じなので、ユーザーの回遊などの傾向が似通っているんじゃないかと推測します。

ツタヤとゲオのネットユーザーの違い

もひとつ。ツタヤとゲオでネットトラフィックの流入ルートが結構違うのが面白かったのです。

こちらがツタヤ。

こちらがゲオ。

違いは明確で、ツタヤはダイレクトやリンクからの流入が多くて、ゲオは検索からの流入が多くなってます。

ネットではブランドを強化する必要がある

ここからは完全に推測ですが、ツタヤはダイレクトやリンクからの流入なので、ブックマークなどで登録しているユーザーが多かったり、決まったサービスから流入してきているんじゃないかと。

一方で、ゲオは検索からの流入が多くなっていて、決まったユーザーというよりは流動的なユーザーが利用していたり、ITリテラシーがやや高めのユーザーが利用している可能性が考えられます。

ここから考えられるのは、ツタヤの方がブランド認知が高く、よりマスまでリーチできている可能性が高いということです。前回の記事でも、ツタヤはブランドを強化しているということを書きましたが、ここからも「TSUTAYA」というブランドを強化し、認知度を高めていくことで、より一層マスマーケットを攻略していくのかもしれません。

ネットに限らず、何かのサービスを利用したいと思ったときに一番最初に思い浮かぶブランドになると強いと言われています。「ネットで本を買う=Amazon!」みたいな。「気軽にニュースを読む=Yahoo!」とか。そういう状況を考えるときに、TSUTAYAブランドを強化するというのは、様々なサービスを統合し展開していく上で重要な方向性だと思います。

CDレンタルショップが激減している今、ツタヤやゲオはどうしてるの?

昨日、CDレンタル店舗が縮小してる中で、新しい音楽の楽しみ方があるよって記事を書きました。

[kanren postid=”3735″]

実際のCDレンタル店舗数の減少は、以下の通りです。

cd-rental

で、昔からCDレンタル大手といえばツタヤとゲオなわけですが、それらの企業が売上高どうなっているのか、とかどういう戦略で経営されているのか気になったので調べてみました。

CCC(ツタヤ)は上場廃止してツタヤブランドを拡大

ツタヤを運営するCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)は2011年に上場廃止しています。これは、いろいろ新しい取組を行う上で、上場していると長期的な視点での舵取りが難しいという理由だったんじゃないかと記憶しています。

で、今の売上高がどうなっているかというと、以下の今期売上が発表されていました。

2014年3月期の連結売上高は、195,914百万円だそうです。

会社概要|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

これと、2004年から2010年の売上高と組み合わせたのが、以下のグラフです。

tsutaya

2004年からの売上高は、こちらのサイトから引用しました。

カルチュア・コンビニエンス・クラブの業績/売上/事業のクチコミ【転職会議】

これを見ると、業績はピーク時からは減少しているものの、劇的な減少になっているとはいえないようです。

そして、ニュースリリースには、書籍・雑誌の販売額が伸びていて、年間売上高でDVDレンタルを上回ったという記事がありました。

国内最大の書店チェーン「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、全国に展開する「TSUTAYA」「蔦屋書店」における2013年4月から2014年3月までの書籍・雑誌販売額が過去最高を更新する1,157億円(前年同期比104.3%)となりました。※販売額にネット通販分は含みません。

ニュースリリース|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

また、最近ではスマホを販売したり、独自端末をリリースすることも発表されています。

TSUTAYASIMフリースマホを販売へケータイ Watch

TSUTAYAでスマホ販売「TSUTAYA mobile」来春スタート、オリジナル端末も来秋販売ケータイ Watch

顧客の入り口となる部分でスマートフォンを抑えることができれば、ツタヤサービスを利用する可能性は高くなります。いろいろ業態を試しているところでしょうか。

ツタヤは比較的立地が良い場所に出店しており、既存店舗を中心としてツタヤブランドを拡張し、いろんなサービスを築いていきたいようです。

ゲオはホールディングス会社を設けて、事業領域を拡大

かつてはゲオがレンタルによる低価格競争を繰り広げていましたが、いつの間にかホールディングスの会社ができていました。

TSUTAYAとゲオ泥沼競争の果てにビデオレンタル業界がヤバイ! | ビジネスジャーナル

そして、ゲオホールディングスは上場しているので、いろいろ経営状況を確認することができます。2014年3月期の決算説明資料を見ると、ゲオが置かれている現状がよくわかってきました。

まずは売上高の推移を見てみましょう。

geo

全体では向上していますが、近年は利益率が低下してますね。

そして、決算説明資料では、各事業別の粗利額は以下のようになっていました。

geo-portfolio1
(2014年3月期決算説明資料より www.geonet.co.jp/wp-content/uploads/2014/05/2681_20140509presentation4Q-2.pdf)

未だにレンタル事業は規模が大きいものの、頭打ちの感があります。一方で、リユース事業は伸びているようです(この数字だとあまり伸びてないように見えますけどね)。

セカンドストリートという中古品を扱う会社を合併し、この事業領域を拡大させていこうという戦略のようです。中期的にはこんな感じでポートフォリオが変化していくと予想しているようですよ。

geo-portfolio2
(2014年3月期決算説明資料より www.geonet.co.jp/wp-content/uploads/2014/05/2681_20140509presentation4Q-2.pdf)

こうみると、ゲオはツタヤよりも、ブックオフが競合になっている気がしますね。

以上になります。こうみると、やはり2社とも新しい事業モデルを展開しているところであり、レンタル事業が縮小していくのは時間の問題であることを織り込んでいますね。

追記:TSUTAYA(CCC)の最新業績について、記事にしました。

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JINSが平均年収を10%も上げなければいけない理由

[aside type=”normal”] より最新の記事があります
この記事の一年後に、改めてJINSを分析した記事を書きました。よろしければ、そちらもお読みください。 →JINSという企業を改めて分析してみる | Synapse Diary [/aside]

少し前になりますが、メガネで有名なJINSが社員の給与を上げるとして、発表していました。

ジェイアイエヌが、店舗勤務する正社員を対象に11月から年間平均給与を10.2%引き上げる。優秀な人材確保と優れた顧客サービスの提供が狙い。来年度の新卒入社者の初任給は、これまでの20万円から17.5%増の23.5万円に改める。

JINSが店舗社員の平均年収10.2%引き上げへ | Fashionsnap.com

すごいな、業績良いから給料も上げるのかな、と思いきや、そうではありません。

以下のグラフを見てもらえばわかりますが、決して業績が良いわけではありません。逆に、売上の伸びは停滞し、利益率は低下しています。

JINS

端的にいって、苦戦している状況です。今回は、JINSがなぜ業績が優れないのに賃上げする理由を考えたいと思います。

JINSが現在置かれている状況

JINSが躍進してきた理由

JINSが躍進してきた理由は、前述の記事やJINS創業者の著書「振り切る勇気」を読むとよくわかります。簡単に言えば、「価格・提供スピードなどの改革によるユーザー利便性の向上」「機能性を重視した新しいメガネの提案」です。

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そういう中で、SPAによって新しい顧客ニーズをつかむとともに、低価格と新しい機能性あるメガネを提案したことで、これまでメガネを持たなかった人、メガネを複数は買わなかった人を開拓していったのです。

一方で、メガネ市場は縮小してきており、他社も模倣してきます。均一価格、機能性のアピール、低価格など。そうなると、差別優位性が失われていくわけですね。

メガネ業界の状況

メガネ市場はすごい勢いで縮小してきています。10年ちょっとで2/3ぐらいに縮小しています。

90年代後半からメガネ市場の市場規模は非常に早いスピードで縮小している。1996年に約6,000億円あった市場は09年には4,000億円を割り込んだ。

戦略ケース 眼鏡業界の4Pを刷新したJINS2013年) – J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所

そして、JINSはすごいスピードで成長しましたが、メガネ市場のシェア1位はメガネトップ、三城ホールディングスであり、売上的にはまだ差があります。

megane

メガネトップが上場廃止してしまったので、少し比較タイミングが古いのですが、まあそんなにずれていないと思います。

つまり、こういうことです。

  • JINSの売上は停滞気味
  • JINSが築き上げた差別化優位性は失われつつある
  • メガネ市場は縮小しており、他にリーダー企業が存在する

縮小する市場では、有力企業による寡占化が起こります。新しいユーザー層を開拓したJINSではありましたが、競争優位の源泉が変わり、JINSにとって新しいフェーズに突入しているということです。

人材獲得が競争優位性につながる

人件費増大の影響

2014年の決算情報をみると、人件費は71億円になっています。仮にこれが10%増えると、78億円です。プラス7億円ですね。営業利益が29.7億円なので、22億円になってしまいます。26%も下がりますね。

短期で考えると、ただでさえ利益が落ちているので、利益確保したくなります。そこで利益を下げてでも、人件費を上げるというのは、攻めの気持ちが伝わってくるようです。

参考:JINS20148月期決算資料(PDF

急激な出店増に人材が追いつかない

決算資料に書いてありますが、JINS PCでブレークしたものの、出店を急拡大させた影響で、商品開発や店舗オペレーションが追いつかなくなったようです。

この問題を解消しなければ、良い歯車は回りません。寡占化する業界で生き残っていくためには、機能性やファッション性など、新たな購買や買い替え需要を起こすことと、店舗数を拡大していくことが求められます。寡占化によって、これらの競争は激化していくでしょう。

ユニクロやスタバなど、いろんな小売企業が人材獲得競争を繰り広げています。人材をしっかり獲得していくことは、企業の生命線です。

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決算資料でも、来期も業績は微減で予想されています。現状は、企業体制を固める期間という判断なのだと思います。

個人的には、JINS MEMEなど革新的なアイウェアが登場することを期待しています。


[aside type=”normal”] より最新の記事があります
この記事の一年後に、改めてJINSを分析した記事を書きました。よろしければ、そちらもお読みください。 →JINSという企業を改めて分析してみる | Synapse Diary [/aside]

成城石井はなぜローソンに買収されたのか

少し前に、岐阜駅がリニューアルされたときに、成城石井がテナントに入ってきたんですよ。「成城石井がついに岐阜まで来たかー」と、やや驚いたのを覚えています。「都市型の高級スーパー」という印象がありましたから。

ただ、買収騒動があったりでいろいろ賑やかでしたし、出店も着実に伸ばしています。

この本を書いている二〇一四年三月の時点で店舗数は一一二店。一〇年前の二〇〇四年、成城石井は三〇数店舗だった。もっといえば、一九九四年には四店舗しかなかった。これが、わずか二〇年で一〇〇店を超えるスケールになっているのである。

実際に成城石井のHPを見ると、以下の通り出店数が伸びています。

成城石井の出店戦略
(引用:出店戦略 | 事業戦略 | スーパーマーケット成城石井

こんな勢いのある成城石井は、どういうビジネスモデルなのか興味が湧いて、一冊読んでみました。

成城石井の強さの秘密はなにか

企業が強さを発揮する理由はひとつで説明することは難しいのですが、もともと強い要素として調達・製造から小売までの一貫体制がありました。また、最近出店を伸ばしているのは、外部環境として食生活に対する成熟と、出店業態の多様化が挙げられると思います。

調達・製造から小売までの一貫体制

成城石井の品揃えって、独特ですよね。あまり他のスーパーでは見かけない商品が置いてあったりします。これは、自ら商品を選定し、調達・製造する能力が高いことの表れです。

直輸入品の多さは、成城石井が貿易会社を持っていることが大きい。まだ一店舗だった時代から、第三者に任せず、バイヤーが直に世界の商品を探し出し、買い付けてきた。輸入商材にオリジナル商品も加わり、全体の三割が、他ではまず買えない商品になっている。

成城石井は、東京ヨーロッパ貿易という子会社があります。それで、直接調達してるんですね。

また、セントラルキッチンも持っていて、プロのシェフが惣菜を企画したり、手間暇かけて調理しているそうです。ポテトサラダに使うジャガイモでもそう。

「ジャガイモは、皮の真下が一番おいしいんですよ。機械を使うと、そこまで削ってしまうことになります。これでは、味がまるで変わります」

さらに、現場店舗でのオペレーションも優れています。こういう、現場でのオペレーションの工夫・努力が行われています。

「昔から行っていることですが、各店舗には肉の知識を持つ担当者がいまして、お肉は店や仕入元などで熟成させて、一番の食べ頃の状態のときに、お客様に提供します。しっかりしたものを選んでくるだけではなく、食べ頃も見計らっています。それができるだけの目を持っている職人が、成城石井にはいるんです」

他にもあるんですが、要は高い品質と低コストのバランスを維持するために、一貫したオペレーション体制が構築されているってことです。これが成城石井の元来持つ強みですね。

食生活の成熟

最近特に追い風になっている理由として、日本の食生活が成熟してきている点があるんじゃないかと思っています。成城石井にもよく置いてあるワインの消費量を調べてみると、明らかに増大していることがわかります。

ワインの国産消費量の推移
(参考:www.kirin.co.jp/company/data/marketdata/pdf/marketwine2013.pdfから、国税庁のワイン消費量の推移を引用)

本書の中でも「時代が追いついた」という表現がありましたが、当初から高級志向だった成城石井の品揃えやコストパフォーマンスの高さがわかる人が増えた、という要因はあるんじゃないかと思います。

出店業態の多様化

3点目は、出店業態の多様化です。特にエキナカのフォーマットですね。路面店にある、ある程度の広さを必要とするスーパーの業態だけでなく、エキナカでも出店するようになりました。

本書の一部を抜粋すると、こう書いてあります。これはエキナカ店に初めて出店したときのコメントです。

「自分の考え方が大きく変わりました。路面店のスーパーマーケットとは、売れるものがまったく違ったんです。その一方で、それまで成城店をはじめとして、お客様のニーズに応えようと一生懸命に取り組んできたワインやシャンパン、チーズ、総菜といった成城石井独自の品揃えが大きく活きたんです」

路面店とエキナカでは、売れる商品などが異なるし、面積も断然小さいので、オペレーションや陳列方法も変えなければいけません。それらに適用していったことで、出店攻勢をかけられるようになったというわけです。今では、オフィスビルやコンビニ跡地などにも出店できるようになっています。

ローソン買収の狙いはどこにあるか

さてさて、成城石井は最近ローソンに買収されることになりました。この会社は、いくつかの企業に買収されてきており、その過程は本書の中に書かれています。ここでは、本書には触れられていませんが、ローソン買収による効果を考えてみたいと思います。

成城石井のウィークポイントはどこか

ローソンの社長は、成城石井の売り場は維持すると言っていて、調達などのバックヤード側でシナジー効果を出したいと述べています。

まずは、僕らが成城石井を150%理解したうえで、支援するのが大事。『ローソンのスイーツはおいしいから置いて』なんて押し付けるのはよくない。それはダイヤモンドの原石である成城石井の価値を損なう行為だ。(逆に)われわれが学ぶことはたくさんあり、うちのエース級の商品担当を出して勉強させる。
一方でお客様の目に触れない部分で、物流や原材料調達、出店開発などでは貢献できる。成城石井の出店開発部隊は3人ほどだが、ローソンは250人くらいいる。

ローソン、成城石井を買収した真意とは? | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

これが、今の成城石井のウィークポイントが出ていると思うんですね。その前に、今の成城石井の出店エリアを見てみたいと思います。

成城石井の出店エリア

これを見てわかる通り、都市部を中心に限定されています。ここから出店を拡大させていくためには、物流を中心にバックエンド側にスケールメリットが必要になります。インフラも人材も、スケーラビリティが求められるところであり、その点をローソンと集約していくことで、成城石井の出店攻勢を実現できるんじゃないかと思います。

ローソンのメリットはどこになるか

ローソンの狙いがどこにあるのか、という点は、ネットで検索したらすぐにわかりました。なるほどーと思ったのは、ナチュラルローソンの苦戦ぶりです。

同社は女性客層獲得を狙って「ナチュラルローソン」を展開中だが、実質的には失敗している。最初こそ好調だったが、今では当初の勢いを失い、まだ約100店舗で、13年に掲げた「5年間で3000店舗」の目標に遠く及ばない事実がそれを証明している。失敗の理由としては、女性客層向け商品開発力の欠如が指摘されている。今回の買収により、品揃えの豊富さで女性客層から断トツの人気を誇る成城石井の惣菜をローソンやナチュラルローソンにも展開することで、念願の女性客層を呼び込むことも可能になる。

(2ページ目)ローソンの成城石井買収は、吉or凶と出るか?なぜ評価二分?揺れるローソン独立性 | ビジネスジャーナル

ローソンの出店数は、公開されています。

ローソンの出店数

ごめんなさい、グラフにしてもわかりづらい見た目になりました。ざっくりいえば、ローソンは10000店、ローソンストア100が1000店、ナチュラルローソンが100店ぐらいです。一桁ずつ違います。しかも、ナチュラルローソンは2002年の100店から10年以上かけて110店という増加です。さすがに伸び悩みという印象です。

他にも、これを読めば端的にわかると思います。

成城石井を買収するローソンの3つの本音 [マーケティング] All About

いずれにしても、小売のPB比率は上がっていますし、成城石井の商品開発力をプラスに作用させたいと思っているんだと思います。

いやーそれにしても、本を読んで、いろいろ成城石井の商品を買いたくなったわー。

最後に、この記事書くために整理したビジネスモデルキャンパスをのっけておきます。

成城石井のビジネスモデル

携帯キャリア会社はガラケー→スマホの切り替えユーザーを狙っている

ドコモのiPhoneには、dなんとかってアプリが大量にプリインストールされているようです。

こういう戦略はどうなんでしょうかね。僕は、スマートフォンにあまり慣れていない人向けの戦略を実行してるんだと思っています。それは、ドコモに限らず携帯キャリア3社ともじゃないかと。

で、そういう状況の中でどうやって携帯キャリアが収益を上げようと思っているかを、考えておこうと思います。

日本の携帯市場におけるスマートフォン比率はどの程度?

まず、日本の携帯市場におけるスマートフォン比率ですが、ざっくりいえば半分程度です。

2014年3月末の端末契約数に占めるフィーチャーフォン契約数比率は53.0%(前年度より9.7ポイント減)、スマートフォン契約数比率は47.0%(同9.7ポイント増)となった。OS別契約数は1位:Android 3,274万件(57.1%)、2位:iOS 2,394万件(41.8%)、その他66万件(1.2%)となり、2013年9月にドコモからiPhoneが発売されたこともありiOSシェアが増加傾向にある。

スマートフォン市場規模の推移・予測(20144月)株式会社MM総研

おそらく、今後もスマートフォン比率は増えていくでしょう。

ガラケーとスマホではどれぐらい料金が違う?

ひとつ重要なポイントは、ガラケーとスマートフォンでは一人あたりの売上が違うということです。

ドコモの公式サイトでシミュレートしてみると、これぐらい違います。

  • ガラケー1台 → 2,200円
  • スマホ 1台 → 11,500円 ※データプラン10GBで計算

まあ、10GBは大き過ぎるとしても5000円とか8000円とかはざらにいってしまいそうです。

一方で、携帯キャリアの説明資料をみると、一人あたりの売上は4,500円ぐらいになっています。ガラケーとスマホが半々の割合だとすると、スマホは7,000円ぐらいですかね。一人あたりの売上については、以下の記事で書きました。

携帯キャリアが既存顧客より新規・MNPを優遇する理由はこれだ!

携帯キャリアは一人あたりの売上を上げたいんですよね。なのでスマートフォンへの切り替えは単価上昇のチャンスだと思います。

最近登場した「カケホーダイ」プランって必要?

最近各社はカケホーダイというプランを登場させています。これは電話の定額プランなわけですが、なんとなく違和感があるんですよね。なぜなら、携帯キャリアの一人あたりの通話料金は下がり続けているんですよね。

docomo

引用:ドコモ早わかり講座 : 事業の状況 | 企業情報 | NTTドコモ

これは、どんどんいろんな人が電話を使わなくなっているということじゃないでしょうか?

SNSが当たり前になっていて、電話によるコミュニケーションの割合が減少している。LINEなどネット電話を使える。楽天でんわなども登場してきている。そういう中で、キャリアの電話を使う理由はどんどんなくなっていると思うんですよね。

以下は総務省の調査結果なのですが、いろいろ面白い結果になっています。

com

引用:平成25情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(PDF

  • 主流なコミュニケーション手段は、メールが1位、SNSが2位
  • 平成24年度から平成25年度で、携帯電話の通話割合が減少している
  • 10代、20代はほとんど携帯電話で通話していない

というわけで、若い世代は通話しないようです。実際、僕もカケホーダイ入ると割高になります。カケホーダイが、どの層をターゲットにしているのか、よくわかりますね。

まとめ

  • ガラケーからスマートフォンへの切り替えユーザーを狙っている
  • ガラケーから切り替えるのは主に30代より上の層
  • 通話が多く、スマートフォンに慣れていない
  • なので、カケホーダイを導入したり、dなんとかというアプリをたくさん入れている

というのが僕の仮説です。どうでしょう。

今日はこのへんで。

携帯キャリアが既存顧客より新規・MNPを優遇する理由はこれだ!

新しいiPhoneが発表されるたびに、各キャリアから料金や割引、下取り金額などが発表されます。絵に描いたような価格競争が繰り広げられるわけです。

ニュースドコモのiPhone 6は機種変更を他社より安く、下取りも手厚くして他社の顧客争奪:ITpro

auiPhone 5の下取り価格を大幅UP5sより高い意味不明価格に!パケ詰まり詐欺のお詫びか? : IT速報

で、こういう新機種発売のときによく聞かれるのは、「MNPみたいな他社ユーザーより、既存顧客を大切にしろよ」って話です。今日は、この問題を書いてみようと思います。

ゲーム理論で考える業界の構造

実際にはそんなことはあり得ませんが、ここはシンプルに「既存顧客」と「新規顧客」のどちらにエネルギーを振り向けるかで、顧客の獲得状況はどう変わるのかを考えてみたいと思います。

いくつか前提を書いておきます。

  • MNPの割引はとても大きくなっており、「手続きの面倒さ」以外に顧客のリテンションを維持しづらい状況にある
  • 一人あたりの既存顧客の売上は、既存顧客を優遇したからといって増えるわけではない

その前提を踏まえたときに、ゲーム理論としてマトリックスを整理すると、以下のようになります。

他社が既存顧客維持に注力する他社が新規顧客獲得に注力する
自社が既存顧客維持に注力するお互いに売上は増大しない他社に顧客を奪われる、または売上は増大しない
自社が新規顧客獲得に注力する他社から顧客を奪うお互いに顧客を奪い合う、または売上は増大しない

これでみると、各選択肢の結果を見たらわかりますが、「新規顧客獲得に注力する」方が顧客を他社から奪い、売上を増やす可能性が高いのがわかります。この前提にあるのは、「既存顧客を囲っても現状維持にしかならず、他社から顧客を奪うと売上増大が見込める」ということです。

そうなるとベストの戦略は、「いかに既存顧客が離反しないよう最小限のリソースでつなぎとめつつ、他社から顧客を奪うか?」というバランスの中にあります。既存顧客が軽く見られるのはこのためです。

装置産業型ビジネスモデルの構造上の問題

そもそもこういう状況になってしまうのは、携帯電話事業のビジネスモデルそのものに要因があります。携帯キャリア会社というのは、巨大な通信インフラを提供することで、その利用料をユーザーから徴収するのが基本的なビジネスモデルです。こういう膨大な投資が必要な事業を「装置産業」といいます。このモデルの特徴は、初期投資が膨大である一方で、ユーザーを獲得すればするほど一人あたりのコストは低下していく、というものです。

つまり、いかに多くの人に自社の通信ネットワークを使ってもらうかが勝負のポイントになるわけです。

よく誤解されるのは、小売のCRMなどで見られる「お得意さんを優遇する」というスタンスは、この装置産業のビジネスモデルではあまり通じない、という点です。小売などの場合、売上構成として「10%のお得意さんが30%の売上を構成している」というような構図が見られます。つまり、自社の顧客の中でも一人あたりの売上にばらつきが見られるわけです。なので、お得意さんを創りだして、自社の売上を向上してもらおう、という流れになるのがよく百貨店などで見られるパターンです。

一方で携帯キャリアの場合、それが通じません。頻繁に複数の商品を買う、という構図ではなく、2年に1回契約を結び、あとは決まった料金を支払う人が大半です。しかも、一人あたりの料金は他社との価格競争でとても拮抗しています。

arpu

これは、ソフトバンクの決算説明資料(PDFから拝借してきました。ARPUと呼ばれる、一契約あたりの売上を表しています。

また、MNP、キャリア固有メールアドレス以外の利用増加、キャリア固有端末の減少など、特定のキャリアに縛られてきた要因がどんどんなくなっています。ユーザーの流動性が高い状況が年々作られているわけです。

携帯キャリアは別の付加価値創出を狙っている

もちろんどの会社もよくわかっているので、泥沼の価格競争ではなく別のアプローチで付加価値創出を狙っています。ドコモはらでぃっしゅぼーやを買収するなど、商品・サービスを販売するプラットフォームになりたいようですし、KDDIはインターネットサービスやひかり電話と組み合わせたり、au Walletを導入するなど、ネットワークを活かした付帯事業を展開しています。ソフトバンクは、キャリア単体というよりはヤフーとか他の事業と合わせて考えてる感じですね。

まとめ

現時点では、「既存顧客に優遇してくれ」っていう考えはあまり持たない方が良いかなと思います。うまくキャリアを見極めつつ、効率的に選んでいければいいんじゃないでしょうか。価格競争の熾烈さを見ると、キャリアも生きる道を探すのに大変だなって思いますね。。。。

余談ですが、今回のiPhone6の価格発表で一番おもしろかったツイートはこれです。うまく特徴を捉えているんじゃないか、と。

iPhone6、Apple Watch発表。今後のAppleの戦略を考える

AppleのiPhoneやApple Watchの発表は見ましたか?

いろいろ新しい発見があったのですが、Appleの今後の戦略をうかがえるポイントを整理しておこうと思います。iPhone 6やApple Watchを買おうか悩んでる人も、参考にしてください。

iPhone6とiPhone6 Plus

ほとんど予想通りのスペック、ラインナップでした。前回投入されたiPhone5cの後継となるような機種が見当たりませんでしたね。iPhone5cは販売台数が思ったより伸びず苦戦したという話もニュースになっていますし、このラインへの戦略は、見直されることになったのかもしれません。Appleのホームページ上からもiPhone5cは消えています。

iPhoneはやはりハイグレードを狙う製品だな、というのを改めて思いました。

AppleiPhone 5c、売れ残りの在庫が300万台山積み(篠原修司) – 個人 – Yahoo!ニュース

また、大画面化したiPhone6 Plusが発表されたことも、今後の動向を占う上で重要です。ずっとスマートフォンは大画面化が進んできており、今回のiPhone6 Plusは5.5インチになりました。

iphone6

iPad miniが7.9インチですし、「ファブレット」と呼ばれるジャンルも以前から登場してきており、タブレットとスマートフォンの境目がどんどんあやふやになってきています。以前、ファブレットについてはこういう記事を書いています。

ファブレットは今後普及するのか

パソコンも小型・軽量化が進んでおり、「タブレット」というジャンルは両サイドから押し寄せる形で縮小していくんじゃないでしょうか。

現状から大きく飛躍して売れるということは考えづらいですが、既定路線として固い売上確保につながるでしょう。

決済サービス「Apple Pay」

iPhoneにクレジットカード情報を登録しておき、支払い時にはiPhoneをお店の端末にかざして、指紋認証するだけだそうです。

Appleの新決済システム「Apple Pay」の仕組みがよくわかるまとめ&実際に使ってみたよムービー – GIGAZINE

この機能について、クレジットカード情報などをアップル自身は保有しないことが、セキュリティ界隈でちょっとした話題になっています。セキュリティ面からすればもちろん良いことだけど、ネットサービスを提供する会社としては喉から手が出るほど欲しい情報だし、このAppleの選択はどうなんだろう、と。

これについては、Appleはクラウドサービスによってデータ保有して稼ぐというより、主にデバイスを収益源(Appleの収益源の半分はiPhone)としており、そのサービスで稼ぐ発想はあまりないと思われます。そのあたりとも、この選択は関係してるんじゃないかと。先日のiCloudの件のように、原因はともかくセキュリティ事案が起こるとサービスの信用は大きく低下します。このあたりのコントロールと、企業戦略上の優位性構築とのバランスは今後より一層重要になっていくんだと思います。

Apple Watch

これもおおよそ事前に出回っているイメージでした。名前に「i」がついていないことに驚きました。iPhoneなどとブランドとして分けていくんでしょうね。今のところ、スマートウォッチの中では「最もマシ」という印象ですが、個人的には買わないかなと。

Apple Watchに関する考察記事は、これがわかりやすくてよかったです。

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「Apple Watch」はこれまでのスマートウォッチと何が違うのか? (1/3) – ITmedia PC USER

今回iPod classicが終焉したように、Apple製品もどんどん売れるモノが変わってきています。iPhoneが売れている間に、新しい収益源になりうるのかは、今後の製品進化にかかっていると思います。

iOS8とOSX Yosemite

最後はOS関連ですね。iOS8は9/17に配布開始になるようです。これまでの流れを受けて、iPhoneやMacなどのApple製品は、よりシームレスに情報のやりとりができるように、OSは進化しています。

収益を生むのはデバイスですが、OSはデバイスの使い勝手を決める重要な構成要素です。Appleは短期間でiOSやOSXをアップデートしており、複数のApple製品をストレスなく使えるようにしているのです。Apple Watchも、こうやってApple製品間のつながりをスムーズにすることで、生活の多くをApple製品で使い込む戦略の一環と捉えることができます(Appleは、MacからiPodを展開したときから、一環してそういう戦略です。)

OSXのYosemiteは、2014年秋登場と言っていますので、公開される日も近いですね。iPhone、Mac、Apple Watchが、それぞれのOSを通じてどう連携していくのか楽しみです。

以上です。Appleの製品はいつも発表が楽しみなのですが、今後のAppleの戦略も非常に楽しみです。とりあえず、iPhone6は買うか迷うところですが、その場合はSIMフリーの方が良いかもしれないなって思ってます。Apple Watchはひとまず様子見。iOS8とYosemiteは早く試したいですね。

すき家ゼンショーの経営はどこが問題だったのか

すき家を経営しているゼンショーが、人手不足から一部店舗の運営ができない状況になっていました。経営改善を図るため第三者委員会に依頼していた調査報告書が出され、その内容がいろいろ衝撃的です。

すき家ゼンショーの「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」がまるで牛丼売ってる蟹工船 : 市況かぶ全力2階建

調査報告書の内容

第三者委員会の調査報告書は100ページを超える大作で、読み応え有りです。たくさん思うところはあるんですが、一番は経営陣のスタンスです。

zensho

自分の成功体験にとらわれて、多様性を受け入れることが難しくなっています。これでは外部環境が変わったら対応できなくなるよな、と思いますね。

ちなみに、ゼンショーHDの売上と利益率の推移はこんな感じです。

2012年あたりまでは好調だったんですね。売上が伸び、利益も伸びてます。そこから規模を追求しても利益がついてこなくなってます。

牛丼チェーンで売上・利益に対する効率性を比較してみる

牛丼チェーンであるすき家(ゼンショーHD)、吉野家(吉野家HD)、松屋の3社について、売上高と営業利益を従業員数で割って効率性を比較してみたいと思います。

まず、売上高/従業員数の比率。松屋が一番高くて、ゼンショーが続きます。吉野家は小さいですね。

次は、営業利益/従業員数の比率。こちらも売上高と同じです。構造は変わらないですね。

これを見る限り、すき家は効率性は高い感じがしますよね。

経営指標をどこに据えるか

すき家に関していえば、ワンオペや長時間労働など店舗オペレーションにしわ寄せがくるような方策をとっており、人件費を大きく抑制させることで効率性を高めていた、というのが調査報告書からわかります。「これはまずいよな」というのを思いながらこのブログを書いてたら、ちょうど面白い記事がありました。

すき家崩壊の理由は、経営層が見ていた指標にある!?さまざまなめりっと

経営指標として、「人時売上(1人1時間あたりの売上)」だけを捉えすぎていて、それ以外の経営指標が軽視されていたのではないか、という内容です。

そうすると確かに、人件費を抑制すれば指標は上昇しますし、一方で品質や満足度などの部分がよく見えなくなります。経営というのはバランスなのだとMBAでは教わりましたが、そういう部分が欠けていたんでしょうか。

今後の経営課題

これから9月末までに調査報告書で挙げられている対策を講じた上で、地域分割会社を設立するようです。

今後、ゼンショーは立ち直るんでしょうか。これまでの成功体験を捨て、文化・価値観を大きく変えて、新しい時代にあった経営戦略と組織を形成しなければいけません。牛すき鍋の一件でも吉野家に比べてすき家はオペレーションを構築する上での未熟さが感じられます。

今後の動向を見守りたいと思います。

参考:
各社の店舗展開戦略が見えてくる牛丼御三家の店舗数推移(2014)(最新) – ガベージニュース